JP4081597B2 - 触媒酸化方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物の酸化方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物のうちから選ばれる少なくとも1つの化合物および塩化水素を含む混合ガス中の一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物のうちから選ばれる少なくとも1つの化合物を酸素を含むガスを用いて酸化分解する方法であって、触媒の活性が高い触媒を使用し、より少量の触媒でより低い反応温度で一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物のうちから選ばれる少なくとも1つの化合物を酸化することができ、さらに触媒の活性低下の少ない長寿命の触媒を用いる方法であり、よって触媒コストの観点から極めて有利な一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物のうちから選ばれる少なくとも1つの化合物の酸化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物のうちから選ばれる少なくとも1つの化合物を含むガス中の一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物のうちから選ばれる少なくとも1つの化合物を、酸素を含むガスを用いて、酸化分解する方法の1例として、例えば一酸化炭素および塩化水素を含むガス中の一酸化炭素を、酸素を含むガスを用いて、二酸化炭素に酸化する方法が、例えば特開昭62−270404号公報に記載されている。特開昭62−270404号公報ではアルミナを担体とした1質量%のパラジウムを含む触媒を用いる方法が開示されている。しかしながら、かかる方法には、触媒の活性が不十分であるといった問題があった。また、塩化水素ガスの濃度が高い場合はほとんど活性を示さないという問題があった。一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物のうちから選ばれる少なくとも1つの化合物および塩化水素を含む混合ガス中の塩化水素は、水に吸収させて塩酸として利用することができるが、塩化水素に含まれている一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物のうちから選ばれる少なくとも1つの化合物は事前に分離する必要がある。また、一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物のうちから選ばれる少なくとも1つの化合物および塩化水素を含む混合ガス中の塩化水素は、塩素に酸化して利用することができるが、一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物のうちから選ばれる少なくとも1つの化合物が多量に含まれていると塩化水素を酸化した後、分離しなければならず、工程が煩雑になる。
【0003】
工業的には触媒の活性が高いことと、触媒に含有される単位ルテニウム質量あたりの活性が高いことの両方が要求される。触媒に含有される単位ルテニウム質量あたりの活性が高いことによって、触媒に含有されるルテニウムの量を少なくできるのでコスト的には有利になる。活性の高い触媒を用い、より低温で反応を行うことは、触媒の安定性の面でもより好ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況において、本発明が解決しようとする課題は、一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物のうちから選ばれる少なくとも1つの化合物および塩化水素を含む混合ガス中の一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物のうちから選ばれる少なくとも1つの化合物を酸素を含むガスを用いて酸化分解する方法であって、触媒の活性が高い触媒を使用し、より少量の触媒でより低い反応温度で一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物のうちから選ばれる少なくとも1つの化合物を酸化することができ、よって触媒コストの観点から極めて有利な一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物のうちから選ばれる少なくとも1つの化合物の酸化方法を提供する点に存するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物のうちから選ばれる少なくとも1つの化合物および塩化水素を含む混合ガス中の一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物のうちから選ばれる少なくとも1つの化合物を酸素を含むガスを用いて酸化分解する方法であって、触媒として300℃から800℃の間で焼成した酸化ジルコニウムにルテニウム化合物を含浸した後、熱処理して得られる触媒を用いる一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物のうちから選ばれる少なくとも1つの化合物の酸化方法に係るものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物のうちから選ばれる少なくとも1つの化合物および塩化水素を含むガスとしては、塩素化合物の熱分解反応や燃焼反応、有機化合物のホスゲン化反応、脱塩化水素反応または塩素化反応、焼却炉の燃焼において発生した一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物のうちから選ばれる少なくとも1つの化合物および塩化水素を含むいかなるものも使用することができる。
【0007】
一酸化炭素を含むガスとしては、通常、該ガス中の一酸化炭素の濃度は通常0.05体積%以上20体積%以下、好ましくは0.1体積%以上10体積%以下が挙げられる。
【0008】
また、ホスゲンを含むガスとしては、通常、該ガス中のホスゲンの濃度は通常0.01体積%以上10体積%以下、好ましくは0.02体積%以上5体積%以下が挙げられる。
【0009】
有機化合物としては、ハロゲン化炭化水素、炭化水素、アルコール類、エーテル類、アルデヒド類、ケトン類、カルボン酸類、エステル類、フェノール類などが挙げられる。またこれらの化合物が塩化水素と混合されたとき、元の有機化合物から誘導される誘導体も含まれる。
【0010】
ハロゲン化炭化水素としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素において塩素置換された有機塩素化化合物を示すが、例えば、脂肪族塩素化物としては、塩化メチル、塩化エチル、塩化ビニル、1,2−ジクロロエタンなどのジクロロエタン、トリクロロエタン類、テトラクロロエタン類、ペンタクロロエタン類、ヘキサクロロエタンなどが挙げられ、また、芳香族塩素化物としては、モノクロロベンゼン、オルトジクロロベンゼンなどのジクロロベンゼン類、トリクロロベンゼン類、テトラクロロベンゼン類、ペンタクロロベンゼン類、ヘキサクロロベンゼンが挙げられる。本反応は塩化水素中に含まれるハロゲン化炭化水素を酸化できる特徴があるため、塩化ビニルモノマー製造プロセスから副生する不純物であるクロロエタン類、イソシアネート製造プロセスから混入するクロロベンゼン類の酸化反応が好適な例として挙げられるが、特に好適な例としては、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン類の酸化反応が挙げられる。
【0011】
ハロゲン化炭化水素および塩化水素を含むガスとしては、通常、該ガス中のハロゲン化炭化水素の濃度は通常1体積ppm以上1.0体積%以下、好ましくは10体積ppm以上0.1体積%以下が挙げられる。
【0012】
炭化水素としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素が挙げられるが、脂肪族炭化水素の中にも、飽和炭化水素、不飽和炭化水素がある。本反応は塩化水素中に含まれる炭化水素を酸化できる特徴があるため、塩化ビニルモノマー製造プロセスから副生する不純物であるエタン、エチレン、プロパン、プロピレン、アセチレンなど、イソシアネート製造プロセスから混入するベンゼン類の酸化反応が好適な例として挙げられるが、特に好適な例としては、エタン、エチレン、アセチレン、プロピレン、ベンゼン類の酸化反応が挙げられる。
【0013】
炭化水素および塩化水素を含むガスとしては、通常、該ガス中の炭化水素の濃度は通常0.01体積%以上1.0体積%以下が挙げられ、好ましくは0.05体積%以上0.5体積%以下が挙げられる。
【0014】
アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどの脂肪族アルコールが挙げられる。またこれらの化合物が塩化水素と混合されたとき、元の有機化合物から誘導される誘導体も含まれる。
【0015】
エーテル類としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテルなどの脂肪族エーテル、芳香族エーテルが挙げられる。またこれらの化合物が塩化水素と混合されたとき、元の有機化合物から誘導される誘導体も含まれる。
【0016】
アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒドなど脂肪族アルデヒド、芳香族アルデヒドが挙げられる。またこれらの化合物が塩化水素と混合されたとき、元の有機化合物から誘導される誘導体も含まれる。
【0017】
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノンなどの脂肪族ケトン、芳香族ケトンが挙げられる。またこれらの化合物が塩化水素と混合されたとき、元の有機化合物から誘導される誘導体も含まれる。
【0018】
カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸などの脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸が挙げられる。またこれらの化合物が塩化水素と混合されたとき、元の有機化合物から誘導される誘導体も含まれる。
エステル類としては、酢酸エチル、安息香酸エチルなどの脂肪族エステル、芳香族エステルが挙げられる。またこれらの化合物が塩化水素と混合されたとき、元の有機化合物から誘導される誘導体も含まれる。
【0019】
フェノール類としては、フェノール、クレゾールなどの単環式、または多環式フェノールが挙げられる。またこれらの化合物が塩化水素と混合されたとき、元の有機化合物から誘導される誘導体も含まれる。
【0020】
アルコール類、エーテル類、アルデヒド類、ケトン類、カルボン酸類、エステル類、フェノール類などの有機化合物およびまたこれらの化合物が塩化水素と混合されたとき、元の有機化合物から誘導される誘導体と塩化水素を含むガスとしては、通常、該ガス中の有機化合物の濃度は通常50体積ppm以上10体積%以下が挙げられ、好ましくは100体積ppm以上5体積%以下が挙げられる。
【0021】
塩化水素の濃度が増加すると一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物の酸化は起こりにくくなるが、塩化水素の濃度は通常1体積%以上において酸化反応をおこなうことができる。本触媒は塩化水素中での酸化活性が高いので、さらに厳しい条件である10体積%以上においても、より厳しい条件である30体積%以上においても、より更に厳しい条件である50体積%以上においても酸化反応をおこなうことができる。
【0022】
本発明において用いられる酸素を含むガスとしては、酸素または空気が使用される。酸素は、空気の圧力スイング法や深冷分離などの通常の工業的な方法によって得ることができる。
【0023】
本発明においては、一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物および塩化水素の合計量に対する酸素のモル比を0.1以上とすることが好ましく、0.2以上が更に好ましい。より好ましくは0.5以上が挙げられる。酸素の量が過少であると、触媒の安定した活性を維持できないことがある。
【0024】
本発明において使用される300℃から800℃の間で焼成した酸化ジルコニウムにルテニウム化合物を含浸した後、熱処理して得られる触媒とは、以下に例示される酸化ジルコニウムにルテニウム化合物を含浸した後、熱処理した触媒である。
【0025】
すなわち、本発明で使用される酸化ジルコニウムとしては300℃から800℃の間で焼成した酸化ジルコニウムであるが、公知の方法で製造された酸化ジルコニウムが挙げられる。例えば、水酸化ジルコニル、硝酸ジルコニルなどのジルコニウム化合物を300℃ないし800℃の間で焼成して得られる二酸化ジルコニウムが挙げられる。焼成温度としては、さらに好ましくは400℃ないし600℃が挙げられる。焼成温度が高過ぎると酸化ジルコニウムの表面積が減少し、低過ぎるとすべてが二酸化ジルコニウムとならず焼成前の化合物が残存する。
【0026】
酸化ジルコニウムはその表面にOH基を有しており、その含有量は、例えば、焼成温度の上昇とともに減少するので、所望のOH基量とする方法として、適切な焼成温度を選択する方法がある。本発明において使用される酸化ジルコニウムは、OH基を含有するものが好ましいが、その含量を測定する方法については後で詳しく示す。好ましい表面OH基含量としては、0.2×10-3〜2.0×10-3(mol/g)が挙げられ、さらに好ましくは、0.4×10-3〜1.8×10-3(mol/g)が挙げられる。表面OH基含量が過剰であると、含浸したルテニウム化合物と結合を形成する反応が起こる場合があり、ルテニウム化合物が不活性化する場合がある。また少な過ぎると担持したルテニウム化合物が酸化ジルコニウムと相互作用を持ちにくくなり、シンタリングが起こりやすくなる。
【0027】
本発明の特徴は、酸化ジルコニウムにルテニウム化合物を含浸した後、熱処理して得られた触媒を用いるところにあるが、適切な表面OH基含量を有する酸化ジルコニウムにルテニウム化合物を含浸し、熱処理することによって、酸化ジルコニウム表面の酸化ルテニウムは担体と強い相互作用を示す。本触媒が、公知の担持酸化ルテニウム触媒と異なる点は、表面の酸化ルテニウムが担体と強い相互作用を示すため、ルテニウムが例えば水素によって還元されにくい難還元性のルテニウムとなっている点である。よって、通常、担持酸化ルテニウム触媒は、水素還元によって、金属ルテニウムの微粒子を担体表面に形成するが、本発明の触媒は水素還元によって、金属ルテニウムの微粒子を酸化ジルコニウム表面に形成することがない。好ましくは、350℃、8時間の水素還元によっても金属ルテニウム粒子を形成することがない難還元性のルテニウムを80%以上含有する触媒が挙げられる。ここで言う金属ルテニウム粒子とは150万倍の透過電子顕微鏡写真で識別できる1nm以上の金属ルテニウム粒子を意味し、視野内に観測される酸化ジルコニウム結晶粒子と金属ルテニウム粒子のそれぞれの粒子数と大きさから、酸化ジルコニウム結晶粒子と金属ルテニウム粒子のそれぞれ全体の体積を算出し、真密度を使用して、酸化ジルコニウムの質量と金属ルテニウム粒子の質量の比率が計算される。これより、還元された金属ルテニウム粒子の全ルテニウムに対する質量比が計算され、その値が20%以下のものが本願の触媒として挙げられる。これよりもさらに難還元性のルテニウムを含有した触媒も本反応には好ましく使用される。すなわち、350℃、8時間の水素還元によってもルテニウムのうち85%以上は金属ルテニウム粒子を形成することがない触媒が挙げられる。また、よりさらに、350℃、8時間の水素還元によってもルテニウムのうち90%以上は金属ルテニウム粒子を形成することがない触媒が挙げられる。
【0028】
酸化ジルコニウムの表面OH基含量を決定する方法は、種々あげられる。たとえば、熱重量法(TG)を用いる方法があげられる。熱重量法を用いる場合、温度を一定に保ち、試料中の余剰水分を除去した後、昇温し、重量減少からOH基含量を測定する。この方法では、試料量が少なく、精度の良い測定が難しい。また、担体中に熱分解性の不純物が存在する場合、実際のOH基含量が正確に求められないという欠点がある。また、同様に試料の重量減少からOH基含量を測定する灼熱減量測定(Igloss)を用いる場合は、試料量を多くすれば精度の高い測定が可能であるが、熱重量法の場合と同様、熱分解性不純物の影響を受ける。更に、熱重量法や灼熱減量測定などから得られる重量減少量は、触媒調製時に有効でないバルクのOH基含量まで含まれてしまうという欠点がある。
【0029】
また、ナトリウムナフタレンを用いる方法があげられる。この方法では、試料中のOH基と試薬のナトリウムナフタレンを反応させ、ナトリウムナフタレンの適定量からOH基含量を測定する。この場合は、適定する試薬の濃度変化や微量の水分が結果に大きく影響するため、試薬の保存状態によって測定結果が影響を受けるので、精度のある値を出すことが非常に難しい。
【0030】
また、アルキルアルカリ金属による適定法があげられる。アルキルアルカリ金属による適定法としては、脱水された溶媒中に酸化ジルコニウムや酸化ジルコニウム粉を懸濁させておき、窒素雰囲気中でアルキルアルカリ金属を滴下し、発生した炭化水素量から、酸化ジルコニウムに含有されるOH基量を求める方法が好ましい方法としてあげられる。その際に脱水された溶媒中に含有される水とアルキルアルカリ金属が反応し、炭化水素が発生するので、その量を測定値から差し引いて酸化ジルコニウム中のOH基含量を求めなければならない。
【0031】
最も好ましい方法としては、脱水トルエン中に酸化ジルコニウムや酸化ジルコニウム粉を懸濁させておき、窒素雰囲気でメチルリチウムを滴下し、発生したメタンの量から酸化ジルコニウムに含有されているOH基含量を求める方法があげられ、本願発明の請求項で規定している酸化ジルコニウム中のOH基含量はこの方法で求めた値である。
【0032】
測定手順としてはたとえば次のような方法があげられる。まず、試料をあらかじめ空気中150℃で、2時間乾燥した後、デシケーター内で冷却する。その後、窒素置換されたフラスコ内に試料を所定量移し、脱水されたトルエンなどの有機溶媒に懸濁させる。発熱を抑えるためフラスコを氷冷し、滴下漏斗からメチルリチウムを滴下し、発生したガスを捕集し、測定した温度での体積を測定する。また、酸化ジルコニウムの結晶形としては、準安定正方晶、単斜晶、さらに高温における結晶形が挙げられる。非結晶のもの、準安定正方晶、単斜晶のものいずれも使用できる。結晶中の準安定正方晶の含有率の測定方法は後で詳しく述べる。酸化ジルコニウムの結晶形は、例えば、酸化ジルコニウムの焼成温度の上昇と共に変化し、準安定正方晶から単斜晶に変化する。
【0033】
結晶形の含有率の測定方法としては、X線回折測定法が使用される。X線源としては、Cu−Kα線など種々のX線が使用されるが、Cu−Kα線を使用した場合の測定方法は次の通りである。すなわち、ZrO2の準安定正方晶のX線回折のピークパターンのうち2θ=30.17°のピークを代表ピークとし、単斜晶のX線回折のピークパターンのうち2θ=28.17°のピークを代表ピークとした場合、準安定正方晶と単斜晶が混合している時、2θ=30.17°のピーク強度と2θ=28.17°のピーク強度の和に対する2θ=30.17°のピーク強度の比率が準安定正方晶の含有率とされる。
【0034】
酸化ジルコニウムにルテニウム化合物を含浸した後、熱処理した触媒としては、300℃から800℃の間で焼成した酸化ジルコニウムにルテニウム化合を含浸した後、熱処理したものなどが挙げられる。触媒調製において、熱処理する場合、酸化ジルコニウムにルテニウム化合物を含浸した後、酸素、空気など種々の酸化剤存在下に処理する方法が挙げられるが、好ましくは、空気雰囲気下に焼成する方法が挙げられる。触媒調製例を挙げれば、ルテニウム化合物を酸化ジルコニウムに含浸した後、200℃ないし700℃の範囲で空気雰囲気下に焼成する方法が挙げられる。好ましくは、300℃ないし700℃の間の温度で焼成したものが挙げられ、より好ましくは400℃ないし600℃の間の温度で焼成したものが挙げられる。
【0035】
触媒中に含まれるルテニウムの含量は、通常0.1質量%〜20質量%が挙げられ、好ましくは、0.2質量%〜15質量%が挙げられる。
【0036】
ここで説明した酸化ジルコニウムにルテニウム化合物を含浸した後、熱処理した触媒におけるルテニウムの形態としては、二酸化ルテニウム、三酸化ルテニウム、四酸化ルテニウムなどの酸化ルテニウムの形態に加えて、塩化酸化ルテニウムなど様々のハロゲン化酸化ルテニウムの形態が含まれる。すなわち、例として、二塩化酸化ルテニウム、三塩化酸化ルテニウムなどの塩化酸化ルテニウムの形態が含まれる。しかし、これらのルテニウムの形態は例えば、水素還元によって容易には金属ルテニウム粒子に還元されることはなく、難還元性の性質を示す。
【0037】
酸化ジルコニウムにルテニウム化合物を含浸した後、熱処理する触媒の調製に使用するルテニウム化合物の例としては次の化合物が挙げられる。すなわち、RuCl3、RuCl3水和物などのルテニウム塩化物、K3RuCl6、〔RuCl63-、K2RuCl6などのクロロルテニウム酸塩、〔RuCl5(H2O)42-、〔RuCl2(H2O)4+ などのクロロルテニウム酸塩水和物、K2RuO4などのルテニウム酸の塩、Ru2OCl4、Ru2OCl5、Ru2OCl6などのルテニウムオキシ塩化物、K2Ru2OCl10、Cs2Ru2OCl4などのルテニウムオキシ塩化物の塩、〔Ru(NH362+、〔Ru(NH363+、〔Ru(NH352O〕2+などのルテニウムアンミン錯体、〔Ru(NH35Cl〕2+、〔Ru(NH36〕Cl2、〔Ru(NH36〕Cl3、〔Ru(NH36〕Br3などのルテニウムアンミン錯体の塩化物、臭化物、RuBr3、RuBr3水和物などのルテニウム臭化物、その他のルテニウム有機アミン錯体、ルテニウムアセチルアセトナート錯体、Ru(CO)5、Ru3(CO)12などのルテニウムカルボニル錯体、[Ru3O(OCOCH36(H2O)3] OCOCH3水和物、Ru2(RCOO)4Cl(R=炭素数1−3のアルキル基)などのルテニウム有機酸塩、K2〔RuCl5NO〕〕、〔Ru(NH35(NO)〕Cl3、〔Ru(OH)(NH34(NO)〕(NO32、 Ru(NO)(NO33などのルテニウムニトロシル錯体、ルテニウムホスフィン錯体などの化合物などがあげられる。好ましいルテニウム化合物としては、 RuCl3、RuCl3水和物などのルテニウム塩化物、 RuBr3、RuBr3水和物などのルテニウム臭化物などハロゲン化ルテニウム化合物があげられる。更に好ましくは、塩化ルテニウム水和物があげられる。
【0038】
以上の調製例で調製された触媒は、本反応において、著しく高い活性を示す。
【0039】
触媒の使用量は標準状態における一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物および塩化水素の供給速度の比(GHSV)で表すと、通常10〜50000h-1である。
【0040】
触媒の形状は、球形粒状、円柱形ペレット状、押し出し形状、リング状、ハニカム状あるいは、成型後に粉砕分級した適度の大きさの顆粒状、微粒子等で用いられる。この際、触媒直径としては、10mm以下が好ましい。
【0041】
触媒は、不活性物質で希釈して用いることができる。
【0042】
反応方式としては、固定床気相流通反応方式または流動層気相流通反応方式が上げられる。
【0043】
反応温度は通常100〜500℃であるが、200〜500℃とすることが好ましく、300〜400℃が更に好ましい。反応温度が低すぎる場合は、触媒の安定した活性を維持できないことがあり、一方、反応温度が高すぎる場合は、触媒の成分が揮散することがある。
【0044】
空塔基準のガス線速度は、通常0.1〜20m/sである。なお、本発明の空塔基準のガス線速度とは、反応器に供給される全てのガスの標準状態における供給速度の合計量と反応器の断面積の比を意味する。反応圧力は通常0.1〜5MPaである。
【0045】
本発明で得られた酸化反応後のガスは、そのまま、あるいは、塩化水素以外の成分を分離した後、塩化水素を酸化して、塩素を得るための原料として用いることができる。
【0046】
本発明においては、一酸化炭素、ホスゲンおよび有機化合物を酸化分解すると同時に、塩化水素の一部または全量を塩素に酸化することができる。
【0047】
【実施例】
以下に実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例より限定されるものではない。
【0048】
実施例1
次の方法により触媒を調製した。すなわち、市販の水酸化ジルコニル粉末(米山薬品、ZrO(OH)2・xH2O)を空気中400℃で3時間焼成した。この焼成後の酸化ジルコニウムについて、酸化ジルコニウム上の表面OH基の量を下記の方法で測定したところ、下記のOH基含量が測定された。この酸化ジルコニウム粉末8.01gに市販の塩化ルテニウム水和物(Ru含量40.7wt%含有)0.325gと水3.1gと濃塩酸0.025gからなる水溶液を滴下して加え、塩化ルテニウムを含浸担持した。担持したものを室温で一晩放置して乾燥した。次いで、空気中60℃で2時間乾燥し、酸化ジルコニウム担持塩化ルテニウム8.0gを得た。得られた酸化ジルコニウム担持塩化ルテニウムをマッフル炉を用いて空気中400℃まで6℃/minで昇温し、同温度で3時間焼成した。この様にして灰色の触媒7.9gを得た。触媒は、打錠成型した後、破砕して1〜2mmにそろえた。
【0049】
なお、酸化ジルコニウム上の表面OH基の量を下記の方法で測定した。すなわち、試料をあらかじめ空気中150℃で、2時間乾燥した後、デシケーター内で冷却した。その後、窒素置換されたフラスコ内に試料1.0gを入れ、脱水されたトルエン溶媒40mlに懸濁させた。発熱を抑えるためフラスコを氷冷し、滴下漏斗からメチルリチウム5mlを滴下したところ、メタンガスが発生した。また、試料を入れずにトルエンを40mlとし、同様の操作をしたところ、メタンガスが発生した。この時の温度は24℃であった。下記式(1)を用いてOH基含量Q(mol/g−担体)を計算したところ、
Q=(V−V0)/(22400×(273+T)/273)/W (1)
V:発生ガス量(ml) 測定中に発生したメタンガスの温度Tでの容積
0:ブランク発生ガス量(ml) 測定試料を入れずに測定したときの測定系内の残存水分から発生する温度Tでのメタンガス量
T:測定温度(℃)
W:試料量(g)
上記の測定の結果から酸化ジルコニウムのOH基含量は1.16×10-4(mol/g−担体)であった。
【0050】
上記の触媒の水素による還元を検討した。触媒1.0gを窒素気流中にて窒素置換した後、水素を20ml/minで流通させ、350℃で8時間還元した。還元後の触媒を下記の条件で電子顕微鏡測定したが、5視野の写真総てにおいてRu粒子は全く観察されず、酸化ルテニウムは還元されることはなかった。代表的な電子顕微鏡写真を図1に示した。
装置:HITACHI HF−2000
加速電圧:200kV
倍率:150万倍
なお、酸化ルテニウム含量の計算値は、
RuO2/(RuO2+ZrO2)×100=2.1重量%であった。
ルテニウム含量の計算値は、
Ru/(RuO2+ZrO2)×100=1.6重量%であった。
【0051】
まず最初に一酸化炭素の酸化反応を行なった。このようにして得られた触媒0.5ml(0.64g)を2mm球の市販のα−アルミナ担体(ニッカトー(株)製、SSA995)16.3gとよく混合することにより触媒を希釈して石英製反応管(内径12mm)に充填し、塩化水素ガスを300ml/min、酸素ガスを150ml/min、一酸化炭素ガスを9ml/min(いずれも0℃、1気圧換算)常圧下に供給した。石英反応管を電気炉で加熱し、内温(ホットスポット)を351℃とした。反応開始3.0時間後の時点で、反応管出口のガスを30重量%ヨウ化カリウム水溶液に流通させることによりサンプリングを行い、ヨウ素滴定法及び中和滴定法及びガスクロマトグラフィーによりそれぞれ塩素の生成量及び未反応塩化水素量、生成二酸化炭素量、未反応一酸化炭素量を測定した。
【0052】
生成二酸化炭素量、未反応一酸化炭素量は、ヨウ化カリウム水溶液を流通させた後、出口ガスをサンプリングし、TCD検出器を使用して、ガスクロマトグラフィーにより分析した。測定条件は以下の通りである。
カラム温度 100℃
カラムは次の充填剤と長さのものを使用し、COとCO2を分析した。
使用カラム充填剤(内径3mmのステンレスパイプに充填)
シリカゲル(1m)
モルキュラーシーブ13X(2m)
モルキュラーシーブ5A(3m)
DMS(3m)
ポラパックQ(0.5m)
カラムはシリカゲル1m、モレキュラーシーブ13X2m、モレキュラーシーブ5A3mの順に直列に繋いだものと、DMS3m、ポラパックQ0.5mの順に直列に繋いだものの2本を並列に繋いで使用した。
キャリアガスはヘリウムガスを使用し、シリカゲル1m、モレキュラーシーブ13X2m、モレキュラーシーブ5A3mを充填したカラムには51cm3/min、DMS3m、ポラパックQ0.5mを充填したカラムには20cm3/minのヘリウムガスを流通させた。
下式により求めた単位触媒重量当りの塩素の生成活性は2.66×10-4mol/min・g−触媒であった。
単位触媒重量当りの塩素生成活性(mol/min・g−触媒)=単位時間当りの出口塩素生成量(mol/min)/触媒重量(g)
下式により求めた単位触媒重量当りの二酸化炭素の生成活性は4.51×10-4mol/min・g−触媒であった。この時の一酸化炭素の転化率は71.9%であった。
【0053】
単位触媒重量当りの二酸化炭素生成活性(mol/min・g−触媒)=単位時間当りの出口二酸化炭素生成量(mol/min)/触媒重量(g)
ただし、一酸化炭素転化率=100×出口二酸化炭素生成量(mol/min)/((出口二酸化炭素生成量(mol/min)+出口一酸化炭素量(mol/min))である。
また、下式(1)を仮定して得られたk'より下式(2)を仮定して320℃での二酸化炭素の生成活性kを算出した。
下式(2)により求めた単位触媒重量当りの二酸化炭素の生成活性kは5.8であった。
k'=−ln((1−Xco/100)/(Vcat/FHCl/60)) (1)
k=k' /d×exp(−Ea/E×(1/593−1/T)) (2)
CO:CO転化率(生成CO2量/(未反応CO量+生成CO2量))/%
cat:触媒容積/ml
HCl:HCl流量/Nml/min
Ea:活性化エネルギー 62783J/mol
R:気体定数8.314J/mol・K
T:触媒層平均温度/K
d:触媒かさ比重
【0054】
次いで、ハロゲン化炭化水素の酸化反応を行なった。得られた触媒1.4ml(1.79g)を2mm球の市販のα−アルミナ担体(ニッカトー(株)製、SSA995)13.4gとよく混合することにより触媒を希釈して石英製反応管(内径12mm)に充填し、塩化水素ガスを80ml/min、酸素ガスを40ml/min、窒素ガスを41ml/min、オルトジクロロベンゼン(以下ODBと略称する)を0.052ml/min(いずれも0℃、1気圧換算)常圧下に供給した。石英反応管を電気炉で加熱し、内温(ホットスポット)を340℃とした。反応開始2.0時間後の時点で、反応管出口のガスを30重量%ヨウ化カリウム水溶液に流通させることによりサンプリングを行い、ヨウ素滴定法及び中和滴定法及びガスクロマトグラフィーによりそれぞれ塩素の生成量及び未反応塩化水素量、生成二酸化炭素量を測定した。
下式により求めた単位触媒重量当りの塩素の生成活性は1.36×10-4mol/min・g−触媒であった。
単位触媒重量当りの塩素生成活性(mol/min・g−触媒)=単位時間当りの出口塩素生成量(mol/min)/触媒重量(g)
下式により求めた単位触媒重量当りの二酸化炭素の生成活性は5.64×10-6mol/min・g−触媒であった。この時の二酸化炭素の収率は72%であった。
単位触媒重量当りの二酸化炭素生成活性(mol/min・g−触媒)=単位時間当りの出口二酸化炭素生成量(mol/min)/触媒重量(g)
ただし、二酸化炭素の収率=100×出口二酸化炭素生成量(mol/min)/(供給ODB(mol/min)×6)である。
【0055】
また、下式(3)を仮定して得られたk2'より下式(4)を仮定し340℃での二酸化炭素の生成活性k2を算出した。
下式(4)により求めた単位触媒重量当りの二酸化炭素の生成活性k2は10.1であった。
2'=−((1−Yco/100)0.13−1)×FODB/(Vcat×C0 0.87×0.13) (3)
2=k2' /d×exp(−Ea/E×(1/613−1/T)) (4)
CO:CO2生成量/yield%
cat:触媒容積/ml
ODB:オルトジクロロベンゼン供給量/2.3×10-6(mol/min)
ODB:オルトジクロロベンゼン初期濃度/1.5×10-8(mol/ml)
Ea:活性化エネルギー 67387J/mol
R:気体定数8.314J/mol・K
T:触媒層平均温度/K
d:触媒かさ比重
【0056】
実施例2
次の方法により触媒を調製した。すなわち、市販の水酸化ジルコニル粉末(米山薬品、ZrO(OH)2・xH2O)を空気中300℃で3時間焼成した。この焼成後の酸化ジルコニウム上の表面OH基の量を実施例1と同様の方法で測定し、実施例1に準拠してOH基含量を求めた。酸化ジルコニウムのOH基含量は1.44×10-4(mol/g−担体)であった。
【0057】
この酸化ジルコニウム粉末8.02gに市販の塩化ルテニウム水和物(Ru含量40.7wt%含有)0.319gと水3.4gと濃塩酸0.024gからなる水溶液を滴下して加え、塩化ルテニウムを含浸担持した。担持したものを室温で一晩放置して乾燥した。次いで、空気中60℃で2時間乾燥し、酸化ジルコニウム担持塩化ルテニウム8.2gを得た。得られた酸化ジルコニウム担持塩化ルテニウムをマッフル炉を用いて空気中400℃まで6℃/minで昇温し、同温度で3時間焼成した。この様にして灰色の触媒7.96gを得た。触媒は、打錠成型した後、破砕して1〜2mmにそろえた。
【0058】
なお、酸化ルテニウム含量の計算値は、
RuO2/(RuO2+ZrO2)×100=2.1重量%であった。
ルテニウム含量の計算値は、
Ru/(RuO2+ZrO2)×100=1.6重量%であった。
【0059】
この触媒を用いて一酸化炭素の酸化反応を行なった。このようにして得られた触媒0.5ml(0.53g)を2mm球の市販のα−アルミナ担体(ニッカトー(株)製、SSA995)16.3gとよく混合することにより触媒を希釈して石英製反応管(内径12mm)に充填し、内温(ホットスポット)を350℃とした以外は実施例1に準拠して反応を行った。反応開始2.0時間後の時点で、単位触媒重量当りの塩素の生成活性は6.4×10-4mol/min・g−触媒であった。
単位触媒重量当りの二酸化炭素の生成活性は3.5×10-4mol/min・g−触媒であった。この時の一酸化炭素の転化率は46.0%であった。
また、実施例1に準拠して式(2)により求めた320℃での単位触媒重量当りの二酸化炭素の生成活性kは3.3であった。
【0060】
実施例3
次の方法により触媒を調製した。すなわち、市販の水酸化ジルコニル粉末(米山薬品、ZrO(OH)2・xH2O)を空気中500℃で3時間焼成した。この焼成後の酸化ジルコニウム上の表面OH基の量を実施例1と同様の方法で測定し、実施例1に準拠してOH基含量を求めた。酸化ジルコニウムのOH基含量は0.73×10-4(mol/g−担体)であった。
【0061】
この酸化ジルコニウム粉末8.05gに市販の塩化ルテニウム水和物(Ru含量40.7wt%含有)0.32gと水3.33gと濃塩酸0.028gからなる水溶液を滴下して加え、塩化ルテニウムを含浸担持した。担持したものを室温で一晩放置して乾燥した。次いで、空気中60℃で2時間乾燥し、酸化ジルコニウム担持塩化ルテニウム8.0gを得た。得られた酸化ジルコニウム担持塩化ルテニウムをマッフル炉を用いて空気中400℃まで6℃/minで昇温し、同温度で3時間焼成した。この様にして灰色の触媒7.92gを得た。触媒は、打錠成型した後、破砕して1〜2mmにそろえた。
【0062】
なお、酸化ルテニウム含量の計算値は、
RuO2/(RuO2+ZrO2)×100=2.1重量%であった。
ルテニウム含量の計算値は、
Ru/(RuO2+ZrO2)×100=1.6重量%であった。
この触媒を用いて一酸化炭素の酸化反応を行なった。このようにして得られた触媒0.5ml(0.67g)を2mm球の市販のα−アルミナ担体(ニッカトー(株)製、SSA995)16.3gとよく混合することにより触媒を希釈して石英製反応管(内径12mm)に充填し、内温(ホットスポット)を350℃とした以外は実施例1に準拠して反応を行った。反応開始2.5時間後の時点で、単位触媒重量当りの塩素の生成活性は7.3×10-4mol/min・g−触媒であった。
単位触媒重量当りの二酸化炭素の生成活性は3.5×10-4mol/min・g−触媒であった。この時の一酸化炭素の転化率は58.3%であった。
また、実施例1に準拠して式(2)により求めた320℃での単位触媒重量当りの二酸化炭素の生成活性kは3.8であった。
【0063】
実施例4
次の方法により触媒を調製した。すなわち、市販の酸化ジルコニウム粉末(日本電工株式会社、PCS)を空気中400℃で3時間焼成した。この焼成後の酸化ジルコニウム上の表面OH基の量を実施例1と同様の方法で測定し、実施例1に準拠してOH基含量を求めた。酸化ジルコニウムのOH基含量は1.37×10-4(mol/g−担体)であった。
【0064】
この酸化ジルコニウム粉末60.0gに市販の塩化ルテニウム水和物(Ru含量40.7wt%含有)2.25gと水45.7gからなる水溶液を滴下して加え、塩化ルテニウムを含浸担持した。担持したものを室温で一晩放置して乾燥した。次いで、空気中60℃で2時間乾燥し、酸化ジルコニウム担持塩化ルテニウム63.2gを得た。得られた酸化ジルコニウム担持塩化ルテニウムのうち20.0gを分取してマッフル炉を用いて空気中400℃まで6℃/minで昇温し、同温度で3時間焼成した。この様にして灰色の触媒を得た。触媒は、打錠成型した後、破砕して1〜2mmにそろえた。
なお、酸化ルテニウム含量の計算値は、
RuO2/(RuO2+ZrO2)×100=2.0重量%であった。
ルテニウム含量の計算値は、
Ru/(RuO2+ZrO2)×100=1.5重量%であった。
【0065】
この触媒を用いて一酸化炭素の酸化反応を行なった。このようにして得られた触媒1.5gを2mm球の市販のα−アルミナ担体(ニッカトー(株)製、SSA995)15gとよく混合することにより触媒を希釈して石英製反応管(内径12mm)に充填し、内温(ホットスポット)を354℃とした以外は実施例1に準拠して反応を行った。反応開始2.0時間後の時点で、単位触媒重量当りの塩素の生成活性は4.7×10-4mol/min・g−触媒であった。
この時の一酸化炭素の転化率は94.2%であった。
また、実施例1に準拠して式(2)により求めた320℃での単位触媒重量当りの二酸化炭素の生成活性kは5.9であった。
【0066】
実施例5
次の方法により触媒を調製した。すなわち、市販の酸化ジルコニウム粉末(日本電工株式会社、PCS)を空気中500℃で3時間焼成した。この焼成後の酸化ジルコニウム上の表面OH基の量を実施例1と同様の方法で測定し、実施例1に準拠してOH基含量を求めた。酸化ジルコニウムのOH基含量は1.01×10-4(mol/g−担体)であった。
【0067】
この酸化ジルコニウム粉末60.0gに市販の塩化ルテニウム水和物(Ru含量40.7wt%含有)2.25gと水44.2gからなる水溶液を滴下して加え、塩化ルテニウムを含浸担持した。担持したものを室温で一晩放置して乾燥した。次いで、空気中60℃で2時間乾燥し、酸化ジルコニウム担持塩化ルテニウム62.7gを得た。得られた酸化ジルコニウム担持塩化ルテニウムのうち20.0gを分取してマッフル炉を用いて空気中400℃まで6℃/minで昇温し、同温度で3時間焼成した。この様にして灰色の触媒を得た。触媒は、打錠成型した後、破砕して1〜2mmにそろえた。
なお、酸化ルテニウム含量の計算値は、
RuO2/(RuO2+ZrO2)×100=2.0重量%であった。
ルテニウム含量の計算値は、
Ru/(RuO2+ZrO2)×100=1.5重量%であった。
【0068】
この触媒を用いて一酸化炭素の酸化反応を行なった。このようにして得られた触媒1.5gを2mm球の市販のα−アルミナ担体(ニッカトー(株)製、SSA995)15gとよく混合することにより触媒を希釈して石英製反応管(内径12mm)に充填し、内温(ホットスポット)を356℃とした以外は実施例1に準拠して反応を行った。反応開始2.0時間後の時点で、単位触媒重量当りの塩素の生成活性は5.6×10-4mol/min・g−触媒であった。
この時の一酸化炭素の転化率は91.6%であった。
また、実施例1に準拠して式(2)により求めた320℃での単位触媒重量当りの二酸化炭素の生成活性kは5.2であった。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、一酸化炭素および塩化水素を含むガス中の一酸化炭素を酸素を含むガスを用いて二酸化炭素に酸化する方法であって、触媒の活性が高い触媒を使用し、より少量の触媒でより低い反応温度で一酸化炭素を酸化することができ、よって触媒コストの観点から極めて有利な一酸化炭素の酸化方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いた触媒の代表的な電子顕微鏡写真である。

Claims (6)

  1. 一酸化炭素および塩化水素を含む混合ガス中の一酸化炭素を酸素を含むガスを用いて酸化分解する方法であって、触媒として300℃から800℃の間で焼成した酸化ジルコニウムにルテニウム化合物を含浸した後、熱処理して得られる触媒を用いる一酸化炭素の酸化方法。
  2. 酸化ジルコニウムが単位重量当り、表面OH基量を0.2×10-3〜2.0×10-3(mol/g)含有する酸化ジルコニウムである請求項1記載の酸化方法。
  3. 触媒が、酸化ジルコニウムにルテニウム化合物を含浸した後、熱処理して得られる触媒であり、350℃、8時間の水素還元によっても、150万倍の透過電子顕微鏡写真で観察できる金属ルテニウム粒子を形成することのない難還元性のルテニウムを含有した触媒を用いる請求項1記載の酸化方法。
  4. 触媒として酸化ジルコニウムに含浸するルテニウム化合物が塩化ルテニウムである触媒を用いる請求項1記載の酸化方法。
  5. 塩化水素の含量が30体積%以上である請求項1記載の酸化方法。
  6. 塩化水素の含量が50体積%以上である請求項1記載の酸化方法。
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