JP4078679B2 - インクジェット記録用水性インク組成物の製造方法 - Google Patents

インクジェット記録用水性インク組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、インクジェット記録用水性インク組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在知られている各種記録方法の中で、騒音が小さく、高速記録が可能であり、しかも普通紙に記録が行えるインクジェット記録方法は極めて有用な記録方法である。
【0003】
このインクジェット記録方法は、インクと言われる着色液体に熱を加えて気泡を発生させ、気泡が発生する時に生じる圧力でインクを直径30〜50ミクロンのノズルから小液滴の形で飛ばし、それを紙等の被記録部材に付着させて、記録を行う方式、及びインクに圧電素子により圧力を加え、インクの小液滴をノズルから飛ばす方法が主な記録方法である。
【0004】
この記録方法に用いるインクとして顔料分散型インクが考案されている。この顔料分散型インクを用いたインクジェット記録方法によるインク画像は耐光性に優れ、インク画像は滲まないが、顔料が凝集沈降し、ノズルに詰まると言う欠点がある。
【0005】
上記の欠点を解決するため、特開平1−170672号、特開平1−170673号、特開平5−25415号及び特開平5−39447号各公報に、マイクロカプセルを含むインクジェット記録方法に用いられるインク組成物が提案されている。つまり、顔料を合成樹脂の疎水性有機溶媒中で分散し、これに水を加え、顔料と合成樹脂を含む疎水性有機溶媒を主成分とする不連続相と、水を主成分とする連続相を形成し、更に疎水性有機溶媒を除去することにより、合成樹脂により被覆された顔料(マイクロカプセル化顔料)の分散組成物を作製方法が提案されている。
【0006】
しかし、いずれのマイクロカプセルもその大きさが数十から数ミクロンであり、それを含むインクを放置しておくと、マイクロカプセルが凝集沈降し、ノズルの目詰まりの原因となり、安定に記録することが不可能であると言う欠点がある

【0007】
さらに、特開昭63−232840号公報に、コア物質が分散又は溶解したポリマーの溶剤溶液を、ポリマーの非溶媒と界面活性剤の混合液体に添加して、微小カプセルのコロイド状懸濁液を製造する方法が提案されているが、ポリマーの非溶媒にコア物質が分散又は溶解したポリマーの溶剤溶液をそのまま添加すれば、コア物質が凝集沈降する。この凝集沈降を防ぐために、当該公報に記載されている通り、界面活性剤を必要とするが、この界面活性剤を入れることにより、インクジェット記録画像の耐水性が劣ると言う欠点が生じる。
【0008】
また特開平3−221137号公報には、界面活性剤を用いないで固体物質をマイクロカプセル化する方法として、顔料と自己水分散性樹脂を含む疎水性有機溶媒を主成分とする不連続相と、水を主成分とする連続相を形成をしてから疎水性有機溶媒を除去して、顔料を前記樹脂でマイクロカプセル化する方法が記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した界面活性剤を用いたマイクロカプセル化方法で得られるインクは、いずれも放置による凝集沈降やノズルの目詰まりこそ少ないが、得られたインク画像の耐水性が悪いという欠点がある。
【0010】
一方、界面活性剤を用いないマイクロカプセル化方法で得られるインクは、インク画像の耐水性こそ、それを用いて得た画像より優れるが、いずれのインクも放置しておくと、マイクロカプセルが凝集沈降し、そのまま用いたのでは、ノズルの目詰まりの原因となり、安定に記録することが不可能であると言う欠点がある。凝集沈降したマイクロカプセル塊を除去するには遠心分離等の特別な処理も必要であり、煩雑である。
【0011】
本発明は、従来のインクジェット記録方法に用いられている顔料分散型インクの分散安定性又は画像耐水性に劣ると言う欠点を解決するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記実状に鑑みて鋭意検討したところ、▲1▼顔料と自己水分散性の合成樹脂を含む疎水性有機溶媒を主成分とする不連続相と、水を主成分とする連続相を形成してから疎水性有機溶媒を除去するのではなく、また▲2▼顔料と合成樹脂を含む溶媒を主成分とする不連続相と、前記溶媒と任意に相溶しうる溶媒と界面活性剤とを主成分とする連続相を形成してから溶媒を除去するのでもなく、当該操作において、界面活性剤を用いず水溶性樹脂又は水分散性樹脂を用いた上で、有機溶剤相と水相とが連続相となる様に調整することにより、顔料粒子の良好な分散安定性と優れたインク画像の耐水性を兼備する、前記▲1▼及び▲2▼の欠点が解決されたインクが得られることを見い出して、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち本発明の極めて優れる分散安定性と優れた耐水性のインク画像を兼備する、顔料が分散した水性インク組成物の製造方法は、大別すると、以下の5種類である。
【0014】
1. 顔料(A)が分散した、水に分散又は溶解する樹脂(B)の親水性有機溶剤(C)溶液(I)と、水を主成分とする液体(II)とを混合してから、脱溶剤をすることを特徴とするインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法(以下、製造方法1という。)。
【0015】
2. 顔料(A)が分散した、中和により水に分散又は溶解する樹脂(D)の親水性有機溶剤(C)溶液(III)と、水(E)と中和剤(F)とを含有する混合液体(IV)とを混合してから、脱溶剤することを特徴とするインクジェット記録用水性インクの製造方法(以下、製造方法2という。)。
【0016】
3. 顔料(A)が分散した、水に分散又は溶解する樹脂(B)の親水性有機溶剤(C)と疎水性有機溶剤(G)との混合溶剤(H)溶液(V)と、水(E)を主成分とする液体(II)とを混合してから、脱溶剤をするインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法であって、前記溶液(V)と液体(II)との混合工程において、混合物が水(E)と親水性有機溶剤(C)とを主成分とする相と疎水性有機溶剤(G)を主成分とする相に分離しない様に、親水性有機溶剤(C)及び/又は疎水性有機溶剤(G)の種類と使用量を調整した溶液(V)を用いることを特徴とするインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法(以下、製造方法3という。)。
【0017】
4. 顔料(A)が分散した、中和により水に分散又は溶解する樹脂(D)の親水性有機溶剤(C)と疎水性有機溶剤(G)との混合溶剤(H)溶液(VI)と、水(E)と中和剤(F)とを含有する混合液体(IV)とを混合してから、脱溶剤をするインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法であって、前記溶液(VI)と液体(IV)との混合工程において、混合物が水(E)と親水性有機溶剤(C)とを主成分とする相と疎水性有機溶剤(G)を主成分とする相に分離しない様に、親水性有機溶剤(C)及び/又は疎水性有機溶剤(G)の種類と使用量を調整した溶液(VI)を用いることを特徴とするインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法(以下、製造方法4という。)。
【0018】
5. 顔料(A)と、水に分散又は溶解する樹脂(B)の親水性有機溶剤(C)と水(E)とを主成分とする混合溶剤(J)溶液(VII)とを混合して、顔料(A)を溶液(VII)に分散させてから、脱溶剤することを特徴とするインクジェット記録用水性インクの製造方法(以下、製造方法5という。)。
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明に使用される顔料(A)は、特に限定されるものではなく、公知慣用の無機顔料、有機顔料がいずれも使用できる。又、必要に応じてそれらに体質顔料を併用することもできる。
【0021】
無機顔料としては、例えばカーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物及び金属塩化物が挙げられる。特に黒色水性インク組成物ではカーボンブラックが好ましく、カーボンブラックとして例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック及びチャンネルブラックが挙げられる。これらのカーボンブラックは1種類を使用しても良く、また複数のカーボンブラックを併用しても良い。
【0022】
有機顔料として、例えば溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、不溶性ジアゾ顔料、縮合アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料及びキノフタロン顔料が挙げられる。これらの有機顔料は1種類を使用しても良く、また複数の有機顔料を併用しても良い。また無機顔料も併せて使用することができる。また流動性改良のため、体質顔料等も併せて使用することもできる。
【0023】
体質顔料として、例えばシリカ、炭酸カルシウム、タルクが挙げられる。これらの体質顔料は単独で使用されることは希であり、通常、無機顔料又は有機顔料と併用して使用される。
【0024】
また黒色水性インク組成物の調色のため、無機顔料及び/又は有機顔料の2種以上を併せて使用することもできる。また流動性改良のため、体質顔料等も併せて使用することができる。
【0025】
これらの顔料(A)の添加量は、最終的に得る水性インク組成物の1〜30重量%相当量を用いることが好ましいが、なかでも1〜10重量%相当量がより好ましい。
【0026】
顔料分散型水性インク組成物は、一般に非イオン的方法又はイオン的方法のいずれかによって安定化できる。非イオン的方法を使用する時、樹脂は親水性部分と疎水性部分を有し、疎水性部分で顔料表面に吸着し、親水性部分でエントロピー的又は立体的に顔料を分散安定化する。
【0027】
この目的に有用な代表的な合成樹脂には、例えばポリビニルアルコール、セルロース系誘導体、ポリエチレンオキサイド及びポリプロピレンオキサイドが挙げられる。非イオン的方法はpH変化又はイオン性汚染に対して敏感ではないが、インク画像が耐水性に劣ると言う欠点がある。
【0028】
イオン的方法では、顔料粒子を、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸又はビニルスルホン酸等の、イオン性モノマーを必須成分として重合させて得た合成樹脂と、塩基との中和によって安定化できる。つまり、顔料粒子は中和された合成樹脂の解離によって形成される電気二重層を通して安定化されており、それによってイオンの反発力が顔料粒子の凝集を阻止している。
【0029】
中和するための成分が揮発性を有する場合には、インク画像形成後、それが蒸発する傾向にあるので、合成樹脂は水溶性が低下し、インク画像の耐水性は向上する。
【0030】
本発明の水に分散又は溶解する合成樹脂(B)としては、例えば上記の顔料表面に吸着し、エントロピー的に又は立体的に顔料を分散安定化する樹脂、及び中和した、イオン性モノマーを反応成分として得られた樹脂が挙げられる。分散の安定性及び耐水性に優れている点から、中和した、イオン性モノマーを反応性成分として含むモノマー成分を反応させて得られた樹脂が好ましい。合成樹脂(B)としては、水に分散する樹脂は、顔料表面への吸着性が高いため、分散顔料の機械的安定性が高くなることより、水に分散する樹脂のほうが、水に溶解する樹脂より好ましい。
【0031】
本発明の中和により水に分散又は溶解する樹脂(D)としては、分散の安定性及び耐水性に優れている点から、イオン性モノマーを反応性成分として含むモノマー成分を反応させて得られた樹脂が挙げられ、そのイオン性基を中和剤で中和しすることにより、中和した、イオン性モノマーを反応性成分として含むモノマー成分を反応させて得られた樹脂となるものが好ましい。合成樹脂(D)としては、中和したときに水に分散する樹脂のほうが、中和したときに水に溶解する樹脂より、分散顔料の機械的安定性が高くなるので、より好ましい。
【0032】
上記のイオン性モノマーを含む樹脂としては、主に付加重合性ビニル基を有するモノマーよりなる樹脂であり、例えばカルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基等のイオン性基が、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマール酸、フマール酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルメタクリレート及びスルホン化ビニルナフタレンのα,β−不飽和モノマー等のイオン性モノマーを用いて樹脂中に導入される。
【0033】
イオン性モノマーを含む樹脂に導入されるその他の付加重合性ビニル基を有する非イオン性モノマーとしては、例えばスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル、アクリルニトリル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート及びN−ブトキシメチルアクリルアミドが挙げられる。
【0034】
好ましくは、スチレン及び/又はスチレン誘導体とカルボン酸基を有するモノマーを必須モノマーとし、上記のその他のイオン性モノマー及び非イオン性モノマーよりなるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体が挙げられる。
【0035】
これらのスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体は1種類を使用しても良く、また複数組み合わせることも出来る。またスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を必須成分として、非イオンモノマーよりなる樹脂を1種類以上組み合わせることも出来る。
【0036】
樹脂の酸価は、50〜200mgKOH/gが好ましい。樹脂の使用量は、樹脂と顔料との重量比でを1:10から5:1が好ましいが、さらには1:5から3:1が好ましい。
【0037】
上記スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を水に分散又は溶解するためには、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を中和することが必要である。スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を中和する塩基からなる中和剤(F)としては、例えば脂肪族アミン化合物、アルコールアミン化合物、アルカリ金属の水酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化物が挙げられる。脂肪族アミン化合物としては、例えばアンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン及びトリメチルアミンが挙げられる。
【0038】
アルコールアミン化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン及びN−メチルジエタノールアミンが挙げられる。
【0039】
アルカリ土類金属の水酸化物としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。アルカリ土類金属の水酸化物として、例えば水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム及び水酸化ストロンチウムが挙げられる。
【0040】
これらの中和剤は1種類を使用しても良く、また複数組み合わせることも出来る。中和剤の添加量は、前記製造方法1、2、3及び4に記載した製造方法においては、使用した樹脂の酸価に対する中和率で、40%以上が好ましく、前記製造方法5に記載した製造方法においては、使用した樹脂の酸価に対する中和率で、80%以上が好ましい。但し、中和剤の使用した樹脂の酸価に対する中和率は式(1)で表される。
【0041】
中和率(%)=Wa×5.611×106/(A×Wp×M) 式(1)
A :樹脂の酸価(KOHmg/g)
Wp:使用した樹脂の重量(g)
M :中和剤の分子量
Wa:添加した中和剤の重量(g)
【0042】
本発明の疎水性有機溶剤(G)としては、水に対して難溶性の炭化水素系化合物であって、常温(25℃)において液体又は固体の化合物が使用できる。但し、常温で固体の化合物は、他の疎水性溶剤及び/又は親水性溶剤に溶解する化合物である。
【0043】
疎水性有機溶剤としては、例えば、シクロペンタン(蒸気圧が760mmHgになる温度49℃ )、ペンタン(36℃)、イソペンタン(28℃)、ネオペンタン(10℃)、メチルシクロペンタン(72℃)、シクロヘキサン(81℃)、n−ヘキサン(69℃)、2−メチルペンタン(60℃)、3−メチルペンタン(63℃)、2,2−ジメチルブタン(50℃)、2,3−ジメチルブタン(58℃)、メチルシクロヘキサン(101℃)、ヘプタン(98℃)、2−メチルヘキサン(90℃)、3−メチルヘキサン(92℃)、2,3−ジメチルペンタン(90℃)、2,4−ジメチルペンタン(81℃)、エチルシクロヘキサン(131℃)等の飽和脂肪族炭化水素化合物、ベンゼン(80℃)、トルエン(110℃)、o−キシレン(144℃)、m−キシレン(139℃)、p−キシレン(138℃)等の芳香族炭化水素化合物、1−ブタノール(118℃)、2−ブタノール(100℃)、2−メチル−1−プロパノール(108℃)、1−ペンタノール(138℃)等の水に難溶性のアルコール化合物、エチルエーテル(35℃)、プロピルエーテル(89℃)、イソプロピルエーテル(68℃)、ブチルエチルエーテル(92℃)、1,2エポキシブタン(63℃)、テトラヒドロピラン(88℃)等の水に難溶性のエーテル化合物、2−ブタノン(79℃)、3−ペンタノン(102℃)、4−メチル−2−ペンタノン(117℃)等の水に難溶性のケトン化合物、メチルアセテート(56℃)、エチルアセテート(77℃)、プロピルアセテート(102℃)、イソプロピルアセテート(88℃)等のエステル化合物及びクロロエタン(12℃)、1−クロロプロパン(47℃)、2−クロロプロパン(35℃)、1−クロロブタン(78℃)、2−クロロブタン(68℃)、ジクロロメタン(40℃)、クロロホルム(61℃)、四塩化炭素(77℃)、1,1−ジクロロエタン(57℃)、1,1,1−トリクロロエタン(74℃)等のハロゲン化合物が挙げられる。これらの疎水性有機溶剤は1種類を使用しても良く、また複数組み合わせることも出来る。
【0044】
本発明の親水性有機溶剤(C)としては、常温(25℃)において液体又は固体の炭化水素系化合物が使用できる。但し、常温で固体の化合物は、他の親水性有機溶剤及び/又は疎水性有機溶剤及び/又は水に溶解する化合物である。
【0045】
親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール(64℃)、エタノール(78℃)、1−プロパノール(97℃)、2−プロパノール(82℃)等の親水性アルコール化合物、1,2−メトキシエタン(93℃)、テトラヒドロフラン(66℃)、p−ジオキサン(101℃)等の親水性エーテル化合物、アセトン(56℃)及び酢酸(118℃)が挙げられる。これらの親水性有機溶剤は1種類を使用しても良く、また複数組み合わせることも出来る。
【0046】
本発明の製造方法1において、顔料(A)が分散した、水に分散又は溶解する樹脂(B)の親水性有機溶剤(C)溶液(I)中の親水性有機溶剤の量は、顔料(A)の重量と樹脂(B)の重量の和を1重量部としたとき、1〜30重量部が好ましいが、さらには2〜10重量部が好ましい。
【0047】
同様に本発明の製造方法2において、顔料(A)が分散した、中和により水に分散又は溶解する樹脂(D)の親水性有機溶剤(C)溶液(III)中の親水性有機溶剤の量は、顔料(A)の重量と樹脂(D)の重量の和を1重量部としたとき、1〜30重量部が好ましいが、さらには2〜10重量部が好ましい。
【0048】
同様にに本発明の製造方法3において、顔料(A)が分散した、水に分散又は溶解する樹脂(B)の親水性有機溶剤(C)と疎水性有機溶剤(F)との混合溶剤(H)溶液(V)中の混合溶剤(H)の量は、顔料(A)の重量と樹脂(B)の重量の和を1重量部としたとき、1〜30重量部が好ましいが、さらには2〜10重量部が好ましい。
【0049】
同様に本発明の製造方法4において、顔料(A)が分散した、中和による水に分散又は溶解する樹脂(D)の親水性有機溶剤(C)と疎水性有機溶剤(F)との混合溶剤(H)溶液(VI)中の混合溶剤(H)の量は、顔料(A)の重量と樹脂(D)の重量の和を1重量部としたとき、1〜30重量部が好ましいが、さらには2〜10重量部が好ましい。
【0050】
同様に本発明の製造方法5において、水に分散又は溶解する樹脂(B)の親水性有機溶剤(C)と水(E)とを主成分とする混合溶剤(J)溶液(VII)中の混合溶剤(J)の量は、顔料(A)の重量と樹脂(B)の重量の和を1重量部としたとき、1〜30重量部が好ましいが、さらには2〜10重量部が好ましい。また親水性有機溶剤(C)と水(E)との重量比は、1:9から9:1が好ましい。
【0051】
本発明のインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法によって得られる水性インク組成物には湿潤剤、つまりインクジェット記録装置のノズル部分において、インクが乾燥し、ノズルを塞いでしまうことを防止するために、インクが乾燥することを抑制する化合物を入れることが好ましい。
【0052】
湿潤剤としては親水性有機溶剤(C)以外の多価アルコール化合物が好ましく、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリトリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリテトラエチレングリコール、、1,3−ブタンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオールが挙げられる。これらの多価アルコール化合物は1種類を使用しても良く、また複数組み合わせることも出来る。
【0053】
これらの多価アルコール化合物の添加量は、インクジェット記録用水性インク組成物の0〜50重量%が好ましく、さらには5〜30重量%が好ましい。
【0054】
これらの多価アルコールは、本発明の各製造方法における脱溶剤後に、加えることもでき、また製造方法1及び3における、水を主成分とする液体(II)に加えることもでき、また製造方法2及び4の製造方法における、水(E)と中和剤(F)とを含有する混合液体(IV)に加えることもでき、また製造方法5の製造方法における親水性有機溶剤(B)と水(E)とを主成分とする混合溶剤(J)に加えることもできる。
【0055】
次に、本発明のインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法を詳細に説明する。最初に製造方法1について説明する。製造方法1における水に分散又は溶解する樹脂(B)としては、既に述べたようにエントロピー的に又は立体的に顔料を分散安定化する樹脂又は中和されたイオン性モノマーを含むモノマー成分を反応させて得られた樹脂が挙げられるが、分散の安定性及び耐水性に優れている点から、後者の樹脂が好ましい。
【0056】
イオン性モノマーを含むモノマー成分を反応させて得られた樹脂と、中和剤(F)を親水性有機溶剤(C)に分散又は溶解する。次に顔料(A)を加え、顔料(A)を分散する。但し、中和剤(F)は、溶剤(C)に顔料を分散した後に加えても良い。このとき必要であれば、分散助剤を使用しても良い。
【0057】
顔料(A)を分散する方法は、例えばペイントシェイカー、ボールミル、ロールミル、スピードラインミル、ホモミキサー及びサンドグラインダーを用いて分散する方法が挙げられる。
【0058】
イオン性モノマーを含むモノマー成分を反応させて得られた樹脂と、中和剤(F)に顔料(A)を分散後、親水性有機溶剤(C)を加えることもできる。これにより、顔料(A)が分散した、水に分散又は溶解する樹脂(B)の親水性有機溶剤(C)溶液(I)が得られる。
【0059】
水を主成分とする液体(II)としては、水単独でも良く、また親水性有機溶剤(C)以外の多価アルコールを含んでいても良く、また各種添加剤を含んでいても良い。
【0060】
顔料(A)が分散した溶液(I)と、水を主成分とする液体(II)との混合方法は、制限されない。例えば、次のいずれの方法でも良い。
【0061】
方法(1) 液体(II)を溶液(I)に滴下する方法。
方法(2) 溶液(I)を液体(II)に滴下する方法。
方法(3) 溶液(I)と液体(II)を別の容器に同時に滴下する方法。
【0062】
さらには方法(1)が好ましく、さらには、液体(II)を溶液(I)に滴下するときに、溶液(I)を攪拌しながら液体(II)を滴下する方法が好ましい。
【0063】
顔料(A)が分散した溶液(I)と、水を主成分とする液体(II)との混合後、混合物から溶剤を除去する。溶剤を除去する方法としては、例えば膜分離法、溶剤吸着法及び減圧蒸留法が挙げられる。
【0064】
膜分離法は、限外濾過膜により、溶剤を透過させ、溶剤を除去する方法である。溶剤吸着法は、溶剤のみを吸着する物質を入れたセルに混合物を通し、溶剤を吸着させて、溶剤を除去する方法である。
【0065】
減圧蒸留法は、混合物を常圧又は減圧下で物質が気化するときに必要なエネルギーを外部から加え、混合物の温度における蒸気圧の大きい物質から徐々に気化させ、物質を除去する方法である。従って、混合物から溶剤を除去するには、混合物の温度における溶剤の蒸気圧が水の蒸気圧より大きいことが好ましい。
【0066】
既に列記した疎水性有機溶剤(G)及び親水性有機溶剤(C)には、蒸気圧が760mmHgとなるときの温度を示したが、その温度が水の蒸気圧が760mmHgとなる温度100℃より低い溶剤が好ましい。
【0067】
上記の製造方法1に記載の製造方法により、分散安定性に優れたインクジェット記録用インク組成物が得られる。
【0068】
次に、製造方法2について説明する。製造方法2における中和により水に分散又は溶解する樹脂(D)としては、既に述べたように、例えばイオン性モノマーを反応性成分として含むモノマー成分を反応させて得られた樹脂が挙げられる。
【0069】
中和により水に分散又は溶解する樹脂(D)を、親水性有機溶剤(C)に分散又は溶解する。次に顔料(B)を加え、顔料を分散する。このとき分散助剤を使用しても良い。顔料を分散する方法は既に述べた通りである。樹脂(D)に顔料を分散後、親水性有機溶剤(C)を加えても良い。
【0070】
これにより、顔料(A)が分散した、中和により水に分散又は溶解する樹脂(D)の親水性有機溶剤(C)溶液(III)が得られる。
【0071】
水(E)と中和剤(F)とを含有する混合液体(IV)としては、水(E)と中和剤(F)のみを含んでいても良く、また必要であれば、親水性有機溶剤(C)以外の多価アルコールを含んでいても良く、また各種添加剤を含んでいても良い。
【0072】
顔料(A)が分散した溶液(III)と、水(E)と中和剤(F)とを含有する混合液体(IV)との混合方法は、制限されるものではない。例えば、次のいずれの方法でも良い。
【0073】
方法(4) 混合液体(IV)を溶液(III)に滴下する方法。
方法(5) 溶液(III)を混合液体(IV)に滴下する方法。
方法(6) 溶液(III)と混合液体(IV)を別の容器に同時に滴下する方法。
【0074】
さらには方法(4)が好ましく、さらには、混合液体(IV)を溶液(III)に滴下するときに、溶液(III)を攪拌しながら混合液体(IV)を滴下する方法が好ましい。
【0075】
顔料(A)が分散した溶液(III)と、水(E)と中和剤(F)とを含有する混合液体(IV)との混合後、混合物から溶剤を除去する。溶剤を除去する方法は既に述べた通りである。
【0076】
上記の製造方法2により、分散安定性に優れたインクジェット記録用インク組成物が得られる。
【0077】
次に、製造方法3について説明する。製造方法3における水に分散又は溶解する樹脂(B)としては、既に述べたようにエントロピー的に又は立体的に顔料を分散安定化する樹脂又は中和したイオン性モノマーを含む樹脂が挙げられるが、分散の安定性及び耐水性に優れている点から、中和した、イオン性モノマーを反応成分として得られた樹脂が挙げられるが好ましい。
【0078】
イオン性モノマーを反応成分として得られた樹脂と、中和剤(F)を、疎水性有機溶剤(G)、又は親水性有機溶剤(C)と疎水性有機溶剤(G)の混合溶剤(H)に分散又は溶解する。ここでイオン性モノマーを反応成分として得られた樹脂は、中和された、イオン性モノマーを反応成分として得られた樹脂となる。次に顔料(A)を加え、顔料を分散する。
【0079】
但し、中和剤(F)は、イオン性モノマーを反応成分として得られた樹脂と、疎水性有機溶剤(G)、又は親水性有機溶剤(C)と疎水性有機溶剤(G)の混合溶剤(H)に、顔料(A)を分散後に加えても良い。このとき必要ならば、分散助剤を使用しても良い。顔料を分散する方法は既に述べた通りである。
【0080】
また、顔料分散後、親水性有機溶剤(C)及び/又は疎水性有機溶剤(G)を加えることもできる。但し、疎水性有機溶剤(G)のみで分散したものには親水性有機溶剤(C)を加える。これにより、顔料(A)が分散した、水に分散又は溶解する樹脂(B)の親水性有機溶剤(C)と疎水性有機溶剤(G)との混合溶剤(H)溶液(V)が得られる。
【0081】
水を主成分とする液体(II)としては、水単独でも良く、また親水性有機溶剤(C)以外の多価アルコールを含んでいても良く、また各種添加剤を含んでいても良い。
【0082】
顔料(A)が分散した溶液(V)と、水を主成分とする液体(II)との混合方法は、制限されない。例えば次のいずれの方法でもよい。
【0083】
方法(7) 液体(II)を溶液(V)に滴下する方法。
方法(8) 溶液(V)を液体(II)に滴下する方法。
方法(9) 溶液(V)と液体(II)を別の容器に同時に滴下する方法。
【0084】
さらには方法(7)が好ましく、さらには、液体(II)を溶液(V)に滴下するときに、溶液(V)を攪拌しながら液体(II)を滴下する方法が好ましい。
【0085】
製造方法3の水性インクの製造方法においては、顔料(A)が分散している溶液(V)と水を主成分とする液体(II)を混合する工程において、顔料(A)が分散している溶液(V)に含まれる疎水性有機溶剤(G)が混合中に相分離を起こさないことが、本製造方法の必須条件である。
【0086】
つまり、顔料(A)が分散している溶液(V)と水を主成分とする液体(II)とを混合することにより、疎水性有機溶剤(G)と親水性有機溶剤(C)の混合溶剤(H)に溶解している樹脂の溶解度が徐々に減少し、樹脂が顔料(A)の表面に徐々に吸着し、顔料(A)が樹脂により被覆される。樹脂の溶解度がさらに減少し、樹脂単独の分散粒子を生成することもあるが、既に顔料(A)は樹脂によって被覆され、顔料(A)粒子の分散安定性は確保されており、樹脂単独の分散粒子が生成しても、本製造方法の目的を妨げるものではない。
【0087】
顔料(A)が分散している溶液(V)と、水を主成分とする液体(II)を混合する工程において、顔料(A)が分散している溶液(V)に含まれる疎水性有機溶剤(G)が混合中に相分離を起こす場合は、つまり疎水性有機溶剤(G)を主成分とする相と水(E)及び親水性有機溶剤(C)を主成分とする相が形成された場合、分散している顔料(A)粒子は両相の間を通過する度に、顔料(A)粒子を保護していた樹脂が剥がれたり、吸着したりを繰り返し、顔料(A)粒子は凝集し、凝集した顔料(A)は沈降する。この現象はソルベントショックと言われる。従って、分散安定性に優れたインクジェット記録用水性インク組成物は得られない。
【0088】
顔料(A)が分散している溶液(V)と水を主成分とする液体(II)を混合する工程において、顔料(A)が分散している溶液(V)に含まれる疎水性有機溶剤(G)が混合中に相分離を起こさないことの確認は、例えば、以下のように行うことができる。
【0089】
顔料(A)が分散している溶液(V)を製造するときに、水に分散又は溶解する樹脂(B)と顔料(A)を除いた組成物を製造する。該組成物と水を主成分とする液体(II)を混合する工程において、該組成物に含まれる疎水性有機溶剤(G)が相分離を起こさないことを確認する。
【0090】
つまり、疎水性有機溶剤(G)を主成分とする相と水(E)と親水性有機溶剤(C)を主成分と相に分離しないことを確認する。相分離が発生すれば、相の密度の差で相が上下に分離することで、相分離が確認でき、混合物を攪拌しているときは、相が連続相と不連続相に分離し、混合物は白濁することにより、相分離が確認できる。
【0091】
相分離が起こる場合、顔料(A)が分散している溶液(V)に含まれる親水性有機溶剤(C)及び/又は疎水性有機溶剤(G)の種類と量を調整することで、相分離が起こらないようにすることは常に可能である。親水性有機溶剤(C)及び/又は疎水性有機溶剤(G)の種類と量の調整により、顔料(A)が分散している溶液(V)と水を主成分とする液体(II)とを、相分離を起こさずに、混合することができる。
【0092】
顔料(A)が分散した溶液(V)と水を主成分とする液体(II)との混合後、混合物から溶剤を除去する。溶剤を除去する方法は既に述べた通りである。
【0093】
上記の製造方法3により、分散安定性に優れたインクジェット記録用インク組成物が得られる。
【0094】
次に、製造方法4について説明する。製造方法4における中和により水に分散又はする樹脂(D)としては、既に述べたように、例えばイオン性モノマーを含むモノマー成分を反応性成分として得られた樹脂が挙げられる。
【0095】
イオン性モノマーを含むモノマー成分を反応性成分として得られた樹脂に、疎水性有機溶剤(G)、又は親水性有機溶剤(C)と疎水性有機溶剤(G)の混合溶剤(H)に分散又は溶解する。次に顔料(A)を加え、顔料を分散する。このとき必要であれば、分散助剤を使用しても良い。顔料を分散する方法は既に述べた通りである。
【0096】
顔料分散後、親水性有機溶剤(C)及び/又は疎水性有機溶剤(G)を加えることもできる。但し、疎水性有機溶剤(G)のみで分散したものには、親水性有機溶剤(C)を加える。これにより、顔料(A)が分散した、中和により水に分散又は溶解する樹脂(B)の親水性有機溶剤(C)と疎水性有機溶剤(G)との混合溶剤(H)溶液(VI)が得られる。
【0097】
水(E)と中和剤(F)とを含有する混合液体(IV)としては、水(E)と中和剤(F)のみを含んでいても良く、また親水性有機溶剤(C)以外の多価アルコールを含んでいても良く、また各種添加剤を含んでいても良い。
【0098】
顔料(A)が分散した溶液(VI)と、水(E)と中和剤(F)とを含有する混合液体(IV)との混合方法は、制限されない。例えば次のいずれの方法でも良い。
【0099】
方法(10) 混合液体(IV)を溶液(VI)に滴下する方法。
方法(11) 溶液(VI)を混合液体(IV)に滴下する方法。
方法(12) 溶液(VI)と混合液体(IV)を別の容器に同時に滴下する方法。
【0100】
さらには方法(10)が好ましく、さらには、混合液体(IV)を溶液(VI)に滴下するときに、溶液(VI)を攪拌しながら混合液体(IV)を滴下する方法が好ましい。
【0101】
製造方法4の水性インクの製造方法においては、顔料(A)が分散している溶液(VI)と水(E)と中和剤(F)とを含有する混合液体(IV)とを混合する工程において、顔料(A)が分散している溶液(VI)に含まれる疎水性有機溶剤(G)が混合中に相分離を起こさないことが、本製造方法の必須条件である。本条件が必須条件であることの理由及び、本条件を満たすための方法については、製造方法3の説明時に既に述べた通りである。
【0102】
顔料(A)が分散した溶液(VI)と水(E)と中和剤(F)とを含有する混合液体(IV)との混合後、混合物から溶剤を除去する。溶剤を除去する方法は既に述べた。
【0103】
上記の製造方法4により、分散安定性に優れたインクジェット記録用インク組成物が得られる。
【0104】
次に、製造方法5について説明する。製造方法5における水に分散又は溶解する樹脂(B)としては、既に述べたようにエントロピー的に又は立体的に顔料を分散安定化する樹脂又は中和した、イオン性モノマーを含むモノマー成分を反応性成分として得られた樹脂が挙げられるが、分散の安定性及び耐水性に優れている点から、後者の樹脂が好ましい。
【0105】
製造方法5における親水性有機溶剤(C)と水(E)とを主成分とする混合溶剤(J)としては、親水性有機溶剤(C)と水(E)のみを含んでいても良く、また親水性有機溶剤(C)以外の多価アルコールを含んでいても良く、また各種添加剤を含んでいても良い。
【0106】
イオン性モノマーを含むモノマー成分を反応性成分として得られた樹脂と、中和剤(F)を、親水性有機溶剤(C)と水(E)とを主成分とする混合溶剤(J)に分散又は溶解する。ここでイオン性モノマーを反応成分として得られた樹脂は、中和された、イオン性モノマーを反応成分として得られた樹脂となる。次に顔料(A)を加え、顔料(A)を分散する。このとき必要であれば、分散助剤を使用しても良い。顔料(A)を分散する方法は既に述べた通りである。
【0107】
これに、必要に応じて、更に水(E)、親水性有機溶剤(C)、親水性有機溶剤(C)以外の多価アルコール及び各種添加剤からなる群から選ばれる1種以上を加えることができる。これにより、顔料(A)が分散した、水に分散又は溶解する樹脂(B)の親水性有機溶剤(C)と水(E)とを主成分とする混合溶剤(J)溶液(VII)が得られる。
【0108】
次に、顔料(A)が分散した、水に分散又は溶解する樹脂(B)の親水性有機溶剤(C)と水(E)とを主成分とする混合溶剤(J)溶液(VII)から溶剤を除去する。溶剤を除去する方法は既に述べた通りである。
【0109】
上記の製造方法5により、分散安定性に優れたインクジェット記録用インク組成物が得られる。
【0110】
尚、製造方法1,3及び5においては、樹脂(B)が水に分散しなくなる様な第三成分を併用しないのが、本発明の効果を奏する上では好ましい。製造方法2及び4においては、中和剤(F)と逆の極性を有する中和剤を併用しないのが、本発明の効果を奏する上では好ましい。前記第三成分及び逆極性の中和剤を用いる場合には、本発明の効果を損なわない範囲で使用し、その使用量は、極力最小限に止める。
【0111】
本発明の製造方法1〜5により得られた、各インクジェット記録用水性インク組成物を、顔料(A)の分散安定性を損なわない範囲において、再度分散することが出来る。分散する方法は既に述べた通りである。
【0112】
製造方法1〜5によって得られた、インクジェット記録用水性インク組成物はいずれも分散安定性に優れているが、更に分散している顔料粒子の体積平均粒径が1ミクロン未満であれば、分散安定性は更に良い。但し、体積平均粒径はメジアン(中央値)とする。
【0113】
本発明のインクジェット記録用水性インク組成物には、その他の添加物をそれぞれの目的に応じて加えることが出来る。例えば、増粘剤、流動性改良剤、界面活性剤、電導度調整剤、pH調整剤、酸価防止剤、防腐剤、殺菌剤、紫外線吸収剤、消泡剤、浸透剤が挙げられる。
【0114】
【実施例】
以下において、本発明の実施例及び比較例を示すが、これらの実施例は本発明を明確にするためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。尚、実施例及び比較例中の部は特に断らない限り、重量部とする。
【0115】
実施例及び比較例の水性インク組成物の原料、分散方法、混合方法、溶剤除去条件び分散顔料の体積平均粒径を第1表から第5表に示す。なお第1表には、製造方法1の実施例、第2表には製造方法2の実施例、第3表には製造方法3の実施例、第4表には製造方法4の実施例、第5表には製造方法5の実施例を示した。
【0116】
合成例1(スチレン−アクリル酸エステル系共重合体の合成)
攪拌機、温度計、環流コンデンサー付きのセパラブルフラスコに2−ブタノン(MEK)667部を仕込み、攪拌下に窒素置換しながら79℃まで昇温する。内温を79℃に保ち、メタクリル酸150部、スチレン590部、2−エチルヘキシルアクリレート110部、メチルメタクリレート150部及びパーブチルO(日本油脂製のtert-ブチルパーオキシオクトエート)10部の混合物を約2時間かけて添加し、反応させる。添加終了後、2、5、9及び13時間後にMEK3部及びパーブチルO0.3部の混合物を添加し、反応を継続させる。モノマー添加終了後21時間後に内温を下げて、反応を終了させ、スチレン−アクリル酸エステル系共重合体のMEK溶液を得た。
【0117】
得られたスチレン−アクリル酸エステル系共重合体のMEK溶液の粘度は、ガードナーでZ7であり、固形分は60%であった。更にMEK333部加え、固形分を50重量%とした。またこの共重合体の酸価は100mgKOH/gであり、重量平均分子量はポリスチレン換算で36,000であった〔以下、このスチレン−アクリル酸エステル系共重合体のMEK溶液を樹脂(a)と略記する。〕。
【0118】
合成例2(スチレン−アクリル酸エステル系共重合体の合成)
攪拌機、温度計、環流コンデンサー付きのセパラブルフラスコにMEK667部を仕込み、攪拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温する。内温を70℃に保ち、メタクリル酸150部、スチレン590部、2−エチルヘキシルアクリレート110部、メチルメタクリレート150部及びAIBN(アゾビスイソブチルニトリル)10部の混合物を約2時間かけて添加し、反応させる。添加終了後、4及び8時間後にAIBN2部、また12及び16時間後にAIBN1部を添加し、反応を継続させる。モノマー添加終了後22時間後に内温を下げて、反応を終了させ、MEK333部を追加し、スチレン−アクリル酸エステル系共重合体のMEK溶液を得た。
【0119】
この溶液の固形分は50重量%であり、得られたスチレン−アクリル酸エステル系共重合体の酸価100mgKOH/gであり、重量平均分子量はポリスチレン換算で27,000であった〔以下、このスチレン−アクリル酸エステル系共重合体のMEK溶液を樹脂(b)と略記する。〕。
【0120】
実施例1(製造方法1による実施例)
250mlの広口ポリビンにJoncryl 68(ジョンソンポリマー製スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体)を20部、メタノールを60部及び中和剤であるMDA(N−メチルジエタノールアミン)を4.97部(中和率60%)入れ、均一に溶解した。更に3mmφのガラスビーズを200部及びELFTEX 8(キャボット製カーボンブラック)を20部入れ、ペイントコンディショナーで2時間分散した。
【0121】
この顔料を分散した溶液80部を攪拌機付きのセパラブルフラスコに仕込み、更にメタノール80部を加え、攪拌し、顔料(A)が分散した、水に分散又は溶解する樹脂(B)の親水性有機溶剤(C)溶液(I)を得た。
【0122】
攪拌機を回転させながら、これに、水480部を毎分4mlの速度で滴下した。
【0123】
滴下終了後、フラスコ内の混合物をエバポレーターに移し、混合物の温度を50℃に保持し、エバポレーターの内圧を徐々に下げ、混合物中のメタノールを除去した。エバポレーターの内圧を最終的に60mmHgまで下げて、溶剤の除去を終了した。
【0124】
得られた水性インク組成物を水で100倍に希釈して、粒度分布測定装置マイクロトラックUPA150(リーズアンドノースロップ製)で粒度を測定したところ、メジアンが0.46μmであり、分散安定性が極めて優れており、長期間に亘り、ノズルの目詰まりもなかった。インク画像の耐水性も良好であった。
【0125】
【表1】
Figure 0004078679
【0126】
実施例2(製造方法2による実施例)
250mlの広口ポリビンにJoncryl 68を20部、メタノールを60部入れ、均一に溶解した。更に3mmφのガラスビーズを200部及びRaven1040(コロンビアカーボン製カーボンブラック)を20部入れ、ペイントコンディショナーで2時間分散した。この顔料を分散した溶液50部を攪拌機付きのセパラブルフラスコに仕込み、更にメタノール50部を加え、攪拌し、顔料(A)が分散した、中和により水に分散又は溶解する樹脂(D)の親水性有機溶剤(C)溶液(III)を得た。
【0127】
攪拌機を回転させながら、これに水480部及びMDA3.7部(中和率90%)の混合液体(IV)を毎分2mlの速度で滴下した。
【0128】
滴下終了後、フラスコ内の混合物をエバポレーターに移し、混合物の温度を50℃に保持し、エバポレーターの内圧を徐々に下げ、混合物中のメタノールを除去した。エバポレーターの内圧を最終的に65mmHgまで下げて、溶剤の除去を終了した。
【0129】
得られた水性インク組成物を水で100倍に希釈して、粒度分布を測定したところ、メジアンが0.75μmであり、分散安定性が極めて優れており、長期間に亘り、ノズルの目詰まりもなかった。インク画像の耐水性も良好であった。
【0130】
【表2】
Figure 0004078679
【0131】
実施例3〜7(製造方法3による実施例)
250mlの広口ポリビンに第3表の「樹脂」と「分散媒」を入れ、均一に溶解した。更に第3表の「分散方法」に記載のビーズと「顔料(A)」を入れ、ペイントコンディショナーで「分散方法」に記載の時間分散した。この顔料を分散した溶液を第3表の「顔料分散溶液の量」に記載の量を攪拌機付きのセパラブルフラスコに仕込み、更に「追加溶剤」記載の溶剤等を加え、攪拌し、顔料(A)が分散した、水に分散又は溶解する樹脂(B)の親水性有機溶剤(C)と疎水性有機溶剤(G)との混合溶剤(H)溶液(V)を得た。
【0132】
攪拌機を回転させながら、これに、第3表記載の「水を主成分とする液体(II)」を「混合方法」記載の方法で混合した。
【0133】
混合終了後、フラスコ内の混合物をエバポレーターに移し、混合物の温度を50℃に保持し、エバポレーターの内圧を徐々に下げ、混合物中の溶剤を除去した。エバポレーターの内圧は最終的に「溶剤除去条件」記載の圧力まで下げて、溶剤の除去を終了した。
【0134】
得られた実施例3から7の水性インク組成物を水で100倍に希釈して、粒度分布を測定したところ、いずれもメジアンが1ミクロン未満であり、分散安定性が極めて優れており、長期間に亘り、ノズルの目詰まりもなかった。いずれのインク画像の耐水性も良好であった。
【0135】
尚、上記実施例3〜7の組成物から顔料と樹脂を除いて、同様の操作を行い、混合工程中に、相の分離が起こらないことを確認の上に、各実施例を行った。
【0136】
【表3】
Figure 0004078679
【0137】
【表4】
Figure 0004078679
【0138】
【表5】
Figure 0004078679
【0139】
比較例1
追加溶剤の欄の「MEK16.5部、IPA23.8部及びMDA0.94部」を「MEK40.3部及びMDA0.94部」とした以外は、実施例6と同様な操作を行った。
【0140】
即ち、250mlの広口ポリビンに樹脂(b)を20部、MEKを60部入れ、均一に溶解した。更に0.2mmφのガラスビーズを150部及びELFTEX 8を20部入れ、ペイントコンディショナーで4時間分散した。この顔料を分散した溶液50部を攪拌機付きのセパラブルフラスコに仕込み、更に、MEK40部及びMDA0.94部(中和率88%)を加え攪拌した。攪拌機を回転させながら、水300部を滴下した。但し、セパラブルフラスコに水を滴下すると、フラスコ内の液体の粘度は増加した。
【0141】
つまり、フラスコ内で疎水性溶剤を主成分とする連続相と水を主成分とする不連続相が形成された。
【0142】
更に水を滴下すると、転相が起こり、水を主成分とする連続相と疎水性溶剤を主成分とする不連続相が形成された。更に水を滴下すると、フラスコ内の液体の粘度は低下した。これは疎水性溶剤を主成分とする不連続相の体積分率が低下したためである。
【0143】
滴下終了後、フラスコ内の混合物をエバポレーターに移し、溶剤を除去したところ、エバポレータに大きさ1〜3mmφの不定形の黒い沈殿物が認められた。また、インク画像の耐水性は優れていたが、そのまま用いたのでは、ノズルの目詰まりの原因となり、安定に記録することが不可能であった。凝集沈降したマイクロカプセル塊を除去するには遠心分離が必要であった。
【0144】
【表6】
Figure 0004078679
【0145】
【表7】
Figure 0004078679
【0146】
合成例3
合成例2の「メタクリル酸150部、スチレン590部、2−エチルヘキシルアクリレート110部、メチルメタクリレート150部」を、「スチレン694部、2−エチルヘキシルアクリレート129部、メチルメタクリレート177部」とする以外は同様な操作を行い、スチレン−アクリル酸エステル系共重合体のMEK溶液を得た。
【0147】
得られたスチレン−アクリル酸エステル系共重合体は、酸価ゼロ、重量平均分子量はポリスチレン換算で27,000であった〔以下、このスチレン−アクリル酸エステル系共重合体のMEK溶液を樹脂(c)と略記する。〕。
【0148】
比較例2
250mlの広口ポリビンに樹脂(c)を20部、MEKを60部入れ、均一に溶解した。更に0.2mmφのガラスビーズを150部及びELFTEX 8を20部入れ、ペイントコンディショナーで4時間分散した。この顔料を分散した溶液50部を攪拌機付きのセパラブルフラスコに仕込み、更に、MEK40.3部を加え攪拌した。攪拌機を回転させながら、プルロニックF68(非イオン界面活性剤)3部と水300部の混合物を滴下した。
【0149】
滴下終了後、フラスコ内の混合物をエバポレーターに移し、溶剤を除去した。得られた水性インクは、実施例6と同様に分散安定性には優れていたが、実施例6のそれに比べて、インク画像の耐水性はかなり劣ったものであった。
【0150】
実施例8(製造方法4による実施例)
250mlの広口ポリビンにJoncryl 683を20部、MEKを60部入れ、均一に溶解した。更に3mmφのガラスビーズを240部及びELFTEX 8を20部入れ、ペイントコンディショナーで8時間分散した。この顔料を分散した溶液50部に、MEKを15部及びIPA(イソプロピルアルコール)を25部を加え、顔料(A)が分散した、中和により水に分散又は溶解する樹脂(D)の親水性有機溶剤(C)と疎水性有機溶剤(G)との混合溶剤(H)溶液(VI)を得た。
【0151】
水300部とMDA1.9部(中和率60%)の混合液体(IV)を攪拌機付きのセパラブルフラスコに仕込んだ。攪拌機を回転させながら、溶液(VI)を毎分1mlの速度でフラスコに滴下した。
【0152】
滴下終了後、フラスコ内の混合物をエバポレーターに移し、混合物の温度を50℃に保持し、エバポレーターの内圧を徐々に下げ、混合物中の溶剤を除去した。エバポレーターの内圧を最終的に60mmHgまで下げて、溶剤の除去を終了した。得られた水性インク組成物を水で100倍に希釈して、粒度分布を測定したところ、体積のメジアンが0.21μmであり、分散安定性が極めて優れており、長期間に亘り、ノズルの目詰まりもなかった。また、インク画像の耐水性も良好であった。
【0153】
尚、上記実施例8の組成物から顔料と樹脂を除いて、同様の操作を行い、混合工程中に、相の分離が起こらないことを確認してから、この実施例を行った。
【0154】
【表8】
Figure 0004078679
【0155】
実施例9〜14(製造方法5による実施例)
250mlの広口ポリビンに第5表の「樹脂」と「分散媒」を入れ、分散又は溶解した。更に第5表の「分散方法」に記載のビーズと「顔料(A)」を入れ、ペイントコンディショナーで「分散方法」に記載の時間分散した。
【0156】
この顔料を分散した溶液を第5表の「顔料分散溶液の量」に記載の量を500mlのビーカーに入れ、更に「追加液体」記載の水等を加え、攪拌し、顔料(A)が分散した、水に分散又は溶解する樹脂(B)の親水性有機溶剤(C)と水(E)とを主成分とする混合溶剤(J)溶液(VII)を得た。
【0157】
ビーカーの混合物をエバポレーターに移し、混合物の温度を50℃に保持し、エバポレーターの内圧を徐々に下げ、混合物中の溶剤を除去した。エバポレーターの内圧は最終的に「溶剤除去条件」記載の圧力まで下げて、溶剤の除去を終了した。
【0158】
得られた実施例9から14の水性インク組成物を水で100倍に希釈して、粒度分布を測定したところ、いずれもメジアンが1ミクロン未満であり、分散安定性が極めて優れており、長期間に亘り、ノズルの目詰まりもなかった。また、インク画像の耐水性も良好であった。
【0159】
【表9】
Figure 0004078679
【0160】
【表10】
Figure 0004078679
【0161】
【表11】
Figure 0004078679
【0162】
【表12】
Figure 0004078679
【0163】
【表13】
Figure 0004078679
【0164】
【表14】
Figure 0004078679
【0165】
【発明の効果】
本発明の製造方法では、界面活性剤を用いずに、水に溶解又は分散しうる樹脂又は、中和により水に溶解又は分散しうる樹脂と中和剤とを併用して、水相と有機溶剤相とが連続相を形成する様にしてから脱溶剤するので、得られた水性インク組成物は分散安定性に極めて優れているとともに、インキ画像の耐水性にも優れるという格別顕著な効果を奏する。従って、本発明の製造方法で得られた組成物は、インクジェット記録用水性インク組成物として使用するのに適している。

Claims (12)

  1. 顔料(A)が分散した、イオン性モノマーを反応成分として含むモノマー成分を反応させて得られた樹脂の親水性有機溶剤(C)溶液と、水を主成分とする液体(II)とを混合してから、脱溶剤をするインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法であって、前記親水性有機溶剤(C)溶液中には中和剤(F)を含有することを特徴とするインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法。
  2. 顔料(A)が分散した、中和により水に分散又は溶解する合成樹脂(D)の親水性有機溶剤(C)溶液(III)と、水(E)と中和剤(F)とを含有する混合液体(IV)とを混合してから、脱溶剤することを特徴とするインクジェット記録用水性インクの製造方法。
  3. 顔料(A)が分散した、イオン性モノマーを反応成分として含むモノマー成分を反応させて得られた樹脂の、親水性有機溶剤(C)と疎水性有機溶剤(G)との混合溶剤(H)溶液と、水(E)を主成分とする液体(II)とを混合してから、脱溶剤をするインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法であって、前記混合溶剤(H)溶液は中和剤(F)を含有し、さらに前記溶液は、前記溶液と液体(II)との混合工程において、混合物が水(E)と親水性有機溶剤(C)とを主成分とする相と疎水性有機溶剤(G)を主成分とする相に分離しない様に、親水性有機溶剤(C)及び/又は疎水性有機溶剤(G)の種類と使用量を調整した溶液であることを特徴とするインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法。
  4. 顔料(A)が分散した、中和により水に分散又は溶解する合成樹脂(D)の親水性有機溶剤(C)と疎水性有機溶剤(G)との混合溶剤(H)溶液(VI)と、水(E)と中和剤(F)とを含有する混合液体(IV)とを混合してから、脱溶剤をするインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法であって、前記混合溶剤(H)溶液(VI)は前記溶液(VI)と液体(IV)との混合工程において、混合物が水(E)と親水性有機溶剤(C)とを主成分とする相と疎水性有機溶剤(G)を主成分とする相に分離しない様に、親水性有機溶剤(C)及び/又は疎水性有機溶剤(G)の種類と使用量を調整した溶液(VI)であることを特徴とするインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法。
  5. 顔料(A)と、イオン性モノマーを反応成分として含むモノマー成分を反応させて得られた樹脂の、親水性有機溶剤(C)と水(E)とを主成分とする混合溶剤(J)溶液とを混合して、顔料(A)を該溶液に分散させてから、脱溶剤するインクジェット記録用水性インクの製造方法であって、前記混合溶剤(J)溶液中には中和剤(F)を含有することを特徴とするインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法。
  6. 分散した顔料(A)の体積平均粒子径が1ミクロン未満である請求項1、2、3、4又は5記載のインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法。
  7. イオン性モノマーを反応成分として含むモノマー成分を反応させて得られた樹脂が、分子中にカルボン酸基を有するスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体である請求項1又は3に記載のインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法。
  8. イオン性モノマーを反応成分として含むモノマー成分を反応させて得られた樹脂が、酸価50〜200mgKOH/gである、分子中にカルボン酸基を有するスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の酸価に対する中和率で40%以上を、塩基からなる中和剤(F)で中和した樹脂である請求項7に記載のインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法。
  9. 樹脂(D)が、分子中にカルボン酸基を有するスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体であって、かつ中和剤(F)として塩基を用いる請求項2又は4に記載のインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法。
  10. 樹脂(D)が、酸価50〜200mgKOH/gである、分子中にカルボン酸基を有するスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体であって、かつ前記樹脂(D)の酸価に対する中和率が40%以上となる塩基を含む中和剤(F)を用いる請求項9に記載のインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法。
  11. イオン性モノマーを反応成分として含むモノマー成分を反応させて得られた樹脂が、分子中にカルボン酸基を有するスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体である請求項5に記載のインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法。
  12. イオン性モノマーを反応成分として含むモノマー成分を反応させて得られた樹脂が、酸価50〜200mgKOH/gである、分子中にカルボン酸基を有するスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の酸価に対する中和率で80%以上を、塩基からなる中和剤(F)で中和する請求項11に記載のインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法。
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