JP4077549B2 - ポリオレフィン系複合フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフイン系複合フイルムに関するものである。詳しくは、本発明は、剛性が有り、且つ耐衝撃性、低温ヒートシール性、自己粘着性に優れたポリオレフイン系複合フイルムからなる自己粘着性を有する表面保護用フイルム。
ルムに関するものである。
【0002】
そこで、主に耐衝撃性の向上のために、ポリプロピレンにゴムを添加したり、プロピレン重合時に少量のエチレンを添加してプロピレンとエチレンをランダムに共重合させる等の方法が提案されてきた。しかし、これらは欠点の改善にはなるものの剛性が低下するなどその特長を損なう結果となった。
【0003】
一方、ポリエチレンは低温ヒートシール性、低温での衝撃性等が優れており、ポリプロピレン同様、多種類の分野に使用されてものの、剛性が劣り、剛性の要求される包装分野には満足されていない。そこでポリプロピレンフィルムと複合化することにより、剛性を付与する等の検討が行われた。しかしながら、包装用途の高度化に伴い、フィルムそれ自体の性能をさらに高め、かつ包装時の作業効率をさらに一層高めることが強く求められる現状においては、それらの要望を満足する複合フィルムは未だ見い出されていない。特に、自動高速包装機を使用した場合において、フィルムの剛性及び低温でのヒートシール性を高めることが、ユーザーからも最も多く要望されている。
【0004】
さらに近年、熱を加えずに、フィルムの有する自己粘着力でフィルム同士を接着させることによる包装形態が最近注目されている。そうした包装分野では、加熱を要することなくフィルム同士を接着させられる自己粘着性をフィルムに付与するため、従来は粘着剤等を配合していたが、非常に高価となるため、粘着剤等を用いずにフィルムに自己粘着性を付与する方法の開発が望まれている。また、これらの包装分野では、自己粘着性はもちろんのこと、剛性、耐衝撃性が要求品質として挙げられ、それらを兼ね備えた自己粘着性フィルムの開発が強く望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、剛性、透明性、耐熱性、及び耐衝撃性に加え、低温ヒートシール、自己粘着性を兼ね備えた複合フイルムからなる自己粘着性を有する表面保護用フイルムを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決したポリオレフィン系フィルムの鋭意研究を行った結果、特定のポリオレフィン系樹脂材料から形成される複合フィルムにより、剛性、耐衝撃性等に加え、低温ヒートシール、自己粘着性を兼ね備えたフィルムが得られること見出して本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の成分(A)50〜100重量%と成分(B)50〜0重量%とからなる樹脂材料で形成される層[I]を有し、前記層[I]の少なくとも片面に、以下の成分(C)0〜95重量%と成分(D)100〜5重量%とからなる樹脂材料で形成される表面層[II]が積層されていることを特徴とする、ポリオレフイン系複合フイルムからなる自己粘着性を有する表面保護用フイルムを提供する。
【0008】
(A)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の量で含有し、MFRが0.1〜50g/10分である結晶性ポリプロピレン。
【0009】
(B)エチレンから誘導される構成単位を主成分とし、下記物性(B1)及び(B2)を備えたエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体。
(B1):MFRが0.1〜50g/10分であること。
(B2):温度上昇溶離分別によって得られる溶出曲線の最大ピークの温度が15〜85℃であり、該ピークの高さをHとしその3分の1の高さにおける該ピークの幅をWとしたときのH/Wの値が2以上であること。
【0010】
(C)下記物性(C1)及び(C2)を備えたプロピレン単独重合体又はプロピレンから誘導される構成単位を主成分としたプロピレンと炭素数2もしくは4〜20のα−オレフィンとの共重合体。
(C1):MFRが0.1〜50g/10分であること。
(C2):示差走査熱量測定法(DSC)によって得られる主たる融解ピークが110〜165℃の範囲内にあること。
【0011】
(D)エチレンから誘導される構成単位を主成分とし、下記物性(D1)及び(D2)を備えたエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体。
(D1)MFRが0.1〜50g/10分であり、
(D2)温度上昇溶離分別によって得られる溶出曲線の最大ピークの温度が15〜85℃であり、該ピークの高さをHとしその3分の1の高さにおける該ピークの幅をWとしたときのH/Wの値が2以上であること。
【0012】
また、本発明は、前記自己粘着性フィルムからなることを特徴とする自己粘着包装フィルムを提供する。
また、本発明は、前記自己粘着性フィルムからなることを特徴とする表面保護フィルムを提供する。
また、本発明は、化粧合板、金属板、塗装鋼板、及び合成樹脂板からなる群から選択される基材であって、前記表面保護フィルムによって保護されていることを特徴とする基材を提供する。
【0013】
本発明の複合フィルムは、剛性、透明性及び耐衝撃性に優れ、しかも低温ヒートシール性が良好なことから、その低温ヒートシール性を活かした包装材または包装袋等に用いられる。また、本発明の複合フィルムは剛性、耐衝撃性などに加え、自己粘着性に優れていることから、熱を加えずにフィルム同士を簡易的に接着させて包装に利用する分野において好適に用いることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の複合フィルムは、少なくとも層[I]と、該層[I]の少なくとも片面に積層された層[II]とを有する。そして、層[I]は成分(A)単独又は成分(A)及び成分(B)からなる樹脂材料から形成され、層[II]は成分(D)単独又は成分(C)及び成分(D)からなる樹脂材料から形成される。ここで、成分(B)と成分(D)は同様の範疇から選択される成分である。
【0015】
I.各層を形成する樹脂材料
(1)成分(A)
成分(A)は、プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の量で含有し、MFR(メルトフローレート)が0.1〜50g/10分、好ましくは0.5〜30g/10分である結晶性ポリプロピレンである。なお、この場合のMFRはJIS−K6758に準拠して測定した値である。MFRが上記範囲より大きいとフィルム強度が低下し、フィルムの製膜が不安定となる。また、該MFRが上記範囲より小さいと、樹脂圧力が高くなり、押出性が低下して成形性に劣ることとなる。
【0016】
この結晶性ポリプロピレンは、13C−核磁気共鳴スペクトル法によって決定されるコモノマー含量が10モル%未満、つまりプロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の量で含有するものが用いられる。プロピレンから誘導される構成単位が90モル%より少ないと耐熱性が低下するので好ましくない。なお、ここで使用できるコモノマーとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。コモノマーとして用いられるα−オレフィンは1種類に限られず、ターポリマーのように2種類以上用いた多元系共重合体も好ましいものとして含まれる。具体的には、プロピレン−エチレン2元共重合体、プロピレン−ブテン2元共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン3元共重合体等を挙げることができる。
【0017】
成分(A)の結晶性ポリプロピレンは、上述した物性を満たすものであれば特に限定されず、如何なるポリプロピレンを用いることもできる。また、その製造方法も特に制限はなく、上記物性を満たすようにあらゆる公知の方法で製造することができる。
【0018】
(2)成分(C)
成分(C)は、下記物性(C1)及び(C2)を備えたプロピレン単独重合体又はプロピレンから誘導される構成単位を主成分としたプロピレンと炭素数2もしくは4〜20のα−オレフィンとの共重合体である。
【0019】
(C1):MFRが0.1〜50g/10分、好ましくは0.5〜30g/10分である。なお、この場合のMFRはJIS−K6758に準拠して測定した値である。該MFRが上記範囲より大きいとフィルム強度が低下し、フィルムの成膜が不安定となる。また、該MFRが上記範囲より小さいと、樹脂圧力が高くなり、押出性が低下する。
【0020】
(C2):示差走査熱量測定法(DSC)によって得られる主たる融解ピークが110〜165℃、好ましくは135〜165℃の範囲内にあるものである。該融解ピーク温度が上記範囲より大きいと、フィルムの耐衝撃性が低下し、また該融解ピーク温度が上記範囲より小さいと、フィルムの耐熱性が低下するので好ましくない。
【0021】
プロピレンとα−オレフィンとの共重合体の場合、コモノマーである該α−オレフィンとしては、炭素数2もしくは4〜20のもの、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。コモノマーとして用いられるα−オレフィンは1種類に限られず、ターポリマーのように2種類以上用いた多元系共重合体も好ましいものとして含まれる。具体的には、プロピレン−エチレン2元共重合体、プロピレン−ブテン2元共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン3元共重合体等を挙げることができる。主成分であるプロピレンは、共重合体中75モル%以上含有され、コモノマーは25モル%未満であるのが好ましい。
【0022】
成分(C)のプロピレン単独重合体又はプロピレン・α−オレフィン共重合体は、上述した物性を満たすものであれば特に限定されず、如何なるポリプロピレンを用いることもできる。また、その製造方法も特に制限はなく、上記物性を満たすようにあらゆる公知の方法で製造することができる。
【0023】
(3)成分(B)及び成分(D)
成分(B)及び成分(D)は、下記物性(B1又はD1)と(B2又はD2)を備えたエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体である。
【0024】
(B1又はD1):MFRが0.1〜50g/10分、好ましくは0.5〜30g/10分である。なお、この場合のMFRはJIS−K7210に準拠して測定した値である。該MFRが上記範囲より大きいとフィルム強度が低下し、フィルムの成膜が不安定となる。また、該MFRが上記範囲より小さいと、樹脂圧力が高くなり、押出性が低下する。
【0025】
(B2又はD2):温度上昇溶離分別によって得られる溶出曲線の最大ピークの温度が15〜85℃、好ましくは25〜82℃であり、かつ該ピークの高さをHとしその3分の1の高さにおける該ピークの幅をWとしたときのH/Wの値が2以上、好ましくは2.5以上である。
【0026】
ここで、温度上昇溶離分別(TREF:Temperature Rising Elution Fraction)とは、一度高温でポリマーを完全に溶解させた後に冷却し、不活性担体表面に薄いポリマー層を生成させ、次いで温度を連続又は段階的に昇温して、溶出した成分(ポリマー)を回収し、その濃度を連続的に検出して、その溶出成分の量と溶出温度とを求める方法である。その溶出分率と溶出温度によって描かれるグラフが溶出曲線であり、これによりポリマーの組成分布(分子量及び結晶性の分布)を測定することができる。温度上昇溶離分別(TREF)の測定方法及び装置等の詳細については、Journal of Applied Polymer Science、第26巻、第4217〜4231頁(1981年)に記載されている。
【0027】
TREFによって得られる溶出曲線の形はポリマーの分子量及び結晶性の分布によって異なる。例えばピークが一つの曲線、ピークが2つの曲線、及びピークが3つの曲線があり、さらにピークが2つの曲線には溶出温度の低いピークに比べて溶出温度の高いピークの方が溶出分率が大きい(ピークの高さが高い)場合と、溶出温度の低いピークに比べて溶出温度の高いピークの方が溶出分率が小さい(ピークの高さが低い)場合とがある。これを具体的に図に示して説明すると、図1にはピークが1つの場合の溶出曲線を表し、図2にはピークが2つの場合の溶出曲線を表し、図3にはピークが3つの場合の溶出曲線を表し、さらに図2の(a)には溶出温度の低いピークに比べて溶出温度の高いピークの方がピーク高さが高い場合を表し、図2の(b)には溶出温度の低いピークに比べて溶出温度の高いピークの方がピーク高さが低い場合を表す。
【0028】
本発明における溶出曲線の最大ピークとは、ピークが1つの場合の溶出曲線においてはそのピークを、ピークが2つ以上存在する溶出曲線においては、その溶出分率が最大となるピーク(図2及び図3中、符号pで示したピーク)を表す。また、本発明におけるH/Wとは、図1〜3に示したように、最大ピークの高さをHとし、その3分の1の高さにおける幅をWとして計算することにより求められる。図1に示したように、ピークが1つの場合は該ピークの高さと幅とから求められるが、ピークが2つ以上存在する溶出曲線においては、最大ピークと他のピークとの間の谷が該最大ピークの高さの3分の1以上となるような場合があり、形状によっては最大ピークの高さの3分の1の高さにおける幅が該最大ピークと該他のピークとから形成される曲線の幅となる場合がある。そのときはその該最大ピークと他のピークとから形成される曲線全体の幅をWとする(図2(a)及び図3参照)。ピークが2以上の場合であっても、最大ピークとの間の谷が該最大ピークの高さの3分の1未満となるような他のピークが存在する場合は、そのような他のピークは幅Wの計算には関与しない(図2(b)及び図3参照)。
【0029】
このようにして求められる本発明のTREFによる溶出曲線の最大ピークの温度及びH/Wが上記範囲内であれば、組成分布が狭く結晶性が均一なポリオレフィン樹脂が得られ、フィルムとした場合に透明性、耐衝撃性、耐熱性のバランスが向上する。一方、TREFによる溶出曲線の最大ピークの温度上記範囲より大きいと、樹脂に高結晶成分が多く存在し、フィルムの透明性及び衝撃強度が低下するので好ましくない。一方、該ピーク温度が上記範囲より小さいと、フィルムの耐熱性が悪化するので好ましくない。また、H/Wの値が上記範囲より小さいと、樹脂の結晶性分布が広がりすぎ、フィルムの透明性及び耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0030】
上述した物性を備える成分(B)又は成分(D)は、エチレンから誘導される構成単位を主成分とするエチレン・α−オレフィン共重合体である。コモノマーであるα−オレフィンとしては、炭素数3〜18の1−オレフィンであり、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。コモノマーとして用いられるα−オレフィンは1種類に限られず、ターポリマーのように2種類以上用いた多元系共重合体も好ましいものとして含まれる。具体的には、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体等が挙げられる
【0031】
共重合体中のエチレン単位の割合は、好ましくは80モル%以上であり、コモノマーは20モル%未満である。
成分(B)又は成分(D)のエチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法は特に制限されず、上述した物性(B1又はD1)及び(B2又はD2)を満たすように公知の方法で製造することができる。例えば、分子量及び結晶性の分布を制御する公知の方法として、重合温度やコモノマー量を調節する方法を適宜採用することにより、所望の物性のポリマーを得ることができる。
【0032】
また、重合触媒や重合方法についても特に制約はなく、例えば触媒としては、チーグラー型触媒(すなわち、担持又は非担持ハロゲン含有チタン化合物と有機アルミニウム化合物の組合せに基づくもの)、フィリップス型触媒(すなわち、担持酸化クロム(Cr6+)に基づくもの)、カミンスキー型触媒(すなわち、担持又は非担持メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物、特にアルモキサンの組合せに基づくもの)等が挙げられる。
【0033】
重合方法としては、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法(例えば、特開昭59−23011号公報に記載の方法)や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm2以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法等が挙げられる。
【0034】
本発明における成分(B)又は成分(D)は、比較的狭い組成分布が望ましいので、特にカミンスキー型触媒を用いることが好ましい。
【0035】
(4)層[I]を形成する樹脂材料
層[I]を形成する樹脂材料は、成分(A)50〜100重量%、好ましくは75〜100重量%、及び成分(B)50〜0重量%、好ましくは25〜0重量%からなる。すなわち、成分(B)は層[I]を形成する樹脂材料に含まれない場合もある、任意の成分である。一方、成分(A)が50重量%より少なく、成分(B)が50重量%より多く配合されていると、耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0036】
(5)層[II]を形成する樹脂材料
層[II]を形成する樹脂材料は、成分(C)0〜95重量%、好ましくは0〜75重量%、及び成分(D)100〜5重量%、好ましくは100〜25重量%からなる。すなわち、成分(C)は層[II]を形成する樹脂材料に含まれない場合もある、任意の成分である。一方、成分(D)が5重量%より少なく、成分(C)が95重量%より多く配合されていると、低温でのヒートシール性が得られないので好ましくない。
【0037】
(6)その他の成分
本発明の複合フィルムを形成する樹脂材料には、上述した成分(A)〜(D)の他に、一般に樹脂の成形材料や組成物に用いられる補助添加成分、例えば、酸化防止剤(中でも、フェノール系、及びリン系酸化防止剤が好ましい)、アンチブロッキング剤、スリップ剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、着色剤、帯電防止剤、抗菌剤、接着剤等を配合することができる。また、本発明の特性を損なわない範囲で、エチレン−プロピレンランダム共重合体等のゴム成分を配合することもできる。
【0038】
(7)樹脂材料の製造
本発明の樹脂材料は、各成分をドライブレンドしてからそのままフィルム成形機のホッパーに投入する形としてもよく、また、押出機、ブラベンダーブラストグラフ、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー等を用いて溶融・混練し、通常用いられる方法でペレット状として、フィルム製造に供することもできる。成分(A)及び成分(D)については、これらを単独で用いる場合は、そのままフィルム成形機のホッパーに投入し、フィルムを製造することとしてもよい。
【0039】
II.複合フィルムの層構成
本発明の複合フィルムは、その層構成のなかに上述した層[I]及び層[II]を少なくとも有し、その最外層、すなわちフィルムの両外面(表面)を形成する層の少なくとも1層が層[II]であるものであれば特に制限はない。すなわち、層[II]は層[I]の少なくとも片面に積層されておればよく、層[I]のいずれか片面のみに積層されていても、層[I]の両面に積層されていてもよい。また、積層する層[I]及び層[II]の積層数は特に制限されない。例えば、層[II]/層[I]、層[II]/層[I]/層[II]、層[II]/層[I]/層[II]/層[I]/層[II]のような組合せで層を構成することもできる。
【0040】
また、層[I]と層[II]の間や、層[I]の層[II]が積層されていない面などに、本発明の効果を損なわない範囲において各種の機能を備えた樹脂層が積層されていてもよい。例えば、層[I]と層[II]の間には、変性ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ナイロン、エバール等を積層し、その接着性、機械的強度、ガスバリヤー性などの機能を向上させることができる。また、層[I]の層[II]が積層されていない面には、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、延伸ポリプロピレンフィルム等を積層させ、印刷性、機械的強度、ガスバリヤー性などの機能を付与させることもできる。
【0041】
なお、本発明においては、層[II]は複合フィルムの少なくとも片面の表面層を構成するものである。すなわち、層[II]を表面層とすることにより、本発明の複合フィルムの低温ヒートシール性及び自己粘着性が向上し、ヒートシール分野及び自己粘着包装分野に適したフィルムを得ることができる。ただし、該表面層に直接印刷を施したり、コロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、火炎処理等の表面処理を施すことはかまわない。
【0042】
本発明の複合フィルムを構成する各層の厚み及び比率は、特に限定されるものではなく、任意に選択することができる。通常は各層を0.5〜1000μm程度に形成される。また、層[I]の厚みがフィルム全厚の20〜99%、好ましくは30〜95%となるように構成するのがよい。
【0043】
このような本発明の複合フィルムの製造方法は、通常の樹脂組成物からなるフィルムの製造方法と同様の方法で行えばよい。例えば、必要な各成分をあらかじめドライブレンドしてからそのままフィルム成形機のホッパーに投入してフィルムを製造してもよく、また、上述した方法で溶融混練した後ペレット状とし、これを用いてフィルムを製造することもできる。成分(A)及び/又は成分(D)をそれぞれ単独で用いる場合は、そのまま各成分をフィルム成形機のホッパーに投入し、フィルムを製造することができる。
【0044】
フィルムの製造方法は、空冷インフレーション成形、空冷2段冷却インフレーション成形、Tダイフィルム成形、水冷インフレーション成形等が挙げられる。複合フィルムを形成する方法としては、押出ラミネーション法、熱ラミネーション法、ドライラミネーション法、ウェットラミネーション法等により各層を貼り合わせる方法や、共押出ラミネーション法等を挙げることができる。
【0045】
III.用途
本発明の複合フィルムは、耐熱性、耐衝撃性、透明性及び剛性に優れ、且つ低温ヒートシール性や自己粘着性をも兼ね備える。よって、以下の種々の用途に適用することができる。
【0046】
(2)ヒートシール包装用フィルム
本発明の複合フィルムは、低温ヒートシール性が良好であることから、この低温ヒートシール性を活かした包装材あるいは包装袋等に用いられる。また、該フィルムをシーラントとして用いた複合フィルムは、例えば漬け物、乳製品、レトルト食品、冷凍食品、菓子類などの食品や、衣類などの各種包装材、医療用薬剤や輸液容器、各種液体輸送用包材、その他のボトル、容器などに用いられる。
【0047】
(2)自己粘着包装フィルム
本発明の複合フィルムは、自己粘着性に優れており、熱を加えずにフィルム同士を簡易的に接着させることができる。よって、このような性質を有するフィルムを用いた包装分野に適用することができ、例えばキャンディー等の菓子の包装、花等の贈り物の飾り包装、保存時のほこり等を避けるためのフィルム、荷くずれ防止用フィルム、例えばパレットストレッチフィルム等に用いられる。
【0048】
(3)表面保護フィルム
本発明の複合フィルムは、印刷、ラミネート、粘着剤塗布等の二次加工工程を行い、化粧合板、金属板、塗装鋼板、合成樹脂板などの基材の表面保護フィルムとして用いることができる。かかる表面保護フィルムは、金属板や塗装鋼板等の表面を保護するために、あるいはこれらの金属板等を絞り加工する際に表面に傷が発生することを防止するために用いられる。
具体的には、家具や台所製品のキャビネットなどの化粧板の表面に使用される化粧材用フィルムが挙げられる。また、床材や壁装材などの建装材の表面材層を形成する建装材用フィルムを挙げることもできる。
【0049】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例における物性の測定及びフィルム物性評価は以下に示す方法によって実施した。
【0050】
(1)MFR(メルトフローレート)
成分(A)及び成分(C)のMFRはJIS−K6758のポリプロピレン試験方法のメルトフローレート(条件;230℃、荷重;2.16kg)に従って測定した。
成分(B)及び成分(D)のMFRはJIS−K7210のポリエチレン試験方法のメルトフローレート(条件;190℃、荷重;2.16kg)に従って測定した。
【0051】
(2)コモノマー濃度
13C−核磁気共鳴スペクトル法によって決定した。
【0052】
(3)示差走査熱量測定方(DSC)による融解ピーク温度の測定
セイコー社製DSCを用い、サンプル量5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度及び融解終了温度で評価した。
【0053】
(4)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線の測定
本発明におけるTREFによる溶出曲線の測定は、以下のようにして行った。測定装置としてクロス分別装置(三菱化学株式会社製、CFC・T150A)を使用し、附属の操作マニュアルの測定法に従って行った。このクロス分別装置は、試料を、溶解温度の差を利用して分別する温度上昇溶離分別(TREF)機構と、分別された区分を更に分子サイズで分別するサイズ排除クロマトグラフ(Size Chromatography:SEC)とをオンラインで接続した装置である。
【0054】
まず、測定すべきサンプル(エチレン・α−オレフィン共重合体)を溶媒(o−ジクロロベンゼン)を用いて濃度が4mg/mlとなるように、140℃で溶解し、これを測定装置内のサンプルループ内に注入した。以下の測定は、設定条件に従って自動的に行われた。
【0055】
サンプルループ内に保持された試料溶液は、溶解温度の差を利用して分別するTREFカラム(不活性担体であるガラスビーズが充填された内径4mm、長さ150mmの装置附属のステンレス製カラム)に0.4ml注入された。該サンプルは、1℃/分の速度で140℃から0℃の温度まで冷却され、上記不活性担体にコーティングされた。このとき、高結晶成分(結晶しやすいもの)から低結晶成分(結晶しにくいもの)の順で不活性担体表面にポリマー層が形成される。TREFカラムを0℃で更に30分間保持した後、0℃の温度で溶解している成分2mlを、1ml/分の流速でTREFカラムからSECカラム(昭和電工株式会社製、AD80M・S、3本)へ注入した。SECで分子サイズでの分別が行われている間に、TREFカラムでは次の溶出温度(5℃)に昇温され、その温度に約30分間保持された。SECでの各溶出区分の測定は39分間隔で行われた。溶出温度としては以下の温度が用いられ、段階的に昇温された。
【0056】
溶出温度(℃):0,5,10,15,20,25,30,35,40,45,49,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85,88,91,94,97,100,102,120,140℃。
【0057】
該SECカラムで分子サイズによって分別された溶液について、装置附属の赤外分光光度計でポリマーの濃度に比例する吸光度を測定し(波長3.42μm、メチレンの伸縮振動で検出)、各溶出温度区分のクロマトグラムを得た。内蔵のデータ処理ソフトを用い、上記測定で得られた各溶出温度区分のクロマトグラムのベースラインを引き、演算処理した。各クロマトグラムの面積が積分され、積分溶出曲線が計算された。また、この積分溶出曲線を温度で微分して、微分溶出曲線が計算された。計算結果の作図はプリンターに出力した。出力された微分溶出曲線の作図は、横軸に溶出温度を100℃当たり89.3mm、縦軸に微分量(溶出分率:全積分溶出量を1.0に規格し、1℃の変化量を微分量とした)0.1当たり76.5mmで行った。
【0058】
次に、この微分溶出曲線から最も高さの高いピーク(最大ピーク)における温度を最大ピーク温度とし、また、この最大ピークのピーク高さをHとし、その3分の1の高さにおける幅をWとして、H/Wの値を算出した。
【0059】
(5)フィルム物性評価方法
a.0.5kg荷重ヒートシール温度
5mm×200mmのヒートシールバーを用い、各温度設定においてヒートシール圧力;2kg/cm2、ヒートシール時間;0.5秒の条件下でシールした試料から15mm幅のサンプルを取り、ショッパー型試験機を用いて引張速度;500mm/分にて引き離し、その荷重を読みとった。荷重500g(0.5kg)になるシール温度を0.5kg荷重ヒートシール温度として、ヒートシール性を評価した。この温度が低いほどヒートシール性が優れていることを意味する。
【0060】
b.タテ方向引張弾性率(剛性)
ISO−R1184に準拠して、得られた試料フィルムをインストロン型オートグラフにてタテ方向の引張弾性率を測定した。この値が大きいほど、剛性があり、優れていることを意味する。
【0061】
c.衝撃強度(打抜衝撃強さ)
JIS−8134に準拠して、得られたフィルムを23℃の雰囲気下にて24時間以上放置し、状態調整を行った後、同雰囲気下で測定した。この値が大きいほど、耐衝撃性が優れていることを意味する。
【0062】
d.180゜剥離粘着強度
Tダイ成形で製膜した2層フィルムを、23℃の恒温室にて、幅100mm、長さ200mmの大きさに2枚切り出し、一方のフィルムの内面(裏面)と他方の外面(表面)とが接着するように該2枚のフィルムを合わせ、15kg荷重を5分間かけた。そして、平滑板の先端に200g荷重をつけ、その荷重により平滑板が高速で移動するようにしておいたスリップテスター(新東科学(株)製、HEIDON−14型)を用い、180゜剥離粘着強度を測定した。図4にこのスリップテスターを用いた180゜剥離粘着強度測定法の概略図を示す。
【0063】
具体的には、平滑板の上に上記の2枚重なったフィルム(図4中、1。以下同様。)を置き、下側のフィルムを固定し、上側のフィルムをクリップ5で挟み、クリップ5と荷重計3をモノフィラメント4で結んだ。なお、クリップは上側のフィルム上に紙6を敷いて、その紙上に載せておいた。次に、平滑板2を荷重7により高速で移動させ、2枚のフィルムが180゜剥離するときの最大強度を180゜剥離粘着強度とした。
【0064】
(6)フィルムの成形
成分(A)および成分(B)もしくは成分(A)単体、成分(C)および成分(D)もしくは成分(D)単体について、2層Tダイ成形機を用いて以下の条件で共押出成形を行い、2層フィルムを得た。
【0065】
(成形条件)
機種:プラコー社製Tダイフィルム成形機
層[I]:スクリュー径;35mmφ、L/D;28、温度;240℃
層[II]:スクリュー径;20mmφ、L/D;25、温度;240℃
ダイリップ:0.8mm
ダイス温度:240℃
冷却ロール温度:30℃
エアーギャップ:60mm
引取速度:19m/分
フィルム厚み:30μ
層構成(厚み比):層[I]/層[II]=9/1
【0066】
<実施例1>
層[I]には、成分(A)としてMFR;5.0g/10分、コモノマー含量;0モル%の結晶性ポリプロピレンを単体で用い、層[II]には、成分(D)として日本ポリケム(株)製「カーネル64FTK」(コモノマー;1−ヘキセン、MFR;3.5g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;62℃、H/W;3.9)を単体で用い、上記の条件で2層Tダイ成形を行い、2層フィルムを評価した。評価の結果は表1に示す通りである。
【0067】
<実施例2>
層[I]には、成分(A)としてMFR;5.0g/10分、コモノマー含量;4.0モル%の結晶性ポリプロピレンを単体で用い、層[II]には、成分(D)として日本ポリケム(株)製「カーネル64FTK」(MFR;3.5g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;62℃、H/W;3.9)を単体で用い、上記の条件で2層Tダイ成形を行い、2層フィルムを評価した。評価の結果は表1に示す通りである。
【0068】
<実施例3>
層[I]には、成分(A)としてMFR;5.0g/10分、コモノマー含量;0モル%の結晶性ポリプロピレンを、成分(B)として日本ポリケム(株)製「カーネル64FTK」(MFR;3.5g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;62℃、H/W;3.9)を用いて成分(A):成分(B)=75:25重量%の割合で配合したものを用い、層[II]には、成分(D)として日本ポリケム(株)製「カーネル64FTK」(MFR;3.5g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;62℃、H/W;3.9)を単体で用い、上記の条件で2層Tダイ成形を行い、2層フィルムを評価した。評価の結果は表1に示す通りである。
【0069】
<実施例4>
層[I]には、成分(A)としてMFR;5.0g/10分、コモノマー含量;0モル%の結晶性ポリプロピレンを、成分(B)として日本ポリケム(株)製「カーネル64FTK」(MFR;3.5g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;62℃、H/W;3.9)を用いて成分(A):成分(B)=75:25重量%の割合で配合したものを用い、層[II]には、成分(C)としてMFR;5.0g/10分、融解ピーク温度;148℃のプロピレン系共重合体を、成分(D)として日本ポリケム(株)製「カーネル64FTK」(MFR;3.5g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;62℃、H/W;3.9)を用いて成分(C):成分(D)=25:75重量%の割合で配合したものを用い、上記の条件で2層Tダイ成形を行い、2層フィルムを評価した。評価の結果は表1に示す通りである。
【0070】
<比較例1>
層[I]には、成分(A)としてMFR;5.0g/10分、コモノマー含量;0モル%の結晶性ポリプロピレンを単体で用い、層[II]には、成分(C)としてMFR;5.0g/10分、融解ピーク温度;140℃のプロピレン系共重合体を単体で用い、上記の条件で2層Tダイ成形を行い、2層フィルムを評価した。評価の結果は表2に示す通りである。剛性は優れるが、衝撃強度が低下し、ヒートシール性及び自己粘着性がかなり劣るので好ましくない。
【0071】
<比較例2>
層[I]には、成分(A)としてMFR;5.0g/10分、コモノマー含量;12.0モル%の結晶性ポリプロピレンを単体で用い、層[II]には、成分(C)としてMFR;5.0g/10分、融解ピーク温度;148℃のプロピレン系共重合体を、成分(D)として日本ポリケム(株)製「カーネル64FTK」(MFR;3.5g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;62℃、H/W;3.9)を用いて成分(C):成分(D)=25:75重量%の割合で配合したものを用い、上記の条件で2層Tダイ成形を行い、2層フィルムを評価した。評価の結果は表2に示す通りである。低温ヒートシール性および衝撃強度は優れるが、剛性がないので好ましくない。
【0072】
<比較例3>
層[I]には、成分(A)としてMFR;5.0g/10分、コモノマー含量;12.0モル%の結晶性ポリプロピレンを単体で用い、層[II]には、成分(C)としてMFR;5.0g/10分、融解ピーク温度;148℃のプロピレン系共重合体を、成分(D)として日本ポリケム(株)製「カーネル64FTK」(MFR;3.5g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;62℃、H/W;3.9)を用いて成分(C):成分(D)=60:40重量%の割合で配合したものを用い、上記の条件で2層Tダイ成形を行い、2層フィルムを評価した。評価の結果は表2に示す通りである。剛性は優れるが、衝撃強度がやや低下し、また、低温ヒートシール性及び自己粘着性が劣るので好ましくない。
【0073】
<比較例4>
層[I]には、成分(A)としてMFR;5.0g/10分、コモノマー含量;0モル%の結晶性ポリプロピレンを単体で用い、層[II]には、成分(D)として日本ポリケム(株)製「ノバテックLL・UF422」(MFR;0.8g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;89℃、H/W;0.85)を単体で用い、上記の条件で2層Tダイ成形を行い、2層フィルムを評価した。評価の結果は表2に示す通りである。剛性は優れるが、低温ヒートシール性及び自己粘着性が悪化し、また、衝撃強度が低下するので好ましくない。
【0074】
<比較例5>
層[I]には、成分(A)としてMFR;5.0g/10分、コモノマー含量;0モル%の結晶性ポリプロピレンを単体で用い、層[II]には、成分(D)として日本ポリケム(株)製「ノバテックHD・HJ560」(MFR;7g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;98℃、H/W;8.7)を単体で用い、上記の条件で2層Tダイ成形を行い、2層フィルムを評価した。評価の結果は表2に示す通りである。剛性は優れるが、低温ヒートシール性および衝撃強度が劣るので好ましくない。
【0075】
<比較例6>
層[I]には、成分(A)としてMFR;5.0g/10分、コモノマー含量;0モル%の結晶性ポリプロピレンを、成分(B)として日本ポリケム(株)製「カーネル64FTK」(MFR;3.5g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;62℃、H/W;3.9)を用いて成分(A):成分(B)=40:60重量%の割合で配合したものを用い、層[II]には、成分(D)として日本ポリケム(株)製「カーネル64FTK」(MFR;3.5g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;62℃、H/W;3.9)を単体で用い、上記の条件で2層Tダイ成形を行い、2層フィルムを評価した。評価の結果は表2に示す通りである。低温ヒートシール性および衝撃強度は優れるが、剛性が劣るので好ましくない。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【発明の効果】
本発明の複合フィルムは、耐熱性、耐衝撃性、透明性及び剛性に優れ、且つ低温ヒートシール性、自己粘着性をも兼ね備えており、ヒートシール包装フィルム、自己粘着包装フィルム、表面保護フィルム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ピークが1つの場合の溶出曲線を表す。
【図2】 ピークが2つの場合の溶出曲線を表す。図2(a)は溶出温度の低いピークより溶出温度の高いピークの方がピーク高さが高い場合を表し、図2(b)は溶出温度の低いピークより溶出温度の高いピークの方がピーク高さが低い場合を表す。
【図3】 ピークが3つの場合の溶出曲線を表す。
【図4】 180゜剥離粘着強度測定法の概略図である。
【符号の説明】
p・・・最大ピーク
1・・・フィルム
2・・・平滑板
3・・・荷重計
4・・・モノフィラメント
5・・・クリップ
6・・・紙
7・・・荷重
Claims (2)
- 以下の成分(A)50〜100重量%と成分(B)50〜0重量%とからなる樹脂材料で形成される層[I]を有し、
前記層[I]の少なくとも片面に、以下の成分(C)0〜95重量%と成分(D)100〜5重量%とからなる樹脂材料で形成される表面層[II]が積層されているポリオレフイン系複合フイルムからなることを特徴とする自己粘着性を有する表面保護用フイルム。
(A)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の量で含有し、MFRが0.1〜50g/10分である結晶性ポリプロピレン。
(B)エチレンから誘導される構成単位を主成分とし、下記物性(B1)および(B2)を備えたエチレンと炭素数3〜18のα−オレフインとの共重合体。
(B1):MFRが0.1〜50g/10分であること。
(B2):温度上昇溶離分別によって得られる溶出曲線の最大ピークの温度が15〜85℃であり、該ピークの高さをHとしその3分の1の高さにおける該ピークの幅をWとしたときのH/Wの値が2以上であること。
(C)下記特性(C1)及び(C2)を備えたプロピレン単独重合体又はプロピレンから誘導される構成単位を主成分としたプロピレンと炭素数2もしくは4〜20のα−オレフインとの共重合体。
(C1):MFRが0.1〜50g/10分であること。
(C2):示差走査熱量測定法(DSC)によって得られる主たる融解ピークが110〜165℃の範囲内にあること。
(D)エチレンから誘導される構成単位を主成分とし、下記物性(D1)及び(D2)を備えたエチレンと炭素数3〜18のα−オレフインとの共重合体。
(D1):MFRが0.1〜50g/10分であり、
(D2):温度上昇溶離分別によって得られる溶出曲線の最大ピークの温度が15〜85℃であり、該ピークの高さをHとしその3分の1の高さにおける該ピークの幅をWとしたときのH/Wの値が2以上であること。 - 化粧合板、金属板、塗装鋼板、及び合成樹脂板からなる群から選択される基材であって、請求項1記載の自己粘着性を有する表面保護用フイルムによって保護されていることを特徴とする基材。
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