JP4075684B2 - 樹脂モールド型電子ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パワーモジュールと制御モジュールとは金属ケース内で絶縁樹脂によりモールドされている樹脂モールド型電子ユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、バッテリ充電制御装置の如き従来のこの種の樹脂モールド型電子ユニットは、図6(A)(B)〜図9(A)(B)に示すようにした製造された構造であった。
【0003】
即ち、図6(A)(B)に示すように、樹脂モールド型電子ユニットの外側に位置させる金属ケース1は、上面が開口部1aとなっている四角形の側壁部1bの下端を閉じて底部1cとし、この底部1cの下向きの外面に放熱フィン2を突設し、側壁部1bの1組の対向する側面にフランジ1dを水平方向に突設し、これらフランジ1dに取付け孔1eを設けた構造となっている。
【0004】
この金属ケース1内の底部1c上に、図7(A)(B)に示すように、ヒートシンク3にパワー素子4を搭載し且つ接続ピン5を立設したパワーモジュール6を配置し、このパワーモジュール6のヒートシンク3が、下面に放熱フィン2を突設した底部1c上に存在するようにする。
【0005】
次に、図8(A)(B)に示すように、パワーモジュール6上に制御モジュール7を積層して接続ピン5を通して半田付けすることにより電気的に接続して電気回路の積層体8よりなるバッテリ充電制御装置の如き電子ユニットの電気回路を構成する。
【0006】
次に、図9(A)(B)に示すように、電気回路の積層体8の外部接続用端子である接続ピン5にワイヤーハーネス9を電気的に接続する。
【0007】
しかる後に、パワーモジュール6と制御モジュール7とからなる電気回路の積層体8を収容した金属ケース1の四角形の側壁部1b内に、金属ケース1をその開口部1aが上向きとなるように配置して、その上方向から絶縁樹脂10を充填してモールドする(例えば、特許文献1,特許文献2参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−235430号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2002−227756号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構造の従来の樹脂モールド型電子ユニットでは、金属ケース1内で、パワーモジュール6と制御モジュール7とからなる電気回路の積層体8の組立てを行うので作業性が悪い問題点があった。
【0011】
また、金属ケース1内にパワーモジュール6と制御モジュール7とからなる電気回路の積層体8を横置きしてから、上方向から絶縁樹脂10を充填して注型するので、横向きの構造の関係で絶縁樹脂10内に空気溜まりが起き易い問題点があった。
【0012】
さらに、絶縁樹脂10のモールド表面10aの面積が大きくなり、盛り上がり易くてモールド面10aの精度が悪くなり、故障時においても開口面積が大きいために発火する可能性のある箇所数が多くなり、モールド面10aから炎が出やすいという問題点があった。
【0013】
本発明の目的は、組立ての作業性を向上できる樹脂モールド型電子ユニットを提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、絶縁樹脂内に空気溜まりが発生し難い樹脂モールド型電子ユニットを提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、絶縁樹脂のモールド表面を平らにできしかも小さな面積とすることができる樹脂モールド型電子ユニットを提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、筒状の金属ケース内に電気回路の積層体を位置決めして容易にセットできる樹脂モールド型電子ユニットを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ヒートシンクにパワー素子が搭載されたパワーモジュールと、該パワーモジュール上に積層されて電気的に接続された制御モジュールとが、パワーモジュールが搭載される側の外面に放熱フィンを突設した金属ケース内に収容され、パワーモジュールと制御モジュールとは金属ケース内で絶縁樹脂によりモールドされている樹脂モールド型電子ユニットを対象とする。
【0018】
本発明に係る樹脂モールド型電子ユニットでは、
パワーモジュールのヒートシンクは金属トレー上に搭載され、パワーモジュールの上に制御モジュールが積層されてパワーモジュールと制御モジュールとが電気的に接続され、
金属ケースはその開口部の反対方向に深い筒状に形成されると共にその片側の広面の外に放熱フィンが突設され、
金属トレー上に搭載されたパワーモジュールと制御モジュールとの積層体は、筒状の金属ケース内に金属トレーが放熱フィン側になるようにして、該積層体の積層方向に対して直交する方向が挿入方向となるように収容され、
筒状の金属ケース内に絶縁樹脂が充填されて積層体がモールドされていることを特徴とする。
【0019】
このような構造の樹脂モールド型電子ユニットでは、金属トレーを用いていて該金属トレー上にパワーモジュールと制御モジュールとの積層体を搭載しているので、金属ケースの外で電気回路の組立てを行うことができて、組立ての作業性を向上させることができる。
【0020】
また、金属トレー上に搭載されたパワーモジュールと制御モジュールとの積層体は、筒状の金属ケース内に積層体の積層方向に対して直交する方向が挿入方向となるように収容された状態で、その上方の開口部から絶縁樹脂が充填される構造なので、積層体の積層方向に対して直交する方向が金属ケースの開口部に面していて空気が抜け易く、このため絶縁樹脂内に空気溜まりが発生し難い利点がある。
【0021】
しかも、金属トレー上に搭載されたパワーモジュールと制御モジュールとの積層体は、筒状の金属ケース内に積層体の積層方向に対して直交する方向を開口部に向けて配置されているので、筒状の金属ケースの開口部を従来に比べて小さくすることができ、またこの積層体の上まで絶縁樹脂が充填されることにより絶縁樹脂のモールド表面を平らにすることができる。
【0022】
また、金属トレーは金属ケースの放熱フィンが突設されている面に接近させているので、パワーモジュールが発する熱をヒートシンクと金属トレーとを介して金属ケースの放熱フィンから良好に放熱させることができる。
【0023】
さらに本発明に係る樹脂モールド型電子ユニットで、筒状の金属ケース内には金属トレーをその挿入方向に沿ってガイドするレールを設けると、筒状の金属ケース内に電気回路の積層体を位置決めして容易にセットすることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1(A)(B)〜図5(A)(B)は本発明をバッテリ充電制御装置に適用した本発明に係る樹脂モールド型電子ユニットの実施の形態の一例の製造工程を示したもので、図1(A)は本例で用いる金属ケースの正面図、図1(B)は図1(A)のA−A線断面図、図2(A)は本例で金属トレー上にパワーモジュールを設ける工程の平面図、図2(B)は図2(A)のB−B線断面図、図3(A)は本例で金属トレー上に設けたパワーモジュールの上に制御モジュールを設ける工程の平面図、図3(B)は図3(A)のC−C線断面図、図4(A)は本例で金属トレー上に設けたパワーモジュールと制御モジュールとの積層体にワイヤーハーネスを接続する工程の平面図、図4(B)は図4(A)のD−D線断面図、図5(A)は本例で金属トレー上に設けたパワーモジュールと制御モジュールとの積層体を筒状の金属ケース内に収容した工程の平面図、図5(B)は図5(A)で筒状の金属ケース内に絶縁樹脂を充填した状態のE−E線断面図である。なお、前述した図6(A)(B)〜図9(A)(B)と対応する部分には、同一符号を付けて示している。
【0025】
図1(A)(B)に示すように、本例で用いるアルミニウム製の金属ケース1は、その開口部1aの反対方向に深い筒状に形成されると共にその広面1f,1gのうちの片側の広面1gの外面に放熱フィン2が突設されている。また、筒状の金属ケース1の開口部1aに対して反対方向に深く設けられている空間11内には、金属トレー5をその挿入方向に沿ってガイドするレール12が設けられている。このレール12と金属ケース1の放熱フィン2を設けた広面1gとの間隔は、金属トレー5の厚み方向の寸法に設定されている。
【0026】
次に本例では、図2(A)(B)に示すように、四角形をしていてその縁部が立上げられたアルミニウム製の金属トレー13を用いる。この金属トレー13上に、ヒートシンク3にパワー素子4を搭載し且つ接続ピン5を立設したパワーモジュール6を配置し、このパワーモジュール6のヒートシンク3を金属トレー13の底部上に接触させて固定する。
【0027】
次に、図3(A)(B)に示すように、パワーモジュール6上に制御モジュール7を積層して接続ピン5を通して半田付けすることにより電気的に接続して電気回路の積層体8よりなるバッテリ充電制御装置の如き電子ユニットの電気回路を構成する。
【0028】
次に、図4(A)(B)に示すように、電気回路の積層体8の外部接続用端子である接続ピン5にワイヤーハーネス9を電気的に接続する。
【0029】
しかる後に、パワーモジュール6と制御モジュール7とからなる電気回路の積層体8を、図5(A)(B)に示すように、筒状の金属ケース1内の空間11に金属トレー13が放熱フィン2側になるようにして、該積層体8の積層方向に対して直交する方向が挿入方向となるようにして収容する。この時に、金属ケース1内の空間11に設けられているレール12と、放熱フィン2を設けている広面1gとの間に金属トレー13を差込んで、レール12をガイドとして積層体8をその積層方向に対して直交する方向が挿入方向となるように挿入する。
【0030】
しかる後、図5(B)に示すように、筒状の金属ケース1内の空間11に絶縁樹脂10を充填して積層体8をモールドする。この時、絶縁樹脂10のモールド表面10aは図示のように金属トレー13の上端より上になるようにする。このように絶縁樹脂10のモールド表面10aが金属トレー13の上端より上になっていると、モールド表面10aは平坦になる。
【0031】
このような構造の樹脂モールド型電子ユニットでは、金属トレー13を用いていて該金属トレー13上にパワーモジュール6と制御モジュール7との積層体8を搭載しているので、金属ケース1の外で電気回路の組立てを行うことができて、組立ての作業性を向上させることができる。
【0032】
また、金属トレー13上に搭載されたパワーモジュール6と制御モジュール7との積層体8は、筒状の金属ケース1内に積層体8の積層方向に対して直交する方向が挿入方向となるように収容された状態で、その上方の開口部1aから絶縁樹脂10が充填される構造なので、積層体8の積層方向に対して直交する方向が金属ケース1の開口部1aに面していて空気が抜け易く、このため絶縁樹脂10内に空気溜まりが発生し難い利点がある。
【0033】
しかも、金属トレー13上に搭載されたパワーモジュール6と制御モジュール7との積層体8は、筒状の金属ケース1内に積層体8の積層方向に対して直交する方向を開口部1aに向けて配置されているので、筒状の金属ケース1の開口部1aを従来に比べて小さくすることができ、またこの積層体8の上まで絶縁樹脂10が充填されることにより絶縁樹脂10のモールド表面10aを平らにすることができる。
【0034】
また、金属トレー13は金属ケース1の放熱フィン2が突設されている面に接近させているので、パワーモジュール6が発する熱をヒートシンク3と金属トレー13とを介して金属ケース1の放熱フィン2から良好に放熱させることができる。
【0035】
さらに、筒状の金属ケース1内の空間11には金属トレー13をその挿入方向に沿ってガイドするレール12を設けているので、筒状の金属ケース1内に電気回路の積層体8を位置決めして容易にセットすることができる。
【0036】
上記例では、本発明をバッテリ充電制御装置に適用した例について示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、パワーモジュール6と制御モジュール7とに回路を分けられるものであれば、例えば磁石発電機のインバータ等にも同様に適用することができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明に係る樹脂モールド型電子ユニットでは、金属トレーを用いていて該金属トレー上にパワーモジュールと制御モジュールとの積層体を搭載しているので、金属ケースの外で電気回路の組立てを行うことができて、組立ての作業性を向上させることができる。
【0038】
また、金属トレー上に搭載されたパワーモジュールと制御モジュールとの積層体は、筒状の金属ケース内に積層体の積層方向に対して直交する方向が挿入方向となるように収容された状態で、その上方の開口部から絶縁樹脂が充填される構造なので、積層体の積層方向に対して直交する方向が金属ケースの開口部に面していて空気が抜け易く、このため絶縁樹脂内に空気溜まりが発生し難い利点がある。
【0039】
しかも、金属トレー上に搭載されたパワーモジュールと制御モジュールとの積層体は、筒状の金属ケース内に積層体の積層方向に対して直交する方向を開口部に向けて配置されているので、筒状の金属ケースの開口部を従来に比べて小さくすることができ、またこの積層体の上まで絶縁樹脂が充填されることにより絶縁樹脂のモールド表面を平らにすることができる。
【0040】
また、金属トレーは金属ケースの放熱フィンが突設されている面に接近させているので、パワーモジュールが発する熱をヒートシンクと金属トレーとを介して金属ケースの放熱フィンから良好に放熱させることができる。
【0041】
さらに、筒状の金属ケース1内の空間には金属トレーをその挿入方向に沿ってガイドするレールを設けると、筒状の金属ケース内に電気回路の積層体を位置決めして容易にセットすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明をバッテリ充電制御装置に適用した本発明に係る樹脂モールド型電子ユニットの実施の形態の一例で用いる金属ケースの正面図、(B)は(A)のA−A線断面図である。
【図2】(A)は本発明に係る樹脂モールド型電子ユニットの実施の形態の一例の製造工程で金属トレー上にパワーモジュールを設ける工程の平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図3】(A)は本例で金属トレー上に設けたパワーモジュールの上に制御モジュールを設ける工程の平面図、(B)は(A)のC−C線断面図である。
【図4】(A)は本例で金属トレー上に設けたパワーモジュールと制御モジュールとの積層体にワイヤーハーネスを接続する工程の平面図、(B)は(A)のD−D線断面図である。
【図5】(A)は本例で金属トレー上に設けたパワーモジュールと制御モジュールとの積層体を筒状の金属ケース内に収容した工程の平面図、(B)は(A)で筒状の金属ケース内に絶縁樹脂を充填した状態のE−E線断面図である。
【図6】(A)は従来の樹脂モールド型電子ユニットで用いる金属ケースの正面図、 (B)は(A)のF−F線断面図である。
【図7】(A)は従来の樹脂モールド型電子ユニットの製造工程で金属ケース上にパワーモジュールを設ける工程の平面図、(B)は(A)のG−G線断面図である。
【図8】(A)は従来例で金属ケース上に設けたパワーモジュールの上に制御モジュールを設ける工程の平面図、(B)は(A)のH−H線断面図である。
【図9】(A)は従来例で金属ケース上に設けたパワーモジュールと制御モジュールとの積層体にワイヤーハーネスを接続する工程の平面図、(B)は(A)の工程の後に金属ケース内に絶縁樹脂を充填した状態の(A)のI−I線断面図である。
【符号の説明】
1 金属ケース
1a 開口部
1b 側壁部
1c 底部
1d フランジ
1e 取付け孔
1f,1g 広面
2 放熱フィン
3 ヒートシンク
4 パワー素子
5 接続ピン
6 パワーモジュール
7 制御モジュール
8 積層体
9 ワイヤーハーネス
10 絶縁樹脂
10a モールド表面
11 空間
12 レール
13 金属トレー
Claims (2)
- ヒートシンクにパワー素子が搭載されたパワーモジュールと、該パワーモジュール上に積層されて電気的に接続された制御モジュールとが、前記パワーモジュールが搭載される側の外面に放熱フィンを突設した金属ケース内に収容され、前記パワーモジュールと前記制御モジュールとは前記金属ケース内で絶縁樹脂によりモールドされている樹脂モールド型電子ユニットにおいて、
前記パワーモジュールの前記ヒートシンクは金属トレー上に搭載され、前記パワーモジュールの上に前記制御モジュールが積層されて前記パワーモジュールと前記制御モジュールとが電気的に接続され、
前記金属ケースはその開口部の反対方向に深い筒状に形成されると共にその片側の広面の外に前記放熱フィンが突設され、
前記金属トレー上に搭載された前記パワーモジュールと前記制御モジュールとの積層体は、筒状の前記金属ケース内に前記金属トレーが前記放熱フィン側になるようにして、該積層体の積層方向に対して直交する方向が挿入方向となるように収容され、
筒状の前記金属ケース内に前記絶縁樹脂が充填されて前記積層体がモールドされていることを特徴とする樹脂モールド型電子ユニット。 - 筒状の前記金属ケース内には前記金属トレーをその挿入方向に沿ってガイドするレールが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂モールド型電子ユニット。
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