JP4074469B2 - ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒の存在下で(メタ)アクリル酸とアルキレンオキシドを反応させてヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
(メタ)アクリル酸とアルキレンオキシドを反応させてヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを製造する際には、通常、触媒が使用され、上記触媒として均一系触媒であるクロム化合物、なかでも3価のクロム化合物が好適に使用されることは従来からよく知られている(特公昭46−37805号公報)。また、3価のクロム化合物のなかでも、酢酸クロムは、反応速度が大きく、反応転化率も高いという傾向を示し、非常に優れた触媒である。
しかしながら、複数のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの製造反応系それぞれにおいて同様にクロム化合物を触媒として用いたとしても、反応系ごとに、反応終結までの時間や、目的生成物であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの収率などについて、かなり広範囲なばらつきがあり、経済性、生産性等の面でも問題となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の解決しようとする課題は、触媒として均一系触媒であるクロム化合物を用いることにより、反応速度が速く、反応転化率が高く、触媒の分離操作が不要といった従来の利点を発揮させつつ、反応所要時間および目的生成物の収率に関して上述のようなばらつきを低減しかつ適度な範囲となるようにする、新規なヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため、クロム化合物を触媒として用いた反応系において、上述のように反応所要時間および目的生成物の収率に関し、広範囲なばらつきが発生する要因について、種々推測および検討を繰り返した。その結果、触媒として使用するクロム化合物の物性の違いによって生じているのではないかと推測し、他に比べ著しく差異の見られた反応系において使用したクロム化合物について分析等を行い検討した。すると、該反応系において使用したクロム化合物は、他の反応系に比べ、その含有水分濃度について、非常に濃度が低い場合や、濃度がかなり高い場合があることに気づいた。そして、この含有水分濃度は、クロム化合物触媒の溶解性に大きく影響しているのではないかと考えた。つまり、含有水分濃度が非常に低いものはほぼ無水のクロム化合物であり、このようなクロム化合物触媒は、反応選択率は高いものの、反応液に対する溶解性を大きく欠くこととなり、反応時間を著しく長時間化させてしまうと考え、一方、含有水分濃度がかなり高いクロム化合物触媒は、反応液への溶解性は高いものの、自己が有する水分により多くの原料アルキレンオキシドを加水分解させてしまい、製品純度の低下の要因となるアルキレングリコールを多量に副生させることとなり、結果的に目的生成物の収率が著しく低下していたのではないか、と考えたのである。
【0005】
かかる知見に基づき、種々検討および実験を繰り返した結果、触媒として用いるクロム化合物に関しては、無水のものでもなく多く水分を含んでいるものでもなく、むしろ適度に水分を含有したものを用いるべきではないかと考えた。そして、特定範囲内の含有水分濃度である酢酸クロムを反応触媒として用いるようにする、新規なヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの製造方法であれば、上記課題を一挙に解決することを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの製造方法は、触媒の存在下で(メタ)アクリル酸とアルキレンオキシドとを反応させてヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを製造する方法において、前記触媒として含有水分濃度が1〜20重量%である酢酸クロムを用いるようにする、ことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの製造方法(以下、本発明の製造方法と称することがある。)について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜実施し得る。
本発明の製造方法において、(メタ)アクリル酸とアルキレンオキシドとの反応における原料の仕込み量は、(メタ)アクリル酸1モルに対して、アルキレンオキシドが1モル以上が好ましい範囲であり、より好ましくは1.0〜10モル、さらにより好ましくは1.0〜5.0モル、最も好ましくは1.0〜3.0モル、特に好ましくは1.0〜2.0モルである。アルキレンオキシドの仕込み量が1.0モル未満の場合には、反応転化率が低下し、副生成物が増加するので好ましくない。また、アルキレンオキシドの仕込み量が多すぎると、特に、10モルを超えると、経済的に好ましくない。
【0007】
本発明の製造方法において用いることができる(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
本発明の製造方法において用いることができるアルキレンオキシドは、好ましくは炭素数2〜6、より好ましくは炭素数2〜4のアルキレンオキシドであり、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドが挙げられ、好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシドである。
本発明にかかるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの製造方法は、触媒の存在下で(メタ)アクリル酸とアルキレンオキシドとを反応させてヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを製造する方法において、前記触媒として、前記触媒として含有水分濃度が1〜20重量%であるクロム化合物を用いるようにする、ことを特徴とする。
【0008】
上記クロム化合物としては、特に限定はされないが、例えば、3価のクロム化合物が好ましく、具体的には、塩化クロム、アセチルアセトンクロム、蟻酸クロム、アクリル酸クロム、メタクリル酸クロム、重クロム酸ソーダ、ジブチルジチオカルバミン酸クロム、酢酸クロムなどを挙げることができる。なかでも、酢酸クロムがより好ましい。したがって、本発明では触媒として酢酸クロムを採用し、以下「クロム化合物」とは「酢酸クロム」を指すものとする。
本発明の製造方法においては、上記クロム化合物の含有水分濃度は、上述のように1〜20重量%となるように調製したものであるが、より好ましくは2〜15重量%、さらにより好ましくは3〜10重量%である。上記含有水分濃度が、1重量%未満の場合は、溶解性が低く反応液中に不溶解分が残り、(メタ)アクリル酸の反応転化率の低下することにより、反応所要時間が著しく長くなるとともに目的生成物の収率が著しく低下するおそれがある。また、20重量%を超える場合は、原料化合物であるアルキレンオキシドと水とが反応してなるアルキレングリコールが、製品純度の著しい低下を招く程度の量で生成してしまうおそれがある。
【0009】
上記クロム化合物の含有水分とは、具体的には、水和物あるいは三核錯塩等の分子状態における分子中の水分子、あるいは、クロム化合物触媒の製造過程において吸湿などにより有することとなった水分、またはこれらを合わせて考慮した水分のことをいう。
前者において、上記分子中の水分子に基づく含有水分濃度の測定方法としては、具体的には、例えば、カールフィッシャー水分計で測定する方法等を挙げることができる。
後者において、上記吸湿等により有することとなった水分としては、詳しくは、特に限定されるわけではないが、クロム化合物水溶液をスプレードライしてクロム化合物触媒を得る場合にスプレードライ後でも残存しているクロム化合物触媒中の水分や、クロム化合物触媒の保存中の吸湿、などを挙げることができる。
【0010】
また、上記吸収した水分の量を測定し、クロム化合物の含有水分濃度を求める方法としては、具体的には、例えば、減圧下での重量減少で測定する方法等を挙げることができる。
本発明の製造方法で用いるクロム化合物については、含有水分濃度を上記所望の範囲内とするため、触媒を高湿度雰囲気下において吸湿させたり、乾燥機や乾燥雰囲気下で乾燥させたりしておいてもよい。
本発明の製造方法においては、クロム化合物の使用量は、特に限定されるわけではないが、具体的には、原料(メタ)アクリル酸に対して、0.01〜10モル%の範囲で用いることが好ましく、より好ましくは0.05〜5モル%、さらにより好ましくは0.1〜3モル%である。0.01モル%未満では、反応速度が小さくなるため反応時間が長くなり生産性が低下するおそれがあり、10モル%を超えると、経済的でない上、廃棄物中の(蒸留残渣中)のクロム濃度が高くなるため環境に対する負荷(悪影響)が大きくなるおそれがある。
【0011】
また、本発明の製造方法においては、特に限定はされないが、触媒として、上記各種クロム化合物以外の他の均一系触媒を併用してもよい。他の均一系触媒としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、鉄(Fe)化合物、イットリウム(Y)化合物、ランタン(La)化合物、セリウム(Ce)化合物、タングステン(W)化合物、ジルコニウム(Zr)化合物、チタン(Ti)化合物、バナジウム(V)化合物、リン(P)化合物、アルミニウム(Al)化合物、モリブデン(Mo)化合物などを挙げることができる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0012】
鉄(Fe)化合物は、鉄(Fe)原子を分子内に有する化合物で、かつ、前記反応液に可溶であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、鉄粉、塩化鉄、蟻酸鉄、酢酸鉄、アクリル酸鉄、メタクリル酸鉄などが挙げられる。
イットリウム(Y)化合物は、イットリウム(Y)原子を分子内に有する化合物で、かつ、前記反応液に可溶であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、アセチルアセトンイットリウム、塩化イットリウム、酢酸イットリウム、硝酸イットリウム、硫酸イットリウム、アクリル酸イットリウムおよびメタクリル酸イットリウムなどが挙げられる。
【0013】
ランタン(La)化合物は、ランタン(La)原子を分子内に有する化合物で、かつ、前記反応液に可溶であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、アセチルアセトンランタン、塩化ランタン、酢酸ランタン、硝酸ランタン、硫酸ランタン、アクリル酸ランタンおよびメタクリル酸ランタンなどが挙げられる。
セリウム(Ce)化合物は、セリウム(Ce)原子を分子内に有する化合物で、かつ、前記反応液に可溶であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、アセチルアセトンセリウム、塩化セリウム、酢酸セリウム、硝酸セリウム、硫酸セリウム、アクリル酸セリウムおよびメタクリル酸セリウムなどが挙げられる。
【0014】
タングステン(W)化合物は、タングステン(W)原子を分子内に有する化合物で、かつ、前記反応液に可溶であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、塩化タングステン、アクリル酸タングステンおよびメタクリル酸タングステンなどが挙げられる。
ジルコニウム(Zr)化合物は、ジルコニウム(Zr)原子を分子内に有する化合物で、かつ、前記反応液に可溶であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、アセチルアセトンジルコニウム、塩化ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、、アクリル酸ジルコニウム、メタクリル酸ジルコニウム、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムプロポキシド、塩化ジルコニル、酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、アクリル酸ジルコニルおよびメタクリル酸ジルコニルなどが挙げられる。
【0015】
チタン(Ti)化合物は、チタン(Ti)原子を分子内に有する化合物で、かつ、前記反応液に可溶であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、塩化チタン、硝酸チタン、硫酸チタン、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンイソプロポキシド、アクリル酸チタンおよびメタクリル酸チタンなどが挙げられる。
バナジウム(V)化合物は、バナジウム(V)原子を分子内に有する化合物で、かつ、前記反応液に可溶であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、アセチルアセトンバナジウム、塩化バナジウム、ナフテン酸バナジウム、アクリル酸バナジウムおよびメタクリル酸バナジウムなどが挙げられる。
【0016】
リン(P)化合物は、リン(P)原子を分子内に有する化合物で、かつ、前記反応液に可溶であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリトルイルホスフィンおよび1,2−ビス(ジフェニルホスフィン)エタンなどの、アルキルホスフィン類およびその(メタ)アクリル酸塩等の4級ホスホニウム塩などが挙げられる。
アルミニウム(Al)化合物は、アルミニウム(Al)原子を分子内に有する化合物で、かつ、前記反応液に可溶であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、アセチルアセトンアルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アクリル酸アルミニウムおよびメタクリル酸アルミニウムなどが挙げられる。
【0017】
モリブデン(Mo)化合物は、モリブデン(Mo)原子を分子内に有する化合物で、かつ、前記反応液に可溶であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、塩化モリブデン、酢酸モリブデン、アクリル酸モリブデンおよびメタクリル酸モリブデンなどが挙げられる。
本発明の製造方法において、上記各種クロム化合物と上記その他の触媒とを併用する場合は、触媒全体中の上記その他触媒の配合割合は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定すればよい。
本発明の製造方法において、上記各種クロム化合物に、上記その他の触媒とを併用する場合は、併用する触媒全量を、原料(メタ)アクリル酸に対して、0.01〜10モル%の範囲で用いることが好ましく、より好ましくは0.05〜5モル%、さらにより好ましくは0.1〜3モル%である。0.01モル%未満では、反応速度が小さくなるため反応時間が長くなり生産性が低下することとなり、10モル%を超えると、副生成物の反応選択性が高くなるので好ましくない。
【0018】
また、上記各種クロム化合物に、均一系触媒であるアミン化合物を触媒として併用する場合には、原料(メタ)アクリル酸に対して、0.01〜10モル%の範囲で用いることが好ましく、より好ましくは0.05〜5モル%、さらにより好ましくは0.1〜3モル%である。0.01モル%未満では、反応速度が小さくなるため反応時間が長くなり生産性が低下するおそれがあり、10モル%を超えると、副生成物の反応選択性が高くなるおそれがある。
本発明の製造方法において、(メタ)アクリル酸とアルキレンオキシドとの反応形態は、この種の反応に一般的に用いられている方法に従って行うことができる。
【0019】
例えば、バッチ式で反応を行う場合、(メタ)アクリル酸中に液状のアルキレンオキシドを導入して行われる。溶媒中に(メタ)アクリル酸を溶解させてからアルキレンオキシドを導入してもよい。この際、アルキレンオキシドは、一括して、あるいは連続的にまたは間欠的に添加してもよい。そして連続的または間欠的に添加する場合、この種の反応においてよく行われるように、アルキレンオキシド導入後も反応を継続させて、いわゆる熟成を行い、反応を完結させることもできる。また、(メタ)アクリル酸も初期に一度に仕込む必要は必ずしもなく、いくつかに分割して投入することもできる。
【0020】
なお、バッチ式で反応を行う場合、触媒は、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、溶媒またはそれらの混合液中に予め溶解しておき、その後にアルキレンオキシドを導入するのが好ましい。また、(メタ)アクリル酸を分割投入する場合には、分割投入する(メタ)アクリル酸に触媒の一部を溶解し、(メタ)アクリル酸と共に投入してもよい。
また、連続式で反応を行う場合には、(メタ)アクリル酸と液状のアルキレンオキシドを管型、槽型などの反応器内に連続的に投入し、連続的に反応液を反応器から抜き出して行われる。この際、触媒は、原料とともに連続的に供給して反応液とともに連続的に抜き出してもよいし、管型などの反応器の場合には、固体触媒を反応器内に充填して使用する、いわゆる固定床形式で使用してもよく、また、槽型の反応器の場合には、固体触媒を反応器内で反応液とともに流動させて使用する、いわゆる流動床形式で使用してもよい。また、これら連続反応の場合には、反応液の一部を循環させる形態をとってもよい。
【0021】
なお、連続式で反応を行う場合、触媒は、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、溶媒またはそれらの混合液中に予め溶解しておいてから、反応器へ投入するのが好ましい。
原料(メタ)アクリル酸と原料アルキレンオキシドの反応器への投入については、それぞれ別々の投入ラインから投入してもよいし、反応器へ投入する前に、配管、又は、ラインミキサー、ミキシングタンクなどで予め混合してから投入してもよい。また、反応器出口液を反応器入口へ循環させる場合には、この液を原料(メタ)アクリル酸、原料アルキレンオキシドと混合してから反応器へ投入してもよい。しかし、(メタ)アクリル酸とアルキレンオキシドを別々の投入ラインから反応液中に投入した場合、(メタ)アクリル酸の投入口付近では反応液中のモル比が(メタ)アクリル酸過剰になるので、好ましくは、反応器へ投入する前に、それぞれの原料を配管などで予め混合してから投入するのがよい。
【0022】
反応温度は、通常、40〜130℃の範囲で行うことが好ましく、より好ましくは50〜100℃の範囲である。反応温度が40℃よりも低ければ、反応の進行が遅くなって実用レベルから離れてしまい、一方、反応温度が130℃よりも高ければ、副生成物が多くなったり、原料である(メタ)アクリル酸や生成物であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの重合等が起こるので好ましくない。
また、この反応において反応を温和に進行させることなどを目的として、溶媒中で反応を行ってもよい。溶媒としては、トルエン、キシレン、ヘプタン、オクタンなどの一般的なものを用いることができる。反応時の系内圧力は、使用する原料の種類や混合比にもよるが、一般には加圧下で行われる。
【0023】
また、反応の際には、一般に用いられている重合防止剤を使用することができる。重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール化合物;N−イソプロピル−N’−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−パラ−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−パラ−フェニレンジアミン等のパラフェニレンジアミン類;チオジフェニルアミン、フェノチアジン等のアミン化合物;ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅等のジアルキルジチオカルバミン酸銅塩類;ニトロソジフェニルアミン、亜硝酸イソアミル、N−ニトロソ−シクロヘキシルヒドロキシルアミン、N−ニトロソ−N−フェニル−N−ヒドロキシルアミン又はその塩等のニトロソ化合物;2,2,4,4−テトラメチルアゼチジン−1−オキシル、2,2−ジメチル−4,4−ジプロピルアゼチジン−1−オキシル、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル、2,2,5,5−テトラメチル−3−オキソピロリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、6−アザ−7,7−ジメチル−スピロ(4,5)デカン−6−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−アセトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ベンゾイルオキシピペリジン−1−オキシル、4,4’,4’’−トリス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)フォスファイト等のN−オキシル化合物などが例示される。重合防止剤の添加量は、カルボン酸に対して0.0001〜1重量%が好ましく、より好ましくは0.001〜0.5重量%である。
【0024】
本発明の製造方法においては、得られた粗ヒドロキシアルキルエステルについて、必要に応じ、さらに精製を行ってもよい。精製方法としては、特に限定されないが、例えば、蒸留による精製が挙げられる。より具体的には、例えば、汎用の蒸留塔、充填塔や泡鐘塔、多孔板塔などの精留塔などを用いる蒸留が挙げられるが、特にこれらに限定されない。また、蒸留精製に他の精製手段を併用してもよい。また、精製時にも、前述の重合防止剤を適宜使用できる。
【0025】
【実施例】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
−実施例1−
メタクリル酸448g、触媒として含有水分量3重量%の酢酸クロム0.90g、重合防止剤としてフェノチアジン0.45gを、容量1リットルの撹拌機付きSUS−316製オートクレーブに仕込み、その内部を窒素ガスで置換した後、60℃に昇温し、内圧を1.0気圧とした。252gの酸化エチレンを約4時間かけてほぼ等速で供給し、この間60℃に維持して反応させた。酸化エチレン供給後のメタクリル酸の反応転化率は75%であった。酸化エチレンの供給終了後、80℃に昇温して未反応のメタクリル酸が0.10重量%になるまで反応を継続した。2.1時間反応を継続することで、未反応のメタクリル酸が0.10重量%になったので、反応液を冷却した。得られた反応液中のヒドロキシエチルメタクリレート濃度は96.0重量%、ジエステル濃度は0.08重量%、ジエチレングリコールモノメタクリレート濃度は3.7重量%、エチレングリコール濃度は0.02重量%であった。
【0026】
−実施例2−
使用する触媒の含有水分量が5重量%のものを用いた以外は、実施例1と同様の操作により反応を行った。酸化エチレン供給後のメタクリル酸の反応転化率は75%であった。酸化エチレンの供給終了後、80℃に昇温して未反応のメタクリル酸が0.10重量%になるまで反応を継続した。2.0時間反応を継続することで、未反応のメタクリル酸が0.1重量%になったので、反応液を冷却した。得られた反応液中のヒドロキシエチルメタクリレート濃度は96.0重量%、ジエステル濃度は0.08重量%、ジエチレングリコールモノメタクリレート濃度は3.7重量%、エチレングリコール濃度は0.03重量%であった。
【0027】
−実施例3−
使用する触媒の含有水分量が10重量%のものを用いた以外は、実施例1と同様の操作により反応を行った。酸化エチレン供給後のメタクリル酸の反応転化率は75%であった。酸化エチレンの供給終了後、80℃に昇温して未反応のメタクリル酸が0.10重量%になるまで反応を継続した。2.25時間反応を継続することで、未反応のメタクリル酸が0.1重量%になったので、反応液を冷却した。得られた反応液中のヒドロキシエチルメタクリレート濃度は95.9重量%、ジエステル濃度は0.08重量%、ジエチレングリコールモノメタクリレート濃度は3.8重量%、エチレングリコール濃度は0.05重量%であった。
【0028】
−比較例1−
使用する触媒の含有水分量を0.5重量%のものを用いた以外は、実施例1と同様の操作で反応を行った。酸化エチレン供給後のメタクリル酸の反応転化率は60%であった。酸化エチレンの供給終了後、80℃に昇温して5.0時間反応を継続したが未反応のメタクリル酸が0.10重量%まで減少せず、反応液を観察したところ未溶解の触媒が液中に見られた。
−比較例2−
使用する触媒の含有水分量が21.0重量%のものを用いた以外は、実施例1と同様の操作により反応を行った。酸化エチレン供給後のメタクリル酸の反応転化率は68%であった。酸化エチレンの供給終了後、80℃に昇温して5.0時間反応を継続したが、未反応のメタクリル酸が0.10重量%まで減少しなかった。
【0029】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、触媒として均一系触媒であるクロム化合物を用いることにより、反応速度が速く、反応転化率が高く、触媒の分離操作が不要といった従来の利点を発揮させつつ、反応所要時間および目的生成物の収率に関して上述のようなばらつきを低減しかつ適度な範囲となるようにする、新規なヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの製造方法を提供することができる。
Claims (1)
- 触媒の存在下で(メタ)アクリル酸とアルキレンオキシドとを反応させてヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを製造する方法において、
前記触媒として含有水分濃度が1〜20重量%である酢酸クロムを用いるようにする、
ことを特徴とする、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの製造方法。
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