JP4073508B2 - 吸水性複合体および吸水性物品 - Google Patents

吸水性複合体および吸水性物品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な吸水性複合体および吸水性物品に関するものである。詳しくは、漏れが生じず、かつ吸水力、保水力および柔軟性に優れた新規な吸収性構体およびこれを用いた吸水性物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、生理用ナプキンや紙おむつ等の吸水性物品では、吸水力、保水力に優れる吸水性ポリマーが、パルプや吸水紙等に代わる吸収素材として注目を集め、応用開発が進められてきた。この吸水性ポリマーは、体液の吸収速度に限度があり、また、体液に濡れないと体液を吸収できないため、吸水性物品では、吸収速度の速いパルプ等と併用して用いられることが多い。
【0003】
しかし、吸水性物品中のパルプは乾燥時にはある程度の圧縮及び曲げ回復性を示すが、湿潤時には極度に強度が低下し、殆どそれらの回復性を示さない。このため、従来の吸水性物品では、体液で湿潤した吸水性物品に人体の運動による複雑な応力が加わると、パルプが変形して吸水性物品にヨレや片寄りを生じ、体液がそのヨレを伝わって流れ、横漏れを生ずるという問題があった。また、体液で湿潤することによりパルプの嵩が減少し、これにより吸水性物品と人体との間に隙間をつくる原因となり、同様に漏れを生じていた。
【0004】
そこで、これらの問題点を解決すべく現在までに各種の検討が行われてきた。たとえば、特公平3−67712号公報には、吸水性ポリマーを支持体上に固定しシート化したものを吸水性物品中に使用することにより、装着時の応力に対するヨレ、片寄りを防止する方法が示されている。しかし、これらのシートは吸水時の膨張異方性が低く、吸水性物品と人体との密着性については改善されていない。また、特開平3−162855号公報、特開平2−289608号公報には、異方膨張性を有したセルローススポンジ、ポリウレタンフォームを吸水性物品中に使用することにより、吸収速度および人体との密着性を改善したものが示されている。しかし、いずれの方法も、圧縮されたスポンジやフォームが水と接触したときに発現する弾性復元力だけを利用したもので、吸水性物品に含有される吸水性ポリマーは、保水能力の低いスポンジやフォームに一時的に保持された水分を吸収し保水するだけにしか用いられておらず、吸収体自身の膨張には殆ど寄与していない。そのため、おむつ等の吸水性物品に必要とされる高加圧下での吸収力が低いという欠点を有していた。また、これらのスポンジ、フォーム中に吸水性ポリマーを、膨張異方性が発現するように高濃度に分散固定し、かつ柔軟性を損なわないように形成することは非常に困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の有する問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、漏れが生じない新規な吸水性複合体およびこれを用いた吸水性物品を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、吸水力、保水力および柔軟性に優れ、一方向に特異的に膨張する機能を有した新規な吸水性複合体およびこれを用いた吸水性物品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の吸水性複合体及びこれを用いた吸水性物品により解決される。
【0008】
すなわち、本発明は、支持体としての繊維状物、および、アニオン性吸水性ポリマー粒子を含むシート状吸水性複合体であって、少なくとも総重量に対し30重量%の前記アニオン性吸水性ポリマー粒子を含有し、液体を吸収したときの下記式で特定される厚み方向の膨張異方性が以上であることを特徴とするシート状吸水性複合体である。
【0009】
膨張異方性=(Ez/Ex+Ez/Ey)/2
(ただし、Ex、EyおよびEzは、それぞれ、X軸方向、Y軸方向およびZ軸(厚み)方向の線膨潤倍率である。)
【0010】
本発明はさらに、総重量に対し80〜99重量%の前記アニオン性吸水性ポリマー粒子を含有し、かつ、0.9%食塩水からなる生理食塩水に対する遠心分離操作後の吸収倍率(30分)が10g/g以上である前記シート状吸水性複合体である。
【0011】
本発明はまた、前記アニオン性吸水性ポリマーが、バインダーとしてカチオン性架橋吸水性ポリマーを介して、支持体としての繊維状物に固着されている、前記シート状吸水性複合体である。本発明はまた、前記支持体に前記アニオン性吸水性ポリマー粒子が、前記カチオン性架橋吸水性ポリマーを介して固定され厚み方向に圧縮されてなる前記シート状吸水性複合体である。本発明はまた、前記カチオン性架橋吸水性ポリマーは、0.9%食塩水からなる生理食塩水に対する遠心分離操作後の吸収倍率(30分)が5g/g以上である前記シート状吸水性複合体である。
【0012】
本発明はさらに、厚さが0.2mm以上であり、生理食塩水に対する垂直吸引力(60分)が5cm以上であり、ガーレー剛性(JIS−L−1096)が1000mgfN以下である前記シート状吸水性複合体である。本発明は、また、0.4%食塩水に対する50g/cm での加圧下吸水量(30分)が20g/g以上である前記シート状吸水性複合体である。
【0013】
また、本発明は、生理用ナプキンまたは紙おむつからなる衛生用吸水性物品であって、液体透過性表面シートと、液体非透過性裏面シートとの間に、前記シート状吸水性複合体を含む衛生用吸水性物品である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の吸水性複合体は、液体を吸収したときの下記式で特定される膨張異方性が3以上であることを特徴とするものである。
【0015】
膨張異方性=(Ez/Ex+Ez/Ey)/2
(ただし、Ex、EyおよびEzは、それぞれ、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の線膨潤倍率である。)
該膨張異方性は、後述する方法により測定されるものであり、吸水性複合体が液体を吸収したときの、X軸方向およびY軸方向に対するZ軸方向への膨張性の度合いを表す指標である。すなわち、本発明の吸水性複合体は、液体を吸収したときの体積膨張が異方性を有し、主として厚み方向に膨張する。したがって、吸水性物品が体液で湿潤しても嵩が減少することなく逆に嵩が増加するので、人体とのフィット性が高まり漏れの生じない吸水性物品を得ることができるものである。吸水性複合体の前記膨張異方性が3未満では、人体との十分なフィット性が得られず好ましくない。さらに、前記膨張異方性が5以上であることが特に好ましい。
【0016】
また、本発明の吸水性複合体は、少なくとも総重量に対し30重量%以上の吸水性ポリマーを含有するものである。吸水性ポリマーの重量比を30重量%以上とすることにより、吸水性複合体の膨張異方性、吸収力がより高くなり、該吸水性複合体を含む吸水性物品を薄型化、コンパクト化することができる。特に、吸水性ポリマーの重量比が80〜99重量%のものが好ましい。
【0017】
本発明で用いられる吸水性ポリマーには、後述する吸水性複合体中の吸水性ポリマーおよび該吸水性ポリマーを支持体に固定する吸水性バインダーが含まれる。具体的には、架橋または架橋されていない親水性の天然高分子および合成高分子を使用することができる。天然高分子としては、でんぷん系、セルロース系等、合成高分子としては、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸塩系、ポリビニルアルコール系、ポリアクリルアミド系、ポリオキシエチレン系等が挙げられるが、これらの中では、ポリアクリル酸塩系およびポリアクリルアミド系高分子が好適に使用される。
【0018】
本発明の吸水性複合体としては、たとえば、支持体に吸水性ポリマーが吸水性バインダーを介して固定され厚み方向に圧縮された構造のものが挙げられる。
【0019】
前記支持体は、圧縮弾性率が60%以上のものが好ましく、特に三次元骨格構造や連続気泡構造を有するものが吸水時の復元力が強いので好ましい。圧縮弾性率が60%未満では、吸水時の復元力が弱く、高い膨張異方性が達成されず好ましくない。このような支持体としては、発泡ポリウレタンのような発泡体、粉末状、粒子状、シート状、短冊状、繊維状等の形態またはそれらの結合体が挙げられるが、好ましくは繊維状支持体である。繊維状支持体としては、天然または合成繊維、天然または合成パルプ等から作られる繊維状物、特に繊維シートが好適に使用される。繊維シートとしては、織布、不織布、紙、編地などが挙げられるが、各種繊維ウェブから作られる不織布が好適である。繊維は親水性繊維、疎水性繊維のいずれでも使用でき、親水性繊維としては、木材パルプ、綿、羊毛、レーヨン、アセテート、ビニロン等、疎水性繊維としては、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等が挙げられ、これらの混紡繊維も使用することができる。繊維状シートは、例えば、テープ状のものも含まれ、その厚みも特に限定はないが、例えば、0.01〜100mm、好ましくは0.1〜10mmのものが使用される。繊維シートとして長尺物を使用し、これを連続的に供給しながら製造することができ、このようにすると生産性良く、吸水性複合体を得ることができる。また、これらの繊維の直径は0.1〜1,000μm、好ましくは1〜100μmである。
【0020】
また、前記吸水性バインダーは、支持体、吸水性ポリマー及びバインダー同士を接着固定するために、吸水性複合体の柔軟性と密接な関係がある。そのため、前記バインダーは柔軟性のあるものがよく、具体的には、ガラス転移点が室温以下の架橋重縮合物が好適に用いられる。また、該バインダーは、それ自身が吸水膨張性を有することが望ましい。該バインダーを吸水膨張性とすることにより、得られる吸水性複合体の膨張異方性が向上し、さらに、優れた吸水力、保水力、柔軟性等が達成されるとともに、吸水性複合体中の吸水性ポリマー量を増加させ、相対的に支持体量を減らし、得られる吸水性複合体を薄型化することができる。具体的には、前記吸水性バインダーは、生理食塩水に対する遠心分離操作後の吸収倍率が5g/g以上であることが好ましい。該吸収倍率は、後述の方法で測定されるものであり、吸水性複合体の保水性を評価する指標である。該吸収倍率が5g/g未満では、膨張異方性、吸収力が向上せず、また、吸水性複合体の薄型化に寄与しないので好ましくない。このような吸水性バインダーとしては、ポリアリルアミン、ポリアルキレンポリアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリ(メタ)アクリルアミドのマンニッヒ反応物、ポリ(メタ)アクリルアミン、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートのホモポリマーまたは(メタ)アクリルアミドとのコポリマー、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートをハロゲン化アルキル(例えば塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル等)で4級化アンモニウム塩としたもののホモポリマーまたはその(メタ)アクリルアミドとのコポリマー、ポリジアルキルアリルアミン4級アンモニウム塩、4級化ビニルベンジルアミンのポリマー、キトサンのアセチル化物、エピクロルヒドリンと多価アミンまたはモノアミンとの縮合反応物等が挙げられる。これらのポリマーの重合中、または重合後に架橋剤を加えて架橋させたバインダーは、多数のカチオン性基を持ったポリカチオンであり、アニオン性の吸収性ポリマーと強いイオン結合を形成するため吸水膨張後も強い接着力を持つことができるので、吸水性バインダーとして好ましく用いられる。
【0021】
前記吸水性バインダーの製造に用いられるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートのハロゲン化アルキル4級塩としては、例えばN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のモノマーのハロゲン化アルキル4級塩が挙げられる。
【0022】
これらの吸水性バインダーは、重合後のポリマーを溶液、その他の形態で前記支持体に噴霧、塗布等の手段によって固着させてもよいが、モノマーもしくはモノマー混合物またはその水溶液の状態で前記支持体に含浸または付着させたのち、該モノマーまたはモノマー混合物を重縮合させて吸水性バインダーを前記支持体に固着させる方法が望ましい。
【0023】
前記モノマーまたはモノマー混合物の重合は、重合開始剤の存在下に0〜200℃、好ましくは50〜150℃の温度で行なわれる。
【0024】
重合開始剤としては、水溶性または水と混合・分散可能な酸化性またはアゾ系のラジカル性重合開始剤が好適である。例えば、酸化性重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、ジ第3ブチルペルオキシド、アセチルペルオキシド等の有機過酸化物等が挙げられ、アゾ系重合開始剤としては、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)2塩酸塩、4,4´−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ化合物を挙げることができる。
【0025】
また、必要によりこれらの酸化性重合開始剤とアゾ系重合開始剤の併用に加え、さらに上記重合開始剤を複数併用したり亜硫酸塩やL−アスコルビン酸等の還元性物質を添加してレドックス重合を行なってもよい。重合開始剤は、前記モノマーの合計量に対して0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%用いられる。
【0026】
この際、必要に応じ前記モノマーの合計量に対して0.0001〜10重量%、好ましくは0.01〜2重量%の架橋剤が必要により配合される。架橋剤としては、分子中に2個以上の不飽和二重結合を有する化合物、例えばN,N´−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0027】
前記支持体100重量部に対する前記吸水性バインダーの固着量は1〜10,000重量部、好ましくは10〜5,000重量部、最も好ましくは50〜1,000重量部である。
【0028】
つぎに、前記吸水性ポリマーとしては、水溶性のエチレン性不飽和モノマーのホモポリマーまたはコポリマー等が挙げられる。このようなモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、および、それらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩等のアニオン性吸水性ポリマーを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。好ましくはアクリル酸またはその塩である。
【0029】
前記モノマー中には、必要によりモノマーの合計量に対して0.0001〜10重量%、好ましくは0.01〜2重量%の架橋剤が配合される。架橋剤としては、分子中に2個以上の不飽和二重結合を有する化合物、例えばN,N´−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、硫酸アルミニウムなどを挙げることができる。
【0030】
これら吸水性ポリマーは、予め重合器中で重合され、必要により乾燥、粉砕されて粒子として得られる。すなわち、前記モノマーもしくはモノマー混合物またはその水溶液を、重合器中で重合開始剤の存在下に0〜200℃、好ましくは50〜150℃の温度で重合する。
【0031】
重合開始剤としては、水溶性または水と混合・分散可能な酸化性またはアゾ系のラジカル性重合開始剤が好適である。例えば、酸化性重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酸化水素;ジ第3ブチルペルオキシド、アセチルペルオキシド等の有機過酸化物等が挙げられ、アゾ系重合開始剤としては、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)2塩酸塩、4,4´−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ化合物を挙げることができる。
【0032】
また、必要によりこれらの酸化性重合開始剤とアゾ系重合開始剤の併用に加え、さらに上記重合開始剤を複数併用したり亜硫酸塩やL−アスコルビン酸等の還元性物質を添加してレドックス重合を行なってもよい。重合開始剤は、前記モノマーの合計量に対して0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%用いられる。得られる吸水性ポリマー粒子の平均粒径は、1,000〜10μm、好ましくは600〜100μmである。
【0033】
得られた吸水性ポリマー粒子は、前記吸水性バインダー粒子が固着されている支持体上に、散布、その他の方法で均一に分散されたのち、プレス等の手段で該吸水性バインダー表面に固着される。その量は、該吸水性バインダー100重量部に対して、10〜10,000重量部、好ましくは100〜1,000重量部である。
【0034】
このようにして得られた吸水性複合体は、例えば支持体として繊維状物を使用した場合には、繊維に固着した吸水性バインダーを介して吸水性ポリマー粒子が繊維に固着した状態になっている。
【0035】
本発明の吸水性複合体は、さらに高い膨張異方性を付与するため、上記により得られた吸水性複合体をさらに加圧したり、複数枚重ね合わせて加圧した構造とすることが好ましい。複数枚の吸水性複合体を重ね合わせるには、単に加圧してもよいが、必要に応じて接合表面を加湿してもよい。
【0036】
また、本発明の吸水性複合体は、吸水性複合体の表面近傍に親水性を付与し、液体の拡散吸水速度を改善するため、微小親水性繊維を該吸水性複合体の表面近傍に付着させることが好ましい。微小親水性繊維としては、セルロースパウダー、ミルトファイバー等が挙げられる。また、該微小親水性繊維の付着量は、前記吸水性複合体の総重量に対し0.01〜5重量%がよい。該微小親水性繊維の付着量が0.01重量%未満では微小親水性繊維の添加の効果が得られず、5重量%を超えると戻り量が増えコストも高くなるので好ましくない。
【0037】
本発明の吸水性複合体は、前述の生理食塩水に対する遠心分離操作後の吸収倍率が10g/g以上であることが好ましい。吸水性複合体の該吸収倍率が10g/g未満では、膨張異方性、吸収力が低くなり吸収物品に使用した際の性能が上がらないため好ましくない。
【0038】
前記の方法で作成された吸水性複合体は、高い圧縮弾性率をもつ支持体空間中に、吸水性ポリマーをイオン性接着力を有する柔軟なバインダーを介して固定した構造をもつ。また、該構造体の総重量に対する吸水性ポリマーの含有量は30重量%以上の高濃度である。このような構造体に水性液体を接触させると、水性液体は支持体間、または支持体と吸水性ポリマーおよびバインダー間の空間を毛細管現象によって瞬時に拡散し、水性液体が保持される。これと同時に吸水性ポリマーの吸水膨張が始まり、前記の効果を助長し、構造体をさらに膨張させる。しかし、吸水性ポリマーはバインダーを介して支持体に固定されているため、等方向には膨張できず、所定の一方向にのみ膨張し、該吸水性複合体は膨張異方性を示すものである。また、該吸水性複合体における膨張力は、主に吸水性ポリマーの吸水膨張に起因しているため、高加圧下状態においても良好な膨張異方性、吸収力を示す。さらに、吸水性複合体が複数枚加圧されている場合については、上記の現象がより顕著に現れるため、膨張異方性はより大きくなる。
【0039】
つぎに、本発明の吸水性物品は、液体透過性の表面シートと、液体非透過性の裏面シートとの間に前記吸水性複合体を含むものであればよく、該吸水性複合体の機能を阻害しない範囲であれば、紙、繊維、無機粒子等の他の素材を含んでもよい。前記表面シートとしては、液体透過性を有するものであれば特に限定されるものではなく、たとえば不織布、織布、紙、メッシュシート等を用いることができるが、中でもポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維からなる不織布シートが好適に用いられる。また、前記裏面シートとしては、非透水性のものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール等の合成樹脂フィルムが好適に用いられる。
【0040】
また、本発明の吸水性複合体の用途は、前記衛生材用吸水性物品に限定されるものでなく、該吸水性複合体の膨張異方性を利用した機能性材料やおもちゃ等の分野にも使用することができる。
【0041】
なお、本発明の吸水性複合体を吸水性物品として利用する場合は、少なくとも5cm3 、好ましくは10〜200cm3 の体積を有し、厚さが0.2mm以上、好ましくは0.5〜5mm、密度が0.3〜1.1g/cm3 、好ましくは0.3〜1.0g/cm3 の範囲であるシート状物が好ましい。また、その垂直吸引力が5cm以上、好ましくは6.5〜10cm、加圧下吸水量が20g/g以上、好ましくは23g/g以上、ガーレー剛性が1000mgfN以下、好ましくは0〜500mgfNであるものが好ましい。ただし、本発明の吸水性複合体を前記の機能を利用した新規な吸収体として用いる場合にはこの限りではない。
【0042】
【実施例】
つぎに、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0043】
なお、本発明の参考例、実施例および比較例で得られた吸水性ポリマーまたは吸水性複合体の吸収特性は、以下の方法により測定した。
【0044】
(1)吸収倍率
0.2gの吸水性ポリマー粒子または吸水性複合体を6cm×6cmの不織布のティーバッグ式袋に入れて縁部をヒートシールした。これを生理食塩水(0.9%食塩水)に30分間浸漬し、その後遠心分離器(250G)で3分間余剰の生理食塩水を除去して重量(W1)を測定した。別に吸水性ポリマー粒子または吸水性複合体を入れずに同様の操作を行いブランク値の重量(W0)とした。(W1)より(W0)を差し引いた値を、吸水性ポリマー粒子または吸水性複合体の重量(0.2g)で除して吸収倍率(g/g)とした。
【0045】
(2)加圧下吸収量
内径160mm、高さ20mmのガラスシャーレ中に直径120mmのガラスフィルター板(G#1)を置き、0.4%食塩水をガラスフィルター板の頂部まで満たして、濾紙(東洋濾紙会社製 FILTER PAPAER No.2)をガラスフィルター板の上に載せた。つぎに、内径60cm、高さ60cmの円筒の底部に400メッシュのステンレス製の金網を固定したアクリル樹脂容器中に0.9gの吸水性ポリマー粒子を均一に散布し、さらに円筒内部に50g/cm2 の加重を載せて円筒集合体とし、重量(W1)を測定した。この円筒集合体を濾紙上に載せ、30分間0.4%食塩水を吸収させた。吸収中はガラスシャーレ中の0.4%食塩水の液量を一定に保持した。30分後に円筒集合体の重量(W2)を測定し、(W2)より(W1)を差し引いた値を吸収前の吸水性樹脂の重量で除して加圧下吸収量(g/g)とした。
【0046】
吸水体が吸水性複合体の場合は、3.1cm×3.1cmの大きさに打ち抜いて秤量してアクリル容器底部に置き、荷重が50g/cm2 となるように調整して同様の操作で加圧下吸収量(g/g)を求めた。
【0047】
(3)吸水速度
1平方インチ(2.54cm×2.54cm)に打ち抜いた吸水性複合体の重量を秤量し、つぎに、内径Φ5.5cm、高さ1.5cmのポリプロピレン容器内に、吸水性複合体の重量の10倍の0.4%食塩水を注いだ。打ち抜いた吸水性複合体を液中に投入し、すべての液を吸収するまで(45度に傾けて液だまりができない状態)の時間を測定し、吸水速度(秒)とした。
【0048】
(4)垂直吸引力
吸水性複合体を2cm×10cmの帯状に切り取り、生理食塩水中に吸水性複合体の先端が2mm浸漬するようにして垂直に吊り下げた。60分後に吸水性複合体の先端から垂直方向に液を吸い上げた距離を測定し垂直吸引力(cm)とした。
【0049】
(5)柔軟性
吸水性複合体を2.54cm×8.89cm(1インチ×3.5インチ)の帯状に打ち抜き、温度25℃および湿度50%中においてJIS−L−1096に規定されたガーレー剛性の測定法に基づいて柔軟性を測定した。さらに、これを温度70℃で3時間乾燥させた後、同様にして測定した。
【0050】
(6)圧縮弾性率
吸水性複合体の支持体不織布を5cm×5cmの試験片に打ち抜き3枚に重ねJIS−L−1096記載の方法に準じた圧縮弾性度試験機(押金5cm)により初期荷重7g/cm2 のもとで厚さ(T0)を測り、次に荷重を150g/cm2 にして1分間放置して厚さ(T1)を測った。その後荷重を除き1分間放置した後、再び荷重を初期荷重と同じ7g/cm2 にして厚さ(T2)を測り、次式により圧縮弾性率(%)を算出した。圧縮弾性率の測定は5回行い、その平均値を採用した。
【0051】
圧縮弾性率(%)={(T2)−(T1)}/{(T0)−(T1)}×100
(7)膨張異方性
吸水性複合体を5cm×5cmの試験片に打ち抜き各辺の長さ、X軸方向長さ(X0)、Y軸方向長さ(Y0)、Z軸方向長さ(Z0)を測定した。試験片を生理食塩水に30分間浸漬し、その後遠心分離機(250G)で3分間余剰の生理食塩水を除去した。膨張した吸水性複合体のX軸(X1)、Y軸(Y1)、Z軸(Z1)長さを測定し次式により膨張異方性を算出した。
【0052】
X軸方向の線膨潤倍率(Ex)=(X1)/(X0)
Y軸方向の線膨潤倍率(Ey)=(Y1)/(Y0)
Z軸方向の線膨潤倍率(Ez)=(Z1)/(Z0)
膨張異方性=(Ez/Ex+Ez/Ey)/2
(8)傾斜流出試験
縦15cm×横7cmに切断した吸水性複合体を45度に傾けた傾斜面に取り付け、シート上端面より7ml/秒の速度で生理食塩水を滴下し吸水シートに吸水させた。吸水シートが液を吸収しきれなくなり下方から溢れ出る時を終点とし、注入開始から終点までの時間(秒)と、終点までに吸水シートが吸収した液重量(g)を測定した。
【0053】
(9)戻り量
12cm×25cmの大きさに切断した吸水性複合体の上に子供用おむつ(商品名:パンパース プロクター・アンド・ギャンブル・ ファーイースト・インク社製)と称する紙おむつから取り出した不織布を重ね合わせ同じ大きさに切断することにより簡易吸収体を作成した。作成した簡易吸収体を2枚のアクリル板間に挟んで載置した。なお、上側のアクリル板は簡易吸収体の中央部に対応する位置に内径23mmの液注入管を備えた構造になっており、簡易吸収体の中央に吸収液を注入することができる。この状態で液注入管に生理食塩水50mlを30分おきに計3回注入し、3回目の操作を行ってから30分後に上面のアクリル板を取り外し、あらかじめブランク重量を測定したキッチンタオル(商品名:ネピア 新王子製紙株式会社製)10枚を二つ折りにして簡易吸収上に載置し、その上に荷重を載せて57g/cm2 の圧力がかかるようにした。1分後にキッチンタオル10枚を取り出して重量を測定し、あらかじめ測定しておいたキッチンタオル10枚のブランク重量を差し引いて増加分の重量を求め、戻り量(g)とした。
【0054】
[参考例1]
坪量30g/m2 、圧縮弾性率72%のポリエステル不織布(厚さ2mm)に対して、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩(79%水溶液)100重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.49重量部、ヒドロキシエチルセルロース1.2重量部、過硫酸ナトリウム0.29重量部および脱イオン水45.5重量部よりなる単量体水溶液をその付着量が127g/m2 となるように付着せしめた。ついで、該単量体水溶液が付着した不織布を窒素雰囲気下に100℃で10分間保持して単量体の重合を行い、吸水性バインダーが不織布に固着した支持体シートを得た。得られた支持体シートの吸水性バインダー付着量は70g/m2 、吸収倍率は10g/gであった。
【0055】
[参考例2]
窒素シールされた除熱可能な反応容器中、75モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウム塩の水溶液5500重量部(単量体濃度37%)に、架橋剤としてトリメチロールプロパントリアクリレート1.7重量部を溶解し、窒素ガスで30分間脱気後過硫酸アンモニウム2.8重量部およびL−アスコルビン酸0.14重量部を添加し、反応温度30〜70℃で重合を行った。重合開始60分後に重合物を約5mmの径に細分化された含水ゲル重合体として取り出し、該含水ゲル状重合体の細粒化物を50メッシュ金網に広げて150℃で90分間熱風乾燥を行った。乾燥物をロール型粉砕機を組み合わせて粉砕し、粒子径が150〜850μmである吸収倍率35g/gの吸水性ポリマー粒子を得た。得られた吸水性ポリマー粒子100重量部に対し、グリセリン0.5重量部、水2重量部およびエチルアルコール0.5重量部からなる架橋剤水溶液を添加混合し、得られた混合物を196℃で45分間加熱処理して吸水性ポリマー粒子を得た。吸収倍率は30g/g、加圧下吸収倍率は29g/gであった。
【0056】
[参考例3]
参考例2と同様の反応容器中で80モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウム塩の水溶液5500重量部(単量体濃度35%)に、架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート5.2重量部を溶解し、窒素ガスで30分間脱気後、過硫酸アンモニウム2.8重量部、2−2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.2重量部およびL−アスコルビン酸0.14重量部を添加し2−2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二アクリル酸塩を析出させた後、参考例2と同条件下で重合し、粒子径が150〜850μmの発泡体である吸水性ポリマー粒子を得た。この吸水性ポリマー粒子を参考例2と同様に後架橋することによって吸水性ポリマー粒子を得た。得られた吸水性ポリマー粒子の吸収倍率は40g/g、加圧下吸収倍率28g/gで多数の気泡を有した発泡粒子であった。
【0057】
[参考例4]
参考例1で得られた吸水性バインダーが固着した支持体シートを10cm×30cmの大きさに裁断し、シート全体に参考例2で得られた吸水性ポリマー粒子を添加し、さらに圧力2kg/cm2 でプレスし付着させて参考用吸水性複合体を得た。得られた参考用吸水性複合体の坪量は300g/m2 、厚さは0.7mm、密度は0.43g/cm3 、体積は21cm3 であり、吸水性ポリマー粒子の付着量は200g/cm2 であった。
【0058】
[参考例5]
参考例4と同様の操作で、参考例1で得られた吸水性バインダーが固着した支持体シートに参考例3で得られた吸水性ポリマー粒子を付着させ、参考用吸水性複合体を得た。得られた参考用吸水性複合体の坪量は300g/cm2 、厚さは0.7mm、密度は0.43g/cm3 、体積は21cm3 であり、アニオン性吸収性ポリマー粒子の付着量は200g/cm2 であった。
【0059】
[実施例1]
参考例4で得られた参考用吸水性複合体を2枚重ね合わせてアクリル版に挟み盤面Φ17cmの簡易プレス機で5kgf/cm2 、1分間プレスした後、表面にセルロースパウダー(CF11/Watman Bio Systems Ltd製)を30g/m2 付着させて厚さ1.0mm、密度0.6g/cm3 の本発明の吸水性複合体を作成した。
【0060】
[実施例2]
参考例5で得られた参考用吸水性複合体を2枚使用し、実施例1と同様の操作を繰り返し、厚さ1.0mm、密度0.58g/cm3 の本発明の吸水性複合体を作成した。
【0061】
[実施例3]
参考例4で得られた参考用吸水性複合体を4枚使用し、実施例1と同様の操作を繰り返し、厚さ1.5mm、密度0.77g/cm3 の本発明の吸水性複合体を作成した。
【0062】
[実施例4]
参考例5で得られた参考用吸水性複合体を4枚使用し、実施例1と同様の操作を繰り返し、厚さ1.6mm、密度0.7g/cm3 の本発明の吸水性複合体を作成した。
【0063】
[実施例5]
参考例1と同様の操作で坪量120g/cm2 、圧縮弾性率75%、厚さ8cmのポリエステル不織布に吸水性バインダーを重合、付着させ、280g/m2 の吸水性バインダーが固着した支持体シートを作成した。つぎに、参考例4と同様の操作で作成した吸水性バインダーシートに、参考例2で得られた吸水性ポリマー粒子800g/m2 を付着させ、さらに、実施例1の方法で厚さ1.6mm、密度0.7g/cm3 の本発明の吸水性複合体を作成した。
【0064】
[実施例6]
坪量30g/m2 、圧縮弾性率72%のポリエステル不織布(厚さ2mm)に対して、ポリエチレンイミン(30%水溶液)20重量部、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.025重量部を混合した単量体水溶液をその付着量が417g/m2 となるように付着せしめた。ついで、該単量体水溶液が付着した不織布を窒素雰囲気下に80℃で30分間保持して、吸水性バインダーが不織布に固着した支持体シートを得た。得られた支持体シートの吸水性バインダー付着量は125g/m2 、吸収倍率は5g/gであった。
【0065】
上記で得られた吸水性バインダーが固着した支持体シートを10cm×30cmの大きさに裁断し、シート全体に参考例2で得られた吸水性ポリマー粒子を添加し、さらに圧力2kg/cm2 でプレスし付着させて吸水性複合体を得た。得られた吸水性複合体の坪量は317g/m2 、厚さは0.7mm、密度は0.45g/cm3 、体積は21cm3 であり、吸水性ポリマー粒子の付着量は162g/m2 であった。
【0066】
さらに、この吸水性複合体を4枚使用し、実施例1と同様の操作を繰り返し、厚さ1.6mm、密度0.79g/cm3 の本発明の吸水性複合体を作成した。
[比較例1]
参考例2で得られた吸水性ポリマー粒子55重量部と、親水性繊維としての木材粉砕パルプ45重量部とを、ミキサーを用いて乾式混合した。得られた混合物36gを30cm×10cmの枠内に均一に広げて噴霧加温した後、アクリル板に挟み盤面Φ17cmの簡易プレス機で5kgf/cm2 、1分間プレスし厚さ2.0mm、密度0.60g/cm3 の比較用吸水性複合体を作成した。
【0067】
[比較例2]
市販されているパルプスポンジ(日本ポリエステル株式会社製)厚さ1.8mm、密度0.44g/cm3 を切断して比較用吸水性複合体とした。
【0068】
[比較例3]
坪量30g/m2 、圧縮弾性率72%のポリエステル不織布に対し、75%中中和アクリル酸カリウム100重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.17重量部、ヒドロキシエチルセルロース1.24重量部、過硫酸ナトリウム0.29重量部および脱イオン水45.1重量部よりなる単量体水溶液をその付着量が790g/cm2 となるように付着せしめた。ついで、該単量体水溶液が付着した不織布を窒素雰囲気下に120℃で3分間保持して単量体の重合を行い、吸水性ポリマーが不織布に固着した吸収倍率17g/gの支持体シートを得た。この支持体シート100重量部にエチレングリコールジグリシジルエーテル0.5重量部、水3重量部、イソプロピルアルコール1重量部からなる架橋剤水溶液を噴霧添加し、100℃で30分間加熱処理して吸収倍率15g/gの吸水性複合体を得た。こうして得られた吸水性複合体を4枚重ね合わせてアクリル板に挟み盤面Φ17cmの簡易プレス機で5kgf/cm2 、1分間プレスした後、表面にセルロースパウダー(CF11/Watman Bio Systems Ltd製)を30g/m2 付着させて厚さ3.0mm、密度0.69g/cm3 の比較用吸水性複合体を作成した。
【0069】
実施例1〜6および比較例1〜3で得られた吸水性複合体の物性を表1に、吸収特性を表2に示した。
【0070】
【表1】
Figure 0004073508
【0071】
【表2】
Figure 0004073508
【0072】
【発明の効果】
このように、本発明の吸水性複合体は、液体を吸収すると体積が主として厚み方向に膨張し、吸水性物品が体液で湿潤しても嵩が減少することなく逆に嵩が増加するので、人体とのフィット性が高まり漏れの生じない吸水性物品を得ることができる。また、支持体、例えば繊維状物の含有量が少ないので、極めて薄型の吸水性物品を得ることができる。
【0073】
さらに、本発明の吸水性複合体は、加圧下吸水量が大きいので、漏れの少ない吸水性物品を得ることができる。また、垂直吸引力が大きいので、おむつ等の吸水性物品の全体が使用できる。さらに、ガーレー剛性が小さいので、柔軟性があり、型くずれせずヨレが生じにくいので横漏れ等がなく、装着感にも優れた吸水性物品を得ることができる。

Claims (11)

  1. 支持体としての繊維状物、および、アニオン性吸水性ポリマー粒子を含むシート状吸水性複合体であって、
    少なくとも総重量に対し30重量%の前記アニオン性吸水性ポリマー粒子を含有し、
    前記アニオン性吸水性ポリマーが、バインダーを介して、支持体としての繊維状物に固着され、
    液体を吸収したときの下記式で特定される厚み方向の膨張異方性が5以上であることを特徴とするシート状吸水性複合体。
    膨張異方性=(Ez/Ex+Ez/Ey)/2
    (ただし、Ex、EyおよびEzは、それぞれ、X軸方向、Y軸方向およびZ軸(厚み)方向の線膨潤倍率である。)
  2. 0.9%食塩水からなる生理食塩水に対する遠心分離操作後の吸収倍率(30分)が10g/g以上である請求項1記載のシート状吸水性複合体。
  3. 総重量に対し80〜99重量%の前記アニオン性吸水性ポリマー粒子を含有し、かつ、0.9%食塩水からなる生理食塩水に対する遠心分離操作後の吸収倍率(30分)が10g/g以上である請求項1記載のシート状吸水性複合体。
  4. 垂直吸引力が、5.5cm〜7.2cmである、請求項1〜3記載のシート状吸水性複合体。
  5. 前記アニオン性吸水性ポリマーが、吸水性バインダーを介して、支持体としての繊維状物に固着されている、請求項1〜4記載のシート状吸水性複合体。
  6. 前記アニオン性吸水性ポリマーが、バインダーとしてカチオン性架橋吸水性ポリマーを介して、支持体としての繊維状物に固着されている、請求項1〜5記載のシート状吸水性複合体。
  7. 前記支持体に前記アニオン性吸水性ポリマー粒子が、前記カチオン性架橋吸水性ポリマーを介して固定され厚み方向に圧縮されてなる請求項6記載のシート状吸水性複合体。
  8. 前記カチオン性架橋吸水性ポリマーは、0.9%食塩水からなる生理食塩水に対する遠心分離操作後の吸収倍率(30分)が5g/g以上である請求項6または7記載のシート状吸水性複合体。
  9. 厚さが0.2mm以上であり、生理食塩水に対する垂直吸引力(60分)が5cm以上であり、ガーレー剛性(JIS−L−1096)が1000mgfN以下である請求項1〜8記載のシート状吸水性複合体。
  10. 0.4%食塩水に対する50g/cmでの加圧下吸水量(30分)が20g/g以上である請求項1〜9記載のシート状吸水性複合体。
  11. 生理用ナプキンまたは紙おむつからなる衛生用吸水性物品であって、
    液体透過性表面シートと、液体非透過性裏面シートとの間に、請求項1〜10記載のシート状吸水性複合体を含む衛生用吸水性物品。
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