JP4073343B2 - 光透過ナノスタンプ方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加圧機構を有する光透過性スタンパを用い、基板上に微細構造体を形成するナノプリント転写法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路は微細化,集積化が進んでおり、その微細加工を実現するためのパターン転写技術としてフォトリソグラフィ装置の高精度化が進められてきた。しかし、加工方法が光露光の光源の波長に近づき、リソグラフィ技術も限界に近づいてきた。そのため、さらなる微細化,高精度化を進めるために、リソグラフィ技術に代わり、荷電粒子線装置の一種である電子線描画装置が用いられるようになった。
【0003】
電子線を用いたパターン形成は、i線、エキシマレーザー等の光源を用いたパターン形成における一括露光方法とは異なり、マスクパターンを描画していく方法をとるため、描画するパターンが多ければ多いほど露光(描画)時間がかかり、パターン形成に時間がかかることが欠点とされている。そのため、256メガ、1ギガ、4ギガと、集積度が飛躍的に高まるにつれ、その分パターン形成時間も飛躍的に長くなることになり、スループットが著しく劣ることが懸念される。そこで、電子ビーム描画装置の高速化のために、各種形状のマスクを組み合わせそれらに一括して電子ビームを照射して複雑な形状の電子ビームを形成する一括図形照射法の開発が進められている。この結果、パターンの微細化が進められる一方で、電子線描画装置を大型化せざるを得ないほか、マスク位置をより高精度に制御する機構が必要になるなど、装置コストが高くなるという欠点があった。
【0004】
これに対し、微細なパターン形成を低コストで行うための技術が下記特許文献1及び2、非特許文献1などにおいて開示されている。これは、基板上に形成したいパターンと同じパターンの凹凸を有するスタンパを、被転写基板表面に形成されたレジスト膜層に対して型押しすることで所定のパターンを転写するものであり、特に特許文献2記載や非特許文献1のナノインプリント技術によれば、シリコンウエハをスタンパとして用い、25ナノメートル以下の微細構造を転写により形成可能であるとしている。
【0005】
また、下記特許文献3には、基板上に液体状の光硬化性物質からなる光硬化性物質層を形成する工程と、光透過性の物質からなり一方の面側に所定のパターンの溝が形成されたモールドを基板に圧着させる工程と、モールドの他方の面側から光を照射することにより光硬化性物質層を硬化し、溝のパターンに嵌合するパターンを有するレジストパターンを形成する工程と、基板からモールドを脱着する工程とによりパターンを形成法が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
米国特許5,259,926号公報
【特許文献2】
米国特許5,772,905号公報
【特許文献3】
特開2000−194142号公報
【非特許文献1】
S.Y.Chou et al.,Appl.Phys.Lett.,vol.67,p.3314(1995)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献3では、ネガ型レジストを用いており、アスペクト比が高く微細なパターンの形成には不向きであった。
以上の技術課題に鑑み、本発明は、光透過性スタンパを用いるナノプリント法とポジ型レジストを組合せて用いることでアスペクト比が高く微細なパターンの形成を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、レジストとしてポジ型レジストを用いることにより上記課題が解決されることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、光透過ナノスタンプ方法の発明であり、基板上に微細構造を形成するために、基板と、表面に微細な凹凸が形成されたスタンパを加圧し、スタンパ裏面より光照射する光透過ナノスタンプ方法において、前記基板にポジ型レジスト層を形成する工程、光透過性スタンパを基板上のポジ型レジスト層に加圧し、レジスト層を変形させる工程、光透過性スタンパ裏面より光を照射する工程、レジストを現像する工程を含むことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
先ず、図1を参照しながら、光透過性スタンパを用いたナノプリント方法について説明する。石英基板等の表面に微小なパターンを有するスタンパを作製する。これとは別の基板上にポジ型感光性樹脂膜を設ける(図(a))。図示しない加圧機構を有するプレス装置を用い、所定の圧力でスタンパをポジ型感光性樹脂膜上にプレスする(図(b))。プレス後に、該光透過性のスタンパの上方より光を照射して、露光部のみ反応させる(図(c))。スタンパと基板を剥離して、スタンパの微細なパターンを基板上の樹脂膜に転写する(図(d))。基板を現像して、アスペクト比の高いレジスト膜を形成する(図(e))。
【0010】
ナノプリント方法によれば、▲1▼集積化された極微細パターンを効率良く転写できる、▲2▼装置コストがやすい、▲3▼複雑な形状に対応できピラー形成なども可能である、等の特徴がある。
ナノプリント法の応用分野については、▲1▼DNAチップや免疫分析チップ等の各種バイオデバイス、特に使い捨てのDNAチップ等、▲2▼半導体多層配線、▲3▼プリント基板やRF MEMS、▲4▼光または磁気ストレージ、▲5▼導波路、回折格子、マイクロレンズ、偏光素子等の光デバイス、フォトニック結晶、▲6▼シート、▲7▼LCDディスプレイ、▲8▼FEDディスプレイ、等広く挙げられる。本発明はこれらの分野に好ましく適用される。
【0011】
本発明において、ナノプリントとは、数100μmから数nm程度の範囲の転写を言う。
本発明において、プレス装置は、加圧機構を有し、光透過性スタンパの上方より光を照射できる機構を有するものが、パターン転写を効率良く行う上で好ましい。
【0012】
本発明において、スタンパは、転写されるべき微細なパターンを有するものであり、スタンパに該パターンを形成する方法は特に制限されない。例えば、フォトリソグラフィや電子線描画法等、所望する加工精度に応じて、選択される。スタンパの材料としては、石英、ガラス、セラミック、プラスチック等、透明で強度と要求される精度の加工性を有するものであれば良い。
【0013】
本発明において、基板となる材料は特に限定されないが、所定の強度を有するものであれば良い。具体的には、シリコン、各種金属材料、ガラス、セラミック、プラスチック、等が好ましく例示される。
【0014】
本発明において、ポジ型感光性樹脂は特に限定されないが、所望する加工精度に応じて、選択される。具体的には、OFPR800(東京応化製)、AZ3100(クラリアント製)、AZ6112(クラリアント製)、MEGAPOSIT SPR 6800(シプレー製)等を用いることができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
[実施例1:スタンパの作製]
本発明の実施の形態の1つである、光透過ナノスタンプ法に用いるスタンパについて、その作製方法を図2を用いて説明する。図2は概念図であり、パターン形状は単純化しかつ大きめに書かれていることを断っておく。
【0016】
まず、図2(a)のように5インチφ厚さ0.5mmの石英基板1を準備した。次に図2(b)のようにスピンコーターを用いて、電子線露光用のフォトレジスト2(OEBR1000、東京応化製)を100nm厚みで塗布した。続いて、図2(c)のように電子線描画装置JBX6000FS(日本電子製)を用い、電子線ビーム3で直接描画することにより露光し、現像することにより、図2(d)のような直径30nm円形パターンが並んだ凹凸を形成した。図2(d)の凹凸をマスクパターンとして石英基板1のCF4ガスを用いたドライエッチングを行い、図2(e)のように石英基板1に100nm深さの凹凸を形成した。さらにレジストを残したまま図2(f)のようにCrを50nmの厚みでスパッタ成膜した。この後レジストの現像を行って、レジストおよびレジスト上に成膜されたCrを除去した。以上のプロセスで、図2(g)のパターン凸部は光透過性を有するが、パターン凹部はCr膜が遮光するために光透過性を有さないスタンパを得た。
【0017】
[実施例2:柱状構造体形成]
次に図2(g)のパターン凸部光透過性スタンパによる光透過ナノスタンプ方法を図3を用いて説明する。被転写基板としては、スタンパとの熱膨張差をなくすために石英基板を用いた。図3(a)のように石英基板上にポジ型レジストOFPR800(東京応化製)を500nm厚みになるようにスピンコートした。さらに0.1Torr以下に減圧し、250℃に加熱することにより、レジスト中の溶剤成分を揮発させ、粘度を上げて成形性を持たせた。次に図3(b)のように3MPaで10分間加圧することにより、レジストを成型した。続いて図3(c)のように紫外線で露光した。スタンパ凸部は光を透過するのでその下のレジストは可溶化した。一方スタンパ凹部は遮光性のCr膜が形成されているので、その下のレジストは変化を生じなかった。図3(d)のように真空チャックでスタンプ、被転写石英基板それぞれを固定し、0.1mm/sでスタンプを上方に引き上げて剥離を行った。すると図3(e)のように直径30nm高さ200nmの柱状構造体が形成された。レジスト現像液NMD3(東京応化製)で現像するとレジスト可溶部を除去することができ、レジストの柱状構造体が得られた。ネガレジストと部分光透過性スタンパを組み合わせて用いた場合、遮光部からもれた光によるレジストの架橋が起こるために、数十nmの超微細パターンには適用できない。またネガレジストは、光による架橋を所望の粘度で止めるのは困難であるため、スタンパ凹凸そのままの寸法で硬化し、高アスペクトの柱状構造体形成は困難である。よって、本発明のポジ型レジストを用いた光透過ナノスタンプ方法は、高精度でかつ高アスペクトな構造を形成するのに有効な方法であると言える。
【0018】
【本発明の適用例】
以下、本発明の剥離機構付きスタンパを用いるナノプリントが好ましく適用される幾つかの分野を説明する。
[実施例3:バイオ(免疫)チップ]
図4はバイオチップ900の概略図である。ガラス製の基板901には深さ3マイクロメーター,幅20マイクロメーターの流路902が形成されており、DNA(デオキシリボ核酸),血液,蛋白質などが含まれる検体を導入孔903から導入し、流路902を流した後、排出孔904へ流す構造になっている。流路902には分子フィルター905が設置されている。分子フィルター905には直径250ナノメーターから300ナノメーター,高さ3マイクロメーターの突起物集合体100が形成されている。
【0019】
図5は分子フィルター905が形成されている近傍の断面鳥瞰図である。基板901には流路902が形成されており、流路902の一部には突起物集合体100が形成されている。基板901は上部基板1001によって蓋をされ、検体は流路902の内部を移動することになる。例えばDNAの鎖長解析の場合、DNAを含む検体が流路902を電気泳動する際にDNAの鎖長に応じて分子フィルター905によってDNAが高分解に分離される。分子フィルター905を通過した検体は基板901の表面に実装された半導体レーザー906からのレーザー光が照射される。DNAが通過する際に光検出器907への入射光は約4%低下するため光検出器907からの出力信号によって検体中のDNAの鎖長を解析することができる。光検出器907で検出された信号は信号配線908を介して信号処理チップ909に入力される。信号処理チップ909には信号配線910が結線されており、信号配線910は出力パッド911に結線され、外部からの端子に接続される。なお、電源は基板901の表面に設置された電源パッド912から各部品へ供給した。
【0020】
図6に分子フィルター905の断面図を示す。本実施例の分子フィルター905は、凹部を有する基板901と、基板901の凹部に形成された複数の突起物と、基板の凹部を覆うように形成された上部基板1001から構成されている。ここで、突起物の先端部は上部基板と接触するように形成されている。突起物集合体100の主な成分は有機物であるため、変形することが可能であり、よって上部基板1001を流路902にかぶせる際に突起物集合体100が破損することはない。従って、上部基板1001と突起物集合体100を密着させることが可能となる。このような構成とすることにより、検体が突起物と上部基板1001との隙間から漏れることがなく、高感度な分析が可能となる。実際にDNAの鎖長解析を実施した結果、ガラス製の突起物集合体100では塩基対の分解能が半値幅で10塩基対であったのに対し、有機物製の突起物集合体100では塩基対の分解能が半値幅で3塩基対に改善できることが分かった。本実施例の分子フィルターでは、突起物と上部基板が直接接触する構造としたが、例えば、上部基板に突起物と同じ材料の膜を形成し、突起物とこの膜が接触する構造とすれば密着性の向上を図ることができる。
なお、本実施例では流路902は一本であったが、異なる大きさの突起物を設置した複数の流路902を配置することで同時に異なる分析を行うことも可能である。
【0021】
また、本実施例では検体としてDNAを調べたが、突起物集合体100の表面に糖鎖,蛋白質,抗原と反応する分子を予め修飾することで特定の糖鎖,蛋白質,抗原を分析してもよい。このように、突起物の表面に抗体を修飾させることで、免疫分析の感度を向上させることができる。
【0022】
本発明をバイオチップに適用することにより、直径がナノスケールの有機材料製の分析用突起物を簡便に形成できる効果を得られる。また、モールド表面の凹凸や有機材料薄膜の粘度を制御することで有機材料製突起物の位置,直径,高さを制御できる効果も得られる。高感度の分析用マイクロチップを提供することができる。
【0023】
[実施例4:多層配線基板]
図7は多層配線基板を作製するための工程を説明する図である。まず図7(a)に示すように、シリコン酸化膜1002と銅配線1003とで構成された多層配線基板1001の表面にレジスト702を形成した後にスタンパ(図示省略)によるパターン転写を行なう。次に、多層配線基板1001の露出領域703をCF4/H2ガスによってドライエッチングすると図7(b)に示すように多層配線基板1001表面の露出領域703が溝形状に加工される。次にレジスト702をRIEによりレジストエッチングして、段差の低い部分のレジストを除去することで図7(c)に示すように露出領域703が拡大して形成される。この状態から、先に形成した溝の深さが銅配線1003に到達するまで露出領域703のドライエッチングを行うと、図7(d)に示すような構造が得られ、次にレジスト702を除去することで図7(e)に示すような、表面に溝形状を有する多層配線基板1001が得られる。この状態から、多層配線基板1001の表面にスパッタにより金属膜を形成した後(図示省略)、電解メッキを行なうことで図7(f)に示すように金属メッキ膜1004が形成される。その後、多層配線基板1001のシリコン酸化膜1002が露出するまで金属メッキ膜1004の研磨を行なえば、図7(g)に示すように金属配線を表面に有する多層配線基板1001を得ることができる。
【0024】
また、多層配線基板を作製するための別な工程を説明する。図7(a)で示した状態から露出領域703のドライエッチングを行なう際に、多層配線基板1001内部の銅配線1003に到達するまでエッチングすることで、図7(h)に示す構造が得られる。次にレジスト702をRIEによりエッチングして、段差の低い部分のレジストを除去することで図7(i)に示す構造が得られる。この状態から、多層配線基板1001の表面にスパッタによる金属膜1005を形成すると図7(j)の構造が得られる。次にレジスト702をリフトオフで除去することで、図7(k)に示す構造が得られる。次に、残った金属膜1005を用いて無電解メッキを行なうことで図7(l)に示した構造の多層配線基板1001を得ることができる。
本発明を多層配線基板に適用することで、高い寸法精度を持つ配線を形成できる。
【0025】
[実施例5:磁気ディスク]
図8は本実施の形態による磁性記録媒体の全体図及び断面拡大図である。基板は微細な凹凸を有するガラスで構成される。基板上には、シード層、下地層、磁性層、保護層が形成されている。以下、図を用いて、本実施の形態による磁性記録媒体の製造方法を説明する。図9にナノプリント法によるガラスへの凹凸形成方法を、半径方向に切った断面図で示す。まずガラス基板を準備する。本実施の形態ではソーダライムガラスを用いた。基板の材料については平坦性を有していれば特に限定されるものではなく、アルミノシリケートガラスなどの他のガラス基板材料やAlなどの金属基板を用いても良い。そして図9(a)のようにポジ型レジストOFPR800(東京応化製)を200nm厚みになるようにスピンコータを用いて形成した。
【0026】
一方、スタンパとしては、磁気記録媒体中央の穴に同心円状になるように溝を形成した石英スタンパを用意する。溝寸法は幅88nm、深さ200nmとし、溝と溝の間隔は110nmとした。本スタンパの凹凸は非常に微細であるので、電子線ビームを用いたフォトリソグラフィで形成した。また、パターン凹部には、実施例1と同様の方法でCr膜を形成し遮光性を持たせた。次に図9(b)のように3MPaで10分間加圧することにより、レジストを成型した。続いて図9(c)のように紫外線で露光した。スタンパ凸部は光を透過するのでその下のレジストは可溶化した。実施例1と同様の剥離を行い、レジスト現像液NMD3(東京応化製)で現像して可溶化部を除去することにより、図9(d)のようなレジストパターンが形成される。このレジストをマスクとして用いて、さらに基板を弗酸でエッチングすることにより、図9(e)のように基板を加工することができ、樹脂を剥離液で除去することにより、図9(f)のような幅110nm深さ150nmの溝を形成した。この後、ガラス基板上にNiPからなるシード層を無電解めっきで形成する。一般的な磁気ディスクは、NiP層を10μm以上の厚みで形成するが、本実施の形態では、ガラス基板に形成した微細な凹凸形状を上層にも反映させるため、100nmに留めた。さらに一般的に磁気記録媒体形成に用いられているスパッタ法を用いて、Cr下地層15nm、CoCrPt磁性層14nm、C保護層10nmを順次成膜することにより、本実施の形態の磁気記録媒体を作製した。本実施の形態の磁気記録媒体は磁性体が幅88nmの非磁性層壁によって半径方向に隔離される。このことによって、面内磁気異方性を高めることができた。なお、研磨テープによる同心円状のパターン形成(テクスチャリング)は、従来から知られているが、パターン間隔はミクロンスケールと大きく、高密度記録媒体には適用困難である。本実施例の磁気記録媒体はナノプリント法を用いた微細パターンで磁気異方性を確保し、400Gb/平方インチもの高密度記録を実現できた。なお、ナノプリントによるパターン形成は、円周方向に限るものではなく、半径方向に非磁性隔壁を形成することができる。さらに本実施の形態で述べた磁気異方性付与効果は、シード層、下地層、磁性層、保護層の材料によって特に限定されるものではない。
【0027】
[実施例6:光導波路]
本実施例では入射光の進行方向が変わる光デバイス100を光情報処理装置に適用した一例を述べる。
図10は作製した光回路500の概略構成図である。光回路500は縦30ミリメートル,横5ミリメートル,厚さ1ミリメートルの窒化アルミニウム製の基盤501の上に、インジウムリン系の半導体レーザーとドライバ回路からなる10個の発信ユニット502,光導波路503,光コネクタ504から構成されている。なお、10個の半導体レーザーの発信波長は50ナノメートルずつ異なっており、光回路500は光多重通信系のデバイスの基本部品である。
【0028】
図11は光導波路503内部での突起物406の概略レイアウト図である。発信ユニット502と光導波路503とのアライメント誤差を許容できるように、光導波路503の端部は幅20マイクロメーターのラッパ状になっており、フォトニックバンドギャップによって信号光が幅1マイクロメーターの領域に導かれる構造になっている。なお、突起物406は間隔0.5 マイクロメーターで配列したが、図21では簡略化し実際の本数よりも突起物406を少なく記載している。
【0029】
光回路500では10種類の異なる波長の信号光を重ね合わせて出力できるが、光の進行方向を変更できるために光回路500の横幅を5ミリメートルと非常に短くでき、光通信用デバイスを小型化できる効果がある。また、モールドのプレスによって突起物406を形成できるため、製造コストを下げられる効果も得られる。本実施例では、入力光を重ね合わせるデバイスであったが、光の経路を制御する全ての光デバイスに光導波路503が有用であることは明らかである。
【0030】
本発明を光導波路に適用することにより、有機物を主成分とする突起物を周期的に配列した構造体の中に信号光を進行させることで光の進行方向を変更できる効果を得られる。また、突起物をモールドのプレスという簡便な製造技術で形成できることから、低コストに光デバイスを製造できる効果を得られる。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、新規な光透過ナノプリント法が提供される。また、光透過性スタンパを用いるナノプリント法とポジ型レジストを組合せて用いることでアスペクト比が高く微細なパターンの形成が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ナノプリントの各工程を示す模式図。
【図2】光透過ナノスタンプ法に用いるスタンパの作製方法。
【図3】パターン凸部光透過性スタンパによる光透過ナノスタンプ方法。
【図4】バイオチップの概略図。
【図5】分子フィルターが形成されている近傍の断面鳥瞰図。
【図6】分子フィルターの断面図。
【図7】多層配線基板を作製するための工程を説明する図。
【図8】磁性記録媒体の全体図及び断面拡大図。
【図9】ナノプリント法によるガラスへの凹凸形成方法を、半径方向に切った断面図。
【図10】光回路500の概略構成図。
【図11】光導波路内部での突起物の概略レイアウト図。
Claims (1)
- 基板上に微細構造を形成するために、基板と、表面に微細な凹凸が形成されたスタンパを加圧し、スタンパ裏面より光照射する光透過ナノスタンプ方法において、
前記基板にポジ型レジスト層を形成する工程、前記微細な凹凸が形成された面の凸部表面のみが光透過性を有する光透過性スタンパを基板上のポジ型レジスト層に加圧し、レジスト層を変形させる工程、光透過性スタンパ裏面より光を照射し、前記基板と前記スタンパの凸部との間に存在する前記ポジ型レジスト層を露光する工程、レジストを現像する工程、を含むことを特徴とする光透過ナノスタンプ方法。
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