JP4072741B2 - シンクロナイザ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、変速機用のシンクロナイザに関する。
【0002】
【従来の技術】
多段速度比変速機では、変速歯車比の全部または一部のシフトを補助するためにシンクロナイザを使用できることは既知である。また、自己増力(self energizing) またはブースト(boost) 形のシンクロナイザを用いることによって、シフトを行うために必要とされるシフト作動力および時間の両方またはいずれか一方を減少できることも既知である。
【0003】
運転者の必要なシフト作動力は、一般的に車両の大きさに伴って増大するので、自己増力形のシンクロナイザは、特に重量形トラック用の変速機、および短いシフト時間および小さいシフト作動力の両方またはいずれか一方が好まれる変速機の両方またはいずれか一方に特に有益である。本説明のシンクロナイザに関連した従来のシンクロナイザの例が、米国特許第5,078,245号、第5,092,439号、日本特許公告公報第45−27483号、およびドイツ特許公報第1,098,824号に示されており、これらの特許は参考として本説明に含まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、改良した自己増力手段を備えたシンクロナイザを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、請求項1の前文に記載されている従来技術を表す、日本特許公告公報第45−27483号に開示されているようなシンクロナイザが、共通軸線回りに相対回転するように配置された第1,第2駆動部を摩擦的に同期させて噛み合い連結させるシンクロナイザを含む。
【0006】
本発明のシンクロナイザは、各請求項に記載の構成を有している。特に、請求項1によれば、シンクロナイザは、軸方向のシフト力(Fo )による係合移動に応じて、第2ジョー手段と係合する位置へ軸方向移動することによって駆動部を噛み合い連結するための第1ジョー手段を含む。
【0007】
第1摩擦手段は、第1ジョー手段の係合移動に応じて、第2摩擦手段と係合する位置へ軸方向移動することによって、同期トルクを発生する。ブロッカー手段は、第1ジョー手段の係合移動に応じて係合位置へ移動することによって、第1,第2ジョー手段の非同期係合を防止すると共に、シフト力(Fo )を第1摩擦手段に伝達して第1,第2摩擦手段の係合力を発生する。自己増力手段は、同期トルクを反作用させることによって、シフト力(Fo )の方向に付加軸方向力(Fa )を発生して、第1,第2摩擦手段の係合力を増加する。力制限手段は、付加軸方向力(Fa )の力を制限する。さらに、改良点は、この力制限手段は、第1部材と第1駆動部との間の同期トルクを半径方向に伝達するために配置された弾性手段を含んでいることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、添付の図面を参照しながら本発明のシンクロナイザを説明する。
【0009】
ここで使用する「シンクロナイザ」とは、噛み合いクラッチと組み合わされた同期摩擦クラッチが噛み合いクラッチの各部材をほぼ同期回転させるまで、その噛み合いクラッチの連結の試行が阻止されるようにした、噛み合いクラッチによって選択比歯車を軸に非回転可能に連結するために用いるクラッチ機構のことである。「自己増力手段」とは、同期摩擦クラッチの係合力を摩擦クラッチの同期トルクと関連させて増加させるためのランプまたはカム等を含むシンクロナイザクラッチ機構のことである。
【0010】
次に、図1、図2、図3Aおよび図3Bを参照すると、変速機内に軸線12a回りに回転するように取り付けられた第1駆動部すなわち軸12と、軸方向に離隔配置された第2,第3駆動部すなわち歯車14、16と、複動シンクロナイザ18を含んでいる歯車・シンクロナイザアセンブリ10が示されている。
【0011】
軸12は、軸受19を介して歯車を回転可能に支持している円筒形表面12b、12cと、円筒形表面より大径の外周面を有する環状部材20を含む。環状部材の軸方向長さが歯車を分離させており、軸方向両側の肩部分20a、20bが、互いに接近する方向への歯車の軸方向移動を制限している。互いに離れる方向への歯車の軸方向移動は、幾つかの既知の方法のいずれかによって制限される。
【0012】
環状部材は、軸に取り付けられたリングで形成できるが、図示のように、軸と一体成形することもできる。環状部材(第2部材)20の外周面には、外側スプライン20cと、環状部材の軸方向長さと同じ軸方向長さを有する3つのリセス20dと、以下にさらに説明する自己増力カム(第2カム表面)20e、20fが設けられている。各リセスは、スプライン20cの全部または一部を除去して形成することができる。
【0013】
シンクロナイザ機構18は、歯車14、16に固定された摩擦リング(第2,第4摩擦手段)22,24およびジョー部材(第2,第3ジョー手段)26,28と、環状部材20の外周面に形成された外側スプライン歯20cと継続的に摺動可能に噛み合った内側スプライン歯30aを有して軸方向に移動可能なジョー部材(第1ジョー手段)30と、ジョー部材30の環状溝30bにはめ込まれたリテーナ34の軸方向に向き合った側部間に挟み込まれた軸方向両側の側部32a、32bを有して半径方向に延出したシフトフランジ(第1部材)32と、各々から軸方向に延出してフランジの開口32cに挿通されている、円周方向に離隔配置された3本のピン40によって互いに堅固に固定されている軸方向に移動可能な摩擦リング(第1,第3摩擦手段)36,38と、図1にレリーフで示されている3つのプレエナジャイザー(pre energizer) アセンブリ42を含む。図1および図2の実施の形態では、リテーナ34がジョー部材30およびフランジ32間の軸方向移動を阻止して、それらが相対回転できるようにしている。
【0014】
摩擦リングは、ジョー部材の係合前に歯車を軸に摩擦同期させるために係合する円錐摩擦表面22a、36aおよび24a、38aを有する。広範囲のテーパ角度を使用することができ、図示のシンクロナイザには7.5度のテーパ角度が使用されている。摩擦表面36a、38aおよび22a、24aの両方またはいずれか一方は、基材に張り付けられた幾つかの既知の摩擦材料のいずれかで形成することができ、本例では、米国特許第4,700,823号、第4,844,218号および第4,778,548号に開示されているような熱分解炭素摩擦材料が好ましい。これらの特許は参考として本説明に含まれる。
【0015】
ピン40の各々は、フランジ開口32cよりわずかに小径の大径部分40aと、摩擦リング36、38間から離れた位置(本例では中間位置)の小径の溝部分40bと、ピンの軸線から半径方向外向きであるが、ピンの軸線に直交する平面に対して傾斜して軸方向に互いに離れるように延出した円錐形ブロッカー肩部すなわちブロッカー表面40c、40dを有する。溝部分は、それぞれのフランジ開口に入っている時、堅固な摩擦リングおよびピンアセンブリをフランジに対して限定的に回転させて、ピンのブロッカー肩部をフランジ開口32cの周囲に形成された面取りブロッカー肩部32hと係合させることができる。ブロカー肩部(第1,第2ブロッカー表面)40c,32hは、第1ブロッカー手段を構成する。ピンは、幾つかの既知の方法のいずれかで摩擦リング36、38に堅固に固定することができる。
【0016】
プレエナジャイザーアセンブリ(初期付勢組立体)42は、幾つかの形式のいずれでもよいが、ここでは、米国特許第5,339,936号に記載されている割ピン形のものである。各プレエナジャイザーアセンブリ42は、摩擦リング36、38間において軸方向に延出してシフトフランジの開口32dの1つに挿通されている。開口32dは、開口32c間に交互に配置されている。各プレエナジャイザーアセンブリは、端部44aを有する2つのシェル44と、シェル間に挟み込まれてそれらを分離方向に付勢する少なくとも2つの板ばね46を含むことを述べればここでは十分であろう。
【0017】
各対のシェル44は、絞り合わされた時に対応の開口32dの直径よりも小さくなる大径部と、面取り端面44cを有する環状溝44bと、端部44aとを備えている。公知のように、端部44aは摩擦リング36、38に対して反作用し、面取り端面44cは、フランジ32の初期係合移動に応じてフランジ32の開口32dの周囲の面取り面に対して反作用することによって、摩擦クラッチの初期係合移動およびピン40をフランジ32に対して回転させる初期トルクを生じて、ブロッカー肩部を係合するように配置する。
【0018】
前述したように、ジョー部材30は、軸に固定された第2部材20の外側スプライン歯20cと摺動可能に噛み合う内側スプライン歯30aを備えている。外側スプラインは、軸の軸線に平行に延在するフランク表面を備えており、それがジョー部材のスプラインのフランク表面と噛み合うことによって、その間の相対回転が阻止される。ジョー部材30はさらに、半径方向に延びた3つの開口30cを有しており、その各々に自己増力リンク48が摺動可能に挿通されており、また、3つのラグ30dがそれの外周面から半径方向外向きに延出して、フランジ32の内周面のリセス32eにはまっている。
【0019】
ストッパ手段を構成するリセス(第1ストッパ)32eとラグ(第2ストッパ)30dによって、フランジ32と軸12に回転方向に固定されているジョー部材30との間の相対回転の量を制限するストッパが形成されている。リンク48は、全図面にレリーフで示されている。各リセスは、円周方向長さがそれにはまっているラグの円周方向長さよりも長いため、フランジ32およびジョー部材30間を限定的に相対回転させることによって自己増力機構を作動させることができる。
【0020】
フランジ(第1部材)32はさらに、その内周面に3対の第1カム表面32f、32gを備えて、リンク48を半径方向内向きに移動させて第2カム表面20eまたは20fのいずれかに押し付けることによって、円錐クラッチと軸の間の同期トルクを反作用させて、フランジ32に加えられたシフト力によって最初に係合していた円錐クラッチの係合力を増加させる付加軸方向自己増力を与えることによって、円錐クラッチによって与えられる同期トルクを増加させる。第1,第2カム表面32f,20eは、自己増力手段を構成する。
【0021】
リンク48上のランプまたはカムフォロワ表面48a、48bがそれぞれカム表面20f、20eに対して反作用することによって、それぞれカム表面32f、32gをリンク48の円筒形ランプまたはカムフォロワ表面48cと係合させるフランジの相対回転に応じて、アップシフトまたはダウンシフトのための歯車16、14の同期トルクをそれぞれ増加させるための付加軸方向力を与えることができる。
【0022】
図示のカム表面は、両方のギヤに対して増加同期力を与えて、アップおよびダウンシフト用の同期力を増加させる。カム表面20e、20fは、各表面上の第1想像線が軸の軸線12aに平行な想像面上に位置し、それの各表面上の第2想像線が第1想像線と軸線に平行な想像面の両方に対して直角を成すように形成することができる。カム表面20e、20fと同じ規則に従って、カムフォロワ表面48a、48bを形成することができる。
【0023】
カム表面32f、32gは、その表面上の第1想像線が軸の軸線12aに直交する想像面上に位置し、その表面上の第2想像線が第1想像線と軸線に直交する想像面の両方に対して直角を成すように形成することができる。カム表面32f、32gと同じ規則に従ってカムフォロワ表面48cを形成することができる。カム表面の全体の第1想像線は、カムフォロワ表面48c内に示されるように湾曲させることもできる。
【0024】
フランジ32が図1のニュートラル位置にある時、ピン40の小径部分40bがフランジ開口32cと整合しており、円錐クラッチの摩擦表面がわずかに分離して、ばね46の力によってフランジ開口32dの周囲のプレエナジャイザー面取り表面に作用するプレエナジャイザー42の面取りまたは傾斜プレエナジャイザー表面44cによって離隔関係に維持され、リンク48は、カム20e、20fの間で軸方向に延在する平坦部20gと接触する位置にある。平坦部20gと、プレエナジャイザー表面によって加えられる軸方向力によって、円錐クラッチ表面間のオイルの粘性せん断によるシンクロナイザの自己増力および誤った係合が防止される。
【0025】
いずれか一方の歯車を軸に連結したい時、参考文献として本説明に含まれる米国特許第4,920,815号に開示されているような図示しない適当なシフト機構が、既知の方法でフランジ32の外周面に連結されて、フランジを軸12の軸線に沿って軸方向に、歯車14を連結するためには左に、歯車16を連結するためには右に移動させる。シフト機構は、リンク装置によって運転者が手動で移動させてもよいが、アクチュエータで選択的に移動させたり、シフト機構の移動を自動的に開始させると共にシフト機構によって加えられる力の大きさを制御する手段によって移動させることもできる。シフト機構を手動で移動させる時、力は運転者がシフトレバーに加える力に比例する。手動または自動のいずれで加える場合も、力はフランジ32に軸方向に加えられ、図4の矢印Fo の長さで表される。
【0026】
運転者のシフト力Fo によるフランジ32の初期軸方向右移動がプレエナジャイザー表面44cに伝達されて、円錐表面38aを円錐表面24aと初期摩擦係合させる。円錐表面に加えられた初期係合力は、もちろんばね46の力およびプレエナジャイザー表面の角度の関数である。(非同期状態が存在するものと仮定し、自己増力カムの効果を瞬間的に無視した場合)初期摩擦係合は、初期円錐クラッチ係合力と、フランジ32および係合状態の摩擦リング間に限定的な相対回転を与える初期同期トルクを発生し、従って小径ピン部分40bをフランジ開口32cの適当な側へ移動させて、ピンのブロッカー肩部40dを開口32cの周囲に配置されたブロッカー肩部32hと係合させる。ブロッカー肩部が係合した時、フランジ32に加えられた運転者の全シフト力Fo がブロッカー肩部を介して摩擦リング38に伝達され、それによって円錐クラッチが運転者の全シフト力Fo で連結する結果、運転者同期トルクTo が発生する。
【0027】
この運転者同期トルクTo が図4に矢印To で表されている。ブロッカー肩部は運転者シフト力Fo の軸方向に対して傾斜しているので、それらは、非同期状態では円錐クラッチからの同期トルクに対向するがそれよりも小さい対向力すなわち非ブロッキングトルクを発生する。ほぼ同期が達成されると、同期トルクが非ブロッキングトルクより低下することによって、ブロッカー肩部がピン40を開口32cと同心的な位置へ移動させて、フランジを継続的に軸方向移動させ、ジョー部材30の内側スプライン/ジョー歯30aを歯車16のジョー部材28の外側スプライン/ジョー歯と係合させる。スプライン/ジョー歯は、米国特許第3,265,173号および第4,246,993号に示されているような構造にすることができ、これらの特許は参考として本説明に含まれる。
【0028】
やはり自己増力ランプの効果を無視すると、力Fo によって与えられる円錐クラッチトルクは方程式(1)で表される。
To =Fo Rc μc /sin α (1)
但し、Rc =円錐摩擦表面の平均半径
μc =円錐摩擦表面の摩擦係数
α =円錐摩擦表面の角度
とする。
【0029】
次に、自己増力カムの影響を見ると、運転者が加えた軸方向シフト力Fo による同期トルクTo はもちろん、ピン40によってフランジ32に伝達されて、リンク48を介して自己増力カム表面を横切って軸12に反作用を加える。自己増力カム表面は、係合時に、シフト力Fo と同じ方向でフランジに作用する付加軸方向力Fa を発生する。付加軸方向力Fa は、軸方向においてジョークラッチ開口30cに対して反作用するリンク48、リテーナリング34およびフランジ32を含む力経路を介してブロッカー表面を通って係合状態の摩擦表面に加えられる。力Fo およびFa はシフトフランジ32に平行に加えられて、合わさって合計力Ftを与えるため、円錐クラッチの係合力をさらに増加させることによって、付加同期トルクTaを与え、これがTo に加わることによって、合計トルクTtが得られる。
【0030】
図4にグラフ表示されているように、円錐クラッチを連結させる軸方向力の合計はFo +Fa であり、円錐クラッチによって発生する同期トルクの合計はTo +Taである。ある運転者シフト力Fo および運転者同期トルクTo に対する軸方向付加力の大きさは、係合した自己増力ランプ表面の角度の関数であることが好ましい。これらの角度は、運転者による適度なシフト作動力に応じて同期トルクを相当に増加させ、同期時間を短縮することができる十分な大きさの付加力Fa を発生できる大きさであることが好ましい。しかし、これらの角度はまた、制御された付加軸方向力Fa を発生できる程度に小さいことが好ましい、すなわち力Fa は力Fo の増減に応じて増減することが好ましい。
【0031】
ランプ角度が大きすぎる場合、ランプは自己増力ではなく自己固着する。このため、円錐クラッチが初期係合を行うと、力Fa が力Fo に無関係に無制御状態で急激に増大し、そのため円錐クラッチは無制御ロックアップ状態へ押し進められる。自己増力ではなく自己固着することによって、シフト品質すなわちシフト感が低下し、シンクロナイザ部品に過度の応力が加わったり、円錐クラッチ表面の過熱や急激な摩耗が発生するであろう。
【0032】
自己増力ランプ角度を計算する主要な変数および方程式は、上記米国特許第5,092,439号を参照すればわかるであろう。
【0033】
図5と図6は、図1と図2のシンクロナイザの変更した一部を示し、ばねによって制限する力により、カム表面が発生することができる付加軸方向力Fa の最大値を制限する。変更部分は、リンク48をスプリングカプセル60と置き換えたことであり、これにより、カム表面32f、32gからカム表面20e、20fに半径方向に同期トルクを弾性的に伝達する。第1ジョー部材30は、大径の半径方向に伸びる開口30c’を備えており、この開口はピン48と同様に内部にスプリングカプセルを配置している。
【0034】
各スプリングカプセルは、カップ状部材62,64を含み、これらのカップ状部材は、それぞれ互いに摺動可能に受け入れる円筒状のスカート部62b,64bを備える端部62a,61aを有し、かつその間に圧縮ばねを備えて半径方向の対向する方向へカップ状部材62,64を付勢する内部室を形成している。カップ状部材62,64が分離することは、スカート部62b内の開口にピン68が押圧されて肩部64cが係合することにより防止できる。
【0035】
端部62a,64aは、リンク48のカムフォロワ表面48cのように、湾曲したまたは円筒状のカムフォロワ表面62c,64dを有することもできる。カム表面20e,20f,32f,32gの傾斜および/または湾曲によって付加軸方向力Fa の大きさまたは特性を変えるために変更するとき、湾曲した表面62c,64dの利点は、それらの両方またはいずれか一方を変える必要がないことである。
【0036】
ラグ30dとリセス32eは、ばね66の力がカム表面32f,32gからカム表面20e,20fに伝達できるように同期トルクの最大値を制限し、これにより、付加軸方向力Fa の最大値がカム表面20e,20f上に生じる。この付加軸方向力は、カップ状部材62を含む力径路を介して円錐クラッチ、半径方向に伸びる開口30c’の表面を介してジョー部材30、フランジとリテーナの間に配置されたスペーサリング70を介してリテーナ34,フランジ32、及びブロッカー表面に加えられる。
【0037】
スプリングカプセル(弾性手段)60は、湾曲した表面62c,64dの両方またはいずれか一方がカム表面20e,20f,32f,32gが必ず整合するように形作ることができる。例えば、カップ状部材64の端部64aは、カップ状部材62がカップ状部材64に対して回転できないようにスペーサリング70間の軸方向に面する平らな側面の対向面を備えることもできるし、あるいは、カップ状部材の表面62c,64dが、軸12の表面20e,20f及びフランジ32の表面32f,32gと移動方向に直交する平面において凹凸形状で噛み合うようにすることもできる。
【0038】
ここでは、発明の主題事項を説明するために各実施の形態でピン形シンクロナイザが開示されている。添付の請求項は、開示されている主題事項の発明部分、および発明の精神の範囲に入ると考えられる変更および修正を包含するものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】ニュートラル位置にある複動シンクロナイザを示しており、図2の1−1線に沿った断面図である。
【図2】図1のシンクロナイザの、図1の2−2線に沿った断面図である。
【図3】図3Aは、図1における自己増力リンクを軸の軸線に直交かつ平行な方向に見た拡大外形図であり、図3Bは、同様に、図2における自己増力リンクを同様に見た拡大外形図である。
【図4】シンクロナイザのシフトフランジに作用する軸方向力およびトルクのグラフ表示である。
【図5】図1の自己増力部材の変更実施例を示している。
【図6】図2の自己増力部材の変更実施例を示している。
【符号の説明】
12a 軸線
12 軸
14 歯車
18 シンクロナイザ
20e,48,32f 自己増力カム
22,24,36,38 摩擦リング
26,28,30 ジョー部材
32 フランジ
32h,40c ブロッカー肩部、
34 リテーナ
40 ピン状部材
48 リンク
Claims (7)
- 共通軸線(12a)回りに相対回転するように配置された第1,第2駆動部(12、14)を摩擦的に同期させて噛み合い連結するためのシンクロナイザ(18)であって、
軸方向の第1シフト力(Fo )による係合移動に応じて、第2ジョー手段(26)と係合する位置へ軸方向移動することによって前記第1,第2駆動部(12、14)を噛み合い連結させる第1ジョー手段(30)と、
前記第1シフト力(Fo )による前記第1ジョー手段(30)の係合移動に応じて、第2摩擦手段(22)と係合する位置へ軸方向移動することによって、同期トルク(To )を発生するための第1摩擦手段(36)と、
前記第1ジョー手段(30)の係合移動に応じて係合位置へ移動することによって、前記第1,第2ジョー手段(30、26)の非同期係合を防止すると共に、前記第1シフト力(Fo )を前記第1摩擦手段(36)に伝達して前記第1,第2摩擦手段(36、22)の係合力を発生するための第1ブロッカー手段(40c、32h)と、
同期トルクを反作用させることによって、前記第1シフト力(Fo )の方向に付加軸方向力(Fa )を発生して、前記第1,第2摩擦手段の係合力を増加するための第1自己増力手段(20e、48、32f)と、
前記付加軸方向力(Fa )の力を制限するための力制限手段(60、30c、32e)とを備えており、
前記第1自己増力手段(20e、48、32f)は、前記第1部材(32)と前記第1駆動部(12)のそれぞれに取り付けた第1カム表面(32f)と第2カム表面(20e)を有し、前記力制限手段(60、30c、32e)は、前記第1部材(32)の第1カム表面(32f)と前記第1駆動部(12)の第2カム表面(20 e )との間に配置され、前記第1部材(32)と前記第1駆動部(12)との間に同期トルクを半径方向に伝達する弾性部材(60)を含んでいることを特徴とするシンクロナイザ。 - さらに、第1駆動部(12)の軸線回りに回転するように取付けられた第3駆動部(16)を含み、
前記第1ジョー手段(30)は、軸方向の第2シフト力(Fo )による前記第1ジョー手段の係合移動に応じて、第3ジョー手段(28)と係合する位置へ軸方向移動することによって前記第1,第3駆動部(12、14)を噛み合い連結させ、さらに、
前記第2シフト力(Fo )による前記第1ジョー手段(30)の係合移動に応じて、第4摩擦手段(24)と係合する位置へ軸方向移動することによって、同期トルク(To )を発生するための第3摩擦手段(38)と、
前記第1ジョー手段(30)の係合移動に応じて係合位置へ移動することによって、前記第1,第3ジョー手段(30、28)の非同期係合を防止すると共に、前記第2シフト力(Fo )を前記第3摩擦手段(38)に伝達して前記第3,第4摩擦手段(38、24)の係合力を発生するための第2ブロッカー手段(40d、32h)と、
同期トルクを反作用させることによって、前記第2シフト力(Fo )の方向に第2付加軸方向力(Fa )を発生して、前記第1,第2摩擦手段の係合力を増加するための第2自己増力手段(32f、20f)と、
前記第2付加軸方向力(Fa )の力を制限するための力制限手段(60、30c、32e)とを含むことを特徴とする請求項1記載のシンクロナイザ。 - 前記第1部材(32)は、軸線(12a)と同軸的でかつ第1シフト力によって軸方向に移動する半径方向のフランジであり、このフランジは、前記第1カム表面(32f)を含んでおり、
リテーナ(34)は、前記フランジを前記第1ジョー手段(30)と共に軸方向移動するように連結しており、
前記第1ブロッカー手段(40c、32h)は、少なくとも第1,第2ブロッカー表面(40c、32h)を含み、この第1ブロッカー表面(40c)は、前記第1摩擦手段(36)から軸方向に堅固に延出して前記フランジ(32)の開口(32c)に挿通されたピン状部材(40)に形成されており、
前記第2ブロッカー表面(32h)は前記開口の周囲に形成されており、前記第1ジョー手段(30)は、半径方向に延在する開口(30c’)を備えており、この開口内にかつ前記第1,第2カム表面(32f、20e)の間にスプリングカプセルが配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のシンクロナイザ。 - 前記第1部材(32)は、同期トルクに応じて、前記第1駆動部(12)に対して制限された回転ができるように取付けられており、前記力制限手段(60、30c、32e)は、前記弾性部材(60)により半径方向に伝達されるトルクを所定の最大値に制限するか、または前記第1自己増力手段(32f、20e)より生じた同期トルクを制限するために、前記第1部材と前記第1駆動部(12)の間の相対回転を制限するストッパ手段(32e、30d)を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシンクロナイザ。
- 前記ストッパ手段(32e、30d)は、前記第1部材(32)と前記第1駆動部(12)に対する回転に対向して取り付けられ、かつ前記第1部材と前記第1駆動部間の相対回転の所定量に応じて係合する第1,第2ストップ(32e、30d)を有することを特徴とする請求項4記載のシンクロナイザ。
- 前記弾性部材(60)は、前記第1ジョー手段(30)内の半径方向に伸びる開口(30c’)内に配置されたばね(66)であることを特徴とする請求項1記載のシンクロナイザ。
- 前記弾性部材(60)は、半径方向に伸びる開口内に配置されたスプリングカプセルであり、このカプセルは、前記ばね(66)によって半径方向の対向する方向に付勢された第1,第2端部(62a、64a)を有し、この第1,第2端部は、それぞれ、前記第1,第2カム表面(32f、20e)に対して反作用する第1,第2カムフォロワ表面(64d、62c)を有していることを特徴とする請求1記載のシンクロナイザ。
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