JP4072129B2 - 亜鉛系めっきが施された熱間プレス鋼材 - Google Patents

亜鉛系めっきが施された熱間プレス鋼材 Download PDF

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Description

本発明は、自動車の足回り部材や骨格補強部材などのように高強度を要求される各種の部材において、亜鉛系めっきを施した熱間プレス部材に関するものである。
近年、地球環境問題を発端として燃費削減のための自動車車体軽量化の要求が高まっている。その一方で、乗員の衝突安全性に対する高まりから、車体の強度を高める取り組みがある。車体強度の増大は板厚の増大や補強部品の採用で達成できるが、鋼材使用量の増大につながる為に自動車車体軽量化に相反する。そこで、高強度鋼板の使用で鋼材使用量を維持する試みがなされており、引っ張り強度を780MPa程度まで高めつつプレス成形性を維持したTRIP鋼の適用が始まった。この鋼板は、Transformation Induced Plasticityの略で、残留オーステナイトのマルテンサイト変態を利用した鋼板である。しかし、この鋼板は、更に高強度、例えば1500MPa級の高強度化は不可能であり、このような高強度で成形性が確保できる鋼板の開発が強く求められている。
高強度と高成形性を両立させる別の技術として、熱間プレス技術がある。本技術は、高炭素鋼を800℃以上の高温に加熱した状態で成型することにより高強度鋼板の成形性の問題を無くし、成型後の急冷による焼入れ硬化で所望の強度を得るというものである。しかし、大気中での加熱を伴う為に表面に酸化物が生成し、これがプレス中に脱落してプレスの型や鋼板表面を損傷させることがある。酸化物は、密着性に乏しく、塗装剥離や耐食性悪化の原因にもなる。そこで、加工品を塗装する前に酸化物を除去する為の酸洗やショットブラストの処理工程を付加させる必要がある。また、得られたプレス部材は、防錆亜鉛めっきが施されていない為、たとえ塗装処理を施しても十分な耐食性を有しているとはいえない。表面の酸化を抑制し耐食性を向上する方法として、鋼板にアルミめっきを施す技術が開示されている。例えば、特開2000−38640号公報、特開2003−34845号公報、特開2003−193187号公報がある。これらの技術は、アルミめっきの作用により優れた耐酸化性を示し、更には耐食性も良好なことから、既に実用化が始まっている。しかし、アルミめっき鋼板は、裸の鋼板と比較して価格が高いため、鋼材のコストダウンの要求から亜鉛系めっき鋼板の適用も検討されている。亜鉛は、融点が419℃、沸点が907℃と熱間プレスを行う温度域では液相もしくは気相となる。従って、熱間プレス時にめっき層の蒸散や酸化が生じ、さらには得られた鋼板は素地鋼板との合金化が過度に生じてしまう。その為に、プレス型への亜鉛の溶着や耐食性、溶接性の著しい劣化が生じる。この問題を回避する方法として、特開2003−126920号公報、特開2003−126921号公報、特開2003−73774号公報、特開2003−147499号公報が開示されている。これらの技術は、比較的低温域での保持によるZn−Fe合金の形成によりめっき層の融点を上げたり、表層に酸化亜鉛を形成させたりするものである。これらの技術のうち、Zn−Fe合金化は、融点を高める効果は確かに期待できるが、例えば900℃以上の融点にするにはFeを70質量%程度含有しなくてはならず、そのような組成では耐食性、塗膜密着性、溶接性の劣化が大きくなる。また、合金化が進展すると酸化反応も促進され、酸化層の脱落、塗装後の密着性不良等の弊害が生じる。一方、Fe含有率を20質量%程度に抑制した場合には、融点が670℃程度と低く、液層が金型と接触して溶着やカジリ等が発生してしまう。
特開2000−038640号公報 特開2003−034845号公報 特開2003−193187号公報 特開2003−126920号公報 特開2003−126921号公報 特開2003−073774号公報 特開2003−147499号公報
これらの技術の課題は、通常の加熱条件や600℃近傍での合金化反応によりZn−Fe合金を形成させるとFe含有率が高くなり耐食性が悪化することにある。さらに、Fe含有率が増大するとFe酸化物の形成が顕著となり塗装密着性不良を生じる。一方、単に合金化反応を抑制しただけでは、融点が低く金型への溶着やカジリを抑制できないことにある。
本発明者らは、かかる課題を解決する手段について、種々の角度から鋭意検討の結果、亜鉛めっき層を単に加熱してZn−Fe合金化させても、その金属間化合物の形態や分布を規定しない限りは、型かじりや耐食性、塗装密着性を高度に制御できないことを明らかにした。すなわち、亜鉛めっき層の望ましい形態として、地鉄界面近傍は、不可避的に形成されるFeを50〜80質量%、例えば60質量%程度含有するZn−Fe合金からなる層状の合金相とし、それ以外の表層部分は、Feを10〜30質量%含有するZn−Fe合金相(Γ相)をマトリックスとしてFeを50〜80質量%含有する球状の形態を有するZn−Fe合金相を島状に分布させることによって、硬質で高融点な球状合金相による型カジリの抑制と比較的Fe含有率の小さなZn−Fe合金相(Γ相)による耐食性と塗膜密着性の確保という性能の両立した構造に関する知見を得て本発明をなした。更に、そのような構造の合金相の作製方法は、Zn−Fe二元合金の状態図に対する深い考察と実際に反応を生じさせて検証した実験の繰返しにより見出すことに成功した。すなわち、Fe相が固相で形成する782℃までの低温域は可能な限り短時間の内に昇温することで地鉄界面のFe相(Zn固溶Fe)の成長を抑制し、固相Feと液相との固液混合温度域である780℃から亜鉛の沸点以下である900℃までの温度域でしかるべき時間保持することにより、Znを固溶する固相Fe相を球状に析出させ、さらに熱間プレス加工を開始する前に780℃まで冷却することで、残存する液相をΓ相に析出させることでマトリックス中に球状相を島状に分布させることに成功したものである。
したがって、得られた技術の形態は、焼付け硬化性を有する鋼板に、めっき層断面が、素地鋼板界面近傍が層状でFeを質量%で50〜80%含有するZn−Fe合金層からなり、それ以外の部分が、Feを質量%で10〜30%含有するZn−Fe合金相マトリックス中にFeを質量%で50〜80%含有する球状の形態を有するZn−Fe合金相が島状に分布する溶融Zn−Fe合金層を施した、塗装後の耐食性とプレス加工性に優れた熱間プレス加工用鋼材である。さらに、球状合金相の大きさが直径で1〜30μmで、断面の面積率がめっき層全体の10〜80%である塗装後の耐食性とプレス加工性に優れた熱間プレス加工用鋼材であり、そのめっき層の厚さが5〜80μmである塗装後の耐食性とプレス加工性に優れた熱間プレス加工用鋼材である。また、めっき層中にさらにAl、Cr、Mn、Mg、Ti、Ni、Mo、Siの一種または二種以上を質量%の合計で0.001〜7%含有しても良い。この鋼材の製造方法は、鋼材を熱間プレスする為に加熱する際に、到達板温Tの温度範囲として、関係式(1)で定義される値か800℃のどちらか高い方を下限とし、905℃を上限とする。さらに、780℃までの昇温速度は5℃/秒以上とし、780℃から到達板温Tまでの昇温速度を1℃/秒以上5℃/秒未満とし、その温度域での保持時間を5から600秒間とし、更に熱間プレス開始温度を780℃以下とする。
Figure 0004072129
(ここで、[C]、[Mn]、[Si]、[Ti]は各元素の鋼中の質量%である。)
さらに、鋼材中の成分として、B:0.0003〜0.03質量%、Ti:0.01〜0.3質量%の一種以上を含有してもよく、その上、Nb:0.005〜0.5質量%、V:0.005〜0.5質量%、Mo:0.005〜0.5質量%の一種以上を含有することにより鋼材の組織微細化による靭性向上や結晶粒粗大化が抑制でき、また、Ni:0.01〜2.0質量%、Cu:0.01〜2.0質量%の一種以上を含有させることにより鋼材の焼入れ性と靭性を向上させることができる。
本発明の熱間プレス鋼材によれば、1500MPa級の高強度を有しつつ、高度のプレス加工性を両立させると共に、優れた塗装後耐食性をも有した熱間プレス鋼材を提供することができる。
本発明において上述のように限定する理由について詳細に説明する。素地鋼材は、溶融亜鉛めっき時のめっき濡れ性、めっき後のめっき密着性、めっき層との合金反応性が良好である必要があり、更に熱間プレス後の焼入れ硬化性を発現するための成分の規定がある。焼入れ後の強度は主に含有炭素(C)量によって決まる為、高強度を要求する場合は、C含有量を0.1質量%以上0.5質量%以下とすることが望ましい。このときに上限を超えても強度が飽和してしまい、溶接割れを生じやすくするため好ましくない。Siは低すぎると疲労特性の低下を生じるため0.05質量%以上の添加が望ましい。しかし、Siは再結晶焼鈍中に、安定な酸化皮膜を鋼板表面に形成し、溶融亜鉛めっき性、特にめっき濡れ性を阻害する為、上限を0.5質量%とする。Mnは、鋼板の焼入れ性を高める元素として知られており、さらに不可避的に混入するイオウ(S)に起因する熱間脆性を防ぐ上でも有効な元素である。従って、0.5質量%以上の添加が必要である。しかし、3質量%を超えて添加すると焼入れ後の衝撃特性が低下する為ここを上限とするのが望ましい。Tiは、亜鉛めっき後の耐酸化性を高める元素である。その効果を奏するには少なくとも0.01質量%は必要である。しかし、TiはAc3点を増大させてしまうと同時にCとTiCを形成して強度に寄与するC量を低減させてしまう。また、添加量が増大するとSiと同様にめっきの濡れ性を阻害する為、上限は0.3質量%とした。Bは焼入れ性を向上させるため添加する。その効果を奏する為少なくとも0.0003質量%必要であり、0.03質量%を超えてもその効果は飽和する。本発明の成分範囲であればAc3点は800℃から910℃の範囲に入っており、次に説明するめっき層構造と加熱条件において良好な焼き入れ性と諸性能との両立が可能となる。
鋼材中にさらにNb、V、Moの一種以上を添加すると鋼材組織の微細化による靭性改善や結晶粒粗大化を阻止する事が可能である。その含有量として0.005質量%未満では効果が不十分であり、0.5質量%を超える添加は効果が飽和し経済的でない。
さらに、Ni、Cuの一種以上を添加すると焼き入れ性と靭性が向上する。0.01質量%未満では効果が不十分であり、2.0質量%を超える添加は効果が飽和し経済的でない。
次に、本発明のZn−Feめっき層について説明する。Zn−Fe合金めっき鋼板の塗装後の耐食性は、めっき層中のFe含有率に依存して変化し、Feが5質量%から50質量%の範囲であればほぼ一定の良好な耐食性を示すが、純亜鉛やFeを60質量%以上含有すると急激に悪化し、80質量%以上の場合には裸鋼材と同程度になってしまう。亜鉛めっき層は300℃程度の比較的低温度から素地鉄との合金化反応が生じ、温度の増大に従い合金化速度は速くなる。また、782℃までの温度域での合金化反応は、液相にFeを10質量%程度含有すれば凝固し、以後はFeの含有率の大きい順にΓ、δ1、ξ相が生成する。本発明のめっき層は、782℃までの昇温を可能な限り早くすることで、これらの合金層を抑制し、素地鉄界面近傍に生成するZn−Fe合金層厚さを薄くし、しかる後の800℃以上905℃以下の温度域での加熱により液相中でFeを50〜80質量%含有するZn−Fe合金を析出させることで球状の結晶を島状に分布させる。しかる後にプレス金型との接触が開始する前に780℃まで冷却することで凝固を完了させると同時にマトリックスとなるFeを10〜30質量%含有するZn−Fe合金層を形成する。このような構造を有するめっき層は、熱間プレスを施す際には、融点と硬度の高い球状のFeリッチ相が金型との接触によるめっき層の損傷を抑制し、塗装後の耐食性においては、Zn含有率の大きなめっき相がマトリックスとして存在することで良好な耐食性を発現する。
本発明のめっき層は、素地鋼が熱間プレスによって焼き入れ性が確保される加熱と冷却サイクル条件によって得られなければならない。そのため、素地鋼はAc3点以上の温度に加熱してオーステナイト単相にした後に熱間プレスを行い、その後急冷することで焼き入れ硬化をする必要がある。Ac3点は、Andrewsの式(J. Iron Steel Inst., 203:721(1965))を参考として鋼材組成の式(1)として算出できる。したがって、到達板温の下限は本発明のめっき層合金層構造を得る為の最低温度800℃とAc3点のどちらか高い値とした。また、到達板温の上限は、亜鉛の沸点を超えない905℃とした。粒状の結晶を島状に分布させる為に、780℃までの低温域での滞在時間を短くする為に加熱速度を規定し、さらに800〜910℃までの析出温度域の滞在時間を規定した。この条件を外れると、めっき層は、粒状のZn−Fe合金が島状に分布する構造を得る事は不可能であり、素地鉄界面に生じたようなZn−Fe合金相がめっき層全体に生じてしまう。
このようなめっき層の構造は、めっき鋼板断面部を樹脂に埋め込み研磨した後に電子線プローブマイクロアナリシス(EPMA)で元素分析をすることで判断できる。
Feを50〜80質量%含有するZn−Fe合金相は、800〜905℃の合金化時間の増大に従い、成長するが、その存在量は断面方向の観察で求めた面積率で少なくとも10%は必要で最大は80%である。10%以下では、耐かじり性が劣り、80%を超えると耐食性、塗装密着性が劣る。望ましくは20〜50%が良い。この相の大きさは平均直径で1から30μmである。
めっき層の厚さは、5〜80μmである。5μmより薄いと耐食性が不十分となり80μmより厚くても耐食性の向上代は飽和し、めっき外観の凹凸が激しくなって塗装後の外観を損なう。
めっき層は、Zn−Fe合金を基本とするが、Al、Cr、Mn、Mg、Ti、Ni、Mo、Siの一種または二種以上を添加してよい。AlはZnとFeの合金化反応を抑制すると同時に耐食性の向上作用もある。その他の添加金属はいずれもめっき浴の鋼板素地への濡れ性や塗装後の耐食性、耐酸化性を向上させる。添加金属添加量は、合計で0.001質量%未満ではその効果は無く、7質量%を超えると効果が飽和するうえにめっき層が脆くなり好ましくない。
鋼材の加熱温度は、最高到達温度として鋼材のオーステナイト単相温度域にする必要があることと、Fe−液共存温度域にするため下限は800℃もしくはAndrewsの式から推算されるAc3点のいずれか高い方の温度より高く、上限は亜鉛の沸点よりも低い905℃以下の温度範囲とする。780℃までの温度域は速やかに加熱することが好ましく、遅くとも5℃/秒以上とする。一方で、780℃から最高到達板温までの温度域は、本発明のめっき層構造を得る為の必須の温度域であり、5〜600秒の間で保持すればよい。熱間プレスを開始する温度は、780℃以下が望ましい。780℃超では、めっき層が一部溶解している可能性があり、型かじりや溶着の可能性がある。また、650℃以下では焼入れが不十分となり強度が不足する。
図1(a)の写真は本発明の熱間プレス亜鉛系めっき鋼材のめっき層の断面写真である。図1(b)及び図1(c)の写真は図1(a)の組織写真における鉄元素と亜鉛元素の分布を表す写真である。地鉄界面近傍がFeを60質量%程度含有するZn−Fe層、その他の部分は、Feを20質量%程度含有するZn−Fe合金マトリックス層中にFeを60質量%程度含有する球状のZn−Fe合金層が島状に分布している。
図2(a)の写真は本発明以外の方法で作製した熱間プレス亜鉛系めっき鋼材のめっき層の断面写真である。図2(b)及び図2(c)の写真は図2(a)の組織写真における鉄元素と亜鉛元素の分布を表す写真である。めっき層は、球状の結晶は存在せず、めっき層全体がほぼ均一なZn−Fe合金になっているが、表層部分はZnとFeの酸化物層が形成されている。
次に実施例をもとに本発明をより詳細に説明する。
通常の熱延、冷延工程を経て製造された表1に示す鋼成分の冷延鋼板(板厚1.8mm)を素地鋼板としてAlを浴中に0.2質量%含有する溶融Zn浴からめっきを施した。溶融めっきは、洗浄−無酸化炉−還元炉タイプの製造設備を用いてめっき浴に鋼板を浸漬し、引き抜き後窒素ガスワイピングでめっき付着量を制御した後冷却した。冷却の過程で気水ミストを噴霧して急冷させて、スパングルの無い外観にした。作製した試料のめっき組成、めっきの付着量を表2に示す。このようにして製造しためっき鋼板の焼入れ性、金型とのかじり性、電着塗装後の耐食性、塗装密着性を評価した。評価方法を以下に記す。
鋼板を大気雰囲気の電気炉で所定の温度に加熱した。780℃までの電気炉とそれ以上の温度域での電気炉の二台を並列に配置し、鋼板を移動させることでそれぞれの温度域での昇温速度を制御した。所定の熱処理が完了した後に取り出し、ハット曲げ形状のプレス金型にセットして、所定の温度まで放冷したのちにプレス加工を行った。プレス加工による金型との接触で鋼板は急冷されるがその速度は30℃/秒であった。その後、試料が50℃になるまで金型で保持した後取り出した。表2に、各試料の加熱条件をまとめて示す。
得られたプレス試料は、金型との型カジリの程度を試料の壁部で目視評価した。カジリがまったく無いものは○、カジリが認められるがめっき層が残存しているものは△、カジリが認められてめっき層が激しく欠損しているものは×とし、○と△は合格とした。耐食性の評価は、プレス試料の壁部を切り出し、化成、電着塗装を行った。化成処理は、日本パーカライジング社製PB−3080を用いた。電着塗装はカチオンタイプの日本ペイント社製U−80を用いて電着電圧を調整して20μmの膜厚にした。得られた塗装試料の表面にカッターでクロスカットを導入し、腐食試験に供した。腐食試験は、SST、乾燥、湿潤の工程から構成されるJASO M609の100サイクルで評価した。この腐食試験の一サイクルは、JIS Z 2371の塩水噴霧を2時間、60℃湿度30%の乾燥を4時間、50℃湿度98%の湿潤を2時間行うことからなる。評価は、クロスカット部の片側最大ふくれ巾が2mm以下は○、4mm以下は△、4mm超は×とし、○、△を合格とした。塗装密着性は、塗装試料を50℃の純水に240時間浸漬し、取り出し乾燥後24間放置し、カッターで2mm間隔の碁盤目傷(10×10)を入れテープ剥離を行ったときの剥離割合で評価した。剥離個数がゼロは○、5個以下は△、5個超を×とし、○を合格とした。また、鋼板のビッカース硬度を荷重100gで評価した。めっき層断面の合金層構造は、樹脂に埋め込み研磨後、EPMAの面分析をめっき層含有元素について行い評価した。得られた結果をまとめて表3に示す。
表3において、本発明の範囲においては、型かじりの程度は小さく、塗装後の耐食性、塗装密着性が良好でビッカース硬度が500と十分な硬度を有している。鋼材の強度は硬度の約三倍で近似できるので、500の場合には1500MPaとなる。一方、本発明の範囲外では、型かじりが生じ、塗装後の耐食性は不良で塗装密着性も不良であり、鋼材としての性能を有していない。また、比較例1〜7の鋼材では硬度も確保できない為、熱間プレスを行う主な目的である、焼き入れ性が悪いことがわかる。
Figure 0004072129
Figure 0004072129
Figure 0004072129
以上のことから、本発明で得られた熱間プレス用亜鉛系めっき鋼板は、強度が1500MPaと極めて高強度でありながら、熱間で加工している為に加工性がよく、塗装後の耐食性、塗装密着性も良好であることから、自動車車体の構造部材、補強部材等への適用が可能である。本発明材を車体に適用すれば、車体の高強度化と軽量化を同時に達成することが可能となり、かけがえの無い人命の保護、燃費の削減による自然環境の保護につながる。
本発明で作製した熱間プレスZn系めっき材の断面組織観察顕微鏡写真である。地鉄界面近傍がFeを60重量%程度含有するZn−Fe層、その他の部分は、Feを20重量%程度含有するZn−Fe合金マトリックス層中にFeを60重量%程度含有する球状のZn−Fe合金相が島状に分布している。 本発明以外の方法で作製した熱間プレスZn系めっき材の断面組織観察顕微鏡写真である。めっき層は、球状の結晶は存在しない。また、めっき層全体がほぼ均一なZn−Fe合金になっているが、表層部分は、ZnとFeの酸化物層が形成されている。

Claims (8)

  1. 質量%でC:0.1〜0.5%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.5〜3%を含有する鋼材に、めっき層断面が、素地鋼板界面近傍が層状でFeを質量%で50〜80%含有するZn−Fe合金層からなり、それ以外の部分が、Feを質量%で10〜30%含有するZn−Fe合金相マトリックス中にFeを質量%で50〜80%含有する球状の形態を有するZn−Fe合金相が島状に分布するZn−Fe合金めっき層を有する塗装後の耐食性とプレス加工性に優れた熱間プレス鋼材。
  2. 球状の形態を有するZn−Fe合金相の大きさが直径で1〜30μmで、断面の面積率がめっき層全体の10〜80%である請求項1に記載の塗装後の耐食性とプレス加工性に優れた熱間プレス鋼材。
  3. めっき層の厚さが5〜80μmである請求項1又は2に記載の塗装後の耐食性とプレス加工性に優れた熱間プレス鋼材。
  4. めっき層中にさらにAl、Cr、Mn、Mg、Ti、Ni、Mo、Siの一種または二種以上を質量%の合計で0.001〜7%含有する請求項1乃至3のいずれかに記載の塗装後の耐食性とプレス加工性に優れた熱間プレス鋼材。
  5. 鋼材を熱間プレスする為に加熱する際に、到達板温Tは、式(1)で定義される値か800℃のどちらか高い方以上で905℃以下とし、780℃までの昇温速度は5℃/秒以上とし、780℃から到達板温までの昇温速度を1℃/秒以上5℃/秒未満とし、その温度域での保持時間を5〜600秒間とし、更に熱間プレス開始温度を780℃以下とする請求項1乃至4のいずれかに記載の塗装後の耐食性とプレス加工性に優れた熱間プレス鋼材。
    Figure 0004072129
    (ここで、[C]、[Mn]、[Si]、[Ti]は各元素の鋼中の質量%である。)
  6. 鋼材中に、さらに、B:0.0003〜0.03質量%、Ti:0.01〜0.3質量%の一種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の塗装後の耐食性とプレス加工性に優れた熱間プレス鋼材。
  7. 鋼材中に、Nb:0.005〜0.5質量%、V:0.005〜0.5質量%、Mo:0.005〜0.5質量%の一種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の塗装後の耐食性とプレス加工性に優れた熱間プレス鋼材。
  8. 鋼材中に、Ni:0.01〜2.0質量%、Cu:0.01〜2.0質量%の一種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の塗装後の耐食性とプレス加工性に優れた熱間プレス鋼材。
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