JP4071722B2 - 有機el素子用化合物及び有機el素子 - Google Patents

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Description

本発明は、有機EL素子用化合物及び有機EL素子に関するものである。
有機ELディスプレイ等に用いられる有機EL素子は、例えば、蛍光性有機化合物や燐光性有機化合物等の発光性有機化合物を含む発光層を、ホール注入電極(陽極)及び電子注入電極(陰極)で挟んだ構成を有するものであり、この発光性有機化合物に上記電極から電界を印加することにより励起・発光させる素子である。このような有機EL素子は、無機EL素子と比較して、輝度や発光効率(量子収率)等の素子特性において優れており、現在実用化の段階を迎えつつある。
この有機EL素子の発光原理は、おおむね以下の通りと考えられている。すなわち、まず、ホール注入電極から発光層に注入されたホール(正孔)と電子注入電極から発光層に注入された電子とが、その発光層において再結合することにより、蛍光性有機化合物等の励起子が生成する。次いで、その励起子が失活する際に、エネルギーが光(蛍光、燐光)成分として放出されることにより発光すると考えられている。
そのような有機EL素子の発光効率等を向上させるための手段の一つとして、ホール注入電極と発光層との間にホール輸送層を設けることが挙げられる。これにより、ホール注入電極から発光層に円滑にホールを輸送でき(ホール輸送性の向上)、電子注入電極から注入された電子が発光層を通り抜けることを抑制する(電子ブロック性の向上)ことができるので、発光効率及び駆動寿命を向上できると考えられている。
このホール輸送層の構成材料としては様々なものが知られているが、そのなかでも青色に発光する有機EL素子用のホール輸送層の構成材料として、例えば特許文献1には、トリフェニルジアミン誘導体(TPDA)を用いた旨が開示されている。この有機EL素子は、約8Vの駆動電圧を印可すると100cd/cm程度の輝度が得られるものである。
また、特許文献2〜14にも、特許文献1に記載されたものと同様に、下記一般式(5)で表されるテトラフェニルジアミンの誘導体が、有機EL素子のホール輸送層の構成材料として提案されている。これらのなかで、例えば特許文献2には、駆動電圧が低減された有機EL素子、あるいは発光寿命が著しく改善された有機EL素子を得ることを意図して、ホール輸送層材料に用いる化合物として、4,4’−ビフェニレンジアミン誘導体の分子構造中、ビフェニレン基のフェニレン基−フェニレン基結合に鏡面を有するような対称性の高い化合物が例示されている。
Figure 0004071722
特開平3−231970号公報 国際出願第95/09147号パンフレット 特開平8−48656号公報 特開2002−20354号公報 特開2002−53533号公報 特開2002−151273号公報 特開平5−239455号公報 特開平7−126615号公報 特開平8−259934号公報 特開平10−77252号公報 国際出願第98/30071号パンフレット 特開平10−265773号公報 特開平11−135261号公報 特開2001−273978号公報
しかしながら、本発明者らは、上記特許文献1〜14に記載されたものをはじめとする従来の有機EL素子について詳細に検討を行ったところ、これらの有機EL素子は、発光効率がいまだ不十分であり、しかも駆動電圧を十分に抑制できていないことを見出した。
そこで、本発明は上記事情にかんがみてなされたものであり、従来のものと比較して十分に優れた発光効率を有し、しかも駆動電圧を十分に抑制できる有機EL素子を形成可能な有機EL素子用化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ホール輸送層の構成材料として分子構造の対称性が比較的低いテトラアリールジアミン誘導体を用いることにより、そのホール輸送層が優れたホール輸送能力を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の有機EL素子用化合物は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする。
Figure 0004071722
ここで、式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基若しくはアリール基を示し、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基若しくはアミノ基を示し、R、R、R、R、R、R、R及びRが示す前記各基は置換基を有していても有していなくてもよい。r1、r2、r3及びr4は0〜5の整数をそれぞれ示し、r5、r6、r7及びr8は0〜4の整数をそれぞれ示し、nは2〜4の整数を、mは0〜3の整数をそれぞれ示し、n及びmはn>mの条件を満たす。
上記一般式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)という。)が、本発明の目的を達成できる要因について、本発明者らは現在のところ以下のように考えている。ただし、要因はこれらに限定されない。
上述したものを始めとする従来の有機EL素子に備えられるホール輸送層の構成材料であるテトラアリールジアミン誘導体のうちの一部は、アミノ基に結合したビフェニル基若しくはターフェニル基(テルフェニル基)等の環集合内のベンゼン環が、アミノ基の窒素原子と結合したベンゼン環の炭素に対してメタ位の炭素に結合しているものである。あるいは、ターフェニル基等の場合は、フェニレン基に結合した2つのベンゼン環が互いにメタの位置にある。このようなテトラアリールジアミン誘導体をホール輸送層の構成材料に用いても、π共役の広がりが不十分であり、その有機EL素子は十分に高いホール輸送能力を有しないため、比較的低い駆動電圧を印可すると、ホールがホール輸送層内を十分に移動できず、発光し難くなっていると考えている。
また、それ以外の従来のテトラアリールジアミン誘導体は、環集合内のベンゼン環が、アミノ基の窒素原子と結合したベンゼン環の炭素に対してパラ位の炭素に結合しているものの、比較的対称性の高い分子構造を有している。このようなテトラアリールジアミン誘導体をホール輸送層の構成材料に用いると、そのホール輸送層は優れたホール輸送能力を有するようになるため、駆動電圧を低くすることが可能になると考えられる。しかしながら、これらのテトラアリールジアミン誘導体は、その比較的対称性が高く、しかも嵩高い分子構造に起因して、結晶化しやすいため、ホール輸送層として形成された際に、隣接する層との密着性が低下すると推定される。このような層間の密着性の低下は、有機EL素子の輝度を部分的に低下させるために、発光効率の低下に繋がり、駆動電圧の上昇を引き起こす要因ともなる。
一方、本発明の有機EL素子用化合物は、アミノ基に結合したターフェニル基等の環集合内のベンゼン環が、アミノ基の窒素原子と結合したベンゼン環の炭素に対してパラ位の炭素に結合し、しかもベンゼン環同士の間でもパラ位で結合している。したがって、このような化合物を、有機EL素子のホール注入電極と発光層との間に備えられるホール輸送層の構成材料に用いると、π電子雲の広がりが十分であり、その有機EL素子は十分に高いホール輸送能力を有するので、比較的低い駆動電圧を印可しても、ホールがホール輸送層内を十分に移動できると推定される。これにより、キャリア(ホール、電子)の再結合確率が向上するので、発光効率は高くなると考えられる。
また、本発明の有機EL素子用化合物は、一般式(1)からも明らかなように、対称性の低い分子構造を有しており、結晶化し難い。しかも一方の窒素原子に結合した環集合内のベンゼン環の数が3〜5なので、ガラス転移温度(Tg)も比較的高めである。したがって、この化合物を用いてホール輸送層を形成すると、その非結晶性に起因して、隣接する層との密着性は十分なものとなる。このような隣接する層との密着性が十分に高いホール輸送層を備える本発明に係る有機EL素子は、その発光効率が十分に高く、しかも駆動電圧の上昇が十分に抑制される。
さらに、本発明の有機EL素子用化合物は合成後の精製の際に用いられる、トルエン等の有機溶媒に対して溶解性が高いため、純度の高いものが得られる。したがって、この化合物を用いて形成されたホール輸送層は高純度の材料を含有することとなり、電気的・化学的に安定し駆動寿命が長くなる傾向にある。一方、従来のテトラアリールジアミン誘導体は、本発明に係る化合物と比較して、得られるホール輸送層に含有される該誘導体の純度が比較的低くなる。その結果、得られる有機EL素子は、電気的・化学的に不安定になるので、その駆動寿命は本発明に係る有機EL素子と比較して短くなる傾向にある。
また、本発明の有機EL素子用化合物は、上記式(1)中、R及びRが、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基若しくはアリール基を示し、R、R、R、R、R及びRが、それぞれ独立に、水素原子若しくはアルキル基を示すと好ましく、R及びRが、それぞれ独立に、水素原子、メチル基若しくはフェニル基を示し、R、R、R、R、R及びRが、それぞれ独立に、水素原子若しくはメチル基を示すとより好ましい。このような化合物を用いて形成されたホール輸送層を備える有機EL素子は、一層発光効率が向上し、駆動電圧がより低下し、しかも駆動寿命が一段と延びる傾向にある。
本発明の有機EL素子は、互いに対向して配置されている電極間に備えられ発光層を含む1又は2以上の有機層のうち、ホール注入電極と発光層との間に備えられるホール輸送層が上記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするものである。このような有機EL素子は、上述したように、従来の有機EL素子と比較して、十分に優れた発光効率を有し、駆動電圧の低下を十分に抑制できる。
また、本発明の有機EL素子は、ホール輸送層とホール注入電極との間に配置されるホール注入層が、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物、下記一般式(3)で表される化合物及びフタロシアニン錯体からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有すると好ましい。
Figure 0004071722
Figure 0004071722
Figure 0004071722
ここで、式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基若しくはアリール基を示し、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基若しくはアミノ基を示し、R、R、R、R、R、R、R及びRが示す前記各基は置換基を有していても有していなくてもよい。r1、r2、r3及びr4は0〜5の整数をそれぞれ示し、r5、r6、r7及びr8は0〜4の整数をそれぞれ示し、nは2〜4の整数を、mは0〜3の整数をそれぞれ示し、n及びmはn>mの条件を満たす。
また、式(2)中、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立に、アリール基、アリールアミノ基、アルコキシ基、炭素数1〜6のアルキル基若しくは水素原子を示す。
さらに、式(3)中、R16、R17、R18、R19及びR20は、それぞれ独立に、アリール基、アリールアミノ基、アルコキシ基、炭素数1〜6のアルキル基若しくは水素原子を示す。
上述のように配置されるホール注入層が上記化合物を含有すると、ホール注入電極から発光層へのホール注入能力が向上すると考えられ、有機EL素子の発光効率が更に優れたものとなる傾向にある。同様の観点から、ホール注入層が下記一般式(4)で表される化合物を含有するとより好ましい。
Figure 0004071722
ここで、式(4)中、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立に、アリール基、アリールアミノ基、アルコキシ基、炭素数1〜6のアルキル基若しくは水素原子を示し、R25、R26、R27及びR28は、それぞれ独立にアリール基を示す。
さらに、本発明の有機EL素子は、発光層がホスト材料とドーパント材料とを含有し、ホスト材料が好ましくはアントラセン誘導体、より好ましくはモノアントラセン誘導体若しくはジアントラセン誘導体、さらに好ましくはジアントラセン誘導体を含む。この有機EL素子は、上述した本発明の有機EL素子用化合物を含有するホール輸送層とかかる発光層とを組み合わせて備えることによって、従来の有機EL素子と比較して、青色の色純度が高い有機EL素子としての発光効率が向上し、駆動電圧が十分に低下する傾向にある。
ここで、「ホスト材料」とは、発光能力が比較的低く成膜性に優れた発光性有機化合物であって、発光層の主成分となるものをいい、「ドーパント材料」とは、発光能力が比較的高く成膜性に劣る発光性有機化合物であって、発光層にドープされるものをいう。
本発明の有機EL素子は、ドーパント材料が発光性を示す炭化水素化合物であると、上述したようなホスト材料との組み合わせにより発光効率等が向上する傾向にあるので、一層好ましい。そのような観点から、発光性を示す窒素含有炭化水素化合物であっても一層好ましい。
なお、「発光性を示す」材料とは、その材料からなる膜の両側から所定の電圧を印可すると発光するような材料のことをいう。
また、本発明の有機EL素子は、ドーパント材料の分子が有するHOMOのエネルギー準位が、前記ホスト材料の分子が有するHOMOのエネルギー準位よりも高く、前記ドーパント材料の分子が有するLUMOのエネルギー準位が、前記ホスト材料の分子が有するLUMOのエネルギー準位よりも低いと好ましい。このようなドーパント材料とホスト材料との組み合わせにより形成された発光層を備える有機EL素子は、発光効率等が向上する傾向にある。その要因は、ドーパント材料の分子におけるキャリアの再結合確率が向上するためと考えられるが、これに限定されない。
なお、HOMOのエネルギー準位は、紫外線光電子分光法(UPS)若しくは大気中光電子分光法(PESA)を用いて測定される分子のイオン化ポテンシャル(Ip)の値から算出される。また、LUMOのエネルギー準位は、光学吸収端より見積もられる分子のエネルギーギャップ(Eg)をIpから減じた値から算出される。
本発明によれば、従来のものと比較して十分に優れた発光効率を有し、しかも駆動電圧を十分に抑制できる有機EL素子を形成可能な有機EL素子用化合物を提供することができる。
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
(有機EL素子用化合物)
本発明の好適な実施形態に係る有機EL素子に用いられる化合物(以下、「有機EL素子用化合物」という。)は、上記一般式(1)で表されるテトラアリールジアミン誘導体(以下、場合によって「化合物(1)」という。)である。ここで式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基若しくはアリール基を示し、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基若しくはアミノ基を示し、R、R、R、R、R、R、R及びR(以下、「R〜R」という。)が示す前記各基は置換基を有していても有していなくてもよい。また、r1、r2、r3及びr4は0〜5の整数をそれぞれ示し、r5、r6、r7及びr8は0〜4の整数をそれぞれ示し、nは2〜4の整数を、mは0〜3の整数をそれぞれ示し、n及びmは、n>mの条件を満たす。
〜Rであるアルキル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、その炭素数は、優れた発光効率を維持する観点から1〜8であると好ましい。具体的には、メチル基又はエチル基などが挙げられる。
〜Rであるアルコキシ基としては、アルキル基と同様の観点から、アルキル部分の炭素数が1〜8であると好ましく、1であるとより好ましい。具体的にはメトキシ基若しくはエトキシ基等が挙げられる。
及びRであるアリール基としては、特に限定されないが、フェニル基、ナフチル基、フェナンスリル基、アントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基若しくはカルバゾリル基であると好ましい。
上述した各原子及び各基のなかで、R〜Rが、それぞれ独立に、水素原子若しくはアルキル基を示すと好ましく、該アルキル基はメチル基であるとより好ましい。このようなR〜Rを有するテトラアリールジアミン誘導体を用いて形成されたホール輸送層を備える有機EL素子は、一層発光効率が向上し、駆動電圧がより低下し、しかも駆動寿命が一段と延びる傾向にある。
化合物(1)の具体例としては、化合物(1)を下記一般式(6)で表した場合に、置換基Ar、Ar、Ar及びArが、それぞれ下記表1〜4に示されるものである化合物(I−1)〜(I−16)、(II−1)〜(II―16)、(III−1)〜(III−16)、(IV−1)〜(IV−16)及び(V−1)〜(V−16)などが挙げられるが、これらには限定されない。
Figure 0004071722
Figure 0004071722
Figure 0004071722
Figure 0004071722
Figure 0004071722
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本実施形態の有機EL素子用化合物が、従来のものと比較して十分に優れた発光効率を有し、しかも駆動電圧を十分に抑制できる有機EL素子を形成可能である要因としては、以下のようなことが考えられる。ただし、要因はこれらに限定されない。
有機EL素子に備えられるホール輸送層の構成材料にテトラアリールジアミン誘導体を用いた従来の有機EL素子において、その誘導体の多くは、アミノ基に結合したビフェニル基若しくはターフェニル基等内のベンゼン環が、アミノ基の窒素原子と結合したベンゼン環の炭素に対してメタ位の炭素に結合している。あるいは、ターフェニル基等の場合は、フェニレン基に結合した2つのベンゼン環が互いにメタの位置にある。このようなテトラアリールジアミン誘導体をホール輸送層の構成材料に用いても、その有機EL素子は十分に高いホール輸送能力を有しないため、比較的低い駆動電圧を印可すると、ホールがホール輸送層内を十分に移動できず、発光し難くなっていると推定される。
また、ビフェニル基若しくはターフェニル基等内のベンゼン環が、アミノ基の窒素原子と結合したベンゼン環の炭素に対してパラ位の炭素に結合した従来のテトラアリールジアミン誘導体は、比較的対称性の高い分子構造を有している。かかるテトラアリールジアミン誘導体をホール輸送層の構成材料に用いると、そのホール輸送層は優れたホール輸送能力を有するようになるため、駆動電圧を低くすることが可能になると考えられる。しかしながら、これらのテトラアリールジアミン誘導体は、その比較的対称性が高く、しかも嵩高い分子構造に起因して、容易に結晶化してしまうため、ホール輸送層として形成された際に、隣接する層との密着性が低下するものと考えられる。このような層間の密着性の低下は、有機EL素子の輝度を部分的に低下させるために、発光効率の低下に繋がり、駆動電圧の上昇を引き起こす要因ともなる。
ここで、結晶化のしやすさを確認する方法としては、例えば、通常の示差走査熱量測定(DSC)を用いてガラス転移温度(Tg)を求める方法、又は光学顕微鏡での観察などが挙げられる。このTgが低いほど、その有機EL素子用化合物は一般に結晶化しやすく、Tgが高いほど結晶化し難いことを示す。
一方、本実施形態の有機EL素子用化合物は、アミノ基に結合したターフェニル基等内のベンゼン環が、アミノ基の窒素原子と結合したベンゼン環の炭素に対してパラ位の炭素に結合している。したがって、このような化合物を、有機EL素子のホール注入電極と発光層との間に備えられるホール輸送層の構成材料に用いると、そのホール輸送層は十分に高いホール輸送能力を有するので、比較的低い駆動電圧を印可しても、ホールがホール輸送層内を十分に移動できると推定される。これにより、キャリア(ホール、電子)の再結合確率が向上するので、有機EL素子の発光効率は高くなると考えられる。
また、本実施形態の有機EL素子用化合物は、上記式(1)からも明らかなように、対称性の低い分子構造を有しており、しかも一方のアミノ基の置換基であるアリール基内のベンゼン環の数が少なくとも3個、多くても5個であるため、ガラス転移温度(Tg)が比較的高めである。したがって、本実施形態の有機EL素子用化合物は結晶化し難く、この化合物を用いてホール輸送層を形成すると、その非結晶性に起因して、隣接する層との密着性は十分なものとなる。このような隣接する層との密着性が十分に高いホール輸送層を備える本実施形態の有機EL素子は、その発光効率が十分に高く、しかも駆動電圧の上昇が十分に抑制される。
さらに、本実施形態の有機EL素子用化合物は合成後の精製の際に用いられる、トルエン等の有機溶媒に対して溶解性が高いため、純度の高いものが得られる。したがって、この化合物を用いて形成されたホール輸送層は高純度の材料を含有することとなり、電気的・化学的に安定し駆動寿命が長くなる傾向にある。一方、従来のテトラアリールジアミン誘導体は、本実施形態に係る化合物と比較して、得られるホール輸送層に含有される該誘導体の純度が比較的低くなる。その結果、得られる有機EL素子は、電気的・化学的に不安定になるので、その駆動寿命は本実施形態の有機EL素子と比較して短くなる傾向にある。
また、上述したような、ホール輸送層の隣接する層との密着性の低下及びテトラアリールジアミン誘導体の純度低下は、有機EL素子の製造の際に、歩留を低減させる要因となり得るので好ましくない。
上述した本実施形態の有機EL素子用化合物は、Journal of American Chem. Soc.; 48; 1926; p2880-2881若しくは特開平10−81667号公報に記載の方法に準じて合成することができる。例えば、まず、ジフェニルベンジジンと、ヨードベンゼンとを、銅及び炭酸カリウムの各触媒の存在下、デカヒドロナフタレン溶媒中で反応(ウルマン反応)させることにより、トリフェニルベンジジンを得る。次いで、この化合物とブロモターフェニルとを、パラジウム系触媒(例えばトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0))及び有機リン系触媒(例えばトリ(tert−ブチル)ホスフィン)の存在下、キシレン及びtert−ブトキシカリウム溶媒中で反応させることにより、下記式(b)で表される本実施形態の有機EL素子用化合物が得られる(下記反応スキーム(A)参照)。なお、ブロモターフェニルは、公知の製造方法により得られる。
Figure 0004071722
(有機EL素子)
次に、本発明の好適な実施形態に係る有機EL素子について説明する。
図1は、本発明に係る有機EL素子の第1実施形態(2層型有機EL)を示す模式断面図である。図1に示す有機EL素子100は、互いに対向して配置されている2つの電極(第1の電極1及び第2の電極2)により発光層10が挟持され、第1の電極1と発光層10との間にホール輸送層11を設けた構造を有している。
図2は、本発明に係る有機EL素子の第2実施形態(3層型有機EL)を示す模式断面図である。図2に示す有機EL素子200は、図1における有機EL素子100の第2の電極2と発光層10との間に電子輸送層12を設けた構造を有している。
図3は、本発明に係る有機EL素子の第3実施形態(4層型有機EL)を示す模式断面
図である。図3に示す有機EL素子300は、互いに対向して配置されている2つの電極(第1の電極1及び第2の電極2)により、ホール注入層14、ホール輸送層11、発光層10及び電子注入層13が挟持された構造を有している。ホール注入層14、ホール輸送層11、発光層10及び電子注入層13はいずれも有機層であり、第1の電極1側からこの順に積層されている。なお、電子注入層13は無機層(金属層、金属化合物層等)とすることもできる(以下同様)。
図4は、本発明に係る有機EL素子の第4実施形態(5層型有機EL)を示す模式断面図である。図4に示す有機EL素子400は、図3における有機EL素子300の電子注入層13と発光層10との間に電子輸送層12を設けた構造を有している。
また、図示していないが、発光層として異なる構成材料(材料の種類、材料の含有割合)を含有する発光層を複数積層して設けてもよい。
なお、第1〜第4実施形態において第1の電極1は基板4上に形成されているが、基板4側からの積層の順番を逆にしてもよい。つまり、第1実施形態の有機EL素子の場合は、基板4側から第2の電極2、発光層10、ホール輸送層11、第1の電極1の順で積層されてもよい。また、本発明の有機EL素子用化合物は、上述したホール輸送層11に、その構成材料として含有されている。
上記実施形態においては、第1の電極1及び第2の電極2がそれぞれホール注入電極(陽極)及び電子注入電極(陰極)として機能し、電源Pによる電界の印加により、第1、第2実施形態ではホール輸送層11、第3、第4実施形態ではホール注入層14に対して、第1の電極1からホール(正孔)が注入されるとともに、発光層10(第2実施形態では電子輸送層12、第3、第4実施形態では電子注入層13)に対して、第2の電極2から電子が注入され、これらの再結合に基づいて発光層中の有機EL素子用化合物が発光する。
また、発光層、ホール輸送層、電子輸送層、ホール注入層及びホール輸送層の好適な厚さは、いずれも5〜200nmである。
(基板)
基板4としては、従来の有機EL素子が備えているものであれば、特に限定されることなく用いることができ、ガラス、石英等の非晶質基板、Si、GaAs、ZnSe、ZnS、GaP、InP等の結晶基板、Mo、Al、Pt、Ir、Au、Pd、SUS等の金属基板等を用いることができる。また、結晶質又は非晶質のセラミック、金属、有機物等の薄膜を所定基板上に形成したものを用いてもよい。
基板4の側を光取出し側とする場合には、基板4としてガラスや石英等の透明基板を用いることが好ましく、特に、安価なガラスの透明基板を用いることが好ましい。透明基板には、発色光の調整のために、色フィルター膜や蛍光物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜等を設けてもよい。
(第1の電極)
第1の電極1はホール注入電極(陽極)として機能する。そのため、第1の電極1の材料としては、従来の有機EL素子が備えているものであれば、特に限定されることなく用いられるが、その第1の電極1に隣接する層に効率よく且つ均一に電界を印可できる材料が好ましい。
また、基板4の側を光取り出し側とする場合、有機EL素子の発光波長領域である波長400〜700nmにおける透過率、特にRGB各色の波長における第1の電極1の透過率は、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。第1の電極1の透過率が50%未満であると、発光層10からの発光が減衰されて画像表示に必要な輝度が得られにくくなる。
光透過率の比較的高い第1の電極1は、各種酸化物で構成される透明導電膜を用いて構成することができる。かかる材料としては、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)等が好ましく、中でも、ITOは、面内の比抵抗が均一な薄膜を容易に得ることができる点で特に好ましい。
第1の電極1の膜厚は、上述の光透過率を考慮して決定することが好ましい。例えば酸化物透明導電膜を用いる場合、その膜厚は、好ましくは10〜500nm、より好ましくは30〜300nmであることが好ましい。第1の電極1の膜厚が500nmを超えると、光透過率が不充分となると共に、基板4からの第1の電極1の剥離が発生する場合がある。また、膜厚の減少に伴い光透過性は向上するが、膜厚が10nm未満の場合、抵抗率が大きくなり有機EL素子の駆動電圧を上昇させる傾向にある。
(第2の電極)
第2の電極2は電子注入電極(陰極)として機能する。第2の電極2の材料としては、従来の有機EL素子が備えているものであれば、特に限定されることなく用いられるが、金属材料、有機金属錯体若しくは金属化合物等が挙げられ、有機発光層10へ効率的且つ確実に電子を注入できるように、仕事関数が比較的低い材料を用いると好ましく、また透明であってもよい。
第2の電極2を構成する金属材料の具体例としては、Li、Na、K若しくはCs等のアルカリ金属、Mg、Ca、Sr若しくはBa等のアルカリ土類金属、あるいはAl(アルミニウム)が挙げられる。また、La、Ce、Sn、Zn若しくはZr等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属と特性が近い金属を用いることもできる。さらには、上記金属材料の酸化物若しくはハロゲン化物を用いることもできる。さらに、上記材料を含む混合物若しくは合金であってもよく、これらを複数積層してもよい。
第2の電極2の膜厚は、電子を均一に注入できる程度であればよく、0.1nm以上とすればよい。
なお、第2の電極2上には補助電極を設けてもよい。これにより、発光層10等への電子注入効率を向上させることができ、また、発光層10や電子注入層13への水分又は有機溶媒の侵入を防止することができる。補助電極の材料としては、仕事関数及び電荷注入能力に関する制限がないため、一般的な金属を用いることができるが、導電率が高く取り扱いが容易な金属を用いることが好ましい。また、特に第2の電極2が有機材料を含む場合には、有機材料の種類や密着性等に応じて適宜選択することが好ましい。
補助電極に用いられる材料としては、Al、Ag、In、Ti、Cu、Au、Mo、W、Pt、Pd、Ni等が挙げられるが、中でもAl及びAg等の低抵抗の金属を用いると電子注入効率を更に高めることができる。また、TiN等の金属化合物を用いることにより一層高い封止性を得ることができる。これらの材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。また、2種以上の金属を用いる場合は合金として用いてもよい。このような補助電極は、例えば、真空蒸着法等によって形成可能である。
(ホール輸送層)
ホール輸送層11の材料としては、上述した本実施形態の有機EL素子用化合物、すなわち化合物(1)が用いられる。このようなホール輸送層11を備える有機EL素子は、従来の有機EL素子と比較して、十分に優れた発光効率を有し、駆動電圧の低下を十分に抑制できる。
ホール輸送層11は、構成材料として化合物(1)を単独で用いられていてもよく、化合物(1)を主成分の材料として含有し、さらに従来のホール輸送層の材料として用いられているものを1種若しくは2種以上含有していてもよい。そのような材料としては、例えば、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などの低分子材料が挙げられる。
ホール輸送層11における化合物(1)以外の材料の含有割合は、発光効率、駆動電圧及び/又は駆動寿命を向上させる観点から、体積基準で、10%以下であると好ましく、5%以下であるとより好ましい。
ホール輸送層11の形成方法としては、従来用いられている方法であれば特に限定されず、例えば蒸着法(真空蒸着法、EB蒸着法など)若しくは塗膜法等を用いることができる。これらのなかでは、真空蒸着法を用いると好ましい。
(発光層)
発光層10の材料としては、電子とホールとの再結合により励起子が生成し、その励起子がエネルギーを放出して基底状態に戻る際に発光するような有機化合物であれば、特に限定されることなく用いることができる。
具体的には、例えば、アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、亜鉛錯体、イリジウム錯体若しくは希土類金属錯体等の有機金属錯体化合物、アントラセン、ナフタセン、ベンゾフルオランテン、ナフトフルオランテン、スチリルアミン若しくはテトラアリールジアミン又はこれらの誘導体、ペリレン、キナクリドン、クマリン、DCM若しくはDCJTBなどの低分子有機化合物、或いは、ポリアセチレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体若しくはポリチオフェン誘導体等のπ共役系ポリマー、又は、ポリビニル化合物、ポリスチレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアクリレート誘導体若しくはポリメタクリレート誘導体等の非π共役系の側鎖型ポリマー若しくは主鎖型ポリマー等に色素を含有させたものなどの高分子有機化合物などを挙げることができる。
また、発光層10の構成材料として、ホスト材料とドーパント材料を組み合わせて用いると好ましい。比較的蛍光性(発光性)の強いドーパント材料を用いることによりホスト材料の発光波長特性を変化させることができ、発光波長を長波長に移行することが可能になるとともに、素子の発光効率や安定性が向上する。このような場合の発光層10におけるドーパント材料の含有量は、ホスト材料とドーパント材料の組み合わせにより異なるが、一般的には、0.01〜30重量%、さらには0.1〜10重量%であることが好ましい。
ホスト材料としては、上述した、発光層10に用いられる化合物のうち、1,10−フェナントロリン誘導体、有機金属錯体化合物、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペリレン、ベンゾフルオランテン、ナフトフルオランテンなどの芳香族炭化水素化合物及びそれらの誘導体、さらにはスチリルアミン若しくはテトラアリールジアミン誘導体などが好ましい。
さらに、これらの中でも、青色の色純度が高い発光が得られる観点、並びに、上述したホール輸送層11及び/又は後述するドーパント材料との組み合わせにより一段と発光効率等が向上する観点から、ホスト材料としてアントラセン誘導体を用いると更に好ましく、以下の一般式(7a)又は(7b)で表されるモノアントラセン誘導体若しくはジアントラセン誘導体を用いると特に好ましい。
Figure 0004071722
Figure 0004071722
式(7a)及び(7b)中、M、M、M及びMは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基又は複素環基を示し、q、q、q及びqは、それぞれ独立に1〜5の整数を示す。なお、一般式(7b)において、Lは単結合又はアリーレン基である。
、M、M及びM(以下「M〜M」と略す。)としてのアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、その炭素数は1〜10が好ましく1〜4がより好ましい。好適なアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
また、M〜Mであるアリール基は、炭素数6〜20のものが好ましく、フェニル基、トリル基等の置換基を有していてもよい。このようなアリール基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ピレニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、フェニルアントリル基、トリルアントリル基等が挙げられる。
〜Mであるアルケニル基は、炭素数6〜50のものが好ましく、アリール基(フェニル基等)等のような置換基を有していてもよい。このようなアルケニル基としては、トリフェニルビニル基、トリトリルビニル基、トリビフェニルビニル基が挙げられる。
〜Mであるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基等のアルキル基部分の炭素数が1〜6のものが好ましい。なお、アルコキシ基は更に置換されていてもよい。また、M〜Mであるアリールオキシ基としては、フェノキシ基が挙げられる。
〜Mであるアミノ基は、未置換でも置換基を有するものであってもよいが、置換基を有することが好ましく、この場合の置換基としてはアルキル基(メチル基、エチル基等)、アリール基(フェニル基等)等が好ましい。このようなアミノ基としては、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ(m−トリル)アミノ基が挙げられる。
〜Mである複素環基としては、ビピリジル基、ピリミジル基、キノリル基、ピリジル基、チエニル基、フリル基、オキサジアゾイル基、イミダゾピリジル基、ベンゾチアゾール基等が挙げられ、これらは、メチル基、フェニル基等の置換基を有していてもよい。
なお、L及びLであるアリーレン基としては、p−フェニレン基、m−フェニレン基、4,4’−ビフェニレン基が挙げられる。
好適なアントラセン誘導体の具体例としては以下の化学式(8a)又は(8b)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004071722
Figure 0004071722
また、ドーパント材料としては、上述した、発光層10の材料として用いられる化合物のうち、発光効率又は寿命の観点から、炭化水素化合物又は窒素含有炭化水素化合物を用いると好ましい。そのようなドーパント材料の具体例としては、ルブレン誘導体、ジスチリルアミン誘導体、フルオランテン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、ペンタセン誘導体などが挙げられる。これらなかでは、上述と同様の観点から、ルブレン誘導体、ジスチリルアミン誘導体、フルオランテン誘導体、ピレン誘導体若しくはペリレン誘導体であるとより好ましい。
ホスト材料とドーパント材料との組み合わせとして、ドーパント材料の分子が有するHOMOのエネルギー準位が、ホスト材料の分子が有するHOMOのエネルギー準位よりも高く、ドーパント材料の分子が有するLUMOのエネルギー準位が、ホスト材料の分子が有するLUMOのエネルギー準位よりも低いものであってもよい。このようなホスト材料とドーパント材料とを発光層10の材料として用いることにより、発光効率が高く、駆動寿命の長い有機EL素子を得ることができる傾向にある。
発光層10は、必要に応じて、1種以上のホール輸送性化合物と1種以上の電子輸送性化合物との混合層とすることも好ましく、この混合層中にドーパントを含有させるとより好ましい。混合層では、キャリアのホッピング伝導パスが生成し、各キャリアは極性的に優勢な物質中を移動するので、逆方向のキャリア注入は起こり難くなると考えられる。これにより、発光層10を構成する有機材料が損傷を受け難くなるので、有機EL素子の駆動寿命が延びるという利点がある。特に本発明に用いる有機EL素子用化合物は、ホール注入に対して安定であるため、混合層のホール輸送性材料として好適に用いることができる傾向にある。
混合層に用いるホール輸送性化合物及び電子輸送性化合物としては、1,10−フェナントロリン誘導体、有機金属錯体化合物、アントラセン、ナフタセン、ベンゾフルオランテン、ナフトフルオランテンなどの芳香族炭化水素化合物またはこれらの誘導体を用いると好ましい。ホール輸送性化合物としては、強い蛍光を有するアミン誘導体を用いても好ましく、そのようなアミン誘導体としては、例えば、トリフェニルジアミン誘導体、スチリルアミン誘導体若しくは芳香族縮合環を有するアミン誘導体が挙げられる。
この場合のホール輸送性化合物と電子輸送性化合物との好ましい混合比は、それぞれのキャリア移動度及びキャリア濃度により異なるが、一般的には、ホール輸送性化合物と電子輸送性化合物との混合比(質量比)が、1:99〜99:1であると好ましく、10:90〜90:10であるとより好ましく、20:80〜80:20程度であると更に好ましい。
(ホール注入層)
ホール注入層14の材料は、従来の有機EL素子のホール注入層に用いられているものであれば特に限定されることはなく、アリールアミン、フタロシアニン、ポリアニリン/有機酸、ポリチオフェン/ポリマー酸などの有機化合物材料、又は、ゲルマニウム若しくはシリコン等の金属若しくは半金属の酸化物などを用いることができる。これらのホール注入性材料は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ホール注入層14の材料としては、上述したホール輸送層11との組み合わせによる更なる発光効率等の向上の観点から、化合物(1)、上記一般式(2)で表される化合物、上記一般式(3)で表される化合物及びフタロシアニン錯体からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有すると好ましく、上記一般式(4)で表される化合物を含有するとより好ましい。具体的には、上述の一般式(6)を用いて例示した化合物(1)、下記式(9a)、(9b)、(9c)若しくは(9d)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 0004071722
Figure 0004071722
Figure 0004071722
Figure 0004071722
それらのなかでも、上述の観点から、化合物(1)、上記一般式(9a)で表される化合物若しくは上記一般式(9b)で表される化合物をホール注入層14の材料として用いるとより好ましく、化合物(1)若しくは上記一般式(9a)で表される化合物を用いると特に好ましい。
このホール注入層14を備えることにより、有機EL素子は、第1の電極(ホール注入電極)1からのホールの注入を容易にし、ホールを安定に輸送し、さらにはホール輸送層11からの電子を妨げる機能を有するものである。それにより、有機EL素子の発光効率が向上するとともに駆動電圧が全体的に低下する傾向にある。
(電子輸送層)
電子輸送層12の材料としては、従来知られているものであれば、特に限定されることなく用いることができ、低分子材料、高分子材料のいずれの電子輸送材料も使用可能である。電子輸送性低分子材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレン及びその誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、フェナントロリン及びその誘導体、並びにこれらの化合物を配位子とする金属錯体などが挙げられる。また、電子輸送性高分子材料としては、ポリキノキサリン、ポリキノリンなどが挙げられる。電子輸送層12の材料は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(電子注入層)
電子注入層13の構成材料は、従来の有機EL素子において電子注入層に用いられているものであれば特に限定されることはなく、リチウム等のアルカリ金属、フッ化リチウム、酸化リチウム等を用いることができる。この電子注入層13を備えることにより、有機EL素子は、第2の電極(電子注入電極)2からの電子の注入を容易にし、電子を安定に輸送し、さらには有機発光層10からのホールを妨げる機能を有するものとなる。それにより、有機EL素子の発光効率が向上するとともに駆動電圧が全体的に低下する傾向にある。
本実施形態に係る有機EL素子は、上記化合物(1)を用いてホール輸送層11を形成する以外は、公知の製造方法で製造できる。そのようなホール輸送層11を含めて各有機層の形成方法としては、真空蒸着法、イオン化蒸着法、塗布法等を、有機層を構成する材料に応じて適宜選択して採用できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(合成例1)
N,N’−ジフェニルベンジジン6.0g(0.018モル)と、ヨードベンゼン2.4g(0.012モル)と、無水炭酸カリウム4.1g(0.030モル)と、銅粉2.0g(0.031モル)と、デカヒドロナフタレン15mLとを混合し、180〜200℃で約24時間反応させた。次いで、反応生成物をトルエン300mLで抽出し水洗後、カラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶離液:トルエン/n−ヘキサン=1/1(体積比))により精製したところ、N,N,N’−トリフェニルベンジジン2.3g(収率46.7%)が得られた。
続いて、上述のN,N,N’−トリフェニルベンジジン1.5g(0.0036モル)と、4”−ブロモ−[1,1’,4’,1”]−ターフェニル1.88g(0.0061モル)と、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.10g(0.00011モル)と、トリ−tert−ブチルホスフィン180μL(0.00073モル)と、カリウム−tert−ブトキシド2.0g(0.018モル)と、キシレン100mLとを混合し、180〜240℃で約12時間反応させた。次に、反応生成物を300mLのトルエンにより抽出し水洗後、カラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶離液:トルエン/n−ヘキサン=1/1(体積比))により精製したところ、N−[1,1’,4’,1”]−ターフェニル−N,N’,N’−トリフェニルベンジジン2.2g(収率94.4%)が得られた。これを、更に公知の方法により昇華精製することにより、純度99.97%(HPLCにより純度確認、以下同様。)の式(10)で表されるN−[1,1’,4’,1”]−ターフェニル−N,N’,N’−トリフェニルベンジジン(以下、化合物(10)という。)を得た。
Figure 0004071722
なお、得られた化合物の質量分析を行ったところ、m/e=641にピークが確認された。また、この化合物を赤外吸収分光(IR)法を用いて分析したところ、図5に示すIRスペクトルが得られた。さらに、この化合物をH−核磁気共鳴(H−NMR)法を用いて分析したところ、図6に示すNMRスペクトルが得られた。これらのことから、合成例1において得られた化合物が、化合物(10)であることが確認された。そして、該化合物(10)の示差走査熱量測定を行ったところ、そのガラス転移温度(Tg)が103℃であることが確認された。
(合成例2)
N,N’−トリフェニルベンジジン2.3g(0.056モル)と、ジヨードビフェニル5.7g(0.014モル)と、無水炭酸カリウム8.0g(0.060モル)と、銅粉4.0g(0.062モル)と、デカヒドロナフタレン20mLとを混合し、180〜200℃で約24時間反応させた。次いで、反応生成物をトルエン300mLで抽出し水洗後、カラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶離液:トルエン/n−ヘキサン=2/3(体積比))により精製したところ、N−(4’−ヨードビフェニル−4−イル)−N,N,N’−トリフェニルベンジジン2.0g(収率51.9%)が得られた。
続いて、上述のN−(4’−ヨードビフェニル−4−イル)−N,N,N’−トリフェニルベンジジン1.95g(0.0028モル)と、4−ビフェニルボロン酸1.12g(0.0057モル)と、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.13g(0.00014モル)と、2M炭酸ナトリウム水溶液20mLと、エタノール10mLと、トルエン40mLとを混合し、80〜90℃で約8時間反応させた。次に、反応生成物を400mLのトルエンにより抽出し水洗後、カラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶離液:トルエン/n−ヘキサン=3/1(体積比))により精製したところ、再結晶したN,N’,N’−トリフェニル−N−([1,1’,4’,1”,4”,1”’]−クオーターフェニル−4−イル)ベンジジン2.0g(収率98.7%)が得られた。これを、更に公知の方法により昇華精製することにより、純度99.99%の式(11)で表されるN,N’,N’−トリフェニル−N−([1,1’,4’,1”,4”,1”’]−クオーターフェニル−4−イル)ベンジジン(以下、化合物(11)という。)を得た。
Figure 0004071722
なお、得られた化合物の質量分析を行ったところ、m/e=717にピークが確認された。また、この化合物を赤外吸収分光(IR)法を用いて分析したところ、図7に示すIRスペクトルが得られた。さらに、この化合物を核磁気共鳴(NMR)法を用いて分析したところ、図8に示すNMRスペクトルが得られた。これらのことから、合成例2において得られた化合物が、化合物(11)であることが確認された。そして、該化合物(11)の示差走査熱量測定を行ったところ、その融点が282℃、ガラス転移温度(Tg)が103℃であることが確認された。
(合成例3)
N,N’−ジフェニルベンジジン6.0g(0.018モル)と、p−ヨードトルエン2.6g(0.012モル)と、無水炭酸カリウム4.1g(0.030モル)と、銅粉2.0g(0.031モル)と、デカヒドロナフタレン15mLとを混合し、180〜200℃で約24時間反応させた。次いで、反応生成物をトルエン300mLで抽出し水洗後、カラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶離液:トルエン/n−ヘキサン=1/1(体積比))により精製したところ、N,N’−ジフェニル−N−(4−メチルフェニル)ベンジジン2.8g(収率54.7%)が得られた。
続いて、上述のN,N’−ジフェニル−N−(4−メチルフェニル)ベンジジン2.7g(0.0063モル)と、4”−ヨード−4−メチル−[1,1’;4’,1”]−ターフェニル3.5g(0.0095モル)と、無水炭酸カリウム3.4g(0.025モル)と、銅粉2.5g(0.039モル)と、デカヒドロナフタレン20mLとを混合し、180〜240℃で約24時間反応させた。次に、反応生成物を500mLのトルエンにより抽出し水洗後、カラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶離液:トルエン/n−ヘキサン=1/1(体積比))により精製したところ、N−(4”−メチル−[1,1’;4’,1”]−ターフェニル−4−イル)−N,N’−ジフェニル−N’−p−トリル−ビフェニル−4,4’−ジアミン1.8g(収率42.0%)が得られた。これを、更に公知の方法により昇華精製することにより、純度99.95%の式(12)で表されるN−(4”−メチル−[1,1’;4’,1”]−ターフェニル−4−イル)−N,N’−ジフェニル−N’−p−トリル−ビフェニル−4,4’−ジアミン(以下、化合物(12)という。)を得た。
Figure 0004071722
(実施例1)
まず、用意したガラス基板上に、ホール注入電極(陽極)としてのITOを200nmの厚さに成膜し、パターニングした。次に、中性洗剤、アセトン及びエタノールの混合液を用いて、該ガラス基板の超音波洗浄を行った。続いて、そのガラス基板を混合液から引き上げて乾燥した後、UV/O洗浄を行った。そして洗浄後のガラス基板を蒸着装置(アルバック製)の基板ホルダーに固定して、1×10−4Paまで減圧した。
次いで、下記式(13)で表される化合物をそのガラス基板上に蒸着し、120nmの厚さを有するホール注入層を形成した。
Figure 0004071722
続いて、系内を減圧状態に維持したまま、合成例1で得られた化合物(10)をホール注入層上に蒸着し、10nmの厚さを有するホール輸送層を形成した。
次いで、系内を減圧状態に維持したまま、ホスト材料としての下記式(14)で表されるジアントラセン誘導体と、ドーパント材料としての下記式(15)で表される化合物とを、体積比96:4の割合で、ホール輸送層上に共蒸着させ、40nmの厚さを有する発光層を形成した。
Figure 0004071722
Figure 0004071722
さらに、系内を減圧状態に維持したまま、下記式(16)で表される化合物を発光層上に蒸着し、15nmの厚さを有する電子輸送層を形成した。
Figure 0004071722
そして、系内を減圧状態に維持したまま、電子注入層してのフッ化リチウムを蒸着法により電子輸送層上に形成した。この電子注入層の膜厚は0.5nmであった。そして、その上に電子注入電極(陰極)としてのアルミニウムを100nmの膜厚で成膜し、青色に発光する実施例1の有機EL素子を得た。
(実施例2)
合成例1で得られた化合物(10)を用いる代わりに合成例2で得られた化合物(11)を用いてホール輸送層を形成した以外は実施例1と同様にして、青色に発光する実施例2の有機EL素子を得た。
(実施例3)
合成例1で得られた化合物(10)を用いる代わりに合成例3で得られた化合物(12)を用いてホール輸送層を形成した以外は実施例1と同様にして、青色に発光する実施例3の有機EL素子を得た。
(比較例1)
合成例1で得られた化合物(10)を用いる代わりに下記式(17)で表されるN,N,N’,N’−テトラキスビフェニル−4−イル−ビフェニル−4,4’−ジアミンを用いてホール輸送層を形成した以外は実施例1と同様にして、青色に発光する比較例1の有機EL素子を得た。
Figure 0004071722
(比較例2)
合成例1で得られた化合物(10)を用いる代わりに下記式(18)で表される化合物を用いてホール輸送層を形成した以外は実施例1と同様にして、青色に発光する比較例2の有機EL素子を得た。
Figure 0004071722
(比較例3)
合成例1で得られた化合物(10)を用いる代わりに下記式(19)で表される化合物を用いてホール輸送層を形成した以外は実施例1と同様にして、青色に発光する比較例3の有機EL素子を得た。
Figure 0004071722
(比較例4)
合成例1で得られた化合物(10)を用いる代わりに下記式(20)で表される化合物を用いてホール輸送層を形成した以外は実施例1と同様にして、青色に発光する比較例4の有機EL素子を得た。
Figure 0004071722
<素子特性評価試験>
上記のようにして得られた実施例1〜3及び比較例1〜4の有機EL素子について、真空中、室温にて、10mA/cmの定電流駆動時の初期輝度及び駆動電圧、100mA/cmの定電流駆動時の初期輝度及び駆動電圧、並びに、50mA/cmの定電流駆動時の輝度が半減するまでの寿命(輝度半減寿命)をそれぞれ測定した。それらの結果を表6に示す。
Figure 0004071722
本発明の第1実施形態に係る有機EL素子を示す模式断面図である。 本発明の第2実施形態に係る有機EL素子を示す模式断面図である。 本発明の第3実施形態に係る有機EL素子を示す模式断面図である。 本発明の第4実施形態に係る有機EL素子を示す模式断面図である。 本発明の実施例に係る有機EL素子用化合物のIRスペクトルである。 本発明の実施例に係る有機EL素子用化合物のH−NMRスペクトルである。 本発明の実施例に係る有機EL素子用化合物のIRスペクトルである。 本発明の実施例に係る有機EL素子用化合物のH−NMRスペクトルである。
符号の説明
1…第1の電極、2…第2の電極、4…基板、10…発光層、11…ホール輸送層、13…電子注入層、14…ホール注入層、100…第1実施形態に係る有機EL素子、200…第2実施形態に係る有機EL素子、300…第3実施形態に係る有機EL素子、P…電源。

Claims (12)

  1. 下記一般式(1)で表されることを特徴とする有機EL素子用化合物。
    Figure 0004071722

    (式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基若しくはアリール基(当該アリール基はフェニル基、ナフチル基、フェナンスリル基、アントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基若しくはカルバゾリル基である。)を示し、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基若しくはアルコキシ基を示し、R、R、R、R、R、R、R及びRが示す前記各基は置換基を有していても有していなくてもよい。r1、r2、r3及びr4は0〜5の整数をそれぞれ示し、r5、r6、r7及びr8は0〜4の整数をそれぞれ示し、nは2〜4の整数を、mは0〜3の整数をそれぞれ示し、n及びmはn>mの条件を満たす。)
  2. 前記式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基若しくはアリール基(当該アリール基はフェニル基、ナフチル基、フェナンスリル基、アントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基若しくはカルバゾリル基である。)を示し、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子若しくはアルキル基を示すことを特徴とする請求項1記載の有機EL素子用化合物。
  3. 前記式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基若しくはフェニル基を示し、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子若しくはメチル基を示すことを特徴とする請求項2記載の有機EL素子用化合物。
  4. 互いに対向して配置されている電極間に備えられ発光層を含む1又は2以上の有機層のうち、ホール注入電極と前記発光層との間に備えられるホール輸送層が下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする有機EL素子。
    Figure 0004071722

    (式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基若しくはアリール基(当該アリール基はフェニル基、ナフチル基、フェナンスリル基、アントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基若しくはカルバゾリル基である。)を示し、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基若しくはアルコキシ基を示し、R、R、R、R、R、R、R及びRが示す前記各基は置換基を有していても有していなくてもよい。r1、r2、r3及びr4は0〜5の整数をそれぞれ示し、r5、r6、r7及びr8は0〜4の整数をそれぞれ示し、nは2〜4の整数を、mは0〜3の整数をそれぞれ示し、n及びmはn>mの条件を満たす。)
  5. 前記ホール輸送層とホール注入電極との間に配置されるホール注入層が、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物、下記一般式(3)で表される化合物及びフタロシアニン錯体からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とする請求項4記載の有機EL素子。
    Figure 0004071722

    (式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基若しくはアリール基(当該アリール基はフェニル基、ナフチル基、フェナンスリル基、アントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基若しくはカルバゾリル基である。)を示し、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基若しくはアルコキシ基を示し、R、R、R、R、R、R、R及びRが示す前記各基は置換基を有していても有していなくてもよい。r1、r2、r3及びr4は0〜5の整数をそれぞれ示し、r5、r6、r7及びr8は0〜4の整数をそれぞれ示し、nは2〜4の整数を、mは0〜3の整数をそれぞれ示し、n及びmはn>mの条件を満たす。)
    Figure 0004071722

    (式(2)中、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立に、アリール基、アリールアミノ基、アルコキシ基、炭素数1〜6のアルキル基若しくは水素原子を示す。)
    Figure 0004071722

    (式(3)中、R16、R17、R18、R19及びR20は、それぞれ独立に、アリール基、アリールアミノ基、アルコキシ基、炭素数1〜6のアルキル基若しくは水素原子を示す。)
  6. 前記ホール注入層が、下記一般式(4)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項5記載の有機EL素子。
    Figure 0004071722

    (式(4)中、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立に、アリール基、アリールアミノ基、アルコキシ基、炭素数1〜6のアルキル基若しくは水素原子を示し、R25、R26、R27及びR28は、それぞれ独立にアリール基を示す。)
  7. 前記発光層がホスト材料とドーパント材料とを含有し、
    前記ホスト材料がアントラセン誘導体を含むことを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の有機EL素子。
  8. 前記ホスト材料がモノアントラセン誘導体若しくはジアントラセン誘導体を含むことを特徴とする請求項7記載の有機EL素子。
  9. 前記ホスト材料がジアントラセン誘導体を含むことを特徴とする請求項8記載の有機EL素子。
  10. 前記ドーパント材料は、発光性を示す炭化水素化合物であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の有機EL素子。
  11. 前記ドーパント材料は、発光性を示す窒素含有炭化水素化合物であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の有機EL素子。
  12. 前記ドーパント材料の分子が有するHOMOのエネルギー準位は、前記ホスト材料の分子が有するHOMOのエネルギー準位よりも高く、前記ドーパント材料の分子が有するLUMOのエネルギー準位は、前記ホスト材料の分子が有するLUMOのエネルギー準位よりも低いことを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項に記載の有機EL素子。
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