JP4070228B2 - スパークプラグの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスパークプラグの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用エンジンなどの内燃機関に使用されるスパークプラグの多くにおいて、中心電極との間で火花放電ギャップを形成する接地電極(当業者の間では外側電極とも称される)は、近年、内燃機関が高出力化するに伴い、折損等の問題も生じやすくなっている。その原因として、機関もしくは燃焼振動による共振と高加速度(G)とが考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、より厳しい環境下における接地電極の耐久性を確保するために、その材質としてインコネル600(英国インコ社の商標名)等の耐熱合金を使用することも行われているが、高出力エンジンにおける折損防止の観点においては強度的に必ずしも十分でない問題がある。これは、接地電極が、先端側が中心電極側を向くように曲げ加工されていることから、主体金具への取り付け基端側に曲げモーメントが作用しやすく、また、燃焼に伴う衝撃波等を直接受ける位置に取り付けられていることが原因しているためであると考えられる。なお、接地電極の素材断面積を大きくして曲げ剛さを向上させる方法もあるが、種々の制約により限界がある。例えば電極曲げ方向の素材厚さを大きくする場合、主体金具の取付ねじ部外面側への厚さを大きくし過ぎると、スパークプラグをシリンダヘッドに取り付けた際に、プラグホールのねじ山と接地電極の基端部とが干渉して、正常な取付けが不能となる場合がある。他方、主体金具の取付ねじ部内面側への厚さを大きくし過ぎると、電極基端部内面が中心電極に近づき過ぎ、火花の横飛び等が生じ易くなる。また、接地電極の厚さをむやみに大きくし過ぎると、スパークプラグの取付位置によっては、接地電極が吸入混合気の火花放電ギャップへの流入を妨げて、着火性を大幅に低下させる場合がある。
【0004】
本発明の課題は、接地電極の素材厚さをそれほど大きくしなくとも、折損等に対する強度を十分に確保することができるスパークプラグの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記の課題を解決するために、本発明のスパークプラグの製造方法は、
中心電極と、その中心電極の外側に設けられた絶縁体と、前記絶縁体の外側に設けられた炭素鋼からなる主体金具と、一端側が前記主体金具に結合され、他端側が前記中心電極の先端と対向するように配置されて前記中心電極との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを備え、前記接地電極の少なくとも表層部が、電極側面においてR状の曲げ部の中央にて20℃で測定したビッカース硬さが265以上1300以下であって、730℃にて測定したビッカース硬さが60以上200以下の金属にて構成されているスパークプラグの製造方法であって、
前記接地電極の少なくとも表層部を構成する前記金属として、Niの含有量が9〜83質量%であり、FeとNiとの合計含有量が50〜83質量%であり、Cr、Mo、W及びCoの1種又は2種以上を合計で16〜49質量%含有し、かつAl及びTiの一方又は双方を1〜10質量%含有するNi基耐熱合金又はFe基耐熱合金を使用し、
前記主体金具に一端側が結合された、少なくとも表層部が前記Ni基耐熱合金又は前記Fe基耐熱合金にて構成された接地電極素材をレーザービームにより局所加熱しながら、その他端側を側方に曲げ加工する加熱曲げ加工工程を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明者らが鋭意検討したところ、接地電極の素材として20℃にて測定したビッカース硬さが220以上の金属を採用することで、取付対象となる内燃機関が高出力化しても電極折損等の問題を極めて効果的に抑制することができ、ひいては接地電極の素材厚さをそれほど大きくしなくとも、折損等に対する強度を十分に確保することができ、電極の長寿命化を図ることが可能となる。
【0008】
なお、接地電極は、その全体が前記した高硬度金属によって構成されていてもよいし、内部に放熱用の金属材料(CuあるいはCu合金など、高硬度金属よりは硬度が小さい金属を用いる)を配設する場合には、表層部を含む主要部分(体積比率にて50%以上を占める部分)のみが高硬度金属にて構成されていてもいずれでもよい。
【0009】
なお、接地電極の少なくとも表層部を構成する高硬度金属の部分は、少なくともスパークプラグが未使用の状態(スパークプラグに対し、その使用に伴う熱履歴が未だ加わっていない状態)において、20℃にて測定したビッカース硬さが220以上確保されていればよい。なお、高硬度金属としては、望ましくは20℃にて測定したビッカース硬さが265以上であるのがよく、また、スパークプラグの昇温する実使用環境を考慮すれば、730℃にて測定したビッカース硬さが、60以上、望ましくは100以上確保される金属材料を使用するのがよい。他方、室温でのビッカース硬さが1300を超えると材料の延性が不足し、スパークプラグ取付時等において物が当たるなど、強い衝撃が加わると却って折損等が生じ易くなることもある。従って、材料のビッカース硬さは望ましくは1300以下、さらに望ましくは1200以下の材質を選択するのがよい。なお、本明細書においてビッカース硬さは、JIS:Z2244に規定された微小ビッカース硬さ試験方法において、試験荷重300gfにて測定したものをいう。
【0010】
金属素材としては、具体的には、Ni基耐熱合金あるいはFe基耐熱合金のうち、加工後に上記ビッカース硬さレベルを確保できる組成のものを選択して用いることができる。なお、Ni基耐熱合金とはNiを主成分とする耐熱合金のことであり、Fe基耐熱合金とはFeを主成分とする耐熱合金のことである。さらに、「主成分」とは最も含有率の高い金属元素成分のことをいう。
【0011】
なお、従来のスパークプラグでは、純Niや、インコネル600など室温での強度がそれほど高くない金属素材を使用していたが、このような金属素材は一般には室温での変形能が比較的大きいので、電極の曲げ加工も冷間にて行われていた。しかしながら、本発明のように室温での硬度の高い金属材料は変形能が小さく、冷間加工では加工割れ等が問題になったり、あるいはスプリングバックが大きいためギャップ調整精度が低下したりする場合がある。そこで、本発明のスパークプラグの製造方法においては、接地電極を加熱することにより、このような高硬度の素材を用いつつもスムーズで欠陥等が生じにくく、またスプリングバックによるギャップ調整精度の低下も小さい曲げ加工が可能となった。なお、Ni基耐熱合金あるいはFe基耐熱合金等を使用する場合には、加工温度の目安はおおむね600〜900℃である。また、昇温することにより確実に曲げ加工を可能とするためには、730℃にて測定したビッカース硬さが200以下となる金属を、接地電極素材として使用することが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のいくつかの実施の形態を図面を用いて説明する。
図1に示す本発明の一例たる抵抗体入りスパークプラグ100は、筒状の主体金具1、先端部が突出するようにその主体金具1内に嵌め込まれた絶縁体2、先端部を突出させた状態で絶縁体2の内側に設けられた中心電極3、及び主体金具1に一端が結合され、他端側が中心電極3の先端と対向するように配置された接地電極4等を備えている。接地電極4と中心電極3の間には火花放電ギャップgが形成されている。
【0013】
絶縁体2は、例えばアルミナあるいは窒化アルミニウム等のセラミック焼結体により構成され、その内部には自身の軸方向に沿って中心電極3を嵌め込むための貫通孔6を有している。貫通孔6の一方の端部側に端子金具13が挿入・固定され、同じく他方の端部側に中心電極3が挿入・固定されている。また、該貫通孔6内において端子金具13と中心電極3との間に抵抗体15が配置されている。この抵抗体15の両端部は、導電性ガラスシール層16,17を介して中心電極3と端子金具13とにそれぞれ電気的に接続されている。
【0014】
主体金具1は、炭素鋼等の金属により円筒状に形成されており、スパークプラグ100のハウジングを構成するとともに、その外周面には、プラグ100を図示しないエンジンブロックに取り付けるためのねじ部7が形成されている。なお、1eは、主体金具1を取り付ける際に、スパナやレンチ等の工具を係合させる工具係合部であり、六角状の軸断面形状を有している。他方、主体金具1の後方側開口部内面と、絶縁体2の外面との間には、絶縁体2の長手方向中間位置に形成されたフランジ状の突出部2eの後方側周縁と係合するリング状の線パッキン62が配置され、そのさらに後方側にはタルク等の充填層61を介してリング状のパッキン60が配置されている。また、主体金具1の後方側の開口縁はパッキン60に向けて内側に加締めることにより加締め部1dが形成され、主体金具1が絶縁体2に対して固定されている。
【0015】
また、主体金具1のねじ部7の基端部には、ガスケット30がはめ込まれている。このガスケット30は、炭素鋼等の金属板素材を曲げ加工したリング状の部品であり、ねじ部7をシリンダヘッド側のねじ孔にねじ込むことにより、主体金具1側のフランジ状のガスシール部1fとねじ孔の開口周縁部との間で、軸線方向に圧縮されてつぶれるように変形し、ねじ孔とねじ部7との間の隙間をシールする役割を果たす。
【0016】
接地電極4は、高出力化したガソリンエンジンに適用された場合においても、折損等の不具合が回避できるように、少なくとも表層部、本実施の形態ではその全体が、20℃にて測定したビッカース硬さが220以上、望ましくは265以上の金属にて構成されている。また、該金属としては、望ましくは730℃でのビッカース硬さが60以上、より望ましくは100以上の材料が選択される。
【0017】
具体的には、上記のような金属として、該硬さレベルを有するものとなるように組成調整されたNi基耐熱合金あるいはFe基耐熱合金にて構成される。例えば、析出強化型の材料では、Niの含有量が9〜83質量%であり、FeとNiとの合計含有量が50〜83質量%であり、Cr、Mo、W及びCoの1種又は2種以上(以下、耐酸化性付与成分という)を合計で16〜49質量%含有し、かつAl及びTiの一方又は双方(以下、析出形成成分という)を1〜10質量%含有するNi基耐熱合金又はFe基耐熱合金を使用することができる。この材料は、上記組成範囲のNiとAl及び/又はTiとを含有することで、適当な熱処理によりNi3AlあるいはNi3Ti等の微細な金属間化合物が、Ni又はFeを主成分とするマトリックス中に分散析出し、高温強度が向上する。
【0018】
なお、Ni含有量が9質量%未満では分散強化に寄与できる析出物の形成量が不足し、83質量%を超えると、耐酸化性付与成分の含有代が不足して高温耐酸化性が不十分となる場合がある。他方、耐酸化性付与成分の含有量が16質量%未満では高温耐酸化性が不十分となり、49質量%を超えると強度や加工性の低下につながる場合がある。また、析出形成成分が1質量%未満では、分散強化に寄与できる析出物の形成量が不足し、10質量%を超えると材料の脆化につながる場合がある。また、FeとNiとの合計含有量が50質量%未満では必要な強度の確保が困難となり、83質量%を超えると耐酸化性付与成分の含有代が不足して高温耐酸化性が不十分となる場合がある。
【0019】
上記組成を有するNi基耐熱合金のうち、本発明に特に適したものとして以下のようなものがある(ただし、これらに限定されるものではない):
・インコネル601(英国インコ社商標名、標準組成:Ni−23質量%Cr−1.4質量%Al−14.1質量%Fe−0.5質量%Mn−0.2質量%Si−0.05質量%C);
・インコネルX751(英国インコ社商標名、標準組成:Ni−15.5質量%Cr−1.0質量%Nb−0.7質量%Al−2.5質量%Ti−7質量%Fe−0.5質量%Mn−0.2質量%Si−0.05質量%C)。
【0020】
また、マトリックス固溶強化型のNi基耐熱合金として、Niを45〜70質量%含有し、Cr、Mo、W及びCo(耐酸化付与成分)の1種又は2種以上を合計で28〜45質量%含有し、かつFeを1〜20質量%含有するものを使用することもできる。Ni含有量が45質量%未満では高温強度を十分に確保できなくなる場合があり、70質量%以上では固溶成分でもある耐酸化性付与成分の含有代が不足して、高温強度あるいは高温耐酸化性が不十分となる場合がある。他方、耐酸化性付与成分の含有量が28質量%未満では高温強度あるいは高温耐酸化性が不十分となる場合があり、45質量%を超えると強度や加工性の低下につながる場合がある。
【0021】
上記組成を有するNi基耐熱合金のうち、本発明に特に適したものとして以下のようなものがある(ただし、これらに限定されるものではない):
・ハステロイC22(米国ハイネス・ステライト社商標名、標準組成:Ni−21.5質量%Cr−2.5質量%Co−13.5質量%Mo−4質量%−5.5質量%Fe−1.0質量%Mn−0.1質量%Si−0.01質量%C);
・ハステロイC276(米国ハイネス・ステライト社商標名、標準組成:Ni−15.5質量%Cr−2.5質量%Co−16質量%Mo−3.7質量%−5.5質量%Fe−1.0質量%Mn−0.1質量%Si−0.01質量%C)。
【0022】
なお、接地電極4の曲げ方向の厚さは、以下のように設定するのがよい。
取付ねじ部の呼びがM10である場合:0.8〜1.3mm;
取付ねじ部の呼びがM12である場合:0.8〜1.5mm;
取付ねじ部の呼びがM14である場合:1.8〜1.7mm。なお、本明細書において取付ねじ部の呼びは、ISO2705(M10)、ISO2704(M12)及びISO1919(M14)に規定された値を意味し、当然に、該規格に定められた寸法公差の範囲内での変動を許容する。
【0023】
上記スパークプラグ100は以下のようにして製造することができる。まず、接地電極となるべき線状の金属素材(例えば伸線加工や圧延加工により製造されたもの)の一端側を抵抗溶接等の溶接により主体金具に溶接し、次いで必要な電極長さに切断する。これを、既に中心電極3等を組み付けた絶縁体の外側に配置して加締め止めし、図1にスパークプラグ100において、接地電極4の曲げ加工のみを行っていない状態の組立体100’(図2)を作る。そして、曲げ前の接地電極4(接地電極素材)は、以下の工程で先端側が中心電極3の先端面に向けて曲げ加工され、火花ギャップgが形成されてスパークプラグ100となる。この加工は、例えば予備曲げと本曲げとの2段階の工程で行うことができる。
【0024】
図2(a)に示すように、予備曲げ工程は、組立体100’の中心電極3の先端面と対向するように予備曲げスペーサ42を配置し、その予備曲げスペーサ42に対し接地電極4の先端側を、曲げパンチ43を用いて中心電極3とは反対側から押しつけることにより行うものである。ここで、曲げ加工される接地電極素材は前述の通り、20℃(常温)でのビッカース硬さが220以上の比較的硬質のものを使用するので、常温では変形抵抗が幾分高すぎ、曲げ加工時に割れ等が生じて歩留まりが低下する場合がある。
【0025】
そこで、素材を例えば700℃以上に加熱して変形抵抗を低減して加工を行うことが有効である。加熱方法としては、図2(b)に示すように、レーザービームLBにより接地電極4のみを局所加熱する方法が採用できる。レーザービームLBはレンズにより細く絞ることが可能であるから、塑性変形が特に大きく生ずるR状の曲げ部のみを選択的に加熱することができる。なお、この実施例では、予備曲げスペーサ42あるいは予備曲げパンチ43によりレーザー光が遮られないように、接地電極4に対し側方からレーザービームLBを照射するようにしている。
【0026】
次いで本曲げ工程においては、まず、図2(c)に示すように、中心電極3の先端面と、予備曲げ終了後の接地電極4の先端部との間に、火花ギャップ量を規定するナイフ状のスペーサ95を挟み込む。そして、同図(d)に示すように、その状態で接地電極4に対して、スペーサ95と反対側から接近・離間可能に設けられた本曲げパンチ90により、先端が斜め上方を向く形で予備曲げされた接地電極4を、先端部が中心電極3の先端面とほぼ平行となるように本曲げ加工を施す。このときも接地電極4に対しては、レーザービームLBによる局所加熱を行うことができる。
【0027】
なお、接地電極の加熱方法としてはレーザービーム照射による方法に限らず、例えば通電抵抗発熱を利用した直接加熱を行うこともできる。図3にそのいくつかの例を示している。図3(a)及び(b)は予備曲げ時の加熱方法を示すものであり、(a)では予備曲げパンチ43及び予備曲げスペーサ42を通電電極に流用し、加熱電源50により直流通電加熱(交流通電加熱でもよい)する方法である。他方、(b)では、予備曲げパンチ43及び予備曲げスペーサ42とは別体の通電電極91,91を電極基端部及び先端部にそれぞれ当接させ、加熱電源50により通電加熱する方法である。なお、予備曲げパンチ43と主体金具1との間で通電するようにしてもよい。また、図3(c)は、本曲げパンチ90及び主体金具1を介して接地電極4を通電加熱しながら本曲げ工程を行う様子を示している。
【0028】
なお、図4に示すように、接地電極4に予め曲げ加工を施した後、主体金具1に絶縁体2を組み付けるようにしてもよい。
【0029】
【実験例】
本発明の効果を確認するために、以下の実験を行った。図1に示すスパークプラグとして、取付ねじ部7の呼びがM14、接地電極4の基端部と中心電極3との軸線間距離l1が5.1mm、中心電極3の主体金具1からの出寸法l2が3mm、火花放電ギャップgの間隔が1.1mm、接地電極4の断面形状及び寸法が、図5(a)に示す矩形のもの(曲げ方向厚さh×幅wが1.3mm×2.7mm、1.2mm×2.2mm及び1.5mm×2.8mmのもの)及び同図(b)に示す円形のもの(φ1.1mm)を各種作成した。接地電極4の材質として用いたのは、インコネル601、インコネルX750、インコネル600(英国インコ社商標名、標準組成:Ni−15.5質量%Cr−8質量%Fe−0.5質量%Mn−0.2質量%Si−0.08質量%C:比較例)、Ni−5質量%W合金(比較例)であり、いずれも冷間伸線後焼きなました線材を素材として用いた(ただし、インコネル601、インコネルX750については必要な時効硬化処理を行なっている)。なお、別途線径4mmの素材も同様の方法により製造し、これを用いて作成した試験片により引張試験を行い、引張強さの測定を別途行った。
【0030】
上記の素材を用いた接地電極の曲げ加工は、図2に示す予備曲げ+本曲げの各工程を、レーザービーム(CW−YAGレーザー、ビーム径1.0mm、エネルギー10J)を用いて、電極を730℃に加熱して行った。なお、曲げ加工後の電極のビッカース硬さを、図1に示すように、電極側面においてR状の曲げ部の略中央MPにて、20℃及び730℃の2つの条件にて測定した。
【0031】
そして、上記の各スパークプラグを1800ccの4サイクルDOHCガソリンエンジンに取り付け、スロットル全開状態にてエンジン回転数が6000rpmとなるように負荷調整した状態で連続運転し、接地電極に折損が生じて点火不能となるまでの耐久時間を測定した。以上の結果を図5に示す。
【0032】
この結果によれば、20℃にて測定したビッカース硬さが220以上の金属にて接地電極を構成したものは優れた耐久性を示し、特に室温でのビッカース硬さが265以上、730℃でのビッカース硬さが100以上のインコネルX750では、電極断面寸法を相当縮小しても耐久性を十分維持できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパークプラグの一例を示す縦断面図。
【図2】接地電極の曲げ工程の一例を示す工程説明図。
【図3】同じく曲げ工程の変形例を示す工程説明図。
【図4】接地電極の曲げ後に主体金具と絶縁体との組み付けを行う方法を示す説明図。
【図5】実験結果を示す説明図。
【符号の説明】
1 主体金具
2 絶縁体
3 中心電極
4 接地電極
g 火花放電ギャップ
Claims (4)
- 中心電極と、その中心電極の外側に設けられた絶縁体と、前記絶縁体の外側に設けられた炭素鋼からなる主体金具と、一端側が前記主体金具に結合され、他端側が前記中心電極の先端と対向するように配置されて前記中心電極との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを備え、前記接地電極の少なくとも表層部が、電極側面においてR状の曲げ部の中央にて20℃で測定したビッカース硬さが265以上1300以下であって、730℃にて測定したビッカース硬さが60以上200以下の金属にて構成されているスパークプラグの製造方法であって、
前記接地電極の少なくとも表層部を構成する前記金属として、Niの含有量が9〜83質量%であり、FeとNiとの合計含有量が50〜83質量%であり、Cr、Mo、W及びCoの1種又は2種以上を合計で16〜49質量%含有し、かつAl及びTiの一方又は双方を1〜10質量%含有するNi基耐熱合金又はFe基耐熱合金を使用し、
前記主体金具に一端側が結合された、少なくとも表層部が前記Ni基耐熱合金又は前記Fe基耐熱合金にて構成された接地電極素材をレーザービームにより局所加熱しながら、その他端側を側方に曲げ加工する加熱曲げ加工工程を含むことを特徴とするスパークプラグの製造方法。 - 前記接地電極の少なくとも表層部を構成する前記金属として、Niを45〜70質量%含有し、Cr、Mo、W及びCoの1種又は2種以上を合計で28〜45質量%含有し、かつFeを1〜20質量%含有するNi基耐熱合金が使用される請求項1記載のスパークプラグの製造方法。
- 前記加熱曲げ加工工程において前記接地電極素材を700℃以上に加熱する請求項2記載のスパークプラグの製造方法。
- 前記接地電極素材は、少なくとも表層部が、前記加熱された状態にて測定したビッカース硬さが200以下であり、かつ曲げ加工後において20℃にて測定したビッカース硬さが220以上となる金属にて構成されたものを使用する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のスパークプラグの製造方法。
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