JP4069165B2 - 酒粕麹の製造方法および酒粕醤油の製造方法 - Google Patents
酒粕麹の製造方法および酒粕醤油の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、酒粕原料を使用して麹を製造する方法、ならびに、その酒粕麹から醤油を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
清酒もろみを圧搾して清酒を分離した残りである酒粕は、清酒原料米から18%〜22%もとれ、アルコールのほか、たんぱく質やビタミン類なども含んでおり、栄養的にも価値が高い。また、板状で湿潤な酒粕(板粕)は、6%〜7%程度のエタノールを含有しているので、腐敗することがなく、このため、長期間の保存が可能であって原材料として好都合である。ところが、酒粕は、現在のところ、奈良漬け、わさび漬け等の粕漬けや粕汁などの食材として用いられるほかは、特に大きな用途が無い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
酒粕(板粕)の用途が限られるのは、それがアルコールを多く含んでいるからであり、例えば酒粕に麹菌を繁殖させようとしても、その繁殖が阻害され、製麹に長時間を要し、また、良好な出麹も得られない。一方、板粕からアルコールを除去しようとしても、酒粕を乾燥させてアルコールを除去する場合には、乾燥にコストがかかる、といった問題がある。
【0004】
この発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、酒粕を原料として麹および醤油を得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、酒粕原料とデンプン原料と種麹とを混合し、種麹の接種直後に強制通風し、物料中のアルコール分を低減させて製麹し、酒粕麹を製造することを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の製造方法において、前記デンプン原料として、割砕小麦または白糠を使用することを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の製造方法において、前記酒粕原料として、液化仕込みによる酒粕を使用することを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の製造方法によって得られた酒粕麹を食塩水と混合して仕込み、それを熟成させて発酵分解させ、酒粕醤油を製造することを特徴とする。
【0009】
請求項1に係る発明の製造方法によると、酒粕原料とデンプン原料と種麹とが混合され、種麹の接種直後に強制通風されることにより、物料中のアルコールの蒸発・拡散が促進され、物料中のアルコール分が効率良く除去されて低減する。このように製麹の開始直後から強制通風を行って物料中のアルコール分を低減させるので、酒粕への麹菌の繁殖がアルコールによって阻害されることがなく、比較的に短い時間で製麹が終了し、良好な酒粕麹が得られる。ここで、通常の製麹工程では、その開始直後から強制通風を行うと、雑菌が混入して増殖する恐れがあるため、製麹の開始直後は、全く通風が行われない。ところが、この発明の方法では、製麹の開始直後に強制通風を行っており、雑菌が混入する可能性が考えられる。しかしながら、物料中にはアルコール分が多く含まれているため、雑菌が混入してもその繁殖が抑えられる。物料中からアルコール分が殆ど除去されると、強制通風を止め、あるいは、培養熱を取り去るだけの通風を行うようにして製麹する。
【0010】
請求項2に係る発明の製造方法では、割砕小麦または白糠を栄養源として麹菌が繁殖する。
【0011】
請求項3に係る発明の製造方法では、液化仕込みによる醸造の際の副産物である酒粕を原料として麹が得られる。
【0012】
請求項4に係る発明の製造方法によると、上記したようにして得られた酒粕麹が、食塩水と混合して仕込み熟成されることにより、麹菌によって産生される酵素の作用で蛋白質が発酵分解され、旨味を醸し出す呈味成分である各種アミノ酸が作り出されて、酒粕醤油が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態について説明する。
【0014】
この発明に係る製造方法では、製麹の原料として酒粕が使用される。酒粕原料としては、液化仕込みなどによる醸造の際に副産物として産出される酒粕(板粕)が用いられる。この酒粕原料を必要により加熱殺菌してから、酒粕原料とデンプン原料、例えば割砕小麦、白糠などと種麹とを混合して製麹装置に盛り込む。この場合、そのまま製麹したのでは、酒粕に6%〜7%程度含まれているアルコールによって麹菌の繁殖が阻害され、製麹に長時間を要し、また良好な出麹も得られない。そこで、この発明に係る製造方法では、以下のような手段を講じる。
【0015】
すなわち、酒粕原料とデンプン原料と種麹とを混合して製麹装置に盛り込んだ直後に、例えば2時間程度、強制通風する。これにより、物料中のアルコールの蒸発・拡散を促進させ、物料中のアルコール分を効率良く除去して低減させる。物料中からアルコール分が殆ど除去されると、強制通風を止め、あるいは、培養熱を取り去るだけの通風を行うようにする。この場合、麹菌の繁殖は、盛り込み後、約15時間程度経過してから始まる。
【0016】
上記したような方法で製麹することにより、酒粕への麹菌の繁殖がアルコールによって阻害されることがなくなり、比較的短い時間で製麹を終えることができ、良好な出麹を得ることができる。得られた酒粕麹は、図1にフローチャートを示すように、通常の醤油製造工程と同様の工程で、食塩水と混合して仕込み、発酵熟成させる。この発酵熟成により、麹菌によって産生される中性プロテアーゼ等の酵素の作用で蛋白質が発酵分解され、旨味を醸し出す呈味成分である各種アミノ酸が作り出される。また、仕込み期間中に炭水化物が徐々に分解され、芳香成分であるアルコールやエステル類が作られていく。そして、大豆を原料として製造される一般的な醤油と同様の旨味と芳醇な香りに富んだ酒粕醤油が出来上がる。
【0017】
なお、酒粕原料、デンプン原料および種麹を混合する際の添加順序は、特に決まりは無く、それらを適当な順番で添加していけばよく、また、全てのものを一度に混合してもよい。
【0018】
【実施例】
次に、この発明のより具体的な実施例について説明する。
【0019】
酒粕原料として、液化仕込み酒粕(水分:40.2%、粗蛋白:36.2%、粗脂肪:7.5%、粗繊維:1.7%、未分析:7.7%、エタノール:6.7%)を使用した。この酒粕4.0kgと割砕小麦2.0kgとを混合し粉砕した混合物に水0.4lを加え、その混合物に麹菌8gを接種した。この混合物を自動製麹装置(ヤエガキ社製)に盛り込み、盛り込み直後から2時間、強制通風を行い、30℃〜40℃の温度で72時間培養した。この製麹により得られた酒粕麹のプロテアーゼ活性等の値を表1に示す。表1中の数値の単位は、「U」である。
【0020】
【表1】
【0021】
比較例として、上記液化仕込み酒粕4.0kgと割砕小麦2.0kgとを混合し粉砕した混合物に水0.4lを加え、その混合物に麹菌8gを接種し、この混合物を自動製麹装置に盛り込み、30℃〜40℃の温度で培養した。この製麹結果を表1に示す。
【0022】
表1に示した結果から分かるように、比較例の方法では、麹菌の繁殖開始時期が大幅に遅れ、72時間目に酵素が生成し始めた。これに対し、本発明の実施例の方法のように製麹装置への盛り込み直後に強制通風すると、麹菌の繁殖開始までの時間が短くなり、製麹を開始してから24時間後に酵素活性が出始め、48時間後、72時間後には酵素活性が高くなった。
【0023】
上記実施例および比較例で得られたそれぞれの麹を18%の食塩水で仕込み、25℃の温度で熟成させて発酵分解させた。それぞれ得られたもろみの発酵分解の状況を表2に示す。表2中の数値の単位は、「g/100ml」である。
【0024】
【表2】
【0025】
表2に示した結果から分かるように、発酵期間が5カ月以上になると、本発明の実施例のように製麹装置への盛り込み直後に強制通風を行って短い製麹時間で得られた麹を仕込んだものの方が、全窒素やアミノ酸の溶出量が多くなった。したがって、この発明に係る製造方法によると、旨味に富んだ醤油が得られる。
【0026】
【発明の効果】
請求項1および請求項2に係る各発明の製造方法によると、酒粕を原料として短い製麹時間で良好な麹を得ることができる。
【0027】
請求項3に係る発明の製造方法では、液化仕込みによる醸造の際の副産物である酒粕を原料として良好な麹を得ることができる。
【0028】
請求項4に係る発明の製造方法によると、酒粕を原料として一般的な醤油と同様の旨味と芳醇な香りに富んだ醤油を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る酒粕醤油の製造方法における工程の1例を示すフローチャートである。
Claims (4)
- 酒粕原料とデンプン原料と種麹とを混合し、種麹の接種直後に強制通風し、物料中のアルコール分を低減させて製麹することを特徴とする酒粕麹の製造方法。
- 前記デンプン原料として、割砕小麦または白糠が使用される請求項1に記載の酒粕麹の製造方法。
- 前記酒粕原料が、液化仕込みによる酒粕である請求項1または請求項2に記載の酒粕麹の製造方法。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の製造方法によって得られた酒粕麹を食塩水と混合して仕込み、それを熟成させて発酵分解させることを特徴とする酒粕醤油の製造方法。
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