JP4068797B2 - 加工前印刷用フィルム被覆鋼板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工前印刷後も耐食性に優れる食缶に供する鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食缶に用いられる金属缶用素材であるブリキ、ティンフリースチールなどの鋼板には、一回あるいは複数回の塗装が施されていた。この塗装を施すことは、塗料の焼付工程が煩雑であるばかりでなく、多大な焼付時間を必要とし、さらに多量の溶剤を排出するため、公害面からも排出溶剤を特別な焼却炉に導き焼却しなければならないという問題を有していた。これらの問題を解決するため、熱可塑性樹脂フィルムを加熱した鋼板に被覆することが検討され、例えば飲料缶や食缶の一部に素材として使用されている。食缶の場合は製缶後に印刷した紙を缶外面に被覆することが多かったが、缶外面の意匠性を高める目的で成形前の鋼板に直接印刷を施すディストーション印刷のような加工前印刷が行われるようになり、印刷下地として鋼板の色を隠蔽する目的で缶外面側にあたる面に白色の顔料を含んだフィルムを被覆した鋼板の要求が高まっている。また、食缶は飲料缶と異なり、開缶はフルオープンとなることが多いので、内容物が良く映えるようにする目的で白色の顔料を含んだフィルムを被覆した面を缶内面側にする要求が高まっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
加工前印刷は成形加工前の鋼板に施され、その後に成形加工が行われる。加工前印刷での加熱焼付で鋼板に被覆したポリエステルフィルムの非晶部分は結晶成長、特に球晶が成長して脆化し、フィルムの強度や伸びが低下するため、成形加工時に微細な亀裂を生じ、特に白色の顔料を含んだフィルムは削れたり疵付きやすく、欠陥を生じる問題がある。その結果、缶外面側は印刷インキやトップコートに被覆されるので問題を生じないが、缶内面側は腐食が進行したり、黒変(FeS、SnS)が発生し、内容物のフレーバー性の低下や保存性の低下をきたし、特にレトルト処理を施すと更に悪化して商品価値を失ってしまう。また、鋼板に被覆したポリエステルフィルムの非晶部分の球晶化が著しい場合、成形加工そのものが困難となる。
【0004】
本発明の目的は、加工前印刷されたフィルム被覆鋼板の缶内面側に被覆されたフィルムが成形加工時やレトルト処理時に欠陥を生じることなく、耐食性に優れる食缶用フィルム被覆鋼板を提供することである。特に、ディストーション印刷されたフィルム被覆鋼板の缶内面側に被覆された白色の顔料を含んだフィルムが成形加工時やレトルト処理時に欠陥を生じることなく、耐食性に優れ、開缶時に内容物が映える食缶用フィルム被覆鋼板を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明は以下の手段を用いている。(1)本発明は、缶内面側となる面に白色のポリエステルフィルムが被覆されており、缶外面側となる面に後工程で加工前印刷とその焼付が行われたうえ、全体を絞り成形及び再絞り成形することにより、内面が白色で外面に印刷が施された食缶に加工される被覆鋼板であって、印刷前の該ポリエステルフィルムは、式
R=IA /IB
式中、IA はポリエステルフィルム表面に平行な面間隔約0.34nmの回折面によるX線回折強度、IB はポリエステルフィルム表面に平行な面間隔約0.39nmの回折面によるX線回折強度、
で定義されるX線回折強度比が3.5以上5.0以下の範囲にあるものであり、かつ白色顔料を0以上5重量%以下含有した表層、白色顔料を5以上30重量%以下含有した中間層、白色顔料を0以上5重量%以下含有した鋼板接着面層の3層からなるものであることを特徴とする加工前印刷用フィルム被覆鋼板である。
(2)本発明は、白色顔料が二酸化チタン、硫酸バリウムであることを特徴とする上記(1)記載の加工前印刷用フィルム被覆鋼板である。
(3)本発明は、ポリエステルフィルムの樹脂がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の加工前印刷用フィルム被覆鋼板である。
(4)本発明は、ポリエステルフィルムの樹脂がポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ナフタレート共重合体であることを特徴とする上記(1)または(2)または(3)記載の加工前印刷用フィルム被覆鋼板である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、前記(1)式のX線回折強度比Rが3.5以上5.0以下の範囲にすることで、被覆した缶内面側となる白色のフィルムの加工性を維持し、欠陥の起点を生じさせないことによるレトルト処理時の欠陥発生の抑制と経時劣化の抑制が可能である。X線回折強度比Rが3.5未満の場合、ポリエステル樹脂の配向結晶が消失し無配向非晶化している割合が高く、加工前印刷の焼付の熱処理で無配向非晶化部分がポリエステル樹脂の脆化の原因となる球晶成長や体積収縮が起こり、ミクロクラックが発生して被覆したポリエステルフィルムの伸びが低下して、加工により欠陥や破断を生じる。また、X線回折強度比Rが5.0より大きい場合、被覆したポリエステルフィルムの延伸が大きくてその伸びる余地が不十分なため、加工により破断を生じる可能性があり、被覆したポリエステルフィルムの延伸が大きくて残存収縮応力も大きいので、レトルト処理時に被覆したフィルムが収縮して鋼板から剥離することがある。
【0007】
本発明において、ポリエステルフィルムのX線回折強度比R=IA /IB は次のようにして求められる。ポリエステルフィルムを被覆した鋼板のポリエステルフィルム被覆面をX線回折装置を用い、次のように測定する。測定条件として、X線管球(ターゲット)は銅(波長λ=0.1542nm)を使用して、管電圧40kV、管電流20mA程度で、面間隔約0.34nm(2Θが26°付近)の回折面と面間隔約0.39nm(2Θが22.5°付近)の回折面の二つの回折ピークが分離できるようにスリット幅が角度にして0.1°以下の受光スリットを選択し、回折角2Θに対しX線の入射角と反射角がそれぞれΘであり、かつ、入射X線と回折X線がフィルム面法線に対して対称となるように試料を取り付け、入射角Θと反射角Θが常に等しくなるように保ちながら、回折角2Θを15〜30°間走査し、X線回折スペクトルを測定する。
【0008】
測定した例を図1に示す。2Θ=15°の強度と2Θ=30°の強度のところを直線で結びバックグラウンドとし、バックグラウンドを引いた面間隔約0.34nmの回折面の回折強度IA (ピーク高さ、または2Θ=26°付近の最も高い値)と面間隔約0.39nmの回折面の回折強度IB (ピーク高さ、または2Θ=22.5°付近の最も高い値)を求め、X線回折強度比R=IA /IB の値を計算する。
【0009】
本発明の加工前印刷用フィルム被覆鋼板は、ポリエステル樹脂をTダイ製膜法やインフレーション製膜法でポリエステルフィルムに成形し、逐次二軸延伸あるいは同時二軸延伸し、熱固定することにより製造した二軸延伸ポリエステルフィルムを鋼板に被覆される。ここで、二軸延伸製膜方法や二軸延伸フィルムを鋼板に被覆する方法は特に限定されるものではない。二軸延伸フィルムを鋼板に被覆する方法は、例えばポリエステルフィルムを加熱した鋼帯に圧着ロールを用いて熱圧着後に水冷させる方法等の公知の加熱圧着方法に従って行えばよい。X線回折強度比Rはポリエステル樹脂組成、ポリエステルフィルム構成、製膜時の延伸倍率、延伸後の熱固定温度条件、ポリエステルフィルムを鋼板に被覆する時の熱圧着条件(鋼帯の加熱温度、ラミネートロール温度、熱圧着時間、熱圧着圧力、熱圧着後の冷却条件等)、ポリエステルフィルム被覆鋼板の被覆後の熱処理等によって制御することができる。例えば、X線回折強度比Rはポリエステルフィルムの製膜時の延伸倍率を大きくすると大きくなり、ポリエステルフィルムを鋼板に被覆する時の鋼帯の加熱温度を高くすると小さくすることができる。本発明では上述の各種条件を制御することにより、最終的に加工前のポリエステル被覆鋼板の被覆したポリエステルフィルムのX線回折強度比Rを3.5以上5.0以下の範囲に制御することが重要である。
【0010】
本発明の加工前印刷用フィルム被覆鋼板は、例えば、図2および図3に部分拡大断面図で示すような構成が好ましい。すなわち、白色顔料を含有しないか、5重量%以下含有するポリエステル樹脂からなる表層1と、白色顔料を5〜30重量%含有するポリエステル樹脂からなる中間層2と、及び白色顔料を含有しないか、5重量%以下含有するポリエステル樹脂からなる鋼板接着面層3の3層からなるポリエステルフィルム5を加熱圧着により鋼板4の缶内面側となる面に被覆したものである。また、図2に示すものでは、ポリエステルフィルム5が被覆されていない他面を外面用フィルム6で被覆したものとしてある。
【0011】
本発明によれば、加工時に被覆したフィルム表層の白色顔料は欠陥の起点となりやすいため、表層1の白色顔料の含有量を0以上5重量%以下とすることで、被覆したポリエステルフィルムの加工による欠陥を減少させることが可能である。また、被覆したフィルムの鋼板接着面層3は白色顔料の含有量を0以上5重量%以下とすることで、鋼板との接着面に白色顔料が露出する確率が低く、ポリエステル樹脂と鋼板表面が直接接触することでその密着性が高く、加工時に剥離せずに耐食性が維持される。さらに、中間層には白色顔料を5〜30重量%含有させることで隠蔽性と被覆したフィルムの加工性の両立が可能である。3層フィルムの製膜方法は従来法である2種3層、3種3層のTダイ製膜法やインフレーション製膜法で3層ポリエステルフィルムに成形し、逐次二軸延伸あるいは同時二軸延伸し、熱固定することにより製造した二軸延伸ポリエステルフィルムを鋼板に被覆される。ここで、二軸延伸製膜方法や二軸延伸ポリエステルフィルムを鋼板に被覆方法は特に限定されるものではない。
【0012】
本発明に用いる白色顔料は様々なものが使用可能である。例えば、ルチル型またはアナターゼ型の二酸化チタン、硫酸バリウム、パーライト、炭酸カルシウム、タルク、炭酸バリウム、アルミナホワイト、炭酸マグネシウム、マイカなどが挙げられ、特にルチル型またはアナターゼ型の二酸化チタンと硫酸バリウムが特に好ましい。これらの白色顔料の粒径は、0.05〜2μm の範囲にあることが好ましく、0.1〜0.5μm の範囲にあることがより好ましい。白色顔料の粒径が0.05μm 未満の場合、体積当たりの表面積が大きくなり水分の吸着が多くなり、ポリエステル樹脂の加水分解を生じたり、また、白色顔料同士の凝集が生じて隠蔽性の斑や欠陥の起点となる可能性が高くなる。また、白色顔料の粒径が2μm 超の場合、フィルムの伸びの低下による加工性の低下を生じたり、加工時に被覆したフィルムの欠陥を生じ易くなる。
【0013】
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂は特に限定されるものではないが、加工性、加工後密着性、フィルムコストの点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体樹脂が好ましい。また、耐疵付性が良好で薄膜化が可能となるポリエチレンナフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート/ナフタレート共重合体樹脂が好ましい。また、2種類以上のホモポリマーまたは共重合ポリマーをブレンドしたポリエステル樹脂や加工性や耐衝撃性を向上させる目的で各種エラストマーを1種類または2種類以上ブレンドしたポリエステル系樹脂を使用しても良い。また、3層ポリエステルフィルムの場合、表層1、中間層2、鋼板接着面層3のポリエステル樹脂として、それぞれ異なるポリエステル樹脂を使用しても良い。ポリエステルフィルムの総厚さは10〜30μm が好ましい。また、3層ポリエステルフィルムの場合、表層1、中間層2、鋼板接着面層3の厚さは特に限定されるものではなく、同じ厚さの組み合わせでも、異なる厚さの組み合わせでもよいが、隠蔽性を向上させるために中間層2の厚さは9〜28μm の範囲とし、表層1及び鋼板接着面層3の厚さは0.5〜10μm の範囲とすることが好ましい。さらに、ポリエステル系樹脂は必要に応じて、各種添加剤を加えても良い。また、ポリエステルフィルムと鋼板の接着力を高める目的で、ポリエステルフィルムの鋼板接着面にコロナ放電処理等を行ってもよく、接着プライマーを使用してもよい。
【0014】
本発明の加工前印刷用フィルム被覆鋼板は缶内面側となる片面に白色のポリエステルフィルムが被覆されており、食缶の外面側になる面に本発明のポリエステルフィルム、または本発明以外のフィルムが被覆されてもよく、本発明以外のフィルムは単層または二層以上でもよく、必要に応じて各種添加剤を加えてもよい。特に印刷見映えのために白色顔料を含んだフィルムを被覆することが好ましい。また、食缶の外面側になる面に各種の樹脂塗料を塗装しても良い。
【0015】
食缶外面に意匠性を付与する目的で、ポリエステルフィルムの表面側または鋼板接着面側に着色した熱硬化性樹脂をコーティングしたポリエステルフィルムを食缶の外面側になる面に被覆してもよい。熱硬化性樹脂は特に限定されるものではなく、ポリエステル・アミノ系、エポキシ・アミノ系、アクリル・アミノ系、アクリル・エポキシ系、エポキシエステル系等の1種類または2種類以上のブレンドでもよく、必要に応じて各種添加剤を加えてもよい。熱硬化性樹脂のコーティング面を鋼板接着面側とする場合、加工後、レトルト処理後の鋼板との接着性が十分に確保できるような熱硬化性樹脂を選択することが好ましく、鋼板の表面処理の種類や被覆方法と条件により適した選択がされる。熱硬化性樹脂の着色方法は特に限定されるものではなく、顔料の添加、染色等の従来方法を使用でき、色の組み合わせも限定されるものではない。顔料、染料は様々なものが使用可能であるが、高級感のあるゴールド色となる黄鉛、亜鉛黄などの黄色系顔料が特に好ましい。また、熱硬化性樹脂のコーティング方法も特に限定されるものではなく、従来方法を使用できる 。
【0016】
本発明に用いる鋼板は各種表面処理鋼板、例えば冷間圧延鋼板を焼鈍後二次冷間圧延し、亜鉛系めっき、錫めっき、ニッケルめっき、クロムめっき、錫/クロム二層めっき、電解クロム酸処理、クロム酸処理、リン酸処理等の一種または二種以上行ったものを用いることができる。
【0017】
本発明の加工前印刷用フィルム被覆鋼板を用いた缶は、被覆後のX線回折強度比Rが3.5以上5.0以下の範囲であるポリエステルフィルムを被覆した面が、缶の内面(内容物)側となるように加工される。
【0018】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明を具体的に説明する。
表1に示す構成となる缶内面用ポリエステルフィルムと缶外面用フィルムを表1に示す温度に加熱した厚さ0.18mmの鋼帯に圧着ロールを用いて熱圧着後に水冷させて、表1の構成となる加工前印刷用フィルム被覆鋼板を製造した。得られた加工前印刷用フィルム被覆鋼板は、約160℃で10分間の印刷焼付と約205℃で10分間の仕上げバーニッシュの焼付を行った。ディストーション印刷後の加工前印刷用フィルム被覆鋼板は、直径158mmの円板を打抜き、常法に従い加工前印刷用フィルム被覆面を缶内面とした浅い絞りカップを得た。この絞り工程における絞り比は1.56であった。次いで、この絞りカップを再絞り成形を行った。この再絞り工程における絞り比は1.23であった。このようにして、カップ径82mm、カップ高さ52mmのDRD缶を得た。このDRD缶の缶底を常法に従い、エキスパンションリング加工した。この缶底加工したDRD缶の缶内面の加工前印刷用フィルムの健全性を評価した。また、缶底加工したDRD缶を125℃で90分間のレトルト処理を行い、缶内面の加工前印刷用フィルムの健全性を評価した。
【0019】
実施例1〜5の缶内面フィルムの健全性は、缶底加工後もレトルト処理後も非常に良好であった。一方、比較例1、2の缶内面フィルムの健全性は、缶底加工後もレトルト処理後も不十分であった。比較例3の缶底加工後の缶内面フィルムの健全性は良好であったが、レトルト処理後に被覆した缶内面フィルムが鋼板から剥離した。
【0020】
【表1】
【0021】
注)
PET/IA11:ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート11モル%
共重合体(融点226℃)
PET/NDCA:ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート11モル%
共重合体(融点226℃)
TiO2 =X%:二酸化チタン=含有量(X重量%)
SaSO4 =X%:硫酸パリウム=含有量(X重量%)
顔料=白色顔料
【0022】
【表2】
注)缶内面フィルムの健全性の評価
缶に1%食塩水を充填し、缶を陽極として+6Vの電圧をかけた時に流れる電流値を測定した
◎:0.01mA未満
○:0.01mA以上1.0mA未満
△:1.0mA以上10.0mA未満
×:10.0mA以上
【0023】
【発明の効果】
本発明により得られた加工前印刷用フィルム被覆鋼板は、後工程で行われる加工前印刷後も耐食性に優れており、食缶の安価な素材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 白色顔料として二酸化チタンを用いた3層ポリエステルフィルムのX線回折図の一例である。
【図2】 片面にポリエステルフィルムを被覆した加工前印刷用フィルム被覆鋼板の部分拡大断面図である。
【図3】 片面にポリエステルフィルムを被覆し、他面に外面用フィルムを被覆した加工前印刷用フィルム被覆鋼板の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
IA 面間隔約0.34nmの回折面の回折強度
IB 面間隔約0.39nmの回折面の回折強度
1 表層
2 中間層
3 鋼板接着面層
4 鋼板
5 ポリエステルフィルム
6 外面用フィルム
Claims (4)
- 缶内面側となる面に白色のポリエステルフィルムが被覆されており、缶外面側となる面に後工程で加工前印刷とその焼付が行われたうえ、全体を絞り成形及び再絞り成形することにより、内面が白色で外面に印刷が施された食缶に加工される被覆鋼板であって、印刷前の該ポリエステルフィルムは、式
R=IA /IB
式中、IA はポリエステルフィルム表面に平行な面間隔約0.34nmの回折面によるX線回折強度、IB はポリエステルフィルム表面に平行な面間隔約0.39nmの回折面によるX線回折強度、
で定義されるX線回折強度比が3.5以上5.0以下の範囲にあるものであり、かつ白色顔料を0以上5重量%以下含有した表層、白色顔料を5以上30重量%以下含有した中間層、白色顔料を0以上5重量%以下含有した鋼板接着面層の3層からなるものであることを特徴とする加工前印刷用フィルム被覆鋼板。 - 白色顔料が二酸化チタン、硫酸バリウムであることを特徴とする請求項1記載の加工前印刷用フィルム被覆鋼板。
- ポリエステルフィルムの樹脂がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体であることを特徴とする請求項1または2記載の加工前印刷用フィルム被覆鋼板。
- ポリエステルフィルムの樹脂がポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ナフタレート共重合体であることを特徴とする請求項1または2または3記載の加工前印刷用フィルム被覆鋼板。
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