JP4067328B2 - 負内圧吸収構造を備えたボトル型缶 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、小径の口頸部と傾斜面を有する肩部と大径の胴部とが一体成形され、少なくとも絞り・しごき加工を経て胴部が薄肉化されたボトル型缶に関し、特に、そのようなボトル型缶において、充填・密封の後で缶内が減圧したときに、絞り・しごき加工等により薄肉化された胴部で、醜い変形が起きるのを防止するために、所定部分を積極的に変形させて負内圧を吸収するようにした負内圧吸収構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム板,アルミニウム合金板,錫メッキ鋼板等の製缶用の金属板から缶体(缶本体)が一体成形されて、絞り・しごき加工等により胴部が引き伸ばされて薄肉化されている、DI缶(Drawn And Ironed Can)のような所謂シームレス缶(缶体の胴部に縦方向の継ぎ目が無い缶)については、従来から、ビール,炭酸飲料,緑茶,紅茶,ウーロン茶,混合茶,スポーツドリンク,果汁飲料,コーヒー等の飲料缶用として広く一般的に使用されており、特に、近年では、有底円筒状の缶体に対して上蓋となるイージーオープンエンドを巻締め固着した2ピース缶だけでなく、キャップが装着される小径円筒状の口頸部と傾斜状の肩部と大径円筒状の胴部とが一体成形された缶体に対して、胴部の下端開口側に形成されたネック部に底蓋を巻締め固着した、キャップによるリシール(再密閉)が可能なボトル型缶が広く一般的に使用されている。
【0003】
そのようなボトル型缶において、例えば、80℃〜96℃の温度の内容液を9〜13mmのヘッドスペースを残して所定量充填して密封すると、内容液が常温になった際に、内容液の体積が冷却に伴って収縮することで、缶内圧が減圧して大気圧よりも小さくなるが、そのように缶内が負圧になった時に、アルミニウム合金板から製造されるボトル型アルミ缶では、絞り・しごき加工等により薄肉化された円筒形状(横断面円形)の胴部が、その中央部(最薄肉部分)での金属部の厚さが0.20mm以下(錫メッキ鋼板から製造されるスチール缶の場合には0.17mm以下)となるように薄肉化されていると、缶内の負圧による吸引力を受けて円筒形の胴部の壁の一部が缶内方に凹む所謂パネリングという現象が発生して、缶が醜く変形することで商品価値が著しく低下するような虞がある。
【0004】
そのようなパネリング現象の発生を防止するために、缶体の製造時における胴部のしごき加工のしごき率を小さくして、胴部の中央部(最薄肉部分)での金属部の壁厚を厚くする(ボトル型アルミ缶の場合には0.21mm以上にする)ということも考えられるが、そうすると、缶の材料が多く必要となって製缶コストが上がることになる。一方、従来から一般的に知られた液体窒素充填法により、缶の開口部にキャップを冠着して缶を密封する直前に、開口部から所定量の液体窒素を添加して、密封後に液体窒素が気化して体積が大きくなるのを利用することで、缶の内圧を大気圧よりも高くして(陽圧缶詰にして)パネリング現象が発生するのを防止するということも考えられる。
【0005】
しかしながら、そのような液体窒素充填法を採用する場合、添加する液体窒素が必要となり、また、缶詰製造ラインに液体窒素充填装置を設備する必要があり、さらに、缶内圧を一定に保つために液体窒素の添加量を常に制御する必要があることから、缶詰製造コストがアップすることになる。しかも、液体窒素を充填して缶内圧を大気圧よりも高くすることで、何らかの原因(例えば、加熱殺菌不足等)により内容液が貯蔵中に腐敗して缶内圧が高くなっても、内容液の腐敗による膨張缶の不良缶詰と正常な缶詰との区別が付き難い。
【0006】
さらに、各缶毎に所定量の液体窒素を正確に添加するために、缶内で液面に衝突した液体窒素が缶外へ飛散するのを防止するという観点から、一定以上の高さ(ボトル型缶の場合は、25mm以上、好ましくは35mm以上)のヘッドスペースを確保する必要があるが、それによって、ヘッドスペース内に酸素が残存し易くなって、缶詰貯蔵中に内容液を酸化(劣化)させる虞が生じる。
【0007】
これに対して、薄肉化された胴部を有する2ピース缶用のシームレス缶では、缶の胴部の金属部の厚さを増加することなく、また、液体窒素充填法を採用することなく、充填・密封後の缶内の減圧時に、缶の胴部の所定部分を積極的に変形させることで、缶内圧の変化(減圧)を吸収して、缶の胴部にパネリング現象が発生するのを防止するということが従来から提案されており、そのような2ピース缶用のシームレス缶として、実開昭63−54611号公報には、「複数の縦リブと、該縦リブの間に形成され缶本体の減圧時に、内側に湾曲して凹む複数の側壁とから構成される缶胴を有する多角形状の減圧アルミニウム缶」について記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来公知の多角形状の減圧アルミニウム缶において、胴部を構成する各側壁は、缶内の減圧時に容易に内側に湾曲するものであるが、縦リブを角部とする多角形状(横断面が多角形状)となるように胴部が形成されており、各側壁のそれぞれは、減圧時に反転変形して内側に湾曲するように、元々は平面よりも僅かに外側に湾曲するように形成されている(上記の引用公報中の第2図参照)ことから、高温の内容液を充填・密封した直後の正圧時には、減圧時の場合とは逆に、各側壁は外側に湾曲している。
【0009】
そのような缶では、胴部の複数の側壁のそれぞれが、多角筒形(横断面多角形)の各側面を基準として、缶内圧の変化(減圧)により反転変形して内側に湾曲するが、それらの側壁は、胴部の大部分(僅かな角部を残した胴部の殆どの部分)を占めるものであり、しかも、元々全体が僅かに外側に湾曲するように成形されていることから、減圧を吸収するための変形量だけでは、各側壁の凹み量(隣り合う角部同士を繋ぐ仮想平面からの凹み量)がそれ程大きくなく、そのため、各側壁の内側に湾曲した部分は少し弛んだ状態となって、その結果、消費者が手で握った時にペコペコとした感じがすることで、内圧に異常のある缶詰、或いは、漏洩のある缶詰ではないかとの不安を消費者に与えてしまうような虞があり、特に、胴部の最肉薄部での金属部の厚さが0.18mm以下となるように薄肉化されている缶の場合にはその傾向が強い。
【0010】
さらに、上記の引用公報に開示されている多角形状の減圧アルミニウム缶については、胴部が六角筒形(横断面六角形)又は八角筒形(横断面八角形)に形成されていることから、所定数の缶詰をカートンケースに収容する場合に、カートンケース内に各缶同士を密着させて収納したときのデッドスペース(各缶の隙間となって利用されない空間)が、通常の胴部が円筒形の缶の場合と比べれば減少するものの、未だかなりのデッドスペースが生じることから、缶詰全体の容積に対して必要以上に大きなカートンケースを必要とすることになり、その結果、カートンケースに要する紙資源のコストを効果的に低減することができない。
【0011】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、胴部が薄肉化されるボトル型缶について、胴部の壁厚を増加することなく負内圧缶詰に使用した時に、減圧時にパネリングが起きないように胴部を積極的に変形させても、缶全体の輪郭が変わらず、缶を手で握ってもペコペコした感じがないようにすると共に、所定数の缶をカートンケース内に収容した時のデッドスペースをできるだけ減らすようにすることを課題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、小径の口頸部と傾斜した肩部と大径の胴部とが一体成形され、少なくとも絞り・しごき加工を経て胴部が薄肉化され、約20〜30mmの内径を有する口頸部の外面にネジ部が形成された金属製のボトル型缶において、最肉薄部分での金属部の厚さが0.12〜0.18mmとなるように薄肉化されている胴部に対して、エキスパンド金型である割り金型を胴部の内側に挿入してから外側へ膨出させて胴部内面に接触させた後、胴部の外側から外金型を押し付けて胴壁を内方に押圧し、胴部を割金型の外面形状に沿って折り畳むように変形させることで、絞り・しごき加工を経て薄肉化された胴部の肉厚を変更することなく、胴部に周方向で所定の間隔を置いて4個のパネル壁部が形成され、隣り合うパネル壁部同士を繋ぐ5〜25mmの幅の各連結部が、それらを結ぶ仮想円筒面の一部分となる横断面円弧状に形成されていて、各パネル壁部では、その両側の連結部との境界線同士を結ぶ仮想平面を基準として該平面から内方に凹むように、パネル壁部の縁部から内方に向かって傾斜する周辺部分と、周辺部分に囲まれて外方に突出する中央部分とが形成され、周辺部分を介して仮想平面よりも内方に位置する中央部分が、復元可能で容易に反転変形する変形容易部となって、この変形容易部が常に仮想平面よりも外方には突出しないようになっていることを特徴とするものである。
【0013】
上記のような本発明のボトル型缶によれば、例えば、80〜96℃に加熱した内容液を、ヘッドスペースが0〜5mlとなるように缶内に充填してから、口頸部にキャップを冠着して密封し、内容液の温度を所定時間だけ維持した後、所定温度以下に冷却することにより、負内圧缶詰を製造するような場合に、略満杯の状態で缶内に高温の内容液を充填しても、充填・密封の後で缶内が減圧したときに、絞り・しごき加工等により薄肉化された缶体の胴部で醜い変形が起きるのを防止することができて、缶体に問題なく負内圧缶詰を製造することができる。
また、上記のように負内圧缶詰を製造することで、内容液の熱でキャップを含む缶の内面側を加熱殺菌することができ、しかも、内容液の冷却時には、缶内の残存酸素量が非常に少なくなることから、長期間保存しても酸化による品質の劣化を極めて少なくすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の負内圧吸収構造を備えたボトル型缶の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の一実施形態に係るボトル型缶について、図1は、正面から見た状態を示し、図2は、(A)上面から見た状態と(B)底面から見た状態と(C)パネル壁部付近の横断面形状とをそれぞれ示すものである。また、図3は、本発明の他の実施形態に係るボトル型缶について(A)正面から見た状態と(B)パネル壁部付近の横断面形状とをそれぞれ示し、図4は、本発明の更に他の実施形態に係るボトル型缶について(A)正面から見た状態と(B)パネル壁部付近の横断面形状とをそれぞれ示すものである。
【0015】
本発明の一実施形態について以下に説明すると、図1に示すように、ボトル型缶1では、小径の口頸部2と傾斜した肩部3と大径の胴部4とは一体的に成形されており、胴部4の下端側を縮径して形成されたネック部5の下端(ネック部5の下端開口縁に形成されたフランジ部)には、金属製で別部材の底蓋6が二重巻締めにより固着されていて、ネジが形成された口頸部2には、図示していないが、缶内に飲料が充填された後で、樹脂製のシール材を有する金属製のピルファープルーフキャップが、キャッパーによりスカート部にネジを成形しながら、リシール(再密閉)可能なように装着される。
【0016】
このボトル型缶1の胴部では、図2(A),(B)に示すように、4個のパネル壁部41が所定の間隔を置いて形成されており、隣り合うパネル壁部41同士を繋ぐ所定の幅の連結部42は、それらを結ぶ仮想円筒面の一部分となる横断面円弧状に形成されていて、各パネル壁部41は、図2(C)に示すように、何れも、全体的に内方に凹んだ凹部構造となっている。
【0017】
上記のようなボトル型缶1の製造について、その概略を以下に説明すると、厚さ0.20〜0.40mmのアルミニウム合金板や表面処理鋼板等の金属板の両面に、厚さ15〜30μmの熱可塑性樹脂(ポリエステル樹脂等)の保護被膜を施し、更に、その上に高温揮発性の潤滑剤を予め塗布した樹脂被覆金属板を材料として、カップ成形工程で、円板状のブランクに打ち抜くと共に、絞り加工を施すことで浅いカップ状に成形した後、更に、缶胴成形工程で、再絞り加工(ストレッチ加工を含む)としごき加工とを組み合わせて施すことにより、胴部が薄肉化された有底円筒状の中間成形品(口頸部や肩部を成形する前の深いカップ)を製造する。
【0018】
次いで、この有底円筒状の中間成形品に対して、トップドーム成形工程で、その底部側に複数回の絞り加工と再成形加工を施すことにより、小径の口頸部(未開口)とドーム状の肩部を成形してボトル型缶の基本形状としてから、更に、口頸部の未開口の端部に口絞り成形を施した後、潤滑剤を揮発させ、胴部の開口端側をトリミングして中間成形品の高さを一定に切り揃えてから、ネジ・カール成形工程で、未開口の口頸部の先端部を切断して開口させてから、口頸部の上端開口縁に沿って環状に外巻きのカール部に成形し、その下方の円筒状の周壁にネジを成形し、ネジの下方に環状のビード部を形成する。
【0019】
そして、ネック・フランジ成形工程で、口頸部とは反対側となる胴部の開口端(下端)付近に対してネック・フランジ加工を施すことで、胴部の下端側にネック部とフランジ部を形成してから、パネル壁部成形工程で、胴部の内側に入る割り金型と、胴部の外側に位置する外金型とにより、4個のパネル壁部を成形してから、底蓋巻締工程において、ネック部の下端開口縁に形成されたフランジ部に対して、二重巻き締め法により別体の底蓋を一体的に固着することで、図1に示すようなボトル型缶(キャップを装着する前の缶)が製造される。
【0020】
なお、ネック部5の下端部(フランジ部)に二重巻締めで固着される底蓋6については、0.2〜0.3mmの厚さのアルミニウム合金板や表面処理鋼板の両面に熱硬化型塗料,熱可塑性樹脂フィルム(接着剤層を有する場合もある)から選ばれる樹脂被膜を施した樹脂被覆金属板を材料として、プレス加工により円形皿状に一体成形されている。
【0021】
また、パネル壁部成形工程については、円筒形で下端側(口頸部の反対側)が開口された胴部に対して、最終的な胴部形状と相似形の割り金型(エキスパンド金型)を胴部の内側に挿入してから外側へ膨出させて、割金型の横断面円弧状の曲面部分をボトル型缶の胴部内面に接触させた後、ボトル型缶の外側から各パネル壁部になる部分に対して、パネル壁部の凹凸形状に対応した凸凹形状部を有する外金型を押し付けて、横断面円弧状の胴壁を内方へ押圧して割金型の外面形状に沿って折り畳むように変形させることで、胴部の肉厚を変更しないように凹部構造のパネル壁部を成形している。このように円筒形を折り畳んで凹部構造のパネル壁部に変更するという無理のない成形によれば、肉厚を変更するような過酷な成形を施していないため、各パネル壁部の内外面で樹脂被膜がダメージを受けることはない。
【0022】
ところで、従来のボトル型缶では、その胴部は、少なくとも絞り・しごき加工により薄肉化されて円筒形(横断面円形)に形成されたままであるのに対して、本実施形態のボトル型缶1では、少なくとも絞り・しごき加工により薄肉化されて円筒形に形成された胴部に対して、更に、パネル壁部成形加工を施すことで、4個のパネル壁部41が所定の間隔(5〜25mm)を置いて形成されており、隣り合うパネル壁部41同士を繋ぐ所定の幅の連結部42が、それらを結ぶ仮想円筒面の一部分となる横断面円弧状に形成されていて、各パネル壁部41は、何れも、全体的に内方に凹んだ凹部構造となっている。
【0023】
すなわち、本実施形態のボトル型缶1では、具体的には、ネック部5よりも上方の胴部4の全体で、図2(A),(B)に示すように、四角筒の各側面に相当する仮想平面Fを基準として該平面Fから内方に凹んだ4個のパネル壁部41が、胴部4の周方向で所定の間隔(連結部42として残る部分)を置いて形成され、且つ、隣り合うパネル壁部41同士を繋ぐ所定の幅(約20mm)の連結部42が、それらを結ぶ仮想円筒面の一部となるような横断面円弧状に形成されている。
【0024】
胴部4におけるパネル壁部41と連結部42の成形については、本実施形態のボトル型缶1では、厚さ0.340mmのアルミニウム合金板(JISの5182−H39材)の両面に厚さ0.20μmのポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂とを混合した(PBT:PET=6:4)ポリエステル樹脂から製膜された2軸延伸フィルムを熱ラミネートした後、非晶質化処理をしたポリエステル樹脂被覆アルミニウム合金板から、上記のようなボトル型缶の製造方法により、胴部の外径が約66mmで、胴部の平均壁厚が0.18mmで、胴部中央部の最薄肉部分でのアルミニウム合金の厚さが0.18mmとなるように形成されたボトル型缶の円筒状で薄肉化された胴部に対して、その開口端側を縮径してネック部5に成形してから、円筒状に残された胴部4に対して、比較的広い幅(約20mm)で連結部42を残すように、所定の間隔で4個のパネル壁部41を成形している。
【0025】
なお、連結部42の幅については、連結部42が5mm以上の幅を有していることで、各缶の連結部42同士が衝突しても、狭い部分に強い力が集中してこの部分が大きく凹む(胴部4全体が大きく歪む)ようなことはなく、また、連結部の幅が25mm以下であるため、缶内圧の減少分を充分に吸収できる大きさのパネル壁部41を4個形成するだけの面積を確保することができる。
【0026】
また、ボトル型缶1の胴部4が薄肉化については、製缶コストと輸送中等の胴部の凹み等を考慮すると、素材により好ましい範囲があって、ボトル型アルミ缶の場合には、最薄肉部の金属部の厚さが0.13〜0.18mmの範囲(特に好ましくは0.15〜0.18mmの範囲)であり、ボトル型スチール缶の場合には、最薄肉部の金属部の厚さが0.12〜0.17mmの範囲(特に好ましくは0.14〜0.17mmの範囲)であることから、本実施形態では、胴部4を、その最薄肉部の金属部の厚さが0.12〜0.18mmとなるように薄肉化している。
【0027】
すなわち、0.12mm未満である場合には、缶詰製造後にカートンケースに詰めて輸送する際に、缶同士が接触することで胴部の連結部に小さな凹みが多数発生して見栄えが悪くなり(特に、アルミ缶でその傾向が大きい)、また、缶内圧の減圧に伴って連結部まで凹むような虞もある。一方、0.18mmよりも厚い場合には、胴部に変形等の不都合は発生しないが、材料コストがそれだけ高くなり、しかも、例えば、剛性の高いスチール缶で厚さを0.20mm以上にすると、負内圧の程度にもよるが、胴部が円筒形のままでも変形のない負内圧缶詰が可能となり、パネル壁部を形成する意味がなくなって、更に、パネル壁部を形成する工程分だけコスト高になってしまう。
【0028】
各パネル壁部41のそれぞれは、何れも、パネル壁部41の縁部が仮想平面F上に位置して、パネル壁部41の縁部よりも内側が仮想平面Fよりも内方に凹むように、全体的に内方に凹んだ凹部構造となっており、パネル壁部41の縁部から内方に向かって傾斜する周辺部分41bと、周辺部分41bに囲まれて外方に突出する中央部分41aとで構成されていて、この中央部分41aが、容易に変形する変形容易部となっている。
【0029】
具体的には、本実施形態のボトル型缶1では、図2(C)に示すように、仮想平面Fから内方に向かって傾斜した周辺部分41bに、パネル壁部41の縁部に沿った環状の凹凸条(段部)が補強構造として形成されており、周辺部分41bを介して仮想平面Fよりも内方に位置する中央部分41aは、浅く台状に突出する形状に形成されていて、この台状に突出した中央部分41aが、復元可能で反転変形が容易な変形容易部となっている。
【0030】
上記のようなパネル壁部41を備えた本実施形態のボトル型缶1によれば、負圧缶(陰圧缶)として使用した場合に、高温の内容液を充填・密封した直後では、缶内圧によりパネル壁部41が全体的に多少膨出することはあっても、パネル壁部41が全体的に凹部構造に形成されていることから、パネル壁部41が仮想平面Fよりも外方に突出するようなことはなく、また、高温の状態から常温にまで冷却して缶内が減圧した時には、図2(C)に二点鎖線で示すように、パネル壁部41の中央部分41aが内方に反転して凹むことで、胴部4が薄肉化されているにも関わらず、胴部4の連結部42等を変形させることなく、缶内の負圧を充分に吸収することができる。
【0031】
そのようにパネル壁部41が積極的に変形することで、缶内の負圧を略全部吸収してしまうため、胴部4が薄肉化されていても、各パネル壁部41の間の連結部42で所謂パネリングが発生して缶が内方に醜く変形することはなく、しかも、パネル壁部41の中央部分41aの変形の有無に関わらず、パネル壁部41は常に仮想平面よりも外方には突出しないことから、缶全体の輪郭が変わることはない。
【0032】
そして、パネル壁部41が凹むことで缶内の減圧分を略全部吸収することから、各パネル壁部41の間にある各連結部42では、缶内の内容液により連結部42が内側から支持された状態(缶の外側から押圧力を加えても、その押圧力では内容液の体積は変化しないので、缶の内側から内容液に押し返される)となっているため、所定数の缶詰をカートンケース内に収容して輸送中に、缶詰同士の押し合いにより缶の胴部4の連結部41が大きく凹むことはなく、消費者が缶詰の胴部を手で握っても、ペコペコとした感じを与えることはない。
【0033】
また、ボトル型缶1の胴部4が4個のパネル壁部41により四角筒形(横断面四角形)に近似した非円筒形となっていることで、胴部が円筒形である場合は勿論のこと、胴部が六角筒形(横断面六角筒形)や八角筒形(横断面八角筒形)である場合と比べても、所定数の缶詰をカートンケース内に収容したときのデッドスペースを小さくすることができ、同じ容量の缶詰に対してカートンケースを小さなものにすることができて、カートンケースのコンパクト化により紙材料の使用量を節約することができる。
【0034】
さらに、そのような本実施形態のボトル型缶1を使用して、80〜96℃に加熱した飲料を、ヘッドスペースの容積が2ml以下となるように内径が約20mmの口頸部から充填してから、口頸部にキャップを冠着して密封した後、内容液の温度を所定時間だけ維持してから、常温にまで冷却することで、負内圧缶詰を製造したが、缶内に充填された飲料の体積が収縮することで発生する缶内の負圧は、各パネル壁部41の内方への変形により略解消されて、缶体の胴部4の連結部42等が変形することはなかった。
【0035】
なお、ボトル型缶の口頸部の内径については、通常は、小さなものでは約20mm、大きなものでも約30mmであって、缶の流れがスムーズに流れ難くて液こぼれがどうしても発生してしまうような缶詰製造ラインであっても、開口部(口頸部)の径が元々小さいことから、飲料をボトル型缶の容積一杯に充填(満注充填)しても、液こぼれがそれ程問題になることはない(口頸部の内径が約30mmのものでも、液面位置が口頸部上端から下方7mmまで残っていれば問題はない)。
【0036】
そのように製造された飲料缶詰では、高温状態の飲料を、ヘッドスペースが非常に少ない状態(略満杯)で充填していることで、飲料の熱により口頸部に冠着させたキャップを含む缶の内面側を加熱殺菌することができ、しかも、飲料の温度が室温にまで冷却した時には、その冷却に伴う缶内圧の大幅な減少(略満杯に充填されて熱膨張していた飲料が、温度低下に伴ってその体積を大幅に収縮させることで、缶内圧が大きく減少する)を、各パネル壁部41の存在により吸収することで、連結部42でのパネリングが防止されると共に、へッドスペースは殆ど無くなっており、必然的に缶内の残存酸素量が非常に少なくなっていることから、通常の飲料缶詰に比べて、長期間保存しても酸化による品質の劣化が極めて少ないものとなる。
【0037】
一方、飲料を略満杯状態で充填した場合でも、ボトル型缶を開封する際には、キャップを開封方向(通常は反時計方向又は左方向)に回転させて、キャップのネジと口頸部のネジとによる螺合を解除することによって行われるが、キャップと口頸部上面との密接触が解除された瞬間に、直ちに外気が缶内に侵入することで各パネル壁部41が元の形状に戻ることとなり、その結果、缶の容積が大きくなって飲料の液面高さを瞬時に下げることで、開封時の液こぼれが起きることはない。
【0038】
なお、上記のような負内圧缶詰の製造方法が適用されるのは、熱間充填方法を採用できるPH4.6以下の飲料、例えば、オレンジジュース,グレープジュース,リンゴジュース等の果実飲料、トマトジュース,野菜ジュース,スポーツ飲料,殺菌乳酸飲料、更には、抗菌物質であるカテキン類を含む緑茶,紅茶,ウーロン茶等の茶飲料、および無糖のコーヒー(ブラックコーヒー)等の飲料であって、これらの飲料について、本実施形態のボトル型缶を使用して上記のように缶詰を製造すれば、最薄肉部の金属部の厚さが0.18〜0.12mmとなるように胴部が薄肉化されたボトル型缶を使用しても、従来のように液体窒素を添加することなく、缶体に問題のない缶詰を製造することができる。
【0039】
以上、本発明の負内圧吸収構造を備えたボトル型缶の一実施形態について説明したが、本発明は、上記のような実施形態に限られるものではなく、例えば、胴部に形成されるパネル壁部については、図1に示すような胴部4の範囲内に納まるものに限らず、図3(A)や図4(A)に示すように、肩部3やネック部5の一部にまで及ぶようなものでも良く、また、その形状も、図2(C)に示すような形状に限らず、図3(B)に示すように、周辺部分41bを、凹凸条のない単なる傾斜面としても良く、また、図4(B)に示すように、中央部分41aを、外方に突出してから縦長の中心線に向かって上下方向及び左右方向から内方に傾斜する形状としても良い等、中央部分41aの変形が容易であり、しかも、パネル壁部41が常に仮想平面Fよりも外方に突出することがない限りにおいて、適宜に変更可能なものである。
【0040】
また、ボトル型缶のタイプについては、上記の実施形態に示したようなタイプに限らず、特に図示していないが、例えば、有底円筒缶の開口端側を(何十回ものネックイン加工を繰り返して)大きく縮径して小径円筒部を形成し、この小径円筒部にネジキャップが冠着できるネジ部を形成したタイプのボトル型缶であっても良い等、適宜のタイプのボトル型缶に適用可能なものである。
【0041】
なお、ボトル型缶の口頸部については、ネジ部や搬送用の環状凸部を備えた別体の樹脂製筒状体を口頸部に固着するか、又は、ネジ部の下方の口頸部を外方へ環状に突出させて環状凸部を形成する(外方へ突出させて折り畳む)ことにより、PETボトルの飲料詰製造ラインで、ボトル型缶を使用した缶詰を製造できるようにしても良い。このようにすると、内容液の充填時やキャップの冠着時(キャッピング時)に、垂直方向からの圧力を環状凸部で受け止めて、該圧力を胴部にまで及ぼさないため、薄肉化された胴部で挫屈が発生するのを防止することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したような本発明の負内圧吸収構造を備えたボトル型缶によれば、胴部の壁厚を増加することなく負内圧缶詰に使用しても、缶内の減圧時には、パネル壁部が積極的に変形してパネリングの発生を防止することができ、しかも、缶全体の輪郭が変わらず、消費者が缶を手で握ってもペコペコした感じを与えることはない。また、所定数の缶をカートンケース内に収容した時に、円筒形の缶は勿論のこと、六角筒形や八角筒形の缶と比べても、ケース内でのデッドスペースを効果的に減らすことができるため、カートンケースを小さくして紙資源の節約を図ることができる。
【0043】
また、本発明のボトル型缶を使用すれば、略満杯の状態で缶内に高温の内容液を充填しても、缶体に問題なく負内圧缶詰を製造することができ、そのように負内圧缶詰を製造することで、内容液の熱でキャップを含む缶の内面側を加熱殺菌することができ、しかも、内容液の冷却時には、缶内の残存酸素量が非常に少なくなることから、長期間保存しても酸化による品質の劣化を極めて少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るボトル型缶を示す正面図。
【図2】図1に示したボトル型缶の(A)平面図,(B)底面図,および(C)パネル壁部付近の横断面図。
【図3】本発明の他の実施形態に係るボトル型缶を示す(A)正面図,および(B)パネル壁部付近の横断面図。
【図4】本発明の更に他の実施形態に係るボトル型缶を示す(A)正面図,および(B)パネル壁部付近の横断面図。
【符号の説明】
1 ボトル型缶
2 口頸部
3 肩部
4 胴部
5 ネック部
6 缶蓋(底蓋)
41 パネル壁部
41a 中央部分(パネル壁部の)
41b 周辺部分(パネル壁部の)
42 連結部
F 仮想平面
Claims (2)
- 小径の口頸部と傾斜した肩部と大径の胴部とが一体成形され、少なくとも絞り・しごき加工を経て胴部が薄肉化され、約20〜30mmの内径を有する口頸部の外面にネジ部が形成された金属製のボトル型缶において、最肉薄部分での金属部の厚さが0.12〜0.18mmとなるように薄肉化されている胴部に対して、エキスパンド金型である割り金型を胴部の内側に挿入してから外側へ膨出させて胴部内面に接触させた後、胴部の外側から外金型を押し付けて胴壁を内方に押圧し、胴部を割金型の外面形状に沿って折り畳むように変形させることで、絞り・しごき加工を経て薄肉化された胴部の肉厚を変更することなく、胴部に周方向で所定の間隔を置いて4個のパネル壁部が形成され、隣り合うパネル壁部同士を繋ぐ5〜25mmの幅の各連結部が、それらを結ぶ仮想円筒面の一部分となる横断面円弧状に形成されていて、各パネル壁部では、その両側の連結部との境界線同士を結ぶ仮想平面を基準として該平面から内方に凹むように、パネル壁部の縁部から内方に向かって傾斜する周辺部分と、周辺部分に囲まれて外方に突出する中央部分とが形成され、周辺部分を介して仮想平面よりも内方に位置する中央部分が、復元可能で容易に反転変形する変形容易部となって、この変形容易部が常に仮想平面よりも外方には突出しないようになっていることを特徴とする負内圧吸収構造を備えたボトル型缶。
- パネル壁部の周辺部分が、パネル壁部の縁部に沿った凹凸条によって補強されていることを特徴とする請求項1に記載の負内圧吸収構造を備えたボトル型缶。
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