JP4066519B2 - 還元性雰囲気炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、還元性雰囲気の基で被熱物を加熱する還元性雰囲気炉に関するもので、さらに詳しくは熱源として蓄熱型バーナを使用することによりその省エネルギー化を達成しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
工業用炉の省エネルギー化のために考え出された蓄熱型バーナ(リジェネバーナとも称される。)は、例えば特開昭62−94703号公報等に記載されているように、通気性の蓄熱体を具備したバーナが炉側壁等に少なくとも一対設けられ、一方のバーナで燃料ガス等を燃焼させているとき、他方のバーナからその燃焼ガスを蓄熱体を通して排出させることによって該蓄熱体を加熱し、数十秒〜数分の間隔でその両バーナの状態を頻繁に交代させることにより燃料燃焼と燃焼ガス排出とが交互に行われるようにし、燃焼ガスにより加熱された蓄熱体により燃焼用空気が予熱され、もって高い排熱回収効率が達成され、省エネルギー化を図るようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような蓄熱型バーナでは、炉内で燃料ガスが爆発するのを防ぐために、燃焼開始時には燃焼用空気のみを先に送給しその後で燃料ガスを送給し、燃焼終了時には燃料ガスを先に停止させ、後で燃焼用空気を停止させるようにしている。このため、炉内ガスが酸化性になり被熱物を酸化させるおそれがあった。このため従来ではこのような蓄熱型バーナは、省エネルギー効果が大であるにも拘わらず、還元性雰囲気炉への使用は不向きであると考えられていた。
【0004】
本発明は上記課題を解決し、蓄熱型バーナを還元性雰囲気炉の熱源として使用することを可能にすることでその省エネルギー化を達成しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明に係る還元性雰囲気炉は、空燃比を1以下にて燃焼させ炉内に還元性燃焼ガスを生じさせる直火型バーナを設けた還元性炉帯域と、蓄熱体を具備した蓄熱型バーナを少なくとも一対設け該蓄熱型バーナにて燃料燃焼と燃焼ガス排出とを交互に行うことで燃焼ガスにより加熱された蓄熱体により燃焼用空気が予熱されるようにした排熱回収炉帯域と、被熱物の装入スロートとを一連に設け、前記還元性炉帯域の燃焼ガスを該排熱回収炉帯域を通って該装入スロートの上部に設けられた煙道から炉外に排出させるようにしたことを特徴とする。
また本発明は上記還元性雰囲気炉において、排熱回収炉帯域に炉内ガスのCO濃度を測定するガスセンサを設け、該炉内ガスが常に還元性に保持されるように直火型バーナおよび/または蓄熱型バーナの空燃比を自動調節することを特徴とした。
また本発明は上記還元性雰囲気炉において、蓄熱体を具備した蓄熱型バーナを一対を1組として複数組設けるとともに、該蓄熱型バーナの燃料燃焼と燃焼ガス排出とを交代させるタイミングを組ごとにずらすことを特徴とする。
また本発明は上記還元性雰囲気炉において、炉内ガス圧力を検出する圧力計を設け、該炉内ガス圧力が常に正圧に保たれるように蓄熱型バーナから燃焼ガスを吸引している排気ファンの回転を自動制御することを特徴とした。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に図1,図2に従い本発明の実施の形態を被熱物である銅板をその溶融を容易にするために加熱する連続炉について説明する。図示した炉体1は、排熱回収炉帯域2と排熱回収炉帯域3と還元性炉帯域4とが一連に設けられ、5はその一端に設けられた被熱物6の装入スロート、7は装入口、8は該装入スロートの上部に設けられた煙道、9は被熱物6を炉内移動させるために設けられた搬送ローラである。また、10は該炉体1の至端部に設けられた抽出スロート、11は該抽出スロートの下に設けられた溶解炉である。
【0007】
排熱回収炉帯域2および排熱回収炉帯域3の両側壁には図2にも示したように一対の蓄熱型バーナ12a,12bを1組としこれが複数組設けられている。該蓄熱型バーナ中には蓄熱体13a,13bが設けられ該蓄熱体中にガス吹出ノズル14a,14bが貫挿されている。15a,15bは該ガス吹出ノズル14a,14bに燃料ガスを供給する電磁弁、16a,16bは燃焼用空気を供給する給気管路17に設けられた電磁弁、18a,18bは排ガス排出管路19に設けられた電磁弁、20は該排ガス排出管路19に設けられ炉内から燃焼ガスを吸引している排気ファンである。
【0008】
蓄熱型バーナ12aと12bとは、一方の電磁弁15a,16a,17bが開いているときは他方の15b,16b,17aは閉じていて、燃料燃焼と燃焼ガス排出とが交互に行なわれる。そして燃焼ガスにより加熱された蓄熱体13bにより燃焼用空気が予熱される。
【0009】
また、還元性炉帯域4の両側壁には空燃比を1以下にて燃焼させ炉内に還元性燃焼ガスを生じさせる直火型バーナ21が設けられる。そして、該還元性炉帯域4にて生じた燃焼ガスは矢印で示したように前記排熱回収炉帯域3から排熱回収炉帯域2,装入スロート5,煙道8を通って炉外に排出される。22は該煙道8に設けられたダンパ、23は該ダンパを可動させるコントロールモータ、24は炉圧設定器、25は排熱回収炉帯域2に設けられた炉圧計で、該炉圧設定器は炉内ガス圧力が正圧に保たれるようにダンパ22の開度を自動調節している。また該炉圧設定器24は前記排気ファン20の回転をも自動制御し、ダンパ22による制御に加えてさらに確実に炉内ガス圧力が正圧に保持されるようにしている。
【0010】
また26は排熱回収炉帯域2に炉内ガスのCO濃度を測定するために設けられたガスセンサ、27は該ガスセンサによるCO濃度測定情報が取得され、炉内ガスのCO濃度が常に3〜7%の還元性に保持されるように前記直火型バーナ21および/または蓄熱型バーナ12a,12bの空燃比を自動調節する雰囲気設定器である。
【0011】
このように構成した還元性雰囲気炉では、還元性炉帯域4で生じた還元性の燃焼ガスが排熱回収炉帯域2,3を通って煙道8より排出されるので、蓄熱型バーナ12a,12bにてたとえ酸化性ガスが炉内に放出されたとしても排熱回収炉帯域2,3に流入した燃焼ガスがその酸化性ガスを中和し炉内を常に全体として還元性に保つことができる。また、該排熱回収炉帯域2,3に設けられた複数組の蓄熱型バーナ12a,12bは、図3に3組ある場合を例示したように、燃料燃焼と燃焼ガス排出とを交代させるタイミングを組ごとにずらすことにより、燃焼開始時や燃焼終了時に燃焼用空気のみを供給していても、その燃焼用空気は他の組の燃焼中の蓄熱型バーナによって生成される還元性の燃焼ガスによって中和され、炉内ガスが酸化性になることがない。
【0012】
さらには、ガスセンサ26により排熱回収炉帯域2,3のCO濃度が測定され、CO濃度が所定の範囲より低下したときは雰囲気設定器27からの指令により直火型バーナ21や蓄熱型バーナ12a,12bの空燃比が自動調節されるようにすることによって、炉内ガスを一層安定的に還元性に保持し得る。また、炉圧設定器24によってダンパ22の開度を調節するだけでなく排気ファン20の回転をも制御し、炉内ガス圧力がマイナスになるおそれがあるときは該排気ファンの回転数を下げるなどして該蓄熱型バーナを通しての燃焼ガスの排出量を制限することで炉圧を維持できるしている。このため炉内ガス圧力がマイナスになり装入口7から外気が侵入し炉内の被熱物6を酸化させるようなおそれがない。そして、装入口7より装入された被熱物6は該炉内を移動する間に無酸化状態にて数百度に予熱され抽出スロート10より溶解炉11に投入され溶解される。
【0013】
【発明の効果】
このように本発明の還元性雰囲気炉は、熱源として蓄熱型バーナを使用しても被熱物を酸化させるおそれがなく、顕著な省エネルギー効果が得られる有益な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る還元性雰囲気炉の縦断面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】蓄熱型バーナの燃焼交代のタイミングチャート。
【符号の説明】
1 炉体
2,3 排熱回収炉帯域
4 還元性炉帯域
5 装入スロート
6 被熱物
7 装入口
8 煙道
10 抽出スロート
12a,12b 蓄熱型バーナ
13a,13b 蓄熱体
20 排気ファン
21 直火型バーナ
22 ダンパ
24 炉圧設定器
25 炉圧計
26 ガスセンサ
27 雰囲気設定器
Claims (4)
- 空燃比を1以下にて燃焼させ炉内に還元性燃焼ガスを生じさせる直火型バーナを設けた還元性炉帯域と、蓄熱体を具備した蓄熱型バーナを少なくとも一対設け該蓄熱型バーナにて燃料燃焼と燃焼ガス排出とを交互に行うことで燃焼ガスにより加熱された蓄熱体により燃焼用空気が予熱されるようにした排熱回収炉帯域と、被熱物の装入スロートとを一連に設け、前記還元性炉帯域の燃焼ガスを該排熱回収炉帯域を通って該装入スロートの上部に設けられた煙道から炉外に排出させるようにしたことを特徴とする還元性雰囲気炉。
- 排熱回収炉帯域に炉内ガスのCO濃度を測定するガスセンサを設け、該炉内ガスが常に還元性に保持されるように直火型バーナおよび/または蓄熱型バーナの空燃比を自動調節することを特徴とした請求項1に記載の還元性雰囲気炉。
- 蓄熱体を具備した蓄熱型バーナを一対を1組として複数組設けるとともに、該蓄熱型バーナの燃料燃焼と燃焼ガス排出とを交代させるタイミングを組ごとにずらすことを特徴とした請求項1または2に記載の還元性雰囲気炉。
- 炉内ガス圧力を検出する圧力計を設け、該炉内ガス圧力が常に正圧に保たれるように蓄熱型バーナから燃焼ガスを吸引している排気ファンの回転を自動制御することを特徴とした請求項1〜3のいずれかに記載の還元性雰囲気炉。
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