JP4066351B2 - 固定磁界交番勾配加速器用電磁石 - Google Patents

固定磁界交番勾配加速器用電磁石 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
荷電粒子ビームを偏向させる手段として固定磁場を用いる固定磁界交番勾配型で円形磁気誘導(ベータトロン)加速方式の固定磁界交番勾配加速器に用いられる電磁石に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明にかかる環状加速器は、固定磁界交番勾配(FFAG:Fixed Field Alternating Gradient)型の加速器(以下、FFAG加速器とも言う)であり、小型、高出力という特徴を持っている。FFAG加速器とは、その名の通り粒子を軌道に導く電磁石が、固定磁場(Fixed Field)で隣同士に極性の異なる電磁石を配した構造を持っている。
【0003】
電磁石においては、NS−NS−NS・・・の様に、交互に磁極を配置し、N極とS極との間に入射部、加速部などを配置する場合と、NSN−NSN−NSN・・・の様に、3つの電磁石を一組とし、その間に入射部、加速部等を配置する場合とがある。
【0004】
前者の例としては、電子加速のため米国のMURA(Midwestern Universities Research Association)で試作された例がある(例えば、非特許文献1参照)。後者の例としては、アメリカ電気・電子通信学会加速器会議で提案されたものがある。
【0005】
【非特許文献1】
エフ・ティー・コール(F.T.Cole),外4名,“ザ レビュー オブ サイエンティフィック インストロメンツ(THE REVIEW OF SCIENTIFIC INSTRUMENTS) ボリュウーム28(Vo1.28) ナンバー6(Num.6)”,(米国),アメリカ物理学会(American Institute of Physics),1957年,p.403−420
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の文献に見られるように、従来のFFAG加速器では、電磁石を一つ一つ独立として、もしくは、3個一組の電磁石を一つのユニットとして製作し、組立工程において、相互のユニット間の位置合わせを行って作製する。一方で、これらの電磁石は、100μm以下の精度で相互に位置を調整する必要があるため、調整作業に多大な時間を費やしていた。さらに、磁極自体の加工精度も数十μm以下の精度を要求されるため、製造工程が高コストになっていた。
【0007】
また、このFFAG加速器において、対向する磁極間で荷電粒子を加速するため、この磁極間の空間を真空にする必要がある。このため、環状真空容器を対向する磁極間に配し、その中で荷電粒子を加速する構成を用いている。一方で、電磁石は磁極間に必要な磁場強度を発生させるため、磁極間の空間にほぼ比例した電流で励磁される。そして、装置の消費電力を下げるために対向する磁極間の空間は狭い方がよい。このため、大気圧に耐えられる範囲で、真空状真空容器を出来るだけ薄く構成するのが望ましいが、あまり薄いと大気圧に耐えられないという問題があった。
【0008】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、磁極の大半を一体して成形することにより、磁極間の相対位置の精度をあげ、調整作業を簡素化することができ、また、磁極の基本形状の加工が容易でコストダウンを図ることができ、さらには、磁極を環状真空容器一部として用いることで、対向する磁極間の空間を狭くすることができ、そのため、励磁電流を小さくでき、消費電力を抑制できる、固定磁界交番勾配加速器用電磁石を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る固定磁界交番勾配加速器用電磁石は、荷電粒子ビームが通過する環状真空通路が内部に形成された環状真空容器と、環状真空通路の円周方向に沿って複数個設けられ荷電粒子ビームを偏向させて荷電粒子ビームを環状真空通路内の周回軌道上に誘導する固定磁界交番勾配磁場を発生させる固定磁界交番勾配磁場発生手段と、環状真空容器の所定の位置に設けられ荷電粒子ビームの加速電場を誘起する加速ギャップと、環状真空容器の所定の部分を取り囲むように設けられ内部の磁束を変化させて電磁誘導により加速ギャップを介して加速電場を発生する加速コアとを備え、加速コアに印可する励磁周波数の1周期以内に荷電粒子の入射から出射までを完了する固定磁界交番勾配加速器において、固定磁界交番勾配磁場発生手段に用いられる固定磁界交番勾配加速器用電磁石であって、複数の磁極のうち少なくとも4個の磁極が一体に形成されている。
【0010】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1の固定磁界交番勾配加速器用電磁石を用いたビーム加速装器の上面図である。図2は図1のビーム加速装器のII−II線に沿う矢視断面図である。図3は図2のビーム加速装器の断面図の電磁石の部分を拡大して示す拡大図である。図4は図3の電磁石の磁極に巻回された巻線の様子を示す斜視図である。図5は電磁石が共通架台上に一体に固定された様子を示す斜視図である。
【0011】
本実施の形態のビーム加速装器は、FFAG型で且つベータトロン加速方式のビーム加速装器である。図1及び図2において、ビーム加速装器は、環状を成す環状真空容器1を有している。環状真空容器1は、ステンレス或いは鉄でなる薄板が接合されて作製され円形環状をなし、内部に断面楔型の密閉空間が形成された密閉空間を有している。この密閉空間は真空に保持され荷電粒子ビームが通過する環状真空通路1aとされている。環状真空通路1aの断面の形状は、径方向において内径側から径方向外側に向かって幅(高さ)が徐々に小さくなる概略楔型を成している。
【0012】
環状真空容器1には、環状真空容器1の円周方向に沿って6個の偏向用の電磁石2が所定の間隔を空けて等間隔に配設されている。6個の電磁石2は、断面楔型の環状真空容器1を所々で取り囲むようにして設けられている。この固定磁界交番勾配加速器用電磁石2(以下、FFAG電磁石、或いは単に電磁石とも言う))は、環状真空容器1の上下2主面に各々対向する2つの磁極21、22を有している。2つの磁極21、22は、環状真空容器1を挟んで上下に対向して配置され、環状真空通路1aの内径側から外径側に向かって徐々に間隔を狭めるように設けられている。2つの磁極21、22は中央部でさらに互いに間隔を狭めるように断面形状が中央部で凸の湾曲形状とされている。
【0013】
2つの磁極21、22には、図3及び図4に示すように、それぞれコイル23、24が巻回されている。2つのコイル23、24は、同じ巻回方向で巻かれている。そして、電磁石2は、電源13からコイル23、24に電力を供給されて図3に太線矢印で示すような磁力を発生する。一対の磁極21、22の間隔が広がると磁束密度が粗となり磁力が弱くなる。逆に間隔が狭まると磁束密度が密となり磁力が強くなる。つまり、固定磁界交番勾配磁場発生手段である電磁石2の作り出す磁場は、半径方向に内径側から外径側に徐々に小から大となる固定の強さの固定磁場である。この固定磁場は、荷電粒子の回転に同期させて磁場を内側から外側に移動される変動磁場と逆の関係にあるものである。電磁石2は、この磁場によって荷電粒子ビームの移動方向を所定の曲率半径で偏向させる。そして、電磁石2は、荷電粒子ビームを環状真空通路1a内の所定の周回軌道上に誘導する。
【0014】
図1に戻り、環状真空容器1の円周方向の一箇所に環状真空容器1を囲繞するように加速ギャップ3が設けられている。加速ギャップ3が設けられた部分の環状真空容器1は、加速電場を発生する為に円周方向に直角な面で分断され、分断箇所は所定の隙間を持って離されている。そして、加速ギャップ3は、セラミック等で作成された短尺円筒状の部材を有し、この円筒部材で該隙間を覆うようにして分断された部分の環状真空容器1を密閉して連結している。そして加速ギャップ3は、このセラミック円筒部材の内側の空間に荷電粒子ビームの加速電場を誘起する。
【0015】
また、環状真空容器1の円周方向の二箇所で該環状真空容器1を取り囲むようにして一対の加速コア4が設けられている。一対の加速コア4は環状真空容器1の中心に対して対象に配置されている。2つの加速コア4には、それぞれ加速コア駆動電源12から駆動電流を供給するコイル5が1回巻かれている。
【0016】
各々の加速コア4には、加速コア駆動電源12から非常に強い交流の電流を供給されるコイル5が一巻き巻かれている。2つの加速コア4は環状真空容器1を介して加速ギャップ3と電気的に接続されている。加速コア4はコイル5を介して加速コア駆動電源12から非常に強い交流の電力を供給され内部の磁束を変化させる。この磁束の変化は、電磁誘導の法則にしたがって加速ギャップ3に加速電場を発生させる。
【0017】
図1に戻り、環状真空容器1の所定の位置に、電子を発射する電子銃6が設けられている。電子銃6には、発射された電子を環状真空容器1内に導く静電偏向器7が接続されている。一方、電子ビームの出口8には、電子が加速されてなる高エネルギー電子ビーム9が衝突する位置にX線変換ターゲット10が配置されている。高エネルギー電子ビーム9は、X線変換ターゲット10を通過することによりX線11となる。
【0018】
次にビーム加速装器の動作を示す。電子銃6により生成された電子は、静電偏向器7により環状真空容器1の中の周回軌道に誘導される。電子は電磁石2により生成されたフィールド磁界により偏向され、周回軌道上に閉じこめられる。この周回軌道には加速ギャップ3設けられており、加速コア4内の磁束が変化するとき、電磁誘導の法則により加速ギャップ3に加速電場が発生する。この加速電場によって電子は周回を重ねる毎に加速され、高エネルギー電子ビーム9となる。そして環状真空容器1から引き出される。引き出された高エネルギー電子ビーム9は、X線変換ターゲット10に照射されX線11に変換される。
【0019】
次に加速ギャップ3が誘起する加速電場の印加方法について説明する。本発明に係るビーム加速装器は、ベータトロン加速方式のものであり、加速ギャップ3にかかる交番電界の加速フェーズの間を周回電子が何度も通過することで、該電子は高エネルギーをえる。そして、電子の入射から出射までは、交番電磁界の一周期以内で終了する。
【0020】
図5は電磁石2が共通架台14上に一体に固定された様子を示す斜視図である。尚、図5は全体の半分のみの電磁石2及び共通架台14を示しているが、実際には円形の共通架台14に6個の電磁石2が固定される。また、図5において、電磁石2及び共通架台14以外の部材は省略されている。
【0021】
従来、電磁石2は加速器が設置される設置場所に運ばれてから共通架台14上に固定されていた。本実施の形態の電磁石2は、工場内にて作製された後、共通架台14上に載置されて、この状態で位置合わせをされて共通架台14に固定されることにより相互に一体化される。このように、複数の電磁石2を共通架台14の1つの面上に載置することで、電磁石2間の相対位置を高精度に合わせることが可能となり、現地組立作業を大幅に簡略化することができる。
【0022】
また、電磁石2は重量が大きいので、共通架台14は重力によって撓むが、この撓みによる誤差については、工場にて電磁石2を共通架台14に仮固定した際に相対誤差を測定し、電磁石2と共通架台14の間に適当な厚みのスペーサ薄板を挟んで相対位置を補正することで解消することができる。
【0023】
このように構成された固定磁界交番勾配加速器用電磁石である電磁石20は、荷電粒子ビームが通過する環状真空通路1aが内部に形成された環状真空容器1と、環状真空通路1aの円周方向に沿って複数個設けられ荷電粒子ビームを偏向させて荷電粒子ビームを環状真空通路1a内の周回軌道上に誘導する固定磁界交番勾配磁場を発生させる固定磁界交番勾配磁場発生手段2と、環状真空容器1の所定の位置に設けられ荷電粒子ビームの加速電場を誘起する加速ギャップ3と、環状真空容器1の所定の部分を取り囲むように設けられ内部の磁束を変化させて電磁誘導により加速ギャップ3を介して加速電場を発生する加速コア4とを備え、加速コア4に印可する励磁周波数の1周期以内に荷電粒子の入射から出射までを完了する固定磁界交番勾配加速器において、固定磁界交番勾配磁場発生手段に用いられる固定磁界交番勾配加速器用電磁石2であって、複数の磁極のうち少なくとも4個の磁極22が一体に形成されている。そのため、磁極22間の相対位置の精度をあげることができ、また、調整作業を簡素化することができる。
【0024】
尚、本実施の形態の電磁石2は6個が共通架台14上に一体に固定されるものであるが、4個、8個、12個等一体に固定されるものであってもよい。
【0025】
実施の形態2.
図6はこの発明の実施の形態2の加速器用電磁石を搭載する加速器の一部を断面とする上面図である。図7は図6の加速器の一部を断面とする側面図である。尚、図6は図に向かって右半分を図7のVI-VI線に沿う矢視断面図としたものであり、図7は図に向かって右半分を図7のVII-VII線に沿う矢視断面図としたものである。本実施の形態の加速器は、真空容器一体型電磁石20を有している。本実施の形態の真空容器一体型電磁石20は、中空のドーナツを、中心軸線を含む面で半分に切断したような形状をなし、そして、この半円弧状の真空容器一体型電磁石20が向き合わせるように接合されて環状真空通路1aが形成されている。2つの半円弧状の真空容器一体型電磁石20は、2箇所の接合に各々加速ギャップ3を形成しながら接合される。
【0026】
真空容器一体型電磁石20は、図7のVI-VI線が示す面にて分割された図7の上側に示す第1一体型電磁石20Aと図7の下側に示す第2一体型電磁石20Bとが分割面を密閉状態に接合されて作製されている。すなわち、図6の図に向かって右半分は、第2一体型電磁石20Bを分割面側から見た図である。第2一体型電磁石20Bの内側には、工作機械にて削り出されて複数の磁極が形成されている。図8はその削り出された磁極の部分のみを示す斜視図である。
【0027】
以下、第2一体型電磁石20Bの作製方法を説明するが、第2一体型電磁石20Bと面対称の第1一体型電磁石20Aも同様の方法で作製される。2つの第2一体型電磁石20Bは、円環状の部材から工作機械によって削り出すことにより容易に作製することができる。まず、円環状の部材に対して旋盤を使って磁極22表面の湾曲面が全周にわたって削り出され、さらに磁極22の内径側端部と外径側端部を形成するための溝が全周にわたって彫り込まれる。その後、フライス盤を使って図6に示されるように放射状の溝22cが全周にわたって彫り込まれる。このようにして、第2一体型電磁石20Bの内部に図8に示されるように磁極22が突設される。その後、このように成形された環状の部材が2つに分割されて、二つの第2一体型電磁石20Bが作製される。第2一体型電磁石20Bの外径側と内径側には、磁極22を削り出した為に相対的に外周壁20cと内周壁20dが形成されている。
【0028】
図6及び図8において、溝22cによって複数の磁極22が形成されるが、この複数の磁極22は、N極22a及びS極22bに割り当てられる。N極22aはS極22bよりも大きい角度の扇形を成している。そして、図4と概略同様に各々の磁極22の周囲に形成された溝にコイル24が巻回される。N極22a及びS極22bとなる為の励磁が、このコイル24の巻かれる方向によって決まる。本実施の形態の磁極は、N極22a,S極22b−N極22a,S極22b−N極22a,S極22b・・・の様に交互に形成される。
【0029】
このようにして作製された第2一体型電磁石20Bは、同様の方法にて作製された第1一体型電磁石20Aと向き合わされて配置され、外周壁20cと内周壁20dの周縁を互いに当接させ、この当接部を溶接されて、半円弧状の真空容器一体型電磁石20となる。すなわち、内部に磁極21,22が立設された第1一体型電磁石20Aと第2一体型電磁石20Bが対向して接合され、内部に環状真空通路1aが形成される。
【0030】
このように構成された固定磁界交番勾配加速器用電磁石である真空容器一体型電磁石20は、荷電粒子ビームが通過する環状真空通路1aが内部に形成された環状真空容器を兼ねている。そして、磁極21及び磁極22に関しては、多数の磁極が一体に形成されている。そのため、磁極22間の相対位置の精度を向上させることができ、また、調整作業を簡素化することができる。
【0031】
また、磁極22は、概略同心円周上に配置される。そのため、旋盤やフライス盤といった工作機械を用いて磁極22の基本形状を容易に加工することができ、コストダウンを図ることができる。
【0032】
さらに、真空容器一体型電磁石20においては、環状真空容器と磁極22とが一体に設けられており、磁極22を環状真空容器一部として用いることで、対向する磁極22間の空間を狭くすることができ、そのため、励磁電流を小さくでき、消費電力を抑制できる。
【0033】
尚、本実施の形態においては、中空のドーナツを中心軸線を含む面で半分に切断したような形状の真空容器一体型電磁石20であるが、分割のされ方は、図9の(a)に示されるように1個とされてもよいし、図9の(b)に示されるように4個に分割されてもよい。図9の(a)ように1個とされた場合においても、周方向に少なくとも1つの分割箇所が設けられている理由は、この部分に加速ギャップ3を形成するためである。
【0034】
実施の形態3.
図10はこの発明の実施の形態3の加速器用電磁石の断面の一部を拡大して示す拡大図である。本実施の形態の固定磁界交番勾配加速器用電磁石においては、外周壁20cと内周壁20dの外周縁にそれぞれ、溶接代20a,20bが設けられている。溶接代20a,20bは、各々の壁の先端から、それぞれ外径側及び内径側に張り出すように形成され、1回の溶接にて必要な長さより所定量長く形成されている。この理由を次に述べる。
【0035】
溶接代20a,20bは、その先端部のみが溶接されるが、万一磁極の手直しが必要になったとき、この溶接された部分を削り落とすと、第1一体型電磁石20Aと第2一体型電磁石20Bは再び離れる。そして、磁極に対して所定の手直しをした後、再び溶接をして一体化することができる。
【0036】
図11は真空容器一体型電磁石の接合部に形成された加速ギャップ3の断面図である。2との半円弧状の真空容器一体型電磁石20の接合部には、フランジ20hが形成されている。対向するフランジ20hに挟まれて、絶縁材で作製された四角環状の絶縁板18が配置されている。絶縁板18は、電位差を生ずる2つの真空容器一体型電磁石20間を絶縁して加速ギャップ3を形成する。フランジ20hの対向面にOリング溝が形成され、このなかにOリング17が収納されている。Oリング溝には、この溝内の圧力を低くする為に図示しない真空ポンプに延びる差動排気配管19が連通している。図示しない真空ポンプは、差動排気配管19を介して真空引きを行い、Oリング17をフランジ20hに密着させ、空気の漏洩を抑制している。
【0037】
【発明の効果】
この発明に係る固定磁界交番勾配加速器用電磁石は、荷電粒子ビームが通過する環状真空通路が内部に形成された環状真空容器と、環状真空通路の円周方向に沿って複数個設けられ荷電粒子ビームを偏向させて荷電粒子ビームを環状真空通路内の周回軌道上に誘導する固定磁界交番勾配磁場を発生させる固定磁界交番勾配磁場発生手段と、環状真空容器の所定の位置に設けられ荷電粒子ビームの加速電場を誘起する加速ギャップと、環状真空容器の所定の部分を取り囲むように設けられ内部の磁束を変化させて電磁誘導により加速ギャップを介して加速電場を発生する加速コアとを備え、加速コアに印可する励磁周波数の1周期以内に荷電粒子の入射から出射までを完了する固定磁界交番勾配加速器において、固定磁界交番勾配磁場発生手段に用いられる固定磁界交番勾配加速器用電磁石であって、複数の磁極のうち少なくとも4個の磁極が一体に形成されている。そのため、各磁極間の相対位置の精度をあげることができ、また、調整作業を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の固定磁界交番勾配加速器用電磁石を用いたビーム加速装器の上面図である。
【図2】 図1のビーム加速装器のII−II線に沿う矢視断面図である。
【図3】 図2のビーム加速装器の断面図の電磁石の部分を拡大して示す拡大図である。
【図4】 図3の電磁石の磁極に巻回された巻線の様子を示す斜視図である。
【図5】 電磁石が共通架台上に一体に固定された様子を示す斜視図である。
【図6】 この発明の実施の形態2の固定磁界交番勾配加速器用電磁石を搭載する加速器の一部を断面とする上面図である。
【図7】 図6の加速器の一部を断面とする側面図である。
【図8】 真空容器一体型電磁石の内部に形成された磁極を示す斜視図である。
【図9】 真空容器一体型電磁石の分割の他の例を示す説明図である。
【図10】 この発明の実施の形態3の加速器用電磁石の断面の一部を拡大して示す拡大図である。
【図11】 真空容器一体型電磁石の接合部に設けられた加速ギャップの断面図である。
【符号の説明】
1 環状真空容器、1a 環状真空通路、2 固定磁界交番勾配加速器用電磁石(固定磁界交番勾配磁場発生手段)、3 加速ギャップ、4 加速コア、14共通架台、17 Oリング、18 絶縁板、19 差動排気配管、20 真空容器一体型電磁石、21,22 磁極、23,24 コイル。

Claims (3)

  1. 荷電粒子ビームが通過する環状真空通路が内部に形成された環状真空容器と、
    前記環状真空通路の円周方向に沿って複数個設けられ前記荷電粒子ビームを偏向させて該荷電粒子ビームを前記環状真空通路内の周回軌道上に誘導する固定磁界交番勾配磁場を発生させる固定磁界交番勾配磁場発生手段と、
    前記環状真空容器の所定の位置に設けられ前記荷電粒子ビームの加速電場を誘起する加速ギャップと、
    前記環状真空容器の所定の部分を取り囲むように設けられ内部の磁束を変化させて電磁誘導により前記加速ギャップを介して前記加速電場を発生する加速コアとを備え、
    前記加速コアに印可する励磁周波数の1周期以内に荷電粒子の入射から出射までを完了する固定磁界交番勾配加速器において、
    前記固定磁界交番勾配磁場発生手段に用いられる固定磁界交番勾配加速器用電磁石であって、
    複数の磁極のうち少なくとも4個の磁極が一体に形成されている
    ことを特徴とする固定磁界交番勾配加速器用電磁石。
  2. 前記磁極は、概略同心円周上に配置される
    ことを特徴とする請求項1記載の固定磁界交番勾配加速器用電磁石。
  3. 前記環状真空通路と前記磁極とが一体に設けられている
    ことを特徴とする請求項1または2記載の固定磁界交番勾配加速器用電磁石。
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