JP4064865B2 - 教示ペンダントの安全装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、被教示装置である産業用ロボット等の機械装置が実行すべき動作内容の設定に際して使用される教示ペンダントに関し、特に、デッドマンスイッチの操作に基づいて教示信号を有効にするか否かの選択を行う教示ペンダントのイネーブル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
産業用ロボット等の機械装置の初期及び調整時等における動作の教示作業は、可搬型の教示ペンダントの操作によって行われる。教示作業時には作業者は、機械装置の可動部に近接した状態で両手に把持した教示ペンダントを操作しなければならず、機械装置(被教示装置)の故障や教示ペンダントの操作ミス等が重大事故に繋がるような危険に晒される。
【0003】
このような機械装置に対する教示作業中の異常発生時における作業者の危険を回避するための手段として、教示ペンダントには教示信号の出力を選択的に有効にするためのイネーブル装置が設けられている。このイネーブル装置は、機械装置に対する教示信号の出力の指示入力を受け付ける操作スイッチとともに教示ペンダントに配置されている操作可能スイッチを含む。この操作可能スイッチは、デッドマンスイッチとも呼ばれ、作業者が教示ペンダントを予め定められた姿勢で把持している間に限り、操作できるようにされている。即ち、デッドマンスイッチが操作されている状態でのみ、ONされた操作スイッチの操作に基づく教示信号が有効にされ、機械装置に対する教示作業が可能になる(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0004】
教示ペンダントにイネーブル装置を備えることにより、作業者がデッドマンスイッチを押し込んでONさせた状態で操作スイッチを押圧操作して機械装置に動作を教示している間に、機械装置の故障や教示操作装置の操作ミス等によって機械装置が作業者の意図しない動作を行った場合、作業者がデッドマンスイッチから手指を離すか、又は、教示ペンダントを手放すことにより、デッドマンスイッチがOFFし、機械装置に対する操作信号が無効にされ、機械装置を停止させることができる。
【0005】
ところが、機械装置が作業者の意図しない動作を行った場合の作業者の行動としては、デッドマンスイッチから手指を離したり、教示ペンダントを手放すことだけでなく、デッドマンスイッチをさらに強く押し込んだり、教示ペンダントをさらに強く握り締めることもある。したがって、デッドマンスイッチとしては、押圧の有無に応じて単にON/OFFする通常の2ポジションのスイッチでは不十分である。
【0006】
このため、従来の教示ペンダントでは、押圧操作されていない(非操作時)OFF状態の第1ポジションから軽く押し込むと(中間操作時)ON状態の第2ポジションに変位し、この第2ポジションからさらに強く押し込むと(完全操作時)OFF状態の第3ポジションに変位する3ポジションのスイッチがデッドマンスイッチとして用いられている。この3ポジションのデッドマンスイッチは、第3ポジションからON状態の第2ポジションを通過することなく第1ポジションに復帰する。危険を回避すべくデッドマンスイッチを第3ポジションまで押し込んだ作業者が機械装置の停止後にデッドマンスイッチから手指を離し終えるまでの間において、機械装置が完全に動作を停止している必要があるからである。
【0007】
例えば、図3に示すように、教示ペンダントのイネーブル装置100は、第1回路C11、第2回路C12及び第3回路C13で構成されており、それぞれ3個の常開接点と1個の常閉接点とを備えた2個のリレーR11,R12が設けられている。イネーブル装置100は、正常な状態では、右手用デッドマンスイッチ101a及び左手用デッドマンスイッチ101bの少なくとも一方が第2ポジションまで操作されてON状態になったときに、例えば、機械装置の安全リレーモジュール120に第1回路C11及び第2回路C12からイネーブル信号を出力する。安全リレーモジュール120は、第1回路C11及び第2回路C12の両方からイネーブル信号が入力された場合にのみ教示信号を有効にし、作業者は機械装置の教示作業を遂行することができる。
【0008】
第1回路C11は、右手用デッドマンスイッチ101aの一方の主接点sw11aと左手用デッドマンスイッチ101bの一方の主接点sw11bとを並列接続した並列回路に、リレーR11の常開接点R111とリレーR12の常開接点R121とを直列に接続したものである。
【0009】
第2回路C12は、右手用デッドマンスイッチ101aの他方の主接点sw12aと左手用デッドマンスイッチ101bの他方の主接点sw12bとを並列接続した並列回路に、リレーR11の常開接点R112とリレーR12の常開接点R122とを直列に接続したものである。
【0010】
第3回路C13は、右手用デッドマンスイッチ101aのモニタ用常閉接点msw11a、左手用デッドマンスイッチのモニタ用常閉接点msw11b、リレーR11の常閉接点R114及びリレー12の常閉接点R124が直列接続された直列回路と、右手用デッドマンスイッチ101aのモニタ用常閉接点msw12a、左手用デッドマンスイッチのモニタ用常閉接点msw12b、リレーR11の常開接点R113及びリレー12の常開接点R123が直列接続された直列回路と、を備え、これら2つの直列回路を並列接続し、さらにリレーR11とリレーR12との並列回路をこれに直列接続したものである。
【0011】
リレーR11及びリレーR12のそれぞれにおいて、常開接点R113及び常閉接点R114と常開接点R123及び常閉接点R124とは、同時に切り換わる強制ガイド式リレー構成になっている。したがって、リレーR11において、常開接点R113がONになると常閉接点R114は必ずOFFになる。また、デッドマンスイッチ101a,101bが操作されていない初期状態では、リレーR11及びR12は自己保持機能により励磁されており、常開接点R111〜R113及びR121〜R123はONになるとともに、常閉接点R114及びR124はOFFになる。
【0012】
上記の構成において、初期状態から右手用デッドマンスイッチ101aが第2ポジションまで操作されてON状態になると、図4に示すように、右手用デッドマンスイッチ101aの主接点sw11a,sw12aがONするとともにモニタ用常閉接点msw11aがOFFするが、リレーR11,R12の自己保持機能により回路C11〜C13の通電状態が維持される。これによって、第1回路C11及び第2回路C12からイネーブル信号が出力され、作業者は機械装置の教示作業を遂行できる。
【0013】
このとき、作業者が危険を感じて例えば左手用デッドマンスイッチ101bを第3ポジションまで押し込んでOFF状態にすると、図5に示すように、第3回路C13において左手用デッドマンスイッチ101bのモニタ用常閉接点msw11b及びmsw12bがOFFになり、第3回路C13の通電が遮断されてリレーR11及びR12が消磁される。この結果、リレーR11の常開接点R111〜R113とリレーR12の常開接点R121〜R123とがOFFになり、第1回路C11及び第2回路C12の通電も遮断されてイネーブル信号が出力されなくなり、教示不可能な状態となる。
【0014】
この状態から、右手用デッドマンスイッチ101aをON状態にしたままで、左手用デッドマンスイッチ101bに対する押し込み力が緩められ、左手用デッドマンスイッチ101bが第1ポジションに復帰して常閉接点sw11b及びsw12bが順次ON状態になっても、図6に示すように、右手用デッドマンスイッチ101aのモニタ用常閉接点msw11aがOFFであるとともにリレーR11及びR12の常開接点R113及びR123がOFFであるため、リレーR11及びR12の消磁状態が維持される。この結果、第1回路C11及び第2回路C12の通電は遮断されたままになり、右手用デッドマンスイッチ101aのON状態が有効にされることはなく、教示不可能な状態が継続される。
【0015】
ここで、右手用デッドマンスイッチ101aに対する押し込み力が緩められると右手用デッドマンスイッチ101aが第1ポジションに復帰し、右手用デッドマンスイッチ101aのモニタ用常閉接点msw11aがONする。この結果、回路C11〜C13が通電されてリレーR11及びR13が励磁され、図3に実線で示す初期状態に戻るため、右手用デッドマンスイッチ101a又は左手用デッドマンスイッチ101bを第2ポジションまで操作することにより、機械装置の教示が可能になる。
【0016】
なお、図3に示した構成においては、例えば、左手用デッドマンスイッチ101bがONしている間にリレーR11の接点R111〜R114が溶着した場合、右手用デッドマンスイッチ101aを第3ポジションまで操作してOFF状態にしてもリレーR11の常開接点R111〜R113のON状態、及び、常閉接点R114のOFF状態が保持される。しかし、リレーR12の常開接点R121〜R123はOFFしており、回路C11〜C13の通電は遮断しているため、右手用デッドマンスイッチ101aを第1ポジションに復帰させても左手用デッドマンスイッチ101bのON状態が有効にされることはなく、機械装置の教示が可能となることを防止できる。
【0017】
この状態で、両方のデッドマンスイッチ101a及び101bを第1ポジションに復帰させても第3回路C13における通電の遮断状態が維持されており、デッドマンスイッチ101a又は101bのいずれかを第2ポジションまで押し込んでON状態としても、教示可能状態にすることはできない。したがって、リレーR11又はR12のいずれか一方の接点に溶着を生じた場合には、両方のデッドマンスイッチ101a及び101bを第1ポジションに復帰させた後においてもイネーブル信号が出力されることはなく、接点の故障の発生が容易に認識される。
【0018】
また、安全リレーモジュール120が第1回路C11及び第2回路C12の開閉状態の不一致を検出する場合には、第1回路C11及び第2回路C12のそれぞれに1個ずつの常開接点が含まれるように、リレーR11及びR12において常開接点R111又はR112の何れかと常開接点R121又はR122の何れかとを省略することができる。この場合には、イネーブル装置100において接点溶着を生じた場合に、安全リレーモジュール120の検出結果から、第1回路C11と第2回路C12のいずれにおいて接点溶着を生じたかが正確に認識される。
【0019】
【特許文献1】
実開昭60−153787号のマイクロフィルム
【特許文献2】
特開2002−059383公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記図3に示した構成では、何れか一方のデッドマンスイッチの一方の主接点に生じた接点溶着を検出することができず、故障を生じた教示ペンダントによる機械装置の教示作業が継続され、デッドマンスイッチの他方の主接点にも接点溶着を生じると、何れか一方のデッドマンスイッチを第3ポジションまで操作しない限り機械装置を停止させることができなくなり、異常発生時に作業者の危険を回避することができなくなる問題がある。
【0021】
例えば、図7に示すように、右手用デッドマンスイッチ101aが第2ポジションまで操作された際に一方の主接点sw11aに溶着を生じた場合にも、少なくとも何れか一方のデッドマンスイッチを第3ポジションまで押し込むことによってモニタ用回路C13を開成してリレーR11,R12を消磁し、常開接点R111〜R113及びR121〜R123をOFFすることができ、イネーブル信号用回路C11,C12からイネーブル信号が出力されないようにして安全リレーモジュール120を介して機械装置の動作を停止させることができるため、異常発生時に作業者の安全を担保できる。
【0022】
ところが、この後に両方のデッドマンスイッチ101a,101bが第1ポジションに復帰されても、図8に示すように、一方のイネーブル信号用回路C11からイネーブル信号が出力され続け、安全リレーモジュール120は、他方のイネーブル信号用回路C12からのイネーブル信号の出力を待機することになる。このため、図9に示すように、次に、デッドマンスイッチ101a,101bの何れか(図9では右手用デッドマンスイッチ101a)が第2ポジションまで操作された際に主接点sw12a又はsw12b(図9では主接点sw12a)に溶着を生じると、デッドマンスイッチ101a,101bの両方が第1ポジションにある場合、又は、一方が第2ポジションにあり他方が第1ポジションにある場合にはイネーブル信号用回路C1及びC2の両方からイネーブル信号が出力され、機械装置の動作を停止させることができない。
【0023】
このように、図3に示した構成では、単一故障であるデッドマンスイッチの主接点の溶着が生じたことを次の教示作業前に検出することができず、作業者の安全性を十分に担保することができない問題があった。
【0024】
この発明の目的は、多重に出力されるイネーブル信号の出力状態の不一致が所定時間以上継続するか否かを判別することにより、単一故障であるデッドマンスイッチの主接点の溶着の発生を次の教示作業前に素早く検出することができ、この状態を作業者に認識させることによって故障を生じている教示ペンダントを用いて教示作業が継続されてしまうことのないようにし、作業者の安全性をより確実に担保することができる教示ペンダントの安全装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決するための手段として、以下の構成を備えている。
【0026】
(1)非操作時には第1のOFF状態、中間操作時にはON状態、完全操作時には第2のOFF状態となるデッドマンスイッチの操作状態に応じて機械装置に対する教示信号を有効にするためのイネーブル信号を選択的に出力する複数のイネーブル信号用回路を備えた教示ペンダントに用いられ、
前記複数のイネーブル信号用回路からの複数のイネーブル信号の全ての出力状態が互いに一致するか否かを判別する判別手段と、
該判別手段が複数のイネーブル信号の出力状態の不一致を検出した時点で起動して計時を開始し、前記出力状態の不一致が検出されなくなった時点でリセットする計時手段と、
該計時手段が予め設定された所定時間に応じてタイムアップしたときに教示ペンダントにおける異常の発生を報知する異常報知手段と、
を設けたことを特徴とする。
【0027】
この構成においては、デッドマンスイッチの操作状態に応じて複数のイネーブル信号用回路のそれぞれから出力される複数のイネーブル信号の出力状態が所定時間以上継続して一致しない場合にデッドマンスイッチに異常を生じたと判断される。したがって、例えば教示ペンダントに2個のイネーブル信号用回路が設けられている場合に、何れか一方のイネーブル信号のみが所定時間以上継続して出力されているときには、他方のイネーブル信号の出力を待機することなく直ちに異常を生じたと判断されるため、異常が解消されない限り、以後にデッドマンスイッチがどのように操作されても機械装置に対する教示信号が有効にされることがない。
この際、この構成においては、判別手段が複数のイネーブル信号の出力状態の不一致を検出したときに所定時間を計時する計時手段を起動し、この計時手段がタイムアップしたときに異常報知手段によって教示ペンダントにおける異常の発生が報知される。したがって、判別手段、計時手段および異常報知手段からなる簡単な構成で、複数のイネーブル信号の出力状態が所定時間以上継続して不一致となることの原因としての教示ペンダントにおける異常の発生が正確に検出される。
【0028】
(2)前記デッドマンスイッチが、非操作状態及び完全操作状態においてOFFするとともに中間操作状態においてONする複数の主接点を備え、
前記複数のイネーブル信号用回路のそれぞれが、前記デッドマンスイッチの一つの主接点を含むことを特徴とする請求項1に記載の教示ペンダントの安全装置。
【0029】
この構成においては、デッドマンスイッチの操作状態に応じた複数の主接点のそれぞれのON/OFF状態に基づく複数のイネーブル信号の出力状態が所定時間以上継続して一致しない場合に、デッドマンスイッチに異常を生じたと判断される。したがって、デッドマンスイッチの主接点の一つに生じた接点溶着が、所定時間経過後に正確に検出され、一つの主接点に溶着を生じている状態で機械装置に対する教示作業が継続されることが確実に防止される。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1(A)及び(B)は、この発明の実施形態に係るイネーブル装置が適用される教示ペンダントの正面図及び背面図である。教示ペンダント10の筐体の正面には、中央部にLCD等の表示パネル11が配置されている。この表示パネル11の上面の両側端部には、透明のタッチスイッチ上に透明の操作キー12が複数個ずつ設けられている。操作キー12は、押圧操作時に下方に変位して表示パネル11の上面に配置されたタッチスイッチをONする。また、教示ペンダント10の正面における表示パネル11の上方には、複数の押しボタンスイッチ13が配置されている。操作キー12及び押しボタンスイッチ13がこの発明の操作スイッチに相当し、それぞれに割り当てられた操作信号の出力の指示入力を受け付ける。特に、操作キー12には、表示パネル11に表示される各画面内のスイッチ画像の内容が割り当てられる。なお、表示パネル11自体もタッチパネルにより操作スイッチとすることができる。
【0033】
教示ペンダント10の筐体における左右の側面部分には、把持体14a,14bが形成されている。図示しない産業用ロボット等の被教示装置に対する動作の教示作業時に作業者は、把持体14a,14bにおいて教示ペンダント10を両側面側から両手で把持し、主に親指によって操作キー12又は押しボタンスイッチ13を操作する。教示ペンダント10は、ケーブル18を介して被教示装置の制御回路に接続されており、作業者が操作した操作キー12又は押しボタンスイッチ13に割り当てられた操作信号が教示信号として被教示装置の制御回路に入力される。
【0034】
教示ペンダント10の筐体の背面には、把持体14a,14bに連続して凹部15a,15bが形成されており、把持体14a,14bと凹部15a,15bとの間に形成される角部にデッドマンスイッチ101a,101bが配置されている。デッドマンスイッチ101aは、ペンダント10の正面から見て右側の把持部14aを把持した作業者の右手の親指を除く4本の指が対向する右手操作位置に取り付けられてた右手用デッドマンスイッチである。デッドマンスイッチ101bは、ペンダント10の正面から見て左側の把持部14bを把持した作業者の左手の親指を除く4本の指が対向する左手操作位置に取り付けられた左手用デッドマンスイッチである。
【0035】
デッドマンスイッチ101a,101bは、何れも3ポジションのスイッチであり、主接点の接点状態が無操作状態の第1ポジション、第1ポジションから軽く押し込んだ状態の第2ポジション、及び、第2ポジションから強く押し込んだ状態の第3ポジションに順次変化し、第3ポジションから操作力を解除すると第2ポジションを経由することなく第1ポジションに復帰する。
【0036】
教示ペンダント10の内部には、一例として図3に示したように、2個のイネーブル信号用回路C11,C12を含むイネーブル装置100が内蔵されており、デッドマンスイッチ101a,101bの操作状態に応じて2つのイネーブル信号が出力される。なお、教示ペンダント10に内蔵されるイネーブル装置100は、図3に示したものに限るものではなく、単一又は複数のデッドマンスイッチが有する複数の主接点のそれぞれを含んだ複数のイネーブル信号用回路のそれぞれから、デッドマンスイッチの操作状態に応じてイネーブル信号を出力するものであれば構成を問わない。
【0037】
図2は、この発明の実施形態に係る安全装置の構成を示すブロック図である。この発明の安全装置20は、この発明の判別手段であるEX−OR回路21、同計時手段であるタイマ回路22、及び、同報知手段である警報回路23からなり、被教示装置の制御回路の一部を構成する安全リレーモジュール120内に備えられる。EX−OR回路21には、教示ペンダント10から出力される2つのイネーブル信号s1,s2が入力され、2つのイネーブル信号s1,s2が一致しない場合に検出信号を出力する。
【0038】
タイマ回路22は、カウンタ回路22a、プリセット回路22b及びクロックパルス発振回路22cによって構成されている。カウンタ回路22aは、EX−OR回路21から検出信号が出力された際にプリセット回路22bに設定されているカウント値を読み出し、クロックパルス発振回路22cからクロックパルスが入力される毎にカウント値をデクリメントする。カウンタ回路22aは、EX−OR回路21から検出信号が出力されなくなるとリセットし、カウント値が“0”になるとタイムアップ信号を出力する。
【0039】
なお、カウンタ回路22aは、EX−OR回路21から検出信号が出力された際に、クロックパルス発振回路22cからのクロックパルスによってカウント値をインクリメントするものであってもよい。この場合、カウンタ回路22aのカウント値がプリセット回路22bに設定されているカウント値に一致した時に、タイマ回路22からタイムアップ信号を出力する。
【0040】
警報回路23は、タイマ回路22からタイムアップ信号が入力されると、鳴動して教示ペンダント10における異常の発生を報知する。なお、警報回路23に代えて、又は、警報回路23とともに警告表示回路を設けることもできる。
【0041】
この構成により、図3に示したイネーブル装置100において、一方のイネーブル信号用回路C11に含まれる右手用デッドマンスイッチ101aの一方の主接点sw11aが接点溶着を生じた場合に、デッドマンスイッチ101a,101bの何れかが第3ポジション(完全操作時)まで操作された後、イネーブル信号用回路C12からイネーブル信号が出力されることなくイネーブル信号用回路C11からのみイネーブル信号が出力され続け(図8参照。)、タイマ回路22が計時する所定時間が経過すると、警報回路23が鳴動する。
【0042】
これによって、作業者は教示ペンダント10における異常の発生を直ちに認識することができ、教示ペンダント10における単一故障の発生が速やかに検出される。このため、異常を生じた教示ペンダント10による被教示装置(機械装置)に対する教示作業が継続して行われることを防止でき、作業者の安全をより確実に担保することができる。
【0043】
なお、タイマ回路22が計時する所定時間は、プリセット回路22bに格納するプリセット値によって設定することができ、正常なデッドマンスイッチ101a,101bのそれぞれにおける2つの主接点の動作タイミングの誤差時間よりも長い時間であることを満足する十分に短い時間である。
【0044】
また、上記の例では、この発明の安全装置20を被教示装置の制御回路を構成する安全リレーモジュール120内に備えることとしたが、安全装置20を教示ペンダント10に内蔵することにより、教示ペンダント10における異常の発生を作業者により近い位置で報知することができる。この場合に、報知手段として警告ランプを点灯したり、表示パネル11に警告メッセージを表示することにより、視覚により作業者に異常の発生を報知するようにしてもよい。また、この場合に、安全装置20を教示ペンダント10に内蔵されているマイクロコンピュータを用いて構成することもできる。
【0045】
【発明の効果】
この発明によれば、以下の効果を奏することができる。
【0046】
(1)デッドマンスイッチの操作状態に応じて複数のイネーブル信号用回路のそれぞれから出力される複数のイネーブル信号の出力状態が所定時間以上継続して一致しない場合にデッドマンスイッチに異常を生じたと判断することにより、例えば教示ペンダントに2個のイネーブル信号用回路が設けられている場合、何れか一方のイネーブル信号のみが所定時間以上継続して出力されているときに、他方のイネーブル信号の出力を待機することなく直ちに異常を生じたと判断することができ、異常が解消されない限り、以後にデッドマンスイッチがどのように操作されても機械装置に対する教示信号が有効にされることがない。これによって、教示ペンダントに生じた単一故障の発生を素早く検出することができ、作業者の安全性をより確実に担保することができる。
【0047】
(2)デッドマンスイッチの操作状態に応じた複数の主接点のそれぞれのON/OFF状態に基づく複数のイネーブル信号の出力状態が所定時間以上継続して一致しない場合に、デッドマンスイッチに異常を生じたと判断することにより、デッドマンスイッチの主接点の一つに生じた接点溶着を、所定時間経過後に正確に検出することができ、一つの主接点に溶着を生じている状態で機械装置に対する教示作業が継続されることを確実に防止できる。
【0048】
(3)判別手段が複数のイネーブル信号の出力状態の不一致を検出したときに所定時間を計時する計時手段を起動させ、この計時手段がタイムアップしたときに異常報知手段によって教示ペンダントにおける異常の発生を報知することにより、判別手段、計時手段及び異常報知手段からなる簡単な構成で、教示ペンダントにおける単一故障の発生を素早くに検出することができる。
【0049】
このようにして、単一故障であるデッドマンスイッチの主接点の溶着の発生を次の教示作業前に素早く検出することができ、この状態を作業者に認識させることによって故障を生じている教示ペンダントを用いて教示作業が継続されてしまうことのないようにし、作業者の安全性をより確実に担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態に係る安全装置が適用される教示ペンダントの正面図及び背面図である。
【図2】上記安全装置の構成を示す回路図である。
【図3】上記教示ペンダントに内蔵されるイネーブル装置の回路図である。
【図4】一方のデッドマンスイッチが第2ポジションまで操作された際の上記イネーブル装置の回路図である。
【図5】一方のデッドマンスイッチが第2ポジションまで操作され、他方のデッドマンスイッチが第3ポジションまで操作された際の上記イネーブル装置の回路図である。
【図6】一方のデッドマンスイッチが第2ポジションまで操作され、他方のデッドマンスイッチが第3ポジションから第1ポジションに復帰した際の上記イネーブル装置の回路図である。
【図7】第2ポジションまで操作された一方のデッドマンスイッチにおける一方の主接点に接点溶着を発生した場合の上記イネーブル装置の回路図である。
【図8】一方のデッドマンスイッチにおける一方の主接点に接点溶着を発生した状態で両方のデッドマンスイッチが第1ポジションに復帰した状態の上記イネーブル装置の回路図である。
【図9】一方のデッドマンスイッチにおける両方の主接点に接点溶着を発生した場合の上記イネーブル装置の回路図である。
【符号の説明】
10−教示ペンダント
20−安全回路
21−EX−OR回路(判別手段)
22−タイマ回路(計時手段)
23−警報回路(報知手段)
100−イネーブル装置
101a,101b−デッドマンスイッチ
120−安全リレーモジュール
C1−第1のイネーブル信号用回路
C2−第2のイネーブル信号用回路
Claims (3)
- 非操作時には第1のOFF状態、中間操作時にはON状態、完全操作時には第2のOFF状態となるデッドマンスイッチの操作状態に応じて機械装置に対する教示信号を有効にするためのイネーブル信号を選択的に出力する複数のイネーブル信号用回路を備えた教示ペンダントに用いられ、
前記複数のイネーブル信号用回路からの複数のイネーブル信号の全ての出力状態が互いに一致するか否かを判別する判別手段と、
該判別手段が複数のイネーブル信号の出力状態の不一致を検出した時点で起動して計時を開始し、前記出力状態の不一致が検出されなくなった時点でリセットする計時手段と、
該計時手段が予め設定された所定時間に応じてタイムアップしたときに教示ペンダントにおける異常の発生を報知する異常報知手段と、
を設けたことを特徴とする教示ペンダントの安全装置。 - 前記デッドマンスイッチが、非操作状態及び完全操作状態においてOFFするとともに中間操作状態においてONする複数の主接点を備え、
前記複数のイネーブル信号用回路のそれぞれが、前記デッドマンスイッチの一つの主接点を含むことを特徴とする請求項1に記載の教示ペンダントの安全装置。 - 前記デッドマンスイッチがそれぞれ複数の主接点を備え、
前記所定時間は、前記複数の主接点の動作タイミングの誤差時間よりも長い時間であることを満たす十分に短い時間である、
ことを特徴とする請求項2に記載の教示ペンダントの安全装置。
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