JP4064285B2 - 濾過処理用繊維濾材 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、各種用水処理および汚水の浄化処理に用いる濾過処理用繊維濾材に関する。
【0002】
詳しくは、濾過槽内に複数の繊維濾材を充填構成して、工業用水、海水および河川水などの各種用水の浄化や、下水および家庭排水など汚水の濾過、浄化処理を行う上向流式急速濾過装置に好適な繊維濾材に関する。
【0003】
【従来の技術】
従来、各種用水の浄化や汚水の濾過、浄化処理に使用する濾材には、例えば、合成樹脂材で構成した粒状の浮遊濾材や合成樹脂繊維を用いた濾材など、各種のものが提案され使用されている。
【0004】
この合成樹脂材で構成した粒状の浮遊濾材は軽量で取り扱いに便利であるが、空隙率が低く、汚水中の微細粒子(以下SSと称す)によって空隙が詰まり、濾過性が低下して長時間の運転ができないという問題があった。
【0005】
この問題を解決するために、繊維シートをチップ状とした濾材が提案されている(例えば、特許文献1,特許文献2および特許文献3参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−33818号公報
【特許文献2】
特開平8−33819号公報
【特許文献3】
特開平10−216430号公報
【0007】
特許文献1に開示の濾材は、太さが30〜200μmの綿毛状のフィラメントを、これよりも融点の低い融着材で結合させて、その内部に空隙を有する厚さ3〜10mmのマット状の媒体を構成し、そのマット状の媒体を一辺が5〜50mmの四方形状に裁断してチップ状としたものである。当該濾材はその内部に広い空隙を有して高い処理能力を有すると共に、目詰まりした場合、容易に洗浄再生することができるものである。
【0008】
一方、特許文献2に開示された濾材60は、図6に単位片を示すように、太さが100〜500μmの大径のフィラメント61と、太さが30〜100μmの小径のフィラメント62にそれよりも融点の低い融着材を被覆した、大小の繊維径のフィラメント61,62を混合して、これら両者を融着材で互いに融着結合して、内部に微細空隙を有する厚さ3〜10mmの板状の濾材を構成し、この板状の濾材を10〜50mm角状に裁断してなる合成繊維を用いた濾材としたものである。
【0009】
そのため、絡み合ったフィラメント61,62によって濾材層が形成され、粒状の濾材に比較して格段の空隙を有するため、濾過性がよく長時間の運転が可能であると共に、太いフィラメント61がその濾過圧力の上昇に抵抗して細いフィラメント62で形成される空隙を確保するので、併せて長時間の運転が可能である。また、その単位濾材の空隙が均一なので洗浄再生が容易であると共に、その単位濾材片の大きさが粒状の浮遊濾材やアンスラサイト等と比較して格段に大きいので流失のおそれもなく、洗浄再生が容易となるものである。
【0010】
また、特許文献3に開示された濾材70は、図7に示すように、素材が芯をポリプロピレン、鞘をポリエチレンとした熱融着性複合繊維であり繊度が20〜72dtex(18〜65デニール)である第1フィラメント71と、素材がポリプロピレン繊維であり繊度が3.3〜11dtex(3〜10デニール)である第2フィラメント72と、素材が芯をポリプロピレン、鞘をポリエチレンとした熱融着性複合繊維であり繊度が1.7〜6.7dtex(1.5〜6デニール)である第3フィラメント73とを混綿したウェブをニードルパンチング法により布形化し、両面のウェブ起毛状態を平滑化することなく加熱処理し、前記ウェブの重量が200〜800g/m2、厚みが2〜8mmの布形化板状体を製作し、この布形化板状体を3〜50mm角に裁断して汚水処理用濾材としたものである。それにより、例えば特許文献2に開示された濾材にも増して、長時間使用時における濾材の圧縮耐性の低下がなく、濾過圧力の維持が図れ、処理能力も低下せず、カット屑や使用時のフィラメントの脱落も回避できるものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1〜3に開示された従来技術の濾材においては、例えば、合成樹脂材で構成した粒状の浮遊濾材等に比較して、格段に高い空隙率(約90%)の確保、ならびに、SS捕捉に従う濾過圧力上昇に対する圧縮耐性の維持が図られ実現されている。
【0012】
しかしながら、上記従来の技術に開示される濾材は、濾材の比重が濾材を構成する繊維素材の比重に依存し、例えば、ポリプロピレンおよび/またはポリエチレンを用いた場合であっても、濾材比重を0.91よりも小さくすることができないため、長時間の使用時において、SS捕捉に伴って濾材重量が増加した場合に濾材の受ける浮力の低下が大きく、また個々の濾材のSS捕捉量に従って濾材の受ける浮力にばらつきが生じて濾過槽内での濾過層の形成が出来なくなり、濾過処理が不能になるという問題があった。
【0013】
また、濾過装置が用いられる用途によって、汚水中のSSの性状、比重が異なるため、SS捕捉に伴う濾材の受ける浮力の低下が、SSの性状、比重に影響されるという問題もあった。
【0014】
したがって、本発明は上記問題点を解決するために、濾過槽内に複数の繊維濾材を充填して用いる濾過装置、特に上向流式急速濾過装置用途に好適な繊維濾材として、濾材内部に充分な空隙が確保されて濾過性が良好であり、SS捕捉に従う濾過圧力上昇に対する圧縮耐性が低下しない繊維濾材であって、SS捕捉に従う濾材重量の増加に対しても濾材の受ける浮力変化が少なく、また浮力の低下がSSの性状、比重に影響され難く、濾過槽内の濾過層形成に必要な浮力が確保できて、従来よりもさらに濾過装置の長時間運転が可能な繊維濾材を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の濾過処理用の繊維濾材は、濾過槽内に複数の繊維濾材を充填して用いる濾過装置、特に上向流式急速濾過装置用途に好適な濾材であって、ステープルからなる不織布層と、独立気泡発泡体を有する基層とで構成される小片体であることを特徴とする繊維濾材である(請求項1)。
【0016】
また、前記不織布層が、高融点成分および低融点成分からなる熱融着性複合繊維ステープルを含む、1種類もしくは繊度および/または素材の異なる2種類以上のステープルからなることを特徴とするものである(請求項2)。
【0017】
さらに、前記基層が、独立気泡発泡体からなるモノフィラメントを経糸および/または緯糸の少なくとも一部に用いて織成した布帛で構成されることを特徴とするものである(請求項3)。
【0018】
さらに、前記基層が、独立気泡発泡体からなるモノフィラメントを少なくとも一部に含む複数本のモノフィラメントを平面状に引き揃えて成る単層糸条シートを1ないし複数層積層結合して構成した糸条シートであることを特徴とするものである(請求項4)。
【0019】
さらに、前記基層を構成する独立気泡発泡体からなるモノフィラメントが、比重0.23〜0.7、繊度200dtex〜10,00dtexの範囲のポリプロピレンモノフィラメントであることを特徴とするものである(請求項5)。
【0020】
さらに、前記基層が、独立気泡発泡体からなるシートであることを特徴とするものである(請求項6)。
【0021】
さらに、前記繊維濾材が、厚さ2mm〜15mmの範囲の布形化板状体を見かけ体積が18mm3〜37,500mm3の範囲の小片体に裁断してなると共に、濾材比重が0.1〜0.9の範囲であることを特徴とするものである(請求項7)。
【0022】
なお、本発明において、「濾材、布形化板状体、基層、不織布層および基層もしくは不織布層を構成する糸条もしくは糸条シートもしくは合成樹脂シートの比重」とは、測定試料の空気中での質量値Maおよび密度既知の液体中に浸漬したときの液体中での質量値Mlの測定値と、液体の既知密度ρを用いて次式から算出した値をいう。
【0023】
【式1】
Figure 0004064285
【0024】
また、本発明において、「見かけ体積」とは小片体の外形寸法から算出した空隙、気泡を含む値をいう。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
【0026】
本発明の実施にあたっては、濾過槽内に複数の繊維濾材を充填して用いる濾過装置、特に上向流式急速濾過装置用途に好適な濾材として、ステープルからなる不織布層と、独立気泡発泡体を有する基層とを結合して構成された小片体とするために、例えば布形化板状体を形成し、この布形化板状体を適する形状、大きさに裁断して製作することが可能である。
【0027】
前記布形化板状体は、主として濾材の形状維持および濾過槽内での濾過層形成に必要な濾材比重を確保するための少なくとも一層の前記基層と、主として汚水中のSSを濾過するための少なくとも一層の前記不織布層とで構成する。
【0028】
前記布形化板状体10は、図1(A)に示すように、1層の基層11の片面または両面に各1層の不織布層12を結合した構成を基本とするが、それに限らず、図1(B)に示すように、基層11と不織布層12とを交互に各2層以上ずつ結合した構成、または、図1(C)に示すように、基層11の周囲を不織布層12で覆った構成としてもよい。不織布層12が基層11の両面または周囲に配されている方が、不織布層12の表出割合が多く浮遊濾材として好適なものとなる。
【0029】
結合方法は、接着剤により接着する他、基層11と不織布層12間に介在させた融点の低い融着材や薄いメッシュ状布帛、不織布シート等を用いて融着結合してもよい。
【0030】
また、混綿したステープルを前記基層11に直接に積層し、ニードルパンチング法にて不織布層12を形成すると同時に基層11への交絡結合を行えば、基層11と不織布層12との結合を行う工程が省略できる上に、不織布層12を構成するステープルが基層11の布帛構造に直接に交絡結合され、不織布層12と基層11を強固に結合できるため好適である。
【0031】
本発明の実施にあたっては、前記基層11を構成する糸条あるいは合成樹脂シートの内部の少なくとも一部に独立気泡を有することが重要である。気泡が連通しておらず個々に独立して糸条あるいはシート内部に存するため、濾過の過程で前記不織布層12にSSが捕捉されて濾材重量が増加しても、気泡が閉塞することが無く、濾材に必要な浮力を維持することが可能となる。また、独立気泡が糸条あるいはシート内部に分散する状態とするため、および糸条あるいはシートの強力や弾性を損なわないためには、独立気泡はできるだけ微細なものが望ましい。更に、微細な独立気泡とすることで、例えばニードルパンチング法を用いて不織布層12を形成する場合には、ニードリングの影響による気泡の連通や破壊を防ぐことができる。
【0032】
さらに、前記不織布層12においても、不織布を構成するステープルとして、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等公知の合成繊維ステープルの他、綿、麻、羊毛等の天然繊維ステープル、炭素等の無機繊維ステープルを選択することが可能である。上記繊維素材の群から選んだ1種類もしくは繊度および/または素材の異なる2種類以上のステープルからなると共に、繊度および目付量を適値に設定して、濾過に必要な微細空隙をその内部に有する不織布層12とする。
【0033】
また、ステープルの少なくとも一部に、独立気泡を内部に有する合成繊維ステープルを用いてもよい。特に、ポリプロピレン(以下PPと称す)および低密度もしくは高密度のポリエチレン(以下PEと称す)は、比重が1.0以下であり、かつ、耐薬品性が良好で汚水のpHの影響を受け難いため最適である。
【0034】
前記不織布層12を1種類の繊度のステープルより形成する場合には、濾材の濾過性能と圧縮耐性の観点から、ステープルの繊度は20dtex〜72dtexの範囲が良い。
【0035】
また、不織布層12は、前記繊度が20dtex〜72dtexである太繊度の第1ステープルに加えて、繊度が3.3dtex〜11dtexである細繊度の第2ステープルを混綿して用いれば、太繊度のステープルで圧縮耐性が長期間にわたり確保でき、濾過圧力上昇に抗しての濾材の形状が保持できると共に、細繊度のステープルを付加することにより不織布層内部により微細かつ均一な空隙を形成できて、より緻密な濾材となるため濾過性能を向上させることができるため好ましい。この場合の混綿割合(重量比)は、例えば、前記第1ステープル30%〜80%に対して、前記第2ステープル70%〜20%の範囲が好適である。
【0036】
さらに、不織布層12は、図4に示すように、繊度が20dtex〜72dtexである太繊度の第1ステープル41および繊度が3.3dtex〜11dtexである細繊度の第2ステープル42に加えて、繊度が1.7dtex〜6.7dtexのより細繊度の第3ステープル43を混綿し、交絡結合させて用いれば、不織布層12内部により微細かつ均一な空隙を形成できて、一層緻密な濾材とすることができるため好ましい。
【0037】
この場合の混綿割合(重量比)は、例えば、前記第1ステープル41が50%〜80%、前記第2ステープル42が40%〜10%、前記第3ステープル43が40%〜10%の範囲が好適である。
【0038】
本発明の繊維濾材内部には、濾材の形状保持のための前記基層11が配設されているため、前記特許文献1〜3に開示された従来の濾材よりも、濾過圧力に対する圧縮耐性と形状保持に優れた繊維濾材を実現することが可能となる。
【0039】
本発明においては、前記不織布層12を、高融点成分および低融点成分から成る熱融着性複合繊維ステープルを含む1種類もしくは繊度および/または素材の異なる2種類以上のステープルを混綿し、ニードルパンチング法により交絡結合させた後、加熱処理を施して、基層11と結合および異なるステープル同士を融着結合させて形成することができる。
【0040】
また、混綿したステープルを基層11に直接に積層し、ニードルパンチング法により交絡結合させると同時に、基層11への交絡結合を行った後に、加熱処理を施しても良い。
【0041】
前記高融点成分および低融点成分からなる熱融着性複合繊維ステープルには、芯部と鞘部を有する芯鞘構造複合繊維ステープルのほか、高融点成分および低融点成分とが糸条断面において並列、多芯、放射状、星形状もしくは扇形状等に組み合った複合繊維ステープルが含まれる。
【0042】
例えば、前記不織布層12を構成する前記ステープルの少なくとも1つに、素材が芯部をPP、鞘部を芯部のPPより低い融点を有するPPまたはPEとした熱融着性複合繊維ステープル(以下、ESと称す)を用いることができる。ESを用いる融着の場合は、芯部のPPおよび基層11の融点より低く、かつ、鞘部のPPまたはPEの融点よりも高い温度条件のもとで行う。このESを用いる場合は、融着材を添加する必要が無い上に、混綿したステープルを基層11に直接に積層した後にニードルパンチング法により交絡結合させたESの鞘部同士を融着結合するので、不織布層12と基層11との結合がより強化されて、濾材の圧縮耐性の向上に効果的である上に、不織布層12内の微小空隙を確実かつ均一に形成することができるので好適である。
【0043】
前記ESを用いる場合には、太繊度の前記第1ステープルをESとするのが、長期間の圧縮耐性確保および濾材形態保持の点で効果的であり好ましい。また、2種類以上の繊度のステープルよりなる不織布層が形成される場合には、第1ステープルに加えて、さらに、細繊度のステープルの少なくとも1つをESとするのが、不織布層12内の微小空隙の形成をさらに確実かつ均一にできて一層好適である。また、濾材製作における裁断時のカット屑の発生や濾材使用時の繊維の脱落を防止させることができて好ましい。第1,第2および第3ステープル41,42,43の全てをESとすれば、上記効果がなお一層得られることは勿論である。
【0044】
前記基層11を織成布により構成する場合には、独立気泡発泡体からなるモノフィラメント(以下、独立気泡モノフィラメントという)を経糸および/または緯糸の少なくとも一部に用いて織成した織成布を用いる。織組織は特に問わないが、基層11の厚さと生産性の観点からは、1重織の平織、2/1または2/2綾織が好適であるが、緯2重および/または経2重以上の多重織とすることも可能である。
【0045】
図2(A)に、独立気泡モノフィラメント20の一例の横断面図を示す。この独立気泡モノフィラメント20は、多数の独立気泡21を有する。独立気泡21は、一定の大きさであっても良いし、図示するように、任意の大きさのものが混じり合ったものでも良い。
【0046】
前記基層11を、独立気泡モノフィラメント20を少なくとも一部に用いてなる布帛により構成する場合には、該布帛として織成布またはよこ編もしくはたて編の編成布よりなる布帛、あるいは、独立気泡モノフィラメント30を少なくとも一部に含む複数本のモノフィラメントを平面状に引き揃えてなる単層糸条シートを1ないし複数層積層結合して構成した糸条シートを用いる。
【0047】
前記基層11には、前記の織成布に替えて、図3(A)に示すように、独立気泡モノフィラメント31を1方向に引き揃えた単層糸条シート30、または、図3(B)に示すように、独立気泡モノフィラメント31と、独立気泡発泡体でないモノフィラメント32を交互に配列した単層糸条シート30を複数層積層した糸条シート35を用いることができる。
【0048】
また、前記基層11には、前記図3(A)の単層糸条シート30や、図3(B)に示す糸条シート35に替えて、独立気泡モノフィラメントを少なくとも一部に含む複数本のモノフィラメントを平面状に引き揃えてなる単層糸条シート30、またはこのような単層糸条シートを1ないし複数層積層結合して構成した糸条シート35を用いることができる。
【0049】
単層糸条シート30を構成するために引き揃えるモノフィラメント31,32の繊度、糸密度、ならびに、糸条シート35を構成するために積層する単層糸条シート30の積層数は、前記範囲の濾材比重および濾材厚さを達成し得るように適宜選択して決定する。また、複数層の単層糸条シートを積層結合して糸条シートを構成する時は、層間で互いに交差する各層の糸条の角度を30°〜90°の範囲で交差させて結合するのが、基層の形態保持と強度向上の上で望ましい。例えば、2層積層の場合には、図3(B)に示すように、互いに直交させて結合するのがよい。
【0050】
前記単層糸条シート30の少なくとも一部を構成する独立気泡モノフィラメント31には、前記織成布に用いる独立気泡モノフィラメント20が適用できる。また、単層糸条シート30や糸条シート35を構成するその他の糸条32は、前記独立気泡モノフィラメント31と同等以上の強度が有り、かつ、比重1.0以下の糸条であればよいが、単層糸条シート30の同一層内では、独立気泡モノフィラメント31と同繊度の糸条とするのが好ましい。また、積層する各層で、素材、繊度、形状や独立気泡の含有割合の異なる糸条を用いてもよい。単層糸条シート30を構成する独立気泡モノフィラメント31およびその他の糸条32の構成比は、前記濾材の濾材比重に応じて適宜選択して決定する。
【0051】
単層糸条シート30を形成するには、複数本のモノフィラメントを平面状に引き揃えてシート形状にした後に、接着剤もしくは融着材を用いて隣り合ったモノフィラメント同士を接着もしくは融着して結合する。また、糸条シートを構成するには、複数層の単層糸条シート30を積層した後に、または、複数本のモノフィラメントを適当な交差角度のもとに複数の平面状に引き揃えてシート形状にした後に、接着剤もしくは融着材を用いて各層を接着もしくは融着して結合する。この場合、隣り合ったモノフィラメント同士を結合するに際しては、必ずしも糸条の全長が結合されている必要はなく、特に、複数層の単層糸条シートから糸条シートを形成する場合には、各層のモノフィラメント同士が交差する箇所を重点的に接着もしくは融着して結合部33とすればよい。
【0052】
接着剤には、一般の熱硬化性接着剤や紫外線硬化性接着剤などを用いることができる。また、熱硬化性接着剤の硬化温度および融着材の融着温度が、糸条シートを構成するモノフィラメントの融点より低いものを選択して用いる。接着剤もしくは融着材は、液状、ペースト状、粉体状、繊維ステープル状等のものを、複数本のモノフィラメントを引き揃えてシート形状にした後や、複数層の単層糸条シートを積層した後に、浸漬、塗布、積載あるいは吹き付けて添加すればよい。
【0053】
また、加熱方法は、熱風ドライヤーや遠赤外線ヒーターなど常用の方法による。融着材には、その融点温度が糸条シートを構成するモノフィラメントの融点よりも低いものを選択して用いればよいが、例えば、糸条シートを構成するモノフィラメントがPP素材よりなる場合には、融点がそれより低いPP素材またはPE素材よりなる融着材を用いることができる。
【0054】
前記糸条シートを構成する図2(A)の独立気泡モノフィラメント20に替えて、図2(B)の芯鞘構造複合繊維糸条25に示すように、鞘部27を構成する素材の融点が芯部26を構成する素材の融点より低く、芯部26が独立気泡モノフィラメントからなる芯鞘構造複合繊維糸条25を用いて、芯部26を構成する素材の融点より低く、鞘部27を構成する素材の融点より高い温度で加熱処理すれば、別途に融着材を添加することなく、隣り合ったモノフィラメントの鞘部同士を均一に融着結合することができ好適である。例えば、その芯部26にPP素材からなる独立気泡モノフィラメントを用い、鞘部27に融点が芯部のPP素材の融点より低いPP素材またはPE素材を用いることができる。
【0055】
本発明において、繊維濾材の基層11を構成するためのモノフィラメントとは、前記独立気泡モノフィラメント20だけではなく、この芯部26が独立気泡モノフィラメントからなる芯鞘構造複合繊維糸条25を含むものとする。
【0056】
さらに、平面状に引き揃えた複数本のモノフィラメントを結合して単層糸条シート30とするには、からみ糸を用いて引き揃えたモノフィラメントを結合する、所謂からみ織構造としても良い。
【0057】
前記織成布を構成する経糸および/または緯糸の少なくとも一部には、比重が0.23〜0.7、繊度200dtex〜1,000dtexの範囲の独立気泡モノフィラメント20を用いるのが好適である。前記織成布を構成するその他の糸条は、前記独立気泡モノフィラメント20と同等以上の強度が有り、かつ、比重が小さい繊維素材よりなる糸条であればよいが、経糸同士および緯糸同士は、前記独立気泡モノフィラメント20と同繊度のモノフィラメントとするのが望ましい。また、経糸と緯糸とで、素材、繊度、形状や独立気泡の含有割合の異なる糸条を用いてもよい。前記織成布を構成する独立気泡モノフィラメント20およびその他の糸条の構成比は、前記濾材の濾材比重に応じて適宜選択して決定する。
【0058】
前記独立気泡モノフィラメント20の比重範囲については、比重が0.23に満たない場合は、気泡の割合が多く織成布の製作上、適正な強度が不足する傾向となり、製作効率が低下する。比重が0.7を超える場合は、十分な浮力を得る上で不利となる。織成布の製作時に必要な糸条の強伸度特性としては、引張強度2.0cN/dtex以上、引張伸度15%以上、好適には引張強度2.50cN/dtex以上、引張伸度20%以上の範囲が必要である。また、これらの上限値に特に制約はなく、一般産業資材用途として製作可能な範囲であればよいが、引張強度5.3cN/dtex、引張伸度40%を上限とする。
【0059】
なお、織成後の基層11布帛は、形態および寸法安定化のために、糸条素材に適した温度条件で熱風ドライヤーなど常用の方法でヒートセットを施すのが望ましい。
【0060】
また、前記独立気泡モノフィラメント20の内部に含まれる独立気泡21の形状は、織成布の製作時に必要な糸条の強度が確保でき、かつ、濾過運転時の濾過圧力に抗しての濾材形状の保持ができ得るものであれば、特に限定はないが、できるだけ微細な気泡であることが好ましく、しかも糸条内部に分散していることが必要である。気泡の大きさは、糸条の断面における寸法が同面積の円直径に換算して直径0.01mm〜0.5mm、好ましくは0.01mm〜0.1mmの範囲が望ましい。
【0061】
このような独立気泡21を有する独立気泡モノフィラメント20は、例えば、PPチップやPEチップにアゾジカルボンアミド等の化学発泡剤もしくは物理発泡剤からなる副原料、または化学発泡剤および架橋剤等からなる副原料を混合し、発泡条件下に溶融紡糸して独立気泡を形成した後、延伸して製造したもの、PE等の結晶性ポリオレフィンに相溶性のある非晶性ポリマーを添加して紡糸して製造したもの、PEおよび化学発泡剤を含む準低分子量ポリエチレンおよび潤滑性物質を同時に添加して紡糸して製造したもの等が従来から知られており、例えば、特公昭47−18619号公報、特公昭49−21261号公報等に開示されている。
【0062】
前記基層11を、独立気泡発泡体からなるシート(以下、独立気泡シートという)により構成する場合には、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系樹脂およびポリアミド系樹脂からなる群に含まれる少なくとも一種の合成樹脂または合成樹脂混合物からなり、かつ、独立気泡を内部に有する合成樹脂フォームを用いる。特に、比重1.0以下の樹脂からなり、耐薬品性を有しpHの影響を受け難い合成樹脂フォーム、例えばPPおよび/またはPEからなる合成樹脂フォームが好適である。
【0063】
前記繊維濾材の濾材比重0.1〜0.9、および、布形化板状体の厚さ2mm〜15mmの範囲とするためには、比重0.01〜0.2の範囲で厚さ0.5mm〜4mmの範囲の独立気泡を内部に有する合成樹脂フォームを用いるのが良い。
【0064】
特に、同じ比重範囲で厚さが1mm〜4mmの範囲の独立気泡を内部に有するPPおよび/またはPEから成るポリオレフィン系樹脂フォームが好適である。また、前記合成樹脂フォームを前記厚さに切削して用いることもできる。独立気泡シートの比重範囲については、比重が0.01未満の場合には、気泡の割合が多いため濾過圧力に対する圧縮耐性の点で不安があり、比重が0.2を超える場合には、ニードルパンチング法により不織布層12を形成する際に、パンチング抵抗が過大となるため適さない。厚さ範囲については、厚さが0.5mm未満の場合には、濾過圧力に対する圧縮耐性の点で不安があり、厚さが4mmを超える場合には、濾過に必要な不織布層12の厚さを確保し難く、またパンチング抵抗が過大となるため適さない。前記基層11は、1層の独立気泡シートで構成するほか、必要に応じて、複数層の独立気泡シートを積層して構成しても良い。
【0065】
また、前記独立気泡シートの内部に含まれる独立気泡の形状は特に限定はないが、できるだけ微細な気泡であることが好ましく、しかもシート内部に分散していることが必要である。独立気泡の大きさは、少なくともシート厚さ方向における平均気泡径が0.1mm〜0.6mm、好ましくは0.1mm〜0.3mmの範囲が望ましい。なお、微細な気泡を有する独立気泡シートを基層11に用い、ニードルパンチング法により不織布層12を形成する場合には、パンチング加工を施すことにより、基層11の厚さ方向にも適度な通水性を確保することができて、基層11の厚さ方向の濾過通水性も良好な濾材とすることができる。
【0066】
このような独立気泡シートは、例えば、ポリスチレンフォーム、軟質ウレタンフォーム、軟質塩ビフォーム、PEフォーム、PPフォーム、電子線架橋ポリオレフィンフォーム、熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体などが、自動車成形内装品、建築用断熱材、目地材、パイプカバー等の産業資材、生活用品等の用途に使用されており、一般に入手可能である。
【0067】
本発明の実施にあたって特に好適な濾材を得るためには、繊維濾材の濾材比重は0.1〜0.9の範囲とする。濾材比重が0.1に満たない場合は、濾材洗浄時に濾材を充分に撹拌することが困難で濾材洗浄が不充分になり易い。また、濾材比重が0.9を超える場合には、SS捕捉に伴って濾材重量が増加した場合に充分な浮力を得にくくなり不利となる。
【0068】
本発明の実施にあたっては、前記繊維濾材を、布形化板状体の厚さを2mm〜15mmの範囲に形成し、見かけ体積が18mm3〜37,500mm3の範囲の小片体に裁断して製作すると共に、濾材比重を0.1〜0.9の範囲とするのが好適である。なお、繊維濾材の寸法は対象とする汚水の処理条件、例えばSS除去率、濾過速度等に適合させるように適宜設定するが、各種汚水でのテスト結果に基づき、厚さ2mm〜15mmの範囲で、例えば一辺が3mm〜50mmの範囲の角形板状小片体とするのが好ましい。大きさが、厚さ2mmおよび一辺3mmに満たない場合には、SS除去率は向上するものの、濾過速度が低下すると同時に濾材の耐久性が低下する。また、厚さ8mmおよび一辺50mmを超えると、濾過速度は上がるものの、必要なSS除去率が得られ難くなる。
【0069】
前記濾材比重を0.1〜0.9の範囲とするため、前記基層11を、独立気泡発泡体を有する基層とする。例えば独立気泡発泡体からなる合成繊維糸条を少なくとも一部に用いた布帛または糸条シート、あるいは独立気泡発泡体からなる合成樹脂シートで基層を構成する。前記独立気泡発泡体からなる合成繊維糸条を少なくとも一部に用いた布帛または糸条シートを構成するには、PP、PEおよびポリウレタンからなる比重の小さい繊維素材の群から選んだ素材よりなる繊維糸条および/または複合繊維糸条を用いる。
【0070】
本発明の繊維濾材を製作するための布形化板状体を形成するにあたり、特に緻密な濾材とするために好ましい実施形態の一例を説明する。布形化板状体10を構成する不織布層12を、前記比重の小さい繊維素材の群から選んだ素材からなる、繊度が20dtex〜72dtexである第1ステープル41、繊度が3.3dtex〜11dtexである第2ステープル42および繊度が1.7dtex〜6.7dtexである第3ステープル43よりなる群から選んだ1種類もしくは繊度および/または素材の異なる2種類以上のステープルを混綿し、交絡結合させて形成して、ステープルの全積層量が200g/m2〜1,000g/m2の範囲の不織布層とする。
【0071】
前記ステープルを、ニードルパンチング法またはスパンレース法などにより交絡結合させると共に、前記ステープルの融点より低く、かつ、前記基層11をなす布帛または糸条シートを構成する糸条または合成繊維シートの融点より低い融点を有する融着材によって融着結合させて、その内部に微細空隙を形成させた不織布層12とする。
【0072】
本発明の繊維濾材に適する繊度範囲のステープルを交絡結合させるには、ニードルパンチング法が好適である。なお、上記方法により不織布層12を形成するに当たっては、前記ステープルを混綿して不織布層12を形成しても良いが、ステープル支持体として、スパンボンド不織布または薄いメッシュ状布帛を併用することも可能である。
【0073】
混綿したステープルを交絡結合させた後、前記ステープルの融点、および前記基層11をなす布帛または糸条シートを構成する糸条または合成樹脂シートの融点より低く、かつ、融着材の融点よりも高い温度条件のもとで加熱処理して、前記ステープルを融着結合させる。加熱処理の方法は、例えばピンテンターを使用し、熱風ドライヤーを用いて行うことができる。ただし、加熱処理の方法はこれ以外にヒートローラーや遠赤外線炉を用いる方法など種々可能であることは勿論である。
【0074】
融着材は、前記加熱処理に先駆けて、粉体状またはステープル状等のものを前記ステープルの混綿時に混合しておくか、あるいは、液状またはペースト状等のものを前記ステープルの混綿後に浸漬または塗布して添加しておく。融着材には、糸条シートの場合と同様、例えば、ステープルがPP素材よりなる場合には、それより低い融点を有するPP素材またはPE素材よりなる融着材を用いることができる。
【0075】
本発明においては、前記繊維素材の群から選んだ1種類もしくは繊度および/または素材の異なる2種類以上のステープルを混綿し、交絡結合させて形成した不織布層12に対して、基層11を、比重0.23〜0.7、繊度200〜1,000dtexの範囲の独立気泡モノフィラメント20を少なくとも一部に用いた織成布または糸条シート、あるいは比重0.01〜0.2、厚さ0.5mm〜4mmの範囲の独立気泡シートで形成することにより、より一層好適な繊維濾材が得られる。
【0076】
すなわち、基層11の比重を不織布層12の比重に比べて非常に小さくできるため、濾材中の基層11の体積割合が少なくなり、濾過操作に必要な不織布層12の体積割合を充分確保することができると共に、基層11の体積割合のわずかな増減によって、濾材比重を前記範囲内で任意に設定できることとなる。したがって、SS捕捉に伴う濾材の受ける浮力の低下が、SSの性状、比重に影響され難く、濾過槽内の濾過層形成に必要な浮力が確保できて、従来に増す濾過装置の長時間運転が可能な繊維濾材となる。また、濾過槽内に複数の繊維濾材を充填構成して、工業用水、海水および河川水などの各種用水の浄化や、下水および家庭排水など汚水の濾過、浄化処理を行う上向流式急速濾過装置に好適な繊維濾材を実現することができる。
【0077】
【実施例】
以下、本発明の実施例、実施例の効果を比較するための比較例、および効果の比較結果について説明する。
【0078】
実施例1〜4の濾材を表1、比較例1の濾材を表2に示す仕様でそれぞれ製作した。
【0079】
【表1】
Figure 0004064285
【0080】
【表2】
Figure 0004064285
【0081】
表1,表2中、構成比は重量比で表す。また、糸形態で、「モノ」はモノフィラメントを表し、「気泡モノ」は独立気泡モノフィラメント、「気泡シート」は独立気泡シートを表す。
【0082】
表1に示した実施例1〜4による濾材は次の順序で製作した。すなわち、先ず、比重0.5、繊度940dtexの独立気泡ポリプロピレンモノフィラメント20を経糸および緯糸に用いて、表1に示す仕様の一重平織の織成布を織成し、これにヒートセットを施して実施例1〜2の濾材の基層11を製作した。なお、この独立気泡ポリプロピレンモノフィラメントの強度についてのサンプル数5での測定平均値は、引張強度2.9cN/dtex、引張伸度22%であった。
【0083】
また、実施例3の濾材の基層11を、厚さ2mm、比重0.033、発泡倍率30倍のPP製独立気泡シートを1層だけ用いて製作した。また、実施例4の濾材の基層11を、厚さ3mm、比重0.033、発泡倍率30倍のPP製独立気泡シートを1層だけ用いて製作した。
【0084】
次に、繊度20dtexのESからなる第1ステープル41、繊度6.7dtexのPPからなる第2ステープル42および繊度1.7dtexのESからなる第3ステープル43を表1に示した構成比(重量比)で混綿し、先の基層11を基布としてニードルパンチング法により基層11の表面および裏面に、表1に示した積層量で順次積層し交絡結合させて不織布層12を形成し布形化物を得た。
【0085】
次いで、この布形化物を、両面のステープルの起毛状態を平滑化することなく加熱処理して、表1に示した濾材目付および厚さ寸法の布形化板状体10を得た。加熱処理に当たっては、芯部26のPPが溶融せずESの鞘部27をなすPEだけが溶融する加熱条件(加熱温度は140〜150℃に設定)で、ピンテンターを使用して熱風ドライヤーにて加熱処理した。この布形化板状体10を表1に示した濾材の大きさに裁断して、各実施例1〜4の繊維濾材を製作した。
【0086】
表2に示した比較例1による濾材は次の順序で製造した。すなわち、先ず、繊度20dtexのESからなる第1ステープル、繊度6.7dtexのPPからなる第2ステープルおよび繊度3.3dtexのESからなる第3ステープルを表2に示した構成比(重量比)で混綿し、ニードルパンチング法により交絡結合させて布形化物を得た。
【0087】
次いで、この布形化物を、両面のステープルの起毛状態を平滑化することなく加熱処理して、表2に示した濾材目付および厚さ寸法の布形化板状体を得た。加熱処理に当たっては、芯部のPPが溶融せずESの鞘部をなすPEだけが溶融する加熱条件(加熱温度は140〜150℃に設定)で、ピンテンターを使用して熱風ドライヤーにて加熱処理した。この布形化板状体を表2に示した濾材の大きさに裁断して比較例1の繊維濾材を製作した。
【0088】
また、布形化板状体の厚さ測定は、加圧式厚み計(CR−30型、大栄科学精器製作所製)を用い、0.5kPaの圧力を10秒間かけた時の厚さを測定した。
【0089】
各濾材の比重測定は、簡易比重計(BW−SGW 島津製作所製)を用い、濾材試料の空気中での質量値Maと既知密度の液体(メタノール)中での質量値Mlとを測定し、液体の既知密度ρとから、前述の式1により算出した。
【0090】
各濾材の比重測定結果を、表1および表2に示した。すなわち、実施例1では0.83、実施例2では0.74、実施例3では0.64、実施例4では0.30であり、比較例1では0.92であった。実施例1〜4の比重は、いずれも比較例1の比重より小さい。したがって、実施例1〜4の浮力は、いずれも比較例1の浮力より大きいため、長時間の濾過処理が可能であることが推察される。
【0091】
次に、図5(A)に示す濾過装置を用い、池水を1年間濾過処理し、実施例1〜4および比較例1の濾材の濾過性能比較を行った。図5(A)において、原水50は供給ポンプ51によって流入弁V1および供給パイプ52を経て濾過槽53にその底部から供給され、濾過水は集水ノズル54、処理水弁V3を経て系外に取り出される。本発明および比較例の濾材55は濾過槽53内に充填投入されている。このような濾過運転をして、濾材55が目詰まりしたときには、流入弁V1および処理水弁V3を閉止して切替弁V2および排水弁V5を開き、集水ノズル54から洗浄水(原水)を供給するとともに、撹拌モーター56で撹拌翼57を駆動することにより濾材55を撹拌する。このようにすることによって濾過槽53内の洗浄汚水は、下部の濾材流出防止用のスクリーン58、供給パイプ52、排水弁V5を経て、系外に排出される。捨水弁V4は前述の濾過運転時および濾材55の洗浄運転時には閉止しているもので、濾材洗浄後に濾過運転を再開する際に捨て水を排水するときに開くものである。濾材洗浄は、濾材目詰まりにより濾過圧が上昇したことを圧力スイッチ59で検出し、撹拌洗浄、捨て水を自動で行い、再び濾過を行うようにしている。図5(B)は図5(A)の濾過装置の作動工程のタイムチャートであり、前記圧力スイッチ59で濾材55の目詰まりを検知した後、撹拌洗浄と捨て水の排水までの時間が4〜10分を要することを示している。
【0092】
上記の濾過性能比較結果を、表3に示す。
【0093】
【表3】
Figure 0004064285
【0094】
比較例1の濾材では、濾材比重が1.03と大きくなり、浮上性を失い濾過層形成が困難で、除濁性能が大幅に低下した。
【0095】
一方、実施例1〜4の濾材は比重の増加は見られるが1.00以下であり、浮上性を保っていた。また、除濁性能の低下は見られなかった。
【0096】
【発明の効果】
本発明においては、濾過槽内に複数の繊維濾材を充填して濾過を行う濾過装置、特に上向流式急速濾過装置に好適に用いられる繊維濾材を、主として濾材の形態維持と濾過層形成に必要な濾材比重を確保するための基層と、主として汚水中のSSを濾過するための不織布層からなる小片体に裁断して形成すると共に、前記基層を、その内部に独立気泡発泡体からなる合成繊維糸条を少なくとも一部に用いてなる布帛または糸条シート、あるいは独立気泡シートで構成して繊維濾材として製作したので、SS捕捉に従う濾材重量の増加に対しても濾材の受ける浮力変化が少なく、濾過槽内の濾過層形成に必要な浮力が確保できて、濾過装置の運転時間を従前より大幅に増加することが可能となる。
【0097】
また、前記不織布層を、1種類もしくは繊度および/または素材の異なる2種類以上のステープルを混綿し、交絡結合させると共に、各ステープルの融点より低く、かつ、前記基層をなす布帛もしくは糸条シートを構成する糸条あるいは独立気泡シートの融点より低い温度条件で融着結合させてその内部に微小空隙を形成させた不織布としたので、濾材内部に充分な空隙が確保されて濾過性が良好、かつ、長時間使用してもSS捕捉に従う濾過圧力上昇に対する圧縮耐性の低下がなく、濾過圧力の維持が図れ、処理能力も低下せず、極めて優れた濾材性能を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)(B)(C)は本発明の濾材の異なる実施形態の断面を表す概念図である。
【図2】(A)は本発明の濾材に用いる独立気泡モノフィラメントの横断面図、
(B)は本発明の濾材に用いる芯鞘構造複合繊維糸条の一例の横断面図である。
【図3】(A)は本発明の濾材の基層を構成する単層糸条シートの一例の斜視図、
(B)は本発明の濾材の基層を構成する糸条シートの一例の斜視図である。
【図4】本発明の濾材を構成する不織布層の一部の拡大図である。
【図5】(A)は実施例と比較例との濾過効果確認に用いた濾過装置の概略構成図、
(B)は(A)の濾過装置のタイムチャートである。
【図6】従来の濾材の単位片を表す斜視図である。
【図7】従来の他の濾材の単位片を表す斜視図である。
【符号の説明】
10 濾材
11 基層
12 不織布層
20 独立気泡モノフィラメント
21 独立気泡
25 芯鞘構造複合繊維糸条
26 芯部
27 鞘部
30 単層糸条シート
31 独立気泡モノフィラメント
32 その他の糸条
33 結合部
35 糸条シート
41 第1ステープル
42 第2ステープル
43 第3ステープル
60,70 従来の濾材

Claims (7)

  1. 濾過槽内に複数の繊維濾材を充填して用いる濾過処理用の濾材であって、ステープルからなる不織布層と、独立気泡発泡体を有する基層とで構成される小片体であることを特徴とする濾過処理用繊維濾材。
  2. 前記不織布層が、高融点成分および低融点成分からなる熱融着性複合繊維ステープルを含む、1種類もしくは繊度および/または素材の異なる2種類以上のステープルからなることを特徴とする請求項1に記載の濾過処理用繊維濾材。
  3. 前記基層が、独立気泡発泡体からなるモノフィラメントを経糸および/または緯糸の少なくとも一部に用いて織成した布帛で構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の濾過処理用繊維濾材。
  4. 前記基層が、独立気泡発泡体からなるモノフィラメントを少なくとも一部に含む複数本のモノフィラメントを平面上に引き揃えてなる単層糸条シートを1ないし複数層積層結合して構成した糸条シートであることを特徴とする請求項1または2に記載の濾過処理用繊維濾材。
  5. 前記基層を構成する独立気泡発泡体からなるモノフィラメントが、比重0.23〜0.7、繊度200dtex〜1,000dtexの範囲のポリプロピレンモノフィラメントであることを特徴とする請求項3または4に記載の濾過処理用繊維濾材。
  6. 前記基層が、独立気泡発泡体からなるシートであることを特徴とする請求項1または2に記載の濾過処理用繊維濾材。
  7. 前記繊維濾材が、厚さ2mm〜15mmの範囲の布形化板状体を見かけ体積が18mm3〜37,500mm3の範囲の小片体に裁断してなると共に、濾材比重が0.1〜0.9の範囲であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の濾過処理用繊維濾材。
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