JP4062415B2 - プリンタ制御装置、プリンタ制御方法、この方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、このプログラムを記録した記録媒体、プリンタシステム、posシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数色での印刷が可能なプリンタを制御するための装置、方法、この方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、および、このプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。また、本発明は、複数色での印刷が可能なプリンタを含むプリンタシステムおよびPOSシステムにも関する。
【0002】
【従来の技術】
店舗のレジ等で用いられるPOSシステムにはレシートを印刷するためのプリンタが設けられている。このプリンタではロール紙等の記録紙に商品名や金額等の販売データが印刷され、印刷された記録紙が切り離されてレシートとして発行される。
【0003】
ところで、近年、カラープリンタが普及しており、POSシステムにおいても2色あるいはそれ以上の多色のプリンタが用いられるようになっている。このようなカラープリンタを備えたPOSシステムでは、カラー印刷機能を活用して、店舗側の好みに応じた色でレシートを印刷できることが望ましい。例えば、店舗のコーポレイトカラーが青色である場合にレシートを青色で印刷すれば、この青色を店舗のイメージ色として顧客に印象付けて、他店との差別化を図れる等の効果が期待できるからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のPOSシステムで用いられているアプリケーションプログラムは、例えば2色印刷を行なう場合に、印刷色を主色および副色で指定することが一般的である。そして、カラープリンタは、主色および副色の印刷データに対して夫々固定された色(例えば主色に対して黒色、副色に対して赤や青等の黒以外の色)で印刷するように構成されている。このため、アプリケーションプログラムで指定された印刷色をユーザが自由に選択することはできず、主色を黒以外の色で印刷したくとも、アプリケーションプログラムを変更しない限り、そのような印刷色の設定を行なうことはできない。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、印刷データで指定された印刷色に対応するプリンタの印刷色をユーザが設定できるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、複数の色で印刷可能なプリンタを制御するプリンタ制御装置であって、
前記プリンタに印刷させるべき印刷データを取得するデータ取得手段と、
前記印刷データの印刷色として指定され得る一又は複数の印刷指定色と、前記プリンタが印刷可能な複数の色との対応関係を表すカラー対応情報を記憶する対応情報記憶手段と、
前記カラー対応情報に従って、前記取得した印刷データの印刷指定色に前記プリンタが印刷可能な何れかの色を対応付け、前記印刷データを当該対応付けた色で前記プリンタにより印刷するための印刷コマンドを作成するコマンド作成手段と、
該作成した印刷コマンドを前記プリンタへ送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、印刷データの印刷指定色にカラー対応情報に従ってプリンタにより印刷可能な色が対応付けられ、その対応付けられた色で印刷を行なうための印刷コマンドが作成される。このため、本発明によれば、ユーザは、カラー対応情報に基づいて、印刷データで指定された印刷色に対応するプリンタの印刷色を設定することができる。
【0008】
また、本発明のプリンタ制御装置は、好ましくは、前記カラー対応情報をユーザが設定するための設定手段を備える。
【0009】
また、前記プリンタは、互いに異なる色で印刷可能な複数の印刷ヘッドを備えており、前記カラー対応情報は、前記印刷指定色と前記印刷ヘッドとの対応関係を表し、前記コマンド作成手段が作成する印刷コマンドは、当該印刷コマンドに応じて印刷を行なうべき印刷ヘッドを特定する情報に基づいて印刷色を指定することとしてもよい。
【0010】
また、本発明のプリンタ制御装置は、前記印刷ヘッドの夫々の印刷色を表すヘッド色情報を取得するヘッド色情報取得手段と、前記取得したヘッド色情報と、前記カラー対応情報とに基づいて、前記印刷指定色と前記印刷ヘッドの印刷色との対応関係を表示する表示手段とを備えることとしてもよい。このようにすれば、ヘッド色情報取得手段により、各印刷ヘッドの印刷色を取得できるので、このヘッド色情報と、カラー対応情報とに基づいて、各印刷指定色と実際の印刷色との対応関係を特定して表示することができる。かかる表示により、ユーザは、印刷データにおける印刷指定色とプリンタの印刷色との対応関係を確認することができる。
【0011】
また、前記プリンタは2つの前記印刷ヘッドを備えており、前記印刷指定色は主色および副色を含み、前記カラー対応情報は、前記主色および副色と、前記2つの印刷ヘッドとの対応関係を表すこととしてもよい。
【0012】
また、前記プリンタは、前記2つの印刷ヘッドの印刷色を混ぜた混色での印刷を行なう機能を有しており、前記印刷指定色は、前記主色、前記副色、および前記混色を含み、前記コマンド作成手段が作成する印刷コマンドは、印刷色として混色を指定可能であることとしてもよい。このようにすれば、プリンタが混色で印刷する機能を有する場合に、印刷色として混色を指定して混色での印刷を行なわせることができるので、印刷色のバリエーションを広げることができる。
【0013】
また、前記データ取得手段が取得する印刷データは、単色の印刷データであり、
前記取得した単色の印刷データに前記印刷指定色を付加するカラー付加手段を備え、前記コマンド作成手段は、該印刷指定色が付加された印刷データに基づいて前記印刷コマンドを作成することとしてもよい。このようにすれば、単色の印刷データに印刷指定色を付加して印刷コマンドを作成するので、単色の印刷データに基づいて複数色の印刷を行なうことが可能となる。
【0014】
また、本発明のプリンタ制御装置と、このプリンタ制御装置により制御されるプリンタとによりプリンタを構成することができる。
【0015】
また、本発明のプリンタ制御装置と、このプリンタ制御装置により制御される複数色での印刷が可能な前記プリンタとを含むPOSシステムは、前記プリンタ制御装置は、所定の入力装置から入力された商品情報に基づいて販売情報を集計してレシート印刷用の印刷データを出力するPOSアプリケーション実行部を備え、前記データ取得手段は、前記POSアプリケーション実行部から出力されるレシート印刷用の印刷データを取得することとしてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態であるPOSシステムの全体構成図である。同図に示すように、本実施形態のPOSシステムは、ホスト装置10を備えている。ホスト装置10には、レシート印刷用のプリンタ12、商品コードを入力するための入力装置(例えばバーコードリーダー)14、画面表示用のディスプレイ装置16等が接続されている。本実施形態において、プリンタ12は、2色のカラー印刷が可能なインクジェット式のプリンタであり、ホスト装置10による制御の下でレシートの印刷を行なう。
【0017】
ホスト装置10はコンピュータシステムにより構成されており、ホスト装置10におけるプリンタ12の制御は、例えば、ウインドウズ(商標名)等のOS上で稼動するプリンタドライバOLE for Retail POS(以下、OPOSという)により行なわれる。OPOSは、OS上で稼動するPOSアプリケーションプログラム24に対して、プリンタ12や入力装置14等の周辺デバイスとの機種依存性のないインターフェースを提供するものである。かかる機能を実現するため、OPOS上には、デバイスのカテゴリー毎に対応したデバイスコントロールオブジェクト(CO)20と、デバイスの機種毎に対応したサービスオブジェクト(SO)22とが設けられている。
【0018】
POSアプリケーションプログラム24は、入力装置14から入力された商品の商品コードに基づいて販売データを集計し、その集計結果をレシートとして印刷すべく印刷データを出力する。POSアプリケーションプログラム24から出力された印刷データはプリンタ用のCO20に引き渡され、さらに、CO20からプリンタ12の機種に対応したSO22に引き渡される。SO22は、この印刷データを加工して、プリンタ12のコマンド仕様に応じた印刷コマンドを作成し、OS26を介してプリンタ12へ送信する。このように、SO22は、デバイス(本例ではプリンタ)の機種毎の差異を吸収して、POSアプリケーションプログラム24をデバイス機種に依存しないプログラムとして構成できるようにする役割を有している。
【0019】
本実施形態におけるプリンタ12は、テキスト印刷コマンドと、イメージ印刷コマンドの2種類の印刷コマンドを解釈して実行できるように構成されている。テキスト印刷コマンドはテキスト印刷を行なうためのコマンドであり、イメージ印刷コマンドは、ビットイメージのイメージ印刷を行なうためのコマンドである。なお、本実施形態では、イメージ印刷コマンドにおいて印刷対象としてプリンタ12に予め登録されたイメージデータを指定できる。また、両印刷コマンドにおいて、印刷色を具体的な色で指定するのではなく、第1の色または第2の色で指定するものとし、印刷色が特に指定されていない場合は、第1の色が指定されているとみなされる。ただし、本発明においてテキストおよびイメージの両方の印刷コマンドを用いることは必須ではなく、一方の印刷コマンドのみが用いられるものとしてもよい。
【0020】
図2は、プリンタ12の機能ブロック図である。同図に示すように、プリンタ12は、中央制御部50、受信部52、およびコマンド解析部54を備えている。中央制御部50は、受信部52がインターフェース部62を介してホスト装置10から受信したコマンドやデータをコマンド解析部54で解析し、受信コマンドに応じた処理を実行する。なお、中央制御部50およびコマンド解析部54は、CPU60が所定の制御プログラムを実行することにより実現される。
【0021】
CPU60には、RAM64、ROM66、第1ヘッド制御部68、第2ヘッド制御部70等が接続されている。
RAM64には、受信バッファ72、第1印刷バッファ74、および第2印刷バッファ76が設けられている。受信バッファ72には、受信部52がホスト装置10から受信したコマンドやデータが格納される。また、第1印刷バッファ74および第2印刷バッファ76には、夫々、第1印刷ヘッド78および第2印刷ヘッド80で印刷するための印刷データがビットデータ形式で格納される。
ROM66には、CPU60が実行するプログラムのほか、各キャラクタのビットパターンデータや、ロゴマークのイメージデータ等のデータが記録されている。
第1ヘッド制御部68および第2ヘッド制御部70には、夫々、第1印刷ヘッド78および第2印刷ヘッド80が接続されている。第1印刷ヘッド78および第2印刷ヘッド80は、夫々、第1ヘッド制御部68および第2ヘッド制御部70による制御の下で、第1印刷バッファ74および第2印刷バッファ76に格納された印刷データに従って印刷を行なう。
第1印刷ヘッド78および第2印刷ヘッド80には、インク色検出部82が設けられている。インク色検出部82は、第1印刷ヘッド78および第2印刷ヘッド80に夫々装着されたインクカートリッジのインク色(つまり、各印刷ヘッド78,80の印刷色)を判別して、中央制御部50に通知する。
【0022】
図3は、第1印刷ヘッド78および第2印刷ヘッド80を含む印刷ヘッド部を拡大して示す斜視図であり、また、図4は、図3の直線IV−IVに沿った断面図である。図3に示すように、キャリッジ83には、第1印刷ヘッド78および第2印刷ヘッド80の夫々に対応して、インクカートリッジ装着部84,86が設けられており、各装着部84,86にはインクを収容するインクカートリッジ88が装着されている。
【0023】
また、図4に示すように、インクカートリッジ装着部84,86の夫々の底面には、接点90a,90b,90cを有するマイクロスイッチ90が設けられている。マイクロスイッチ90は、インク色検出部82に接続されている。また、インクカートリッジ88の底面には凹部92が設けられている。凹部92は、インクカートリッジ88のインク色に応じて、マイクロスイッチ90の接点90a,90bの一方または両方に対応した位置に形成されている。このため、何れかの色のインクカートリッジ88が装着されると、インク色に応じた凹部92の形成位置に対応して、マイクロスイッチ90の接点90a,90bの一方または両方が押下されてオン状態となる。したがって、インク色検出部82は、マイクロスイッチ90の接点90a,90bのオン/オフ状態に基づいて、各インクカートリッジ装着部84,86に装着されたインクカートリッジ88のインク色を検出することができる。
【0024】
マイクロスイッチ90の接点90cは、インクカートリッジ88が装着されているか否かを検知するためのものである。すなわち、インクカートリッジ88が装着されていない場合には、接点90cは押下されずオフ状態に保たれるから、このことをもって、インクカートリッジ88が装着されていないと判断できる。ただし、インクカートリッジの凹部92が接点90b,90cの双方に対応して設けられることはないものとし、接点90a,90bの双方が押下されない場合にインクカートリッジ88が装着されないと判断することとしてもよく、その場合は接点90cは不要である。
【0025】
なお、インクカートリッジ88のインク色を検出するための上記手法は一例であり、他の手法でインク色を検出するようにしてもよい。
【0026】
再び図2を参照すると、中央制御部50は、コマンド解析部54により解析された印刷コマンドに基づいて、第1印刷バッファ74および第2印刷バッファ76に印刷データを格納する。すなわち、印刷すべきキャラクタ(テキスト印刷コマンドの場合)またはイメージ(イメージ印刷コマンドの場合)のビットパターンデータをROM66から読み出し、印刷コマンドで指定された印刷色が第1の色の場合には第1印刷バッファ74へ、第2の副色の場合には第2印刷バッファ76へ、夫々格納する。したがって、本実施形態では、印刷コマンドで第1の色が指定された場合は、第1印刷ヘッド78のインク色(以下、第1インク色という)で、第2の色が指定された場合には、第2印刷ヘッド80のインク色(以下、第2インク色という)で、夫々、印刷が行なわれることとなる。このように、印刷コマンドで印刷色として指定される第1の色および第2の色は、当該印刷コマンドに応じて印刷を行なうべき印刷ヘッドを特定するものである。
【0027】
ところで、本実施形態において、POSアプリケーションプログラム24は、レシートの印刷色を主色または副色で指定する。ただし、特に印刷色が指定されていない場合に、主色が指定されているとみなされる。本実施形態のシステムは、POSアプリケーションプログラム24が印刷色として指定する主色および副色に対応したプリンタ12の印刷色を設定できる機能(以下、カラー設定機能という)を有している。
【0028】
図5は、上記のカラー設定機能を実現するためのホスト装置10の機能ブロック図である。同図に示すように、SO22は、データ加工部30、コマンド出力部32、および、カラー情報記憶部34を備えている。なお、カラー情報記憶部34はハードディスク装置やEEPROMのような書き換え可能な不揮発性の記憶装置上に設けられている。データ加工部30は、CO20から引き渡された印刷データに基づき、カラー情報記憶部34に記憶されたカラー対応情報を参照して、この印刷データを第1の色または第2の色で印刷するための印刷コマンドを作成する。作成された印刷コマンドはコマンド出力部32によりプリンタ12へ送信される。
【0029】
図6は、カラー対応情報の内容の一例を示す。また、図7は、カラー対応情報を参照してデータ加工部30およびコマンド送信部32が実行する処理を表すフローチャートである。
【0030】
図6に示すように、カラー対応情報は、主色および副色が、夫々、第1インク色(つまり第1印刷ヘッド78に対応して装着されたインクカートリッジ88のインク色)および第2インク色(つまり第2印刷ヘッド80に対応して装着されたインクカートリッジ88のインク色)の何れに対応するかの対応関係を表している。
【0031】
図7に示すように、POSアプリケーションプログラム24から印刷データが出力されると(S100)、その印刷データで指定された印刷色(主色または副色)が判別される(S102)。そして、カラー対応情報を参照して、判別された印刷色に対応するインク色が取得される(S104,S106)。次に、取得されたインク色が第1インク色であるか第2インク色であるかが判別され(S108)、第1インク色であれば印刷色として第1の色を指定した印刷コマンドが、また、第2インク色であれば印刷色として第2の色を指定した印刷コマンドが、夫々作成される(S110,S112)。こうして作成された印刷コマンドがコマンド送信部32によりプリンタ12へ送信される(S114)。
【0032】
上記したカラー対応情報は、カラー情報設定部36によりユーザが設定できるようになっている。カラー情報設定部36はSO22に実装された所定の設定プログラムにより実現される。この設定プログラムが起動されると、ホスト装置10のディスプレイ装置16に例えば図8に示すような色設定画面200が表示される。
【0033】
同図に示すように、色設定画面200には、紙幅の設定欄202、主色および副色のインク色表示欄204、「インクカートリッジ情報更新」ボタン206、「主色/副色入れ替え」ボタン208、および「OK」ボタン210が設けられている。
【0034】
色設定画面200において、「インクカートリッジ情報更新」ボタン206がクリックされると、プリンタ12に対して、所定のインク情報要求コマンドが送信される。プリンタ12は、このインク情報要求コマンドを受信すると、インク色検出部82により、第1印刷ヘッド78および第2印刷ヘッド80に何色のインクカートリッジ88が装着されているか(つまり第1インク色および第2インク色が夫々何色か)を検出し、その検出結果を示すインク色情報をホスト装置10へ通知する。ホスト装置10は、上記カラー対応情報と、プリンタ12から通知されたインク色情報とに基づいて、主色および副色に夫々対応するインク色を特定し、インク色表示欄204に表示させる。すなわち、カラー対応情報により主色および副色が夫々第1または第2のインク色の何れに対応するかを判別でき、また、通知されたインク色情報により、第1および第2の色の実際のインク色を判別できるから、これらの情報から主色および副色に対応するインク色を特定できるのである。インク色表示欄204の表示により、ユーザはPOSアプリケーションプログラム24で印刷色として指定される主色および副色が実際に何色で印刷されるのかを知ることができる。なお、設定プログラムの起動時に自動的にインク情報要求コマンドを送信して、現在の第1インク色および第2インク色を取得するようにしてもよい。
【0035】
また、「主色/副色入れ替え」ボタン208がクリックされると、インク色表示欄204に表示された主色のインク色と副色のインク色とが入れ替えられる。この「主色/副色入れ替え」ボタン208により、主色および副色の各インク色が適宜設定された後、「OK」ボタン210がクリックされると、主色および副色と第1インク色および第2インク色との対応関係がインク色表示欄204に表示された通りになるようにカラー対応情報の内容が更新される。すなわち、例えば第1インク色が黒、第2インク色が青であるとして、画面上で主色に青、副色に黒が設定されている場合には、カラー対応情報において、主色に第2インク色、副色に第1インク色を対応付けて記録する。このように、ユーザは、色設定画面200上においてカラー対応情報を簡便に設定することができる。そして、設定されたカラー対応情報に従って、主色および副色に対応したインク色で印刷が行なわれることとなる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態によれば、ユーザはホスト装置10において、主色および副色に夫々対応する印刷色を設定することができる。このため、レシートを例えば店舗のコーポレイトカラー等の所望の色で印刷することができ、これにより、その色を店舗のイメージ色として顧客に印象付けるといった効果が期待できる。
【0037】
また、本実施形態では、ホスト装置10ではプリンタドライバであるSO22が主色および副色をインク色に対応付けるための処理を行なうので、POSアプリケーションプログラム24に何ら変更を加えることなく、ユーザは上記印刷色の設定を行なうことができる。したがって、本実施形態によれば、POSシステムのユーザである店舗にプログラム交換等の経済的な負担をかけることなく、ユーザが望む色で印刷したレシートを発行できるようになる。
【0038】
また、一般に、POSアプリケーションプログラム24が出力する印刷データは印刷色として主色が指定される場合が多い。そして、プリンタ12のような2色のインクジェット式プリンタでは、主色に対応するインク色は固定されているので、この色のインクのみが一方的に減り易くなり、副色に対応する色のインクは減り難い。このため、副色に対応するインクは長期間プリンタ12に装着されたまま放置されることとなり、インク粘度の上昇やインク組成の変質を招いて、印刷ヘッドの目詰まり等のトラブル発生の原因となる場合がある。これに対して、本実施形態では、主色および副色に夫々対応するインク色をユーザが指定できるので、従前に比べて2色のインクが近い頻度で使用されることとなり、上記のような印刷ヘッドの目詰まり等のトラブルの発生を防止することができる。
【0039】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態のシステムも上記図1〜図5に示す構成と同様の構成であるが、プリンタ12は、第1インク色および第2インク色のみならず、第1インク色および第2インク色の同時印刷による混色を含めた3色での印刷を行なう機能を有している。
【0040】
印刷コマンドでは、印刷色を第1の色、第2の色、または第3の色で指定する(印刷色の指定がない場合は、第1の色が指定されているとみなす)。このうち第3の色が指定されている場合には、プリンタ12は印刷データを第1印刷バッファ74および第2印刷バッファ76の両方に格納することで、第1インク色および第2インク色の同時印刷による混色での印刷を実現する。また、カラー対応情報では、主色および副色に対応して、第1インク色および第2インク色に加えて、混色を指定できる。そして、POSアプリケーションプログラム24から出力された印刷データの印刷色をカラー対応情報に基づき、第1、第2、または第3の色に変換した印刷コマンドを作成する。
【0041】
図9は、本実施形態においてカラー対応情報を設定するための色設定画面300の例を示す。同図に示すように、色設定画面300では、上記図8の色設定画面200に更に混色指定欄302が付加されている。この混色指定欄302で混色の使用が指定されて「OK」ボタン110がクリックされると、カラー対応情報において、主色に混色が対応付けて記憶される。
【0042】
このように、本実施形態では、プリンタ12が混色での印刷が可能であり、ユーザは印刷色として混色を指定できる。このため、使用可能な色の選択肢が増えることとなり、レシート印刷色のバリエーションが広がることになる。
【0043】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態のシステムは、上記第2の実施形態において、POSアプリケーションプログラム24が単色の印刷データを出力するものとし、この単色印刷データに所定のカラー付加処理を行なうことにより、複数色での印刷を行なえるようにしたものである。
【0044】
なお、本実施形態では、テキスト印刷コマンドにおいて、文字色、文字の背景パターン・背景色を指定することができ、また、背景パターンとしては、例えば、「網掛け」、「斜線」(ハッチング)、「ベタ塗り」を指定でき、さらに、各背景パターンについてパターンの濃度を、例えば「濃」,「中」,「淡」と指定できる。また、POSアプリケーションプログラム24からプリンタ用のCO20に引き渡される印刷データは、そのデータフォーマットにより、テキスト(例えばレシートに印字すべき商品名や価格等の文字データ)用の印刷データとイメージ(例えば商店のロゴマーク等)の印刷データとに区別できるようになっている。
【0045】
本実施形態において、カラー情報記憶部34には、上記実施形態のカラー対応情報に加えて、カラー付加処理の内容を指定するためのカラー付加情報が記憶されている。図10は、カラー付加情報の内容の一例を示す。同図に示すように、カラー付加情報は、イメージ印刷色、テキスト印刷色、背景等の項目を含んでいる。
【0046】
▲1▼イメージ印刷色:レシートに印刷される商店のロゴマーク等のイメージデータの印刷色を、主色、副色、または混色に指定する。
▲2▼テキスト印刷色:
1)カラー設定方式:テキストを固定色で印刷するか、行単位で交互に変更するかを指定する。
2)固定色:固定色で印刷する際の印刷色を、主色、副色、または混色に指定する。
3)交互色:行単位で色を変更する場合の色の組み合わせを主色、副色、および混色のうちの2色で指定する。
4)行単位:行単位で色を変更する場合に、何行おきに色を変えるかの行数を指定する。例えば、行単位の値が「2」である場合、図11に示すように、カラー付加処理が行なわれる2行とカラー付加処理が行なわれない2行とが交互に繰り返される。
▲3▼背景
1)背景有無:背景印刷の有無を指定する。
2)背景色:背景の印刷色を主色、副色、または混色に指定する。
3)パターン:背景パターンを、例えば、網掛け、斜線、またはベタ塗りに指定する。
4)背景濃度:背景パターンの濃度を、濃、中、または淡の3段階で指定する。
【0047】
ただし、上記のカラー付加情報の構成は一例であり、カラーの印刷態様を指定することが可能な任意の構成を用いることができる。例えば、上記例のようにテキストについて詳細なカラー指定をするのではなく、イメージとテキストの各印刷色を指定するだけでもよい。
【0048】
図12は、本実施形態においてデータ加工部30およびコマンド出力部32による処理の内容を表すフローチャートである。同図に示すように、POSアプリケーションプログラム24から印刷データが出力されると(S150)、印刷データがテキストまたはイメージの何れの印刷データであるかが判別され(S152)、テキストの印刷データである場合は、カラー付加情報に基づいて、カラー付加処理が行なわれる(S154)。
【0049】
図13は、上記S154で行なわれるカラー付加処理の詳細を示すフローチャートである。同図に示すように、先ず処理対象行を示すインデックスiが「1」に初期化される(S200)。そして、カラー付加情報のテキスト印刷色の内容に基づいて、i行目のテキストの印刷色が主色、副色、または混色の何れであるかが判別される(S202)。その結果、主色または副色であれば、カラー付加情報を参照して主色または副色に対応するインク色(第1インク色または第2インク色)が取得され(S204,S206)、それに応じて第1の色または第2の色を印刷色としたテキスト印刷コマンドが作成される(S208)。一方、カラー付加情報のテキスト印刷色が混色であれば、第3の色を印刷色としたテキスト印刷コマンドが作成される(S210)。
【0050】
次に、カラー付加情報に基づいて、背景印刷が指定されているか否かが判別され(S212)、指定されていれば、背景色が主色、副色、または混色の何れであるかが判別される(S214)。その結果、主色または副色であれば、カラー付加情報を参照して主色または副色に対応するインク色が取得され、それに応じて第1の色または第2の色が背景色とされる(S216,S218)。一方、背景色が混色であれば、第3の色が背景色とされる(S220)。そして、この背景色と、カラー付加情報の背景パターン・濃度とで表される背景を印刷するための指定が上記作成した印刷コマンドに付加される(S222)。
【0051】
次に、i行目が最終行であるかどうかが判別され(S224)、最終行でなければ、iに「1」が加算(S226)された後、S202へ戻る。一方、i行目が最終行であれば、図12のフローチャートに戻る。
【0052】
一方、図12のS152において、印刷データがイメージ印刷データである場合は、カラー付加情報に基づいてイメージデータの印刷色が主色、副色、または混色の何れであるかが判別される(S156)。その結果、主色または副色であれば、カラー付加情報を参照して主色または副色に対応するインク色が取得され(S158、S160)、それに応じて第1の色または第2の色を印刷色としたイメージ印刷コマンドが作成される(S162)。一方、イメージデータの印刷色が混色であれば、第3の色を印刷色としたイメージ印刷コマンドが作成される(S164)
そして、上記S154、S162,またはS164で作成された印刷コマンドが、プリンタ12へ送信される(S166)。プリンタ12では、上記図2を参照して述べたように、ホスト装置10から送信されてきた印刷コマンドに従って印刷処理が行なわれることで、上記図11に例示するような、行単位でカラー付加された見易いレシートが発行される。
【0053】
次に、カラー付加情報の設定について説明する。本実施形態では、カラー情報設定部36を構成する設定プログラムは、上記した色設定画面200と、図14に示す色付加設定画面300とをディスプレイ装置16に表示させる。設定プログラムの起動初期時には色設定画面200が表示され、各設定画面の上部のタブを選択することで、図14に示す色付加設定画面300との間で表示画面が切り替わるようになっている。
【0054】
図14に示すように、カラー付加設定画面300には、カラー付加情報の各項目に対応した設定欄が設けられており、カラー付加情報の内容を項目毎に指定できるようになっている。そして、「OK」ボタン210がクリックされると、色設定画面200および色付加設定画面300で設定された内容が、夫々、カラー対応情報およびカラー付加情報として、カラー情報記憶部34に格納される。
【0055】
こうしてカラー対応情報およびカラー付加情報が設定されると、以後、POSアプリケーションプログラム24から印刷データが出力された場合に、設定されたカラー付加情報の内容に従って、上述したようにカラー付加処理が実行され、さらに、カラー対応情報の内容に従って、主色および副色に対応する印刷色が指定されたうえで、プリンタ12により印刷が行なわれることになる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態では、POSアプリケーションプログラム24から出力された単色の印刷データに、カラー付加情報に応じて主色、副色、および混色の色指定を付加し、さらに、カラー対応情報に応じて主色および副色に印刷色を対応付けることにより作成した印刷コマンドをプリンタ12へ送信する。このため、POSアプリケーションプログラム24が単色プリンタにしか対応していない場合にも、プログラムを変更することなく、ユーザが設定した所望の態様でのカラー印刷を行なうことができる。
【0057】
また、テキストへのカラー付加処理を印刷行の行単位で行なうので、印刷内容を行単位で明瞭に区別することができ、この点でもレシートが見易くなる。すなわち、レシートの同じ行に印刷された商品名と金額の対応関係が明瞭となり、商品名と金額とを1行ずらして読んでしまうといった見間違いを防止できる等の効果が得られるのである。
【0058】
また、イメージとテキストとを区別して別個にカラー付加の態様を指定することができる。このため、店舗のロゴマーク等については店舗側の希望に合わせた色で印刷しつつ、テキスト部分について複数の色で印刷された見易いレシートを発行することができる。
【0059】
なお、上記各実施形態では、プリンタ12が2色または混色を含めた3色の印刷を行なえるものとしたが、本発明はこれに限らず、プリンタ12が4色以上で印刷可能な場合にも適用が可能である。すなわち、プリンタ12が印刷可能な色数にかかわらず、印刷データで指定される印刷色に対して、プリンタ12が印刷可能な色を対応付け、その対応付けた色で印刷するための印刷コマンドを作成すればよいのである。
【0060】
また、上記各実施形態では、本発明がPOSシステムにおけるレシート印刷に適用された場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数色の印刷が可能なプリンタにより、単色の印刷コマンドに基づいて複数色の印刷を行なう場合に広く適用が可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、印刷データで指定された印刷色に対する実際の印刷色をユーザが設定することができる。このため、例えば、アプリケーションプログラムが出力する印刷データの印刷色が主色および副色で指定される場合に、主色および副色の各印刷色をプリンタが印刷可能な任意の色に設定することが可能となり、アプリケーションプログラムに変更を加えることなく、ユーザが自由な色設定を行なえるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるPOSシステムの全体構成図である。
【図2】プリンタの機能ブロック図である。
【図3】第1および第2印刷ヘッドを含む印刷ヘッド部を拡大して示す斜視図である。
【図4】図3の印刷ヘッド部の断面図である。
【図5】本実施形態におけるカラー設定機能を実現するためのホスト装置の機能ブロック図である。
【図6】カラー対応情報の内容の一例を示す図である。
【図7】カラー対応情報を参照してデータ加工部およびコマンド送信部が実行する処理を表すフローチャートである。
【図8】カラー対応情報を設定するための色設定画面の一例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態においてカラー対応情報を設定するための色設定画面の例を示す。
【図10】本発明の第3の実施形態におけるカラー付加情報の内容の一例を示す図である。
【図11】本実施形態におけるレシートの印刷例を示す図である。
【図12】本実施形態においてデータ加工部およびコマンド出力部による処理の内容を表すフローチャートである。
【図13】図12のフローチャートにおけるカラー付加処理の詳細を示すフローチャートである。
【図14】本実施形態においてカラー付加情報を設定するためのカラー付加設定画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
10 ホスト装置
12 プリンタ
14 入力装置
78 第1印刷ヘッド
80 第2印刷ヘッド
82 インク色検出部
Claims (12)
- 複数の色で印刷可能なプリンタを制御するプリンタ制御装置であって、
前記プリンタに印刷させるべき印刷データを取得するデータ取得手段と、
前記印刷データの印刷色として指定され得る一又は複数の印刷指定色と、前記プリンタが印刷可能な複数の色との対応関係を表すカラー対応情報を記憶する対応情報記憶手段と、
前記カラー対応情報に従って、前記取得した印刷データの印刷指定色に前記プリンタが印刷可能な何れかの色を対応付け、前記印刷データを当該対応付けた色で前記プリンタにより印刷するための印刷コマンドを作成するコマンド作成手段と、
該作成した印刷コマンドを前記プリンタへ送信する送信手段とを備えることを特徴とするプリンタ制御装置。 - 請求項1記載のプリンタ制御装置において、
前記カラー対応情報をユーザが設定するための設定手段を備えることを特徴とするプリンタ制御装置。 - 請求項1または2記載のプリンタ制御装置において、
前記プリンタは、互いに異なる色で印刷可能な複数の印刷ヘッドを備えており、
前記カラー対応情報は、前記印刷指定色と前記印刷ヘッドとの対応関係を表し、
前記コマンド作成手段が作成する印刷コマンドは、当該印刷コマンドに応じて印刷を行なうべき印刷ヘッドを特定する情報に基づいて印刷色を指定することを特徴とするプリンタ制御装置。 - 請求項3記載のプリンタ制御装置において、
前記印刷ヘッドの夫々の印刷色を表すヘッド色情報を取得するヘッド色情報取得手段と、
前記取得したヘッド色情報と前記カラー対応情報とに基づいて、前記印刷指定色と前記印刷ヘッドの印刷色との対応関係を表示する表示手段とを備えることを特徴とするプリンタ制御装置。 - 請求項3または4記載のプリンタ制御装置において、
前記プリンタは2つの前記印刷ヘッドを備えており、
前記印刷指定色は主色および副色を含み、
前記カラー対応情報は、前記主色および副色と、前記2つの印刷ヘッドとの対応関係を表すことを特徴とするプリンタ制御装置。 - 請求項5記載のプリンタ制御装置において、
前記プリンタは、前記2つの印刷ヘッドの印刷色を混ぜた混色での印刷を行なう機能を有しており、
前記印刷指定色は、前記主色、前記副色、および前記混色を含み、
前記コマンド作成手段が作成する印刷コマンドは、印刷色として混色を指定可能であることを特徴とするプリンタ制御装置。 - 請求項1乃至6のうち何れか1項記載のプリンタ制御装置であって、
前記データ取得手段が取得する印刷データは単色の印刷データであり、
前記取得した単色の印刷データに前記印刷指定色を付加するカラー付加手段を備え、
前記コマンド作成手段は、当該印刷指定色が付加された印刷データに基づいて前記印刷コマンドを作成することを特徴とするプリンタ制御装置。 - 請求項1乃至7のうち何れか1項記載のプリンタ制御装置と、このプリンタ制御装置により制御される前記プリンタとにより構成されたプリンタシステム。
- 請求項1乃至7のうち何れか1項記載のプリンタ制御装置と、このプリンタ制御装置により制御される複数色での印刷が可能な前記プリンタとを含み、前記プリンタ制御装置は、所定の入力装置から入力された商品情報に基づいて販売情報を集計してレシート印刷用の印刷データを出力するPOSアプリケーション実行部を備え、前記データ取得手段は、前記POSアプリケーション実行部から出力されるレシート印刷用の印刷データを取得することを特徴とするPOSシステム。
- 複数の色で印刷可能なプリンタを制御するプリンタ制御方法であって、
前記プリンタに印刷させるべき印刷データを取得するステップと、
前記印刷データの印刷色として指定され得る一又は複数の印刷指定色の夫々と、前記プリンタが印刷可能な複数の色のうち何れかの色との対応関係を表すカラー対応情報に従って、前記取得した印刷データの印刷指定色に前記プリンタが印刷可能な何れかの色を対応付け、前記印刷データを前記対応付けた色で前記プリンタにより印刷するための印刷コマンドを作成するステップと、
該作成した印刷コマンドを前記プリンタへ送信するステップとを備えることを特徴とするプリンタ制御方法。 - 請求項10記載のプリンタ制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのものであることを特徴とするプログラム。
- 請求項11記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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