JP4056024B2 - 変色体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は変色体に関する。更に詳細には、熱及び/又は水により常態と異なる様相に変化する変色体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、可逆熱変色性材料を適用した熱変色性加工体は、玩具、装飾分野等に広く適用されている。又、低屈折率顔料を含む多孔質層を設け、吸液状態で透明化して常態と異なる着色像を現出させる加工紙(例えば、特公昭50−5097号公報)等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、前記した可逆熱変色性材料と、吸液透明化材料との併用により、前記単一材料では奏することのできない、複合効果を発現させる変色体を提供し、玩具や装飾分野への応用展開を図ろうとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、可逆熱変色層と、低屈折率顔料を含む吸液により透明又は半透明化する多孔質層とが積層されてなり、熱又は水により変色する変色体を要件とする。更には、支持体上に前記可逆熱変色層を設け、可逆熱変色層上に記多孔質層けてなること、前記多孔質層上に可逆熱変色図柄層を配設してなること、支持体上に前記多孔質層を設け、多孔質層上に前記可逆熱変色層けてなること、前記可逆熱変色層上に多孔質図柄層を配設してなること、前記可逆熱変色層は図柄層であること、前記多孔質層は図柄層であること、前記支持体が布帛であること等を要件とする。
【0005】
前記可逆熱変色層の形成に用いられる可逆熱変色性材料には、例えば、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び前記両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体の三成分を含む可逆熱変色性組成物、液晶、AgHgI、CuHgI等が用いられる。
前記電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物と呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体の三成分を含む可逆熱変色性材料として、具体的には、特公昭51−35414号公報、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44708号公報、特公昭52−7764号公報、特公平1−29398号公報、特開平7−186540号公報等に記載のものが挙げられる。前記は所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、変化前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。即ち、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要する熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、所謂、温度変化による温度−色濃度について小さいヒステリシス幅(ΔH)を示して変色するタイプである。
【0006】
又、本出願人が提案した特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示して変色する感温変色性色彩記憶性材料、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から温度を上昇させていく場合と逆に変色温度より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色するタイプの変色材であり、低温側変色点と高温側変色点の間の常温域において、前記低温側変色点以下又は高温側変色点以上の温度で変化させた状態を記憶保持できる特徴を有する可逆熱変色性材料も有効である。
【0007】
前記した電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物と呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体の三成分を含む可逆熱変色性材料は、そのままの適用でも有効であるが、マイクロカプセルに内包して使用するのが好ましい。即ち、種々の使用条件において可逆熱変色性材料は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。
前記マイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成でき、粒子径0.1〜100μm、好ましくは1〜50μm、より好ましくは2〜30μmの範囲が実用性を満たす。
尚、マイクロカプセル化は、従来より公知の界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
【0008】
前記可逆熱変色性材料(好適には、前記マイクロカプセル化顔料)は、膜形成材料であるバインダー中に分散されて、インキ、塗料等の色材として、各種の支持体上に可逆熱変色層を形成させることができる。又、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂中に分散し、シート状或いは各種形態に成形された、それ自体が可逆熱変色性を備えた支持体として適用することもできる。
尚、非熱変色性の一般の染料や顔料等を前記熱変色層中に混在させて多彩に変色させることができる。
【0009】
前記支持体としては、紙、合成紙、布帛、植毛或いは起毛布、不織布、合成皮革、レザー、プラスチック、ガラス、陶磁器、木材、石材等、すべて有効である。
【0010】
前記バインダー中に含まれる樹脂は透明状の膜形成樹脂が好適であり、以下に例示する。
アイオノマー樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸共重合樹脂、アクリロニトリル−アクリリックスチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル塩素化ポリエチレン−スチレン共重合樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルグラフト共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、リニヤ低密度ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、フェノール変性アルキド樹脂、エポキシ変性アルキド樹脂、スチレン変性アルキド樹脂、アクリル変性アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル系エマルジョン樹脂、スチレン−ブタジエン系エマルジョン樹脂、アクリル酸エステル系エマルジョン樹脂、水溶性アルキド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリブタジエン樹脂、酢酸セルローズ、硝酸セルローズ、エチルセルローズ等を挙げることができる。
【0011】
前記多孔質層は、低屈折率顔料をバインダー樹脂と共に分散状態に固着させた層であって、乾燥状態では下層を隠蔽し、水等の媒体を吸液すると透明又は半透明化して下層を視認でき、前記吸液した部分が乾燥すると再び元の状態に戻る層である。
又、多孔質層中に着色剤を含む場合、乾燥状態では有色透明化して下層を隠蔽し、水等の媒体を吸液すると有色透明又は有色半透明化して下層を視認でき、前記吸液した部分が乾燥すると再び元の状態に戻る層である。
前記着色剤としては一般有色染料や顔料、又は、蛍光染料や顔料が挙げられ、所望により二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄−二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、グアニン、絹雲母、塩基性炭酸鉛、酸性砒酸鉛、オキシ塩化ビスマス等の金属光沢顔料等を用いることもできる。
前記低屈折率顔料としては、微粒子状珪酸、バライト粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、沈降性炭酸カルシウム、石膏、クレー、タルク、アルミナホワイト、塩基性炭酸マグネシウム等が挙げられ、これらは屈折率が1.4〜1.7の範囲にあり、水を吸液すると良好な透明性を示すものである。
前記低屈折率顔料の粒径は特に限定されるものではないが、0.03〜10.0μmのものが好適に用いられる。
又、前記低屈折率顔料は2種以上を併用することもできる。
尚、好適に用いられる低屈折率顔料としては微粒子状珪酸が挙げられる。微粒子状珪酸は非晶質の無定形珪酸として製造され、その製造方法により、四塩化ケイ素等のハロゲン化ケイ素の熱分解等の気相反応を用いる乾式法によるもの(以下、乾式法微粒子状珪酸と称する)と、ケイ酸ナトリウム等の酸による分解等の液相反応を用いる湿式法によるもの(以下、湿式法微粒子状珪酸と称する)とに大別され、いずれを用いることも可能であるが、湿式法微粒子状珪酸を用いた場合、乾式法微粒子状珪酸の系に較べて常態での隠蔽性が大きいため、微粒子状珪酸に対するバインダー樹脂の混合比率を大きくすることが可能となり、多孔質層の皮膜強度を向上させることができるので、より好適に用いられる。
前記した如く多孔質層の常態での隠蔽性を満足させるために用いられる微粒子状珪酸としては、湿式法微粒子状珪酸が好ましい。これは、乾式法微粒子状珪酸と、湿式法微粒子状珪酸とでは構造が異なり、前記乾式法微粒子状珪酸は以下に示されるような珪酸が密に結合した三次元構造を形成するのに対して、
【化1】
Figure 0004056024
湿式法微粒子状珪酸は、以下に示されるように、珪酸が縮合して長い分子配列を形成した、所謂、二次元構造部分を有している。従って、前記乾式法微粒子状珪酸と比較して分子構造が粗になるため、湿式法微粒子状珪酸を多孔質層に適用した場合、乾式法微粒子状珪酸を用いる系と比較して乾燥状態における光の乱反射性に優れ、よって、常態での隠蔽性が大きくなるものと推察される。
【化2】
Figure 0004056024
又、前記多孔質層に含まれる低屈折率顔料は、浸透する媒体が主に水であることから、適度の親水性を有することが望ましい。従って、湿式法微粒子状珪酸は乾式法微粒子状珪酸に比べて粒子表面にシラノール基として存在する水酸基が多く存在するため親水性が高く、好適に用いられる。
【0012】
前記湿式法微粒子状珪酸を低屈折率顔料として用いる場合、湿式法微粒子状珪酸の種類、粒子径、比表面積、吸油量等の性状に左右されるが、常態での隠蔽性と吸水状態での透明性を共に満足するためには、塗布量が1g/m〜30g/mであることが好ましく、より好ましくは、5g/m〜20g/mである。1g/m未満では、常態で十分な隠蔽性を得ることが困難であり、又、30g/mを越えると吸水時に十分な透明性を得ることが困難である。
【0013】
前記低屈折率顔料はバインダー樹脂を結合剤として含むビヒクル中に分散して塗布した後、揮発分を乾燥させて多孔質層を形成する。
前記バインダー樹脂としては、ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、カルボシキル化SBR樹脂、カルボキシル化NBR樹脂、及び前記各樹脂エマルジョン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0014】
前記多孔質層は、従来より公知の一般的な塗膜と比較して顔料に対するバインダー樹脂の混合比率が小さいため、十分な皮膜強度が得られ難い。よって、耐洗濯性、耐擦過性が必要となる用途においては、上述のバインダー樹脂としてウレタン系樹脂又はナイロン樹脂を用いるか、或いは前記樹脂を少なくとも含有することが好ましい。
前記ウレタン系樹脂としては、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂等があり、2種以上を併用することもできる。又、前記樹脂が水に乳化分散したウレタン系エマルジョン樹脂や、イオン性を有するウレタン樹脂(ウレタンアイオノマー)自体のイオン基により乳化剤を必要とすることなく自己乳化して、水中に溶解至分散したコロイド分散型(アイオノマー型)ウレタン樹脂を用いることもできる。
尚、前記ウレタン系樹脂は水性ウレタン系樹脂又は油性ウレタン系樹脂のいずれを用いることもできるが、水性ウレタン系樹脂、殊に、ウレタン系エマルジョン樹脂やコロイド分散型ウレタン系樹脂が好適に用いられる。
前記ウレタン系樹脂は単独で用いることもできるが、支持体の種類や皮膜に必要とされる性能に応じて、他のバインダー樹脂を併用することもできる。ウレタン系樹脂以外のバインダー樹脂を併用する場合、実用的な皮膜強度を得るためには、前記多孔質層のバインダー樹脂中にウレタン系樹脂を固形分重量比率で30%以上含有させることが好ましい。
前記バインダー樹脂において、架橋性のものは任意の架橋剤を添加して架橋させることにより、さらに皮膜強度を向上させることができる。
前記バインダー樹脂には、媒体との親和性に大小が存在するが、これらを組み合わせることにより、多孔質層中への浸透時間、浸透度合い、浸透後の乾燥の遅速を調整することができる。更には、適宜分散剤を添加して前記浸透時間、浸透度合い、浸透後の乾燥の遅速性をコントロールすることもできる。
【0015】
本発明の変色体には、必要によって、一般染料、顔料を含む非変色性インキにより非変色層を設けたり、二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄−二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、グアニン、絹雲母、塩基性炭酸鉛、酸性砒酸鉛、オキシ塩化ビスマス等の金属光沢顔料を含むインキにより金属光沢層を設けることもできる。
又、保護層や光安定剤層を適宜設けることもできる。具体的には、前記光安定剤層は紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消色剤、可視光線吸収剤、赤外線吸収剤から選ばれる光安定剤を分散状態に固着した層である。
尚、帯電防止剤、極性付与剤、揺変性付与剤、消泡剤等を必要に応じ、可逆熱変色層や多孔質層に添加して機能を向上させることもできる。
【0016】
本発明の構成において、可逆熱変色層自体が支持体であり、前記可逆熱変色層上に多孔質層を設ける系にあっては、可逆熱変色層が変色しない温度域の水等の媒体を付着させると、多孔質層に媒体が浸透して透明化し、下層の可逆熱変色層による色調が視認される。
一方、可逆熱変色層を変色させる温度域の水等の媒体を付着させると、多孔質層に媒体が浸透して透明化すると共に、下層の可逆熱変色層を変色させる。
又、具体例として、体温により変色する可逆熱変色層を設け、前記可逆熱変色層が変色しない温度域の水等の媒体を付着させて多孔質層を透明化状態となした後、手触により可逆熱変色層を変色させることができ、非変色層との併用等により更に多彩な変色を示す。
ここで、前記した構成における可逆熱変色層は、有色←→無色の可逆的変色、有色(1)←→有色(2)の可逆的変色のいずれであってもよい。
本発明変色体の構成において、3以上の色調の異なる様相を視覚させるためには、多孔質層の下層の色調が、乾燥状態における多孔質層の色調とは異なる2以上の色調を呈さなければならない。又、前記2以上の色調の異なる様相を視覚させるためには、可逆熱変色層自体がそれぞれ異なる色調を呈すること、可逆熱変色層が有色から無色に可逆的に変色する層の場合は、前記色調と異なる支持体を設けるか、或いは、着色層を設ける必要がある。
前記多孔質層はシリカ等の低屈折率顔料を含む層であるため、乾燥時には高い隠蔽性を示して下層の色調を完全に隠蔽することができるため、下層が濃色であったとしても、比較的明るい色調を視覚させる構成となすことができる。
更に、前記多孔質層上に可逆熱変色図柄層を設けてデザイン変化を多様にすることもできる。
【0017】
次に、支持体上に多孔質層を設け、前記多孔質層上に可逆熱変色層を設ける系について説明すると、多孔質層に水等の媒体が浸透するためには、上層に設けた可逆熱変色層も水媒体が浸透する性質を有する層であることが好ましい。
可逆熱変色層が有色から無色に可逆的に変色すると共に環境温度において発色状態の場合は、前記組成物が変色する温度域の水等の媒体を変色体に付着させると、可逆熱変色層が消色すると共に多孔質層も透明化して支持体の色調が視認される。
又、手触したり、温風、冷風等を吹きつける等、水等の媒体を付着させずに加温、又は冷却すると、可逆熱変色層が消色して多孔質層の色調が視認される。
更に、可逆熱変色層が有色から無色に可逆的に変色し、環境温度において消色状態の場合は、可逆熱変色層が変色しない温度域の水等の媒体を付着させると多孔質層が透明化して支持体の色調が視認され、前記可逆熱変色層が変色する温度域の媒体を変色体に付着させると、熱変色層が発色状態で視認される。
尚、前記した構成における可逆熱変色層は、有色から無色に可逆的に変色するものが好適であり、3以上の色調の異なる様相を視覚させるためには、前記可逆熱変色層の下層が可逆熱変色層の色調とは異なる2以上の色調を呈さなければならない。前記2以上の異なる色調を呈する構成としては、支持体と乾燥状態の多孔質層がそれぞれ異なる色調を呈すること、或いは、乾燥状態の多孔質層とは色調の異なる着色層を前記多孔質層と支持体の間に介在させる必要がある。
更に、前記多孔質層はシリカ等の低屈折率顔料を含む層であるため、乾燥時には高い隠蔽性を示して下層の色調を完全に隠蔽することができ、上層に設けた可逆熱変色層は明るい色調を呈することができる。
更に、前記可逆熱変色層上に多孔質図柄層を設けてデザイン変化を多様にすることもできる。
【0018】
前記した積層構造において、可逆熱変色層と多孔質層は必要により文字、記号、図形等の図柄層であってもよい。
又、非変色層を各層の間に介在させたり、上層に設けてもよく、同様に文字、記号、図形等の図柄層であってもよい。
前記可逆熱変色層、多孔質層、非変色層は、従来より公知の方法、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装、等の手段により形成することができる。
【0019】
本発明は前記した如く、可逆熱変色層と低屈折率顔料を含む多孔質層との積層構造において、変色の多様性を最も効果的に発現させる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明変色体は、平面状に限らず、線状、凹凸状、立体状等多様な形態が有効である。
【0021】
【実施例】
以下に実施例を示す。尚、実施例中の部は重量部を示す。
実施例1(図1参照)
感温変色性色彩記憶性材料を内包したマイクロカプセル顔料(青色←→無色、15℃以下で青色、30℃以上で無色)20部、ピンク色蛍光顔料〔商品名:エポカラーFP−10、(株)日本触媒製〕1部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2部、ビカット軟化点100℃のポリプロピレン1000部を均一に混合した後、押出成形機を用いて可逆熱変色性ペレットを得た。前記ペレットを射出成形にてシート状物を形成して可逆熱変色層2とした。
尚、前記可逆熱変色層2は、15℃以下に冷却すると青紫色が視覚され、この色調は30℃未満の温度域で保持され、又、30℃以上に加温するとピンク色になり、この色調は15℃を越える温度域で保持される層である。
次いで、微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、アクリル酸エステルエマルジョン(固形分50%)30部、水50部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを180メッシュのスクリーン版を用いて、前記可逆熱変色層2上に全面にベタ印刷し、130℃にて5分間乾燥硬化させて、乾燥状態で白色の多孔質層3を形成し、積層構造の変色体1を得た。
前記多孔質層3は、水もしくは水性媒体の付着により、白色状態から無色透明状態に変化する。
【0022】
前記変色体1は、乾燥状態且つ24℃の室温下では白色を呈し、冷却或いは加温しても同様に白色のままであるが、15℃以下の冷水を付着させると多孔質層3が透明化して、下層の可逆熱変色層2による青紫色に瞬時に変化した。前記青紫色の変色体1を24℃の室温下で放置したところ、水が付着した状態では青紫色を呈していたが、水が蒸発するに従い、徐々に青紫色から白色に戻り、乾燥状態に戻ると元の白色となった。
次に、前記変色体1に30℃以上の温水を付着させると、多孔質層3が水の付着により透明化すると共に、可逆熱変色層2が紫色から蛍光ピンク色に変色して蛍光ピンク色の変色体が視覚できる。
前記青紫色の変色体1を24℃の室温下で放置したところ、水が付着した状態では蛍光ピンク色を呈していたが、水が蒸発するに従い、徐々に蛍光ピンク色から白色に戻り、乾燥状態に戻ると元の白色となった。
次に、乾燥状態の変色体1に15℃以下の冷水を付着させて青紫色に変色させた状態で、該変色体1の一部に30℃以上の温水を付着させると青紫色からピンク色に変化し、この状態は水が蒸発して乾燥状態になるまでの間、青紫色とピンク色の両状態を保持していた。
この様に、前記変色体1は、全面が白色の状態から冷水又は温水の適用により、青紫色、或いは蛍光ピンク色に変化させることができ、乾燥させることにより、再び元の白色状態に戻すことができる多彩な色変化を示し、しかも前記様相変化は可逆的に再現される。
【0023】
実施例2(図2参照)
支持体4としてピンク色のナイロンタフタ生地上に、感温変色性色彩記憶性材料を内包したマイクロカプセル顔料(青色←→無色、15℃以下で青色、30℃以上で無色)10部、アクリル酸エステルエマルジョン(固形分50%)10部、シリコーン系消泡剤0.2部、水1部、エチレングリコール0.5部、増粘剤0.5部、イソシアネート系架橋剤0.5部を均一に混合攪拌してなる可逆熱変色性スクリーンインキを109メッシュのスクリーン版を用いて全面にベタ印刷を行ない、130℃にて5分間乾燥硬化させて可逆熱変色層2を形成した。
前記、支持体と可逆熱変色層を積層した状態では、15℃以下に冷却すると支持体のピンク色と可逆熱変色層の青色が混色となった紫色が視覚され、この色調は30℃未満の温度域で保持され、又、30℃以上に加温すると、可逆熱変色層が無色となり、支持体のピンク色が視覚され、この色調は15℃を越える温度域で保持されるものであった。
次いで、微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、アクリル酸エステルエマルジョン(固形分50%)30部、水50部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを180メッシュのスクリーン版を用いて、前記可逆熱変色層2上に全面にベタ印刷し、130℃にて5分間乾燥硬化させて、乾燥状態で白色の多孔質層3を形成し変色体1を得た。
前記多孔質層3は、水もしくは水溶性液体の付着により、白色状態から無色透明状態に変化する。
【0024】
前記変色体1は、乾燥状態且つ24℃の室温下では白色を呈し、冷却或いは加温しても同様に白色のままであるが、15℃以下の冷水を付着させると多孔質層3が水の付着により透明化して、下層の可逆熱変色層2と支持体4の色調が混色となった紫色に瞬時に変化した。前記紫色の変色体1を24℃の室温下で放置したところ、水が付着した状態では、紫色を呈していたが、水が蒸発するに従い、徐々に紫色から白色に戻り、乾燥状態に戻ると元の白色となった。
次に、前記変色体1に30℃以上の温水を付着させると、多孔質層3が水の付着により透明化すると共に、可逆熱変色層2が青色から無色に変色して支持体4によるピンク色の変色体1として視覚された。
前記ピンク色の変色体1を24℃の室温下で放置したところ、水が付着した状態では、ピンク色を呈していたが、水が蒸発するに従い、徐々にピンク色から白色に戻り、乾燥状態に戻ると元の白色となった。
次に、乾燥状態の変色体に15℃以下の冷水を付着させて紫色に変色させた状態で、前記変色体の一部に30℃以上の温水を付着させると紫色からピンク色に変化し、この状態は水が蒸発して乾燥状態になるまでの間、紫色とピンク色の両状態を保持していた。
この様に、前記変色体1は、全面が白色の状態から冷水又は温水の適用により、紫色、或いはピンク色に変化させることができ、乾燥させることにより、再び元の白色状態に戻すことができる多彩な色変化を示すことができ、前記様相変化を可逆的に再現させることができる。
【0025】
実施例3
支持体4として白色のナイロンタフタ生地上に、感温変色性色彩記憶性材料を内包したマイクロカプセル顔料(青色←→無色、15℃以下で青色、30℃以上で無色)10部、ピンク色蛍光顔料〔商品名:エポカラーFP−10、(株)日本触媒製〕1部、アクリル酸エステルエマルジョン(固形分50%)10部、シリコーン系消泡剤0.2部、水1部、エチレングリコール0.5部、増粘剤0.5部、イソシアネート系架橋剤0.5部を均一に混合攪拌してなる可逆熱変色性スクリーンインキ(青紫色←→ピンク色、15℃以下で青紫色、30℃以上でピンク色)を109メッシュのスクリーン版を用いて全面にベタ印刷を行ない、130℃にて5分間乾燥硬化させて可逆熱変色層2を形成した。
尚、前記可逆熱変色層2は、15℃以下に冷却すると青紫色が視覚され、この色調は30℃未満の温度域で保持され、又、30℃以上に加温するとピンク色になり、この色調は15℃を越える温度域で保持される層である。
次いで、微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、アクリル酸エステルエマルジョン(固形分50%)30部、水50部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを180メッシュのスクリーン版を用いて、前記可逆熱変色層2上に全面にベタ印刷し、130℃にて5分間乾燥硬化させて、乾燥状態で白色の多孔質層3を形成し変色体1を得た。
前記多孔質層3は、水もしくは水溶性液体の付着により、白色状態から無色透明状態に変化する。
【0026】
前記変色体1は、乾燥状態且つ24℃の室温下では白色を呈し、冷却或いは加温しても同様に白色のままであるが、15℃以下の冷水を付着させると多孔質層3が水の付着により透明化して、下層の可逆熱変色層2による青紫色に瞬時に変化した。前記青紫色の変色体1を24℃の室温下で放置したところ、水が付着した状態では、青紫色を呈していたが、水が蒸発するに従い、徐々に青紫色から白色に戻り、乾燥状態に戻ると元の白色となった。
次に、前記変色体1に30℃以上の温水を付着させると、多孔質層3が水の付着により透明化すると共に、可逆熱変色層2が紫色から蛍光ピンク色に変色して蛍光ピンク色の変色体が視覚できる。
前記青紫色の変色体1を24℃の室温下で放置したところ、水が付着した状態では、蛍光ピンク色を呈していたが、水が蒸発するに従い、徐々に蛍光ピンク色から白色に戻り、乾燥状態に戻ると元の白色となった。
次に、乾燥状態の変色体に15℃以下の冷水を付着させて青紫色に変色させた状態で、前記変色体の一部分に30℃以上の温水を付着させると青紫色からピンク色に変化し、この状態は水が蒸発して乾燥状態になるまでの間、青紫色とピンク色の両状態を保持していた。
この様に、前記変色体1は、全面が白色の状態から冷水又は温水の適用により、青紫色、或いは蛍光ピンク色に変化させることができ、乾燥させることにより、再び元の白色状態に戻すことができる多彩な色変化を示す変色体1を得ることができ、前記様相変化を繰り返し、再現させることができる。
【0027】
実施例4(図3参照)
支持体4として白色のナイロンタフタ布上に、黄色蛍光顔料〔商品名:エポカラーFP−117、(株)日本触媒製〕10部、アクリル酸エステルエマルジョン(固形分50%)50部、シリコーン系消泡剤0.2部、増粘剤5部、レベリング剤1部、水10部、エポキシ系架橋剤2.5部を均一に混合攪拌してなる蛍光黄色のスクリーン印刷用インキで、150メッシュのスクリーン版を用いて全面にベタ印刷を行い、130℃にて5分間乾燥硬化させて非変色層5を形成し、更にその上面に、感温変色性色彩記憶性材料を内包したマイクロカプセル顔料(青色←→無色、15℃以下で青色、30℃以上で無色)10部、アクリル酸エステルエマルジョン(固形分50%)10部、シリコーン系消泡剤0.2部、水1部、エチレングリコール0.5部、増粘剤0.5部、イソシアネート系架橋剤0.5部を均一に混合攪拌してなる可逆熱変色性スクリーンインキを109メッシュのスクリーン版を用いて、全面にベタ印刷行ない、130℃にて5分間乾燥硬化させて可逆熱変色層2を形成した。
前記、非変色層5と可逆熱変色層2を積層した状態では、15℃以下に冷却すると非変色層5の蛍光黄色と可逆熱変色層2の青色が混色となった緑色が視覚され、この色調は30℃未満の温度域で保持される。又、30℃以上に加温すると、可逆熱変色層2が無色となり、非変色層5の蛍光黄色が視覚され、この色調は15℃を越える温度域で保持されるものであった。
前記可逆熱変色層2の上面に、実施例1で作製した白色スクリーン印刷用インキを用いて全面にベタ印刷し、乾燥硬化させて多孔質層3を形成して変色体1を得た。
前記多孔質層3は、水もしくは水溶性液体の付着により、白色状態から無色透明状態に変化する。
【0028】
前記変色体1は、乾燥状態且つ24℃の室温下では白色を呈し、冷却或いは加温しても同様に白色のままであるが、15℃以下の冷水を付着させると多孔質層3が透明化して、下層の可逆熱変色層2と非変色層5の色調が混色となった緑色に瞬時に変化した。前記緑色の変色体1を24℃の室温下で放置したところ、水が付着した状態では、緑色を呈していたが、水が蒸発するに従い、徐々に緑色から白色に戻り、乾燥状態に戻ると元の白色となった。
次に、前記変色体1に30℃以上の温水を付着させると、多孔質層3が透明化すると共に、可逆熱変色層2が青色から無色に変色して非変色層5による蛍光黄色の変色体1が視覚できる。
前記蛍光黄色の変色体1を24℃の室温下で放置したところ、水に濡れた状態では、蛍光黄色を呈していたが、水が蒸発するに従い、徐々に蛍光黄色から白色に戻り、乾燥状態に戻ると元の白色となった。
次に、乾燥状態の変色体に15℃以下の冷水を付着させて緑色に変色させた状態で、前記変色体1の一部分に30℃以上の温水を付着させると緑色から黄色に変化し、この状態は水が蒸発して乾燥状態になるまでの間、緑色と黄色の両状態を保持していた。
この様に、前記変色体1は、全面が白色の状態から冷水又は温水の適用により、緑色、或いは蛍光黄色に変化させることができ、乾燥させることにより、再び元の白色状態に戻すことができる多彩な色変化を示す変色体を得ることができ、前記様相変化を繰り返し、再現させることができた。
【0029】
実施例5(図4参照)
支持体4として白色のポリエステルサテン生地上に、黄色蛍光顔料〔商品名:エポカラーFP−117、(株)日本触媒製〕10部、アクリル酸エステルエマルジョン(固形分50%)50部、シリコーン系消泡剤0.2部、増粘剤5部、レベリング剤1部、水10部、エポキシ系架橋剤2.5部を均一に混合攪拌してなる蛍光黄色のスクリーン印刷用インキで、150メッシュのスクリーン版を用いて全面にベタ印刷を行い、130℃にて5分間乾燥硬化させて非変色層5を形成し、更にその上面に、可逆熱変色性材料を内包したマイクロカプセル顔料(青色←→無色、15℃以未満青色、15℃以上で無色)10部、アクリル酸エステルエマルジョン(固形分50%)10部、シリコーン系消泡剤0.2部、水1部、エチレングリコール0.5部、増粘剤0.5部、イソシアネート系架橋剤0.5部を均一に混合攪拌してなる可逆熱変色性スクリーンインキを109メッシュのスクリーン版を用いて、花の図柄を印刷して130℃にて5分間乾燥硬化させて可逆熱変色図柄層21を形成した。
前記、非変色層5と可逆熱変色図柄層21を積層した状態では、24℃の室温下では非変色層5により全面が蛍光黄色であり、15℃以下に冷却すると、可逆熱変色図柄層21が青色に発色して、黄色地に緑色の花柄が視覚され、再び15℃を越える温度になると可逆熱変色図柄層21が消色して全面が蛍光黄色になる。
前記可逆熱変色図柄層21の上面に、実施例1で作製した白色スクリーン印刷用インキを用いて全面にベタ印刷し、乾燥硬化させて多孔質層3を形成して変色体1を得た。
前記多孔質層3は、水もしくは水溶性液体の付着により、白色状態から無色透明状態に変化する。
【0030】
前記変色体1は、乾燥状態且つ24℃の室温下では白色を呈し、冷却或いは加温しても同様に白色のままであるが、15℃以上の水を付着させると、多孔質層3が透明化するため全面が黄色となり、24℃の室温下で放置すると水が蒸発、乾燥して白色に戻った。
次いで、10℃の冷水を付着させると、多孔質層3が透明化すると共に、可逆熱変色図柄層21が無色から青色になるため、黄色地に緑色の花柄が描かれた様相に変化した。24℃の室温下で放置すると、15℃を越える温度になった時点で可逆熱変色図柄層21が消色して全面が黄色になり、暫くその状態を示していたが、乾燥すると白色に戻った。
この様に、前記変色体1は、全面が白色の状態から冷水又は温水の適用により、全面が黄色、或いは黄色地に緑色の花柄に変化させることができ、乾燥させることにより、再び元の白色状態に戻すことができる多彩な色変化を示す変色体を得ることができ、前記様相変化を繰り返し、再現させることができた。
【0031】
実施例6(図5参照)
支持体4として白色のポリエステルサテン生地上に、黄色、ピンク色、紫色、緑色、赤色の蛍光一般色インキにて、花柄を印刷して非変色図柄層51を設けた。
前記非変色図柄層51上に、可逆熱変色性材料を内包したマイクロカプセル顔料(黒色←→無色、30℃未満で黒色、30℃以上で無色)10部、ポリエステルステル系ウレタンエマルジョン(固形分30%)20部、シリコーン系消泡剤0.4部、水1部、エチレングリコール0.5部、増粘剤1.0部、イソシアネート系架橋剤0.5部を均一に混合攪拌してなる可逆熱変色性スクリーンインキを109メッシュのスクリーン版を用いて、全面にベタ印刷を行ない、130℃にて5分間乾燥硬化させて可逆熱変色層2を形成した。
前記、非変色図柄層51上に可逆熱変色層2を積層した状態では、24℃の室温下では黒色を呈しており、30℃以上に加温すると可逆熱変色層2が消色して非変色図柄層51によるカラフルな花柄が視覚され、再び30℃未満の温度になると可逆熱変色層2が黒色に発色して花柄が隠蔽されるものである。
次いで、前記可逆熱変色層2上に、微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE−220、日本シリカ工業(株)製〕15部、ポリエステル系ウレタンエマルジョン(固形分30%)50部、水30部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤2部を均一に混合攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを150メッシュのスクリーン版を用いて蝶の図柄を印刷し、130℃にて5分間乾燥硬化させて、蝶の図柄の多孔質図柄層31を形成して変色体1を得た。
前記多孔質図柄層31は、水もしくは水溶性液体の付着により、白色状態から無色透明状態に変化する。
【0032】
前記変色体1は、24℃の室温下では、黒地の可逆熱変色層2上に多孔質図柄層31による白色の蝶の図柄が視覚される。前記変色体を30℃以上に加温すると、可逆熱変色層2が黒色から無色に変色して、非変色図柄層51によるカラフルな花柄が現出して、花柄に白色の蝶の図柄が描かれた様相となる。再び30℃未満の温度になると黒地に白色の蝶の図柄が描かれた様相に戻った。
又、前記変色体1に20℃の水を付着させると、多孔質図柄層31が透明化するため蝶の図柄が消えて全面が黒色となり、24℃の室温下で放置すると水が蒸発、乾燥するに従って白色の蝶の図柄が現出し、完全に乾燥した状態では、再び黒地に白色の蝶の図柄が視覚された。
次いで、40℃の温水を付着させると、多孔質図柄層31が透明化して蝶の図柄が消えると共に、可逆熱変色層2が黒色から無色になるため、非変色図柄層51によるカラフルな花柄のみが視覚でき、24℃の室温下で放置すると、30℃未満の温度になった時点で可逆熱変色層2が発色して花柄が黒色に隠蔽され、暫くその状態を示していたが、乾燥するに従って黒地上に徐々に白色の蝶の図柄が現出し、完全乾燥すると、黒色上に白色の蝶の図柄が描かれた様相に戻った。
この様に、布帛の温度変化、温水、冷水への浸漬により、黒地に白色の蝶の図柄が描かれた様相、黒色ベタの様相、カラフルな花柄上に白色の蝶の図柄が描かれた様相、カラフルな花柄のみの様相の、4つの様相を現出させることができ、これは何度も繰り返し行なうことができた。
【0033】
実施例7(図6参照)
支持体4として白色のポリエステルタフタ布上に、蛍光ピンク色顔料〔商品名:エポカラーFP−10、(株)日本触媒製〕15部、アクリル酸エステルエマルジョン(固形分50%)50部、シリコーン系消泡剤0.2部、増粘剤5部、レベリング剤1部、水10部、エポキシ系架橋剤2.5部を均一に混合攪拌して得た蛍光ピンク色スクリーン印刷用インキで、150メッシュのスクリーン版を用いて全面にベタ印刷し、130℃にて5分間乾燥硬化させて非変色層5を形成し、更にその上面に、微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE−1011、日本シリカ工業(株)製〕15部、ポリカーボネート系ウレタンエマルジョン(固形分:30%)45部、水20部、シリコーン系消泡剤0.2部、エチレングリコール3部、水系増粘剤3部、ブロックイソシアネート系架橋剤1.5部を均一混合攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキにて、180メッシュのスクリーン版を用いて印刷し、130℃にて5分間乾燥硬化させて白色の多孔質層3を設けた。
更にその上面に、感温変色性色彩記憶性材料を内包したマイクロカプセル顔料(青色←→無色、15℃以下で青色、30℃以上で無色)10部、ポリエステル系ウレタンエマルジョン(固形分30%)10部、シリコーン系消泡剤0.2部、水1部、エチレングリコール0.5部、増粘剤0.5部、イソシアネート系架橋剤0.5部を均一に混合攪拌してなる可逆熱変色性スクリーンインキを180メッシュのスクリーン版を用いて全面にベタ印刷を行ない、130℃にて5分間乾燥硬化させて可逆熱変色層2を形成し、変色体1を得た。
前記多孔質層3は、水もしくは水溶性液体の付着により、白色状態から無色透明状態に変化する。
【0034】
前記変色体1は、15℃以下に冷却すると可逆熱変色層2が青色になり、この状態は30℃未満の温度域で保持された。前記変色体をドライヤーで30℃以上に加温すると、可逆熱変色層2が消色して、下層の多孔質層3による白色が視覚され、15℃を越える温度域で保持された。前記白色の変色体を再び15℃以下に冷却すると青色になる。
更に、青色を呈する変色体1に約40℃の温水を付着させると、可逆熱変色層2は無色になり、且つ、多孔質層3も透明化して非変色層5によるピンク色が視覚される。この状態は、水が付着している状態ではピンク色を呈していたが、乾燥するに従って、ピンク色から白色に変化し、完全乾燥した状態では再び白色状態となった。
この白色状態の変色体1に、約10℃の冷水を筆に含ませて筆記すると、筆跡部分の多孔質層3は透明化し、且つ、可逆熱変色層2は青色になり、下層の非変色層5のピンク色と混色になった紫色の筆跡が得られる。
この状態は、水が付着している状態では紫色を呈していたが、乾燥するに従って多孔質層3が白色になるため紫色から青色に変化し、完全乾燥した状態では再び青色状態となった。
前記変色体1に約5℃の冷水を付着させると、全面が紫色に変化し、約40℃の温水を筆に含ませて筆記すると、筆跡部分は紫色からピンク色に変色し、15℃を越える温度域で保持され、水が付着した状態では紫色とピンク色の両状態を呈していたが、乾燥して水が蒸発するに従い多孔質層3が白色になるため紫色の部分は青色に変色し、且つ、ピンク色の部分は白色に変化し、完全に水が蒸発し、完全乾燥した状態では、青色の部分と白色の部分の両状態が視覚された。
次いで、青色と白色の両状態の変色体に再び20℃の水を付着させると、青色の部分は紫色に変化し、白色の部分はピンク色に変化する。又、前記紫色とピンク色の両状態の変色体は、水が付着した状態ではこの状態を呈していたが、約10℃の冷水を付着させると全面が紫色になり、或いは、約40℃の温水を付着させると、全面がピンク色の布帛に変化し、約24℃の室温に取り出し、完全乾燥させると、紫色から青色に、ピンク色から白色にそれぞれ変化した。
このように、前記変色体は室温乾燥状態では、青色、白色、青色及び白色の2色が同時に存在する3状態が任意に選定でき、又、水が付着した状態では、ピンク色、紫色、及び、ピンク色と紫色の2色が同時に存在する3状態が任意に選定できるため、合わせて6状態を示す変色体を得ることができ、これは何度も繰り返し行なうことができた。
【0035】
実施例8
支持体として白色のポリエステルタフタ布上に、蛍光ピンク色顔料〔商品名:エポカラーFP−10、(株)日本触媒製〕15部、アクリル酸エステルエマルジョン(固形分50%)50部、シリコーン系消泡剤0.2部、増粘剤5部、レベリング剤1部、水10部、エポキシ系架橋剤2.5部を均一に混合攪拌してなる蛍光ピンク色スクリーン印刷用インキで、150メッシュのスクリーン版を用いて全面にベタ印刷し、130℃にて5分間乾燥硬化させて非変色層を形成し、更にその上面に、微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE−1011、日本シリカ工業(株)製〕15部、ポリカーボネート系ウレタンエマルジョン(固形分:30%)45部、水20部、シリコーン系消泡剤0.2部、エチレングリコール3部、水系増粘剤3部、ブロックイソシアネート系架橋剤1.5部を均一混合攪拌してなる白色スクリーン用インキにて、180メッシュのスクリーン版を用いて印刷し、130℃にて5分間乾燥硬化させて白色の多孔質層を設けた。
更にその上面に、可逆熱変色性材料を内包したマイクロカプセル顔料(青色←→無色、30℃未満で青色、30℃以上で無色)10部、ポリエステル系ウレタンエマルジョン(固形分30%)10部シリコーン系消泡剤0.2部、水1部、エチレングリコール0.5部、増粘剤0.5部、イソシアネート系架橋剤0.5部を均一に混合攪拌してなる可逆熱変色性スクリーンインキを180メッシュのスクリーン版を用いて全面にベタ印刷を行ない、130℃にて5分間乾燥硬化させて可逆熱変色層を形成し変色体を得た。
前記多孔質層は、水もしくは水溶性液体の付着により、白色状態から無色透明状態に変化する。
【0036】
前記変色体は、24℃の室温下では青色を呈していたが、ドライヤーで30℃以上に加温すると、可逆熱変色層が無色になり、下層の多孔質層による白色が視覚される。又、30℃以上では白色状態を呈していたが、再び30℃未満の温度になると青色に戻る。
更に、青色の状態を呈している変色体に約40℃の温水を付着させると、可逆熱変色層が無色になると共に、多孔質層も透明化するため、非変色層によるピンク色が視覚される。前記状態は水が付着している状態で30℃未満の温度になると可逆熱変色層が青色になるため、非変色層と混色になった紫色に変色し、又、乾燥するに従って多孔質層が白色になるため紫色から青色に変化し、完全乾燥した状態では再び青色となった。
この青色の変色体に約20℃の水を付着させると、多孔質層が透明化して可逆熱変色層の青色と非変色層のピンク色が混色となった紫色に瞬時に変化し、水が付着している状態では紫色を呈していたが、乾燥するに従って紫色から青色に変化し、完全乾燥した状態では再び青色状態となった。
このように、前記変色体は、青色、白色、紫色、ピンク色の4色を得ることができ、前記様相変化を繰り返し再現させることができた。
【0037】
【0038】
【0039】
実施例(図参照)
支持体4として黄色のナイロンタフタ生地上に、感温変色性色彩記憶性材料を内包したマイクロカプセル顔料(青色←→無色、15℃以下で青色、30℃以上で無色)10部、アクリル酸エステルエマルジョン(固形分50%)10部、シリコーン系消泡剤0.2部、水1部、エチレングリコール0.5部、増粘剤0.5部、イソシアネート系架橋剤0.5部を均一に混合攪拌してなる可逆熱変色性スクリーンインキを109メッシュのスクリーン版を用いて全面にベタ印刷を行ない、130℃にて5分間乾燥硬化させて可逆熱変色層2を形成した。
次いで、微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、アクリル酸エステルエマルジョン(固形分50%)30部、水50部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを180メッシュのスクリーン版を用いて、前記可逆熱変色層2上に全面にベタ印刷し、130℃にて5分間乾燥硬化させて、乾燥状態で白色の多孔質層3を形成した。
更に、感温変色性色彩記憶性材料を内包したマイクロカプセル顔料(ピンク色←→無色、40℃以下でピンク色、40℃以上で無色)10部、アクリル酸エステルエマルジョン(固形分50%)10部、シリコーン系消泡剤0.2部、水1部、エチレングリコール0.5部、増粘剤0.5部、イソシアネート系架橋剤0.5部を均一に混合攪拌してなる可逆熱変色性スクリーンインキを180メッシュのスクリーン版を用いて、水玉模様を印刷し、130℃にて5分間乾燥硬化させて可逆熱変色図柄層21を形成し、変色体1を得た。
【0040】
前記変色体1は、乾燥状態且つ24℃の室温下では多孔質層3による白色地に、可逆熱変色図柄層21によるピンク色の水玉模様が視覚されていたが、40℃以上に加温すると可逆熱変色図柄層21が消色して全面が白色状態となり、その状態から加温を止めて40℃以下に冷却させると、再び可逆熱変色図柄層21によるピンク色の水玉模様が現出し、この現象は何度も繰り返し行なうことができた。
次に、前記変色体1に35℃の温水を付着させると、多孔質層3が水の付着により透明化すると共に、可逆熱変色層2が青色から無色に変色するため、支持体4による黄色地に、可逆熱変色性図柄層21のピンク色と支持体4の黄色が混色となった赤色の水玉模様が視覚された。
更に、40℃以上の温水に浸漬させると、前記可逆熱変色性図柄層21が消色して全面が黄色になったが、24℃の室温下で放置したところ、水が付着した状態では、黄色地に赤色の水玉模様が現出し、水が蒸発するに従って徐々に黄色地が白色になり、乾燥状態に戻ると元の白色地にピンク色の水玉模様が視覚された。
次に、乾燥状態の変色体に15℃以下の冷水を付着させると、支持体4の黄色と可逆熱変色層2の青色が混色となった緑色地に、前記緑色と可逆熱変色図柄層21のピンク色が混色となった茶色の水玉模様が視覚され、この状態は、15℃以下の冷水中、又は、24℃の室温下で水が付着した状態では保持されたが、乾燥するに従って緑色が白色に変化し、完全に乾燥すると元の白色地にピンクの水玉模様が視覚された。
このように、前記変色体1は、デサイン及び色変化を水媒体の付着及び温度変化により、多様に変化することができ、前記様相変化を何度も可逆的に再現させることができる。
【0041】
実施例10(図参照)
支持体4として、青色のABS製のミニカーのボディに、可逆熱変色性材料を内包したマイクロカプセル顔料(ピンク色←→無色、30℃未満でピンク色、30℃以上で無色)10部、油性アクリル樹脂溶液〔商品名:アクリディクA165、大日本インキ化学工業(株)製〕30部、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂5部、キシレン30部、MIBK40部を均一に混合攪拌、溶解させてなる黄色の油性スプレーインキをスプレー塗装し、室温で乾燥させ、星柄の可逆熱変色図柄層21を形成した。
次いで、低屈折率顔料として湿式法微粒子珪酸〔商品名:ニップシールE−200A、日本シリカ工業(株)製〕10部、バインダーとして水性ウレタン樹脂〔商品名:ハイドランAPX101、大日本インキ化学工業(株)製〕30部、水10部、イソプロピルアルコール20部、シリコーン系消泡剤0.5部を均一に混合攪拌してなる水性スプレーインキを用いて、前記可逆熱変色図柄層21を隠蔽できる大きさの円形をスプレー塗装し、40℃で約1時間乾燥させて多孔質図柄層31を形成して変色体1を得た。
【0042】
前記変色体1は、24℃の室温下では青色のボディに多孔質図柄層31による白色の円形が塗装された状態を示していたが、40℃の温水中に浸漬させると多孔質図柄層31層は透明化し、且つ、可逆熱変色図柄層21は消色するため、全面が青色のボディとなり、温水中ではその状態を呈していたが、温水中から取り出して放置すると、可逆熱変色図柄層21が発色してピンク色を呈するためボディの青色とピンク色が混色となった紫色の星柄が現出し、水が付着した状態ではその状態を示していたが、乾燥するに従って元の白色の円形に戻った。
ついで、20℃の水中に浸漬させると、多孔質図柄層31が透明化するため、白色の円形から紫色の星柄へと変化し、水中ではその状態を示していたが、水中から取り出して乾燥させると再び青色のボディに白色の円形が描かれた状態となった。
前記したように温度変化、水媒体の付着及び乾燥により、色調が変化し、又、この現象は何度も繰り返し行なうことができた。
【0043】
実施例11(図参照)
支持体4として、青色のABS製のミニカーのボディに、低屈折率顔料として湿式法微粒子珪酸〔商品名:ニップシールE−200A、日本シリカ工業(株)製〕10部、バインダーとして水性ウレタン樹脂〔商品名:ハイドランAPX101、大日本インキ化学工業(株)製〕30部、水10部、イソプロピルアルコール20部、シリコーン系消泡剤0.5部を均一に混合攪拌してなる水性スプレーインキを用いて星柄をスプレー塗装し、40℃で約1時間乾燥させて多孔質図柄層31を形成した。
次いで、前記多孔質図柄層31上に、可逆熱変色性材料を内包したマイクロカプセル顔料(含水率50%、ピンク色←→無色、30℃未満でピンク色、30℃以上で無色)25部、水性ウレタン樹脂〔商品名:ハイドランAPX101、大日本インキ化学工業(株)製〕40部、水10部、イソプロピルアルコール20部、シリコーン系消泡剤0.5部を均一に混合攪拌してなる水性スプレーインキを用いて、前記多孔質図柄層31と同じ形状及び大きさの星柄をスプレー塗装して可逆熱変色図柄層21を形成して変色体1を得た。
【0044】
前記変色体1は、24℃の室温下では青色のボディに可逆熱変色図柄層21によるピンク色の星型が塗装された状態を示していたが、ドライヤーの温風で加温すると可逆熱変色図柄層21が消色して多孔質図柄層31による白色の星柄が視覚され、30℃以上ではその状態を呈していたが、加温を止めて室温下で放置すると、再び可逆熱変色図柄層21が発色してピンク色の星形に戻った。
ついで、40℃の温水中に浸漬させると、可逆熱変色図柄層21が消色し、且つ、多孔質図柄層31が透明化するため、全面が青色のボディとなり、温水中ではその状態を示していたが、温水中から取り出して約20℃の水中に浸漬させると、可逆熱変色図柄層が発色してピンク色になるため、支持体4の青色と可逆熱変色図柄層21のピンク色が混色となった紫色の星形へと変化し、水中ではその状態を呈していたが、水中から取り出して乾燥させると再び青色のボディにピンク色の星形が描かれた状態となった。
前記したように温度変化、水媒体の付着及び乾燥により、色調が変化し、又、この現象は何度も繰り返し行なうことができた。
【0045】
実施例12(図10参照)
支持体4として50デニールポリエステルトリコット白色生地上に、オレンジ色蛍光顔料〔商品名:エポカラーFP−40、(株)日本触媒製〕10部、水性アクリルエマルジョン〔商品名:ポリゾールAP−50、昭和高分子(株)製〕60部、水10部、エチレングリコール5部、シリコーン系水系インキ用消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、レベリング剤1部、イソシアネート系架橋剤2部を均一に混合攪拌してなるオレンジ色の水性スクリーンインキ、及び、黄色蛍光顔料〔商品名:エポカラーFP−117、(株)日本触媒製〕10部、水性アクリルエマルジョン〔商品名:ポリゾールAP−50、昭和高分子(株)製〕60部、水10部、エチレングリコール5部、シリコーン系水系インキ用消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、レベリング剤1部、エポキシ系架橋剤2部を均一に混合攪拌してなる黄色の水性スクリーンインキをそれぞれ用いて、150メッシュのスクリーン版にて縦縞模様を印刷し、120℃で約3分間乾燥硬化させて非変色図柄層51を形成した。
次いで、低屈折率顔料として湿式法微粒子珪酸〔商品名:ミズカシルP−527、水澤化学工業(株)製〕20部、バインダーとして水性ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW930、大日本インキ化学工業(株)製〕60部、水15部、プロピレングリコール3部、シリコーン系消泡剤0.5部、水性インキ用増粘剤3部、ブロックイソシアネート系水性インキ用架橋剤4.0部を均一に混合攪拌してなる白色水性スクリーンインキにて150メッシュのスクリーン版を用いて、前記非変色図柄層51の全面に印刷し、多孔質層3を形成した。
更にその上面に、感温変色性色彩記憶性材料を内包したマイクロカプセル顔料(含水率50重量%、ピンク色←→無色、15℃以下でピンク色、30℃以上で無色)15部、バインダーとして水性ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW930、大日本インキ化学工業(株)製〕30部、水7部、プロピレングリコール1部、シリコーン系消泡剤0.2部、水性インキ用増粘剤2部、ブロックイソシアネート系水性インキ用架橋剤2.0部を均一に混合攪拌してなるピンク色水性スクリーンインキ、及び、感温変色性色彩記憶性材料を内包したマイクロカプセル顔料(含水率50重量%、青色←→無色、15℃以下で青色、30℃以上で無色)15部を用いた以外は前記と同様に調製した青色水性スクリーンインキ(変色性材料)をそれぞれ用いて、180メッシュのスクリーン版にて前記非変色層4の縦縞模様と直交する横縞模様を印刷して可逆熱変色図柄層21を形成し、変色体1を得た。
【0046】
前記変色体1は、24℃の室温下では可逆熱変色図柄層21によるピンク色と青色の横縞模様が視覚されるが、ドライヤーで30℃以上に加温すると可逆熱変色図柄層21が消色して多孔質層3による白色が視覚され、室温下で放置してもその状態を保持していた。
前記変色体を約10℃の冷風で冷却すると、可逆熱変色図柄層21が発色して再び白色状態からピンク色と青色の横縞模様に変化し、室温下でその状態を保持していた。
ついで、約40℃の温水中に前記変色体1を浸漬させると可逆熱変色図柄層21は消色し、且つ、多孔質層3は透明化するため、非変色図柄層51によるオレンジ色と黄色の縦縞模様に変化し、約40℃の温水中ではその状態を示していたが、温水中から取り出して約10℃の氷水中に浸漬させると可逆変色図柄層21が発色するため、非変色図柄層51と混色となった赤色、緑色、茶色からなる格子模様に変化し、約10℃の水中ではその状態を呈していたが、水中から取り出して室温下で放置すると、乾燥するに従って格子模様から徐々に横縞模様へと変化し、完全乾燥によりピンク色と青色の横縞模様となった。
前記したように、温度変化、水媒体の付着及び乾燥により、色調及びデザインが変化し、又、この現象は何度も繰り返し行なうことができた。
【0047】
実施例13(図11参照)
支持体4として、40デニールナイロントリコット蛍光ピンク色生地上の全面に、低屈折率顔料として湿式法微粒子珪酸〔商品名:ニップシールE−1011、日本シリカ工業(株)製〕20部、バインダーとして水性ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製〕60部、水15部、プロピレングリコール3部、シリコーン系消泡剤0.5部、水性インキ用増粘剤3部、ブロックイソシアネート系水性インキ用架橋剤4.0部を均一に混合攪拌してなる白色水性スクリーンインキにて150メッシュのスクリーン版を用いて印刷して多孔質層3を形成した。
ついで、前記多孔質層3上に、可逆熱変色性材料を内包したマイクロカプセル顔料(含水率50重量%、黄色←→無色、15℃未満で黄色、15℃以上で無色)30部、バインダーとして水性アクリルエマルジョン〔商品名:モビニール700、ヘキスト合成(株)製〕35部、水15部、プロピレングリコール3部、シリコーン系消泡剤0.5部、水性インキ用増粘剤3部、ブロックイソシアネート系水性インキ用架橋剤3.5部を均一に混合攪拌してなる黄色水性スクリーンインキ(変色性材料)、及び、可逆熱変色性材料を内包したマイクロカプセル顔料(含水率50重量%、青色←→無色、15℃未満で青色、15℃以上で無色)15部を用いた以外は前記と同様に調製した青色水性スクリーンインキをそれぞれ用いて、150メッシュのスクリーン版にて波模様を印刷し、100℃で3分間硬化乾燥させて可逆熱変色図柄層21を形成した。
更に、前記可逆熱変色図柄層21上に、蛍光ピンク色顔料〔商品名:エポカラーFP−1000N、(株)日本触媒製〕10部、水性アクリルエマルジョン〔商品名:ポリゾールAP−50、昭和高分子(株)製〕60部、水10部、エチレングリコール5部、シリコーン系水系インキ用消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、レベリング剤1部、イソシアネート系架橋剤2部を均一に混合攪拌してなるピンク色の水性スクリーンインキを用いて、180メッシュのスクリーン版にて水玉模様を印刷し、130℃で3分間硬化乾燥させて非変色図柄層51を形成して変色体1を得た。
【0048】
前記変色体1は、約24℃の室温下では多孔質層3による白色地上に非変色図柄層51による蛍光ピンク色の水玉模様が描かれた状態を示していたが、冷風で15℃未満に冷却すると可逆熱変色図柄層21が発色して白色地部分が黄色と青色の波柄に変化し、15℃以下ではその状態を示していたが、冷却を止めて室温下で放置すると再び白色に変化した。
ついで、約20℃の水中に浸漬させると、多孔質層3が透明化するため、非変色図柄層51のピンク色と支持体4のピンク色が同調して全面が蛍光ピンク色になり、水中ではその状態を呈していた。前記変色体1を10℃の水中に浸漬させると可逆熱変色図柄層21が発色するため、青色と蛍光ピンク色が混色となった紫色、及び、黄色と蛍光ピンク色が混色となった赤色の波柄上に、非変色図柄層51による蛍光ピンク色の水玉模様が描かれた状態へと変化し、水中ではその状態を維持していた。
前記変色体1を水中から取り出して室温下で放置すると可逆熱変色図柄層21が消色し、水が付着した状態では前記した状態から全面がピンク色へと変化し、完全乾燥すると、白地に蛍光ピンク色の水玉模様が描かれた状態となった。
前記したように、温度変化、水媒体の付着及び乾燥により、色調及びデザインが変化し、又、この現象は何度も繰り返し行なうことができた。
【0049】
比較例1
支持体としてピンク色のナイロンタフタ生地上に、感温変色性色彩記憶性材料を内包したマイクロカプセル顔料(青色←→無色、15℃以下で青色、30℃以上で無色)10部、アクリル酸エステルエマルジョン(固形分50%)10部、シリコーン系消泡剤0.2部、水1部、エチレングリコール0.5部、増粘剤0.5部、イソシアネート系架橋剤0.5部を均一に混合攪拌してなる可逆熱変色性スクリーンインキを109メッシュのスクリーン版を用いて全面にベタ印刷を行ない、130℃にて5分間乾燥硬化させて可逆熱変色層を形成して変色体を得た。
【0050】
前記変色体は、15℃以下に冷却すると支持体のピンク色と可逆熱変色層の青色が混合して紫色が視覚され、この色調は30℃未満の温度域で保持される。又、30℃以上に加温すると、可逆熱変色層が無色となり、支持体のピンク色が視覚され、この色調は15℃を越える温度域で保持されるものであるが、色調の変化は2状態しかなく、変化性に乏しいものであった。
【0051】
比較例2
支持体としてピンク色のナイロンタフタ生地上に、微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE−1011、日本シリカ工業(株)製〕15部、ポリカーボネート系ウレタンエマルジョン(固形分:30%)45部、水20部、シリコーン系消泡剤0.2部、エチレングリコール3部、水系増粘剤3部、ブロックイソシアネート系架橋剤1.5部を均一混合攪拌してなる白色スクリーン用インキにて、180メッシュのスクリーン版を用いて印刷し、130℃にて5分間乾燥硬化させて白色の多孔質層を設けて変色体を得た。
【0052】
前記変色体は、乾燥状態で白色を呈し、水を付着させると多孔質層が透明化して支持体のピンク色が視覚さるものであるが、色調の変化は2状態しかなく、変化性に乏しいものであった。
【0053】
【発明の効果】
本発明変色体は、可逆熱変色層と、低屈折率顔料を含む吸液により透明又は半透明化する多孔質層とを積層してなり、生活環境温度域の温度変化及び水等の媒体により、多彩に色変化させた様相を視覚させることができ、前記変化した様相は、繰り返し、可逆的に再現できるため、玩具、意匠、ファッション、装飾分野等に応用展開が可能な変色体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明変色体の一実施例の縦断面説明図である。
【図2】 本発明変色体の他の実施例の縦断面説明図である。
【図3】 本発明変色体の他の実施例の縦断面説明図である。
【図4】 本発明変色体の他の実施例の縦断面説明図である。
【図5】 本発明変色体の他の実施例の縦断面説明図である。
【図6】 本発明変色体の他の実施例の縦断面説明図である。
【図7】 本発明変色体の他の実施例の縦断面説明図である。
【図8】 本発明変色体の他の実施例の縦断面説明図である。
【図9】 本発明変色体の他の実施例の縦断面説明図である。
【図10】 本発明変色体の他の実施例の縦断面説明図である。
【図11】 本発明変色体の他の実施例の縦断面説明図である。
【符号の説明】
1 変色体
2 可逆熱変色層
21 可逆熱変色図柄層
3 多孔質層
31 多孔質図柄層
4 支持体
5 非変色層
51 非変色図柄層

Claims (8)

  1. 可逆熱変色層と、低屈折率顔料を含む吸液により透明又は半透明化する多孔質層とが積層されてなり、熱又は水により変色する変色体。
  2. 支持体上に前記可逆熱変色層を設け、可逆熱変色層上に前記多孔質層を設けてなる請求項1記載の変色体。
  3. 前記多孔質層上に可逆熱変色図柄層を配設してなる請求項3記載の変色体。
  4. 支持体上に前記多孔質層を設け、多孔質層上に前記可逆熱変色層を設けてなる請求項1記載の変色体。
  5. 前記可逆熱変色層上に多孔質図柄層を配設してなる請求項5記載の変色体。
  6. 前記可逆熱変色層は図柄層である請求項1乃至5のいずれかに記載の変色体。
  7. 前記多孔質層は図柄層である請求項1乃至5のいずれかに記載の変色体。
  8. 前記支持体が布帛である請求項2乃至7のいずれかに記載の変色体。
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