JP4051981B2 - グロープラグの異常検出方法及び装置 - Google Patents

グロープラグの異常検出方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンに設けられたグロープラグの異常を検出する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、始動性を向上させるためにディーゼルエンジンの始動に際しては、予めグロープラグに通電することによりディーゼルエンジンを予熱している。このようなグロープラグには通電発熱体が設けられているが、この通電発熱体自体の断線あるいはこの通電発熱体への電力供給ラインに断線が生じた場合には、特に冷間時においては始動性に問題を生じる。このためグロープラグの断線検出装置を設けることにより、グロープラグの異常を検出する装置が提案されている(特開平11−182400号公報、特開昭57−26275号公報、特開昭58−113581号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、始動に際して行われるグロープラグへの通電に伴う電圧変化からグロープラグの断線等の異常有無を判定していた。しかしこのようにグロープラグの通常の通電制御を利用して異常判定をしていると、高感度な検出ができない状況下で異常判定を行わなければならない場合も生じて、正確にグロープラグ異常が判定できないことがある。
【0004】
このため通常のグロープラグの通電制御とは別個に強制的に通電オン・オフを実行することにより、グロープラグの異常検出実行時の自由度を高めて、異常検出に適切な状況下で高感度に検出して異常を判定することが考えられる。
【0005】
しかし、このように通常の通電制御とは別個にグロープラグの通電オン・オフを実行すると、グロープラグ異常判定は正確にできるようになるが、グローリレーなどの回路開閉機構のオン・オフを切り替える回数が増加し、回路開閉機構の耐久性低下につながるおそれがある。
【0006】
本発明は、グロープラグ異常の正確な判定が維持できるとともに、回路開閉機構の耐久性の低下も抑制できるグロープラグの異常検出方法及び装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1記載のグロープラグの異常検出方法は、グロープラグの通電状態を強制的に変化させることにより生じた現象に基づいてグロープラグの異常有無判定を実行することによりディーゼルエンジンに設けられたグロープラグの異常を検出する方法であって、前記異常有無判定に先立って、グロープラグの通電状態を強制的に変化させることなく生じた現象に基づいてグロープラグの異常可能性判定を実行し、該異常可能性判定にて異常の可能性無しと判定された場合には前記異常有無判定を実行しないことを特徴とする。
【0008】
グロープラグの通電状態を強制的に変化させることなく生じた現象に基づくグロープラグの異常可能性判定は、強制的変化を行う場合に比較して異常検出としては確実性が低い。しかし異常の可能性が無いか否かについては確実性高く判定できる。このような異常可能性判定を、グロープラグの通電状態を強制的に変化させることにより生じた現象に基づくグロープラグの異常有無判定を実行する前に実行して、異常の可能性が無いと判った場合には、異常有無判定を実行する必要が無くなる。
【0009】
したがって異常可能性判定にて異常の可能性有りとの判定、すなわち異常の可能性が無いとは言えない判定がなされた場合に、異常検出の確実性が高い前記異常有無判定を実行すれば良いことになり、グロープラグに対する通電状態の強制的変化回数を抑制できる。このようにして正確なグロープラグ異常判定が維持できるとともに、回路開閉機構の耐久性の低下も抑制できる。
【0010】
尚、ここで「強制的変化(強制的に変化させること)」とはグロープラグの異常検出のためにグロープラグの通電状態を変更させる処理を意味する。他の請求項についても同様である。
請求項2記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項1記載の構成において、前記通電状態の強制的変化は、グロープラグへの通電オンと通電オフとの間の切り替えであることを特徴とする。
【0011】
通電状態の強制的変化としては、特にグロープラグへの通電オンと通電オフとの間の切り替えによる強制的変化が挙げられ、このような強制的変化においては、グロープラグの異常に関連した現象が現れやすいが、回路開閉機構の耐久性も低下しやすい。このことから、異常可能性判定にて異常可能性有りと判定されたことを異常有無判定実行の前提とすることにより、通電状態の変化回数を減少させることができるので、正確な異常判定が維持できるとともに回路開閉機構の耐久性の低下も抑制できる。
【0012】
請求項3記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項1又は2において、前記異常可能性判定は、グロープラグへの通電オン状態下でのディーゼルエンジンの始動完了前のエンジン状態に基づいてグロープラグの異常可能性を判定することを特徴とする。
【0013】
グロープラグへの通電がオンされ、正常にグロープラグが発熱していれば、発熱のための電気エネルギーの消費が生じるとともに、ディーゼルエンジンは円滑な始動が可能である。しかしグロープラグが通電オンにされているにもかかわらず実際にグロープラグに通電されていなかったり通電量が異常に低かった場合には、グロープラグ発熱のための電気エネルギー消費が生じないし、エンジンも円滑に始動できない。このように始動完了前のエンジン状態に、グロープラグの異常が反映される。このため異常可能性判定としてはディーゼルエンジンの始動完了前のエンジン状態により異常可能性の有無を判定できる。
【0014】
請求項4記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項3において、前記ディーゼルエンジンの始動完了前のエンジン状態とは、始動時間の長さであることを特徴とする。
【0015】
グロープラグへの通電が正常に行われることでエンジン始動が円滑であれば早期に始動が完了するので、始動時間、すなわち始動開始から始動完了までの時間は短くなる。しかし、グロープラグへの通電が正常でないことによりエンジン始動が円滑でなければ始動時間は長くなる。したがって始動時間が短ければグロープラグの異常可能性は無いと判定できる。逆に始動時間が長ければ、他に原因が有るかもしれないが、グロープラグが異常である可能性は否定できないことになる。
【0016】
このようにしてグロープラグの通電状態の強制的変化をさせなくても始動時間の長さにより異常可能性の有無を判定できる。
請求項5記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項4において、前記異常可能性判定では、前記始動時間が判定基準時間より短い場合は異常の可能性無しと判定し、前記始動時間が判定基準時間より長い場合は異常の可能性有りと判定することを特徴とする。
【0017】
このように判定基準時間を設けて実際の始動時間と比較する。始動時間が判定基準時間より短い場合は、グロープラグが正常に発熱していることが判る。しかし始動時間が判定基準時間より長い場合は、他に原因が有るかもしれないが、グロープラグの異常により発熱不良となっている可能性が有ることが判る。このように始動時間と判定基準時間との比較により、グロープラグの通電状態の強制的変化をさせなくても異常可能性の有無を容易に判定できる。
【0018】
請求項6記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項3において、前記ディーゼルエンジンの始動完了前のエンジン状態とは、バッテリ電圧の高さであることを特徴とする。
【0019】
始動時や始動時前からグロープラグに正常に通電されて発熱していれば始動完了前においては、通電に伴ってバッテリ電圧は降下している。一方、グロープラグに通電されていなかったり通電量が異常に低かった場合にはバッテリ電圧の降下はほとんど無い。したがって始動完了前にバッテリ電圧が降下していればグロープラグの異常可能性は無いと判定できる。逆に始動完了前にバッテリ電圧が降下していなければ、他に原因が有るかもしれないが、グロープラグが異常である可能性は否定できないことになる。
【0020】
このようにしてグロープラグの通電状態の強制的変化をさせなくてもバッテリ電圧の高さにより異常可能性の有無を判定できる。
請求項7記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項6において、前記異常可能性判定では、前記ディーゼルエンジンの始動完了前にバッテリ電圧が判定基準電圧より低下したことが有る場合は異常の可能性無しと判定し、低下したことが無い場合は異常の可能性有りと判定することを特徴とする。
【0021】
このように判定基準電圧を設けて実際の始動完了前のバッテリ電圧と比較する。バッテリ電圧が判定基準電圧より低下したことが始動完了前に有った場合は、グロープラグは通電により正常に発熱していることが判る。しかしバッテリ電圧が判定基準電圧より低下したことが始動完了前に無かった場合は、他に原因が有るかもしれないが、グロープラグへの通電異常で発熱不良となっている可能性が有ることが判る。このようにバッテリ電圧と判定基準電圧との比較により、グロープラグの通電状態の強制的変化をさせなくても異常可能性の有無を容易に判定できる。
【0022】
請求項8記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項3において、前記ディーゼルエンジンの始動完了前のエンジン状態とは、始動時間の長さ及びバッテリ電圧の高さであることを特徴とする。
【0023】
このように始動時間の長さ及びバッテリ電圧の高さの両方を判定することにより、グロープラグの通電状態の強制的変化をさせなくても、より確実に異常可能性の有無を判定できる。
【0024】
請求項9記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項8において、前記異常可能性判定では、前記始動時間が判定基準時間より短いか、あるいは前記バッテリ電圧が判定基準電圧より低下したことが有る場合は異常の可能性無しと判定し、前記始動時間が判定基準時間より長く、かつ前記バッテリ電圧が判定基準電圧より低下したことが無い場合は異常の可能性有りと判定することを特徴とする。
【0025】
更に、判定基準時間を設けて実際の始動時間と比較し、判定基準電圧を設けて始動完了前の実際のバッテリ電圧と比較することにより異常可能性の有無を容易に判定できる。
【0026】
請求項10記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項5又は9において、前記判定基準時間は冷却水温に応じて設定されることを特徴とする。
始動時間は温度によっても影響されるので、判定基準時間を冷却水温に応じて設定することにより、適切な判定基準時間が得られ、異常可能性の有無をより正確に判定できる。
【0027】
請求項11記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項7又は9において、前記判定基準電圧は冷却水温に応じて設定されることを特徴とする。
バッテリ電圧は温度によっても影響されるので、判定基準電圧を冷却水温に応じて設定することにより、適切な判定基準電圧が得られ、異常可能性の有無をより正確に判定できる。
【0028】
請求項12記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項1〜11のいずれかにおいて、前記異常可能性判定にて異常の可能性有りと判定された場合に、ディーゼルエンジン始動のために開始されたグロープラグへの通電オンの設定時間内で前記異常有無判定を完了できない場合には、前記異常有無判定を実行しないことを特徴とする。
【0029】
このようにすることにより、異常有無判定は、始動のために開始されたグロープラグへの通電オンの設定時間内で完了できることになる。このため、異常有無判定による通電状態の強制的変化によって、通常の通電が徒に延長されることがない。したがってグロープラグの異常有無判定処理によるエネルギー消費を抑制することができる。
【0030】
請求項13記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項1〜12のいずれかにおいて、前記異常可能性判定にて異常の可能性有りと判定された場合に、アイドル回転数制御時以外では前記異常有無判定を実行しないことを特徴とする。
【0031】
異常有無判定を、アイドル時に限ることにより、他の要因の影響を受けにくくでき、一層正確な異常有無の判定が可能となる。
請求項14記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項1〜13のいずれかにおいて、前記異常可能性判定にて異常の可能性有りと判定された場合に、バッテリ電圧が判定基準電圧範囲以外では前記異常有無判定を実行しないことを特徴とする。
【0032】
バッテリ電圧が低すぎると、オルタネータ等の発電機構に対する負荷が100%に達している場合があり、この状態で通電状態の強制的変化を行ってもディーゼルエンジンの負荷変化がほとんど生じない場合があるため高精度に異常有無の判定ができない。更に、バッテリ電圧が高すぎると、発電機構に対する負荷が0%になっており、この状態で通電状態の強制的変化を行ってもディーゼルエンジンの負荷変化がほとんど生じない場合があるため高精度に異常有無の判定ができない。したがって判定基準電圧範囲を設けて、バッテリ電圧がこの範囲外では異常有無判定を実行しないことにより、異常有無判定の精度低下を防止している。
【0033】
請求項15記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項1〜14のいずれかにおいて、前記異常有無判定では、グロープラグの通電状態の強制的変化に伴うディーゼルエンジンの運転状態変化に基づいてグロープラグの異常有無を判定することを特徴とする。
【0034】
より具体的には、異常有無判定は、グロープラグの通電状態の強制的変化に伴って生じるディーゼルエンジンの運転状態変化の状態を測定することにより、確実性が高い異常有無判定ができる。しかも異常有無判定は、異常可能性判定にて異常の可能性有りと判定されていることが前提であるので、異常の可能性もないのに通電状態の強制的変化が実行されるのを防止できる。尚、ここでは通電状態の強制的変化は一度でも良く、二度以上繰り返しても良いが、グローリレーなどの回路開閉機構の耐久性上は、一度又は二度が好ましい。
【0035】
請求項16記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項15において、前記異常有無判定では、グロープラグの通電状態の第1強制的変化を行い、該第1強制的変化に伴うディーゼルエンジンの運転状態変化に基づいて第1判定を実行し、該第1判定により正常であると判定されると前記異常有無判定を終了して通電状態を前記第1強制的変化前に戻し、前記第1判定により正常であると判定できなかった場合に通電状態を前記第1強制的変化前に戻す第2強制的変化を行い、該第2強制的変化に伴うディーゼルエンジンの運転状態変化に基づいて第2判定を実行し、該第2判定にて異常であると判定されると前記異常有無判定を終了し、前記第2判定にて異常であると判定できなかった場合に判定を決定せずに前記異常有無判定を終了することを特徴とする。
【0036】
このように異常有無判定では異常であることを第1強制的変化と第2強制的変化との2段階にて確認しており確実な異常判定ができる。しかも第2強制的変化により第1強制的変化は相殺されており、異常を確実に判定できると共に異常有無判定が終了すると元のグロープラグ通電状態に戻せる。
【0037】
請求項17記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項16において、前記異常有無判定に際して、既に通電オン状態であれば第1強制的変化は通電オフに変化する処理であり第2強制的変化は通電オンに変化する処理であることを特徴とする。
【0038】
より具体的には、通常のグロー通電制御によりグロープラグへの通電が行われているような、既に通電オン状態である場合には、第1強制的変化は通電オフ、第2強制的変化は通電オンとしても良い。このことにより異常が確実に判定できると共に異常有無判定が終了すると元のグロープラグ通電オン状態に戻せるので、ディーゼルエンジンの安定運転を阻害しない。
【0039】
請求項18記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項16において、前記異常有無判定に際して、既に通電オフ状態であれば第1強制的変化は通電オンに変化する処理であり第2強制的変化は通電オフに変化する処理であることを特徴とする。
【0040】
逆に、グロープラグへの通電が終了しているような既に通電オフ状態であれば、第1強制的変化は通電オン、第2強制的変化は通電オフとしても良く、このことにより異常が確実に判定できるとともに異常有無判定が終了すると元のグロープラグ通電オフ状態に戻せる。
【0041】
請求項19記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項17又は18において、前記第1強制的変化を実行した場合には予め設定された時間間隔を経過していなければ前記第2強制的変化は実行しないことを特徴とする。
【0042】
通電オフと通電オンとを短時間間隔で実行すると、グローリレーなどの回路開閉機構の耐久性が低下する可能性がある。このため第1強制的変化から第2強制的変化までの時間間隔を確保することにより、回路開閉機構の耐久性低下を防止している。
【0043】
請求項20記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項15〜19のいずれかにおいて、ディーゼルエンジンの運転状態変化とは、エンジン負荷の変化であることを特徴とする。
【0044】
第1強制的変化あるいは第2強制的変化によりグロープラグへの通電が開始したり通電量が増加する場合には、バッテリの消耗速度の上昇に対応して発電量が増加しディーゼルエンジンの負荷が高まる。逆に第1強制的変化あるいは第2強制的変化によりグロープラグへの通電が停止したり通電量が減少する場合には、バッテリの消耗速度の低下に対応して発電量が減少しディーゼルエンジンの負荷が低くなる。このためグロープラグへの通電が正常に行われない場合には、第1強制的変化あるいは第2強制的変化に対応したエンジン負荷変化が生じない。このことによりエンジン負荷変化に基づいてグロープラグの異常有無を判定することができる。
【0045】
請求項21記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項20において、アイドル回転数制御時に燃料噴射量の変化によりエンジン負荷の変化をとらえることを特徴とする。
【0046】
アイドル回転数制御では、ディーゼルエンジンの負荷が高まれば、燃料噴射量を増加することによりディーゼルエンジンの回転数維持を行い、逆に負荷が低くなれば、燃料噴射量を減少することによりディーゼルエンジンの回転数維持を行う。したがってグロープラグへの通電が正常に行われない場合には、第1強制的変化あるいは第2強制的変化に対応した燃料噴射量変化が生じないことになる。このように燃料噴射量の変化を測定することによりグロープラグの異常有無を判定することができる。
【0047】
請求項22記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項15〜19のいずれかにおいて、ディーゼルエンジンの運転状態変化とは、バッテリ電圧の変化であることを特徴とする。
【0048】
第1異常判定手段による第1強制的変化あるいは第2異常判定手段による第2強制的変化によりグロープラグへの通電が開始されあるいは通電量が増加する場合には、通電に用いられるバッテリの電圧降下が生じる。逆に第1強制的変化あるいは第2強制的変化によりグロープラグへの通電が停止されあるいは通電量が減少する場合にはバッテリの電圧上昇が生じる。このためグロープラグへの通電が正常に行われない場合には、第1強制的変化あるいは第2強制的変化に対応したバッテリ電圧の変化は生じない。したがってバッテリ電圧の変化を測定することによりグロープラグの異常有無を判定することができる。
【0049】
請求項23記載のグロープラグの異常検出方法では、請求項15〜19のいずれかにおいて、ディーゼルエンジンの運転状態変化とは、燃料噴射量の変化及びバッテリ電圧の変化であることを特徴とする。
【0050】
上述したごとく燃料噴射量とバッテリ電圧との両方に第1強制的変化あるいは第2強制的変化が現れるので、この両方の変化を測定することによりグロープラグの異常有無をより正確に判定することができる。
【0051】
請求項24記載のグロープラグの異常検出装置は、ディーゼルエンジンに設けられたグロープラグの異常を検出する装置であって、グロープラグの通電状態を強制的変化させることなく生じた現象に基づいてグロープラグの異常可能性判定を実行する異常可能性判定手段と、前記異常可能性判定手段にてグロープラグに異常の可能性有りと判定された場合には、グロープラグの通電状態を強制的変化させることで該強制的変化に対応して生じた現象に基づいてグロープラグの異常有無判定を実行し、前記異常可能性判定手段にてグロープラグに異常の可能性無しと判定された場合には、前記グロープラグの通電状態を強制的変化を伴う前記異常有無判定を実行しない異常有無判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0052】
異常可能性判定手段が行う異常可能性判定は、グロープラグの強制的変化を行う場合に比較して異常検出としては確実性が低い。しかしグロープラグ異常の可能性の有無については確実性高く判定できるので、異常可能性判定手段が、グロープラグ異常の可能性が無いと判定した場合には、異常有無判定手段は異常有無判定を実行する必要が無くなる。
【0053】
このため異常可能性判定手段が、異常の可能性有りとの判定、すなわち異常の可能性が無いとは言えない判定をした場合に、異常有無判定手段が異常検出の確実性が高い異常有無判定を実行すれば良いことになり、グロープラグの通電状態の強制的変化回数を抑制できる。このようにして正確なグロープラグ異常判定が維持できるとともに回路開閉機構の耐久性の低下も抑制できる。
【0054】
請求項25記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項24記載の構成において、前記通電状態の強制的変化とは、グロープラグへの通電オンと通電オフとの間の切り替えであることを特徴とする。
【0055】
通電状態の強制的変化とは、特にグロープラグへの通電オンと通電オフとの間の強制的変化が挙げられ、このような強制的変化においてはグロープラグの異常に関連した現象が現れやすいが、回路開閉機構の耐久性も低下しやすい。このことから異常有無判定手段は、異常可能性判定手段にて異常可能性有りと判定されたことを前提とすることにより、通電状態の変化回数を減少させることができ、異常判定の正確さを維持できるとともに回路開閉機構の耐久性の低下も抑制できる。
【0056】
請求項26記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項24又は25において、前記異常可能性判定手段は、ディーゼルエンジン始動完了前のエンジン状態を検出する始動完了前状態検出手段を有し、グロープラグへの通電オン状態下で前記始動完了前状態検出手段にて検出されたディーゼルエンジン始動完了前のエンジン状態に基づいてグロープラグの異常可能性を判定することを特徴とする。
【0057】
グロープラグへの通電がオンされ、正常にグロープラグが発熱していれば、発熱のための電気エネルギーの消費が生じるとともに、ディーゼルエンジンは円滑な始動が可能である。しかしグロープラグが通電オンにされているにもかかわらず実際にグロープラグに通電されていなかったり通電量が異常に低かった場合には、グロープラグ発熱のための電気エネルギー消費が生じないし、エンジンも円滑に始動できない。このように始動完了前のエンジン状態に、グロープラグの異常が反映される。このため異常可能性判定手段は、始動完了前状態検出手段にて検出されたディーゼルエンジンの始動完了前のエンジン状態により異常可能性の有無を判定できる。
【0058】
請求項27記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項26において、前記始動完了前状態検出手段は、前記ディーゼルエンジン始動完了前のエンジン状態として始動時間の長さを検出することを特徴とする。
【0059】
グロープラグへの通電が正常に行われることでエンジン始動が円滑であれば早期に始動が完了するので、始動時間、すなわち始動開始から始動完了までの時間は短くなる。しかし、グロープラグへの通電が正常でないことによりエンジン始動が円滑でなければ始動時間は長くなる。したがって異常可能性判定手段は、始動完了前状態検出手段にて始動時間を検出して、この始動時間が短ければグロープラグの異常可能性は無いと判定できる。逆に始動時間が長ければ、他に原因が有るかもしれないが、グロープラグが異常である可能性は否定できないことになる。
【0060】
このようにして異常可能性判定手段は、グロープラグの通電状態の強制的変化をさせなくても始動時間の長さにより異常可能性の有無を判定できる。
請求項28記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項27において、前記異常可能性判定手段は、前記始動完了前状態検出手段にて検出された始動時間が判定基準時間より短い場合は、グロープラグの異常可能性無しと判定し、長い場合はグロープラグの異常可能性有りと判定することを特徴とする。
【0061】
このように異常可能性判定手段は、判定基準時間を設けて、始動完了前状態検出手段にて検出された実際の始動時間と比較する。始動時間が判定基準時間より短い場合は、グロープラグは正常に発熱しており、異常可能性が無いことが判る。一方、始動時間が判定基準時間より長い場合は、グロープラグの異常により発熱不良となっている可能性が有ることが判る。このように異常可能性判定手段は、始動時間と判定基準時間との比較により、グロープラグの通電状態の強制的変化をさせなくても異常可能性の有無を容易に判定できる。
【0062】
請求項29記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項26において、前記始動完了前状態検出手段は、前記ディーゼルエンジン始動完了前のエンジン状態としてバッテリ電圧の高さを検出することを特徴とする。
【0063】
始動時や始動時前からグロープラグに正常に通電されて発熱していれば始動完了前において、通電に伴ってバッテリ電圧は降下している。一方、グロープラグに通電されていなかったり通電量が異常に低かった場合にはバッテリ電圧の降下はほとんど無い。したがって異常可能性判定手段は、始動完了前にバッテリ電圧が降下していればグロープラグの異常可能性は無いと判定できる。逆に始動完了前にバッテリ電圧が降下していなければ、他に原因が有るかもしれないが、グロープラグが異常である可能性は否定できないことになる。
【0064】
このようにして異常可能性判定手段は、グロープラグの通電状態の強制的変化をさせなくてもバッテリ電圧の高さにより異常可能性の有無を判定できる。
請求項30記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項29において、前記異常可能性判定手段は、前記ディーゼルエンジンの始動完了前に前記始動完了前状態検出手段にて検出されたバッテリ電圧が判定基準電圧より低下したことが有る場合は異常の可能性無しと判定し、低下したことが無い場合は異常の可能性有りと判定することを特徴とする。
【0065】
このように異常可能性判定手段は、判定基準電圧を設けて、始動完了前状態検出手段にて始動完了前に検出された実際のバッテリ電圧と比較する。バッテリ電圧が判定基準電圧より低下したことが有る場合は、グロープラグには十分に通電がなされて正常に発熱しており、異常可能性が無いことが判る。一方、低下したことが無い場合は、グロープラグに十分な通電がなされていないために発熱不良となっている可能性が有ることが判る。このように異常可能性判定手段は、始動完了前のバッテリ電圧と判定基準電圧との比較により、グロープラグの通電状態の強制的変化をさせなくても異常可能性の有無を容易に判定できる。
【0066】
請求項31記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項26において、前記始動完了前状態検出手段は、前記ディーゼルエンジン始動完了前のエンジン状態として、始動時間の長さ及びバッテリ電圧の高さを検出することを特徴とする。
【0067】
このように検出された始動時間の長さ及び始動完了前のバッテリ電圧の高さの両方を、異常可能性判定手段が判定することにより、グロープラグの通電状態の強制的変化をさせなくても、より確実に異常可能性の有無を判定できる。
【0068】
請求項32記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項31において、前記異常可能性判定手段は、前記始動時間が判定基準時間より短いか、あるいは前記バッテリ電圧が判定基準電圧より低下したことが有る場合は異常の可能性無しと判定し、前記始動時間が判定基準時間より長く、かつ前記バッテリ電圧が判定基準電圧より低下したことが無い場合は異常の可能性有りと判定することを特徴とする。
【0069】
このように異常可能性判定手段は、判定基準時間と実際の始動時間とを比較し、判定基準電圧と始動完了前の実際のバッテリ電圧とを比較することにより異常可能性の有無を容易に判定できる。
【0070】
請求項33記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項28又は32において、前記異常可能性判定手段は、前記判定基準時間を冷却水温に応じて設定することを特徴とする。
【0071】
始動時間は温度によっても影響されるので、異常可能性判定手段が、判定基準時間を冷却水温に応じて設定することにより、適切な判定基準時間が得られ、異常可能性の有無をより正確に判定できる。
【0072】
請求項34記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項30又は32において、前記異常可能性判定手段は、前記判定基準電圧を冷却水温に応じて設定することを特徴とする。
【0073】
バッテリ電圧は温度によっても影響されるので、異常可能性判定手段が、判定基準電圧を冷却水温に応じて設定することにより、適切な判定基準電圧が得られ、異常可能性の有無をより正確に判定できる。
【0074】
請求項35記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項24〜34のいずれかにおいて、前記異常有無判定手段は、前記異常可能性判定手段にて異常の可能性有りと判定された場合に、始動のために開始されたグロープラグへの通電オンの設定時間内で前記異常有無判定を完了できない場合には、前記異常有無判定を実行しないことを特徴とする。
【0075】
このようにすることにより、異常有無判定手段は、始動のために開始されたグロープラグへの通電オンの設定時間内で、異常有無判定を完了できることになる。このため、異常有無判定手段による通電状態の強制的変化によって、通常の通電が徒に延長されることがない。したがって異常有無判定によるエネルギー消費を抑制することができる。
【0076】
請求項36記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項24〜35のいずれかにおいて、前記異常有無判定手段は、前記異常可能性判定手段にて異常の可能性有りと判定された場合に、アイドル回転数制御時以外では前記異常有無判定を実行しないことを特徴とする。
【0077】
異常有無判定手段は、異常有無判定の実行をアイドル時に限ることにより、他の要因の影響を受けにくくでき、一層正確な異常有無の判定が可能となる。
請求項37記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項24〜36のいずれかにおいて、前記異常有無判定手段は、前記異常可能性判定手段にて異常の可能性有りと判定された場合に、バッテリ電圧が判定基準電圧範囲以外では前記異常有無判定を実行しないことを特徴とする。
【0078】
バッテリ電圧が低すぎると、オルタネータ等の発電機構に対する負荷が100%に達している場合があり、この状態で異常有無判定手段が通電状態の強制的変化を行ってもディーゼルエンジンの負荷変化がほとんど生じない場合があるため高精度に異常有無の判定ができない。更に、バッテリ電圧が高すぎると、発電機構に対する負荷が0%になっており、この状態で異常有無判定手段が通電状態の強制的変化を行ってもディーゼルエンジンの負荷変化がほとんど生じない場合があるため高精度に異常有無の判定ができない。したがって異常有無判定手段は、判定基準電圧範囲を設けて、バッテリ電圧がこの範囲外では異常有無判定を実行しないことにより、異常有無判定の精度低下を防止している。
【0079】
請求項38記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項24〜37のいずれかにおいて、前記異常有無判定手段は、グロープラグの通電状態の強制的変化に伴うディーゼルエンジンの運転状態変化に基づいてグロープラグの異常有無を判定することを特徴とする。
【0080】
この構成により異常有無判定手段は、確実性が高い異常有無判定ができる。しかも異常可能性判定手段による異常の可能性有りとの判定が、異常有無判定を実行する上での前提であるので、異常有無判定手段による通電状態の強制的変化の実行回数を抑制できる。尚、異常有無判定手段による通電状態の強制的変化を実行する場合には、通電状態の強制的変化は、一度でも良く、二度以上繰り返しても良いが、グローリレーなどの回路開閉機構の耐久性上は、一度又は二度が好ましい。
【0081】
請求項39記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項38において、前記異常有無判定手段は、前記異常可能性判定手段にてグロープラグに異常の可能性有りと判定された場合に、グロープラグの通電状態の第1強制的変化を行い、該第1強制的変化に伴うディーゼルエンジンの運転状態変化に基づいて判定を実行する第1異常判定手段と、前記第1異常判定手段にて正常であると判定されると前記異常有無判定を終了して通電状態を前記第1強制的変化前に戻し、前記第1異常判定手段により正常であると判定できなかった場合に通電状態を前記第1強制的変化前に戻す第2強制的変化を行い、該第2強制的変化に伴うディーゼルエンジンの運転状態変化に基づいて判定を実行し、該判定にて異常であると判定されると前記異常有無判定を終了し、該判定にて異常であると判定できなかった場合に判定を決定せずに前記異常有無判定を終了する第2異常判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0082】
このように異常有無判定手段は、異常であることを第1強制的変化と第2強制的変化との2段階にて確認しており確実な異常判定ができる。しかも第2強制的変化により第1強制的変化は相殺されており、異常を確実に判定できるとともに異常有無判定を終了すると元のグロープラグ通電状態に戻せる。
【0083】
請求項40記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項39において、前記異常有無判定手段の処理開始時において、既に通電オン状態であれば、前記第1異常判定手段による前記第1強制的変化は通電オフに変化する処理であり、前記第2異常判定手段による前記第2強制的変化は通電オンに変化する処理であることを特徴とする。
【0084】
より具体的には、通常の制御によりグロープラグへの通電が行われていたりして既に通電オン状態である場合には、第1異常判定手段による第1強制的変化は通電オフ、第2異常判定手段による第2強制的変化は通電オンとしても良い。このことにより異常有無判定手段は異常を確実に判定できると共に異常有無判定を終了すると、元のグロープラグ通電状態に戻せるので、ディーゼルエンジンの安定運転を阻害しない。
【0085】
請求項41記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項39において、前記異常有無判定手段の処理開始時において、既に通電オフ状態であれば、前記第1異常判定手段による前記第1強制的変化は通電オンに変化する処理であり、前記第2異常判定手段による前記第2強制的変化は通電オフに変化する処理であることを特徴とする。
【0086】
逆に、グロープラグへの通電が終了していて既に通電オフ状態であれば、第1異常判定手段による第1強制的変化は通電オン、第2異常判定手段による第2強制的変化は通電オフとしても良い。このことにより異常有無判定手段は異常を確実に判定できるとともに異常有無判定を終了すると、元のグロープラグ通電状態に戻せる。
【0087】
請求項42記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項40又は41において、前記第1異常判定手段が前記第1強制的変化を実行した場合には、前記第2異常判定手段は、予め設定された時間間隔を経過していなければ前記第2強制的変化は実行しないことを特徴とする。
【0088】
通電オフと通電オンとを短時間間隔で実行すると、グローリレーなどの回路開閉機構の耐久性が低下する可能性がある。このため第2異常判定手段は第1強制的変化後に時間間隔を確保した後に第2強制的変化を実行している。このことにより回路開閉機構の耐久性低下が防止できる。
【0089】
請求項43記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項38〜42のいずれかにおいて、ディーゼルエンジンの運転状態変化とは、エンジン負荷の変化であることを特徴とする。
【0090】
第1異常判定手段による第1強制的変化あるいは第2異常判定手段による第2強制的変化によりグロープラグへの通電が開始したり通電量が増加する場合には、バッテリの消耗速度の上昇に対応して発電量が増加しディーゼルエンジンの負荷が高まる。逆に第1強制的変化あるいは第2強制的変化によりグロープラグへの通電が停止したり通電量が減少する場合には、バッテリの消耗速度の低下に対応して発電量が減少しディーゼルエンジンの負荷が低くなる。このためグロープラグへの通電が正常に行われていない場合には、第1強制的変化あるいは第2強制的変化に対応したエンジン負荷変化が生じない。したがって異常有無判定手段は、ディーゼルエンジンの運転状態変化としてエンジン負荷の変化に基づいてグロープラグの異常有無を判定することができる。
【0091】
請求項44記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項43において、前記異常有無判定手段は、アイドル回転数制御時に燃料噴射量の変化によりエンジン負荷の変化をとらえることを特徴とする。
【0092】
アイドル回転数制御は、ディーゼルエンジンの負荷が高まれば、燃料噴射量を増加することによりディーゼルエンジンの回転数維持を行い、逆に負荷が低くなれば、燃料噴射量を減少することによりディーゼルエンジンの回転数維持を行う。したがってグロープラグへの通電が正常に行われない場合には、第1強制的変化あるいは第2強制的変化に対応した燃料噴射量変化が生じないことになる。このように異常有無判定手段は、燃料噴射量の変化を測定することによりグロープラグの異常有無を判定することができる。
【0093】
請求項45記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項38〜42のいずれかにおいて、ディーゼルエンジンの運転状態変化とは、バッテリ電圧の変化であることを特徴とする。
【0094】
第1強制的変化あるいは第2強制的変化によりグロープラグへの通電が開始されあるいは通電量が増加する場合には、通電のためのバッテリの電圧降下が生じる。逆に第1強制的変化あるいは第2強制的変化によりグロープラグへの通電が停止されあるいは通電量が減少する場合にはバッテリの電圧上昇が生じる。したがってグロープラグへの通電が正常に行われない場合には、第1強制的変化あるいは第2強制的変化に対応したバッテリ電圧の変化は生じない。このため異常有無判定手段は、ディーゼルエンジンの運転状態変化としてバッテリ電圧の変化を測定することによりグロープラグの異常有無を判定することができる。
【0095】
請求項46記載のグロープラグの異常検出装置では、請求項38〜42のいずれかにおいて、ディーゼルエンジンの運転状態変化とは、燃料噴射量の変化及びバッテリ電圧の変化であることを特徴とする。
【0096】
上述したごとく燃料噴射量とバッテリ電圧との両方に第1強制的変化あるいは第2強制的変化が現れるので、異常有無判定手段は、この両方の変化に基づいてグロープラグの異常有無をより正確に判定することができる。
【0097】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1としての蓄圧式ディーゼルエンジン(コモンレール型ディーゼルエンジン)2とその制御系統を示す概略構成図である。本蓄圧式ディーゼルエンジン2は自動車用エンジンとして車両に搭載されているものである。
【0098】
ディーゼルエンジン2には、複数の気筒(本実施の形態では4気筒であるが、1気筒のみ図示している)♯1,#2,#3,♯4が設けられており、各気筒♯1〜♯4の燃焼室に対してインジェクタ4がそれぞれ設けられている。インジェクタ4からディーゼルエンジン2の各気筒♯1〜♯4への燃料噴射は、噴射制御用の電磁弁4aのオン・オフにより制御される。
【0099】
インジェクタ4は、各気筒共通の蓄圧配管としてのコモンレール6に接続されており、前記噴射制御用の電磁弁4aが開いている間、コモンレール6内の燃料がインジェクタ4より各気筒♯1〜♯4内に噴射される。前記コモンレール6には、燃料噴射圧に相当する比較的高い圧力が蓄積されている。この蓄圧を実現するために、コモンレール6は供給配管8を介してサプライポンプ10の吐出ポート10aに接続されている。又、供給配管8の途中には、逆止弁8aが設けられている。この逆止弁8aの存在により、サプライポンプ10からコモンレール6への燃料の供給が許容され、かつコモンレール6からサプライポンプ10への燃料の逆流が阻止されている。
【0100】
サプライポンプ10は、吸入ポート10bを介して燃料タンク12に接続されており、その途中にはフィルタ14が設けられている。サプライポンプ10は、燃料タンク12からフィルタ14を介して燃料を吸入する。又、これとともに、サプライポンプ10は、ディーゼルエンジン2の回転に同期する図示しないカムによってプランジャを往復運動させて、燃料圧力を要求される所定圧にまで高めて、高圧燃料をコモンレール6に供給している。
【0101】
更にサプライポンプ10の吐出ポート10a近傍には、圧力制御弁10cが設けられている。この圧力制御弁10cは、吐出ポート10aからコモンレール6の方へ吐出される燃料圧力を制御するためのものである。この圧力制御弁10cが開かれることにより、吐出ポート10aから吐出されない分の余剰燃料が、サプライポンプ10に設けられたリターンポート10dからリターン配管16を経て燃料タンク12へと戻されるようになっている。
【0102】
ディーゼルエンジン2の各気筒♯1〜♯4の燃焼室には、吸気通路18および排気通路20がそれぞれ接続されている。吸気通路18には図示しないスロットルバルブが設けられており、このスロットルバルブをディーゼルエンジン2の運転状態により開度調整することにより、燃焼室内に導入される吸入空気の流量が調整される。
【0103】
又、ディーゼルエンジン2の各気筒♯1〜♯4の燃焼室内には、グロープラグ22が配設されている。このグロープラグ22は、ディーゼルエンジン2の始動直前にグローリレー22aを介して電流が流されることにより赤熱し、これに燃料噴霧の一部が吹きつけられることで着火・燃焼が促進される始動補助装置である。このグロープラグ22は後述するごとくの処理により断線等の異常判定がなされる。
【0104】
ディーゼルエンジン2には、以下の各種センサ等が設けられており、これらは、本実施の形態1において、ディーゼルエンジン2の運転状態を検出する。すなわち、図1に示すように、アクセルペダル24の近傍には、アクセル開度ACCPFを検出するためのアクセルセンサ26が設けられている。又、ディーゼルエンジン2には、ディーゼルエンジン2を始動させるためのスタータ30が設けられている。このスタータ30には、その作動状態を検知するスタータスイッチ30aが設けられている。ディーゼルエンジン2のシリンダブロックには、その冷却水の温度(冷却水温THW)を検出するための水温センサ32が設けられている。更にオイルパン(図示略)にはエンジンオイルの温度THOを検出する油温センサ34が設けられている。また前記リターン配管16には、燃料温度THFを検出するための燃温センサ36が設けられている。又、前記コモンレール6にはコモンレール6内の燃料の圧力を検出するために燃圧センサ38が設けられている。ディーゼルエンジン2のクランクシャフト(図示略)に設けられたパルサ(図示略)の近傍には、NEセンサ40が設けられている。更にクランクシャフトの回転は、吸気弁18aおよび排気弁20aを開閉動作させるためのカムシャフト(図示略)にタイミングベルト等を介して伝達される。このカムシャフトは、クランクシャフトの1/2回転の回転速度で回転するよう設定されている。このカムシャフトに設けられたパルサ(図示略)の近傍には、気筒判別センサ42が設けられている。そして、本実施の形態1ではこれら両センサ40,42から出力されるパルス信号により、エンジン回転数NE、クランク角CA、第1気筒♯1の吸気上死点(TDC)が算出されている。トランスミッション44には、シフトポジションセンサ46が設けられて、トランスミッション44のシフト状態を検出している。またトランスミッション44の出力軸側には、出力軸の回転数から車速SPDを検出する車速センサ48が設けられている。またディーゼルエンジン2の出力により駆動するエアコン装置(図示略)が設けられるとともに、このエアコン装置の駆動を指示するためのエアコンスイッチ50が設けられている。
【0105】
本実施の形態1においては、ディーゼルエンジン2の各種制御を司るための電子制御装置(ECU)52が設けられており、このECU52により、後述する燃料噴射量制御やグロー通電制御等のディーゼルエンジン2を制御するための処理や、後述するグロー通電異常を判定するための処理等が行われる。ECU52は、中央処理制御装置(CPU)、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)、演算結果や予め記憶されたデータ等を保存するバックアップRAM、タイマカウンタ、入力インターフェース、出力インターフェース等を備えたマイクロコンピュータを中心として構成されている。前述したアクセルセンサ26、水温センサ32、油温センサ34、燃温センサ36、燃圧センサ38等は、それぞれバッファ、マルチプレクサ、A/D変換器(いずれも図示せず)を介してECU52の入力インターフェースに接続されている。又、NEセンサ40、気筒判別センサ42、車速センサ48等は、波形整形回路(図示せず)を介してECU52の入力インターフェースに接続されている。さらにスタータスイッチ30a、シフトポジションセンサ46、エアコンスイッチ50等はECU52の入力インターフェースに直接接続されている。これ以外にバッテリ電圧VBおよびオルタネータの制御デューティDF等がECU52に入力されて、その値が読み込まれている。CPUは、上記各センサやスイッチ類の信号を入力インターフェースを介して読み込む。また電磁弁4a、圧力制御弁10c、グローリレー22a等は、それぞれ駆動回路を介してECU52の出力インターフェースに接続されている。CPUは、入力インターフェースを介して読み込んだ入力値に基づき制御演算を行い、出力インターフェースを介して前記電磁弁4a、圧力制御弁10c、グローリレー22a等を好適に制御する。
【0106】
ここで図2の電力供給系統図に示すごとく、オルタネータ54およびエアコン用コンプレッサ56は、ディーゼルエンジン2のクランクシャフト2aからベルト2bを介して回転駆動される。オルタネータ54内部には電圧レギュレータ54aが備えられている。この電圧レギュレータ54aはオルタネータ用コントローラ58からのデューティ信号に応じた電圧がオルタネータ54から出力されるようにしている。コントローラ58はバッテリ60の電圧VBを検出し、バッテリ60の充電状態を適切な状態に維持するように、電圧レギュレータ54aに対してデューティ制御を実行している。グロープラグ22は、ECU52によりグローリレー22aがオンされている場合に、バッテリ60およびオルタネータ54から電力を供給されることにより発熱することができる。
【0107】
次に、本実施の形態において、ECU52により実行される制御のうち、燃料噴射量制御処理およびグロー通電制御処理について説明する。
図3および図4は燃料噴射量制御処理を示している。本処理は一定クランク角毎(爆発行程毎)の割り込みで実行される。なお個々の処理に対応するフローチャート中のステップを「S〜」で表す。
【0108】
燃料噴射量制御処理が開始されると、まず、NEセンサ40の信号により検出されているエンジン回転数NE、アクセルセンサ26の信号により検出されているアクセル開度ACCPF、シフトポジションセンサ46の信号により検出されているシフトポジションSFT、及び車速センサ48の信号により検出されている車速SPD等の制御に必要なデータが、ECU52のRAM内の作業領域に読み込まれる(S110)。
【0109】
次に、エンジン回転数NEおよびアクセル開度ACCPFに基づいて、エンジン回転数NEおよびアクセル開度ACCPFをパラメータとするアイドル時ガバナ噴射量指令値マップからアイドル時ガバナ噴射量指令値QGOV1を算出する(S120)。このマップは、予めアイドル時用に実験的に定められてECU52のROM内に記憶されているものである。尚、このマップでは離散的に数値が配置されているので、パラメータとして一致する値が存在しない場合には、補間計算により求めることになる。このようなマップの設定および補間による算出は、他のマップにおいても同様である。
【0110】
次に、エンジン回転数NEおよびアクセル開度ACCPFに基づいて、エンジン回転数NEおよびアクセル開度ACCPFをパラメータとするアイドル以外用ガバナ噴射量指令値マップからアイドル以外用ガバナ噴射量指令値QGOV2を算出する(S130)。更にアイドル以外用ガバナ噴射量指令値QGOV2に対する補助的な特性を与える補助ガバナ噴射量指令値QGOV3を、エンジン回転数NEおよびアクセル開度ACCPFに基づいて、エンジン回転数NEおよびアクセル開度ACCPFをパラメータとする補助ガバナ噴射量指令値マップから算出する(S140)。
【0111】
次に、アイドル以外か否かが判定される(S150)。例えば、暖機完了後において、車速SPDが0km/hであり、アクセルセンサ26がアクセル開度ACCPF=0%を示している場合には、アイドル状態にあるものと判定される。アイドル状態であれば(S150で「NO」)、次式1に示すごとく、アイドル時の目標回転数NTRGと実際の回転数NEとの回転数偏差NEDLが算出される(S160)。
【0112】
【数1】
NEDL ← NTRG − NE … [式1]
次に回転数偏差NEDLに応じた噴射量補正値QIIDLを、回転数偏差NEDLをパラメータとするマップから求める(S170)。このマップの代わりに、回転数偏差NEDLをパラメータとする関数から噴射量補正値QIIDLを求めても良い。
【0113】
そして次式2のごとく、噴射量補正値QIIDLの値に基づいて、アイドル噴射量補正値QIIを算出する(S180)。
【0114】
【数2】
QII ← QII ± QIIDL … [式2]
ここで、右辺のQIIは前回の制御周期時に求められたアイドル噴射量補正値QIIである。また「± QIIDL」は、NTRG≧NEの場合は「+ QIIDL」を意味し、NTRG<NEの場合は「− QIIDL」を意味する。
【0115】
ステップS180の次に次式3により、ガバナ噴射量指令値QGOVが算出される(S190)。尚、ステップS150にてアイドル以外であると判定された場合(S150で「YES」)は、直接、ガバナ噴射量指令値QGOVの算出処理(S190)に移る。
【0116】
【数3】
Figure 0004051981
ここで、QIPはアイドル時にエアコンなどの負荷が生じている場合のオフセット値であり、QIPBはアイドル以外の場合にエアコンなどの負荷が生じている場合のオフセット値である。また、MAX()は、括弧内の値の内の最大値を抽出する演算子である。
【0117】
次に、加減速時か否かが判定される(S200)。この判定は、例えば、ガバナ噴射量指令値QGOVが、前回の制御周期時に算出されている基本噴射量指令値QBASEOLに比較して大きくあるいは小さくなっているか否かにより判定される。
【0118】
加減速時であれば(S200で「YES」)、次にガバナ噴射量指令値QGOVの増減抑制処理がなされる。これはガバナ噴射量指令値QGOVが急速に変化する場合に生じるショックを防止するために行われるものである。したがって基本噴射量指令値QBASEOLに比較して大きく変化したガバナ噴射量指令値QGOVがステップS190にて算出された場合には、ガバナ噴射量指令値QGOVの値はショックが生じないように補正される。
【0119】
次に基本噴射量指令値QBASEとしてガバナ噴射量指令値QGOVの値が設定される(S220)。なおステップS200にて加減速時でないと判定された場合(S200で「NO」)は、直接、ステップS220の処理に移る。
【0120】
そして、この基本噴射量指令値QBASEを、次式4に表すごとく最大噴射量指令値QFULLにてガード処理して最終基本噴射量指令値QFINCを算出する(S230)。
【0121】
【数4】
QFINC ← MIN(QBASE,QFULL) … [式4]
ここで、MIN()は、括弧内の値の内の最小値を抽出する演算子である。
【0122】
次に、次式5に示すごとく、最終基本噴射量指令値QFINCからパイロット噴射量指令値QPLが減算されて、メイン噴射量指令値QFPLが算出される(S240)。
【0123】
【数5】
QFPL ← QFINC − QPL … [式5]
次に、メイン噴射量指令値QFPLの値に基づいて、マップあるいは関数fqによりメイン噴射期間TQFPLが算出される(S250)。更に、パイロット噴射量指令値QPLの値に基づいて、マップあるいは関数fpによりパイロット噴射期間TQPLが算出される(S260)。そして、前回基本噴射量指令値QBASEOLに、今回算出された基本噴射量指令値QBASEを設定する(S270)。こうして燃料噴射量制御処理を一旦終了する。
【0124】
尚、グロー通電制御処理は、イグニッションスイッチのオンが検出されるとグロープラグ22への通電をオンして、グロープラグ22にバッテリ60から給電させ、このことによりグロープラグ22の発熱を開始させる。そしてスタータ30のオンによりディーゼルエンジン2の始動が開始し、その後、始動が完了すると、遅延時間経過後にグロープラグ22への通電をオフするように、ECU52により制御されている。ここで前記遅延時間は冷却水温THWが高ければ短くなるように制御されている。
【0125】
次にグロープラグ22の断線等の異常を検出する処理について説明する。図5及び図8〜13に該当する処理を示す。
まず、始動時前提条件算出処理(図5)について説明する。本処理はECU52の電源オンにより時間周期で繰り返し実行されるものである。本処理が開始されると、まず後述する始動時前提条件が未決定状態か否かが判定される(S300)。電源オン時の初期設定状態では未決定状態とされているので(S300で「YES」)、次に水温センサ32により検出される冷却水温THWが予め設定されている水温判定値以下か否かが判定される(S301)。冷却水温THW>水温判定値である場合には、グロープラグ22が正常に発熱している場合と、断線などにより発熱していない場合とでエンジン始動性に顕著な差が生じない。このためステップS304〜S314にて行う始動時前提条件の判定処理は高精度にできないのでステップS301では「NO」と判定する。このことにより始動時前提条件に「ON」を設定する(S318)。こうして一旦本処理を終了する。このことにより始動時前提条件が決定するので次の制御周期では、ステップS300で「NO」と判定されるようになり、始動時前提条件算出処理(図5)の実質的な処理は終了する。又、始動時前提条件が「ON」と決定したので、後述するグロープラグ22に対する通電(以下「グロー通電」と称する)を強制的にオン・オフするグロー異常判定が実行されることになる。
【0126】
一方、冷却水温THW≦水温判定値である場合には(S301で「YES」)、次に始動が完了したか否かが判定される(S302)。始動が完了していなければ(S302で「NO」)、このまま本処理を一旦終了する。始動が完了するまではステップS302で「NO」と判定される処理が繰り返されるのみである。この期間に、クランキングによりエンジン始動が開始されて、インジェクタ4から噴射される燃料の燃焼によりエンジン回転数NEが始動完了を判定する回転数まで到達すると始動が完了する。
【0127】
エンジン始動が完了すると(S302で「YES」)、次に始動時間Tstaが読み込まれる(S304)。この始動時間TstaはECU52が別途実行する処理により、前記始動開始から始動完了までの時間をカウントした値である。
【0128】
次に始動開始時冷却水温度THWsを読み込む(S306)。この始動開始時冷却水温度THWsは、ECU52が別途行う処理により前記始動開始時に検出してメモリに保持しておいた冷却水温THWである。
【0129】
次に標準始動時間Tstanorm(判定基準時間に相当)が算出される(S308)。この標準始動時間Tstanormは、グロープラグ22が正常に発熱している場合に予想される始動時間の上限値、あるいはこの上限値から更に許容される範囲を示す始動時間である。この標準始動時間Tstanormは始動開始時冷却水温度THWsに応じて変化するので、例えば図6に構成を示すマップをECU52のROM中に記憶しておいてステップS308にて始動開始時冷却水温度THWsに基づいて標準始動時間Tstanormを算出する。
【0130】
次に実際の始動時間Tstaが標準始動時間Tstanormより長いか否かが判定される(S310)。ここでTsta≦Tstanormであれば(S310で「NO」)、グロープラグ22は正常に発熱して円滑な始動が行われたことを示しているので、後述する強制的なグロー通電オン・オフを行う異常判定処理を実行させないために始動時前提条件に「OFF」を設定して(S316)、一旦本処理を終了する。このことにより始動時前提条件が決定し、次の制御周期ではステップS300で「NO」と判定されるようになり、始動時前提条件算出処理(図5)の実質的な処理は終了する。このように始動時前提条件に「OFF」が設定された状態はグロー通電の異常の可能性が無いことを表している。
【0131】
一方、Tsta>Tstanormであれば(S310で「YES」)、次に始動時におけるバッテリ電圧VBの履歴を読み込む(S312)。始動時、すなわち始動開始から始動完了までにおけるバッテリ電圧VBは、ECU52により別途実行される処理により検出されている。そして同処理にて、例えば図7に示すマップにより始動開始時冷却水温度THWsに基づいて算出される始動時標準最低電圧Vstanorm(判定基準電圧に相当)よりも、バッテリ電圧VBが低下している状態が存在したか否かが履歴としてメモリに記憶されている。この始動時標準最低電圧Vstanormは、グロープラグ22が正常に給電されて発熱している場合に予想されるバッテリの電圧降下の程度、あるいはこの電圧降下の程度から更に許容される範囲を示す電圧値である。
【0132】
そしてこの履歴の内容に基づいて、始動時に実際にバッテリ電圧VBが始動時標準最低電圧Vstanormより低下していたか否かが判定される(S314)。低下していたならば(S314で「YES」)、グロープラグ22は正常に発熱したことを示しており、始動時間Tstaが長いのはグロー通電の異常とは異なる別の要因によると考えられる。
【0133】
したがって、前述したごとく始動時前提条件に「OFF」を設定して(S316)、一旦本処理を終了する。このことにより始動時前提条件が決定し、次の制御周期ではステップS300で「NO」と判定されるようになり、始動時前提条件算出処理(図5)の実質的な処理は終了する。このように始動時前提条件に「OFF」が設定された状態はグロー通電の異常の可能性が無いことを表している。
【0134】
一方、始動時にバッテリ電圧VBが始動時標準最低電圧Vstanormより低下していなければ(S314で「NO」)、始動時前提条件に「ON」を設定して(S318)、一旦本処理を終了する。このことにより始動時前提条件が決定し、次の制御周期ではステップS300で「NO」と判定されるようになり、始動時前提条件算出処理(図5)の実質的な処理は終了する。
【0135】
このように始動時前提条件に「ON」が設定された状態は、他の要因でステップS310で「YES」及びステップS314で「NO」と判定されたかもしれないが、グロー通電の異常の可能性があることを表している。
【0136】
次に後述する仮異常判定処理(図10)及び本異常判定処理(図11)を実行するための条件を判定するグロー異常判定実行条件算出処理(図8,9)について説明する。本処理は時間周期で繰り返し実行される。本処理が開始されると、まず始動時前提条件算出処理(図5)にて始動時前提条件が決定されているか否かが判定される(S400)。始動時前提条件が「ON」又は「OFF」に決定されていなければ(S400で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。
【0137】
始動時前提条件算出処理(図5)にて始動時前提条件が「ON」又は「OFF」のいずれかに決定されていれば(S400で「YES」)、次に未だグロー異常判定実行許可がなされていない状態か否かが判定される(S402)。電源オン時の初期設定ではグロー異常判定実行許可はなされていないので、最初はステップS402では「YES」と判定される。
【0138】
そして次に判定用のセンサ類が正常か否かが判定される(S404)。具体的には、グロー異常判定実行許可をするか否かを判断するために、情報が必要とされる水温センサ32、車速センサ48及びその他のセンサ類において異常が有るか否かを判定するものである。このセンサ類の正常か否かは、例えばECU52が別途実行している各センサ類の異常検出処理により求められているデータを利用する。
【0139】
これらのセンサ類の1つでも異常なものが存在すれば(S404で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。そしてこれらセンサ類の1つでも異常である限り、正確な異常判定はできないので、グロー異常判定実行許可(S426)がなされることはない。
【0140】
該当するセンサ類が全て正常であれば(S404で「YES」)、次に水温センサ32にて検出されている冷却水温THWが判定基準温度範囲(例えば、0〜20℃)に存在するか否かが判定される(S406)。この判定基準温度範囲はディーゼルエンジンの種類に対応して設定されているものであり、アイドル運転時にてグロープラグ22の発熱が正常になされている時と発熱が不十分な時とで明確にエンジン運転状態に差が出る範囲でかつ異常検出に適切な範囲に設定されているものである。すなわち、判定基準温度範囲から極低温側に外れている場合では、グロー通電が異常で発熱が不十分であれば始動が困難となり運転者自身がグロー通電の異常を検知できる。又、このような極低温時ではグロープラグ22が正常に発熱して始動できたとしても始動後のアイドル状態での燃焼が不安定となり高精度にグロー通電の異常が検出できない。更に、判定基準温度範囲から高温側に外れている場合では、グロープラグ22が異常で発熱が不十分であっても円滑なエンジン運転が行われることから、グロー通電の異常が高精度に検出できない。
【0141】
冷却水温THWが判定基準温度範囲に存在しなければ(S406で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。
一方、冷却水温THWが判定基準温度範囲に存在すれば(S406で「YES」)、次にアクセルセンサ26にて検出されるアクセル開度ACCPFが全閉(ACCPF=0%)を示しているか否かが判定される(S408)。アクセル開度が全閉状態でなければ(S408で「NO」)、すなわちアイドル運転状態でなければ噴射量が安定せず、後述する異常判定処理にて高精度に異常判定できないため、このまま一旦本処理を終了する。
【0142】
一方、アクセル開度が全閉状態であれば(S408で「YES」)、次に車速センサ48にて検出される車速が「0km/h」か否かが判定される(S410)。車速が「0km/h」ではない場合(S410で「NO」)、すなわち車両が走行している場合には、アイドル運転状態でなく燃料噴射量が安定しないために後述する異常判定処理にて高精度に異常判定できないため、このまま一旦本処理を終了する。
【0143】
一方、車速が「0km/h」であれば(S410で「YES」)、次にバッテリ電圧VBが判定基準電圧範囲内に存在するか否かが判定される(S412)。この判定基準電圧範囲はディーゼルエンジンの種類に対応して設定されており、正常にグロー通電されている時とグロー通電がなされていない時とで燃料噴射量に明確にエンジン運転状態に差が出る範囲に設定されている。すなわち判定基準電圧範囲よりも低電圧側に外れている場合では、オルタネータ54の負荷が100%に達しており、この状態でグロー通電をオン・オフ間で切り替えてもエンジン負荷変化がほとんど生じない場合があるため高精度にグロー通電の異常が検出できない。更に、判定基準電圧範囲から高電圧側に外れている場合では、オルタネータ54の負荷が0%になっており、グロー通電をオン・オフ間で切り替えてもエンジン負荷変化がほとんど生じない場合があるため高精度にグロー通電の異常が検出できない。
【0144】
バッテリ電圧VBが判定基準電圧範囲に存在しなければ(S412で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。
一方、バッテリ電圧VBが判定基準電圧範囲に存在すれば(S412で「YES」)、次にNEセンサ40にて検出されるエンジン回転数NEとECU52が設定している目標アイドル回転数NTRGとの偏差(|NE−NTRG|)が判定基準偏差範囲に存在するか否かが判定される(S414)。この判定基準偏差範囲はディーゼルエンジンの種類に対応して設定されており、アイドル回転数制御による燃料噴射量変化が大きくならない範囲を規定するものである。このことにより、後述する異常判定処理にてグロー通電のオン・オフの切り替えによる燃料噴射量の差が明確に判定できるようにされている。
【0145】
前記偏差(|NE−NTRG|)が判定基準偏差範囲に存在しなければ(S414で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。
一方、前記偏差(|NE−NTRG|)が判定基準偏差範囲に存在すれば(S414で「YES」)、始動完了後にエンジン安定化時間を経過したか否かが判定される(S416)。エンジン始動完了直後は燃料噴射量が不安定となり易い。このため、グロー通電のオン・オフの切り替えによる燃料噴射量の差が明確に判定できるように、燃料噴射量が安定化すると推定できるまでの時間、すなわちエンジン安定化時間を設定している。尚、低温時ほど安定化に時間がかかるため、冷却水温THWが低いほどエンジン安定化時間を長くなるように、マップなどで設定しても良い。
【0146】
始動完了から未だエンジン安定化時間が経過していなければ(S416で「NO」)、燃料噴射量が安定化まで待機するために、このまま一旦本処理を終了する。
【0147】
その後、エンジン安定化時間が経過すれば(S416で「YES」)、次に前記グロー通電制御処理により実行されているグロー通電時間の残りが、異常判定実行可能時間以上存在するか否かが判定される(S418)。この異常判定実行可能時間は予め設定されており、後述する2つの異常判定処理(図10,11)により一旦グロー通電を強制的にオフとしてエンジン運転状態変化を検出し、更に強制的にオンに戻してエンジン運転状態変化を検出できるのに必要な時間を意味する。
【0148】
このステップS418の実行時点で既にグロー通電時間の残りが異常判定実行可能時間を下回っていれば(S418で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。以後、今回のトリップ内では、後述する異常判定処理(図10,11)は実行されることはない。
【0149】
一方、グロー通電時間の残りが異常判定実行可能時間以上有れば(S418で「YES」)、次に今回のトリップにおいて、既に異常判定処理(図10,11)により強制的なグロー通電切り替え制御が実行された履歴がないか否かが判定される(S420)。これは1つのトリップでは1回の異常判定処理(図10,11)のみ許すこととして、グローリレー22aの切り替えを最低限とし、グローリレー22aの耐久性低下を防止するためである。
【0150】
今回のトリップで既に異常判定処理(図10,11)を実施していれば(S420で「NO」)、今回のトリップでは、再度、異常判定処理(図10,11)は実行しないので、このまま一旦本処理を終了する。
【0151】
次に前述した始動時前提条件算出処理(図5)にて始動時前提条件が「ON」に設定されているか否かが判定される(S422)。ここで始動時前提条件が「OFF」に設定されていれば(S422で「NO」)、次にECU52が記憶している前回以前のトリップで既に本異常判定が「ON」に設定されているか否かが判定される(S424)。以前のトリップで本異常判定が「ON」に設定されていない場合には(S424で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。
【0152】
一方、前回以前のトリップで既に本異常判定が「ON」に設定されている場合(S424で「YES」)には、本異常判定は「OFF」に戻されて(S425)、グロー異常判定実行が許可される(S426)。
【0153】
又、始動時前提条件が「ON」に設定されている場合(S422で「YES」)には、正常判定が「OFF」に設定されて(S423)からグロー異常判定実行が許可される(S426)。すなわちステップS422で「YES」と判定された場合は、前述した始動時前提条件算出処理(図5)にて異常可能性が有る(S314で「NO」)とされたか、あるいは異常可能性の判定自体ができなかった(S301で「NO」)場合である。したがって後述する異常判定処理(図10,11)を実行して異常有無を判定することになる。
【0154】
又、ステップS424で「YES」と判定された場合には、前回以前のトリップでグロー通電に異常が存在していることが判明したため既に修理が完了している可能性がある。このため始動時前提条件算出処理(図5)にて異常可能性が無い(S316)とされても、後述する異常判定処理(図10,11)を実行して修理により正常な状態になったか否かを情報として残す処理を行う。
【0155】
次に強制的にグロー通電の切り替えを行う異常判定処理(図10,11)について説明する。図10は仮異常判定処理、図11は本異常判定処理を表し、これらの処理は時間周期で繰り返し実行される。
【0156】
仮異常判定処理(図10)が開始されると、まず前述したグロー異常判定実行条件算出処理(図8,9)のステップS426によりグロー異常判定実行の許可がなされているか否かが判定される(S500)。未だグロー異常判定実行の許可がなされていなければ(S500で「NO」)、このまま一旦本処理を終了し、実質的な処理はなされない。
【0157】
グロー異常判定実行の許可がなされていれば(S500で「YES」)、次にグロー異常判定実行の許可がなされて最初の処理か否かが判定される(S502)。最初の処理で有れば(S502で「YES」)、次にこの時の目標アイドル回転数NTRGがグローオフ直前目標アイドル回転数NToldとしてメモリに記憶される(S504)。これは後述するグロー異常判定停止条件算出処理(図12)にて目標アイドル回転数NTRGの変化有無判定に用いられる。
【0158】
次に、この時の最終基本噴射量指令値QFINC(図4:S230)がグローオフ直前最終基本噴射量指令値Qold1としてメモリに記憶される(S506)。そして、この時のバッテリ電圧VBがグローオフ直前バッテリ電圧VBold1としてメモリに記憶される(S508)。
【0159】
そしてイグニッションスイッチ・オンから現在まで継続しているグロー通電を強制的にオフする(S510)。このことにより直前までグロー通電されていた分の電気エネルギーが消失し、電気エネルギー全体の消費が大きく低下する。このため電気エネルギー消費低減に対応してディーゼルエンジン2に対する負荷が低下する。したがって前記燃料噴射量制御処理(図3,4)の一部で実行しているアイドル回転数制御においては、同一の目標アイドル回転数NTRGを維持するために最終基本噴射量指令値QFINCが低下される。又、バッテリ電圧VBもグロープラグ22への通電停止により上昇する。
【0160】
次に上述したディーゼルエンジン2に対する負荷が正常に低下したことを判定するために、アイドル回転数制御下での最終基本噴射量指令値QFINCの変化と、バッテリ電圧VBの変化を判定する。
【0161】
まず次式6を満足した状態がエンジン負荷低下を判定するに必要な時間継続したか否かが判定される(S512)。
【0162】
【数6】
Qold1 − QFINC ≧ dQ1 … [式6]
ここで低下判定値dQ1は、電気エネルギー消費低減に対応した燃料噴射量低下分の最低限の値を予め実験等により求めて設定したものである。
【0163】
前記式6を満足していない場合や、前記式6を満足してもエンジン負荷低下判定に必要な時間継続していない場合には(S512で「NO」)、次式7を満足した状態がバッテリ電圧VBの上昇を判定するに必要な時間継続したか否かが判定される(S514)。
【0164】
【数7】
VB − VBold1 ≧ dV1 … [式7]
ここで上昇判定値dV1は、グロー通電オフに対応したバッテリ電圧VBの上昇の最低限の値を予め実験等により求めて設定したものである。
【0165】
前記式7を満足していない場合や、前記式7を満足しても電圧上昇判定に必要な時間継続していない場合には(S514で「NO」)、次式8を満足した状態がエンジン負荷の無変化状態を判定するに必要な時間継続したか否かが判定される(S516)。
【0166】
【数8】
Qold1 − QFINC < dQ1 … [式8]
この式8は前記式6が満足されていない状態を表している。
【0167】
前記式8を満足していない場合や、前記式8を満足してもエンジン負荷の無変化判定に必要な時間継続していない場合には(S516で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。
【0168】
前記式6を満足した状態がエンジン負荷低下を判定するに必要な時間継続した場合(S512で「YES」)、又は前記式7を満足した状態がバッテリ電圧VBの上昇を判定するに必要な時間継続した場合(S514で「YES」)には、正常判定は「ON」に設定される(S518)。すなわちステップS512又はステップS514にて「YES」と判定される状態は、強制的なグロー通電オフ(S510)の前には、正常にグロー通電が実行されており、ステップS510にてECU52の指令通りにグロー通電がオフとなったことを示している。したがって正常判定「ON」との情報がECU52内のバックアップRAMに記憶される。こうして一旦本処理を終了する。尚、正常判定が「ON」となれば、後述するグロー異常判定停止条件算出処理(図12,13)により、再度、グロー通電はオンに戻されるとともに、本異常判定処理(図11)は実行されない。
【0169】
一方、ステップS512もステップS514も共に満足されない内に、前記式8を満足した状態がエンジン負荷の無変化状態を判定するに必要な時間継続した場合(S516で「YES」)、仮異常判定は「ON」に設定される(S520)。すなわち強制的なグロー通電オフ(S510)の前には、正常にグロー通電がオンされていないか、あるいはステップS510でのECU52の指令通りにグロー通電がオフとならなかったことを示している。したがって仮異常判定「ON」との情報がECU52内のバックアップRAMに記憶される。こうして一旦本処理を終了する。このように仮異常判定「ON」とされたことにより、後述するグロー異常判定停止条件算出処理(図12,13)により、仮異常判定処理(図10)は停止されるとともに、本異常判定処理(図11)の実質的な処理が実行されるようになる。
【0170】
本異常判定処理(図11)について説明する。本処理は時間周期で繰り返し実行される。本処理が開始されると、まず仮異常判定が「ON」か否かが判定される(S600)。前述した仮異常判定処理(図10)にて仮異常判定が「ON」と設定されるまでは、初期設定にて設定された仮異常判定「OFF」の状態が継続しているので(S600で「NO」)、このまま一旦本処理を終了し、実質的な処理はなされない。
【0171】
しかし、前述したごとく仮異常判定処理(図10)にて仮異常判定が「ON」に設定されると(S600で「YES」)、次に仮異常判定処理(図10)のステップS510での強制的グロー通電「OFF」から待機時間が経過したか否かが判定される(S601)。この待機時間は、短時間にグローリレー22aのオンオフ間の切り替えが行われるのを防止して、グローリレー22aの耐久性低下を防止するために予め設けられている。この待機時間は、グローリレー22aの種類や電流量によっても異なるが、例えば100msecの時間が設定されている。
【0172】
待機時間が経過していない間は(S601で「NO」)、このまま一旦本処理を終了し、本異常判定処理での実質的処理は開始されない。
待機時間が経過すると(S601で「YES」)、次にステップS601にて「YES」と判定されてから最初の処理か否かが判定される(S602)。最初の処理で有れば(S602で「YES」)、次にこの時の最終基本噴射量指令値QFINCがグローオン直前最終基本噴射量指令値Qold2としてメモリに記憶される(S604)。そして、この時のバッテリ電圧VBがグローオン直前バッテリ電圧VBold2としてメモリに記憶される(S606)。
【0173】
そしてグロー通電停止状態から強制的に通電をオンする(S608)。このことによりグロー通電が再開されて電気エネルギーの消費が大きく上昇する。このため電気エネルギー消費上昇に対応してディーゼルエンジン2に対するエンジン負荷が上昇する。したがって前記燃料噴射量制御処理(図3,4)の一部で実行しているアイドル回転数制御においては、同一の目標アイドル回転数NTRGを維持するために最終基本噴射量指令値QFINCが上げられる。又、バッテリ電圧VBもグロープラグ22への通電開始により降下する。
【0174】
次にエンジン負荷が正常に上昇したことを判定するために、アイドル回転数制御下での最終基本噴射量指令値QFINCの変化と、バッテリ電圧VBの変化を判定する。
【0175】
まず次式9を満足した状態がエンジン負荷の上昇を判定するに必要な時間継続したか否かが判定される(S610)。
【0176】
【数9】
QFINC − Qold2 ≧ dQ2 … [式9]
ここで上昇判定値dQ2は、電気エネルギー消費増加に対応した燃料噴射量上昇分の最低限の値を予め実験等により求めて設定したものである。
【0177】
前記式9を満足していない場合や、前記式9を満足してもエンジン負荷上昇判定に必要な時間継続していない場合には(S610で「NO」)、次式10を満足した状態がバッテリ電圧VBの降下を判定するに必要な時間継続したか否かが判定される(S612)。
【0178】
【数10】
VBold2 − VB ≧ dV2 … [式10]
ここで降下判定値dV2は、グロー通電オンに対応したバッテリ電圧VB降下の最低限の値を予め実験等により求めて設定したものである。
【0179】
前記式10を満足していない場合や、前記式10を満足しても電圧降下判定に必要な時間継続していない場合には(S612で「NO」)、次式11を満足した状態がエンジン負荷の無変化状態を判定するに必要な時間継続したか否かが判定される(S614)。
【0180】
【数11】
QFINC − Qold2 < dQ2 … [式11]
この式11は前記式9が満足されていない状態を表している。
【0181】
前記式11を満足していない場合や、前記式11を満足してもエンジン負荷の無変化判定に必要な時間継続していない場合には(S614で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。
【0182】
前記式9を満足した状態がエンジン負荷上昇を判定するに必要な時間継続した場合(S610で「YES」)、又は前記式10を満足した状態がバッテリ電圧VBの降下を判定するに必要な時間継続した場合(S612で「YES」)には、仮異常判定は「OFF」に戻される(S616)。すなわちステップS610又はステップS612にて「YES」と判定される状態は、強制的なグロー通電オン(S608)の前にグロー通電が確かにオフとなっており、ステップS608でのECU52の指令通りにグロー通電がオンとなったことを示している。このことは仮異常判定処理(図10)では何らかの原因によりグロー通電が実際にオフされたのにもかかわらず、通電オフが明確に検出されなかったことを示しており、今回の本異常判定処理(図11)にてグロープラグ22が正常に機能していることが確認されたことを示している。
【0183】
したがって仮異常判定は「OFF」に戻されてECU52内のバックアップRAMに記憶される。こうして一旦本処理を終了する。以後の制御周期では、仮異常判定「OFF」となることにより、ステップS600にて「NO」と判定されるようになるので、本異常判定処理(図11)の実質的処理は終了する。尚、グロー通電はオンに戻されているので、イグニッションスイッチ・オンにより開始された前記グロー通電制御処理によるグロー通電時間の残り分の時間の通電が継続した後、グロー通電はオフされる。
【0184】
一方、ステップS610もステップS612も共に満足されない内に、前記式11を満足した状態がエンジン負荷の無変化状態を判定するに必要な時間継続した場合(S614で「YES」)、本異常判定が「ON」に設定される(S618)。すなわち前記仮異常判定処理(図10)における異常であるとの判定(仮異常判定)とともに、本異常判定処理(図11)にても異常であるとの判定がなされたことを示している。したがってグロー通電が異常であることに高い確実性が存在するので、本異常判定「ON」との情報がECU52内のバックアップRAMに記憶される。こうして一旦本処理を終了する。このように本異常判定「ON」とされたことにより、後述するグロー異常判定停止条件算出処理(図12,13)により本異常判定処理(図11)が停止される。
【0185】
グロー異常判定停止条件算出処理(図12,13)について説明する。本処理は時間周期で繰り返し実行され、前記仮異常判定処理(図10)及び前記本異常判定処理(図11)を停止するために実行される。
【0186】
本処理が開始されると、まず前述したグロー異常判定実行条件算出処理(図8,9)のステップS426によるグロー異常判定実行の許可がなされているか否かが判定される(S700)。未だグロー異常判定実行の許可がなされていなければ(S700で「NO」)、このまま一旦本処理を終了し、実質的な処理はなされない。
【0187】
グロー異常判定実行の許可がなされていれば(S700で「YES」)、前述したグロー異常判定実行条件算出処理(図8,9)のステップS404〜S412と同じ処理(S702〜S710)が行われる。すなわち判定用センサ類が正常か否かが判定される(S702)。判定用センサ類が正常であれば(S702で「YES」)、冷却水温THWが判定基準温度範囲に存在するか否かが判定される(S704)。冷却水温THWが判定基準温度範囲に存在すれば(S704で「YES」)、アクセル開度ACCPFが全閉か否かが判定される(S706)。アクセル開度ACCPFが全閉であれば(S706で「YES」)、車速が「0km/h」か否かが判定される(S708)。車速が「0km/h」であれば(S708で「YES」)、バッテリ電圧VBが判定基準電圧範囲に存在するか否かが判定される(S710)。
【0188】
そしてバッテリ電圧VBが判定基準電圧範囲に存在すれば(S710で「YES」)、仮異常判定処理(図10)及び本異常判定処理(図11)の実行時において、アイドル回転数制御において目標アイドル回転数NTRGに変化が無いか否かが判定される(S712)。この変化は、現在の目標アイドル回転数NTRGを、前記仮異常判定処理(図10)のステップS504で記憶しているグローオフ直前目標アイドル回転数NToldと比較することにより行われる。
【0189】
目標アイドル回転数NTRGが変化すると最終基本噴射量指令値QFINCの変動が生じて、グロー通電のオン・オフ切り替えによる噴射量変動との区別が困難となる。したがって、この判定は、仮異常判定処理(図10)及び本異常判定処理(図11)において誤判定を防止するために実行している。
【0190】
目標アイドル回転数NTRGに変化が無ければ(S712で「YES」)、正常判定と本異常判定とが共に「OFF」に設定されているか否かが判定される(S714)。ここで正常判定と本異常判定とが共に「OFF」であれば(S714で「YES」)、次にバッテリ60を電源とする各種装置のスイッチに変化が無いか否かが判定される(S716)。これらのスイッチはエアコンスイッチ50、電気ヒータスイッチ、テールランプスイッチ、デフォッガスイッチ、ブレーキシグナルスイッチ等である。これらのスイッチに変化が有るとバッテリ電圧VBや最終基本噴射量指令値QFINCに変動が生じて、グロー通電のオン・オフ切り替えによる変動との区別が困難となる。したがって、この判定は、仮異常判定処理(図10)及び本異常判定処理(図11)において誤判定を防止するために実行している。
【0191】
前記各種スイッチに変化が無い場合には(S716で「YES」)、次に仮異常判定「OFF」か否かが判定される(S718)。ここで、前記仮異常判定処理(図10)が実行中であって正常判定「OFF」であるとともに仮異常判定「OFF」である状態では(S718で「YES」)、このまま一旦本処理を終了する。
【0192】
一方、上述したステップS702〜716のいずれか1つでも「NO」と判定されると、仮異常判定は「OFF」に設定される(S720)。このことにより本異常判定処理(図11)では、ステップS600にて「NO」と判定されるようになるので実質的な処理は終了する。
【0193】
そして、次にグロー通電が、仮異常判定処理(図10)のステップS510の実行によりオンからオフに切り替わってから待機時間が経過した後に次にグロー通電オンとする強制的通電オン処理が実行される(S722)。この待機時間は、グローリレー22aの耐久性の低下を防止するために、前記本異常判定処理(図11)のステップS601にて説明した待機時間と同じ時間が用いられる。
【0194】
この強制的グロー通電オン処理では、ステップS722の実行の時点で既に待機時間を経過していれば、直ちにグロー通電がなされる。又、ステップS722の実行の時点で未だ待機時間を経過していなければ、待機時間の経過後にグロー通電がなされる。尚、本異常判定(図11)のステップS608にて強制的グロー通電オンが既に実行されていればグロー通電オン状態が維持される。
【0195】
そして、次にグロー異常判定実行が不許可となって(S724)、本処理を一旦終了する。
次に制御周期ではグロー異常判定実行許可が取り消されたので、グロー異常判定停止条件算出処理(図12,13)ではステップS700にて「NO」と判定されて実質的な処理は行われなくなる。同様に仮異常判定処理(図10)が実行されていても、ステップS500にて「NO」と判定されて実質的な処理は行われなくなる。
【0196】
尚、前記ステップS714で「NO」と判定される場合は、仮異常判定処理(図10)のステップS518が実行されて正常判定「ON」となった場合あるいは本異常判定(図11)のステップS618が実行されて本異常判定「ON」となった場合である。
【0197】
又、前述したごとく仮異常判定処理(図10)のステップS520が実行されて仮異常判定「ON」となった場合には(S718で「NO」)、仮異常判定処理(図10)の実行が停止される(S726)。
【0198】
上述した本実施の形態における処理の一例を図14〜18のタイミングチャートに示す。
図14は始動時前提条件が「OFF」であった場合を示している。ここでは時刻t0にてイグニッションスイッチを「ON」としている。このことにより直ちにグロー通電オンとされる。そして時刻t1にてインジケータランプにより運転者にスタータ許可の表示がなされることにより、直ちに運転者はスタータ30を「ON」させ、このことにより始動モードが開始される。そしてエンジン回転数NEが始動完了を示す回転数まで上昇することにより始動完了がECU52により判定される(t2)。この時に得られた実際の始動時間Tsta(t1〜t2)は標準始動時間Tstanorm以下である。尚、図14の例ではバッテリ電圧VBについても始動時標準最低電圧Vstanormよりも低下している履歴がある。
【0199】
このため始動完了後に、始動時前提条件算出処理(図5)のステップS310にて「NO」と判定されて、前提条件としては「OFF」が設定される(S316)。したがって、以後、仮異常判定処理(図10)も本異常判定処理(図11)も実行されることはなく、グロー通電オン状態は継続して、通常のグロー通電制御にて設定されている通電時間が終了すると(t3)、グロー通電はオフとされる。上述した処理により始動時前提条件=「OFF」、本異常判定=「OFF」、正常判定=「OFF」が、ダイアグノーシスなどの内部情報としてECU52のメモリに記録されることになる。
【0200】
図15の例は、グロー通電「ON」にしても、断線により全くグロープラグ22に電流が流れない場合を示している。イグニッションスイッチを「ON」し(t10)、スタータ許可によりスタータ30が駆動開始し(t11)、エンジン始動が完了する(t12)。この時、実際の始動時間Tstaは標準始動時間Tstanormより長くなり、バッテリ電圧VBは始動時標準最低電圧Vstanormよりも低下した履歴がない。このため始動時前提条件算出処理(図5)のステップS310にて「YES」、ステップS314にて「NO」と判定されて、始動時前提条件としては「ON」が設定される(S318)。このことによりグロー異常判定実行条件算出処理(図8,9)が実行される。そしてグロー異常判定実行が許可されると(S426)、仮異常判定処理(図10)が実行される(t13)。このことによりグロー通電が強制的にオフに駆動される。この強制的グロー通電オフ直後に、図15の例では、判定のために待機しても燃料噴射量もバッテリ電圧も共に変化がないため(S516で「YES」)、仮異常判定は「ON」に設定される(S520:t14)。したがってグロー異常判定停止条件算出処理(図12,13)のステップS726により仮異常判定処理(図10)は停止し、代わりに本異常判定処理(図11)の実質的な処理が開始され、強制的にグロー通電がオンに駆動される(S608)。図15の例では、この強制的グロー通電オン直後においても、判定のために待機しても燃料噴射量もバッテリ電圧も共に変化がないため(S614で「YES」)、本異常判定は「ON」に設定される(S618:t15)。そしてグロー異常判定停止条件算出処理(図12,13)のステップS714では「NO」と判定されることで、仮異常判定は「OFF」となり(S720)、グロー異常判定実行は不許可となる(S724)。ステップS722では、既に強制的グロー通電はオンとなっているのでオン状態を維持する。
【0201】
その後、通常のグロー通電制御にて設定されている通電時間が終了すると(t16)、グロー通電はオフに駆動される。上述した処理により始動時前提条件=「ON」、本異常判定=「ON」、正常判定=「OFF」がECU52のメモリに記録されることになる。
【0202】
図16の例は、仮異常判定処理(図10)にて正常であると判定された例を示している。イグニッションスイッチをオンし(t20)、スタータ許可によりスタータ30が駆動開始し(t21)、エンジン始動が完了する(t22)。この時、実際の始動時間Tstaは標準始動時間Tstanormより長く、バッテリ電圧VBは始動時標準最低電圧Vstanormよりも低下した履歴がない。このため始動時前提条件算出処理(図5)のステップS310にて「YES」、ステップS314にて「NO」と判定されて、前提条件としては「ON」が設定される(S318)。したがって、グロー異常判定実行条件算出処理(図8,9)が実行されて、グロー異常判定実行が許可されると(S426)、仮異常判定処理(図10)が実行される(t23)。このことによりグロー通電が強制的に「OFF」に駆動される。この時、図16の例では、直ちにバッテリ電圧VBが上昇判定値dV1以上上昇してステップS514にて「YES」と判定される。尚、燃料噴射量についても低下判定値dQ1以上低下している。
【0203】
このため正常判定が「ON」に設定される(S518:t24)。したがって仮異常判定は「OFF」に維持され(S720)、グロー異常判定実行は不許可となり(S724)、仮異常判定処理(図10)は停止する。更にステップS722の処理により強制的なグロー通電オフ(S510)から待機時間経過後にグロー通電オンに戻される(t25)。このため本異常判定処理(図11)は実行されない。その後、通常のグロー通電制御にて設定されている通電時間が終了すると(t26)、グロー通電はオフとされる。上述した処理により始動時前提条件=「ON」、本異常判定=「OFF」、正常判定=「ON」がECU52のメモリに記録されることになる。
【0204】
図17に、仮異常判定処理(図10)での強制的グロー通電オフでは燃料噴射量及びバッテリ電圧の変化が十分に生じず、本異常判定処理(図11)の強制的グロー通電オンにて初めて燃料噴射量及びバッテリ電圧の変化が十分に生じた例を示す。時刻t30〜t34までは前記図15にて説明した時刻t10〜t14までと同様に推移する。そして時刻t34にて開始された本異常判定処理(図11)にて強制的にグロー通電がオンに駆動される(S608)。この時、図17の例では、先に燃料噴射量が上昇判定値dQ2以上の上昇を示したので(S610で「YES」)、仮異常判定は「OFF」に戻される(S616:t35)。その後、通常のグロー通電制御にて設定されている通電時間が終了すると(t36)、グロー通電は「OFF」とされる。上述した処理により始動時前提条件=「ON」、本異常判定=「OFF」、正常判定=「OFF」がECU52のメモリに記録されることになる。尚、適当なタイミング、例えばアクセルペダル24を踏み込んだりした場合(S706で「NO」)に、グロー異常判定実行は不許可となる(S724)。
【0205】
図18に、前回以前のトリップにてグロー通電の異常が判明し、修理が完了された直後のエンジン始動時についての例を表す。時刻t40〜t42までは前記図14にて説明した時刻t0〜t2までと同様に推移し、始動時前提条件算出処理(図5)では正常にグロー通電がなされるのでステップS310で「NO」又はステップS314で「YES」と判定されて、始動時前提条件は「OFF」に設定される(S316)。
【0206】
そして時刻t43で、グロー異常判定実行条件算出処理(図8,9)においてステップS400〜S420にてすべて「YES」と判定されると、次に始動時前提条件が「ON」か否かが判定される(S422)。この時、グロープラグ22に異常の可能性が無いとして、始動時前提条件には「OFF」が設定されているので(S422で「NO」)、次に既に本異常判定が「ON」に設定されているか否かが判定される(S424)。ここでは既に本異常判定は「ON」となっているので(S424で「YES」)、次に本異常判定は「OFF」に戻される(S425)。そしてグロー異常判定実行が許可され(S426)、このことにより仮異常判定処理(図10)の実質的な処理が開始される。
【0207】
そして仮異常判定処理(図10)では、グロー通電が強制的にオフに駆動される。この時、グロー通電は正常にオフとなるので、直ちにバッテリ電圧VBが上昇判定値dV1以上上昇してステップS514にて「YES」と判定される(t44)。尚、燃料噴射量についても低下判定値dQ1以上低下している。
【0208】
このため正常判定が「ON」に設定される(S518)。したがってステップS714では「NO」と判定されて、仮異常判定は「OFF」を維持し(S720)、グロー異常判定実行は不許可となり(S724)、仮異常判定処理(図10)は停止する。更にステップS722の処理により、強制的なグロー通電オフ(S510)から待機時間経過後にグロー通電オンに戻される(t45)。
【0209】
その後、通常のグロー通電制御にて設定されている通電時間が終了すると(t46)、グロー通電はオフとされる。上述した処理により始動時前提条件=「OFF」、本異常判定=「OFF」、正常判定=「ON」がECU52のメモリに記録されることになる。
【0210】
上述した構成において、始動時前提条件算出処理(図5)が異常可能性判定手段としての処理に、グロー異常判定実行条件算出処理(図8,9)、仮異常判定処理(図10)、本異常判定処理(図11)及びグロー異常判定停止条件算出処理(図12,13)が異常有無判定手段としての処理に相当する。又、始動開始から始動完了までの時間をカウントして始動時間Tstaを求める処理、及び始動開始から始動完了までにおけるバッテリ電圧VBの履歴を検出しておく処理が始動完了前状態検出手段としての処理に相当する。又、グロー異常判定実行条件算出処理(図8,9)及び仮異常判定処理(図10)が第1異常判定手段としての処理に、本異常判定処理(図11)及びグロー異常判定停止条件算出処理(図12,13)が第2異常判定手段としての処理に相当する。
【0211】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).始動時前提条件算出処理(図5)が行う異常可能性判定、すなわちグロー通電の強制的オン又はオフによらずに始動時間Tstaの長さや始動時におけるバッテリ電圧VBの状態に基づいて行う異常検出は、グロー通電の強制的変化を行う場合に比較して確実性が低い。これはグロープラグ22に対して正常に通電がなされていても、他の原因で始動時間Tstaが長くなったり、バッテリ電圧VBが低下していない場合があるからである。
【0212】
しかしグロー通電の強制的変化がなされなくても、グロー通電がオン操作されている場合に始動時間Tstaが十分に短かければ、あるいはバッテリ電圧VBが十分に低下していればグロー通電の異常可能性が無いことは確実性高く判定できる。したがって始動時前提条件算出処理(図5)を、仮異常判定処理(図10)や本異常判定処理(図11)の前に実行することで、異常の可能性が無いと判定された場合には、仮異常判定処理(図10)や本異常判定処理(図11)を実行する必要が無くなる。始動時前提条件算出処理(図5)により異常の可能性が無いとはいえない判定、すなわち異常の可能性有りと判定された場合に、強制的なグロー通電オン・オフを実行する仮異常判定処理(図10)や本異常判定処理(図11)を実行すれば良い。したがってグローリレー22aの駆動によるグロー通電の強制的変化回数を抑制できる。
【0213】
このようにして異常の可能性有りと判定された場合に強制的なグロー通電オン・オフを実行して燃料噴射量変化やバッテリ電圧変化を捉えることで、グロー通電異常判定の正確さを確保できるとともに、このようなグロー通電の切り替え回数を少なくできるのでグローリレー22aの耐久性の低下も抑制できる。
【0214】
(ロ).グロー通電が正常に行われれば、エンジン始動は早期に完了するので、始動時間Tstaは短くなる。しかしグロー通電が正常でなければ始動時間Tstaは長くなる。したがって始動時前提条件算出処理(図5)では、始動時間Tstaが標準始動時間Tstanorm以下であればグロープラグ22の異常可能性は無いと判定できる。逆に始動時間Tstaが標準始動時間Tstanormより長ければ、他に原因が有るかもしれないが、グロープラグ22が異常である可能性も否定できない。
【0215】
又、始動時においてグロー通電が正常になされていれば始動完了前においてバッテリ電圧VBは降下しており、グロー通電がなされていなかったり通電量が異常に低かったりした場合にはバッテリ電圧VBの降下はほとんど無い。したがって始動時前提条件算出処理(図5)では、始動完了前にバッテリ電圧VBが始動時標準最低電圧Vstanormよりも低下した履歴が始動時にあればグロープラグ22の異常可能性は無いと判定できる。逆に始動完了前にバッテリ電圧VBが始動時標準最低電圧Vstanormより降下した履歴が無ければ、他に原因が有るかもしれないが、グロープラグ22が異常である可能性も否定できない。
【0216】
したがって始動時間Tstaが標準始動時間Tstanormより長い状態で有り、かつ始動完了前にバッテリ電圧VBが始動時標準最低電圧Vstanormより降下した履歴が無ければ、異常可能性有りと判定する。
【0217】
このようにして始動時前提条件算出処理(図5)ではグロー通電の強制的変化をさせなくても異常可能性の有無を容易に判定できる。しかも標準始動時間Tstanorm及び始動時標準最低電圧Vstanormは、始動開始時冷却水温度THWsに基づいて設定されているので、より確実に異常可能性の有無を判定できる。
【0218】
(ハ).グロー異常判定実行条件算出処理(図8,9)では、通常のグロー通電制御にて設定されたグロー通電時間の残りが、仮異常判定処理(図10)及び本異常判定処理(図11)を実行できる長さである場合に限って(S418で「YES」)、グロー異常判定実行を許可している。
【0219】
このことにより仮異常判定処理(図10)及び本異常判定処理(図11)は、通常のグロー通電オンの設定時間内で、グロー通電の強制的変化に伴う異常有無判定を完了できることになる。このためグロー通電の強制的変化によってグロー通電制御が徒に延長されることがなく、異常有無判定によるエネルギー消費を抑制することができる。
【0220】
尚、このように仮異常判定処理(図10)及び本異常判定処理(図11)による強制的グロー通電変化は、通常のグロー通電時に行われる。しかし、グロー異常判定実行条件算出処理(図8,9)により特にエンジン運転状態が安定した後に強制的グロー通電変化が行われるので、始動後のエンジン運転の安定性には問題を生じない。
【0221】
(ニ).上述したごとく仮異常判定処理(図10)及び本異常判定処理(図11)により、グロー通電異常を強制的グロー通電オフと強制的グロー通電オンとの2段階にて確認しており確実な異常判定ができる。しかもこの2段階の強制的通電切り替えにより、グロー通電状態は元のグロー通電オン状態に戻すことができ、ディーゼルエンジンの運転安定性を阻害しない。
【0222】
(ホ).通電オフと通電オンとを短時間間隔で実行すると、グローリレー22aの耐久性が低下する可能性がある。このため本異常判定処理(図11)では、仮異常判定処理(図10)での強制的グロー通電オフ(S510)の時点からグローリレー22a保護のための待機時間が経過するまで強制的グロー通電オンは実行していない(S601)。このことによりグローリレー22aの耐久性低下が防止できる。
【0223】
(ヘ).グロー異常判定実行条件算出処理(図8,9)では、グロー通電に関して異常可能性が無いことが明確となっても(S422で「NO」)、前回以前のトリップにて既に本異常判定が「ON」とされていれば(S424で「YES」)、グロー異常判定実行を許可している(S426)。
【0224】
このことにより修理後に、仮異常判定処理(図10)を実行でき、場合により更に本異常判定処理(図11)を実行でき、ダイアグノーシスなどの内部情報を修理後の正常なグロー通電に対応したものとすることができる。
【0225】
[実施の形態2]
本実施の形態では、始動時から行われる通常のグロー通電制御によるグロー通電オン時は、始動時前提条件算出処理(図5)のみを実行して、始動時前提条件「ON」又は「OFF」を設定する。そしてこのグロー通電オンの完了後に、始動時前提条件「ON」の場合に限って、あるいは以前に既に本異常判定が「ON」であった場合に限って、異常有無判定のために一時的にグロー通電オン・オフを強制的に実行するものである。
【0226】
本実施の形態では、前記実施の形態1の図9に示したグロー異常判定実行条件算出処理の一部の処理の代わりに、図19に示す処理が実行される。又、仮異常判定処理(図10)及び本異常判定処理(図11)の代わりに、図20に示す仮異常判定処理及び図21に示す本異常判定処理が実行される。又、図13に示したグロー異常判定停止条件算出処理の一部の処理の代わりに、図22に示す処理が実行される。これ以外の構成及び処理は前記実施の形態1と同じである。
【0227】
図19では、グロー異常判定実行許可のための条件として、図9のステップS416,S418の代わりに通常のグロー通電時間終了後、待機時間が経過したか否かが判定される(S417)。
【0228】
したがって、通常のグロー通電時間が終了しなければ、グロー異常判定実行許可(S426)はなされないので、通常のグロー通電オン時においては、強制的グロー通電「OFF」も強制的グロー通電「ON」も実行されない。
【0229】
そして通常のグロー通電時間が終了した後、グロー異常判定実行条件算出処理(図8,19)のステップS400〜S420にて「YES」と判定される状態となると、次に始動時前提条件が「ON」か否かが判定される(S422)。ここで始動時前提条件算出処理(図5)にて設定された始動時前提条件が「OFF」であれば(S422で「NO」)、次に本異常判定が既に「ON」とされているか否かが判定される(S424)。本異常判定が「OFF」であれば(S424で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。したがって同一トリップ内では、強制的グロー通電「ON」「OFF」は実行されることはない。この場合は、前記実施の形態1の図14に示したタイミングチャートと同じように推移することになる。
【0230】
始動時前提条件算出処理(図5)にて始動時前提条件が「ON」と決定される場合について説明する。この場合は、やはり通常のグロー通電時間内においては、強制的グロー通電「OFF」も強制的グロー通電「ON」も実行されない。例えば、図23のタイミングチャートに示すごとく、イグニッションスイッチをオンし(t50)、スタータ許可によりスタータ30が駆動を開始し(t51)、エンジン始動が完了する(t52)ものとする。この時、実際の始動時間Tstaは標準始動時間Tstanormより大きく、バッテリ電圧VBは始動時標準最低電圧Vstanormよりも低下した履歴がない。このため始動時前提条件算出処理(図5)のステップS310にて「YES」、ステップS314にて「NO」と判定されて、前提条件としては「ON」が設定される(S318)。しかし直ちに仮異常判定処理(図20)を開始することはなく、通常のグロー通電時間の完了を待つ。
【0231】
そして通常のグロー通電時間が完了した後(t53〜)、グロー異常判定実行条件算出処理(図8,19)のステップS400〜S420にて「YES」と判定されるようになると、次に始動時前提条件が「ON」か否かが判定される(S422)。ここでは始動時前提条件が「ON」であるので(S422で「YES」)、正常判定は「OFF」とされてから(S423)、グロー異常判定実行は許可される(S426:t54)。このことにより仮異常判定処理(図20)が開始されて、ステップS800で「YES」、ステップS802で「YES」と判定され、ステップS804〜S808の処理後に、強制的グロー通電オンが実行される(S810)。尚、ステップS800〜S808は、前記実施の形態1の仮異常判定処理(図10)のステップS500〜508の処理と実質的に同じ処理である。
【0232】
そして、次式12を満足した状態がエンジン負荷の上昇を判定するに必要な時間継続したか否かが判定される(S812)。
【0233】
【数12】
QFINC − Qold3 ≧ dQ3 … [式12]
ここで上昇判定値dQ3は、電気エネルギー消費増加に対応した燃料噴射量上昇分の最低限の値を予め実験等により求めて設定したものである。
【0234】
前記式12を満足していない場合や、前記式12を満足してもエンジン負荷上昇判定に必要な時間継続していない場合には(S812で「NO」)、次式13を満足した状態がバッテリ電圧VBの降下を判定するに必要な時間継続したか否かが判定される(S814)。
【0235】
【数13】
VBold3 − VB ≧ dV3 … [式13]
ここで降下判定値dV3は、グロー通電オンに対応したバッテリ電圧VB降下の最低限の値を予め実験等により求めて設定したものである。
【0236】
前記式13を満足していない場合や、前記式13を満足しても電圧降下判定に必要な時間継続していない場合には(S814で「NO」)、次式14を満足した状態がエンジン負荷の無変化状態を判定するに必要な時間継続したか否かが判定される(S816)。
【0237】
【数14】
QFINC − Qold3 < dQ3 … [式14]
この式14は前記式12が満足されていない状態を表している。
【0238】
前記式14を満足していない場合や、前記式14を満足してもエンジン負荷の無変化判定に必要な時間継続していない場合には(S816で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。
【0239】
図23のタイミングチャートに示したごとく、ステップS812もステップS814も共に満足されない内に、前記式14を満足した状態がエンジン負荷の無変化状態を判定するに必要な時間継続した場合(S816で「YES」:t55)、仮異常判定が「ON」に設定される(S820)。すなわち強制的なグロー通電オン(S810)の前にて、オフであるはずのグロー通電がオン状態のままであったり、あるいはECU52の指令(S810)通りにグロー通電がオンとならなかったことを示している。したがって仮異常判定「ON」との情報がECU52内のバックアップRAMに記憶される。こうして一旦本処理を終了する。
【0240】
このように仮異常判定「ON」とされたことにより、グロー異常判定停止条件算出処理(図12,22)により、仮異常判定処理(図20)は停止され(S726)、本異常判定処理(図21)の実質的な処理が実行されるようになる(S900で「YES」)。
【0241】
そして本異常判定処理(図21)にてステップS900〜S906の処理の後に強制的にグロー通電がオフにされる(S908)。尚、ステップS900〜S906は、グロー通電オンとオフとの違いはあるが、前記実施の形態1の仮異常判定処理(図11)のステップS600〜606の処理と実質的に同じ処理である。
【0242】
次に上述したディーゼルエンジン2に対する負荷が正常に低下したことを判定するために、アイドル回転数制御下での最終基本噴射量指令値QFINCの変化と、バッテリ電圧VBの変化を判定する。
【0243】
まず次式15を満足した状態がエンジン負荷の低下を判定するに必要な時間継続したか否かが判定される(S910)。
【0244】
【数15】
Qold4 − QFINC ≧ dQ4 … [式15]
ここで低下判定値dQ4は、電気エネルギー消費低減に対応した燃料噴射量低下分の最低限の値を予め実験等により求めて設定したものである。
【0245】
前記式15を満足していない場合や、前記式15を満足しても負荷低下判定に必要な時間継続していない場合には(S910で「NO」)、次式16を満足した状態がバッテリ電圧VBの上昇を判定するに必要な時間継続したか否かが判定される(S912)。
【0246】
【数16】
VB − VBold4 ≧ dV4 … [式16]
ここで上昇判定値dV4は、グロー通電オフに対応したバッテリ電圧VBの上昇の最低限の値を予め実験等により求めて設定したものである。
【0247】
前記式16を満足していない場合や、前記式16を満足しても電圧上昇判定に必要な時間継続していない場合には(S912で「NO」)、次式17を満足した状態がエンジン負荷の無変化状態を判定するに必要な時間継続したか否かが判定される(S914)。
【0248】
【数17】
Qold4 − QFINC < dQ4 … [式17]
この式17は前記式15が満足されていない状態を表している。
【0249】
前記式17を満足していない場合や、前記式17を満足してもエンジン負荷の無変化判定に必要な時間継続していない場合には(S914で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。
【0250】
図23のタイミングチャートのごとく、ステップS910もステップS912も共に満足されない内に、前記式17を満足した状態がエンジン負荷の無変化状態を判定するに必要な時間継続した場合(S914で「YES」:t56)、本異常判定は「ON」に設定される(S918)。すなわち強制的なグロー通電オフ(S908)の前にて、正常にグロー通電オンが実行されていないか、あるいは、ECU52の指令(S908)通りにグロー通電がオフとならなかったことを示している。
【0251】
そして前記仮異常判定処理(図20)における異常であるとの判定(仮異常判定)とともに、本異常判定処理(図21)にても異常であるとの判定がなされたことになり、グロー通電が異常であることに高い確実性が存在するので、本異常判定「ON」との情報がECU52内のバックアップRAMに記憶される。こうして一旦本処理を終了する。
【0252】
このように本異常判定「ON」とされたことにより、グロー異常判定停止条件算出処理(図12,22)のステップS714で「NO」と判定されて、グロー異常判定実行が不許可となり(S724)、本異常判定処理(図21)が停止される。上述した処理により始動時前提条件=「ON」、本異常判定=「ON」、正常判定=「OFF」がダイアグノーシスなどの内部情報としてECU52のメモリに記録されることになる。
【0253】
次に図24のタイミングチャートにて、正常判定が「ON」に設定される場合について説明する。時刻t60〜t64までは前記図23の場合の時刻t50〜t54と同様に推移する。そして時刻t64から開始された仮異常判定処理(図20)にて、強制的グロー通電オンが実行される(S810)。この強制的グロー通電「ON」により実際にグロープラグ22に電流が正常に流れ始めたことにより、燃料噴射量は上昇を開始し、バッテリ電圧VBは下降を開始する。そして時刻t65にて前記式13の関係が最初に成立して必要な時間継続することにより(S814で「YES」)、正常判定は「ON」となる(S818)。このように正常判定「ON」とされたことにより、グロー異常判定停止条件算出処理(図12,22)のステップS714で「NO」と判定されて、仮異常判定は「OFF」(S720)となり、グロー異常判定実行は不許可になる(S724)。このため仮異常判定処理(図20)と本異常判定処理(図21)とが停止される。又、待機時間経過後にグロー通電はオフに戻される(S723:t66)。
【0254】
上述した処理により始動時前提条件=「ON」、本異常判定=「OFF」、正常判定=「ON」がECU52のメモリに記録されることになる。
次に図25のタイミングチャートにて、本異常判定処理(図21)にて初めてグロー通電変化が正常に行われた場合について説明する。時刻t70〜t74までは前記図23の場合の時刻t50〜t54と同様に推移する。そして時刻t74から開始された仮異常判定処理(図20)にて、強制的グロー通電オンが実行される(S810)。この強制的グロー通電オンによってはグロープラグ22には電流が流れないので、前記式12,13は満足されることなく、前記式14が満足される状態が継続することになる(S816で「YES」:t75)。このため仮異常判定は「ON」に設定される(S820)。仮異常判定が「ON」となったことにより仮異常判定処理(図20)は停止され(S726)、本異常判定処理(図21)では、仮異常判定処理(図20)のステップS810によるグロー通電オンから待機時間後に強制的グロー通電オフが実行される(S908:t76)。
【0255】
この強制的グロー通電オフにより、今までグロープラグ22に流れていた電流が正常に停止すると、燃料噴射量は下降を開始し、バッテリ電圧VBは上昇を開始する。そして時刻t77にて前記式16の関係が最初に成立して継続することにより(S912で「YES」)、仮異常判定は「OFF」に戻される(S916)。このように仮異常判定は「OFF」となったことにより、本異常判定処理(図21)は実質的に処理を停止する(S900で「NO」)。上述した処理により始動時前提条件=「ON」、本異常判定=「OFF」、正常判定=「OFF」がECU52のメモリに記録されることになる。尚、適当なタイミング、例えばアクセルペダル24を踏み込んだりした場合(S706で「NO」)にグロー異常判定実行は不許可となる(S724)。
【0256】
図26に、前回以前のトリップにてグロー通電の異常が判明し、修理が完了された直後のエンジン始動の例を表す。時刻t80〜t83までは前記図14にて説明した時刻t0〜t3までと同様に推移する。この間に、始動時前提条件算出処理(図5)では正常にグロー通電がなされたのでステップS310で「NO」又はステップS314で「YES」と判定されて、始動時前提条件は「OFF」に設定される(S316:t82)。
【0257】
そして通常のグロー通電処理が完了した後(t83〜)に、グロー異常判定実行条件算出処理(図8,19)のステップS400〜S420の条件が成立すると、次に始動時前提条件が「ON」か否かが判定される(S422)。ここでは始動時前提条件が「OFF」であるので(S422で「NO」)、次に前回以前のトリップにて既に異常判定が「ON」に設定されているか否かが判定される(S424)。ここでは既に異常判定は「ON」であるので(S424で「YES」)、本異常判定を「OFF」に戻して(S425)、グロー異常判定実行が許可される(S426:t84)。このことにより仮異常判定処理(図20)が実行されて、時刻t85にて前記式13が成立した状態が継続したことにより(S814で「YES」)、正常判定は「ON」に設定される(S818)。
【0258】
このことにより図22のステップS714にて「NO」と判定されるようになり、ステップS723の処理により待機時間後に強制的にグロー通電は「OFF」にされる(t86)。又、仮異常判定「OFF」(S720)とグロー異常判定実行の不許可(S724)により、仮異常判定処理(図20)も本異常判定処理(図21)も共に実質的な処理を停止する。上述した処理により始動時前提条件=「OFF」、本異常判定=「OFF」、正常判定=「ON」がECU52のメモリに記録されることになる。
【0259】
上述した構成において、グロー異常判定実行条件算出処理(図8,19)、仮異常判定処理(図20)、本異常判定処理(図21)及びグロー異常判定停止条件算出処理(図12,22)が異常有無判定手段としての処理に相当する。又、グロー異常判定実行条件算出処理(図8,19)及び仮異常判定処理(図20)が第1異常判定手段としての処理に、本異常判定処理(図21)及びグロー異常判定停止条件算出処理(図12,22)が第2異常判定手段としての処理に相当する。異常可能性判定手段及び始動完了前状態検出手段については前記実施の形態1の場合と同じである。
【0260】
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態1の(イ)、(ロ)、(ニ)〜(ヘ)と同じ効果を生じる。
【0261】
(ロ).仮異常判定処理(図20)及び本異常判定処理(図21)は通常のグロー通電時間が完了した後に実行されるので、通常のグロー通電制御に全く影響しない。このため、特に冷間時などにおいて始動後のエンジン運転が一層安定化できる。
【0262】
又、このグロー通電異常検出は、通常のグロー通電時間内で実行するものではないので、ディーゼルエンジンが既に暖機されていて通常のグロー通電時間が短い場合でも、グロー通電の異常検出の機会を十分に得られる。
【0263】
[その他の実施の形態]
(a).前記始動時前提条件算出処理(図5)におけるバッテリ電圧VBの履歴は、始動時(始動開始から始動完了まで)の履歴であったが、例えばイグニッションスイッチ・オンから始動開始までの期間の履歴も含めても良いし、ディーゼルエンジン2の始動完了直後のバッテリ電圧VBの履歴を含めても良い。又、イグニッションスイッチ・オンから始動開始までの期間のバッテリ電圧VBの履歴に限っても良く、ディーゼルエンジン2の始動完了後でのバッテリ電圧VBの履歴に限っても良い。
【0264】
(b).前記始動時前提条件算出処理(図5)においては始動時前提条件を判定するのに、始動時間Tstaとバッテリ電圧VBの履歴とを用いた。これ以外に、始動時間Tstaのみによって始動時前提条件の「ON」・「OFF」を判定しても良く、又、バッテリ電圧VBの履歴のみによって始動時前提条件の「ON」・「OFF」を判定しても良い。
【0265】
又、始動時間Tstaが標準始動時間Tstanorm以下の条件と、バッテリ電圧VBが始動時標準最低電圧Vstanormより低下した履歴の条件とのいずれかが満足された場合に、始動時前提条件は「OFF」にされていた。これ以外に、前記2つの条件が共に満足された場合に始動時前提条件を「OFF」に設定し、共に満足されない場合は「ON」に設定するようにしても良い。
【0266】
(c).前記グロー異常判定実行条件算出処理(図8,9,19)では、ディーゼルエンジン2のアイドル時に、グロー異常判定実行を許可して(S426)、仮異常判定処理(図10,20)及び本異常判定処理(図11,21)が実行されるようにしていた。これ以外に、アイドル時でなくても、アイドル時に準じる状態であれば仮異常判定処理(図10,20)及び本異常判定処理(図11,21)の実行を許可するようにしても良い。例えば、下り坂走行や慣性走行時においてクラッチが切られたりしてディーゼルエンジンから車輪への動力伝達がなされていない場合に、安定回転を条件に仮異常判定処理(図10,20)及び本異常判定処理(図11,21)が実行されるようにしても良い。
【0267】
(d).仮異常判定処理(図10,20)及び本異常判定処理(図11,21)では、燃料噴射量とバッテリ電圧とのいずれかにグロー通電切り替えに伴う十分な変化が生じた場合に、正常判定「ON」あるいは仮異常判定「OFF」の設定を行っていた。これ以外に、燃料噴射量のみの変化を判定しても良く、バッテリ電圧のみの変化を判定しても良い。
【0268】
又、上記判定処理では、燃料噴射量が十分変化しないことを判定して、仮異常判定「ON」あるいは本異常判定「ON」に設定していたが、これ以外に、バッテリ電圧が十分変化しないことを判定しても良い。又は、燃料噴射量もバッテリ電圧も共に十分変化しないことを判定しても良い。
【0269】
燃料噴射量やバッテリ電圧とともに、あるいはこれらの代わりに、オルタネータ54に対する制御デューティDFの変化を、ディーゼルエンジン2の運転状態変化として捉えても良い。すなわち強制的なグロー通電切り替えに伴い制御デューティDFの十分な変化が生じた場合に正常判定「ON」あるいは仮異常判定「OFF」の設定を行い、十分な変化が生じない場合に仮異常判定「ON」あるいは本異常判定「ON」に設定しても良い。
【0270】
又、仮異常判定や本異常判定にて判定対象とする燃料噴射量としては、最終基本噴射量指令値QFINCを用いていたが、この代わりに、基本噴射量指令値QBASE、ガバナ噴射量指令値QGOVあるいはアイドル噴射量補正値QIIを用いても良い。
【0271】
又、燃料噴射量、バッテリ電圧、前記制御デューティに限らず、エンジン負荷などのディーゼルエンジンの運転状態変化の指標となるものであれば、仮異常判定や本異常判定での判定対象とすることができる。
【0272】
(e).本異常判定を「ON」とするのは、仮異常判定処理(図10,20)及び本異常判定処理(図11,21)において、共にグロー通電切り替えに伴う燃料噴射量変化やバッテリ電圧変化が十分に生じなかった場合であった。これ以外に仮異常判定処理(図10,20)の処理のみを実行して、燃料噴射量とバッテリ電圧とのいずれかにグロー通電切り替えに伴う十分な変化が生じた場合に正常判定「ON」とし、燃料噴射量が十分変化しない場合に本異常判定「ON」としても良い。
【0273】
(f).前記実施の形態1では、異常検出のための強制的グロー通電の切り替えは、通常のグロー通電オン期間内での実行に限られていた。これ以外に、前記実施の形態1と前記実施の形態2とを組み合わせた構成としても良い。
【0274】
例えば、異常検出のための強制的グロー通電切り替えが通常のグロー通電オン期間内でできなかった場合には、通常のグロー通電オン期間が経過した後に、アイドル運転状態となった時に、前記実施の形態2と同じく強制的なグロー通電オンとオフとを実行することにより、異常判定を実行しても良い。このようにすることにより、実施の形態1,2に比較して、極力早期にかつ、確実に強制的グロー通電による異常判定が実行できることになる。
【0275】
(g).前記各実施の形態では、温度要因として冷却水温を用いていたが、この代わりにエンジンオイルの温度を用いても良し、ディーゼルエンジンにおける燃焼による発熱と放熱との収支によりエンジン温度を推定して用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の蓄圧式ディーゼルエンジンとその制御系統を示す概略構成図。
【図2】実施の形態1のグロープラグへの電力供給系統図。
【図3】実施の形態1の燃料噴射量制御処理のフローチャート。
【図4】同じく燃料噴射量制御処理のフローチャート。
【図5】同じく始動時前提条件算出処理のフローチャート。
【図6】上記始動時前提条件算出処理にて始動開始時冷却水温度THWsから標準始動時間Tstanormを求めるためのマップの構成説明図。
【図7】上記始動時前提条件算出処理にて始動開始時冷却水温度THWsから始動時標準最低電圧Vstanormを求めるためのマップの構成説明図。
【図8】実施の形態1のグロー異常判定実行条件算出処理のフローチャート。
【図9】同じくグロー異常判定実行条件算出処理のフローチャート。
【図10】同じく仮異常判定処理のフローチャート。
【図11】同じく本異常判定処理のフローチャート。
【図12】同じくグロー異常判定停止条件算出処理のフローチャート。
【図13】同じくグロー異常判定停止条件算出処理のフローチャート。
【図14】実施の形態1の制御の一例を示すタイミングチャート。
【図15】同じく制御の一例を示すタイミングチャート。
【図16】同じく制御の一例を示すタイミングチャート。
【図17】同じく制御の一例を示すタイミングチャート。
【図18】同じく制御の一例を示すタイミングチャート。
【図19】実施の形態2のグロー異常判定実行条件算出処理における一部のフローチャート。
【図20】同じく仮異常判定処理のフローチャート。
【図21】同じく本異常判定処理のフローチャート。
【図22】同じくグロー異常判定停止条件算出処理における一部のフローチャート。
【図23】実施の形態2の制御の一例を示すタイミングチャート。
【図24】同じく制御の一例を示すタイミングチャート。
【図25】同じく制御の一例を示すタイミングチャート。
【図26】同じく制御の一例を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
2…蓄圧式ディーゼルエンジン(コモンレール型ディーゼルエンジン)、2a…クランクシャフト、2b…ベルト、4…インジェクタ、4a…電磁弁、6…コモンレール、8…供給配管、8a…逆止弁、10…サプライポンプ、10a…吐出ポート、10b…吸入ポート、10c…圧力制御弁、10d…リターンポート、12…燃料タンク、14…フィルタ、16…リターン配管、18…吸気通路、18a…吸気弁、20…排気通路、20a…排気弁、22…グロープラグ、22a…グローリレー、24…アクセルペダル、26…アクセルセンサ、30…スタータ、30a…スタータスイッチ、32…水温センサ、34…油温センサ、36…燃温センサ、38…燃圧センサ、40…NEセンサ、42…気筒判別センサ、44…トランスミッション、46…シフトポジションセンサ、48…車速センサ、50…エアコンスイッチ、52…ECU、54…オルタネータ、54a…電圧レギュレータ、56…エアコン用コンプレッサ、58…オルタネータ用コントローラ、60…バッテリ。

Claims (46)

  1. グロープラグの通電状態を強制的に変化させることにより生じた現象に基づいてグロープラグの異常有無判定を実行することによりディーゼルエンジンに設けられたグロープラグの異常を検出する方法であって、
    前記異常有無判定に先立って、グロープラグの通電状態を強制的に変化させることなく生じた現象に基づいてグロープラグの異常可能性判定を実行し、該異常可能性判定にて異常の可能性無しと判定された場合には前記異常有無判定を実行しないことを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  2. 請求項1記載の構成において、前記通電状態の強制的変化は、グロープラグへの通電オンと通電オフとの間の切り替えであることを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  3. 請求項1又は2において、前記異常可能性判定は、グロープラグへの通電オン状態下でのディーゼルエンジンの始動完了前のエンジン状態に基づいてグロープラグの異常可能性を判定することを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  4. 請求項3において、前記ディーゼルエンジンの始動完了前のエンジン状態とは、始動時間の長さであることを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  5. 請求項4において、前記異常可能性判定では、前記始動時間が判定基準時間より短い場合は異常の可能性無しと判定し、前記始動時間が判定基準時間より長い場合は異常の可能性有りと判定することを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  6. 請求項3において、前記ディーゼルエンジンの始動完了前のエンジン状態とは、バッテリ電圧の高さであることを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  7. 請求項6において、前記異常可能性判定では、前記ディーゼルエンジンの始動完了前にバッテリ電圧が判定基準電圧より低下したことが有る場合は異常の可能性無しと判定し、低下したことが無い場合は異常の可能性有りと判定することを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  8. 請求項3において、前記ディーゼルエンジンの始動完了前のエンジン状態とは、始動時間の長さ及びバッテリ電圧の高さであることを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  9. 請求項8において、前記異常可能性判定では、前記始動時間が判定基準時間より短いか、あるいは前記バッテリ電圧が判定基準電圧より低下したことが有る場合は異常の可能性無しと判定し、前記始動時間が判定基準時間より長く、かつ前記バッテリ電圧が判定基準電圧より低下したことが無い場合は異常の可能性有りと判定することを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  10. 請求項5又は9において、前記判定基準時間は冷却水温に応じて設定されることを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  11. 請求項7又は9において、前記判定基準電圧は冷却水温に応じて設定されることを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかにおいて、前記異常可能性判定にて異常の可能性有りと判定された場合に、ディーゼルエンジン始動のために開始されたグロープラグへの通電オンの設定時間内で前記異常有無判定を完了できない場合には、前記異常有無判定を実行しないことを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  13. 請求項1〜12のいずれかにおいて、前記異常可能性判定にて異常の可能性有りと判定された場合に、アイドル回転数制御時以外では前記異常有無判定を実行しないことを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  14. 請求項1〜13のいずれかにおいて、前記異常可能性判定にて異常の可能性有りと判定された場合に、バッテリ電圧が判定基準電圧範囲以外では前記異常有無判定を実行しないことを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  15. 請求項1〜14のいずれかにおいて、前記異常有無判定では、グロープラグの通電状態の強制的変化に伴うディーゼルエンジンの運転状態変化に基づいてグロープラグの異常有無を判定することを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  16. 請求項15において、前記異常有無判定では、グロープラグの通電状態の第1強制的変化を行い、該第1強制的変化に伴うディーゼルエンジンの運転状態変化に基づいて第1判定を実行し、該第1判定により正常であると判定されると前記異常有無判定を終了して通電状態を前記第1強制的変化前に戻し、前記第1判定により正常であると判定できなかった場合に通電状態を前記第1強制的変化前に戻す第2強制的変化を行い、該第2強制的変化に伴うディーゼルエンジンの運転状態変化に基づいて第2判定を実行し、該第2判定にて異常であると判定されると前記異常有無判定を終了し、前記第2判定にて異常であると判定できなかった場合に判定を決定せずに前記異常有無判定を終了することを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  17. 請求項16において、前記異常有無判定に際して、既に通電オン状態であれば第1強制的変化は通電オフに変化する処理であり第2強制的変化は通電オンに変化する処理であることを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  18. 請求項16において、前記異常有無判定に際して、既に通電オフ状態であれば第1強制的変化は通電オンに変化する処理であり第2強制的変化は通電オフに変化する処理であることを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  19. 請求項17又は18において、前記第1強制的変化を実行した場合には予め設定された時間間隔を経過していなければ前記第2強制的変化は実行しないことを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  20. 請求項15〜19のいずれかにおいて、ディーゼルエンジンの運転状態変化とは、エンジン負荷の変化であることを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  21. 請求項20において、アイドル回転数制御時に燃料噴射量の変化によりエンジン負荷の変化をとらえることを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  22. 請求項15〜19のいずれかにおいて、ディーゼルエンジンの運転状態変化とは、バッテリ電圧の変化であることを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  23. 請求項15〜19のいずれかにおいて、ディーゼルエンジンの運転状態変化とは、燃料噴射量の変化及びバッテリ電圧の変化であることを特徴とするグロープラグの異常検出方法。
  24. ディーゼルエンジンに設けられたグロープラグの異常を検出する装置であって、
    グロープラグの通電状態を強制的変化させることなく生じた現象に基づいてグロープラグの異常可能性判定を実行する異常可能性判定手段と、
    前記異常可能性判定手段にてグロープラグに異常の可能性有りと判定された場合には、グロープラグの通電状態を強制的変化させることで該強制的変化に対応して生じた現象に基づいてグロープラグの異常有無判定を実行し、前記異常可能性判定手段にてグロープラグに異常の可能性無しと判定された場合には、前記グロープラグの通電状態を強制的変化を伴う前記異常有無判定を実行しない異常有無判定手段と、
    を備えたことを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  25. 請求項24記載の構成において、前記通電状態の強制的変化とは、グロープラグへの通電オンと通電オフとの間の切り替えであることを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  26. 請求項24又は25において、前記異常可能性判定手段は、ディーゼルエンジン始動完了前のエンジン状態を検出する始動完了前状態検出手段を有し、グロープラグへの通電オン状態下で前記始動完了前状態検出手段にて検出されたディーゼルエンジン始動完了前のエンジン状態に基づいてグロープラグの異常可能性を判定することを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  27. 請求項26において、前記始動完了前状態検出手段は、前記ディーゼルエンジン始動完了前のエンジン状態として始動時間の長さを検出することを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  28. 請求項27において、前記異常可能性判定手段は、前記始動完了前状態検出手段にて検出された始動時間が判定基準時間より短い場合は、グロープラグの異常可能性無しと判定し、長い場合はグロープラグの異常可能性有りと判定することを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  29. 請求項26において、前記始動完了前状態検出手段は、前記ディーゼルエンジン始動完了前のエンジン状態としてバッテリ電圧の高さを検出することを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  30. 請求項29において、前記異常可能性判定手段は、前記ディーゼルエンジンの始動完了前に前記始動完了前状態検出手段にて検出されたバッテリ電圧が判定基準電圧より低下したことが有る場合は異常の可能性無しと判定し、低下したことが無い場合は異常の可能性有りと判定することを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  31. 請求項26において、前記始動完了前状態検出手段は、前記ディーゼルエンジン始動完了前のエンジン状態として、始動時間の長さ及びバッテリ電圧の高さを検出することを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  32. 請求項31において、前記異常可能性判定手段は、前記始動時間が判定基準時間より短いか、あるいは前記バッテリ電圧が判定基準電圧より低下したことが有る場合は異常の可能性無しと判定し、前記始動時間が判定基準時間より長く、かつ前記バッテリ電圧が判定基準電圧より低下したことが無い場合は異常の可能性有りと判定することを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  33. 請求項28又は32において、前記異常可能性判定手段は、前記判定基準時間を冷却水温に応じて設定することを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  34. 請求項30又は32において、前記異常可能性判定手段は、前記判定基準電圧を冷却水温に応じて設定することを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  35. 請求項24〜34のいずれかにおいて、前記異常有無判定手段は、前記異常可能性判定手段にて異常の可能性有りと判定された場合に、始動のために開始されたグロープラグへの通電オンの設定時間内で前記異常有無判定を完了できない場合には、前記異常有無判定を実行しないことを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  36. 請求項24〜35のいずれかにおいて、前記異常有無判定手段は、前記異常可能性判定手段にて異常の可能性有りと判定された場合に、アイドル回転数制御時以外では前記異常有無判定を実行しないことを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  37. 請求項24〜36のいずれかにおいて、前記異常有無判定手段は、前記異常可能性判定手段にて異常の可能性有りと判定された場合に、バッテリ電圧が判定基準電圧範囲以外では前記異常有無判定を実行しないことを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  38. 請求項24〜37のいずれかにおいて、前記異常有無判定手段は、グロープラグの通電状態の強制的変化に伴うディーゼルエンジンの運転状態変化に基づいてグロープラグの異常有無を判定することを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  39. 請求項38において、前記異常有無判定手段は、
    前記異常可能性判定手段にてグロープラグに異常の可能性有りと判定された場合に、グロープラグの通電状態の第1強制的変化を行い、該第1強制的変化に伴うディーゼルエンジンの運転状態変化に基づいて判定を実行する第1異常判定手段と、
    前記第1異常判定手段にて正常であると判定されると前記異常有無判定を終了して通電状態を前記第1強制的変化前に戻し、前記第1異常判定手段により正常であると判定できなかった場合に通電状態を前記第1強制的変化前に戻す第2強制的変化を行い、該第2強制的変化に伴うディーゼルエンジンの運転状態変化に基づいて判定を実行し、該判定にて異常であると判定されると前記異常有無判定を終了し、該判定にて異常であると判定できなかった場合に判定を決定せずに前記異常有無判定を終了する第2異常判定手段と、
    を備えたことを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  40. 請求項39において、前記異常有無判定手段の処理開始時において、既に通電オン状態であれば、前記第1異常判定手段による前記第1強制的変化は通電オフに変化する処理であり、前記第2異常判定手段による前記第2強制的変化は通電オンに変化する処理であることを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  41. 請求項39において、前記異常有無判定手段の処理開始時において、既に通電オフ状態であれば、前記第1異常判定手段による前記第1強制的変化は通電オンに変化する処理であり、前記第2異常判定手段による前記第2強制的変化は通電オフに変化する処理であることを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  42. 請求項40又は41において、前記第1異常判定手段が前記第1強制的変化を実行した場合には、前記第2異常判定手段は、予め設定された時間間隔を経過していなければ前記第2強制的変化は実行しないことを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  43. 請求項38〜42のいずれかにおいて、ディーゼルエンジンの運転状態変化とは、エンジン負荷の変化であることを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  44. 請求項43において、前記異常有無判定手段は、アイドル回転数制御時に燃料噴射量の変化によりエンジン負荷の変化をとらえることを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  45. 請求項38〜42のいずれかにおいて、ディーゼルエンジンの運転状態変化とは、バッテリ電圧の変化であることを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
  46. 請求項38〜42のいずれかにおいて、ディーゼルエンジンの運転状態変化とは、燃料噴射量の変化及びバッテリ電圧の変化であることを特徴とするグロープラグの異常検出装置。
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