JP4050069B2 - 切粉搬出装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は切削用工作機械で発生する切粉を機内に滞留しないように機外へ適宜搬出する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
発生した切粉を機外へ搬出する装置は、工作機械の種類や切粉の発生状況に応じ最適な搬出装置が提案されている。殆どの搬出装置はテーブル、又はサドル等の移動体の移動方向と平行に1本以上の切粉を落とし込む溝を設け溝にスクリュー式やコンベア式の切粉搬送装置を組み込んで構成している。
【0003】
中型乃至小型の切削加工機械では、機械の据付けスペースの点から全体カバーのコンパクト化設計が進められるに従い切粉の搬出装置も小型化設計が要請されている。切削時発生する切粉の大部分は、移動体の移動方向と平行に設けられた切粉用の溝に集められ、搬出部材で切粉を機外へ搬出処理されている。移動体の摺動面保護のため移動体の移動方向には、切粉よけカバーをテレスコピック状に積層し伸縮自在に構成したスライドカバーが設けられている。スライドカバーは上部が斜面または屋根形に形成されており、飛散した切粉の殆どは移動体の移動方向に平行な切粉受け溝に滑落して集められる。
【0004】
しかしながら、傾斜面が緩やかだったり、切粉の性質によって平行な切粉受け溝に集めることができない場合が生ずる。
図3において、移動体101はベッド102の摺動面102aに当接若しくは軸受103を介して案内され図において左右方向に移動する。スライドカバー104の最上層カバー104Aは移動体101に一端が固設されている。スライドカバー104の最下層カバー104Zはベッド102に固設したカバー支え114または全体カバー105に固設されている。
【0005】
最下層カバー104Zに伸縮の移動方向が案内される中間層カバー104Yが載置され、続いて中間層カバー104X,……,104Bが順次載置され案内されている。スライドカバー104の上面に飛散し移動体の移動方向に平行に設けられた切粉受け溝に滑落しなかった切粉Cは、次第に中間カバーにより収縮端側に送られ、固定された最下層カバー104Z上に集積する。機械の全体カバー105がコンパクトに設計されベッド102の端面に全体カバー105が固設される場合があり切粉の滑落先がない場合には切粉の集積が顕著となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術で述べたように、中型乃至小型の切削用工作機械の場合、テーブル又はサドルの移動方向に平行に切粉回収用の溝を移動するテーブルまたはサドルの両側に設けたり、場合によっては片側にのみ溝を設けることにより殆どの場合切粉の搬出が処理されて来た。
しかし、長時間操業や自動化による無人運転が求められ、更に加工機械のコンパクト化が求められ全体カバーの設計にもその要請が強く反映されるようになっている。
【0007】
特に、近年の工作機械の切削能力の向上や高速化により、単位時間あたりの切粉の発生量は一層増加しており、従来は所定の時間間隔において作業者が切粉を排除すれば良かった場合でも前述のような生産状況の変化に伴い頻繁に清掃する必要が生じるようになって来ており、作業効率が低下するという問題を生じている。
また、こうした清掃作業がなされない場合、大量の切粉が最下層カバー104Z上に集積し、更に全体カバー105と移動体101及びスライドカバー104Y……104Aとの間で押し固められて、場合によってはスライドカバーや構成部品を破損させるという問題を生じている。
【0008】
本発明は従来技術の有するこのような問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、案内面を切粉から保護するスライドカバーをテレスコピックに構成し、スライドカバーの伸縮動作によりスライドカバー上に付着した切粉を寄せ集めて伸縮する方向と交叉する切粉受け溝に落とし込み、この切粉受け溝に内挿され、外周面に突出した螺旋状部材が設けられたローラの回転により切粉を切粉受け溝に沿って移送し外へ排出する切粉搬出部材を組み込み、この切粉搬出部材を回転させる駆動手段を設けている。また、スライドカバーが収縮端に達したことをセンサで検知して信号を出力させ、この信号を前記駆動手段に入力することにより前記切粉搬出部材を回転させて切粉を排出するようにした切粉搬出装置を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の請求項1に記載の切粉搬出装置は、工作機械の切粉搬出装置であって、一端が機械固定体に他端が移動体に固定されて案内面を切粉から保護する伸縮自在なスライドカバーと、該スライドカバーの前記機械固定体側の最下層カバーまたは全体カバーに前記最下層カバーと前記全体カバーとの間でスライドカバーが伸縮する方向と交叉して設けられ前記スライドカバー上に付着した前記切粉を前記スライドカバーの伸縮動作によりせり出し落下した前記切粉を受ける切粉受け溝と、該切粉受け溝内に設けられた螺旋状部材の回転により前記切粉を前記切粉受け溝の溝外に移送する切粉搬出部材と、該切粉搬出部材を回転駆動する駆動手段とを含んでなり、スライドカバーが収縮した時に切粉受け溝に落下した切粉を排出するための切粉搬出部材を駆動するものである。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば,スライドカバーの本機側固定端に切粉受け溝を設け、テーブル等の移動体が移動しスライドカバーが収縮端に達してスライドカバー上の切粉が切粉受け溝へせり落とされたとき、前記切粉受け溝に内挿され、外周面に突出した螺旋状部材が設けられローラを回転させて切粉受け溝から外へ切粉を排出するようにしたものである。移動体の移動範囲と関連させて切粉搬出部材を回転させ効率の良い切粉排出を可能とするものである。
【0011】
また請求項2に記載の切粉搬出装置は、前記スライドカバーが最も収縮したことを検知し信号を出力するセンサを設け、該センサの出力信号に基づき切粉搬出部材を一定時間駆動するものである。
請求項2の発明によれば、切粉搬出部材の回転駆動開始の信号を、スライドカバーが最も収縮したことを検知するセンサから得るようにしたものである。スライドカバーの移動と連動させることにより、切粉の発生態様に応じた切粉の排出が可能となる。
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、スライドカバーの機械固定体側に設けた切粉受け溝内に配備された切粉搬出部材の配置説明図、図2は、両端に突出した支持軸で支えられ、外周面に突出した螺旋状部材が設けられ、内蔵された駆動部材で回転駆動される切粉搬出部材の構成説明図である。
【0013】
図1において、テーブル等の移動体1はベッド2の摺動面2aに当接若しくは軸受3を介して案内され図上で左右方向に移動する。
スライドカバー4の最上層カバー4Aは移動体1に一端が固設されている。スライドカバー4は、板状体でテレスコピックに構成するかロールに巻回されるシート状のカバーでも良い。いずれの場合も伸縮自在に構成可能だからである。スライドカバー4の最下層カバー4Zはベッド2又はベッド2に固設されたカバー支え14に取着されている。機械固定体側に取着されている最下層カバー4Zに案内される中間層カバー4Yが載置され伸縮移動方向に摺動可能に案内されている。続いて中間層カバー4X,……4Bが順次載置され案内されている。
【0014】
図1に示す実施例においては、最下層カバー4Zと全体カバー5との間に切粉受け溝6が設けられ、切粉受け溝6は最下層カバー4Zに取着した軸支え7または全体カバー5に取着されている。切粉受け溝6は上方に開口した溝でありスライドカバー4の伸縮動作により端部に寄せ集められた切粉Cが落下する。切粉受け溝6の内周面に沿ったほぼ等しい外径寸法で、螺旋状突出部材9が円筒外周に形成された外筒10の回転により溝に落下した切粉Cを溝に沿って移送し溝から外へ排出する切粉搬出部材8が設けられている。切粉搬出部材8の外筒10に形成した螺旋状突出部材9は板状体またはブラシ状体のいずれでも良い。
【0015】
図2において、切粉搬出部材8の外筒10は、両端から突出した支軸11により回転可能に支承されている。外筒10は機械固定体に設けられた駆動源により回転させても良い。
また、外筒10内部に電動モータ12を収納して固定される支軸11に取着し、軸心から導線13で通電し外筒10を回転させることもできる。更に外筒10をロータとし、支軸11をステータとするモータを構成することができる。この方式を採用する場合は、切粉搬出部材8の形状は小型化され狭い空間に切粉搬出装置を構成することが可能となる。切粉搬出部材8は機械稼働中常に回転駆動させたり、加工プログラムに組み込んで或いは加工プログラムに対応させて回転駆動することも可能である。ここでは、中間層カバー4Yが所定位置まで収縮したとき切粉搬出部材8を駆動するため、これを検知するセンサ15が設けられている。
【0016】
センサ15で検出するのは中間層カバー4Yに限定するものでなく、スライドカバー4の中から適宜選択すれば良い。センサ15は近接スイッチ,マイクロスイッチ等の中から選択することができる。スライドカバー4が収縮してセンサ15から検知信号が出力された時に駆動部材12のモータに通電時間をタイマで設定しておき駆動する。通電時間を限定することにより切粉搬出装置の効率的稼働が可能となる。なお、切粉搬出部材8を、駆動部材12が内装され、かつ螺旋状突出部材が設けられた外筒ユニットと単に外周に螺旋状突出部材9が設けられた連結用外筒ユニットに構成することにより切粉受け溝6の長さが異なる場合も対応可能である。
【0017】
次に、本発明の切粉搬出装置の作用について説明する。
図1において、テーブルやサドル等の移動体1はベッド2の摺動面2aに案内され、移動体1が図上で左右方向に位置決め制御される間に切削加工が進行する。移動体1上に固設された図示しない被加工物から飛散した切粉Cの一部はテレスコピックに構成されたスライドカバー4の上面に付着する。移動体1が図上で左行しスライドカバー4が収縮するとスライドカバー4の伸長時に上面に付着した切粉は順次左端へと寄せ集められる。
移動体1が左行し、最下層カバー4Zに載置案内される中間層カバー4Yが行程の左端に達したときに、これをセンサ15で検出する。
【0018】
図2において、センサ15の信号出力を受けて駆動部材12のモータに給電し切粉搬出部材8の外筒10を回転させる。外周面は螺旋状突出部材9が設けられている。この部材としてはブラシまたは板材を使用することができる。その外径寸法はほぼ切粉受け溝6の溝径に一致しているので、切粉搬出部材8の回転につれて螺旋状突出部材9で切粉は溝に沿って移送され溝の外へ排出される。駆動部材の回転時間はセンサ15が検知後の一定時間に設定することにより使用電力を最小限にすることができる。なお、切粉の生成量が多くスライドカバー上の付着量が増加しているにもかかわらず移動体1がプログラム上左行する必要がない場合には、加工途中で移動体1が左行してスライドカバー4を一旦収縮させるプロセスをプログラム上に組むことにより切粉熱による精度に及ぼす影響を少なくすることも可能である。
【0019】
次に、外筒10内に駆動部材12を組み込んで外筒10を回転駆動する場合や外筒10自体をロータとして駆動部材12と切粉搬出部材8を一体に構成する場合は切粉搬出装置全体がコンパクトになり設置空間が制限された狭い場所に随時設置が可能である。特に後者の外筒10をロータとする切粉搬出部材8の場合は、外筒10の外径寸法を小径に構成することや外筒10の長さをユニット化することにより少しの空間があれば設置が可能である。
【0020】
【発明の効果】
本発明の切粉搬出装置は前述のとおり構成されているので次に記載する効果を奏する。
請求項1に記載の発明は、スライドカバーが収縮してスライドカバー上に付着した切粉を順次切粉受け溝の方に寄せ集め、続いてスライドカバーの端部で集められた切粉をスライドカバーが最も収縮したときに切粉受け溝にせり落とすようになる。従って、固定体又は全体カバーと移動体又はスライドカバーとの間で切粉が押し固められてスライドカバーを破損させるということがなくなる効果を有する。
【0021】
請求項2に記載の発明は、スライドカバーが最も収縮したことをセンサで検知して一定時間のみ切粉搬出部材の外筒をモータで回転駆動し、切粉を切粉受け溝から外へ移送している。従って切粉搬出用の動力源への通電によるエネルギー利用が経済的であるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスライドカバーの機械固定体側に設けた切粉受け溝内に配備された切粉搬出部材の配置説明図である。
【図2】両端に発出した支持軸で支えられ外筒にひれ状突出部材が螺旋状に設けられ、内蔵された駆動部材で回転駆動される切粉搬出部材の構成説明図である。
【図3】伸縮端に切粉受け溝を有しない従来のスライドカバーに切粉が堆積した状態説明図である。
【符号の説明】
1 移動体 2 ベッド
3 軸受
4 スライドカバー
4A 最上層カバー
4B〜4Y 中間層カバー
4Z 最下層カバー 5 全体カバー
6 切粉受け溝 7 軸支え
8 切粉搬出部材 9 螺旋状突出部材
10 外筒 11 支軸
12 駆動部材(モータ) 13 導線
14 カバー支え C 切粉
Claims (2)
- 工作機械の切粉搬出装置であって、一端が機械固定体に他端が移動体に固定されて案内面を切粉から保護する伸縮自在なスライドカバーと、該スライドカバーの前記機械固定体側の最下層カバーまたは全体カバーに前記最下層カバーと前記全体カバーとの間でスライドカバーが伸縮する方向と交叉して設けられ前記スライドカバー上に付着した前記切粉を前記スライドカバーの伸縮動作によりせり出し落下した前記切粉を受ける切粉受け溝と、該切粉受け溝内に設けられた螺旋状部材の回転により前記切粉を前記切粉受け溝の溝外に移送する切粉搬出部材と、該切粉搬出部材を回転駆動する駆動手段とを含んでなり、スライドカバーが収縮した時に切粉受け溝に落下した切粉を排出するための切粉搬出部材を駆動することを特徴とする切粉搬出装置。
- 前記スライドカバーが最も収縮したことを検知し信号を出力するセンサを設け、該センサの出力信号に基づき切粉搬出部材を一定時間駆動することを特徴とする請求項1に記載の切粉搬出装置。
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