JP4048785B2 - 電動機用制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CPUを備えたコントローラにより電動機の駆動電流を制御する電動機用制御装置に関し、特に電動スクータや、電気自動車等の電動車両の駆動源として用いる電動車両用ブラシレス直流電動機を制御するのに好適な電動機用制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に電動機は、界磁を有するロータとn相(nは2以上の整数)の電機子コイルを有するステータとを備えていて、電機子コイルに流す駆動電流をコントローラにより制御することにより、回転速度を制御するようにしている。近年コントローラしては、CPUを用いたものが多く用いられている。
【0003】
また電動車両を駆動する電動機としては、ブラシレス直流電動機が多く用いられている。周知のように、ブラシレス直流電動機は、磁石界磁を有するロータと、2相以上の多相の電機子コイルを有するステータとを備えていて、ロータのステータに対する回転角度位置に応じて電機子コイルの励磁相を切り換えていくことによりロータを回転させる。
【0004】
この種の電動機の駆動電流を制御する制御装置は、ロータのステータに対する回転角度位置を検出する位置検出器と、直流電源から電機子コイルに駆動電流を流す相を切り換えるために直流電源と電機子コイルとの間に設けられたスイッチ回路と、電動機の回転速度を調節する際に操作される速度調節部材と、速度調節部材の変位量をスロットル開度として検出して該スロットル開度に相応した大きさのスロットル信号を出力するスロットルセンサと、ロータを回転させるべく位置検出器の出力に応じて駆動電流を流す相を切り換えるようにスイッチ回路を制御するコントローラとにより構成される。
【0005】
コントローラは、CPUを備えていて、該CPUに所定のプログラムを実行させることにより、スロットル信号の値に対して駆動電流のデューティ比を演算するデューティ比演算手段と、駆動電流をデューティ比演算手段により演算されたデューティ比を有するPWM波形の電流とするようにスイッチ回路を制御するPWM制御手段と、駆動電流を流す相の切換角度をスロットル信号に対して演算された制御進み角だけ位置検出器の出力により決まる基準の切換角度に対してシフトさせるように制御する制御進み角制御手段とを構成する。
【0006】
ここで駆動電流のデューティ比は、駆動電流のオンオフの周期に対するオン時間の割合を示すもので、駆動電流が流れる時間をton、駆動電流が零になる時間をtoff 、オンオフの周期をT(=ton+toff )とした場合、デューティ比DFは、DF=(ton/T)×100[%]で定義される。
【0007】
電動車両においては、アクセルグリップやアクセルペダル等の速度調節部材を変位させることにより電動機の回転速度を調節するが、車両の運転感覚を良好にし、スムースな運転を行わせるためには、速度調節部材の変位量(スロットル開度)αに対してのみ駆動電流のデューティ比DFを制御するのではなく、速度調節部材に対するデューティ比DFの変化率を電動機の回転速度N[rpm]に応じて変化させるように、デューティ比DFをスロットル開度αと回転速度Nとの双方に対して制御している。
【0008】
上記のようにデューティ比DFをスロットル開度αと回転速度Nとに対して制御する場合には、スロットル開度αと回転速度Nと駆動電流のデューティ比DFとの間の関係を与える3次元マップをROMに記憶させておいて、このマップを用いて、CPUにより回転速度N及びスロットル開度αに対してデューティ比DFを演算し、演算されたデューティ比DFで駆動電流を断続させるように、スイッチ回路のスイッチ素子をオンオフ制御する手法がとられる。
【0009】
またブラシレス直流電動機においては、駆動電流を流す電機子コイルの相を切り換える切換角度(電気角)を、電動機の機械的な構成により決まる理論的な切換角度に対して所定の角度だけシフトさせている。駆動電流を流す相の切換角度と理論的な切換角度との位相差を制御進み角γと呼んでおり、この制御進み角γは一般には進み側に設定される。
【0010】
ブラシレス直流電動機においては、上記制御進み角γにより発生トルク及び最高回転速度が変化し、トルクを大きくするように制御進み角γを設定すると最高回転速度が低くなり、制御進み角γを進角させていくと最高回転速度が高くなるが発生トルクは小さくなっていく。
【0011】
通常、電動車両の駆動源としてブラシレス直流電動機を用いる場合には、低速時に十分に大きなトルクを得ることができる制御進み角γを正規の制御進み角γo として設定しておいて、回転速度が設定値を超える領域で回転速度の上昇に応じて制御進み角γを正規の制御進み角γo に対して進角させ、回転速度が設定された進角終了回転速度を超える領域では制御進み角の進角量を最大値に保持するようにしている。
【0012】
上記のような、制御進み角制御を行う場合には、速度調節部材の変位量(スロットル開度)αと回転速度Nと制御進み角γとの間の関係を与える3次元マップをROMに記憶させておいて、このマップを用いてスロットル開度の検出値と回転速度の検出値とに対して制御進み角γを演算し、電動機の制御進み角を演算された制御進み角に等しくするように制御する。
【0013】
上記のように、回転速度が設定値を超える領域で制御進み角γを正規の制御進み角γo よりも進角させる制御を行う場合、上り坂等で速度調節部材の増速側への変位量を最大にした状態(フルスロットルの状態)で運転しているときに、制御進み角γの進角量が最大値に保たれた状態になり、電動機の駆動電流は定格値を超えた状態になる。このような状態が長時間続くと、電機子コイルの温度が上昇して許容値を超え、これらが破損するおそれがある。
【0014】
そのため、電機子コイルの温度を検出する温度センサを設けて、該温度センサにより異常な温度上昇が検出されたときに、駆動電流のデューティ比の上限値を減少させて駆動電流を制限することにより、電動機の出力を制限して温度上昇を抑制する温度上昇抑制制御を行なわせている。
【0015】
ところが、温度上昇時に駆動電流を制限しても、制御進み角が進角したままであると、無効電流が多く流れるため回転速度が大幅に低下し、走行速度が制限されるという問題が生じる。実用上、温度上昇抑制制御を行なう際の回転速度の落ち込みはできるだけ小さくすることが望ましい。
【0016】
そこで、特開平8−265919号に示されているように、電機子コイルの温度を検出して、温度の異常上昇が検出されたときに制御進み角を遅角させる制御と駆動電流のデューティ比を減少させる制御とを併せて行うことが提案されている。
【0017】
異常な温度上昇が生じたときに制御進み角を遅角させると、駆動電流が減少するため、電機子コイルの温度上昇を抑制することができる。また制御進み角を遅角させることにより駆動電流を減少させる方法をとると、制御進み角を遅角させることなく、駆動電流のデューティ比のみを減少させる方法をとった場合に比べて、回転速度の落ち込みを少なくすることができるため、温度上昇抑制制御時に運転のフィーリングが悪くなるのを防ぐことができる。
【0018】
また制御進み角の遅角量が余り大きくなると、無効電流が過大になって好ましくないが、制御進み角を遅角させる制御と、駆動電流のデューティ比を減少させる制御とを併せて行うようにすると、制御進み角の遅角量をそれほど大きくする必要がないため、無効電流が過大になるのを防ぐことができる。
【0019】
上記の説明では、駆動電流のデューティ比と制御進み角とを制御するとしたが、制御進み角の制御を行わない場合も、フルスロットル状態で負荷が過大になると、電機子コイルの温度が異常上昇することがあるため、電機子コイルの温度を検出してその温度上昇を抑制するように電動機の出力を制限する制御を行うことが必要になる。
【0020】
また電動車両用のブラシレス直流電動機に限らず、一般に負荷を駆動するブラシレス直流電動機や、ステッピングモータや、パルスモータ等においても、過負荷時に電機子コイルの温度の異常上昇が予想される場合には、電機子コイルの温度を検出して、検出された温度が設定値を超えたときに電動機の出力を抑制する温度上昇抑制制御を行うことが必要になる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
電機子コイルの温度上昇を抑制する制御を行うようにした従来の電動機用制御装置では、多相の電機子コイルのうちのいずれか1相の電機子コイルに温度センサとしての感温抵抗素子を熱的に結合して、該感温抵抗素子の抵抗値から電機子コイルの温度を検出するようにしていた。
【0022】
しかしながら、このように、多相の電機子コイルを有する電動機において、いずれか1相の電機子コイルの温度のみを検出した場合には、温度が検出されていない他の相の電機子コイルで温度の異常上昇があった場合に、その温度の異常上昇を検出することができないことがあるため、電機子コイルの保護を適確に図ることができない。
【0023】
例えば、ブラシレス直流電動機において、電動機が過負荷によりロックした場合には、駆動電流の転流が行われなくなるため、特定の相の電機子コイルに他の相の電機子コイルよりも大きな電流が流れる状態が継続してその温度が上昇し、コイルが焼損する。1つの相の電機子コイルのみに感温抵抗素子を結合した場合には、電動機のロック時にロータの停止位置によっては、電機子コイルの温度の異常上昇を検出することができないことがあるため、電機子コイルの保護を適確に図ることができない。
【0024】
また電動機がロックしないまでも、その回転速度が非常に低くなって、駆動電流の転流に要する時間が長くなったときには、特定の相の電機子コイルに大きな駆動電流が流れる時間が長くなるため、ロック状態と同じような状態になって特定の相の電機子コイルが過熱し、焼損する恐れがある。このような場合にも、1つの相の電機子コイルの温度のみを検出するようにした場合には、電機子コイルの温度の異常上昇を検出できないことがあるため、電動機の保護を適確に図ることができない。
【0025】
多相の電機子コイルのすべての相の温度を検出するために、各相の電機子コイル毎に感温抵抗素子を設けて、各相の電機子コイルに対して設けた感温抵抗素子から得られる温度検出信号を個別にコントローラのCPUに入力することが考えられる。しかしながら、このように構成した場合には、コントローラを構成するCPUに設けられているアナログ入力ポートのうち、電機子コイルの相数と同じ数のポートを電機子コイルの温度を読み込むための入力ポートとして用いる必要があるため、CPUとしてアナログ入力ポートの数が多いものを用いることが必要になり、コストが高くなるという問題が生じる。
【0026】
本発明の目的は、特定の相の電機子コイルの温度のみが上昇する状態が生じた場合でも電機子コイルの保護を適確に図ることができるようにした電動機用制御装置を提供することにある。
【0027】
本発明の他の目的は、電機子コイルのすべての相の温度情報をコントローラのCPUの1つのアナログ入力ポートを用いるだけで読み込むことができるようにして、コストの上昇を伴うことなく、電機子コイルの保護を適確に図ることができるようにした電動機用制御装置を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明は、界磁を有するロータとn相(nは2以上の整数)の電機子コイルを有するステータとを備えた電動機の駆動電流をCPUを備えたコントローラにより制御する電動機用制御装置に係わるものである。
【0029】
本発明においては、ステータのn相の電機子コイルにそれぞれ熱的に結合されて互いに並列に接続されたn個の感温抵抗素子を設けて、該n個の感温抵抗素子の並列回路の両端に一定の直流電圧を印加し、該n個の感温抵抗素子の並列回路の両端に得られる電圧信号をコントローラのCPUの1つのアナログ入力ポートに入力する。
【0030】
またコントローラは、電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあるか否かを判定する回転状態判定手段と、この回転状態判定手段により電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあると判定されているときに電圧信号を温度に換算する第1の電圧/温度換算手段と、回転状態判定手段により電動機が設定された極低回転状態及びロック状態にないと判定されているときに電圧信号を温度に換算する第2の電圧/温度換算手段と、回転状態判定手段により電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態では第1の電圧/温度換算手段により換算された温度が第1の設定温度を超えたときに換算された温度が高い場合程電動機の出力を低くするように制御し、回転状態判定手段により電動機が極低回転状態及びロック状態にないと判定されている状態では第2の電圧/温度換算手段により換算された温度が第2の設定温度を超えたときに換算された温度が高い場合程電動機の出力を低くするように制御する温度上昇抑制制御手段とを備えた構成とする。
【0031】
上記のように、n相の電機子コイルにそれぞれ熱的に結合したn個の感温抵抗素子を並列に接続して、該n個の感温抵抗素子の並列回路の両端に一定の直流電圧を印加すると、n個の感温抵抗素子の並列回路の両端に得られる電圧信号は、すべての相の電機子コイルの温度の情報を含む信号となる。
【0032】
この場合、電動機が極低回転状態またはロック状態にあって一部の電機子コイルの温度のみが異常上昇したときと、電動機が定常回転していて、すべての相の電機子コイルの温度が同じように異常上昇しているときとでは、異常上昇時の温度が同じであっても、電圧信号の値は相違する。
【0033】
従って電圧信号を温度に換算するためには、電動機が極低回転状態またはロック状態にあるときと、極低回転状態及びロック状態にないときとで、異なる換算テーブルを用いる必要がある。
【0034】
そのため、本発明においては、回転状態判定手段を設けて、この判定手段により、電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあると判定されているときに電圧信号を温度に換算する第1の電圧/温度換算手段と、回転状態判定手段により電動機が設定された極低回転状態及びロック状態にないと判定されているときに電圧信号を温度に換算する第2の電圧/温度換算手段とを設けている。上記の構成において、電動機の極低回転時またはロック時に電動機の出力を制限する制御を開始するタイミングを決める第1の設定温度と、電動機の定常回転時に電動機の出力を制限する制御を開始するタイミングを決める第2の設定温度とは同じでもよく、異なっていてもよいが、電動機が極低回転状態またはロック状態にあるときには、電動機が定常回転しているときに比べて、電機子コイルの温度が短時間のうちに異常上昇して焼損し易いため、安全のためには、上記第1の設定温度を、第2の設定温度よりも低くしておくことが好ましい。
【0035】
上記のように構成すると、単一の電圧信号を用いて、特定の相の電機子コイルの温度のみが異常上昇する状態と、すべての相の電機子コイルの温度が同じように異常上昇する状態との双方を検出して、電機子コイルを過熱から確実に保護することができる。
【0036】
また上記のように構成すると、コントローラのCPUの1つのアナログ入力ポートを用いるだけで、すべての相の電機子コイルの温度が反映された温度情報を得ることができるので、アナログ入力ポートの数が多い高価なCPUを用いることなく電機子コイルを過熱から保護するための制御動作を行わせることができる。
【0037】
更に上記のように、各相の電機子コイルに熱的に結合した感温抵抗素子を並列に接続して、該感温抵抗素子の並列合成抵抗値から温度検出信号を得るようにすると、感温抵抗素子の抵抗値のばらつきが制御に与える影響を少くすることができる。
【0038】
上記の構成では、感温抵抗素子の並列回路の両端に得られる電圧信号を温度に換算して、換算した温度を設定温度と比較することにより異常な温度上昇が生じているか否かを判定するようにしたが、電圧信号の値を温度に換算することなく、所定の設定値と比較することによっても、異常な温度上昇が生じているか否かを判定することもできる。
【0039】
電圧信号の値は、一部の電機子コイルの温度のみが異常上昇しているときと、すべての相の電機子コイルの温度が同じように異常上昇しているときとで異なるため、一部の相の電機子コイルの温度のみが異常上昇しているか否かを判定するために用いる設定値と、すべての電機子コイルの温度が同じように異常上昇しているか否かを判定するために用いる設定値とは異ならせる必要がある。
【0040】
この場合、コントローラは、電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあるか否かを判定する回転状態判定手段と、該回転状態判定手段により電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態では上記電圧信号の値を第1の設定値と比較して該電圧信号の値と第1の設定値との大小関係から一部の相の電機子コイルの温度が許容値を超えていると判定されたときに電圧信号の値と第1の設定値との差が大きい場合程電動機の出力を低くするように制御し、回転状態判定手段により電動機が極低回転状態またはロック状態にないと判定されている状態では電圧信号の値を第1の設定値と異なる第2の設定値と比較して電圧信号の値と第2の設定値との大小関係から各電機子コイルの温度が許容値を超えていると判定されたときに電圧信号の値と第2の設定値との差が大きい場合程電動機の出力を低くするように制御する温度上昇抑制制御手段とを備えた構成とする。
【0041】
なお上記のように、電圧信号の値と第1の設定値とを比較して一部の相の電機子コイルでのみ温度の異常上昇が生じているか否かを判定する場合、温度の異常上昇が生じているときの電圧信号の値と第1の設定値との間の関係は、感温抵抗素子の温度係数が正であるか負であるかにより相違する。即ち、感温抵抗素子の温度係数が正であるときには、電圧信号の値が第1の設定値よりも大きくなったことが検出されたときに一部の相の電機子コイルでのみ温度の異常上昇が生じていると判定することができる。また感温抵抗素子の温度係数が負であるときには、電圧信号の値が第1の設定値よりも小さくなったことが検出されたときに一部の相の電機子コイルでのみ温度の異常上昇が生じていると判定することができる。
【0042】
上記電圧信号の値を第2の設定値と比較して、すべての相の電機子コイルで温度の異常上昇が生じているか否かを判定する場合の電圧信号の値と第2の設定値との間の大小関係も同様に、感温抵抗素子の温度係数が正であるか負であるかにより相違する。
【0043】
また感温抵抗素子の温度係数が正である場合には、上記第2の設定値を第1の設定値よりも大きい値に設定する必要があり、感温抵抗素子の温度係数が負である場合には、上記第2の設定値を第1の設定値よりも小さい値に設定する必要がある。
【0044】
通常電動車両用のブラシレス直流電動機を制御する制御装置は、ロータのステータに対する回転角度位置を検出する位置検出器と、直流電源から電機子コイルに駆動電流を流す相を切り換えるために直流電源と電機子コイルとの間に設けられたスイッチ回路と、電動機の回転速度を調節する際に操作される速度調節部材と、速度調節部材の変位量をスロットル開度として検出して該スロットル開度に相応した大きさのスロットル信号を出力するスロットルセンサと、ロータを回転させるべく位置検出器の出力に応じて駆動電流を流す相を切り換えるようにスイッチ回路を制御する手段を有するコントローラとを備えていて、コントローラのCPUに所定のプログラムを実行させることにより、スロットル信号に対して駆動電流のデューティ比を演算するデューティ比演算手段と、駆動電流をデューティ比演算手段により演算されたデューティ比を有するPWM波形の電流とするようにスイッチ回路を制御するPWM制御手段とを構成する。
【0045】
このような構成を有する駆動装置に本発明を適用する場合、コントローラは、電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあるか否かを判定する回転状態判定手段と、回転状態判定手段により電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあると判定されているときに前記電圧信号を温度に換算する第1の電圧/温度換算手段と、回転状態判定手段により電動機が設定された極低回転状態及びロック状態にないと判定されているときに電圧信号を温度に換算する第2の電圧/温度換算手段と、回転状態判定手段により電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態では第1の電圧/温度換算手段により換算された温度が第1の設定温度を超えたときに換算された温度が高い場合程駆動電流のデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を小さくするようにデューティ比演算手段により演算されたデューティ比を補正し、回転状態判定手段により電動機が極低回転状態及びロック状態にないと判定されている状態では第2の電圧/温度換算手段により換算された温度が第2の設定温度を超えたときに換算された温度が高い場合程駆動電流のデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を小さくするようにデューティ比演算手段により演算されたデューティ比を補正する温度上昇抑制制御手段とを備えた構成とすることができる。
【0046】
またこの場合も、電圧/温度換算手段を設けることなく、電圧信号の値を設定値と比較することにより電機子コイルの温度の異常上昇を検出して、温度の異常上昇が検出されたときに電動機の出力を制限するするように温度上昇抑制制御手段を構成することができる。
【0047】
この場合、温度上昇抑制制御手段は、回転状態判定手段により電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態では電圧信号の値を第1の設定値と比較して電圧信号の値と第1の設定値との大小関係から一部の相の電機子コイルの温度が許容値を超えていると判定されたときに電圧信号の値と第1の設定値との差が大きい場合程駆動電流のデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を小さくするようにデューティ比演算手段により演算されたデューティ比を補正し、回転状態判定手段により電動機が極低回転状態またはロック状態にないと判定されている状態では電圧信号の値を前記第1の設定値と異なる第2の設定値と比較して電圧信号の値と第2の設定値との大小関係から各電機子コイルの温度が許容値を超えていると判定されたときに電圧信号の値と第2の設定値との差が大きい場合程駆動電流のデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を小さくするように、デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を補正する。
【0048】
上記の構成では、電機子コイルの温度が設定値以上になったときに駆動電流のデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を小さくすることにより電動機の出力を制限するようにしたが、スロットル信号に対して制御進み角を演算する制御進み角演算手段と、駆動電流を流す相を切り換える切換角度を制御進み角演算手段により演算された制御進み角だけ位置検出器の出力により決まる基準の切換角度に対してシフトさせるように制御する制御進み角制御手段とがコントローラに設けられる場合には、電機子コイルの温度が設定値以上になったことが検出されたときに制御進み角を遅角側に補正することにより、温度上昇抑制制御を行わせるようにしてもよい。
【0049】
この場合、温度上昇抑制制御手段は、回転状態判定手段により電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態では第1の電圧/温度換算手段により換算された温度が第1の設定温度を超えたときに駆動電流を流す相を切り換える切換え角度を制御進み角演算手段により演算された制御進み角を有する切換え角度よりも遅角させるように制御進み角演算手段が演算した制御進み角を補正し、回転状態判定手段により電動機が極低回転状態またはロック状態にないと判定されている状態では第2の電圧/温度換算手段により換算された温度が第2の設定温度を超えたときに駆動電流を流す相の切換え角度を制御進み角演算手段により演算された制御進み角を有する切換え角度よりも遅角させるように制御進み角演算手段が演算した制御進み角を補正して電動機の出力を制限する制御を行うように構成される。
【0050】
またこの場合、回転状態判定手段により電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態では、電圧信号の値を第1の設定値と比較して電圧信号の値と第1の設定値との大小関係から一部の相の電機子コイルの温度が許容値を超えていると判定されたときに駆動電流を流す相を切り換える切換え角度を制御進み角演算手段により演算された制御進み角を有する切換え角度よりも遅角させるように制御進み角演算手段が演算した制御進み角を補正し、回転状態判定手段により電動機が極低回転状態またはロック状態にないと判定されている状態では電圧信号の値を第1の設定値と異なる第2の設定値と比較して電圧信号の値と第2の設定値との大小関係から各電機子コイルの温度が許容値を超えていると判定されたときに駆動電流を流す相の切換え角度を制御進み角演算手段により演算された制御進み角を有する切換え角度よりも遅角させるように制御進み角演算手段が演算した制御進み角を補正して電動機の出力を制限する制御を行うように、温度上昇抑制制御手段を構成することもできる。
【0051】
上記のように、電機子コイルの温度上昇時に制御進み角を制御する場合、温度上昇抑制制御手段は、回転状態判定手段により電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態で温度の異常上昇が検出されたとき、及び回転状態判定手段により電動機が極低回転状態またはロック状態にないと判定されている状態で温度の異常上昇が検出されたときに、駆動電流のデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を小さくするようにデューティ比演算手段により演算されたデューティ比を補正する制御を併せて行うように構成するのが好ましい。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、図1ないし図3を参照して、電動車両用の3相ブラシレス直流電動機を制御する制御装置に本発明を適用した場合の一実施形態を説明する。
【0053】
図1において、1はロータ2とステータ3とからなるアウタロータ型のブラシレス直流電動機である。ロータ2は、強磁性材料によりほぼカップ状に形成されたフライホイール201と、フライホイール201の周壁部の内周に取り付けられた永久磁石202とからなっていて、永久磁石202が径方向に着磁されて、2極の磁石界磁203が構成されている。
【0054】
なお磁石界磁は、2極に限られるものではなく、一般には2m極(mは1以上の整数)に構成することができる。
【0055】
図示の例では、ロータ2の正規の回転方向を図示の矢印CCL方向(図1において反時計方向)としている。
【0056】
ステータ3は、環状の継鉄部から3個の歯部Pu〜Pwを放射状に突出させたステータ鉄心301と、該ステータ鉄心の歯部Pu〜Pwにそれぞれ巻回された3相の電機子コイルLu〜Lwとからなっており、電機子コイルLu〜Lwは3相星形結線されている。ステータ鉄心301の歯部Pu〜Pwのそれぞれの先端の外周部がステータ磁極302となっていて、これらのステータ磁極が磁石界磁203に所定のギャップを介して対向させられている。
【0057】
なお図示の例ではステータ鉄心を3極に構成しているが、ステータに設ける電機子コイルの相数を3とする場合、一般にはステータ鉄心に3n(nは1以上の整数)個の歯部を設けて、該3n個の歯部に3相の電機子コイルを巻回する構成をとることができる。
【0058】
フライホイール201は、その底壁部の中央にボス(図示せず。)を備えていて、該ボスが電動車両の駆動輪に直接または減速機を介して結合される。
【0059】
ロータ2のステータ3に対する回転角度位置を検出するため、ステータ鉄心301に3相の位置検出器hu〜hwが取り付けられている。
【0060】
各位置検出器は、各相の電機子コイルに流す駆動電流の通電角(電気角)に応じて適宜の位置に配置される。例えば、ロータ2の回転に伴って電機子コイルLu〜Lwにそれぞれ誘起する無負荷誘起電圧がピークに達する位置(磁石界磁203から各相の電機子コイルが巻回された歯部を通してながれる磁束が零点を通過する位置)の前後90度(電気角)の区間各相の電機子コイルに駆動電流を流す「180度スイッチング制御」を行って電動機を回転させる場合には、3相の電機子コイルLu〜Lwがそれぞれ巻回されている歯部Pu〜Pwの先端の磁極部の中心位置がロータ2の磁石界磁の各磁極の中心位置に一致するときのロータの回転角度位置を検出するように、各相の位置検出器が取り付けられる。
【0061】
図示のように、3つの歯部Pu〜Pwにそれぞれ電機子コイルLu〜Lwが巻回されていて、位置検出器hu〜hwとしてホールICが用いられる場合には、歯部Pu,Pv及びPwのそれぞれの磁極の中心に対して電気角で90度位相が進んだ位置に位置検出器hw,hu及びhvを配置して、これらの位置検出器の出力により決まる駆動相(駆動電流を流す電機子コイルの相)の切換角度を基準の切換角度とし、この基準の切換角度に対して実際の切換角度を進角または遅角させるように制御進み角を演算する。
【0062】
10は電機子コイルLu〜Lwと直流電源11との間に設けられて電機子コイルの励磁相を切り換えるスイッチ回路である。このスイッチ回路は、一端が共通接続された上段のスイッチ素子10uないし10wと、これらの上段のスイッチ素子の他端にそれぞれ一端が接続され、他端が共通接続された下段のスイッチ素子10x〜10zとからなるスイッチ素子のブリッジ回路からなっていて、上段のスイッチ素子10u〜10wの一端の共通接続点及び下段のスイッチ素子10x〜10wの他端の共通接続点がそれぞれ直流電源11の正極端子及び負極端子に接続されている。
【0063】
スイッチ回路を構成するスイッチ素子としては、MOSFET、電力用トランジスタ,IGBT等のオンオフ制御が可能な任意のスイッチ素子を用いることができるが、図示の例では、各スイッチ素子がMOSFETからなっている。
【0064】
電動車両の制動時に回生電流を流すため、上段のスイッチ素子10u〜10w及び下段のスイッチ素子10x〜10zにそれぞれ帰還用ダイオード12u〜12w及び12x〜12zが並列接続されている。図示のように各スイッチ素子としてMOSFETを用いる場合には、これらの帰還用ダイオードとしてFETのドレインソース間に形成されている寄生ダイオードを用いることができる。
【0065】
図示の直流電源11は、バッテリBと、該バッテリの両端に接続されたコンデンサC1 とからなっている。
【0066】
スイッチ回路10を制御するため、マイクロコンピュータと入出力インターフェースとを備えたコントローラ13と、コントローラ13から与えられる信号に応じてスイッチ回路のスイッチ素子10u〜10w及び10x〜10zにそれぞれ駆動信号(スイッチ素子をオン状態にするための信号)Su〜Sw及びSx〜Szを与えるドライバ回路14とが設けられ、位置検出器hu〜hwからそれぞれ得られる位置検出信号Hu〜Hwがコントローラ13に入力されている。
【0067】
15は電動車両の速度を調節するアクセルグリップやアグセルペタル等の速度調節部材の変位量をスロットル開度αとして検出するスロットルセンサである。図示のスロットルセンサ15は、速度調節部材に可動接触子15aが連結されたポテンショメータからなっている。スロットルセンサ15を構成するポテンショメータの両端には、図示しない定電圧直流電源回路から得られる直流定電圧Eが印加されていて、該ポテンショメータの可動接触子15aと接地間にスロットル開度αに比例したスロットル信号Vαが得られるようになっている。スロットルセンサ15から得られるスロットル信号はコントローラ13に入力されている。スロットル信号はコントローラ13内に設けられたA/D変換器によりデジタル値Vthに変換されてマイクロコンピュータのCPUに読み込まれる。
【0068】
本発明においてはまた、3相の電機子コイルLu〜Lwのそれぞれの温度を検出するために、3相の電機子コイルのそれぞれに対して負の温度係数または正の温度係数を有する感温抵抗素子Rtu〜Rtwが設けられて、これらの感温抵抗素子がそれぞれの相の電機子コイルに熱的に結合されている。
【0069】
なお感温抵抗素子を電機子コイルに熱的に結合するとは、電機子コイルの温度が直接または間接的に(例えば鉄心やコイルの絶縁層を通して)感温抵抗素子に伝達されるように、感温抵抗素子と電機子コイルとを直接または間接的に結合することを意味する。各相の電機子コイルの温度を検出する感温抵抗素子は、各相の電機子コイルの上に接着剤等により固定してもよく、電機子コイルに近接させた状態で電機子鉄心の上に接着等により固定するようにしてもよい。
【0070】
各相の電機子コイルが複数個ずつ設けられている場合には、複数個ある各相の電機子コイルのいずれか一つに各相の感温抵抗素子を熱的に結合する。
【0071】
図5に示したように、感温抵抗素子Rtu〜Rtwは互いに並列に接続され、これらの感温抵抗素子により電機子コイル用の温度検出器20が構成されている。
【0072】
コントローラ13内には、感温抵抗素子Rtu〜Rtwの並列回路の両端に一定の直流電圧を印加する電圧印加回路21が設けられていて、感温抵抗素子Rtu〜Rtwの並列回路の両端の電圧(感温抵抗素子Rtu〜Rtwの並列合成値に比例した電圧)が温度検出信号としてコントローラ13を構成するマイクロコンピュータのCPU13Aの1つのアナログ入力ポートP1 に入力されている。
【0073】
図5に示した例では、図示しない直流定電圧電源回路の正極性側の出力端子に一端が接続された抵抗R1 と、該抵抗R1 の他端と接地間に接続されたコンデンサC1 とからなっていて、コンデンサC1 の両端の電圧が感温抵抗素子Rtu〜Rtwの並列回路の両端に印加され、感温抵抗素子Rtu〜Rtwの並列回路の両端に感温抵抗素子Rtu〜Rtwの並列合成抵抗値に比例した電圧信号Vt が得られるようになっている。この温度検出信号Vt は、抵抗R2 とコンデンサC2 とからなる積分回路を通してCPU13Aの1つのアナログ入力ポートP1 に入力されている。
【0074】
またこの例では、スイッチ回路10の温度(スイッチ素子の温度)を検出するため、スイッチ回路10の構成素子が取り付けられているヒートシンクに感温抵抗素子Rts(図1参照)が熱的に結合され、この感温抵抗素子Rtsによりスイッチ回路用の温度検出器が構成されている。コントローラ13には、感温抵抗素子Rtsの両端に一定の直流電圧を印加する電圧印加回路(図示せず。)が設けられていて、感温抵抗素子Rtsの両端に得られる温度検出信号Vtsが、コントローラ13のCPU13Aに設けられたアナログ入力ポート(図示せず。)に入力されている。
【0075】
コントローラ13は、例えば、位置検出器hu〜hwがそれぞれ発生する矩形波状の位置検出信号の発生間隔を計測することにより電動機の回転速度Nを演算し、この回転速度Nと、スロットル信号の値(デジタル値)Vthから得られるスロットル開度情報とに基づいてブラシレス直流電動機1の電機子コイルに供給する駆動電流のデューティ比DFと、制御進み角(駆動電流を流す電機子コイルの相を切り換える実際の切換角度と位置検出器の配置により決まる基準の切換角度との位相差)γとを演算する。デューティ比DF及び制御進み角γの演算は、それぞれ回転速度Nとスロットル開度とデューティ比DFとの間の関係を与えるデューティ比演算用3次元マップ及び回転速度Nとスロットル開度と制御進み角γとの間の関係を与える制御進み角演算用3次元マップ(いずれのマップもROMに記憶されている)を用いて補間法により行われる。
【0076】
コントローラ13を構成するマイクロコンピュータが実行するプログラムのうち、上記回転速度を演算する過程により電動機の回転速度を検出する回転速度検出手段が実現される。また上記デューティ比演算用マップを用いてデューティ比を演算する過程により、スロットル信号の値と回転速度とに対して駆動電流のデューティ比を演算するデューティ比演算手段が構成され、上記制御進み角演算用マップを用いてスロットル信号に対して制御進み角を演算する過程により、制御進み角演算手段が構成される。
【0077】
コントローラ13はまた、位置検出器hu〜hwの出力信号に基づいて駆動電流を流す相を決定して、決定した相の電機子コイルに、制御進み角演算手段により演算された制御進み角を有する切換え角度で駆動電流を流す相を切り換えながら、デューティ比演算手段により演算されたデューティ比で断続するPWM波形の駆動電流を所定の相の電機子コイルに流すべく、スイッチ回路10の所定のスイッチ素子に駆動信号を与えることを指令する指令信号をドライバ回路14に与える。ドライバ回路14は、この指令信号に応じて所定のスイッチ素子に駆動信号を与える。
【0078】
図2(A)ないし(I)は、図1に示したブラシレス直流電動機を、180度スイッチング制御を行って駆動する場合の位置検出信号の波形と、スイッチ回路10の各スイッチ素子のオンオフ動作波形とを示した波形図である。図2(A)ないし(C)はそれぞれ位置検出器hu〜hwが発生する位置検出信号Hu〜Hwの一例を示し、図2(D)ないし(F)はそれぞれ、駆動電流を流す電機子コイルの相を切り換える角度を基準の切換角度とした場合の、スイッチ回路10の上段のスイッチ素子10uないし10wのオンオフ動作を示している。また図2(G)ないし(I)はそれぞれスイッチ回路10の下段のスイッチ素子10x〜10zのオンオフ動作を示している。
【0079】
コントローラ13は、図2(A)ないし(C)に示された位置検出信号に論理演算を施すことにより、スイッチ回路10の各スイッチ素子をオン状態にする区間とオフ状態にする区間とを決定し、各スイッチ素子をオン状態にする区間そのスイッチ素子に駆動信号を与える。駆動電流をPWM制御するため、図示の例では、下段のスイッチ素子10x〜10zに与える駆動信号を、デューティ比演算手段により演算されたデューティ比で断続する波形として、下段のスイッチ素子を所定のデューティ比でオンオフさせている。
【0080】
図2に示した例では、コントローラのCPUが実行するプログラムのうち、スイッチ素子10x〜10zに与える駆動信号をデューティ比演算手段により演算されたデューティ比で断続させる過程により、駆動電流をスロットル信号に対して演算されたデューティ比を有するPWM波形の電流とするようにスイッチ回路10を制御するPWM制御手段が構成される。
【0081】
ブラシレス直流電動機においては、制御進み角γによって駆動電流の大きさが変り、最大発生トルク及び最高回転速度が変化する。一般には、電動機の用途や要求されるトルク特性、或いは必要とされる最高回転速度等に応じて制御進み角の大きさを設定している。電動車両を駆動するブラシレス直流電動機の場合は、電動機の回転速度が設定値以下であるときに制御進み角γを正規の制御進み角γo に固定し、電動機の回転速度が設定された進角開始回転速度を超える範囲で制御進み角γを回転速度の上昇に伴って正規の制御進み角γo よりも進角させ、電動機の回転速度が設定された進角終了回転速度以上になる範囲では制御進み角の進角量を設定された最大値に固定するように、制御進み角γを制御することが多い。
【0082】
制御進み角γを制御する場合には、駆動電流を流す相を切り換える切換角度をスロットル信号に対して演算された制御進み角だけ位置検出器の出力により決まる基準の切換角度に対してシフトさせるように制御する制御進み角制御手段がコントローラ13に設けられる。
【0083】
この制御進み角制御手段は、コントローラ13のCPUが実行するプログラムの一連の過程のうち、制御進み角演算手段により演算された制御進み角と位置検出器の出力により決定される基準の切換角度とから、駆動電流を流す相を切り換えるタイミングを決定する過程により構成される。
【0084】
正規の制御進み角γo をどのように設定するかは任意であるが、一般には、電動車両の発進時のトルクを大きくするために、最大トルクが得られる制御進み角を正規の制御進み角γo とする。
【0085】
回転速度Nが設定値を超える領域で制御進み角γを正規の制御進み角γo よりも進角させる制御を行う場合、上り坂等で速度調節部材の増速側への変位量を最大にした状態(フルスロットルの状態)で運転しているときに、制御進み角γの進角量が最大値に保たれた状態になり、電動機の駆動電流は定格値を超えた状態になる。このような状態が長時間続くと、電機子コイルの温度が上昇して許容値を超え、焼損するおそれがある。
【0086】
特に、電動機の回転速度が非常に低い状態になったり、過負荷により電動機がロック状態になったときには、特定の相の電機子コイルに他の相の電機子コイルよりも大きな駆動電流が流れる状態が相当に長い時間継続することになるため、特定の相の電機子コイルの温度が他の相の電機子コイルの温度に比べて上昇する。
【0087】
例えば、図1に示したブラシレス直流電動機において図2に示すような180°スイッチング制御を行った場合には、電源から各相のコイルに流れ込んだ電流が他の2相のコイルに分流して電源に戻るため、電動機がロック状態になると、1つの相の電機子コイルに他の2相の電機子コイルをそれぞれ流れる駆動電流の2倍の電流が流れる状態が継続するため、大きな電流が流れている1つの相の電機子コイルの温度が急激に上昇する。また電動機がロックするまでに至らない場合でも、その回転速度が非常に低くなったときには、1つの相の電機子コイルに他の2相の電機子コイルを流れる駆動電流の2倍の電流が流れる状態が長い時間継続するため、特定の相の電機子コイルの温度のみが異常上昇する状態が生じる。電機子コイルの温度が異常上昇したときには、その焼損を防止するために、電動機の出力を直ちに低下させる必要がある。
【0088】
上記のように、特定の相の電機子コイルの温度のみが異常上昇するおそれがある場合に電動機の保護を適確に図るためには、1相の電機子コイルの温度のみを検出するのではなく、すべての相の電機子コイルの温度を検出することが必要である。
【0089】
そこで、本発明においては、図1に示したように3相の電機子コイルLu〜Lwにそれぞれ感温抵抗素子Rtu〜Rtwを熱的に結合して、これらの感温抵抗素子を互いに並列に接続し、これらの感温抵抗素子の並列回路の両端に一定の直流電圧を印加する。そして、感温抵抗素子Rtu〜Rtwの並列回路の両端に得られる電圧信号Vt と電機子コイルに対して設定された設定値との大小関係から、電機子コイルの温度の異常上昇の有無を検出し、温度の異常上昇が検出されたときに、電動機の出力を低下させる制御を行って、電機子コイルの温度の上昇を抑制する。
【0090】
上記のように、3相の電機子コイルにそれぞれ熱的に結合した感温抵抗素子Rtu〜Rtwを並列に接続して、これらの感温抵抗素子の並列回路の両端に一定の直流電圧を印加すると、感温抵抗素子Rtu〜Rtwの並列回路の両端に得られる電圧信号Vt は、すべての相の電機子コイルの温度の情報を含むことになる。従って、上記電圧信号Vt の値を温度tに換算することにより、3相の電機子コイルの温度の情報を得ることができる。
【0091】
上記電圧信号Vt の値を温度に換算するには、例えば、電圧信号Vt の値と温度tとの関係を与えるテーブル(表)を電圧/温度換算テーブルとして予め実験的に求めてROMに記憶させておき、一定のサンプリング周期でサンプリングした電圧信号Vt の値と、該電圧信号の値に対してテーブルから読み出した温度とを用いて、各電圧信号に対応する温度を補間演算するようにすればよい。
【0092】
上記のように3相の電機子コイルLu〜Lwの温度をそれぞれ検出する感温抵抗素子Rtu〜Rtwの並列回路の両端に一定の電圧を印加して、これらの感温抵抗素子の並列回路の両端から電圧信号Vt を得た場合、電動機が設定回転速度を超える回転速度で回転している状態で、各相の電機子コイルの温度が許容範囲を超えたときに感温抵抗素子の並列回路の両端に得られる電圧Vt1と、電動機がロック状態になって特定の相の電機子コイルの温度のみが許容範囲を超えたときに感温抵抗素子Rtu〜Rtwの並列回路の両端に得られる電圧Vt2とは異なる値をとる。
【0093】
従って電圧信号を温度に換算する際には、電動機が極低回転状態またはロック状態にあるときと、極低回転状態及びロック状態にないときとで、異なる電圧/温度換算テーブルを用いる必要がある。
【0094】
そこで本発明においては、図7に示したように、電動機が設定された極低回転状態(ロック状態に近く、特定の相の電機子コイルの温度のみが異常上昇する状態が生じ易い低回転速度)またはロック状態にあるか否かを判定する回転状態判定手段13Aを設けて、この判定手段により、電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されたときには、極低回転時及びロック時用の第1の電圧/温度換算テーブルを用いて、感温抵抗素子Rtu〜Rtwの並列回路の両端の電圧信号Vt1の値を温度t1 に換算する。
【0095】
また上記回転状態判別手段により電動機が極低回転状態またはロック状態にないと判定されたときには、定常運転時用の第2の電圧/温度換算テーブルを用いて、感温抵抗素子Rtu〜Rtwの並列回路の両端の電圧信号Vt2の値を温度t2 に換算する。
【0096】
上記第1の電圧/温度換算テーブルを用いて電圧信号Vt1を温度t1 に換算する過程により、図7の第1の電圧/温度換算手段13Bを構成し、第2の電圧/温度換算テーブルを用いて電圧信号Vt2を温度t2 に換算する過程により、第2の電圧/温度換算手段13Cを構成する。
【0097】
そして、回転状態判定手段13Aにより電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態では、上記第1の電圧/温度換算手段13Bにより換算された温度t1 が第1の設定温度t1sを超えたときに換算された温度が高い場合程電動機の出力を低くする制御を行わせる第1の電動機出力制御手段13Dと、回転状態判定手段13Aにより電動機が極低回転状態及びロック状態にないと判定されている状態では、第2の電圧/温度換算手段13Cにより換算された温度t2 が第2の設定温度t2sを超えたときに換算された温度が高い場合程電動機の出力を低くする制御を行わせる第2の電動機出力制御手段13Eとにより、温度上昇抑制制御手段13Fを構成する。
【0098】
前述のように、第1の設定温度t1sと第2の設定温度t2sとは等しくてもよく、異なっていてもよいが、電動機が極低回転状態またはロック状態にあるときには、電動機の定常回転時に比べて、電機子コイルの温度が短時間のうちに異常上昇して焼損し易いため、安全のためには、電動機の極低回転時またはロック時に電動機の出力を制限する制御(温度上昇抑制制御)を開始するタイミングを決める第1の設定温度t1sを、電動機の定常回転時に電動機の出力を制限する制御を開始するタイミングを決める第2の設定温度t2sよりも低く設定しておくのが好ましい。
【0099】
温度上昇抑制制御を行う必要がある極低回転状態は、スロットル開度が設定開度以上になっているときに電動機の回転速度が設定値よりも低くなっているか否かを判定することにより検出することができる。また温度上昇抑制制御を必要とする電動機のロック状態は、スロットル開度が設定値以上になっているときに電動機の回転速度が零になっているか否かを見ることにより判定することができる。したがって、コントローラ13のCPUに実行させるプログラムに、スロットル開度が設定値以上であるか否かを判定する過程と、スロットル開度が設定値以上になっているときに電動機の回転速度が設定値よりも低くなっているか否かを判定する過程とを設けることにより、図7の回転状態判定手段13Aを構成することができる。
【0100】
上記の構成では、感温抵抗素子Rtu〜Rtwの並列回路の両端に得られる電圧信号Vt を温度に換算して、換算した温度を設定温度と比較することにより電機子コイルで異常な温度上昇が生じているか否かを判定するようにしたが、電圧信号Vt の値を温度に換算することなく、所定の設定値と比較することによっても、異常な温度上昇が生じているか否かを判定することもできる。
【0101】
電圧信号Vt の値は、一部の電機子コイルの温度のみが異常上昇しているときと、すべての相の電機子コイルの温度が同じように異常上昇しているときとで異なるため、一部の相の電機子コイルの温度のみが異常上昇しているか否かを判定するために用いる設定値と、すべての電機子コイルの温度が同じように異常上昇しているか否かを判定するために用いる設定値とは異ならせる必要がある。
【0102】
この場合、コントローラは、図8に示すように、電動機1が設定された極低回転状態またはロック状態にあるか否かを判定する回転状態判定手段13Aと、回転状態判定手段13Aにより電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態では上記電圧信号Vt1の値を第1の設定値Vt1s と比較して該電圧信号の値と第1の設定値との大小関係から一部の相の電機子コイルの温度が許容値を超えていると判定されたときに電圧信号Vt1の値と第1の設定値Vt1s との差が大きい場合程電動機の出力を低くするように制御する第1の電動機出力制御手段13D´と、回転状態判定手段13Aにより電動機が極低回転状態またはロック状態にないと判定されている状態では電圧信号Vt2の値を第1の設定値と異なる第2の設定値Vt2s と比較して電圧信号の値と第2の設定値との大小関係から各電機子コイルの温度が許容値を超えていると判定されたときに電圧信号Vt2の値と第2の設定値Vt2s との差が大きい場合程電動機の出力を低くするように制御する第2の電動機出力制御手段13E´とにより温度上昇抑制制御手段13Fを構成する。
【0103】
上記のように、電圧信号Vt1の値と第1の設定値Vt1s とを比較して一部の相の電機子コイルでのみ温度の異常上昇が生じているか否かを判定する場合、温度の異常上昇が生じているときの電圧信号の値と第1の設定値との間の関係は、感温抵抗素子Rtu〜Rtwの温度係数が正であるか負であるかにより相違する。即ち、感温抵抗素子の温度係数が正であるときには、電圧信号の値が第1の設定値よりも大きくなったことが検出されたときに一部の相の電機子コイルでのみ温度の異常上昇が生じていると判定することができる。また感温抵抗素子の温度係数が負であるときには、電圧信号の値が第1の設定値よりも小さくなったことが検出されたときに一部の相の電機子コイルでのみ温度の異常上昇が生じていると判定することができる。
【0104】
上記電圧信号Vt2の値を第2の設定値Vt2s と比較して、すべての相の電機子コイルで温度の異常上昇が生じているか否かを判定する場合の電圧信号Vt2の値と第2の設定値との間の大小関係も同様に、感温抵抗素子の温度係数が正であるか負であるかにより相違する。
【0105】
また感温抵抗素子の温度係数が正である場合には、上記第2の設定値を第1の設定値よりも大きい値に設定する必要があり、感温抵抗素子の温度係数が負である場合には、上記第2の設定値を第1の設定値よりも小さい値に設定する必要がある。
【0106】
電機子コイルの温度の異常上昇時に電動機の出力を低下させるためには、例えば、デューティ比演算手段により演算されたデューティ比に補正係数K(<100%)を乗じることにより、デューティ比を補正して、電機子コイルに流す駆動電流を減少させればよい。
【0107】
この場合コントローラ13は、CPUに所定のプログラムを実行させることにより、図9に示すように、電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあるか否かを判定する回転状態判定手段13Aと、回転状態判定手段13Aにより電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあると判定されているときに電圧信号を温度t1 に換算する第1の電圧/温度換算手段13Bと、回転状態判定手段13Aにより電動機が設定された極低回転状態及びロック状態にないと判定されているときに電圧信号を温度t2 に換算する第2の電圧/温度換算手段13Cと、回転状態判定手段13Aにより電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態では第1の電圧/温度換算手段13Bにより換算された温度t1 が第1の設定温度t1sを超えたときに換算された温度が高い場合程駆動電流のデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を小さくするようにデューティ比演算手段により演算されたデューティ比を補正する第1のデューティ比補正手段13Gと、回転状態判定手段13Aにより電動機が極低回転状態及びロック状態にないと判定されている状態では第2の電圧/温度換算手段13Cにより換算された温度t2 が第2の設定温度t2sを超えたときに換算された温度が高い場合程駆動電流のデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を小さくするようにデューティ比演算手段により演算されたデューティ比を補正する第2のデューティ比補正手段13Hとを実現する。この場合は、第1のデューティ比補正手段13Gと第2のデューティ比補正手段13Hとにより温度上昇抑制制御手段13Fが構成される。
【0108】
なお図9において、13Jは、電動機のロータを回転させるべく位置検出器hu〜hwの出力に応じて駆動電流を流す相を切り換えるようにスイッチ回路10を制御するスイッチ制御手段、13Kはスロットルセンサ15が出力するスロットル信号に対して駆動電流のデューティ比を演算するデューティ比演算手段、13Lは駆動電流をデューティ比演算手段13Kにより演算されたデューティ比で断続するPWM波形の電流とするようにスイッチ回路10を制御するPWM制御手段である。
【0109】
上記のように駆動電流のデューティ比を補正するには、換算された温度に対して、例えば図3に示すような関係を有する補正係数K(<100%)を求めて、この補正係数Kをデューティ比演算手段13Hにより演算されたデューティ比に乗じればよい。
【0110】
図3の横軸は、電圧信号Vt を換算して得た温度tを示し、縦軸は補正係数Kを示している。この例では、電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあるときに、曲線aのように、換算された温度tが第1の設定値ts1(図示の例では120℃)以上になっているときに、補正係数Kを温度tの上昇に伴って減少させ、電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にないとき(定常走行時)には、曲線bのように、換算された温度tが第1の設定値よりも高い第2の設定値ts2(図示の例では160度)以上になっているときに、補正係数Kを温度tの上昇に伴って減少させるようにしている。
【0111】
本実施形態では、温度tと補正係数Kとの関係を与える補正係数演算用のマップとして、電動機の極低回転状態またはロック状態が検出されているときに用いるロック状態時温度補正マップ(図3の曲線aにしたがって補正係数を演算するためのマップ)と、極低回転状態またはロック状態が検出されていないときに用いる定常走行時温度補正マップ(図3の曲線bにしたがって補正係数を演算するためのマップ)との2種類のマップを用意しておいて、回転状態判定手段による判定の結果に応じて、これらいずれかのマップを用いて、温度検出信号から求められた温度に対して補正係数Kを演算する。
【0112】
図4は、本発明に係わる温度上昇抑制制御において、温度検出信号により検出された温度が設定値を超えたときに補正係数Kを演算するために実行される補正係数演算用サブルーチンのアルゴリズムを示したもので、このサブルーチンは、電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態で温度検出信号により検出された温度が第1の設定値ts1を超えたとき、及び電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にないと判定されている状態で温度検出信号により検出された温度が第2の設定値ts2を超えたときに実行される。
【0113】
図4に示したアルゴリズムに従う場合には、先ずステップ1において電動機が極低回転状態またはロック状態にあるか否かを判定する。その結果、極低回転状態またはロック状態にあると判定されたときには、ステップ2に進んでROMに記憶されているロック状態時温度補正マップを検索し、ステップ3においてこのマップを用いて補正係数K(図3の曲線aにより与えられる補正係数)を演算してRAMに記憶させる。
【0114】
またステップ2において、電動機が極低回転状態またはロック状態にないと判定されたときには、ステップ4において定常走行時温度補正マップを検索し、ステップ3においてこのマップを用いて補正係数K(図3の曲線bにより与えられる補正係数)を演算してRAMに記憶させる。
【0115】
上記のようにして演算した補正係数を用いてデューティ比演算手段により演算されたデューティ比を補正した場合、定常走行時のスロットル開度αとPWM制御のデューティ比との関係は例えば図6に示すように温度tにより変化する。図6の折れ線aは、温度検出信号により検出された温度が設定値ts2よりも低いときにスロットル開度αに対して演算されたデューティ比を示しており、デューティ比は、スロットル開度が全閉状態に近い角度α1 から全開状態に近い角度α2 まで変化する間に、スロットル開度αに対して直線的に増加していく。
【0116】
また図6の折れ線bないしdはそれぞれ、温度検出信号により検出された温度がt1 ,t2 及びt3 (ts2<t1 <t2 <t3 )のときに演算された補正係数を同図aのデューティ比に乗じることにより求められた補正後のデューティ比を示している。検出された温度が高い場合程、スロットル開度の単位当りの増加分に対するデューティ比の増加割合が小さくなっていく。
【0117】
また本実施形態では、スイッチ回路10に対して設けられた感温抵抗素子Rtsによりスイッチ回路の温度が該スイッチ回路に対して設定された設定値以上になったことが検出されたときに、デューティ比演算手段により演算されたデューティ比に補正係数を乗じて、駆動電流のデューティ比を演算された値よりも小さい値に補正する制御を行わせるようにしている。
【0118】
即ち、本実施形態においては、感温抵抗素子Rtu〜Rtwにより構成される電機子コイル用温度検出器により検出された温度が電機子コイルに対して設定された設定温度(極低速時及びロック時の設定温度と定常運転時の設定温度)以上になったとき、またはスイッチ回路用温度検出器により検出された温度がスイッチ回路に対して設定された設定温度以上になったときに、デューティ比演算手段により演算されたデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を検出された温度が高い場合程小さくするようにデューティ比演算手段により演算されたデューティ比を検出された温度に応じて補正する温度上昇抑制制御を行わせている。
【0119】
本発明においては、電機子コイルの温度の異常上昇が検出されたときに、電動機の駆動電流を零にするのではなく、電機子コイルの温度の異常上昇を抑制する上で支障を来さない範囲の駆動電流を流し続けるようにしている。このように構成しておくと、温度上昇抑制制御が働いた時に電動機がいきなり停止したり、逆転したりするのを防ぐことができる。
【0120】
特に、電動車両の場合には、フルスロットルの状態で上り坂を走行しているときに電機子コイルの温度が上昇しやすいが、このとき電動機の駆動電流をいきなり零にすると、駆動トルクが失われて車両が逆走行するおそれがあり危険である。本発明のように、温度上昇抑制制御を行う際に電動機に駆動電流を流し続けるようにしておくと、坂道で温度上昇抑制制御が働いて車両が停止した状態でも駆動車輪にトルクを与え続けることができるため、車両が逆走行するのを防ぐことができる。
【0121】
上記の構成では、感温抵抗素子の並列回路の両端に得られる電圧信号を温度に換算して、換算した温度を設定温度と比較することにより異常な温度上昇が生じているか否かを判定するようにしたが、電圧信号の値を温度に換算することなく、所定の設定値と比較することによって異常な温度上昇が生じているか否かを判定するようにしてもよい。
【0122】
感温抵抗素子Rtu〜Rtwの並列回路の両端から得た電圧信号Vt の値を温度に換算することなく温度上昇抑制制御を行う場合には、図10に示したように、温度上昇抑制制御手段13Fを、回転状態判定手段13Aにより電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態で、感温抵抗素子の並列回路の両端に得られる電圧信号Vt1の値を第1の設定値Vt1s と比較して、該電圧信号と第1の設定値との大小関係から一部の相の電機子コイルの温度が許容範囲を超えたと判定されたときに、駆動電流のデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を、電圧信号Vt1の値と第1の設定値Vt1s との差が大きい場合程(温度上昇が大きい場合程)小さくするように、デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を補正する第1のデューティ比補正手段13G´と、回転状態判定手段13Aにより電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にないと判定されている状態では、電圧信号Vt2を第1の設定値ts1と異なる第2の設定値Vt2s と比較して、該電圧信号と第2の設定値との大小関係から各相の電機子コイルの温度が許容範囲を超えたと判定されたときに、駆動電流のデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を電圧信号の値と第2の設定値との差が大きい場合程小さくするように、デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を補正する第2のデューティ比補正手段13H´とを備えた構成とする。この場合、第1のデューティ比補正手段13G´と第2のデューティ比補正手段13H´とにより温度上昇抑制制御手段13Fが構成される。
【0123】
前述のように、電動機が設定回転速度を超える回転速度で回転している状態ですべての相の電機子コイルの温度が同じように許容範囲を超えたときに感温抵抗素子の並列回路の両端に得られる電圧Vt1と、電動機がロック状態になって特定の相の電機子コイルの温度のみが許容範囲を超えたときに感温抵抗素子Rtu〜Rtwの並列回路の両端に得られる電圧Vt2とは異なる値をとる。例えば、感温抵抗素子Rtu〜Rtwが負の温度係数を有しているときには、Vt1<Vt2となる。そのため、上記のように、感温抵抗素子Rtu〜Rtwの並列回路の両端に得られる電圧信号の値を設定値と比較して電機子コイルの温度が異常上昇しているか否かを判定する場合には、電動機がロック状態にあるときと、ないときとで温度の異常上昇の有無を判定するための設定値を異ならせる必要がある。
【0124】
また上記設定値は、感温抵抗素子の温度係数が正であるか負であるかによっても相違する。感温抵抗素子が正の温度係数を有している場合には、上記電圧信号の値が第1の設定値Vt1s よりも小さくなったときに一部の電機子コイルで許容範囲を超える温度上昇が生じていると判定することができる。
【0125】
また感温抵抗素子が負の温度係数を有している場合には、上記電圧信号の値が第1の設定値Vt1s よりも小さい第2の設定値Vt2s よりも小さくなったときに電機子コイルLu〜Lwで許容範囲を超える温度上昇が生じていると判定することができる。
【0126】
上記の例では、電機子コイル用温度検出器から得られる温度検出信号により検出される温度が電機子コイルに対して設定された設定値以上になったときに、デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を小さい値に補正することにより駆動電流のデューティ比を小さくして、電動機の出力を低下させるようにしているが、温度の異常上昇が検出されたときに、制御進み角を遅角させることにより電動機の出力を低下させるようにしてもよい。
【0127】
即ち、電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態で、感温抵抗素子の並列回路の両端から得られる電圧信号を換算して得た温度が第1の設定温度を超えているときに、駆動電流を流す相を切り換える切換え角度を制御進み角演算手段により演算された制御進み角を有する切換え角度よりも遅角させるように制御進み角演算手段が演算した制御進み角を補正し、電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にないと判定されている状態では、換算された温度が第1の設定温度よりも高い第2の設定温度を超えているときに駆動電流を流す相の切換え角度を制御進み角演算手段により演算された制御進み角を有する切換え角度よりも遅角させるように制御進み角演算手段が演算した制御進み角を補正して電動機の出力を制限するように、温度上昇抑制制御手段を構成してもよい。
【0128】
感温抵抗素子の並列回路の両端から得た電圧信号を第1の設定値または第2の設定値と比較することにより、電機子コイルの温度の異常上昇の有無を検出する場合にも、同様に、温度の異常上昇時に制御進み角を遅角させることにより電動機の出力を低下させる方法をとることができる。
【0129】
上記のように、温度上昇時に制御進み角を遅角側に補正する制御を行う場合、温度上昇抑制制御手段は、回転状態判定手段により前記電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態で前記電圧信号を換算して得た温度が第1の設定温度を超えているときに、駆動電流のデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を換算された温度が高い場合程小さくするように、デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を検出された温度に応じて補正し、回転状態判定手段により電動機が極低回転状態またはロック状態にないと判定されている状態で換算された温度が第1の設定値よりも高い第2の設定値以上になっているときに、駆動電流のデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を検出された温度が高い場合程小さくするように、デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を換算された温度に応じて補正する制御を併せて行うように構成するのが好ましい。
【0130】
上記の例では、スイッチ回路の下段のスイッチ素子をオンオフさせることによりPWM波形の駆動電流を得るようにしているが、スイッチ回路の上段のスイッチ素子をオンオフさせることによりPWM波形の駆動電流を得るようにしてもよく、上段のスイッチ素子と下段のスイッチ素子との双方をオンオフさせることによりPWM波形の駆動電流を得るようにしてもよい。
【0131】
上記の例では、位置検出器hw,hu及びhvを構成するホールICをU相ないしW相の電機子コイルが巻回された歯部Pu,Pv及びPwの中心に対して電気角で90°進んだ位置に配置したが、位置検出器はロータのステータに対する回転角度位置を検出すれば良く、その配設位置は上記の例に限定されない。
【0132】
上記の例では、180°スイッチング制御を行わせているが、ブラシレス直流電動機の駆動の仕方は上記の例に限られるものではなく、例えば各相の電機子コイルが巻回された歯部を通してながれる磁束が零点を通過する位置の前後60度(電気角)の区間各相の電機子コイルに駆動電流を流す「120度スイッチング制御」を行って電動機を回転させる場合にも本発明を適用することができる。
【0133】
3相ブラシレス直流電動機において120°スイッチング制御を行わせる場合には、電源から各相の電機子コイルに流入した駆動電流が他の1相の電機子コイルを通して電源に戻る。この場合、電動機がロック状態になると、特定の2相の電機子コイルに駆動電流が流れ、他の1相の電機子コイルには駆動電流が流れない状態が継続するため、特定の2相の電機子コイルの温度のみが上昇する。したがって、この場合も特定の1相の電機子コイルの温度を検出したのでは、温度上昇抑制制御を適確に行わせることができない。温度上昇抑制制御を適確に行わせるためには、3相の電機子コイルLu〜Lwのすべての温度を検出することが必要である。
【0134】
また上記の例では、位置検出器としてホールICを用いているが、ホールICに代えて、フォトエンコーダ等の位置検出器を用いるようにしてもよい。
【0135】
本発明を適用する電動車両は、電動機の出力を車両の駆動輪に直接伝達する構造のものでもよく、電動機の出力を減速機を介して駆動輪に伝達するようにしたものでもよい。
【0136】
上記の例では、ロータの界磁が永久磁石により構成されているが、ロータの界磁を巻線により構成する場合にも本発明を適用することができる。
【0137】
上記の例では、3相のブラシレス電動機を例にとったが、本発明は、電機子コイルの相数nが2以上である場合に適用することができる。
【0138】
またブラシレス直流電動機に限らず、ステッピングモータやパルスモータ等、ステータ側にn相の電機子コイルが設けられる他の電動機においても、極低回転時またはロック時に特定の相の電機子コイルに駆動電流が流れ続ける状態が生じた場合には、その電機子コイルで異常な温度上昇が生じる。したがって、ロータに界磁が設けられ、ステータ側にn相の電機子コイルが設けられる他の電動機においても、温度上昇抑制制御を行う場合に、本発明のようにすべての相の電機子コイルに感温抵抗素子を熱的に結合して、相数分の感温抵抗素子を並列に接続する構成をとることが有用である。
【0139】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、n相の電機子コイルにそれぞれ熱的に結合し感温抵抗素子の並列回路の両端に一定の直流電圧を印加することにより、該感温抵抗素子の並列回路の両端にn相の電機子コイルの温度情報を含む電圧信号を得るとともに、電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあるか否かを判定する回転状態判定手段を設けて、該回転状態判定手段により電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されているときには、上記電圧信号を換算して得た温度が第1の設定温度を超えたときに電動機の出力を低下させる制御を行い、回転状態判定手段により電動機が極低回転状態またはロック状態にないと判定されているときには換算された温度が上記第1の設定温度よりも高い第2の設定温度を超えたときに電動機の出力を低下させる制御を行わせるようにしたので、電動機の極低回転時及びロック時にも、また定常回転時にも、電機子コイルの異常温度上昇が生じた時に電動機の出力を低下させて、電機子コイルの保護を適確に図ることができる。
【0140】
また本発明によれば、コントローラのCPUの1つのアナログ入力ポートを用いるだけで、すべての相の電機子コイルの温度が反映された温度情報を読み込むことができるので、アナログ入力ポートの数が多い高価なCPUを用いることなく電機子コイルを過熱から確実に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す構成図である。
【図2】図1のブラシレス直流電動機における位置検出信号の波形と、スイッチ回路の各スイッチ素子のオンオフ動作波形とを示した波形図である。
【図3】本発明に係わる駆動装置において駆動電流のデューティ比を補正する際に用いる補正係数と温度との関係の一例を示した線図である。
【図4】本発明に係わる駆動装置において駆動電流のデューティ比の補正係数を演算する際に実行されるサブルーチンを示したフローチャートである。
【図5】本発明に係わる駆動装置において3相の電機子コイルに対してそれぞれ設けられた感温抵抗素子と、該感温抵抗素子から得られる信号をコントローラのCPUに入力する入力回路とを示した回路図である。
【図6】本発明に係わる駆動装置において、電機子コイルの温度上昇時に駆動電流のデューティ比を小さくする制御を行った場合のデューティ比対スロットル開度特性の一例を温度をパラメータとして示した線図である。
【図7】本発明の一実施形態においてコントローラに設けられる機能実現手段を示した機能ブロック図である。
【図8】本発明の他の実施形態においてコントローラに設けられる機能実現手段を示した機能ブロック図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態においてコントローラに設けられる機能実現手段を示した機能ブロック図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態においてコントローラに設けられる機能実現手段を示した機能ブロック図である。
【符号の説明】
1…ブラシレス直流電動機、2…ロータ、3…ステータ、Lu〜Lw…電機子コイル、hu〜hw…位置検出器、10…スイッチ回路、13…コントローラ、13A…回転状態判定手段、13B…第1の電圧/温度変換手段、13C…第2の電圧/温度変換手段、13D,13D´…第1の電動機出力制御手段、13E,13E´…第2の電動機出力制御手段、13F…温度上昇抑制制御手段、13G,13G´…第1のデューティ比補正手段、13H,13H´…第2のデューティ比補正手段、13J…スイッチ制御手段、13K…デューティ比演算手段、13L…PWM制御手段、15…スロットルセンサ、Rtu〜Rtw…感温抵抗素子。

Claims (8)

  1. 界磁を有するロータとn相(nは2以上の整数)の電機子コイルを有するステータとを備えた電動機の駆動電流をCPUを備えたコントローラにより制御する電動機用制御装置において、
    前記ステータのn相の電機子コイルにそれぞれ熱的に結合されて互いに並列に接続されたn個の感温抵抗素子が設けられて、該n個の感温抵抗素子の並列回路の両端に一定の直流電圧が印加され、
    前記n個の感温抵抗素子の並列回路の両端に得られる電圧信号が前記コントローラのCPUの1つのアナログ入力ポートに入力され、
    前記コントローラは、前記電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあるか否かを判定する回転状態判定手段と、前記回転状態判定手段により前記電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあると判定されているときに前記電圧信号を温度に換算する第1の電圧/温度換算手段と、前記回転状態判定手段により前記電動機が設定された極低回転状態及びロック状態にないと判定されているときに前記電圧信号を温度に換算する第2の電圧/温度換算手段と、前記回転状態判定手段により前記電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態では前記第1の電圧/温度換算手段により換算された温度が第1の設定温度を超えたときに換算された温度が高い場合程前記電動機の出力を低くするように制御し、前記回転状態判定手段により前記電動機が極低回転状態及びロック状態にないと判定されている状態では前記第2の電圧/温度換算手段により換算された温度が第2の設定温度を超えたときに換算された温度が高い場合程前記電動機の出力を低くするように制御する温度上昇抑制制御手段とを備えていること、
    を特徴とする電動機用制御装置。
  2. 界磁を有するロータとn相(nは2以上の整数)の電機子コイルを有するステータとを備えた電動機の駆動電流をCPUを備えたコントローラにより制御する電動機用制御装置において、
    前記ステータのn相の電機子コイルにそれぞれ熱的に結合されて互いに並列に接続されたn個の感温抵抗素子が設けられて、該n個の感温抵抗素子の並列回路の両端に一定の直流電圧が印加され、
    前記n個の感温抵抗素子の並列回路の両端に得られる電圧信号が前記コントローラのCPUの1つのアナログ入力ポートに入力され、
    前記コントローラは、前記電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあるか否かを判定する回転状態判定手段と、前記回転状態判定手段により前記電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態では前記電圧信号の値を第1の設定値と比較して前記電圧信号の値と第1の設定値との大小関係から一部の相の電機子コイルの温度が許容値を超えていると判定されたときに前記電圧信号の値と第1の設定値との差が大きい場合程前記電動機の出力を低くするように制御し、前記回転状態判定手段により前記電動機が極低回転状態またはロック状態にないと判定されている状態では前記電圧信号の値を前記第1の設定値と異なる第2の設定値と比較して前記電圧信号の値と第2の設定値との大小関係から各電機子コイルの温度が許容値を超えていると判定されたときに前記電圧信号の値と第2の設定値との差が大きい場合程前記電動機の出力を低くするように制御する温度上昇抑制制御手段とを備えていること、
    を特徴とする電動機用制御装置。
  3. 磁石界磁を有するロータとn相(nは2以上の整数)の電機子コイルを有するステータとを備えた電動車両駆動用ブラシレス直流電動機の前記ロータのステータに対する回転角度位置を検出する位置検出器と、直流電源から前記電機子コイルに駆動電流を流す相を切り換えるために前記直流電源と電機子コイルとの間に設けられたスイッチ回路と、電動機の回転速度を調節する際に操作される速度調節部材と、前記速度調節部材の変位量をスロットル開度として検出して該スロットル開度に相応した大きさのスロットル信号を出力するスロットルセンサと、前記ロータを回転させるべく前記位置検出器の出力に応じて前記駆動電流を流す相を切り換えるように前記スイッチ回路を制御する手段を有するコントローラとを備え、前記コントローラはCPUを備えていて、前記スロットル信号に対して前記駆動電流のデューティ比を演算するデューティ比演算手段と、前記駆動電流を前記デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を有するPWM波形の電流とするように前記スイッチ回路を制御するPWM制御手段とを有している電動機用制御装置において、
    前記ステータのn相の電機子コイルにそれぞれ熱的に結合されて互いに並列に接続されたn個の感温抵抗素子が設けられて、該n個の感温抵抗素子の並列回路の両端に一定の直流電圧を印加され、
    前記n個の感温抵抗素子の並列回路の両端に得られる電圧信号が前記CPUの1つのアナログ入力ポートに入力され、
    前記コントローラは、前記電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあるか否かを判定する回転状態判定手段と、前記回転状態判定手段により前記電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあると判定されているときに前記電圧信号を温度に換算する第1の電圧/温度換算手段と、前記回転状態判定手段により前記電動機が設定された極低回転状態及びロック状態にないと判定されているときに前記電圧信号を温度に換算する第2の電圧/温度換算手段と、前記回転状態判定手段により前記電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態では前記第1の電圧/温度換算手段により換算された温度が第1の設定温度を超えたときに換算された温度が高い場合程前記駆動電流のデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を小さくするように前記デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を補正し、前記回転状態判定手段により前記電動機が極低回転状態及びロック状態にないと判定されている状態では前記第2の電圧/温度換算手段により換算された温度が第2の設定温度を超えたときに換算された温度が高い場合程前記駆動電流のデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を小さくするように前記デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を補正する温度上昇抑制制御手段とを備えていること、
    を特徴とする電動機用制御装置。
  4. 磁石界磁を有するロータとn相(nは2以上の整数)の電機子コイルを有するステータとを備えた電動車両駆動用ブラシレス直流電動機の前記ロータのステータに対する回転角度位置を検出する位置検出器と、直流電源から前記電機子コイルに駆動電流を流す相を切り換えるために前記直流電源と電機子コイルとの間に設けられたスイッチ回路と、電動機の回転速度を調節する際に操作される速度調節部材と、前記速度調節部材の変位量をスロットル開度として検出して該スロットル開度に相応した大きさのスロットル信号を出力するスロットルセンサと、前記ロータを回転させるべく前記位置検出器の出力に応じて前記駆動電流を流す相を切り換えるように前記スイッチ回路を制御する手段を有するコントローラとを備え、前記コントローラはCPUを備えていて、前記スロットル信号に対して前記駆動電流のデューティ比を演算するデューティ比演算手段と、前記駆動電流を前記デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を有するPWM波形の電流とするように前記スイッチ回路を制御するPWM制御手段とを有している電動機用制御装置において、
    前記ステータのn相の電機子コイルにそれぞれ熱的に結合されて互いに並列に接続されたn個の感温抵抗素子が設けられて、該n個の感温抵抗素子の並列回路の両端に一定の直流電圧を印加され、
    前記n個の感温抵抗素子の並列回路の両端に得られる電圧信号が前記CPUの1つのアナログ入力ポートに入力され、
    前記コントローラは、前記電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあるか否かを判定する回転状態判定手段と、前記回転状態判定手段により前記電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態では前記電圧信号の値を第1の設定値と比較して前記電圧信号の値と第1の設定値との大小関係から一部の相の電機子コイルの温度が許容値を超えていると判定されたときに前記電圧信号の値と第1の設定値との差が大きい場合程前記駆動電流のデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を小さくするように前記デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を補正し、前記回転状態判定手段により前記電動機が極低回転状態またはロック状態にないと判定されている状態では前記電圧信号の値を前記第1の設定値と異なる第2の設定値と比較して前記電圧信号の値と第2の設定値との大小関係から各電機子コイルの温度が許容値を超えていると判定されたときに前記電圧信号の値と第2の設定値との差が大きい場合程前記駆動電流のデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を小さくするように前記デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を補正する温度上昇抑制制御手段とを備えていること、
    を特徴とする電動機用制御装置。
  5. 磁石界磁を有するロータとn相(nは2以上の整数)の電機子コイルを有するステータとを備えた電動車両駆動用ブラシレス直流電動機の前記ロータのステータに対する回転角度位置を検出する位置検出器と、直流電源から前記電機子コイルに駆動電流を流す相を切り換えるために前記直流電源と電機子コイルとの間に設けられたスイッチ回路と、電動機の回転速度を調節する際に操作される速度調節部材と、前記速度調節部材の変位量をスロットル開度として検出して該スロットル開度に相応した大きさのスロットル信号を出力するスロットルセンサと、前記ロータを回転させるべく前記位置検出器の出力に応じて前記駆動電流を流す相を切り換えるように前記スイッチ回路を制御する手段を有するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記スロットル信号に対して前記駆動電流のデューティ比を演算するデューティ比演算手段と、前記駆動電流を前記デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を有するPWM波形の電流とするように前記スイッチ回路を制御するPWM制御手段と、前記スロットル信号に対して制御進み角を演算する制御進み角演算手段と、前記駆動電流を流す相を切り換える切換角度を前記制御進み角演算手段により演算された制御進み角だけ前記位置検出器の出力により決まる基準の切換角度に対してシフトさせるように制御する制御進み角制御手段とを有している電動機用制御装置において、
    前記ステータのn相の電機子コイルにそれぞれ熱的に結合されて互いに並列に接続されたn個の感温抵抗素子が設けられて、該n個の感温抵抗素子の並列回路の両端に一定の直流電圧が印加され、
    前記n個の感温抵抗素子の並列回路の両端に得られる電圧信号が前記CPUの1つのアナログ入力ポートに入力され、
    前記コントローラは、前記電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあるか否かを判定する回転状態判定手段と、前記回転状態判定手段により前記電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあると判定されているときに前記電圧信号を温度に換算する第1の電圧/温度換算手段と、前記回転状態判定手段により前記電動機が設定された極低回転状態及びロック状態にないと判定されているときに前記電圧信号を温度に換算する第2の電圧/温度換算手段と、前記回転状態判定手段により前記電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態では前記第1の電圧/温度換算手段により換算された温度が第1の設定温度を超えたときに前記駆動電流を流す相を切り換える切換え角度を前記制御進み角演算手段により演算された制御進み角を有する切換え角度よりも遅角させるように前記制御進み角演算手段が演算した制御進み角を補正し、前記回転状態判定手段により前記電動機が極低回転状態またはロック状態にないと判定されている状態では前記第2の電圧/温度換算手段により換算された温度が第2の設定温度を超えたときに前記駆動電流を流す相の切換え角度を前記制御進み角演算手段により演算された制御進み角を有する切換え角度よりも遅角させるように前記制御進み角演算手段が演算した制御進み角を補正して前記電動機の出力を制限する温度上昇抑制制御手段とを備えていること、
    を特徴とする電動機用制御装置。
  6. 前記温度上昇抑制制御手段は、前記回転状態判定手段により前記電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態では前記第1の電圧/温度換算手段により換算された温度が第1の設定温度を超えたときに換算された温度が高い場合程前記駆動電流のデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を小さくするように前記デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を補正し、前記回転状態判定手段により前記電動機が極低回転状態またはロック状態にないと判定されている状態では前記第2の電圧/温度換算手段により換算された温度が第2の設定温度を超えたときに換算された温度が高い場合程前記駆動電流のデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を小さくするように前記デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を補正して前記電動機の出力を制限する制御を更に行うように構成されていること、
    を特徴とする請求項5に記載の電動機用制御装置。
  7. 磁石界磁を有するロータとn相(nは2以上の整数)の電機子コイルを有するステータとを備えた電動車両駆動用ブラシレス直流電動機の前記ロータのステータに対する回転角度位置を検出する位置検出器と、直流電源から前記電機子コイルに駆動電流を流す相を切り換えるために前記直流電源と電機子コイルとの間に設けられたスイッチ回路と、電動機の回転速度を調節する際に操作される速度調節部材と、前記速度調節部材の変位量をスロットル開度として検出して該スロットル開度に相応した大きさのスロットル信号を出力するスロットルセンサと、前記ロータを回転させるべく前記位置検出器の出力に応じて前記駆動電流を流す相を切り換えるように前記スイッチ回路を制御する手段を有するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記スロットル信号に対して前記駆動電流のデューティ比を演算するデューティ比演算手段と、前記駆動電流を前記デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を有するPWM波形の電流とするように前記スイッチ回路を制御するPWM制御手段と、前記スロットル信号に対して制御進み角を演算する制御進み角演算手段と、前記駆動電流を流す相を切り換える切換角度を前記制御進み角演算手段により演算された制御進み角だけ前記位置検出器の出力により決まる基準の切換角度に対してシフトさせるように制御する制御進み角制御手段とを有している電動機用制御装置において、
    前記ステータのn相の電機子コイルにそれぞれ熱的に結合されて互いに並列に接続されたn個の感温抵抗素子が設けられて、該n個の感温抵抗素子の並列回路の両端に一定の直流電圧が印加され、
    前記n個の感温抵抗素子の並列回路の両端に得られる電圧信号が前記CPUの1つのアナログ入力ポートに入力され、
    前記コントローラは、前記電動機が設定された極低回転状態またはロック状態にあるか否かを判定する回転状態判定手段と、前記回転状態判定手段により前記電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態では前記電圧信号の値を第1の設定値と比較して前記電圧信号の値と第1の設定値との大小関係から一部の相の電機子コイルの温度が許容値を超えていると判定されたときに前記駆動電流を流す相を切り換える切換え角度を前記制御進み角演算手段により演算された制御進み角を有する切換え角度よりも遅角させるように前記制御進み角演算手段が演算した制御進み角を補正し、前記回転状態判定手段により前記電動機が極低回転状態またはロック状態にないと判定されている状態では前記電圧信号の値を前記第1の設定値と異なる第2の設定値と比較して前記電圧信号の値と第2の設定値との大小関係から各電機子コイルの温度が許容値を超えていると判定されたときに前記駆動電流を流す相の切換え角度を前記制御進み角演算手段により演算された制御進み角を有する切換え角度よりも遅角させるように前記制御進み角演算手段が演算した制御進み角を補正して前記電動機の出力を制限する温度上昇抑制制御手段とを備えていること、
    を特徴とする電動機用制御装置。
  8. 前記温度上昇抑制制御手段は、前記回転状態判定手段により前記電動機が極低回転状態またはロック状態にあると判定されている状態では前記電圧信号の値を第1の設定値と比較して前記電圧信号の値と第1の設定値との大小関係から一部の相の電機子コイルの温度が許容値を超えていると判定されたときに前記電圧信号の値と第1の設定値との差が大きい場合程前記駆動電流のデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を小さくするように前記デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を補正し、前記回転状態判定手段により前記電動機が極低回転状態またはロック状態にないと判定されている状態では前記電圧信号の値を前記第1の設定値と異なる第2の設定値と比較して前記電圧信号の値と第2の設定値との大小関係から各電機子コイルの温度が許容値を超えていると判定されたときに前記電圧信号の値と第2の設定値との差が大きい場合程前記駆動電流のデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を小さくするように前記デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を補正する制御を更に行うように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の電動機用制御装置。
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