JP4048676B2 - 繊維強化弾性体 - Google Patents

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JP4048676B2 JP2000026082A JP2000026082A JP4048676B2 JP 4048676 B2 JP4048676 B2 JP 4048676B2 JP 2000026082 A JP2000026082 A JP 2000026082A JP 2000026082 A JP2000026082 A JP 2000026082A JP 4048676 B2 JP4048676 B2 JP 4048676B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業性がよく、摩擦抵抗の優れた、機械的強度の優れた繊維強化弾性体に関する。本発明の繊維強化弾性体は、各種工業用ゴム部材、ゴムシート、靴底のゴム材などに好ましく用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
特開平7−238189号公報には、(a)ポリオレフィン100重量部、(b)ガラス転移温度が0℃以下のゴム状ポリマー10〜400重量部、(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマー10〜400重量部からなる組成物であって、(1)(a)成分と(b)成分から構成されてなるマトリックス中に(c)成分が微細な繊維として分散した構造を有しており、(2)(a)成分、(b)成分、及び(c)成分の各成分が相互に結合している、繊維強化熱可塑性組成物が開示されている。
【0003】
特開平7−278360号公報には、(A)繊維強化熱可塑性組成物、即ち(a)ポリオレフィン、(b)第1のエラストマー、(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマー、からなる組成物であって、(a)成分と(b)成分がマトリックスを構成しており、該マトリックス中に(c)成分が微細な繊維として分散しており、且つ、(c)成分が、(a)成分、及び(b)成分と結合している組成物、及び(B)第2のエラストマー、を混練してなる繊維強化弾性体であって、且つ第1と第2のエラストマーの合計量100重量部に対し、ポリオレフィンの割合・・・1〜40重量部、主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーの微細な繊維の割合・・・1〜70重量部、である繊維強化弾性体が開示されている。
【0004】
特開平9−59431号公報には、成分(a)のポリオレフィン、成分(b)のガラス転移温度が0℃以下のゴム状ポリマー及び成分(c)のシランカップリング剤を溶融混練し、又は成分(c)で処理した成分(a)を成分(b)と溶融混練して、マトリックスを調製する第1工程、上記マトリックスと成分(d)の主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーを成分(a)及び成分(d)のいずれの融点よりも高い温度で溶融混練し押出して、押出物を調製する第2工程、上記押出物を成分(d)の融点より低い温度で延伸及び/又は圧延する第3工程からなることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、生産性に優れ、低コストで製造でき、摩擦抵抗に優れ、機械的強度の優れた繊維強化弾性体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題解決のための手段】
本発明は、(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン100重量部と(B)繊維強化熱可塑性組成物1〜27重量部とを含む繊維強化弾性体において、
(B)繊維強化熱可塑性組成物が(a)ポリオレフィン100重量部、(b)エラストマー10重量部〜400重量部及び(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマー10重量部〜400重量部から得られ、(a)ポリオレフィンと(b)エラストマーがマトリックスを構成しており、該マトリックス中に(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが微細な繊維として分散していることを特徴とする繊維強化弾性体に関する。
【0007】
さらに好ましくは、本発明は、(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン100重量部と(B)繊維強化熱可塑性組成物1〜27重量部とを含む繊維強化弾性体において、
繊維強化熱可塑性組成物が(a)ポリオレフィン100重量部、(b)エラストマー10重量部〜400重量部及び(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマー10重量部〜400重量部から得られ、(a)ポリオレフィンと(b)エラストマーがマトリックスを構成しており、該マトリックス中に(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが微細な繊維として分散しており、(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが(a)ポリオレフィン及び/又は(b)エラストマーと結合している繊維強化熱可塑性組成物であることを特徴とする繊維強化弾性体に関する。
【0008】
さらに好ましくは、本発明は、繊維強化熱可塑性組成物が、(a)ポリオレフィン100重量部、(b)エラストマー10重量部〜400重量部(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマー10重量部〜400重量部及び(d)シランカップリング剤0.1重量部〜2重量部から得られることを特徴とする上記に記載の繊維強化弾性体に関する。
【0009】
さらに好ましくは、本発明は、(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが、0.05〜1.0μmの平均径を有する微細な繊維であることを特徴とする上記に記載の繊維強化弾性体に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の繊維強化弾性体は、(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン100重量部と(B)繊維強化熱可塑性組成物1重量部、好ましくは2重量部、さらに好ましくは3重量部、特に好ましくは5重量部〜27重量部、好ましくは25重量部、さらに好ましくは23重量部、特に好ましくは18重量部とを含む繊維強化弾性体において、
(B)繊維強化熱可塑性組成物が(a)ポリオレフィン100重量部、(b)エラストマー10重量部、好ましくは20重量部、さらに好ましくは30重量部、特に50重量部〜400重量部、好ましくは300重量部、さらに好ましくは250重量部、特に好ましくは200重量部及び(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマー10重量部、好ましくは20重量部、さらに好ましくは30重量部、特に50重量部〜400重量部、好ましくは300重量部、さらに好ましくは250重量部、特に好ましくは200重量部から得られ、(a)ポリオレフィンと(b)エラストマーがマトリックスを構成しており、該マトリックス中に(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが微細な繊維として分散していることを特徴とする繊維強化弾性体である。
【0011】
(B)繊維強化熱可塑性組成物において、(a)ポリオレフィン100重量部に対し、(b)エラストマーの割合が上記範囲より大きい場合、ペレット化の困難な繊維強化熱可塑性組成物が得られる場合があり好ましくなく、(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーの割合が、上記範囲より大きい場合、マトリックス中に(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが微細な繊維として形成されにくい場合があり好ましくない。
【0012】
(B)繊維強化熱可塑性組成物は、さらに(a)ポリオレフィン100重量部に対し、(d)シランカップリング剤0.1重量部、好ましくは0.15重量部、さらに好ましくは0.2重量部、特に好ましくは0.25重量部〜2重量部、好ましくは1.8重量部、さらに好ましくは1.6重量部、特に好ましくは1.4重量部から得られることが好ましい。
(B)繊維強化熱可塑性組成物は、(d)シランカップリング剤を含むことにより、マトリックス中に(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが微細な繊維として形成され、分散されやすくなるために好ましい。
【0013】
(B)繊維強化熱可塑性組成物は、(d)シランカップリング剤と共に(e)ラジカル発生剤を併用して得ることができる。(e)ラジカル発生剤としては、1分間の半減期温度が、(a)ポリオレフィンの融点或いは(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーの融点のいずれか高い方と同じ温度ないし、この温度より30℃程高い温度範囲であるものが好ましく用いられる。具体的には1分間の半減期温度が110〜200℃程度のものが好ましい。
【0014】
(e)ラジカル発生剤は、(d)シランカップリング剤と共に(a)ポリオレフィン100重量部に対し、(e)ラジカル発生剤4×10-5モル、さらに4.2×10-5モル、さらに4.5×10-5モル、特に5×10-5モル〜1.5×10-3モル、さらに1×10-3モル、さらに1×10-4モル、特に2×10-4モルの範囲で併用して用いることが好ましい。
【0015】
本発明の繊維強化弾性体は、硫黄などの加硫剤、さらに必要に応じて加硫助剤を添加して、加硫したものも含むことができる。
【0016】
(a)ポリオレフィンは、50℃以上、特に50℃〜200℃のビカット軟化点及び/又は80℃〜250℃の範囲の融点を有していることが好ましい。
ポリオレフィンとしては、炭素数2〜8のα−オレフィンの単独重合体や共重合体及び、炭素数2〜8のα−オレフィンとスチレンやクロロスチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物との共重合体、炭素数2〜8のα−オレフィンと酢酸ビニルとの共重合体、炭素数2〜8のα−オレフィンとアクリル酸或いはそのエステルとの共重合体、炭素数2〜8のα−オレフィンとメタアクリル酸或いはそのエステルとの共重合体、及び炭素数2〜8のα−オレフィンとビニルシラン化合物との共重合体が好ましく用いられる。
具体的には、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレンブロック共重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体、低密度エチレン・α−オレフィン共重合体、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1、ポリヘキセン−1、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸プロピル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン・アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体、エチレン・ビニルトリメトキシシラン共重合体、エチレン・ビニルトリエトキシシラン共重合体、エチレン・ビニルシラン共重合体、エチレン・スチレン共重合体、及びプロピレン・スチレン共重合体、等がある。又、塩素化ポリエチレンや臭素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のハロゲン化ポリオレフィンも好ましく用いられる。これらのポリオレフィンは1種のみで用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
(b)エラストマーは、室温でゴム状の所謂エラストマーと呼ばれる高分子ならどのようなものでも用いることができる。(b)エラストマーは、ガラス転移点温度が0℃以下のエラストマー、さらにガラス転移点温度が−5℃以下のエラストマー、特にガラス転移点温度が−20℃以下のエラストマーが好ましい。
【0018】
(b)エラストマーとしては、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを除く、熱可塑性エラストマー、ゴム状エラストマーなどを挙げることが出来る。熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等を挙げることが出来、例えば、ポリオレフィン系エラストマーとしては、非晶性叉は低結晶性ポリオレフィン−α−オレフィン共重合体、ポリオレフィン樹脂とオレフィン系ゴムとの混合物、ポリオレフィン樹脂とオレフィン系ゴムの部分架橋体との混合物、ポリオレフィン樹脂とオレフィン系ゴムの完全架橋体との混合物等を、スチレン系エラストマーとしては、ブタジエン−スチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等の全てを含む)及びその水添物、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、イソプレン−スチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等の全てを含む)及びその水添物、水添スチレン−イソプレン共重合体(SEPS)、水添スチレン−ビニルイソプレン共重合体(V−SEPS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、水添スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SEPS)、水添スチレン−ブタジエン−オレフィン結晶ブロック共重合体(SEBC)等を、ポリエステル系エラストマーとしては、ポリエステル−ポリエーテル共重合体、ポリエステル−ポリエステル共重合体等からなるエラストマーを、ポリアミド系エラストマーとしては、ポリアミド−ポリエステル共重合体、ポリアミド−ポリエーテル共重合体等からなる熱可塑性エラストマー等を挙げることが出来る。
【0019】
また、ゴム状エラストマーとしては、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、合成イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、クロロプレン(CR)、ハロブチルゴム(XIIR)、ブチルゴム(IIR)、 ニトリル・クロロプレンゴム、ニトリル・イソプレンゴム、アクリレート・ブタジエンゴム、ビニルピリジン・ブタジエンゴム、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・クロロプレンゴム、スチレン・イソプレンゴム、カルボキシル化スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシル化アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンブロック共重合体、スチレン・イソプレンブロック共重合体、カルボキシル化スチレン・ブタジエンブロック共重合体、カルボキシル化スチレン・イソプレンブロック共重合体等のジエン系ゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体、エチレン・ブテンゴム、エチレン・ブテン・ジエン三元共重合体等のポリオレフィン系ゴム、ポリ塩化三フッ素化エチレン、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム、フッ素ゴム、水素添加NBR等の、ポリメチレン型の主鎖を有するゴム、エピクロロヒドリン重合体、エチレンオキシド・エピクロロヒドリン・アリルグリシジルエーテル共重合体、プロピレンオキシド・アリルグリシジルエーテル共重合体等、主鎖に酸素原子を有するゴム、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルブチルシロキサン等のシリコーンゴム、ニトロソゴム、ポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタン等、主鎖に炭素原子の他窒素原子及び酸素原子を有するゴムなどのゴム成分およびこれらの混合物が好ましい。又、これらのゴムをエポキシ変性したものや、シラン変性、或いはマレイン化したものも用いることが出来る。
【0020】
(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリアミド及び尿素樹脂などを挙げることが出来る。
(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーは、融点が135℃、さらに150℃、特に165℃から350℃、さらに300℃、特に265℃のものが好ましい。
(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーは、シランカップリング剤で変性されたものが、マトリックス中に(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが微細な繊維として形成され、分散され易くなるために好ましい。
【0021】
熱可塑性ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−ナイロン66共重合体、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロンMXD6、キシリレンジアミンとアジピン酸との重縮合体、キシリレンジアミンとピメリン酸との重縮合体、キシリレンジアミンとスペリン酸との重縮合体、キシリレンジアミンとアゼライン酸との重縮合体、キシリレンジアミンとセバシン酸との重縮合体、テトラメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体、オクタメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体、トリメチルヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体、デカメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体、ウンデカメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体、ドデカメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体、テトラメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体、オクタメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体、トリメチルヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体、デカメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体、ウンデカメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体、及びドデカメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体等を挙げることが出来る。
特に、熱可塑性ポリアミドとしては、融点160℃〜265℃の熱可塑性ポリアミドが好ましく、具体的にはナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−ナイロン66共重合体、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン11、及びナイロン12等が好ましい。
熱可塑性ポリアミドは、10,000〜200,000の範囲の分子量を有していることが好ましい。
【0022】
(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンとは、1,2結合量を80%以上、さらに85%以上、特に90%以上を含むものが好ましい。
(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの融点は50℃、さらに60℃、特に70℃〜200℃、さらに180℃、特に160℃の範囲のものが好ましい。
(シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの1,2結合量は、赤外線分光スペクトルによるモレロ法で測定し、定量することが出来る。)
【0023】
(B)繊維強化熱可塑性組成物において、(a)ポリオレフィンと(b)エラストマーはマトリックスを形成している。
マトリックスとは、(b)エラストマーが(a)ポリオレフィン中に島状に分散した構造、(a)ポリオレフィンが(b)エラストマー中に島状に分散した構造及び、(a)ポリオレフィンと(b)エラストマーとが均一に分散した構造より選択された1以上の構造を有している構造である。
(B)繊維強化熱可塑性組成物において、(a)ポリオレフィンと(b)エラストマーとは、その界面で互いに結合していることが好ましい。
【0024】
(B)繊維強化熱可塑性組成物において、(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが微細な繊維としてマトリックス中に分散している。
さらに、(B)繊維強化熱可塑性組成物において、60重量%以上、さらに70重量%以上、さらに80重量%以上、特に90重量%以上の(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが、微細な繊維としてマトリックス中に分散していることが好ましい。
(B)繊維強化熱可塑性組成物において、(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが、1μm以下の平均繊維径を有する微細な繊維としてマトリックス中に分散していることが好ましい。
(B)繊維強化熱可塑性組成物において、0.01μm、さらに0.05μm、特に0.1μm〜1.0μm、さらに0.8μm、特に0.5μmの範囲の平均繊維径を有する微細な繊維としてマトリックス中に分散していることが好ましい。
(B)繊維強化熱可塑性組成物において、(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが、10以上、さらに20以上、特に30以上のアスペクト比(繊維長/繊維径)を有する微細な繊維としてマトリックス中に分散していることが好ましい。
【0025】
(B)繊維強化熱可塑性組成物において、(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが(a)ポリオレフィン及び/又は(b)エラストマーと結合していることが、分散され易くなるために好ましい。
(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが(a)ポリオレフィン及び/又は(b)エラストマーと結合しているとは、(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが(a)ポリオレフィン及び/又は(b)エラストマーと直接及び/又はシランカップリング剤などの他の化合物や元素を介して結合していること、さらに(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが(a)ポリオレフィン及び/又は(b)エラストマーと直接及び/又はシランカップリング剤などの他の化合物や元素を介して化学結合していることである。
【0026】
(B)繊維強化熱可塑性組成物において、(c)シランカップリング剤で変性された(a)ポリオレフィン及び/又は(b)エラストマーが主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーと結合していること、さらに(c)シランカップリング剤で変性された(a)ポリオレフィン及び/又は(b)エラストマーが主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーとがシランカップリング剤を介して結合していることが、分散され易くなるために好ましい。
(B)繊維強化熱可塑性組成物において、(c)シランカップリング剤で変性された主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが(a)ポリオレフィン及び/又は(b)エラストマーと結合していること、さらに(c)シランカップリング剤で変性された主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが(a)ポリオレフィン及び/又は(b)エラストマーとがシランカップリング剤を介して結合していることが、分散され易くなるために好ましい。
【0027】
(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが(a)ポリオレフィン及び/又は(b)エラストマーと結合しているとは、(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが(a)ポリオレフィン及び/又は(b)エラストマーと直接及び/又はシランカップリング剤などの他の化合物や元素を介して結合していること、さらに(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが(a)ポリオレフィン及び/又は(b)エラストマーと直接及び/又はシランカップリング剤などの他の化合物や元素を介して化学結合していることである。
【0028】
(d)シランカップリング剤は、一般式(1)、さらに好ましくは一般式(2)で示されるシラン化合物を用いることが出来る。
【0029】
【化1】
Figure 0004048676
(但し、式中、R1は、γ−メタクリロキシプロピル基、ビニル基、アルケニル基、γ−アクリロイルオキシプロピル基、6−アクリロイルオキシヘキシルトリエトキシ基、エチニル基、2−プロピニル基、アミノ基、メルカプト基又はエポキシ基を示し、R2,R3,R4は、メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、アセトキシ基、ベンジル基または、フェニル基を示す。
【0030】
【化2】
Figure 0004048676
(但し、式中、R1は、γ−メタクリロキシプロピル基が、R2,R3,R4は、メトキシ基、エトキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基または、フェニル基を示す。)
【0031】
上記シランカップリング剤としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グルシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グルシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0032】
ラジカル発生剤は、ジクミル系化合物、アゾ型などの分解型ラジカル発生剤、過酸化型ラジカル発生剤などを用いることができる。
ラジカル発生剤として、例えば、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルベンゾエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、α,α’−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、イソプロピルパーカーボネート、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸化合物、ジブチル錫オキサイドなどの四価錫化合物などを挙げることが出来、これらのうち1種または2種以上の組み合わせて使用することができる。
【0033】
本発明の繊維強化弾性体及び繊維強化熱可塑性組成物の製造は、一般に公知の各種混合機や各種混練機、例えば、樹脂やゴムの混練に通常用いられている装置を用いて行うことができる。このような装置としては、バンバリー型ミキサー、ニーダー、ニーダーエキストルーダー、オープンロール、一軸混練機、二軸混練機などが用いられる。これらの装置の中では短時間で且つ連続的に混練又は溶融混練が行える点で二軸混練機が最も好ましい。
【0034】
(B)繊維強化熱可塑性組成物は、(a)ポリオレフィン、(b)エラストマー及び(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーを溶融混練する方法、(a)ポリオレフィンを(b)エラストマーと溶融混練し、ついで(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーと溶融混練する方法などの方法で製造することが出来る。
(B)繊維強化熱可塑性組成物は、バンバリー型ミキサー、ニーダー、ニーダーエキストルーダー、オープンロール、一軸混練機、二軸混練機などを用いて製造することが出来る。
【0035】
(B)繊維強化熱可塑性組成物は、例えば、特開平9−59431号公報に記載の方法で製造することが出来る。
(B)繊維強化熱可塑性組成物は、以下の3工程で製造することが出来る。
(1)(a)ポリオレフィン、(b)エラストマーと(d)シランカップリング剤、さらに必要に応じて、ラジカル発生剤を溶融混練し、又は(d)シランカップリング剤、さらに必要に応じてラジカル発生剤とで処理した(a)ポリオレフィンを(b)エラストマーと溶融混練して、マトリックスを調製する第1工程。
(2)上記マトリックスと(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーとを、(a)ポリオレフィン及び(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーのいずれの融点よりも高い温度で溶融混練し押出して、押出物を調製する第2工程。
(3)上記押出物を(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーの融点より低い温度で混練し、延伸及び/又は圧延する第3工程。
【0036】
上記第2工程において、マトリックスと(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーとを溶融、混練する温度は、(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーの融点以上である必要がある。(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーの融点よりも低い温度で溶融、混練を行っても、混練物は、マトリックス中に(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーの微細な粒子が分散した構造にはならず、従って、上記第3工程での延伸及び/又は圧延しても、(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーは微細な繊維にはなり得ないからである。又、混練温度は、(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーの融点以上であって、且つ(a)ポリオレフィンの融点以上の温度が好ましい。
【0037】
上記第2工程で得られた溶融混練物を、紡糸口金或いはインフレーションダイ又はTダイから押し出し、次いでこれを第3工程の延伸及び/又は圧延する。
【0038】
この第3工程においては、溶融混練物中の(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーの微粒子を繊維形状に変換させて、繊維強化熱可塑性組成物を得る。従って、溶融、混練及び押出は(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーの融点以上の温度で実施する必要があり、延伸及び/又は圧延は(c)主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーの融点よりも低い温度で実施する必要がある。
【0039】
第3工程においての押出物の延伸は、例えば、混練物を紡糸口金から押し出して紐状乃至糸状に紡糸し、これをドラフトを掛けつつボビン等に巻き取る等の方法で実施できる。押出物を延伸する際のドラフト比は1.5、さらに好ましくは3〜100、さらに好ましくは50の範囲とすることが好ましい。ドラフト比とは、押しだし口金を通過する押出物の速度に対する巻き取り速度の比である。
【0040】
押出物の圧延は、圧延ロール等で連続的に圧延することによっても実施できる。得られる紐状、糸状、あるいはテープ状のままの形状でもよく、あるいはペレタイザーによりペレット状にしてもよい。
【0041】
本発明の繊維強化弾性体は、特開平7−278360号公報に記載する方法で製造することが出来る。
例えば、(B)繊維強化熱可塑性組成物と(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンとを混練することにより製造することができる。
(B)繊維強化熱可塑性組成物と(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンとの混練温度は、繊維強化熱可塑性組成物中のマトリックスを構成する(a)ポリオレフィンの融点より高い温度が好ましく、且つ繊維強化熱可塑性組成物中の微細な短繊維を構成する主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーの融点より低い温度が好ましく、また、(A)1,2シンジオポリブタジエンの融点以上の温度が好ましい。
【0042】
繊維強化熱可塑性組成物中のマトリックスを構成する(a)ポリオレフィンの融点以下の温度で混練すると、繊維強化熱可塑性組成物は、(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの中に分散しないまたはしにくくなるために好ましくない。
【0043】
繊維強化熱可塑性組成物中の微細な短繊維を構成する主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーの融点より高い温度で混練すると、繊維強化熱可塑性組成物中の微細な短繊維が溶けて球状の粒子等に変形する可能性が高いために好ましくない。
【0044】
(A)1,2シンジオポリブタジエンの融点以下の温度で混練すると、繊維強化熱可塑性組成物が(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン中に分散しにくくなるため好ましくない。
【0045】
(B)繊維強化熱可塑性組成物と(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの混練において、繊維強化熱可塑性組成物はペレット状のものを用いることが好ましい。ペレット状の繊維強化熱可塑性組成物を用いることにより、繊維強化熱可塑性組成物は(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンと均一に混練しやすくなり繊維が均一に分散した繊維強化弾性体が容易に得られるためである。
【0046】
(B)繊維強化熱可塑性組成物と(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンとの混練方法は、樹脂やゴムに通常使用される装置で行うことができる。例えば、このような装置としては、バンバリー型ミキサー、ニーダー、ニーダーエキストルーダー、オープンロール、スクリュー型単軸押出機、スクリュー型二軸押出機などが挙げられる。
【0047】
(B)繊維強化熱可塑性組成物と(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの混練において、必要に応じて、各種加硫剤及び加硫助剤を一緒に混練してもよい。このときの加硫剤の量は、(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン100重量部に対して0.1重量部、さらに0.5重量部〜5.0重量部、さらに3.0重量部の範囲が好ましい。加硫助剤の量は、(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン100重量部に対して0.01重量部、特に0.1重量部〜2.0重量部、特に1.0重量部の範囲が好ましい。
【0048】
加硫剤としては、公知の加硫剤、例えば硫黄、有機過酸化物、樹脂加硫剤、酸化マグネシウム等の金属酸化物等が用いられる。
加硫助剤としてはアルデヒド・アンモニア類、アルデヒド・アミン類、グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、チウラム類、ジチオカルバメ−ト、キサンテート等が用いられる。
【0049】
本発明の繊維強化弾性体に各種加硫剤及び加硫助剤を一緒に混練する場合の加硫温度は、100〜180℃が好ましい。但し、加硫温度は、繊維強化弾性体中の微細な繊維を構成する主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーの融点よりも低い温度で行うことが好ましい。
【0050】
本発明の繊維強化弾性体は、用途に応じて、高級脂肪族アミド、金属せっけん、グリセリンエステル等の滑剤、天然シリカ、合成シリカ、タルク、珪藻土等のアンチカレンダータッキング剤、フェノール系、りん系、BHT等の酸化防止剤、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、HALS等の紫外線吸収剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、りん系、ハロゲン系等の難燃剤、セルロース繊維を除くシリカ、炭酸カルシウム、マイカ、カーボンブラック等の無機・有機充填剤、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、酸化鉄、群青等の顔料、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、含硫黄系酸化防止剤、含燐系酸化防止剤などの安定剤などを添加することができる。
【0051】
本発明の繊維強化弾性体は、用途に応じて、上記のポリオレフィン、熱可塑性エラストマー、主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマー及び1,2−シンジオタクテックポリブタジエンを除く他のポリマー成分を目的に応じて添加することができる。
【0052】
本発明の繊維強化弾性体の50%モジュラスは、5.5MPa以上、さらに6MPa以上、特に6.5MPa以上が好ましい。
本発明の繊維強化弾性体の100%モジュラスは、5.5MPa以上、さらに6MPa以上、特に6.5MPa以上が好ましい。
本発明の繊維強化弾性体の降伏応力は、5.5MPa以上、さらに6MPa以上、さらに6.5MPa以上、特に7MPa以上が好ましい。
本発明の繊維強化弾性体の引張強度は、5MPa以上、さらに6MPa以上、さらに10MPa以上、特に12MPa以上が好ましい。
本発明の繊維強化弾性体の伸びは、200%以上、さらに300%以上、特に400%以上が好ましい。
本発明の繊維強化弾性体のドライでのスキッド抵抗値は、84以上、さらに85以上、さらに86を超えて、さらに87以上、特に88以上が好ましい。
【0053】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
特性値は次のようにして測定した。
(1)繊維強化熱可塑性組成物中の(c)成分の分散形状の観察:繊維強化熱可塑性組成物のペレットを138℃以上のホットキシレンで還流し、ポリオレフィン及びエラストマーを抽出、除去した後、残った固形物を電子顕微鏡で観察した。
(2)繊維強化弾性体のモジュラス、引張強度、降伏応力、及び伸び:繊維強化弾性体を150℃の熱プレスを用いて、厚み2mmのシートを作製した。繊維強化弾性体のシートをJIS3号ダンベルで打ち抜き、得られた試験片をJISK6251に準拠して測定した。
(3)繊維強化弾性体のスキッド抵抗(ドライ)の測定方法:繊維強化弾性体のドライスキッドを振子式による滑り摩擦試験機のポータブルスキッドレジスタンステスターを用いて測定した。測定する際の相手材料として、磨りガラスを使用した。
測定方法は、繊維強化弾性体を150℃の熱プレスを用いて、幅25mm×長さ75mm×厚み5mmのドライスキッド用試験片を作製した。ついで、得られた試験片の表面を粒度280の粗いシートペーパーで試験片表面を研磨し測定した。
【0055】
[実施例1および2と比較例1]
原料として、(a)成分として高密度ポリエチレン(京葉ポリエチレン株式会社製:M3800、融点130〜135℃、メルトフローレート8g/10分)を用い、(b)成分として天然ゴム(NR、SMR−L)、(c)成分としてナイロン6(宇部興産製:宇部ナイロン1030B、融点215〜220℃、分子量30,000)、(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン(JSR株式会社製:RB830、1,2結合量93%、融点93℃、メルトフローレート3g/10分)を用いた。
【0056】
・繊維強化熱可塑性組成物の製造
高密度ポリエチレン100重量部、(d)成分のγーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.0重量部、および天然ゴム100重量部とをバンバリー型ミキサーで溶融混練して、マトリックス成分を調製した。これを170℃でダンプを行い、その後ぺレット状とした。
ついで、前記のマトリックス成分とナイロン6 100重量部を235℃に加温した二軸押出機で溶融混練し、混練物をペレット化した。これを240℃に加温した二軸押出機で紐状に押しだし、ドラフト比10で引き取りつつペレタイザーでペレット化し、ペレット状の繊維強化熱可塑性組成物を得た。
【0057】
ペレット状の繊維強化熱可塑性組成物をキシレン還流下でソックスレー抽出を行い、高密度ポリエチレン及び天然ゴムを除去後、残留物を得た。残留物を赤外分光スペクトル法で測定した結果、ナイロン6に帰属するピークを確認した。
また、残留物を400MHz・1H−NMRで測定し、結果を図1に示す。図1より、ナイロン6(3.14ppmと3.16ppm)、高密度ポリエチレン及び天然ゴム(1.74ppm)に帰属するピークを確認でき、ナイロン6と高密度ポリエチレン及び/又は天然ゴムとが結合していることを確認した。
さらに、残留物を走査型電子顕微鏡で観察した結果、残留物の80%以上は、平均繊維径が0.2〜0.3μmの範囲、アスペクト比50以上の繊維で有ることを確認した。
【0058】
・繊維強化弾性体の製造
表1に示す割合の(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン(JSR株式会社製:RB830、1,2結合量93%、融点93℃、メルトフローレート3g/10分)およびペレット状の繊維強化熱可塑性組成物とを50℃にセットしたバンバリー型ミキサーに投入し、130℃〜170℃の範囲に温度を制御しながら4分間混練を行い、繊維強化弾性体を得た。
【0059】
得られた繊維強化弾性体は、目視により観察で、繊維強化熱可塑性組成物がシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン中に均一に分散していた。さらに、ナイロン6の微細な繊維も(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン中に均一に分散していた。
得られた繊維強化弾性体のモジュラス(50%、100%)、引張強度、降伏応力及び伸びの機械的強度とドライスキッド抵抗値を測定し、結果を表1に示した。
【0060】
[比較例2]
(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン(JSR株式会社製:RB830、1,2結合量93%、融点93℃、メルトフローレート3g/10分)を50℃にセットしたバンバリー型ミキサーに投入し、130℃〜170℃の範囲に温度を制御しながら4分間混練を行った。
得られた加熱後のシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンのモジュラス(50%、100%)、引張強度、降伏応力及び伸びの機械的強度とドライスキッド抵抗値を測定し、結果を表1に示した。
【0061】
【表1】
Figure 0004048676
【0062】
【発明の効果】
本発明の繊維強化弾性体は、生産性に優れ、低コストで製造でき、摩擦抵抗に優れ、モジュラス、降伏応力、引張強度及び伸びなどの機械的特性の優れた繊維強化弾性体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 繊維強化熱可塑性組成物の繊維の400MHz・1H−NMRスペクトル。

Claims (4)

  1. (A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン100重量部と(B)繊維強化熱可塑性組成物1〜27重量部とを含む繊維強化弾性体において、
    (B)繊維強化熱可塑性組成物が(a)ポリオレフィン100重量部、(b)エラストマー10重量部〜400重量部及び(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマー10重量部〜400重量部から得られ、(a)ポリオレフィンと(b)エラストマーがマトリックスを構成しており、該マトリックス中に(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが微細な繊維として分散していることを特徴とする繊維強化弾性体。
  2. (A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン100重量部と(B)繊維強化熱可塑性組成物1〜27重量部とを含む繊維強化弾性体において、
    繊維強化熱可塑性組成物が(a)ポリオレフィン100重量部、(b)エラストマー10重量部〜400重量部及び(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマー10重量部〜400重量部から得られ、(a)ポリオレフィンと(b)エラストマーがマトリックスを構成しており、該マトリックス中に(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが微細な繊維として分散しており、(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが(a)ポリオレフィン及び/又は(b)エラストマーと結合している繊維強化熱可塑性組成物であることを特徴とする繊維強化弾性体。
  3. 繊維強化熱可塑性組成物が、(a)ポリオレフィン100重量部、(b)エラストマー10重量部〜400重量部(c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマー10重量部〜400重量部及び(d)シランカップリング剤0.1重量部〜2重量部から得られることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の繊維強化弾性体。
  4. (c)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーが、0.05〜1.0μmの平均径を有する微細な繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維強化弾性体。
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