JP4045080B2 - 車両の制御システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のエンジン始動制御やオートライト制御に係わり、車両に後付け可能なリモートコントロール装置によるエンジン始動のリモートコントロール機能と、車両に装備された制御装置によるオートライト機能とが、簡素な構成で問題なく実現できる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、オートライト機能を備えた車両が増加してきた。これは、車両に設けられたオートライトスイッチをオンにしておくと、車両に装備された制御装置による制御でテールライトやヘッドライト等の点消灯を自動で行うものである。例えば、オートライトスイッチがオンになっていて、車両周囲の照度を検出するオートライトセンサが暗状態を示す検出信号を出力している状態において、イグニションスイッチによるエンジン始動操作(即ち、運転席のキーシリンダの操作)があると、エンジンを始動するとともに、テールライトやヘッドライトを自動点灯させる機能である。
【0003】
一方、自動車などのアフターマーケットでは、車両に後付け可能なリモートコントロール装置が各種販売され、これを購入して利用する車両のユーザも少なくない。特に、ドアロック機構の遠隔操作機能と、エンジンの遠隔始動操作機能とを兼ね備えたいわゆるエンジンスタータ装置は、カー用品店やディーラー等で各種販売され一部ユーザに普及している。この装置を取り付ければ、車両のキーシリンダにキーを差し込んでイグニションスイッチを操作しなくても、遠距離から無線でエンジンを始動させることができるので、冬期に自動車への乗車前に暖気運転することが可能となり便利である。
ところが、このようなリモートコントロール装置の本体(ユーザが携帯する送信機に対する受信機側のコントローラ)は、そのエンジン制御出力やドアロック制御出力を、車両のイグニションスイッチやセンタドアロックスイッチに並列に接続して設置され、イグニションスイッチやセンタドアロックスイッチと同様の信号を出力する構成が一般的であった。
【0004】
即ち、リモートコントロール装置のエンジン制御出力端子(エンジンを始動させるときに内部の接点によって導通状態が切り替わる二つの端子)は、イグニションスイッチのエンジン始動に対応する接点に並列に接続されて、前述した制御装置の信号入力系においては、イグニションスイッチと同じ入力ラインに接続され、イグニションスイッチがスタート位置(エンジンが始動する位置)に操作された場合と同等の信号変化を制御装置に入力する。また、リモートコントロール装置のドアロック制御出力のうちのロック信号(ドアロック機構の施錠を指令する信号)の出力端子は、前述した制御装置の信号入力系において、センタドアロックスイッチのロック信号の出力端子と同じ入力ラインに接続され、センタドアロックスイッチが施錠側に操作された場合と同等のロック信号のみを出力する。また、リモートコントロール装置のドアロック制御出力のうちのアンロック信号(ドアロック機構の解錠を指令する信号)の出力端子は、前述した制御装置の信号入力系において、センタドアロックスイッチのアンロック信号の出力端子と同じ入力ラインに接続され、センタドアロックスイッチが解錠側に操作された場合と同等のアンロック信号のみを出力する構成が一般的であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このため、上記従来の車両におけるエンジン始動やオートライト機能の制御については、以下のような問題があった。
即ち、リモートコントロール装置の遠隔操作機能によって車両のエンジンが始動操作された場合、車両の前述の制御装置は、車両のイグニションスイッチの操作によるエンジン始動があった場合と全く同じ制御動作を実行してしまう。即ち、オートライトスイッチがオンされているなどの条件が成立していれば、ユーザが車両から離れているにもかかわらず、車両のライトを不必要に自動点灯させてしまう。これにより、不必要にバッテリの電力を消耗し、また車両の周囲に迷惑をかけたりする弊害が生じる。なお図4は、このような現象の一例を示すタイミングチャートである。この場合、エンジンスタータ装置によってエンジン始動が遠隔操作により指令されると、エンジン始動信号に相当するイグニション信号(IG信号)がオンとなってエンジンが始動し(イグニションスイッチはオフのまま)、その後、車両の周囲が暗くなってオートライトセンサの出力(照度信号)が明状態から暗状態に変化したときに、オートライト機能によって車両のライトが点灯してしまう。
【0006】
なお、上記問題点を解決する手段として、無線によるエンジン始動信号を受信した場合にはオートライト機能をオフするシステムが、特開平6−307316号公報に開示されている。しかしながらこの公報には、無線によるエンジン始動信号とイグニションスイッチによるエンジン始動信号との識別については、なんら開示されておらず、実用上問題がある。というのは、例えば車両の制御装置側の信号入力系にリモートコントロール装置専用の入力ライン(イグニションスイッチなどとは別個のもの)を追加し、入力されたエンジン始動信号がリモートコントロール装置によるものであることを制御装置側で識別可能とする一般的な構成では、現行の車両の制御装置の仕様をコストアップの方向にハード的に変更する必要があり、容易ではない。特定の車種やオプション仕様に限ってこのような特別仕様の制御装置を搭載し、通常の車種では現行どおりとするにしても、制御装置の種類がその分増加することになり、メーカの生産性等が悪化する。
そこで本発明は、車両に後付け可能なリモートコントロール装置によるエンジン始動のリモートコントロール機能と、車両に装備された制御装置によるオートライト機能とが、簡素な構成で問題なく実現できる技術を提供することを目的とし、具体的には、そのために好適な車両の制御システムを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明による車両の制御システムは、車両に装備される制御装置と該制御装置と信号の授受を行い、少なくとも当該車両のエンジンの始動とドアロック機構の施解錠動作のリモート操作が可能なリモートコントローラとよりなる車両の制御システムであって、
前記制御装置は、
車内に設けられたセンタドアロックスイッチから車両のドアロック機構の施錠を指令するロック信号、或いは前記ドアロック機構の解錠を指令するアンロック信号を入力するための錠操作信号入力部と、
車両のイグニションスイッチからのエンジン始動信号を入力するためのエンジン始動信号入力部と、
前記エンジン始動信号入力部から前記エンジン始動信号が入力されていることを必要条件として、車両に装備されたライトを自動点灯させるオートライト制御を実行可能な制御手段と、を備えるとともに、
前記錠操作信号入力部として、前記ロック信号を入力するためのロック信号入力部と、前記アンロック信号を入力するためのアンロック信号入力部を別個に備え、
前記リモートコントローラは、
前記エンジン始動信号入力部に接続されるエンジン始動信号出力部と、
前記錠操作信号入力部に接続される錠操作信号出力部と、
無線信号を受信する受信手段と、を備えるとともに、
前記錠操作信号出力部として、前記ロック信号入力部に接続されて前記ドアロック機構の施錠を指令するロック信号を出力するためのロック信号出力部と、前記アンロック信号入力部に接続されて前記ドアロック機構の解錠を指令するアンロック信号を出力するためのアンロック信号出力部を別個に備え、
前記エンジンの始動を指令する無線信号を前記受信手段によって受信すると、この無線信号に応じて、前記エンジンの始動を指令するエンジン始動信号を前記エンジン始動信号出力部に出力するとともに、特定波形の識別用信号を前記錠操作信号出力部の前記ロック信号出力部とアンロック信号出力部の両方に同時に出力する機能を有し、
前記制御手段は、
前記エンジン始動信号入力部から前記エンジン始動信号が入力され、かつ前記錠操作信号入力部から前記識別用信号が入力されない場合に、前記イグニションスイッチの操作によって車両のエンジンが始動されたと判断して、前記オートライト制御を有効とし、
前記エンジン始動信号入力部から前記エンジン始動信号が入力され、かつ、前記錠操作信号入力部から前記識別用信号が入力された場合には、前記イグニションスイッチの操作によらないで車両のエンジンが始動されたと判断して、前記オートライト制御を禁止する機能を有するとともに、
前記ロック信号入力部又はアンロック信号入力部の何れか一方から前記ロック信号又はアンロック信号としての信号が入力されると、この信号に応じて前記ドアロック機構を施錠又は解錠する制御を実行し、
前記ロック信号入力部及びアンロック信号入力部から同波形の信号が同時に入力されると、前記ドアロック機構を施錠方向又は解錠方向の何れにも動作させないで現状維持するフェールセーフ機能を有するものである。
ここで、「オートライト制御を有効とする」とは、オートライト制御を実行する他の条件(例えば、車両周囲の照度が低下したことなど)が成立すれば、オートライト制御を即座に実行することを意味する。また、「オートライト制御を禁止する」とは、オートライト制御を実行する他の条件が成立しても、この禁止状態が解除されるまでは、オートライト制御を実行しないことを意味する。
【0008】
この車両の制御システムによれば、エンジンやドアロック機構を制御するための信号出力をイグニションスイッチやセンタドアロックスイッチに並列接続する状態で、従来どおりリモートコントローラ(例えば、エンジンスタータ)を車両に取り付けた場合でも、このリモートコントローラによるエンジンやドアロック機構の遠隔操作機能を有効活用しつつ、制御装置側のオートライト機能を問題なく運用することができる。
即ち、ユーザの操作によって上記リモートコントローラからエンジン始動信号が出力される際には、特定波形の識別用信号が上記リモートコントローラの錠操作信号出力部から出力されて、車両の制御装置の錠操作信号入力部に入力される構成であるため、車両の制御装置では、上述した制御手段の機能によって、イグニションスイッチの操作によらないで車両のエンジンが始動されたと判断し、オートライト制御を禁止する。このため、リモートコントローラからのエンジン始動信号によってエンジンが始動する場合に、不必要に車両のライトが自動点灯する不具合を防止することができる。しかも、通常のキーをキーシリンダに差し込んでイグニションスイッチを操作することによるエンジン始動に対しては、従来どおりオートライト機能を働かすことが可能となる。
【0009】
なお、前記制御手段は、前記オートライト制御を禁止した後、車両に装備されたセンサ類によってユーザが車両に搭乗すること又は搭乗したことが推定されたときに、前記オートライト制御の禁止を解除する構成であることが望ましい。ここで、「ユーザが車両に搭乗すること又は搭乗したことが推定されるたとき」としては、例えば、ドアの開閉を検出するスイッチによりドアの開動が検知されたとき、センタドアロックスイッチからのロック信号が入力されたとき、イグニションスイッチが操作されることにより生じるなんらかの信号(例えば、アクセサリのオン信号)が入力されたときなどがある。
このような構成であると、前記リモートコントローラによりエンジンが始動した後、ユーザが車両に搭乗する際或いは搭乗した時点では、禁止されていたオートライト機能が自動的に復活するから、ユーザの意識的な禁止解除操作を必要とすることなく、リモートコントローラによるエンジン始動後も確実にオートライト機能が有効活用できる。
【0010】
また、前記識別用信号を構成するパルスのパルス幅は、前記制御手段による前記ロック信号又はアンロック信号の読み取り処理におけるチャタリング吸収時間よりも短く設定されていることが好ましい。このようにすれば、前記パルス信号をロック信号等と誤認する誤動作が防止できる。
また本願発明は、前記錠操作信号入力部として、前記ロック信号を入力するためのロック信号入力部と、前記アンロック信号を入力するためのアンロック信号入力部を別個に備え、前記制御手段は、前記ロック信号入力部又はアンロック信号入力部の何れか一方から前記ロック信号又はアンロック信号としての信号が入力されると、この信号に応じて前記ドアロック機構を施錠又は解錠する制御を実行し、前記ロック信号入力部及びアンロック信号入力部から同波形の信号が同時に入力されると、前記ドアロック機構を施錠方向又は解錠方向の何れにも動作させないで現状維持するフェールセーフ機能を有する。また本願発明は、リモートコントローラから前記識別用信号がロック信号入力部とアンロック信号入力部の両方に同時に出力される構成となっている。このため、前記識別用信号が仮にロック信号等と誤認されたとしても上記フェールセーフ機能によってドアロック機構の動作が回避されるため、前記識別用信号によってドアロック機構が誤動作することが防止できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、車両の制御システムの主要回路構成示す図である。なお、装置の外観や操作部の機械的構造などは図示省略している。
この制御システムは、車両に後付けされるエンジンスタータ10(リモートコントローラ)と、車両におけるドアロック関係及びオートライト関係の制御を行う制御装置20とを備える。
エンジンスタータ10は、いわゆるエンジンスタータ装置の本体であり、図示省略したエンジンスタータ装置の送信機(ユーザが携帯するもの)からの無線信号を受信し、この無線信号の指令に応じた制御出力を実現するユニットである。このエンジンスタータ10は、外部接続端子として、電源入力端子11、エンジン始動信号出力端子12,13(エンジン始動信号出力部)、ロック信号出力端子14(錠操作信号出力部)、及びアンロック信号出力端子15(錠操作信号出力部)を備える。また、エンジン始動信号出力端子12,13間を開閉するリレーなどの接点16と、ロック信号出力端子14又はアンロック信号出力端子15の電圧を制御するトランジスタ17,18とを内蔵する。また図示省略しているが、上記送信機からの無線信号を受信するための通信回路など(受信手段)と、例えばマイクロコンピュータよりなる制御回路とを備える。
【0015】
またエンジンスタータ10は、電源入力端子11が車両のバッテリBATの正極に接続され、エンジン始動信号出力端子12,13が車両のイグニションスイッチ41のエンジン始動信号に対応する接点に並列に接続され、ロック信号出力端子14が車両のセンタドアロックスイッチ42のロック信号の出力端子に接続され、アンロック信号出力端子15がセンタドアロックスイッチ42のアンロック信号の出力端子に接続される。そして、前記送信機からエンジン始動を指令する無線信号を受信すると、図示省略した制御回路の制御によって接点16が閉じる。また、ドアロック機構の施錠を指令する無線信号を受信するとトランジスタ17が作動し、ドアロック機構の解錠を指令する無線信号を受信するとトランジスタ18が作動する構成となっている(詳細後述する)。
【0016】
制御装置20は、CPUを含むマイクロコンピュータよりなる制御回路21、電源回路22、エンジン始動信号入力部23、照度信号入力部24、ロック信号入力部25(錠操作信号入力部)、アンロック信号入力部26(錠操作信号入力部)、ロック検出信号入力部27、アンロック検出信号入力部28、テールライト駆動部30、及びヘッドライト駆動部31を有する。
ここで、エンジン始動信号入力部23は、車両のイグニションスイッチ41がスタート位置に操作されて対応する接点が閉じると、アクティブとなる(この場合、電圧がLレベルからHレベルに変化する)入力ラインであり、上記接点に並列接続されたエンジンスタータ10の接点16が閉じることによってもアクティブとなる。なお、エンジン停止状態において、このエンジン始動信号入力部23が規定時間以上アクティブになると(即ち、エンジン始動信号が入力されると)、例えばこの制御装置20(或いは、別個に設けられたエンジン制御用のコントローラ)によってエンジン始動制御が実行される。
照度信号入力部24は、車両に設けられたオートライトセンサ24aの照度信号を入力するための入力ラインである。制御回路21は、このオートライトセンサ24aからの照度信号によって、車両の周囲が明状態にあるか暗状態にあるかを判断する。
【0017】
ロック信号入力部25は、車両のセンタドアロックスイッチ42が施錠側に操作されて対応する接点が閉じると、アクティブとなる(この場合、電圧がHレベルからLレベルに変化する)入力ラインであり、前述したエンジンスタータ10のトランジスタ17が作動することによってもアクティブとなる。そして、車両のドアロック機構が解錠状態において、このロック信号入力部25が規定時間以上アクティブになると(即ち、ロック信号が入力されると)、例えばこの制御装置20によってドアロック機構を施錠する制御が実行される。
アンロック信号入力部26は、車両のセンタドアロックスイッチ42が解錠側に操作されて対応する接点が閉じると、アクティブとなる入力ラインであり、前述したエンジンスタータ10のトランジスタ18が作動することによってもアクティブとなる。そして、車両のドアロック機構が施錠状態において、このアンロック信号入力部26が規定時間以上アクティブになると(即ち、アンロック信号が入力されると)、例えばこの制御装置20によってドアロック機構を解錠する制御が実行される。
【0018】
ロック検出信号入力部27は、ドアロック機構の状態を検出するセンサ(ドアロックスイッチ43)が、施錠状態を検出しているときにアクティブとなる入力ラインであり、アンロック検出信号入力部28は、逆に解錠状態を検出しているときにアクティブとなる入力ラインである。
テールライト駆動部30は、制御回路21の制御出力に応じて車両のテールライト45を駆動するための駆動回路(例えば、トランジスタよりなるもの)である。
また、ヘッドライト駆動部31は、制御回路21の制御出力に応じて車両のヘッドライト46を駆動するための駆動回路(例えば、トランジスタよりなるもの)である。
【0019】
なお制御回路21では、基本的に、制御ルーチンを繰り返す過程において入力信号が複数回アクティブであった場合に入力信号が確定的に読み取られる構成とすることで、チャタリングを防止するようにしており、この結果前述したように、規定時間以上入力信号がアクティブであった場合にはじめてその信号が有効となる。ちなみに、制御ルーチンを繰り返す周期が例えば10mSECであり、3回の読み取り確認を行う場合には、上記規定時間t0は、t0=30mSECとなる。なお本明細書では、この規定時間t0を、場合によりチャタリング吸収時間t0という。
また制御回路21は、消費電力の節約のために、制御動作を行っていない時には原則的にいわゆるスリープ状態(マイコンのクロックなどを停止した状態)となっていて、所定の入力信号(例えば、信号入力部25,26からのロック信号等の入力)があったときに、これをウェイクアップ信号として起動する構成となっている。
【0020】
次に、上記制御システムの主な処理内容について説明する。
まず、エンジンスタータ10の制御回路は、施錠又は解錠を指令する無線信号を対応する送信機から受信すると、この無線信号に応じて、ロック信号又はアンロック信号をロック信号出力端子14又はアンロック信号出力端子15に出力する。また、エンジン始動を指令する無線信号を受信すると、エンジン始動信号をエンジン始動信号出力端子12,13に出力し(即ち、接点16を閉じて端子12,13を導通させ)、これと同時に、特定波形の識別用信号(エンジン作動機能コードを含むエンジン作動信号)を、この場合出力端子14,15の両方に出力する。
具体的には、エンジン始動が指令されると、接点16を閉じるとともに、トランジスタ14,15を間欠的に作動させることにより、図3に示すようにロック信号入力部25とアンロック信号入力部26の電圧を変化させる。
【0021】
即ち、まず最初に、チャタリング吸収時間t0より小さな所定の信号出力時間t1だけ、トランジスタ14,15の両方を同時に作動させ、ロック信号入力部25及びアンロック信号入力部26の電圧を上記信号出力時間t1だけアクティブとする。これにより、制御装置20の制御回路21は、ウェイクアップ信号が入力されたとしてスリープ状態から起動する。
次いで、所定のインターバル時間t2が経過した後、この例では5ビットのデータであるエンジン作動機能コード(この場合、「10100」)を形成するパルス信号(シリアル伝送信号)を両方の入力部25,26に同時に送信すべく、トランジスタ14,15の両方を同じデューティで同時に作動させる。これにより、制御装置20の制御回路21は、入力されたエンジン始動信号が、イグニションスイッチ41の操作によるものではなく、エンジンスタータ10の動作によるものであると判断する。
なお、上記機能コードを形成するパルスのビット幅t3や、前述のウェイクアップ信号のパルス幅t1は、チャタリング吸収時間t0より小さく設定され(例えば、20mSEC以下)、上記識別用信号を構成する各パルスのパルス幅がチャタリング吸収時間t0以上となってロック信号等として誤判断されることが回避されるようになっている。また図3に示すように、上述した一連の信号の合計送信時間tTOTALは、制御装置20の所定の受付許可時間Tよりも小さくなっている。また、図3に示す例では、ビット幅t3の前半部分の電位がHレベルである場合にデータが「0」、ビット幅t3の前半部分の電位がLレベルである場合にデータが「1」となるコード体系(いわゆるマンチェスタ方式)を採用している。このマンチェスタ方式であると、データの誤認が起き難く、ビット幅t3やコード長が一定になる利点がある。
【0022】
一方、制御装置20の制御回路21は、通常のキー操作によってイグニションスイッチ41が操作されてエンジン始動信号がエンジン始動信号入力部23から入力されると(即ち、エンジン始動信号入力部23が規定時間以上アクティブになり、かつ、所定の受付許可時間T内にロック信号入力部25及びアンロック信号入力部26から前述の識別用信号が入力されないときには)、所定の点灯条件(図示省略したオートライトスイッチがオンになっていること、及び照度信号入力部24から入力される照度信号により暗状態が判定されていること)が成立している場合には、オートライト機能による自動点灯を実行する。例えば、テールライト駆動部30を作動させてテールライト45を点灯させるとともに、ヘッドライト駆動部31を作動させてヘッドライト46を点灯させる。
【0023】
また制御回路21は、エンジンスタータ10の前述の動作によりエンジン始動信号がエンジン始動信号入力部23から入力され、かつ、所定の受付許可時間T内に、前述の識別用信号(エンジン作動信号)がロック信号入力部25及びアンロック信号入力部26に入力された場合には、イグニションスイッチの操作によらないエンジン始動(即ち、エンジンスタータ装置によるエンジン始動)であると認識して、オートライト制御を禁止する。具体的には、オートライトスイッチがオンになっている状態で、照度信号入力部24から入力される照度信号により暗状態が判定された場合でも、図2に示す如くライト出力(テールライト駆動部30やヘッドライト駆動部31)をオフ状態に維持して、テールライト45やヘッドライト46を消灯状態に維持する。
但し制御回路21は、オートライト制御を禁止した後、車両に装備されたセンサ類によってユーザが車両に搭乗すること又は搭乗したことが推定されるたときに、オートライト制御の禁止を解除する。具体的には、例えば図2に示すように、センタドアロックスイッチ42の操作によるロック信号が入力されたときに、オートライト機能を有効に戻して、所定の点灯条件が成立していれば前述したオートライト機能による自動点灯を実行する。
【0024】
また、この場合の制御回路21は、次のようなフェールセーフ機能を有する。即ち、ロック信号入力部25又はアンロック信号入力部26の何れか一方から前記ロック信号又はアンロック信号としての信号が入力されると、この信号に応じてドアロック機構を施錠又は解錠する制御を実行するが、ロック信号入力部25及びアンロック信号入力部26から同波形の信号が同時に入力されると、たとえチャタリング吸収時間t0を越えてアクティブな信号であったとしても、ドアロック機構を施錠方向又は解錠方向の何れにも動作させないで現状維持する機能を有する。
【0025】
以上説明した本例の制御システム(エンジンスタータ10及び制御装置20)では、エンジンスタータ10(リモートコントローラ)専用の信号入力部が設けられていない構成(イグニションスイッチ41やセンタドアロックスイッチ42と従来どおり入力ラインを共用している構成)でありながら、エンジンスタータ装置からの操作指令であることが制御装置20において判別され、エンジンスタータ装置によるエンジン始動操作の場合にはオートライト制御を禁止することができる(ライトの自動点灯が実行されないようにすることができる)。しかも、イグニションスイッチ41によるエンジン始動操作に対しては、従来どおりオートライト制御を有効として、ユーザに便利な自動点灯を実行できる。
したがって、車両の制御装置をコストアップの方向に仕様変更することなく、車両に装備されたオートライト機能と、リモートコントロール装置(この場合、エンジンスタータ装置)によるエンジン始動の遠隔操作機能とが問題なく有効活用される。
【0026】
また本例の場合には、前記識別用信号(エンジン作動機能コードを含むエンジン作動信号)を構成するパルスのパルス幅が、前記ロック信号又はアンロック信号の読み取り処理におけるチャタリング吸収時間t0よりも短く設定されているため、前記識別用信号が前記ロック信号又はアンロック信号として誤認される誤動作が防止される。
さらに本例では、制御装置20の制御回路21が、ロック信号入力部25及びアンロック信号入力部26から同波形の信号が同時に入力されると、ドアロック機構を施錠方向又は解錠方向の何れにも動作させないで現状維持するフェールセーフ機能を有する。一方、エンジンスタータ10からの前記識別用信号の信号は、その信号出力部(ロック信号出力端子14及びアンロック信号出力端子15)の両方に同時に出力され、ロック信号入力部25及びアンロック信号入力部26の両方に同時に入力される。このため、前記識別用信号のパルスが仮にチャタリング吸収時間t0を越えたとしても、その信号はロック信号入力部25及びアンロック信号入力部26の両方において同波形であるため、制御回路21において有効なロック信号又はアンロック信号として取り扱われず、この面からも前記識別用信号による誤動作が防止される。
即ち本例の場合には、前記識別用信号がロック信号又はアンロック信号として誤認され、ドアロック機構が誤動作する不具合が、上記二つの構成によって、信頼性高く回避される。
【0027】
なお、本発明は上述した形態例に限られず、各種の変形や応用があり得る。
例えば、本発明のリモートコントローラは、必ずしも車両に後付けされるものでなく、場合によっては、例えば車両の生産工場で予め車両に取り付けられてもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、車両の制御装置にリモートコントロール装置専用の信号入力部が設けられていない構成(即ち、イグニションスイッチ等と従来どおり入力ラインを共用している構成)であっても、リモートコントローラからの操作指令であることが制御装置において判別され、リモートコントローラによるエンジン始動操作の場合には、オートライト制御を禁止することができる(ライトが自動点灯されないようにすることができる)。しかも、イグニションスイッチによる通常のエンジン始動操作に対しては、従来どおりオートライト制御を有効として、ユーザに便利な自動点灯を実行できる。
したがって、車両の制御装置をコストアップの方向に仕様変更することなく、車両に装備されたオートライト機能と、リモートコントロール装置(例えば、エンジンスタータ装置)によるエンジン始動の遠隔操作機能とが問題なく有効活用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】リモートコントローラ及び制御装置を含むシステムの回路図である。
【図2】同システムにおける信号のタイミングチャートである。
【図3】同システムにおける識別用信号を説明する図である。
【図4】従来の問題点を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
10 エンジンスタータ(リモートコントローラ)
12,13 エンジン始動信号出力端子(エンジン始動信号出力部)
14 ロック信号出力端子(錠操作信号出力部)
15 アンロック信号出力端子(錠操作信号出力部)
20 制御装置
21 制御回路(制御手段)
23 エンジン始動信号入力部
25 ロック信号入力部(錠操作信号入力部)
26 アンロック信号入力部(錠操作信号入力部)
45 テールライト
46 ヘッドライト
Claims (3)
- 車両に装備される制御装置と該制御装置と信号の授受を行い、少なくとも当該車両のエンジンの始動とドアロック機構の施解錠動作のリモート操作が可能なリモートコントローラとよりなる車両の制御システムであって、
前記制御装置は、
車内に設けられたセンタドアロックスイッチから車両のドアロック機構の施錠を指令するロック信号、或いは前記ドアロック機構の解錠を指令するアンロック信号を入力するための錠操作信号入力部と、
車両のイグニションスイッチからのエンジン始動信号を入力するためのエンジン始動信号入力部と、
前記エンジン始動信号入力部から前記エンジン始動信号が入力されていることを必要条件として、車両に装備されたライトを自動点灯させるオートライト制御を実行可能な制御手段と、を備えるとともに、
前記錠操作信号入力部として、前記ロック信号を入力するためのロック信号入力部と、前記アンロック信号を入力するためのアンロック信号入力部を別個に備え、
前記リモートコントローラは、
前記エンジン始動信号入力部に接続されるエンジン始動信号出力部と、
前記錠操作信号入力部に接続される錠操作信号出力部と、
無線信号を受信する受信手段と、を備えるとともに、
前記錠操作信号出力部として、前記ロック信号入力部に接続されて前記ドアロック機構の施錠を指令するロック信号を出力するためのロック信号出力部と、前記アンロック信号入力部に接続されて前記ドアロック機構の解錠を指令するアンロック信号を出力するためのアンロック信号出力部を別個に備え、
前記エンジンの始動を指令する無線信号を前記受信手段によって受信すると、この無線信号に応じて、前記エンジンの始動を指令するエンジン始動信号を前記エンジン始動信号出力部に出力するとともに、特定波形の識別用信号を前記錠操作信号出力部の前記ロック信号出力部とアンロック信号出力部の両方に同時に出力する機能を有し、
前記制御手段は、
前記エンジン始動信号入力部から前記エンジン始動信号が入力され、かつ前記錠操作信号入力部から前記識別用信号が入力されない場合に、前記イグニションスイッチの操作によって車両のエンジンが始動されたと判断して、前記オートライト制御を有効とし、
前記エンジン始動信号入力部から前記エンジン始動信号が入力され、かつ、前記錠操作信号入力部から前記識別用信号が入力された場合には、前記イグニションスイッチの操作によらないで車両のエンジンが始動されたと判断して、前記オートライト制御を禁止する機能を有するとともに、
前記ロック信号入力部又はアンロック信号入力部の何れか一方から前記ロック信号又はアンロック信号としての信号が入力されると、この信号に応じて前記ドアロック機構を施錠又は解錠する制御を実行し、
前記ロック信号入力部及びアンロック信号入力部から同波形の信号が同時に入力されると、前記ドアロック機構を施錠方向又は解錠方向の何れにも動作させないで現状維持するフェールセーフ機能を有することを特徴とする車両の制御システム。 - 前記制御手段は、前記オートライト制御を禁止した後、車両に装備されたセンサ類によってユーザが車両に搭乗すること又は搭乗したことが推定されたときに、前記オートライト制御の禁止を解除することを特徴とする請求項1記載の車両の制御システム。
- 前記識別用信号を構成するパルスのパルス幅は、前記制御手段による前記ロック信号又はアンロック信号の読み取り処理におけるチャタリング吸収時間よりも短く設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の車両の制御システム。
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