JP4044156B2 - ディーゼル軽油組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼル軽油組成物に関し、詳しくは、自動車、船舶、発電機等に用いられるディーゼルエンジン用の軽油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディーゼルエンジン用の燃料である軽油の需要が増加する一方重油の需要が減少しているため、軽質軽油のカットアツプや従来重油に含まれていた重質軽油留分を軽油に含ませることにより、軽油を増産することが望まれている。しかし、重質軽油留分を軽油に含ませた場合、軽油中のワックスが増加して低温流動性が悪化する。従って、このような軽油をそのまま寒冷時や寒冷地においてディーゼル用燃料油としての用途に供することは実際上困難であり、流動性向上剤を添加して低温流動性を改善する試みがなされている。
【0003】
流動性向上剤として、例えば、特公昭56−18634号公報に記載され、現在広く使用されているエチレン・酢酸ビニール共重合体は、灯油留分を多く含んだ軽油には添加効果があるが、灯油留分を含まない軽油には添加効果がない。灯油は冬期の暖房用として使用されているため、軽油基材として用いると灯油の供給が逼迫するという問題がある。従って、灯油留分が少なく、かつ低温流動性に優れるディーゼルエンジン用の軽油の開発が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記観点からなされたもので、灯油留分が少なくても、安定して低温流動性に優れたディーゼル軽油組成物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意研究の結果、特定の物性を有するディーゼル軽油に界面活性剤系流動性向上剤を添加することにより、上記本発明の目的を効果的に達成しうることを見出し本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、下記(1)式を満足する軽油に界面活性剤系流動性向上剤を添加してなるディーゼル軽油組成物を提供するものである。
【0006】
Y ≦ −0.0051X2 + 0.50 ・・・(1)
ここで、Yはワックス析出率(wt%/℃)を表し、Xは曇り点(℃)を表す。
また、Y≧0.25、X≦2であることが好ましく、界面活性剤系流動性向上剤の添加量は20〜2,000mg/リットルが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
本発明に用いる軽油は前記(I)式を満足する必要がある。
ここで、Yはワックス析出率(wt%/℃)を表し、軽油を曇り点以下に冷却したときに、軽油の温度を1℃下げた場合に析出するワックスの増加量(軽油に対する%)をいう。このYが、0.25以上であると本発明の特徴が特に発揮される。すなわち、Yが0.25以上であると軽油には灯油が混合されておらず、灯油の需要期である冬期に灯油の増産が可能となり好ましい。しかし、灯油留分が多少混合されている場合でも、本発明の範囲に含まれるのは当然である。なお、ここでいう灯油留分の軽油への混合とは、通常の灯油の混合の他に蒸留装置で灯油と軽油のカットポイントを下げて(灯油留分の蒸留95%点を下げて)灯油留分を軽油へ含ませるケースも意味する。
【0008】
次に、Xは曇り点(℃)を表し、ワックスが析出し始める温度をいい、JISK 2269で規定されている。このXは、2以下であることが好ましく2を超えると、ディーゼル車のメインフィルター閉塞トラブルが発生する可能性がある。
本発明の軽油の基材としては、例えば、直留軽油(LGO)、脱硫軽油(DGO)、間接脱硫軽油(VHLGO)、水素化分解軽油(HCGO)、接触分解軽油(LCO)、直接脱硫軽油(DSGO)、灯油等が用いられ、通常2種以上を混合して用いる。
【0009】
本発明の界面活性剤系流動性向上剤は、アミン、アミド、イミド基等の親水基と直鎖アルキル基等の疎水基を有する流動性向上剤を意味し、アルケニルコハク酸アミド系、アルケニルコハク酸イミド系の化合物を使用できる。
また、前記流動性向上剤として、(A)水酸基を有する含窒素化合物と直鎖状飽和脂肪酸とのエステル化合物、または上記(A)成分に(B)オレフィン、エチレン性不飽和カルボン酸アルキル及び飽和脂肪酸ビニルから選ばれる少なくとも一種の単量体から得られる重合物を添加してなるものが、好適に使用できる。
【0010】
上記(A)成分である水酸基を有する窒素化合物と直鎖状飽和脂肪酸とのエステル化合物を構成する窒素化合物としては、2〜10個の水酸基を有するものが好ましく用いられる。水酸基の数が上記範囲を逸脱する場合は流動性改善効果が少ない。このような窒素化合物としては、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、プロピルジアミン、及びこれらのエポキシド付加物から選ばれる化合物が挙げられる。上記エポキシド付加物のエポキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等が挙げられる。
【0011】
また、(A)成分の水酸基を有する窒素化合物と直鎖状飽和脂肪酸とのエステル化合物を構成する直鎖状飽和脂肪酸としては、炭素数12〜30の直鎖状飽和脂肪酸を使用することができる。このような直鎖状飽和脂肪酸としては、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が挙げられ、またこれらを含有する硬化牛脂脂肪酸、硬化ナタネ油脂肪酸、硬化魚油脂肪酸なども使用できる。
【0012】
上記エステル化合物は前記水酸基を有する窒素化合物と前記直鎖状飽和脂肪酸とを通常の方法でエステル化することにより得ることができる。
前記(B)成分であるオレフィン、エチレン性不飽和カルボン酸アルキル及び飽和脂肪酸ビニルから選ばれる少なくとも一種の単量体から得られる重合物の単量体に用いられるオレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、ブテン−1等が、エチレン性不飽和カルボン酸アルキルの不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等が、また飽和脂肪酸ビニルとしては、例えば蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
【0013】
上記重合体は、上記単量体の一種あるいは二種以上の混合物を通常の方法で重合して得ることができる。本発明においては、上記重合体として数平均分子量が1,000〜20,000のものが使用することが出来る。数平均分子量が上記範囲外の場合は流動性改善効果は少ない。
本発明において、(A)成分に(B)成分を添加する場合、(A)成分は(A)成分と(B)成分の合計量に対して、30重量%以上であることが好ましい。この量が30重量%未満の場合は流動性改善効果が少ない。
【0014】
本発明において、界面活性剤系流動性向上剤の添加量は、好ましくは20〜2,000mg/リットル、更に好ましくは20〜500mg/リットルである。この値が上限値を超える場合は、軽油への溶解性に劣り、添加量に見合う効果が得られない。また、下限値未満の場合は、流動性改善効果が少なくなる。
本発明の軽油組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて清浄剤、セタン価向上剤、酸化防止剤、金属不活性剤、他の流動性向上剤、氷結防止剤、腐食防止剤、錆止剤、着色剤、マーカー等の添加剤を適宜加えることができる。
【0015】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら制限されるものではない。
実施例1〜5及び比較例1〜5
第1表に示す軽油基材をブレンドした軽油に第2表の流動性向上剤を400mg/リットル添加して、流動性向上剤の添加前と添加後の目詰まり点(CFPP)及び流動点を測定し、添加前と添加後の差を流動性改善効果として第3表、第4表に示した。CFPPはその値が低い程ディ−ゼル車燃料系フィルターのワックスによる閉塞が起こりにくく、流動点はその値が低い程軽油の凝固によるディーゼル車燃料系統の閉塞が起こりにくい。また、添加前と添加後の差の値が大きい程流動性改善効果が大きいと言える。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】
【表4】
【0020】
【表5】
【0021】
第3表、第4表から明らかなように、前記(1)式を満足する軽油に界面活性剤系流動性向上剤を添加すると流動性改善効果が大きいディーゼル軽油組成物が得られることがわかる。従って、流動性向上剤の添加量を調節することによって低温流動性がの優れたディーゼル軽油組成物を得ることができる。
尚、軽油の性状及び性能は次の方法によって求めた。
【0022】
(1)曇り点
JIS K 2269に準拠して測定した。
(2)ワックス析出率
試料20gを冷却ろ過器に秤取り、試験温度に冷却後、減圧ろ過し、フィルター上のパラフィンワックスを冷アセトンで洗浄し油分を除く。次に、n−ペンタンでパラフィンワックスを溶解し、秤量フラスコに移した後、n−ペンタンを蒸発させ、残ったパラフィンワックスの重量を測定し、次式でワックスの量を算出する。
試験温度は曇り点−2、曇り点−4、曇り点−6の3点以上とし、試験温度を横軸に、ワックス量を縦軸にプロットする。最小二乗法で両者の関係を示す直線を求め、この勾配の絶対値をワックス析出率とする。
(3)CFPP
JIS K 2288に準拠して測定した。
(4)流動点
JIS K 2269に準拠して測定した。
(5)蒸留点
ASTM D2887に準拠して測定した。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、灯油留分が少なくても安定的に流動性が改善された軽油組成物を提供することができるので、灯油の需要期である冬期に暖房用灯油の増産が可能となる。
Claims (1)
- 下記(1)式を満足し、10%蒸留点が233℃以上のディーゼル軽油に、アルケニルコハク酸アミド系化合物、アルケニルコハク酸イミド系化合物及び水酸基を有する含窒素化合物と直鎖状飽和脂肪酸とのエステル化合物から選ばれる1種以上の界面活性剤系流動性向上剤を20〜2,000mg/リットル添加してなり、該軽油からのCFPP降下温度〔ΔCFPP(℃)〕が4以上であるディーゼル軽油組成物。
Y≦−0.0051X2+0.50・・・(1)
但し、Y≧0.25で且つX≦2である。
ここで、Yはワックス析出率(wt%/℃)を表し、Xは曇り点(℃)を表す。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22282095A JP4044156B2 (ja) | 1995-08-31 | 1995-08-31 | ディーゼル軽油組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22282095A JP4044156B2 (ja) | 1995-08-31 | 1995-08-31 | ディーゼル軽油組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0967583A JPH0967583A (ja) | 1997-03-11 |
JP4044156B2 true JP4044156B2 (ja) | 2008-02-06 |
Family
ID=16788428
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22282095A Expired - Lifetime JP4044156B2 (ja) | 1995-08-31 | 1995-08-31 | ディーゼル軽油組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4044156B2 (ja) |
-
1995
- 1995-08-31 JP JP22282095A patent/JP4044156B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0967583A (ja) | 1997-03-11 |
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