JP4044030B2 - 磁気センサー装置 - Google Patents

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本発明は、磁気センサー装置に係り、特に電気磁気効果として方向二色性(non−reciprocal directional dichroism)、方向による複屈折(non−reciprocal directional birefringence)、磁気カイラル効果(Magnetochiral effect)、もしくはジャイロトロピック効果(gyrotropic effect)を利用して光磁気ディスクやハードディスク装置(HDD)等の固体内に埋め込まれたスピン情報を高感度、高空間分解能で読み出す(再生する)ことを可能とする磁気センサー装置に関する。
従来より、磁気光学効果(ファラデー効果ないしは磁気光学カー効果)を示す磁性体は、例えば光磁気ディスクに利用されて情報の書き込み・再生を可能としている。
図7は従来の光磁気ディスクの再生原理の説明図である。
この図において、101は半導体レーザー、102,104,105はレンズ、103は偏光子、106は検光子、107はフォトダイオード、108は入射光、109は反射光、110は垂直磁気記録膜を示している。
この図に示すように、光磁気ディスクの再生原理としては、反射光109の偏光面がカー効果により入射光108の偏光面に対して回転する。この反射光109の偏光面の回転角を読み取ることで記憶を再生させる。
このときの回転角は、磁化の向きと光の進行方向とが平行である場合に最も大きくなる。このことから記録膜としては媒体の面に垂直な磁化を持つ材料が望まれる。また、面に垂直な磁化を持つという条件には、垂直磁化にすると面密度が高まり、高密度記録ができるという利点がある。このことから、高密度の記録を実現するためにこの垂直磁化の方式(垂直磁気記録方式)が、今後の主流になると思われる。
また、光磁気ディスクのメモリ容量は、再生に用いる半導体レーザーのスポットサイズに依存する。通常、半導体レーザーの波長は0.78μm〜0.65μm程度である。したがって、読み取り精度の面から、磁化のサイズが読み取り波長程度に制限される。これはメモリ容量の制限となり、今後の解決すべき最も大きな課題となっている。
これに対して、MSR(磁気誘起超解像)方式などの発明がなされている。これを用いれば、通常の半導体レーザーの再生波長の半分程度の磁化サイズでも読み出し可能となりつつある。下記非特許文献1によれば、赤色レーザーの波長で0.3μmの記録マークを再生しており、3.5インチMOディスクで1.3GBの記録容量を実現している。しかし、これも高々赤色レーザー波長の半分程度の読み出しサイズであり、0.1μm(1000Å)以下の微細な磁化サイズを再生することは困難である。つまり、おのずと限界が見えており深刻な解決すべき課題であることに変わりはない。
情報の再生に磁気光学効果を利用する従来の方法では、記録が書き込まれた光磁気ディスクに直接半導体レーザー光を入射する。この入射光による温度上昇が光磁気ディスクの磁性材料のスピン整列温度(キュリー温度TC )以上になると記録が消去されてしまう。そこで読み取り用の入射光は、記録媒体の温度がこの転移温度以上にならないように、入射強度が制限されるという問題点がある。これはひいては再生信号のS/N比向上に制限を与える結果となり、再生信号処理系に過大な負荷を発生させている。
以上に、光磁気ディスクでのデータ再生上の問題点を述べたが、ハードディスク装置(HDD)の再生デバイスにおいても同様な技術的課題がある。記録用の磁性材料の微細化が進むにつれて、再生も高感度に超微細領域の磁気を読み取る必要がある。HDDのデータ再生技術の次世代技術としてTMR(Tunneling Magnetoresistive)ヘッド(下記非特許文献2参照)、次々世代技術としてEMR(Extraordinary Magnetoresistive)の開発がしのぎを削っている。この次々世代技術と言われているEMRでも試作段階では、読み取り素子の直径は数mm(下記非特許文献3参照)であり、0.1μm(1000Å)以下の読み取りの実現はこれからで、実用化にはまだ遠い段階にある。
特開2001−151595号公報 K.Shono,J.Magn.Soc.Jpn.19,Supple.S1(1999)177 Fujikata et al.,The 8th Joint MMM−Intermag Conference Abstracts,p.492,Jan.2001 Solin et al.,Science,vol.289,pp.1530−1532,Sep.2000 B.B.Krichevtsov,V.V.Pavlov,R.V.Pisarev,and V.N.Gridnev,Phys.Rev.Lett.76,4628(1996). J.Goulon,A.Rogalev,F.Wilhelm,C.Goulon−Ginet,P.Carra,D.Cabaret,and C.Brouder,ibid.88,237401(2002). T.F.Vermeichik,B.N.Grechushnikov,I.N.Kalinkina,and D.T.Sviridov,Opt.Spectrosc.36,658(1974). M.Vallet,R.Ghosh,A.Le Floch,T.Ruchon,F.Bretenaker,and J.Y.Thepot,Phys.Rev.Lett.87,183003(2001).
情報産業の肥大化、またそれに伴う画像情報等の容量の大きいデータの記録等により、現在のメモリ容量増大の要求は留まることを知らない。そのために、磁化サイズの微小化動向にも関わらず、限りない微小化要求が発生している。2010年には100Gbpsiのメモリ容量実現のために、求められる磁性材料サイズ(ビット長)は数100Åと微小化しているだろう。
そこで、本発明の第1の目的は、記録された磁化のサイズが微小サイズであっても、なお磁気記録を再生可能な磁気センサー装置を提供することにある。
本発明は、磁化サイズが数100Å格子サイズ、数10Å格子サイズであってもなお十分な空間分解能を有した、磁気記録が再生可能な磁気センサー装置である。その結果、光磁気ディスクやHDDのメモリ容量は飛躍的に増大する。この装置は従来のカー回転機構や磁気抵抗機構と原理的に異なり、磁性材料の格子構造の非対称性がもつ非線形性光学応答理論に基づいた、入射光に対する透過光の吸収係数の変化を用いた磁気センサー素子を構成要素とした磁気センサー装置である。
本発明の第2の目的は、入射光強度に制限を与えない、すなわち入射光そのものを光磁気ディスクに照射することなく、光磁気ディスクに記録された磁化を直接読み取ることができる磁気センサー装置を提供することにある。これは再生時、不必要に記録媒体の温度を高温に上昇させるリスクを回避可能にする。上記した通り記録媒体が磁化の転移温度より高い温度に熱せられると、記録が消去されてしまう。本発明では、磁気センサー素子へ半導体レーザー光を入射し、その磁気センサー素子からの出力である透過光信号を検出することによって、磁気センサー素子への光磁気ディスクからの磁界を検知するため、直接光を照射する場合の光磁気ディスクの高温化のリスクはなく、入射光強度が制限されることもない。
したがって、再生装置として従来のカー効果を利用する場合と異なり、光磁気ディスクに直接光を照射することなく、光磁気ディスク上に書き込まれた情報を再生することが可能となる。
本発明の第3の目的は、光磁気ディスクに記録された磁化を読み取る磁気センサー装置の構成を単純にし、大幅に製造コストを引き下げることである。
本発明の磁気センサー装置は、光源としての半導体レーザー、その入射光、透過光を構成する光学系、光信号検出系からなる。この装置の構成の単純さは、従来型のカー効果を利用する装置と比較すると明らかである。また、この装置は透過光の変化のみを読み取れば良いだけなので光学系は飛躍的に単純化し、装置の大幅なコストダウンを図ることができる。
因みに、従来のカー回転方法での偏光面の回転角は、TbFeでは高々0.3°(TC =130°)、GdFeでは0.35°(TC =220°)である。
この微小回転を読み取るには偏光子の相対位置精度、弱い信号のS/N比向上など多くの課題を解決する必要がある。
本発明は、上記状況に鑑み、記録された磁化のサイズが微小サイズであってもなお磁気記録を再生可能であり、しかも簡便な構成からなる磁気センサー装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、半導体レーザーからなる光源と、この光源からのレーザー光が照射される磁気センサー素子と、この磁気センサー素子からの透過光を検出する光検知器とを備え、前記磁気センサー素子として電気磁気効果である方向二色性(non−reciprocal directional dichroism)、方向による複屈折(non−reciprocal directional birefringence)、磁気カイラル効果(Magnetochiral effect)、もしくはジャイロトロピック効果(gyrotropic effect)を示す固体材料を用い、前記磁気センサー素子にレーザー光を入射し、前記磁気センサー素子からの透過光を観察することにより、この磁気センサー素子の下部に配置される垂直磁気記録膜の磁化(スピン)の向きを検知する磁気センサー装置において、前記磁気センサー素子を構成する固体材料が容易磁化軸と電気分極軸とが平行でない斜方晶の結晶構造をもったGa2-x Fex 3 〔Fe(鉄)の組成;xの範囲が0.7≦x≦1.5〕の磁性材料であることを特徴とする。
本発明によれば、固体内に埋め込まれたスピン情報を読み出すことを可能とする磁気センサー装置を提供することができる。これにより、光磁気ディスクやハードディスクの再生素子としてその記憶磁気領域が1000Å以下の数100Åの微小領域であっても再生可能な磁気センサー素子を提供できる。この素子はハードディスク装置(HDD)の読み出し装置としても実用可能である。この再生素子を使えば、一気にメモリ容量を1000Gbpsi領域へ引き上げることを可能にする。
また、本発明によって、従来と異なる方式で数100Å領域の微細磁区構造を検知できる磁気センサー素子を提供する。これにより、テラビット領域の巨大な磁気メモリデバイスを提供することが可能になり、情報通信や光コンピューターにふさわしい巨大メモリを提供することが可能となる。
また、この磁気センサー素子は磁気メモリの再生装置のみの実用に限らない。例えば、コイルに電流を流せば、磁界が発生する。これを使って透過光の強度を容易に制御できる。光通信ネットワークにおける光変調素子としての機能をも作ることが可能である。このように磁気メモリ用に留まらず広範な情報ネットワークの中の基本素子としての発明の応用が考えられる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明における、磁気センサー素子として電気磁気効果である方向二色性(non−reciprocal directional dichroism)、もしくは方向による複屈折(non−reciprocal directional birefringence)、磁気カイラル効果(Magnetochiral effect)、もしくはジャイロトロピック効果(gyrotropic effect)を示す固体材料を用いた磁気センサー素子を使った磁気センサー装置の原理図を図1に示す。
光磁気ディスクやハードディスクに記録された磁化を読み取る本発明の磁気センサー装置は、磁気センサー素子、光源としての半導体レーザー、その入射光、透過光を構成する光学系、光信号検出系からなる。
図1において、10は半導体レーザー、11は振動数ωのレーザー光、12は磁気センサー素子、13は強磁性体、14は検知器(ホトダイオード)、15は垂直磁気記録膜である。
ここでは、振動数ωのレーザー光11を磁気センサー素子12に入射する。このとき磁気センサー素子12を構成する材料が方向二色性をもった強磁性体(フェリ磁性体を含む)13であるとする。この強磁性体13は垂直磁気記録膜15の磁化(スピン)から発生する漏れ磁界(磁束密度=B)を感じてスピンが下向き(x方向)もしくは上向きに向く。このときの、磁気センサー素子12からの透過光を観察することにより、垂直磁気記録膜15の磁化(スピン)の向きが検知可能となる。従って、磁気センサー装置として機能する。
この磁気センサー素子12からの透過光が磁気センサー素子12の磁化(スピン)の方向依存性をもつことは次の原理からなる。自発磁化M(c軸に並行)をもつ強磁性体13が自発電気分極P(b軸に並行)をもつ場合(つまり、強磁性体13が焦電性強磁性体13Aの場合)に、自発磁化Mにも自発電気分極Pにも垂直な方向K(a軸に並行)に電磁波を入射させる場合(図2参照)を用いて説明する。自発磁化Mと自発電気分極Pとは並行でなければよい。ここでは説明を簡単にするため自発磁化Mと自発電気分極Pとが垂直の場合を説明する。焦電性強磁性体13Aの場合、電磁波の方向が左から右に進行する場合と、右から左に進行する場合とで焦電性強磁性体13Aの透過率が異なる。このような現象を焦電性強磁性体13Aが方向二色性をもつという。
いま、下記のベクトル三重積を考える。
K・(P×M)
この三重積においては、空間反転操作、時間反転操作、電磁波の波数ベクトルKに垂直な鏡映操作を施すと、上記3個の物理量K,P,Mのうち2個の符号が反転するので、上記ベクトル三重積の符号は変化しない。従って、このベクトル三重積の符号が正の場合(左から右に電磁波が進行する場合)と負の場合(右から左に電磁波が進行する場合)は区別でき、異なる光学常数をもってよいことになる。これが電気分極Pをもつ強磁性体(焦電性強磁性体)13Aで方向二色性をもつことができる理由である。この方向二色性は別の呼称で“方向による複屈折(non−reciprocal directional birefringence)”、“磁気カイラル(magnetochiral)”、もしくは“ジャイロトロピック(gyrotropic)”を持っているともいう。
このような方向二色性は、強磁場下での常磁性カイラル有機材料や非中心対称性をもつ反強磁性Cr2 3 において見いだされてきた(上記非特許文献4,5参照)。本願発明者らは、本発明において、方向二色性が焦電性強磁性体13Aにおいても起こることを世界に初めて示した。
ここで、焦電性強磁性体13Aはその特性として自発電気分極P(b軸)と自発磁化M(c軸)をもった材料である。このような固体材料としては、斜方晶Ga2-x Fex 4 〔Fe(鉄)の組成;xの範囲が0.7≦x≦1.5〕がある。この材料が方向二色性を持つことを実施例1に詳細に説明する。
また、一方で、焦電性強磁性体13Aをもつ材料を作製することもできる。自発電極は結晶材料の空間反転対称性を破ればよい。したがって非磁性薄膜A、Bと磁性薄膜Cがある場合、磁性薄膜Cを非磁性薄膜A、Bで挟んだ構造にして、A+C+Bと積層すると、磁性薄膜Cに対して空間反転対称性をもたないので、この積層された材料は自発分極Pを持つと同時に自発磁化M(磁性膜Cが担う)を持つことができる。ただし、この材料が方向二色性を持つためには自発磁化Mは面に垂直でない方向の磁化を持つことが必要である。このようにして作製された薄膜強磁性体材料は焦電性強磁性体13Aとなる。このとき、薄膜強磁性体材料はA+C+Bの膜をn回積層した〔A+C+B〕n構造であってもよい。
この原理を磁気センサーに応用したのが本発明である。これを図2を用いて説明する。図2は本発明の磁気センサー装置の磁気カイラリティー(chirality)説明図である。
方向二色性をもつ材料において、図2(a)に示した電磁波Kの向きが正の場合(左から右に進行する電磁波)と図2(b)に示した負の場合(右から左に進行する電磁波)で透過率が異なる。方向二色性を用いる場合、光の方向を反転するのは光学配置の変更を伴い非効率なので、磁化Mを反転させる配置を選択する。次に、紙面に垂直な軸に180度回転させると、図2(c)が得られる。この図2(c)と図2(a)を比較すると、両図とも電磁波Kの方向は左から右に進むが、磁化Mの方向が上下反転している点で異なる。すなわち、方向二色性とは、電磁波が左から右に進行する場合、極性強磁性材料の磁化を外部磁場で上下反転させた場合にその透過率が異なることと等価である。換言すれば、その透過率は磁化Mの方向に依存して変化することを示している。
この結果、方向二色性を用いれば、外部磁場を記憶した磁気ドメインからの漏れ磁場の場合、磁気ドメインに記憶された情報を光の透過光の変化として読み取ることが可能となることを示している。このことにより、この焦電性強磁性体13Aを方向二色性の性質を利用することで、磁気センサー素子として用いることができることが分かる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
Ga2-x Fex 4 材料でx=1の場合のGaFeO3 斜方晶結晶を磁気センサー素子として適用した具体例を示す。図3はこの結晶の結晶構造を示す図であり、この結晶が斜方晶構造をもち空間群の分類表示ではPc21nである。この結晶は容易磁化軸はc軸、電気分極軸はb軸構造をもつ結晶であることが分かる。ユニットセルにGa原子2個、Fe原子2個を含む。Ga原子の1個以外は、酸素6個の6配位構造をもち、残りのGa原子1個は4配位構造をもつ(Ga1と図示した)。この4配位構造をもつGa1原子はb軸方向に四面体構造の中心からずれた位置に存在し、これがb軸方向に電気分極Pを発生させる。これは言い換えれば、この結晶が空間反転対称性をもたない構造であることを示す。GaFeO3 結晶(x=1)の磁気的性質はフェリ磁性を示す。このときの転移温度Tcは205Kであり、磁気的異方性を示し、容易磁化軸はc軸である。Ga2-x Fex 4 材料の強磁性転移温度Tcは、Feの濃度が高いほど、転移温度は高くなる。x=1.4の場合、強磁性転移温度Tcは370Kであるので、室温では十分に強磁性体となる。この結晶は浮遊溶融帯法で作製できる(上記特許文献1参照)。
図4はGaFeO3 結晶を磁気センサー素子として用いた実験の構成図である。この図4において、21は入射光、22は磁気センサー素子、23は検出器を示し、磁石24,25を磁気センサー素子22の上下に配置する。このとき、Ga2-x Fex 4 材料22の容易磁化軸であるc軸が、磁場Hに平行になり、入射光21の進行方向がa軸になるような配置とする。磁気センサー素子(Ga2-x Fex 4 材料)22を透過してきた信号は検知器23で検知する。
磁気センサー素子(Ga2-x Fex 4 材料)の方向二色性を1.0〜2.5eVのエネルギー領域の透過光において観察した。その結果を図5に示す。
磁場Hが10kHz、500Oeの振動磁場において振動数f,2fの信号として観察した。吸収スペクトルα(ω)t(t:試料の厚さ)と方向二色性Δα(ω)〔={α(ω,H)−α(ω,−H)t}〕が得られた。方向二色性は吸収スペクトルα(ω)との比としてΔT(ω,f)/T(ω,0)として得られた。
図5(a)はGaFeO3 のE//b(実線)、E//c(破線)で吸収スペクトルα(ω)tを示す。2.5eV以下に見られる、1.6eVと2.0eVの二つのピークは、Fe電子の酸素八面体構造による結晶場***によるもので、Fe3+(3d5 )の基底状態 61g(6S)から 41g(4G)と 42g(4G)への遷移に相当する。これらは双極子禁制またはスピン禁制遷移であるが、格子歪やスピン軌道相互作用で許容化されている。
図5(b)は磁気カイラリティー(chirality)スペクトルΔα(ω)tをE//b(実線)、E//c(破線)で示した。通常の磁気光学効果と区別するために、2f信号(■で示した)も示したが、測定エネルギー範囲(1.0〜2.5eV)でゼロ近傍の信号強度を示している。これは、通常の磁気光学効果であるコットン−ムートン効果が磁化の自乗に比例するのに対し、この効果が観察されていないことを示している。
また、方向二色性であることを確認するために、電磁波の方向を変えるかわりに試料を回転させた場合に、E//bに関して符号が反転することも観察した。図5(b)の挿入図にその結果を示す。外積P×Mに対して平行(●)、反平行(○)で示した。この結果から、観察した信号が確かに方向二色性を示していることがわかる。Δα(ω)tのスペクトルは 61g(6S)→ 41g(4G)遷移(正)と 61g(6S)→ 42g(4G)遷移(負)は二つの信号にそれぞれ***している。これは、Fe3+ の酸素八面体から三方晶場により、 42 4E、それと 4Eと 41 に***していることに起因している(非特許文献6参照)。
図6(a)は、GaFeO3 結晶のE//bの場合のΔα(ω)tの温度依存性を示す(ここでは図示しないがE//cも同様の温度依存性を示す)。
図6(a)に示すように、GaFeO3 結晶の温度の上昇とともにこれらの信号は小さくなり、GaFeO3 結晶の強磁性転移温度Tc=205K付近で消失する。図6(b)に、エネルギー領域1.0〜1.7eVにおけるΔα(ω)tの積分強度を10KのΔα(ω)tで規格化した値を●で示す。また、1.28eVの信号強度を○で同様に示しているが、ほとんど同じ温度依存性を示している。これらの温度依存性は振動磁場500Oe下での磁化の温度依存性と良く一致する。この結果は方向二色性の信号強度が磁気モーメントと比例していることを示す。方向二色性の信号強度は3×10-3の強度である(50μm、500Oe)。例えば、常磁性材料である有機材料において1.3KOeの強磁場下での方向二色性の信号強度が10-10 であることと比較すると、この方向二色性の信号がいかに巨大であるかが分かる(非特許文献7参照)。
なお、磁気センサー素子としてGaFeO3 材料を使う場合、次の注意が必要である。上記実施例では、実験の都合上、Ga2-x Fex 4 〔Fe(鉄)の組成;x=1〕の場合を示したが、この結晶の強磁性転移温度はTc=205Kで室温より低い。室温より高い強磁性転移温度が望ましい場合には、x=1.4のFe濃度の結晶を使えば、強磁性転移温度Tc=370Kであるので、これを用いればよい。
また、この実施例では、単結晶薄片である。現在、単結晶薄片をとりだすことはField Ion Beam(FIB)装置を用いれば、数100Å程度の膜厚で100μm□の結晶片を取り出し、方位をだしたままセットすることが可能である。すなわち、数100Å程度の微小磁化サイズの検出が可能である。
また、本発明によれば、磁気センサー素子として用いる容易磁化軸と電気分極軸とが平行でない固体材料としてGa2-x Fex 3 〔Fe(鉄)の組成;xの範囲が0.7≦x≦1.5〕で斜方晶の結晶構造をもった磁性材料を用いた。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明にかかる磁気センサー装置の原理図である。 本発明の磁気センサー装置の磁気カイラリティー説明図である。 本発明の実施例におけるGaFeO3 斜方結晶の結晶構造を示す図である。 GaFeO3 結晶を磁気センサー素子として用いた実験の構成図である。 GaFeO3 結晶における可視光エネルギー領域の吸収スペクトルと変調信号を示す図である。 GaFeO3 結晶における可視光エネルギー領域の変調信号と温度変化ならびに磁化曲線を示す図である。 従来の光磁気ディスクの再生原理の説明図である。
符号の説明
10 半導体レーザー
11 振動数ωのレーザー光
12 磁気センサー素子
13 強磁性体
13A 焦電性強磁性体
14 検知器(ホトダイオード)
15 垂直磁気記録膜
21 入射光
22 磁気センサー素子
23 検出器
24,25 磁石

Claims (1)

  1. 半導体レーザーからなる光源と、該光源からのレーザー光が照射される磁気センサー素子と、該磁気センサー素子からの透過光を検出する光検知器とを備え、前記磁気センサー素子として、電気磁気効果である方向二色性(non−reciprocal directional dichroism)、方向による複屈折(non−reciprocal directional birefringence)、磁気カイラル効果(Magnetochiral effect)、もしくはジャイロトロピック効果(gyrotropic effect)を示す固体材料を用い、前記磁気センサー素子にレーザー光を入射し、前記磁気センサー素子からの透過光を観察することにより、該磁気センサー素子の下部に配置される垂直磁気記録膜の磁化(スピン)の向きを検知する磁気センサー装置において、前記磁気センサー素子を構成する固体材料が容易磁化軸と電気分極軸とが平行でない斜方晶の結晶構造をもったGa2-x Fex 3 〔Fe(鉄)の組成;xの範囲が0.7≦x≦1.5〕の磁性材料であることを特徴とする磁気センサー装置。
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