JP4043929B2 - 半導体レーザ装置、半導体レーザモジュールおよびこれを用いたラマン増幅器 - Google Patents

半導体レーザ装置、半導体レーザモジュールおよびこれを用いたラマン増幅器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ラマン増幅器などの励起用光源に適した半導体レーザ装置、半導体レーザモジュールおよびこれを用いたラマン増幅器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネットをはじめとする様々なマルチメディアの普及に伴って、光通信に対する大容量化の要求が大きくなっている。従来、光通信では、光ファイバによる光の吸収が少ない波長である1310nmもしくは1550nmの帯域において、それぞれ単一の波長による伝送が一般的であった。この方式では、多くの情報を伝達するためには伝送経路に敷設する光ファイバの芯数を増やす必要があり、伝送容量の増加に伴ってコストが増加するという問題点があった。
【0003】
そこで、高密度波長分割多重(DWDM:Dense-Wavelength Division Multiplexing)通信方式が用いられるようになった。このDWDM通信方式は、主にエルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA:Erbium Doped Fiber Amplifier)を用い、この動作帯域である1550nm帯において、複数の波長を使用して伝送を行う方式である。このDWDM通信方式あるいはWDM通信方式では、1本の光ファイバを用いて複数の異なる波長の光信号を同時に伝送することから、新たな線路を敷設する必要がなく、ネットワークの伝送容量の飛躍的な増加をもたらすことを可能としている。
【0004】
このEDFAを用いた一般的なWDM通信方式では、利得平坦化の容易な1550nmから実用化され、最近では、利得係数が小さいために利用されていなかった1580nm帯にまで拡大している。しかしながら、EDFAで増幅可能な帯域に比して光ファイバの低損失帯域の方が広いことから、EDFAの帯域外で動作する光増幅器、すなわちラマン増幅器への関心が高まっている。
【0005】
ラマン増幅器は、エルビウムのような希土類イオンを媒体とした光増幅器がイオンのエネルギー準位によって利得波長帯が決まるのに対し、励起光の波長によって利得波長帯が決まるという特徴を持ち、励起光波長を選択することによって任意の波長帯を増幅することができる。
【0006】
ラマン増幅では、光ファイバに強い励起光を入射すると、誘導ラマン散乱によって、励起光波長から約100nm程度、長波長側に利得が現れ、この励起された状態の光ファイバに、この利得を有する波長帯域の信号光を入射すると、この信号光が増幅されるというものである。したがって、ラマン増幅器を用いたWDM通信方式では、EDFAを用いた通信方式に比して、信号光のチャネル数をさらに増加させることができる。
【0007】
図38は、WDM通信システムに用いられる従来のラマン増幅器の構成を示すブロック図である。図38において、ファブリペロー型の半導体発光素子180a〜180dとファイバグレーティング181a〜181dとがそれぞれ対となった半導体レーザモジュール182a〜182dは、励起光のもとになるレーザ光を偏波合成カプラ61a,61bに出力する。各半導体レーザモジュール182a,182bが出力するレーザ光の波長は同じであるが、偏波合成カプラ61aによって異なる偏波面をもった光を合成している。同様にして、各半導体レーザモジュール182c,182dが出力するレーザ光の波長は同じであるが、偏波合成カプラ61bによって異なる偏波面をもった光を合成している。偏波合成カプラ61a,61bは、それぞれ偏波合成したレーザ光をWDMカプラ62に出力する。なお、偏波合成カプラ61a,61bから出力されるレーザ光の波長は異なる。
【0008】
WDMカプラ62は、アイソレータ60を介して偏波合成カプラ61a,61bから出力されたレーザ光を合波し、WDMカプラ65を介し、励起光として増幅用ファイバ64に出力する。この励起光が入力された増幅用ファイバ64には、増幅対象の信号光が、信号光入力ファイバ69からアイソレータ63を介して入力され、励起光と合波してラマン増幅される。
【0009】
増幅用ファイバ64内においてラマン増幅された信号光(増幅信号光)は、WDMカプラ65およびアイソレータ66を介してモニタ光分配用カプラ67に入力される。モニタ光分配用カプラ67は、増幅信号光の一部を制御回路68に出力し、残りの増幅信号光を出力レーザ光として信号光出力ファイバ70に出力する。
【0010】
制御回路68は、入力された一部の増幅信号光をもとに各半導体発光素子180a〜180dの発光状態、たとえば光強度を制御し、ラマン増幅の利得帯域が平坦な特性となるようにフィードバック制御する。
【0011】
図39は、ファイバグレーティングを用いた半導体レーザモジュールの概要構成を示す図である。図39において、この半導体レーザモジュール201は、半導体発光素子202と光ファイバ203とを有する。半導体発光素子202は、活性層221を有する。活性層221は、一端に光反射面222が設けられ、他端に光出射面223が設けられる。活性層221内で生じた光は、光反射面222で反射して、光出射面223から出力される。
【0012】
半導体発光素子202の光出射面223には、光ファイバ203が配置され、光出射面223と光結合される。光ファイバ203内のコア232には、光出射面223から所定位置にファイバグレーティング233が形成され、ファイバグレーティング233は、特性波長の光を選択的に反射する。すなわち、ファイバグレーティング233は、外部共振器として機能し、ファイバグレーティング233と光反射面222との間で共振器を形成し、ファイバグレーティング233によって選択された特定波長のレーザ光が増幅されて出力レーザ光241として出力される。
【0013】
【特許文献1】
特開平5−145194号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した半導体レーザモジュール201(182a〜182d)は、ファイバグレーティング233と半導体発光素子202との間隔が長いため、ファイバグレーティング233と光反射面222との間の共振によって相対強度雑音(RIN:Relative Intensity Noise)が大きくなる。ラマン増幅では、増幅の生じる過程が早く起こるため、励起光強度が揺らいでいると、ラマン利得も揺らぐことになり、このラマン利得の揺らぎがそのまま増幅された信号強度の揺らぎとして出力されてしまい、安定したラマン増幅を行わせることができないという問題点があった。
【0015】
ここで、ラマン増幅器としては、図38に示したラマン増幅器のように信号光に対して後方から励起する後方励起方式のほかに、信号光に対して前方から励起する前方励起方式および双方向から励起する双方向励起方式がある。現在、ラマン増幅器として多用されているのは、後方励起方式である。その理由は、弱い信号光が強い励起光とともに同方向に進行する前方励起方式が、ファイバグレーティングを用いた半導体レーザモジュールにおいて、励起光強度が揺らぐという問題があるからである。したがって、前方励起方式にも適用できる安定した励起光源の出現が要望されている。すなわち、従来のファイバグレーティングを用いた半導体レーザモジュールを用いると、適用できる励起方式が制限されるという問題点があった。
【0016】
また、上述した半導体レーザモジュール201は、ファイバグレーティング233を有した光ファイバ203と、半導体発光素子202とを光結合する必要があり、共振器内における機械的な光結合であるために、レーザの発振特性が機械的振動などによって変化してしまうおそれがあり、安定した励起光を提供することができない場合が生じるという問題点があった。
【0017】
さらに、ラマン増幅器におけるラマン増幅では、信号光の偏波方向と励起光の偏波方向とが一致することを条件としている。すなわち、ラマン増幅では、増幅利得の偏波依存性があり、信号光の偏波方向と励起光の偏波方向とのずれによる影響を小さくする必要がある。ここで、後方励起方式の場合、信号光は、伝搬中に偏波がランダムとなるため、問題は生じないが、前方励起方式の場合、偏波依存性が強く、励起光の直交偏波合成、デポラライズなどによって偏波依存性を小さくする必要がある。すなわち、偏光度(DOP:Degree Of Polarization)を小さくする必要がある。
【0018】
ここで、半導体レーザ素子をラマン増幅器などの分布型増幅器の励起用光源として用いる場合、ラマン増幅利得を大きくするために励起光出力を増大することが好ましいが、そのピーク値が高いと、誘導ブリルアン散乱が発生し、雑音が増加するという不具合が発生する。誘導ブリルアン散乱の発生は、誘導ブリルアン散乱が発生する閾値を有し、この閾値を高くする必要がある。
【0019】
この発明は上記に鑑みてなされたもので、ラマン増幅器などの励起用光源に適し、所望の発振波長のレーザ光を安定かつ高効率に出力することができる半導体レーザ装置、半導体レーザモジュールおよびこれを用いたラマン増幅器を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明にかかる半導体レーザ装置は、レーザ光の出射端面に設けた第1反射膜と該レーザ光の反射端面に設けた第2反射膜との間に形成された活性層の近傍に沿って部分的に設けられた回折格子を有し、少なくとも該回折格子による波長選択特性によって複数の発振縦モードをもつレーザ光を出力する半導体レーザ装置において、前記活性層に注入されるバイアス電流を変調する変調信号を生成し、該変調信号を前記バイアス電流に重畳する変調手段を備えたことを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、回折格子による波長選択特性によって複数の発振縦モードをもたせ、かつ、変調手段が、前記活性層に注入されるバイアス電流を変調する変調信号を生成し、該変調信号を前記バイアス電流に重畳し、各発振縦モードのスペクトル幅を広げるようにしている。
【0022】
また、この発明にかかる半導体レーザ装置は、上記の発明において、前記回折格子を含む周囲近傍への電流注入が抑制される非電流注入領域が形成され、前記変調手段によって前記変調信号が重畳された電流を前記非電流注入領域外の領域から注入することを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、前記変調手段が、前記変調信号が重畳された電流を前記非電流注入領域外の領域から注入するようにしているので、たとえば、回折格子近傍の屈折率が変化しないようにしている。
【0024】
また、この発明にかかる半導体レーザ装置は、レーザ光の出射端面に設けた第1反射膜と該レーザ光の反射端面に設けた第2反射膜との間に活性層と光導波路層とを設け、該光導波路層の近傍に沿って部分的に設けられた回折格子を有し、少なくとも該回折格子による波長選択特性によって複数の発振縦モードをもつレーザ光を出力する半導体レーザ装置において、前記活性層に注入されるバイアス電流を変調する変調信号を生成し、該変調信号を前記バイアス電流に重畳する変調手段を備えたことを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、回折格子による波長選択特性によって複数の発振縦モードをもたせ、かつ、変調手段が、前記活性層に注入されるバイアス電流を変調する変調信号を生成し、該変調信号を前記バイアス電流に重畳し、各発振縦モードのスペクトル幅を広げるようにしている。
【0026】
また、この発明にかかる半導体レーザ装置は、レーザ光の出射端面に設けた第1反射膜と該レーザ光の反射端面に設けた第2反射膜との間に活性層と光導波路層とを設け、該光導波路層の近傍に沿って部分的に設けられた回折格子を有し、少なくとも該回折格子による波長選択特性によって複数の発振縦モードをもつレーザ光を出力する半導体レーザ装置において、前記光導波路層に変調信号を印加する変調手段を備えたことを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、回折格子による波長選択特性によって複数の発振縦モードをもたせ、かつ、変調手段が、前記光導波路層に変調信号を印加し、各発振縦モードのスペクトル幅を広げるようにしている。
【0028】
また、この発明にかかる半導体レーザ装置は、上記の発明において、前記変調信号は、正弦波信号であることを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、前記変調信号を正弦波信号としているので、ノイズ成分の広がりを抑えることができる。
【0030】
また、この発明にかかる半導体レーザ装置は、上記の発明において、前記変調信号の電流振幅は、前記バイアス電流の電流値の0.1〜10%の電流振幅をもつことを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、前記変調信号の電流振幅を、前記バイアス電流の電流値の0.1〜10%とすることによって、レーザ光のスペクトル幅を所望の値に設定でき、かつ誘導ブリルアン散乱を抑制することができる。
【0032】
また、この発明にかかる半導体レーザ装置は、上記の発明において、前記変調信号の光振幅は、前記レーザ光の光出力の0.1〜10%の光振幅をもつことを特徴とする。
【0033】
この発明によれば、前記変調信号の光振幅を、前記レーザ光の光出力の0.1〜10%とすることによって、レーザ光のスペクトル幅を所望の値に設定でき、かつ誘導ブリルアン散乱を抑制することができる。
【0034】
また、この発明にかかる半導体レーザ装置は、上記の発明において、前記変調信号の周波数は、5〜1000kHzの範囲であることを特徴とする。
【0035】
この発明によれば、前記変調信号の周波数は、5〜1000kHzの範囲とすることによって、レーザ光のスペクトル幅を所望の値に設定でき、かつ誘導ブリルアン散乱を抑制することができる。
【0036】
また、この発明にかかる半導体レーザ装置は、上記の発明において、前記変調信号の周波数および変調度は、当該半導体レーザ装置のレーザ光を用いる装置に最終的に外部出力されるまでの減衰量を加味して決定することを特徴とする。
【0037】
この発明によれば、前記変調信号の周波数および変調度を、当該半導体レーザ装置のレーザ光を用いる装置に最終的に外部出力されるまでの減衰量を加味して決定し、可能な限り小さな値にすることによってRINの抑制とともに誘導ブリルアン散乱を抑制することができる。
【0038】
また、この発明にかかる半導体レーザ装置は、上記の発明において、前記回折格子は、回折格子長が300μm以下であることを特徴とする。
【0039】
この発明によれば、第1反射膜側に設けられる前記回折格子の回折格子長を、300μm以下としている。
【0040】
また、この発明にかかる半導体レーザ装置は、上記の発明において、前記回折格子の回折格子長は、前記共振器長の(300/1300)倍の値以下であることを特徴とする。
【0041】
この発明によれば、第1反射膜側に設けられる前記回折格子の回折格子長を、前記共振器長の(300/1300)倍の値以下としている。
【0042】
また、この発明にかかる半導体レーザ装置は、上記の発明において、前記回折格子は、該回折格子の結合係数と回折格子長との乗算値が0.3以下であることを特徴とする。
【0043】
この発明によれば、前記回折格子は、該回折格子の結合係数と回折格子長との乗算値が0.3以下とし、駆動電流−光出力特性の線形性を良好にし、光出力の安定性を高めるようにしている。
【0044】
また、この発明にかかる半導体レーザ装置は、上記の発明において、前記回折格子は、グレーティング周期をランダムあるいは所定周期で変化させたことを特徴とする。
【0045】
この発明によれば、前記回折格子のグレーティング周期をランダムあるいは所定周期で変化させ、回折格子の波長選択に揺らぎを発生させ、発振波長スペクトルの半値幅を広げるようにしている。
【0046】
また、この発明にかかる半導体レーザ装置は、上記の発明において、前記第1反射膜と前記第2反射膜との間に形成された活性層によって形成された共振器の長さは、800μm以上であることを特徴とする。
【0047】
この発明によれば、前記第1反射膜と前記第2反射膜との間に形成された活性層によって形成された共振器の長さを、800μm以上とし、高出力動作を可能としている。
【0048】
また、この発明にかかる半導体レーザモジュールは、上記の発明に記載の半導体レーザ装置と、前記半導体レーザ装置から出射されたレーザ光を外部に導波する光ファイバと、前記半導体レーザ装置と前記光ファイバとの光結合を行う光結合レンズ系とを備えたことを特徴とする。
【0049】
この発明によれば、RINを小さく、誘導ブリルアン散乱の閾値を大きくすることができることに加え、ファイバグレーティングを用いない半導体レーザ装置を用いて該半導体レーザ装置の共振器が物理的に分離されていないため、光軸合わせなどを行う必要がなく、半導体レーザモジュールの組立が容易になるとともに、機械的振動などによってレーザの発振特性が変化しにくくなり、安定したレーザ光を信頼性高く、かつ安定して出力し、さらに低コスト化を実現することができる。
【0050】
また、この発明にかかる半導体レーザモジュールは、上記の発明において、前記半導体レーザ装置の温度を制御する温度制御装置と、前記光結合レンズ系内に配置され、光ファイバ側からの反射戻り光の入射を抑制するアイソレータと、をさらに備えたことを特徴とする。
【0051】
この発明によれば、ファイバグレーティングを用いない半導体レーザ装置を用いているため、インライン式のファイバ型と異なり、偏波無依存アイソレータを使用することができ、挿入損失が小さく、さらにRINが小さい半導体レーザモジュールを実現することができる。
【0052】
また、この発明にかかるラマン増幅器は、上記の発明に記載の半導体レーザ装置、あるいは半導体レーザモジュールを広帯域ラマン増幅用の励起光源として用いたことを特徴とする。
【0053】
この発明によれば、上記の発明に記載の半導体レーザ装置、あるいは半導体レーザモジュールを広帯域ラマン増幅用の励起光源として用い、上述した各半導体レーザ装置あるいは各半導体レーザモジュールの作用効果を奏するようにしている。
【0054】
また、この発明にかかるラマン増幅器は、上記の発明に記載の半導体レーザ装置、あるいは半導体レーザモジュールは、広帯域ラマン増幅用の励起光源であって、前方励起用光源あるいは双方向励起方式における前方励起用光源として用いられることを特徴とする。
【0055】
この発明によれば、上記の発明に記載の半導体レーザ装置、あるいは半導体レーザモジュールを、広帯域ラマン増幅用の励起光源であって、前方励起用光源あるいは双方向励起方式における前方励起用光源として用い、上述した各半導体レーザ装置あるいは各半導体レーザモジュールの作用効果を奏するようにしている。
【0056】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体レーザ装置、半導体レーザモジュールおよびこれを用いたラマン増幅器の好適な実施の形態について説明する。
【0057】
(実施の形態1)
まず、この発明の実施の形態1について説明する。図1は、この発明の実施の形態1である半導体レーザ装置を斜めからみた破断図である。図2は、図1に示した半導体レーザ装置の長手方向の縦断面図である。また、図3は、図2に示した半導体レーザ装置のA−A線断面図である。図1〜図3において、この半導体レーザ装置20は、n−InP基板1の(100)面上に、順次、n−InPによるバッファ層と下部クラッド層とを兼ねたn−InPバッファ層2、圧縮歪みをもつGRIN−SCH−MQW(Graded Index-Separate Confinement Heterostructure Multi Quantum Well)活性層3、p−InPスペーサ層4、p−InPクラッド層6、およびp−InGaAsPコンタクト層7が積層された構造を有する。
【0058】
p−InPスペーサ層4内には、膜厚20nmを有し、出射側反射膜15の反射端面から反射膜14側に向けて長さLg=50μmの回折格子13が設けられ、この回折格子13は、ピッチ約220nmで周期的に形成され、中心波長1.48μmのレーザ光を波長選択する。ここで、回折格子13は、回折格子の結合係数κと回折格子長Lgとの乗算値を0.3以下とすることによって、駆動電流−光出力特性の線形性を良好にし、光出力の安定性を高めている(特願2001−134545参照)。また、共振器長Lが1300μmの場合、回折格子長Lgが約300μm以下のときに複数の発振縦モード数で発振するので、回折格子長Lgは300μm以下とすることが好ましい。ところで、共振器長Lの長短に比例して、発振縦モード間隔も変化するため、回折格子長Lgは、共振器長Lに比例した値となる。すなわち、回折格子長Lg:共振器長L=300:1300の関係を維持するため、回折格子長Lgが300μm以下で複数の発振縦モードが得られる関係は、
Lg×(1300(μm)/L)≦300(μm)
として拡張することができる。すなわち、回折格子長Lgは、共振器長Lとの比を保つように設定され、共振器長Lの(300/1300)倍の値以下としている(特願2001−134545参照)。この回折格子13を含むp−InPスペーサ層4、GRIN−SCH−MQW活性層3、およびn−InPバッファ層2の上部は、メサストライプ状に加工され、メサストライプの長手方向の両側には、電流ブロッキング層として形成されたp−InPブロッキング層8とn−InPブロッキング層9とによって埋め込まれている。また、p−InGaAsPコンタクト層7の上面には、p側電極10が形成される。一方、n−InP基板1の裏面には、n側電極11が形成される。なお、この半導体レーザ装置20から出力されたレーザ光は、単一横モード発振していればよく、活性層あるいは光導波路の構造はストライプ構造に限られない。
【0059】
半導体レーザ装置20の長手方向の一端面である光反射端面には、反射率80%以上、好ましくは98%以上の高光反射率をもつ反射膜14が形成され、他端面である光出射端面には、反射率が10%以下、好ましくは5%、1%、0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下の低光反射率をもつ出射側反射膜15が形成される。反射膜14と出射側反射膜15とによって形成された光共振器のGRIN−SCH−MQW活性層3内に発生した光は、反射膜14によって反射し、出射側反射膜15を介し、レーザ光として出射されるが、この際、回折格子13によって波長選択されて出射される。
【0060】
また、この半導体レーザ装置20は、バイアス電流をp側電極10に印加する電流駆動部21と、このバイアス電流を変調する変調周波数信号を印加する変調信号印加部22とを有する。変調信号印加部22から出力された変調周波数信号は、接続点23においてバイアス電流に重畳され、この変調周波数信号が重畳された重畳信号はp側電極10に印加されることになる。
【0061】
この変調周波数信号は、5〜1000kHzの正弦波信号であり、バイアス電流の値の0.1〜10%程度の振幅値を有する。すなわち、この変調周波数信号はバイアス電流の値の±10%まで変調される。なお、レーザ光の変調は、バイアス電流の値の1〜10%程度の振幅値に限らず、光出力の値の1〜10%程度の振幅値で変調するように定義してもよい。さらに、変調周波数信号は、正弦波信号に限らず、三角波信号などの周期信号であってもよい。この場合、三角波信号などの他の周期信号は複数の正弦波成分を含むため、正弦波信号を変調周波数信号とするのが好ましい。
【0062】
この実施の形態1における半導体レーザ装置20は、ラマン増幅器の励起用光源として用いられることを前提とし、その発振波長λ0は、1100nm〜1550nmであり、共振器長Lは、800μm以上3200μm以下としている。
ところで、一般に、半導体レーザ装置の共振器によって発生する縦モードのモード間隔Δλは、実効屈折率を「n」とすると、次式で表すことができる。すなわち、
Δλ=λ0 2/(2・n・L)
である。ここで、発振波長λ0を1480μmとし、実効屈折率を3.5とすると、共振器長Lが800μmのとき、縦モードのモード間隔Δλは、約0.39nmとなり、共振器長が3200μmのとき、縦モードのモード間隔Δλは、約0.1nmとなる。すなわち、共振器長Lを長くすればするほど、縦モードのモード間隔Δλは狭くなり、単一縦モードのレーザ光を発振するための選択条件が厳しくなる。
【0063】
一方、回折格子13は、そのブラッグ波長によって縦モードを選択する。この回折格子13による選択波長特性は、図4に示す発振波長スペクトル30として表される。
【0064】
図4に示すように、この実施の形態1では、回折格子13を有した半導体レーザ装置20による発振波長スペクトル30の半値幅Δλhで示される波長選択特性内に、発振縦モードを複数存在させるようにしている。従来のDBR(Distributed Bragg Reflector)半導体レーザ装置あるいはDFB(Distributed Feedback)半導体レーザ装置では、共振器長Lを800μm以上とすると、単一縦モード発振が困難であったため、かかる共振器長Lを有した半導体レーザ装置は用いられなかった。しかしながら、この実施の形態1の半導体レーザ装置20では、共振器長Lを積極的に800μm以上とすることによって、発振波長スペクトルの半値幅Δλh内に複数の発振縦モードを含ませてレーザ出力するようにしている。図4では、発振波長スペクトルの半値幅Δλh内に3つの発振縦モード31〜33を有している。
【0065】
ところで、図4に示した各発振縦モード31〜33のスペクトル幅は、電流駆動部21から出力されるバイアス電流のみによって駆動される場合に比して広くなっている。これは、変調信号印加部22から出力された変調周波数信号によって広げられたものである。図5は、バイアス電流に変調周波数信号が重畳された重畳信号によって駆動された場合における光出力の時間変化を示す図である。図5において、変調周波数信号は、バイアス電流の値の1%の振幅値を有する正弦波信号であり、バイアス電流のみによって駆動された場合の光出力の振幅を、正弦的に1%変化させている。この動作は、図6に示すように、半導体レーザ装置の電流−光出力(I−L)特性に変調をかけた場合に相当する。
【0066】
図6に示した変調領域では、I−L特性がリニアであるため、変調周波数信号によって変調された駆動電流の変調度がそのまま光出力の変調度となる。したがって、この変調領域においては、図7に示すように、変調周波数の振幅を1%に維持した駆動電流を印加するのみで、常に光出力の変調度は1%に維持され、光出力の変調度の制御が容易になる。一方、さらに光出力が増大する領域では、変調周波数信号によって変調された駆動電流の変調度と光出力の変調度とが一致しなくなる。この場合、変調周波数信号の振幅値を調整し、図5に示すように、常に光出力の変調度が1%になるように制御する。
【0067】
このようにして、半導体レーザ装置に印加される駆動電流の値が変化すると、GRIN−SCH−MQW活性層3などのレーザ光の発光領域の実効屈折率nが変化する。この実効屈折率nが変化すると、光学的な共振器長Lopも変化する。
すなわち、物理的な共振器長を「L」とすると、光学的な共振器長Lopは、
Lop=n・L
で表され、実効屈折率nの変化に追随して、光学的な共振器長Lopが変化する。
この光学的な共振器長Lopが変化すれば、ファブリペローモードでは、その共振器波長も変化する。すなわち、その共振器波長も正弦的に変化することになる。
【0068】
図8は、半導体レーザ装置での電流変化に対する波長変化を示す図である。図8に示すように、発振縦モードの波長は、上述したように電流変化に対応した実効屈折率nが変化し、この屈折率変化によって発振縦モードの波長が微少に変化する。なお、電流変化が大きい場合には、隣接する発振縦モードにホップすることになり、発振縦モードの波長は急激に変化する。したがって、微少な波長変化となる範囲において微少な電流変化を生じさせる変調周波数信号とする必要がある。この変調周波数信号は、ノイズ成分となる。図9は、周波数に対する相対強度雑音(RIN:Relative Intensity Noise)の関係を示す図であり、低い周波数の変調周波数信号成分は、大きなRINの値を呈するが、この周波数領域は、既知であり、信号増幅領域として使用しなければよい。
【0069】
このような電流変化に対応した波長変化は、結果的に発振縦モードのスペクトル幅を増大させることになる。図10は、変調周波数信号を重畳しないDFB型半導体レーザ装置の発振縦モードのスペクトル波形と、変調周波数信号が重畳されたこの実施の形態1である半導体レーザ装置の発振縦モードのスペクトル波形とを示す図である。図10(a)は、DFB型半導体レーザ装置に変調周波数信号を重畳しない場合における発振縦モードのスペクトル波形を示し、図10(b)は、変調周波数信号を重畳したこの実施の形態1である半導体レーザ装置の発振縦モードのスペクトル波形を示している。図10(b)に示した発振縦モードのスペクトル幅は、波長変化することによって広がり、しかも図4に示したように、複数の発振縦モードによってエネルギーが分散されるため、同じ光出力エネルギーを得る場合(図10(a)と図10(b))、ピーク値が減少することになる。この結果、複数の発振縦モードの形成と変調周波数信号の重畳とによって、誘導ブリルアン散乱の閾値Pthを相対的に高くすることができる。
【0070】
一般に、図11に示すように、変調周波数信号の振幅値を増大すると、各発振縦モードのスペクトル幅は増大し、図12に示すように、スペクトル幅が増大すると、誘導ブリルアン散乱の閾値Pthは、光出力に対して増大する。したがって、誘導ブリルアン散乱を低減することができる安定した高い光出力の半導体レーザ装置を実現することができる。
【0071】
なお、発振縦モード31〜33の波長間隔(モード間隔)Δλは、0.1nm以上としている。これは、半導体レーザ装置20をラマン増幅器の励起用光源として用いる場合、モード間隔Δλが0.1nm以下であると、誘導ブリルアン散乱が発生する可能性が高くなるからである。この結果、上述したモード間隔Δλの式によって、上述した共振器長Lが3200μm以下であることが好ましいことになる。
【0072】
上述した観点から、発振波長スペクトル30の半値幅Δλh内に含まれる発振縦モードの本数は、複数であることが望ましく、各発振縦モードのスペクトル幅も広いことが望ましい。ところで、ラマン増幅では、増幅利得に偏波依存性があるため、信号光の偏波方向と励起光の偏波方向とのずれによる影響を小さくする必要がある。このための方法として、励起光を無偏光化(デポラライズ)する方法があり、具体的には、2台の半導体レーザ装置20からの出力光を偏波合成カプラを用いて偏波合成する方法のほか、デポラライザとして所定長の偏波面保持ファイバを用いて、1台の半導体レーザ装置20から出射されたレーザ光を、この偏波面保持ファイバに伝搬させる方法がある。無偏光化の方法として、後者の方法を使用する場合には、発振縦モードの本数の増大および発振縦モードのスペクトル幅の拡大に従ってレーザ光のコヒーレンシーが低くなるので、無偏光化に必要な偏波面保持ファイバの長さを短くすることができる。特に、発振縦モードが4,5本となると、急激に、必要な偏波面保持ファイバの長さが短くなる。従って、ラマン増幅器に使用するために半導体レーザ装置20から出射されるレーザ光を無偏光化する場合に、2台の半導体レーザ装置の出射光を偏波合成して利用しなくても、1台の半導体レーザ装置20の出射レーザ光を無偏光化して利用することが容易となるので、ラマン増幅器に使用される部品数の削減、小型化を促進することができる。
【0073】
ここで、発振波長スペクトル幅が広すぎると、波長合成カプラによる合波ロスが大きくなるとともに、発振波長スペクトル幅内における波長の動きによって、雑音や利得変動を発生させることになる。このため、発振波長スペクトル30の半値幅Δλhは、3nm以下、好ましくは2nm以下とする必要がある。
【0074】
さらに、従来の半導体レーザ装置では、図38または図39に示したように、ファイバグレーティングを用いた半導体レーザモジュールとしていたため、ファイバグレーティング233と光反射面222との間の共振によって相対強度雑音(RIN)が大きくなり、安定したラマン増幅を行うことができないが、この実施の形態1に示した半導体レーザ装置20では、ファイバグレーティング233を用いず、出射側反射膜15から出射したレーザ光をそのまま、ラマン増幅器の励起用光源として用いているため、相対強度雑音が小さくなり、その結果、ラマン利得の揺らぎが小さくなり、安定したラマン増幅を行わせることができる。
【0075】
また、図38または図39に示した半導体レーザモジュールでは、共振器内に機械的な結合を必要とするため、振動などによってレーザの発振特性が変化する場合が発生するが、この実施の形態1の半導体レーザ装置では、機械的な振動などによるレーザの発振特性の変化がなく、安定した光出力を得ることができる。
【0076】
なお、上述した実施の形態1では、回折格子13が中心波長に対して揺らぎを持つ波長選択性によって、複数本の発振縦モードを出力するようにしていたが、回折格子13に対して積極的に揺らぎをもたせ、発振縦モードの数を増やすことができる半導体レーザ装置を得るようにしてもよい。
【0077】
図13は、回折格子13のグレーティング周期の周期的変化を示す図である。この回折格子13は、グレーティング周期を周期的に変化させたチャープドグレーティングとしている。図14では、この回折格子13の波長選択性に揺らぎを発生させ、発振波長スペクトルの半値幅Δλhを広げ、半値幅Δλh内の発振縦モードの本数を増大するようにしている。
【0078】
図13に示すように、回折格子13は、平均周期が220nmであり、±0.02nmの周期揺らぎ(偏差)を周期Cで繰り返す構造を有している。この±0.02nmの周期揺らぎによって、発振波長スペクトルの半値幅Δλh内に3〜6本程度の発振縦モードをもたせることができる。
【0079】
たとえば、図14は、異なる周期Λ1,Λ2の回折格子を有する半導体レーザ装置の発振波長スペクトルを示す図である。図14において、周期Λ1の回折格子は、波長λ1の発振波長スペクトルを形成し、この発振波長スペクトル内に3本の発振縦モードを選択する。一方、周期Λ2の回折格子は、波長λ2の発振波長スペクトルを形成し、この発振波長スペクトル内に3本の発振縦モードを選択する。したがって、周期Λ1,Λ2の回折格子による複合発振波長スペクトル45は、この複合発振波長スペクトル45内に4〜5本の発振縦モードが含まれることになる。この結果、単一の発振波長スペクトルを形成するときに比べ、一層多くの発振縦モードを容易に選択出力することができ、光出力の増大をもたらすことができる。
【0080】
なお、回折格子13の構成としては、一定の周期Cでグレーティング周期を変化させるチャープドグレーティングに限らず、グレーティング周期を、周期Λ1(220nm+0.02nm)と周期Λ2(220nm−0.02nm)との間でランダムに変化させるようにしてもよい。
【0081】
さらに、図15(a)に示すように、異なる周期Λ3と周期Λ4とを一回ずつ交互に繰り返す回折格子として、周期揺らぎを持たせるようにしてもよい。また、図15(b)に示すように、異なる周期Λ5と周期Λ6とをそれぞれ複数回、交互に繰り返す回折格子として、周期揺らぎを持たせるようにしてもよい。さらに、図15(c)に示すように、連続する複数回の周期Λ7と、周期Λ7と異なる周期で連続する複数回の周期Λ8とをもつ回折格子として、周期揺らぎを持たせるようにしてもよい。また、周期Λ3,Λ5,Λ7と周期Λ4,Λ6,Λ8との間に、それぞれ離散的な異なる値をもつ周期を補完して、周期を段階的に変化させる配置を行ってもよい。
【0082】
この実施の形態1では、共振器長Lに対して、出射側反射膜15側に部分的に設けられた回折格子13によって複数の発振縦モードを形成するとともに、変調周波数信号をバイアス電流に重畳することによって、レーザ光の光出力エネルギーを分散し、ラマン増幅器の励起用光源として用いた場合における誘導ブリルアン散乱の発生を抑制し、所望の発振波長のレーザ光を安定し、かつ高効率に出力することができる。
【0083】
なお、上述した実施の形態1では、出射側反射膜15側に回折格子13を設けるようにしていたが、これに限らず、反射膜14側あるいは反射膜14側および出射側反射膜15側の双方に回折格子を設けるようにしてもよい。この場合、反射膜14側の回折格子は、波長選択性を持たせるとともに反射特性とを持たせるため、結合係数κと回折格子長Lgとの積は、大きな値、たとえば「2」以上に設定するとよい。
【0084】
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。この実施の形態2では、図16に示すように、実施の形態1に示した半導体レーザ装置20において、回折格子13の上部に対応する部分であって、p−InGaAsPコンタクト層7の上面に、p側電極10を形成しない非電流注入領域E1を形成するようにしている。その他の構成は、実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0085】
これによって、p側電極10が形成されない非電流注入領域E1に対する電流注入が抑制され、回折格子13の屈折率が抑制され、光増幅制御が簡易かつ容易になる。また、GRIN−SCH−MQW活性層3の出射側反射膜15端面では、端面温度の上昇→バンドギャップの縮小→光吸収→再結合電流→端面温度の上昇という帰還サイクルが発生することによって、端面が溶融し、瞬時にして劣化してしまうCOD(Catastrophic Optical Damage)が発生しやすいが、注入電流の抑制による発熱抑制によってCODの発生確率を低減することが期待できる。
【0086】
この実施の形態2によっても、実施の形態1と同様に、回折格子13によって複数の発振縦モードを形成するとともに、変調周波数信号をバイアス電流に重畳することによって、レーザ光の光出力エネルギーを分散し、ラマン増幅器の励起用光源として用いた場合における誘導ブリルアン散乱の発生を抑制し、所望の発振波長のレーザ光を安定し、かつ高効率に出力することができる。
【0087】
なお、非電流注入領域E1は、空気層に代えて絶縁膜を形成するようにしてもよい。要は回折格子13の近傍に電流が注入されなければよい(特願2001−206995参照)。
【0088】
ここで、実施の形態1,2に示した半導体レーザ装置が誘導ブリルアン散乱を具体的に抑制できることについて説明する。図17〜図19は、変調度をパラメータとしたリターンロスの変調周波数依存性の実験結果を示す図である。ここで、リターンロスとは、入射した光に対する誘導ブリルアン散乱によって反射してきた光の比をいう。誘導ブリルアン散乱が生じない場合におけるリターンロスは、約−30dBである。したがって、約−30dB以下の場合に誘導ブリルアン散乱が抑制されることになる。なお、図20〜図22は、それぞれ図17〜図19に示した半導体レーザ装置の無変調時のスペクトル波形を示す図である。
【0089】
図17は、共振器長L=1000μm、回折格子長Lg=50μmであり、実施の形態2に示したように回折格子13の上部に非電流注入構造を有し、非電流注入領域の長さLi=60μmであり、駆動電流は900mAのときに、光出力に対する変調度を0%(無変調)〜10%に変化させた場合のリターンロスの変調周波数依存性を示している。なお、変調度が0%,0.1%,0.2%,0.5%の特性は、変調度1%,2%,5%,10%の特性から外挿法を用いて求めている。図17では、変調度を増大するとリターンロスが減少し、誘導ブリルアン散乱が抑制される。また、変調周波数が10kHz〜100kHz程度であって変調度1〜10%であれば、誘導ブリルアン散乱を確実に抑制することができることを示している。なお、この図17に示した半導体レーザ装置では、無変調(変調度0%)時におけるリターンロスの値は、−5.248dBであった。
【0090】
また、図18は、図17に示した半導体レーザ装置の共振器長Lを1500μmとした場合における実験結果であり、図17と同様に、変調度が0%,0.1%,0.2%,0.5%の特性は、変調度1%,2%,5%,10%の特性から外挿法を用いて求めている。ただし、非電流注入領域は形成されていない。図18に示すように、この半導体レーザ装置では、図17と同様に変調度を増大するとリターンロスが減少し、誘導ブリルアン散乱が抑制される傾向があり、変調周波数が5kHz〜1000kHz程度であって変調度1〜10%であれば、誘導ブリルアン散乱を確実に抑制することができる。図18の実験結果が、図17の実験結果に比して、誘導ブリルアン散乱が抑制されるのは、共振器長が長くなって、図21に示すように、図20に比して発振する縦モード本数が増大することによって各縦モードのピーク値が抑えられ、誘導ブリルアン散乱の閾値が相対的に高くなったためと推定される。なお、図18に示した半導体レーザ装置では、無変調時のリターンロスは、−14.82dBであった。
【0091】
図19は、図18に示した半導体レーザ装置の回折格子長Lgを100μmと長くした場合における実験結果である。図19においても、変調度を増大するとリターンロスが減少し、誘導ブリルアン散乱が抑制される傾向がある。しかし、誘導ブリルアン散乱が確実に抑制されるのは、変調度が10%であって変調周波数が5kHz〜50kHzのときである。これは、回折格子長Lgが長くなったため、図22に示すように、図21に比して発振する縦モード本数が減少し、この結果、この半導体レーザ装置における誘導ブリルアン散乱の閾値が、図18に示した半導体レーザ装置における誘導ブリルアン散乱の閾値よりも高くなったためと推定される。なお、図19に示した半導体レーザ装置では、無変調時のリターンロスは、−4.308dBであった。
【0092】
この図17〜図19の実験結果から言えることは、図11および図12で示したように、変調度が高い程、誘導ブリルアン散乱を抑制することができる。しかし、変調度を大きくするとRINが大きくなる。すなわち、その変調周波数分のノイズが増大することになる。したがって、変調度は誘導ブリルアン散乱とRINとを考えた適切な値にすることが好ましい。また、誘導ブリルアン散乱を確実に抑制できる変調周波数は、50kHzを中心とした範囲であり、縦モード本数の多少にも影響を受け、縦モード本数が多い方がその範囲が広がる。一方、光信号から周波数的に離隔した方がRINの影響を小さくすることができるので、変調周波数は小さいことが好ましい。図17〜図19では、各半導体レーザ装置に適切な変調周波数が存在する。たとえば、図17に示した半導体レーザ装置では、RINの影響を考えて、変調周波数を20kHz程度とすることが好ましい。
【0093】
ここで、上述したように、リターンロスは、縦モード本数によっても変化する。図23は、変調度をパラメータとした場合におけるリターンロスの縦モード本数依存性を示す図である。図23では、3本、5本、6本、8本、15本の縦モード本数を有する5つの半導体レーザ装置をサンプルとして用い、それぞれ変調度を0%、1%、2%、5%、10%に変化させた場合のリターンロスを示している。なお、このサンプルに加えられる変調周波数は10kHzであり、駆動電流は900mAである。図23に示すように、各サンプルとも、上述したように、変調度の増大によってリターンロスは減少するが、それとともに、縦モード本数が増大するに従って、リターンロスが減少する傾向を示している。したがって、縦モード本数に対応させて、比較的小さな変調度で十分なリターンロスを得ることができ、この比較的小さな変調度で誘導ブリルアン散乱を抑制することができる。すなわち、縦モード本数に対応した最適な変調度が存在する。たとえば、図23において、縦モード本数が5本以下の半導体レーザ装置では、10%またはこれ以上の変調度とすることによって誘導ブリルアン散乱を抑制することができ、縦モード本数が6本以上の半導体レーザ装置では、5%またはこれ以下の変調度とすることによって誘導ブリルアン散乱を抑制することができる。
【0094】
ところで、上述したリターンロスの変調周波数依存性は、すべて同じ光出力であったが、リターンロスは、光出力依存性も有する。図24は、縦モード本数をパラメータとした場合におけるリターンロスの減衰量依存性を示す図である。図24では、1本、3本、7本、9本、16本、7本の縦モード本数を有する6つのサンプルに対するリターンロスの減衰量依存性を示している。図24に示すように、各サンプルのリターンロスは、各サンプルによって異なるが、全て減衰量の増大に伴ってリターンロスが減少する傾向を示している。これは光出力の減衰によって光ピーク値が減衰し、これによって誘導ブリルアン散乱の閾値以下となって誘導ブリルアン散乱が抑制されるからである。
【0095】
ここで、上述したリターンロスの減衰量依存性を利用した誘導ブリルアン散乱の具体的抑制について説明する。図25は、リターンロスの入射出力依存性を示す図である。図25では、80mWあたりから、急激にリターンロスが小さくなり、誘導ブリルアン散乱が減少し、約40mWで誘導ブリルアン散乱が確実に抑制されている。なお、この実験は、図26に示すように、半導体レーザ装置を有する半導体レーザモジュールLDの出力を一定とし、この半導体レーザモジュールLDから出力された一定の光出力を可変減衰器46で減衰させ、光ファイバFIからのリターンロスを点PAにおいて計測した結果である。なお、この減衰方法では、縦モード本数などのスペクトル形状を変形することなく、光出力を低下させることができる。
【0096】
一方、図27に示すように、一般に半導体レーザ装置から出力されるレーザ光は、最終的に減衰されて出力される。図27では、半導体レーザ装置が搭載された2つの半導体レーザモジュールLD1,LD2からレーザ光が出力され、カプラ47によって偏波合成され、さらにアイソレータ48を介して半導体レーザモジュールLD1,LD2への戻り光をなくして、最終的にレーザ光が光ファイバFI側に出力される。この場合、各半導体レーザモジュールLD1,LD2内で小さなロスが生じ、さらにカプラ47やアイソレータ48などで大きな減衰を受け、最終的な光出力はアイソレータ48からの光出力となる。たとえば、アイソレータ48からの光出力は、半導体レーザ装置からの光出力に比べ3dB低下、すなわち半分の光出力になる。
【0097】
この場合、半導体レーザ装置からの光出力が80mWでアイソレータ48からの光出力が40mWである場合、図25から、リターンロスは−15dBから−30dBとなり、アイソレータ48から出力されるレーザ光の誘導ブリルアン散乱は確実に抑えられることになる。このことは、図17〜図19において、−15dB程度以下のリターンロスを有する範囲は、完全に誘導ブリルアン散乱を抑制できることなる。すなわち、誘導ブリルアン散乱を確実に抑制できる範囲が広がることになる。具体的に、図17において変調周波数が0.5kHzであっても、アイソレータ48から出力されるレーザ光は確実に誘導ブリルアン散乱を抑制できることになる。したがって、適用できる変調周波数および変調度の範囲も広がることになる。このため、実際に誘導ブリルアン散乱を確実に抑制したシステムを構築する場合、レーザ光が最終出力されるまでの減衰量を加味し、図17〜図19に示した各半導体レーザ装置の変調周波数依存性をもとに、適切な変調周波数および変調度を決定するとよい。なお、変調周波数および変調度は上述したように、RINへの影響を考えると、ともに小さい方がよい。
【0098】
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1,2では、いずれもGRIN−SCH−MQW活性層3に沿って部分的に回折格子13が設けられる半導体レーザ装置について説明したが、この実施の形態3では、たとえば、図28に示すように、GRIN−SCH−MQW活性層3に隣接する光導波路層16,17を有し、この光導波路層17に沿って回折格子13が形成される半導体レーザ装置にも適用することができる。図28に示した半導体レーザ装置は、GRIN−SCH−MQW活性層3から長手方向(レーザ光出射方向)に光導波路層16、回折格子13を含む光導波路層17が順次配置される。なお、図28に示した光導波路層16,17の上部に対応する部分には、それぞれ分離されたp側電極10c,10bおよびp−InGaAsPコンタクト層7c,7bなどが形成される。また、電流駆動部21から出力されるバイアス電流に、変調信号印加部22から出力された変調周波数信号が重畳された重畳信号は、GRIN−SCH−MQW活性層3の上部に対応したp側電極10aに印加される。
【0099】
この実施の形態3によっても、実施の形態1と同様に、回折格子13によって複数の発振縦モードを形成するとともに、変調周波数信号をバイアス電流に重畳することによって、レーザ光の光出力エネルギーを分散し、ラマン増幅器の励起用光源として用いた場合における誘導ブリルアン散乱の発生を抑制し、所望の発振波長のレーザ光を安定し、かつ高効率に出力することができる。
【0100】
図29は、図28に示した半導体レーザ装置の変形例を示す図である。図29において、この半導体レーザ装置は、図28に示す構成において、回折格子13の上部に対応する部分に、p側電極10bおよびp−InGaAsPコンタクト層7bが形成されている。この場合、光導波路層16の上部に対応する部分の一部領域にp側電極10cおよびp−InGaAsPコンタクト層7cが形成されるようにしてもよい。ただし、GRIN−SCH−MQW活性層3の上部に形成されたp側電極10aとp側電極10bとは絶縁されるように形成する。
【0101】
図29において、電流駆動部21から供給されるバイアス電流はp側電極10aに印加され、変調信号印加部22から供給される変調周波数信号はp側電極10bに印加される。この結果、光導波路層17の屈折率変化が生じ、光学的な共振器長が変化することによって、発振縦モードのスペクトル幅が広くなる。
【0102】
この実施の形態3の変形例によっても、実施の形態1と同様に、回折格子13によって複数の発振縦モードを形成するとともに、変調周波数信号をバイアス電流に重畳することによって、レーザ光の光出力エネルギーを分散し、ラマン増幅器の励起用光源として用いた場合における誘導ブリルアン散乱の発生を抑制し、所望の発振波長のレーザ光を安定し、かつ高効率に出力することができる。
【0103】
また、上述した実施の形態1〜3では、いずれも回折格子13が出射側反射膜15側の近傍に設けられた半導体レーザ装置であったが、これに限らず、反射膜14側の近傍のみに回折格子を設けた半導体レーザ装置であっても、また出射側反射膜15および反射膜14側の近傍のそれぞれに回折格子を設けた構成であってもよい。
【0104】
反射膜14側の近傍に回折格子を設けた半導体レーザ装置の場合、反射膜14側に、結合係数κと回折格子長Lg2との積が「2」以上の値をもつ回折格子13bを設けるようにする。
【0105】
(実施の形態4)
つぎに、この発明の実施の形態4について説明する。この実施の形態4では、上述した実施の形態1〜3に示した半導体レーザ装置をモジュール化したものである。
【0106】
図30は、この発明の実施の形態4である半導体レーザモジュールの構成を示す縦断面図である。図30において、この半導体レーザモジュール50は、上述した実施の形態1〜3で示した半導体レーザ装置に対応する半導体レーザ装置51を有する。なお、この半導体レーザ装置51は、p側電極がヒートシンク57aに接合されるジャンクションダウン構成としている。半導体レーザモジュール50の筐体として、セラミックなどによって形成されたパッケージ59の内部底面上に、温度制御装置としてのペルチェ素子58が配置される。ペルチェ素子58上にはベース57が配置され、このベース57上にはヒートシンク57aが配置される。ペルチェ素子58には、図示しない電流が与えられ、その極性によって冷却および加熱を行うが、半導体レーザ装置51の温度上昇による発振波長ずれを防止するため、主として冷却器として機能する。すなわち、ペルチェ素子58は、レーザ光が所望の波長に比して長い波長である場合には、冷却して低い温度に制御し、レーザ光が所望の波長に比して短い波長である場合には、加熱して高い温度に制御する。この温度制御は、具体的に、ヒートシンク57a上であって、半導体レーザ装置51の近傍に配置されたサーミスタ58aの検出値をもとに制御され、図示しない制御装置は、通常、ヒートシンク57aの温度が一定に保たれるようにペルチェ素子58を制御する。また、図示しない制御装置は、半導体レーザ装置51の駆動電流を上昇させるに従って、ヒートシンク57aの温度が下がるようにペルチェ素子58を制御する。このような温度制御を行うことによって、半導体レーザ装置51の波長安定性を向上させることができ、歩留まりの向上にも有効となる。なお、ヒートシンク57aは、たとえばダイヤモンドなどの高熱伝導率をもつ材質によって形成することが望ましい。これは、ヒートシンク57aがダイヤモンドで形成されると、高電流印加時の発熱が抑制されるからである。
【0107】
ベース57上には、半導体レーザ装置51およびサーミスタ58aを配置したヒートシンク57a、第1レンズ52、および電流モニタ56が配置される。半導体レーザ装置51から出射されたレーザ光は、第1レンズ52、アイソレータ53、および第2レンズ54を介し、光ファイバ55上に導波される。第2レンズ54は、レーザ光の光軸上であって、パッケージ59上に設けられ、外部接続される光ファイバ55に光結合される。なお、電流モニタ56は、半導体レーザ装置51の反射膜側から漏れた光をモニタ検出する。
【0108】
ここで、この半導体レーザモジュール50では、他の光学部品などによる反射戻り光が共振器内に戻らないように、半導体レーザ装置51と光ファイバ55との間にアイソレータ53を介在させている。このアイソレータ53には、ファイバグレーティングを用いた従来の半導体レーザモジュールと異なり、インライン式のファイバ型でなく、半導体レーザモジュール50内に内蔵できる偏波無依存型のアイソレータを用いることができるため、アイソレータによる挿入損失を小さく、さらに低い相対強度雑音(RIN)を達成することができ、部品点数も減らすことができる。
【0109】
この実施の形態4では、実施の形態1〜3で示した半導体レーザ装置をモジュール化しているため、偏波無依存型のアイソレータを用いることができ、挿入損失を小さくすることができ、低雑音化および部品点数の減少を促進することができる。
【0110】
(実施の形態5)
つぎに、この発明の実施の形態5について説明する。この実施の形態5では、上述した実施の形態4に示した半導体レーザモジュールをラマン増幅器に適用したものである。
【0111】
図31は、この発明の実施の形態5であるラマン増幅器の構成を示すブロック図である。このラマン増幅器は、WDM通信システムに用いられる。図31において、このラマン増幅器は、上述した実施の形態4に示した半導体レーザモジュールと同一構成の半導体レーザモジュール60a〜60dを用い、図38に示した半導体レーザモジュール182a〜182dを、上述した半導体レーザモジュール60a〜60dに置き換えた構成となっている。
【0112】
各半導体レーザモジュール60a,60bは、偏波面保持ファイバ71を介して、複数の発振縦モードを有するレーザ光を偏波合成カプラ61aに出力し、各半導体レーザモジュール60c,60dは、偏波面保持ファイバ71を介して、複数の発振縦モードを有するレーザ光を偏波合成カプラ61bに出力する。ここで、半導体レーザモジュール60a,60bが発振するレーザ光は、同一波長である、また、半導体レーザモジュール60c,60dが発振するレーザ光は、同一波長であるが半導体レーザモジュール60a,60bが発振するレーザ光の波長とは異なる。これは、ラマン増幅が偏波依存性を有するためであり、偏波合成カプラ61a,61bによって偏波依存性が解消されたレーザ光として出力するようにしている。
【0113】
各偏波合成カプラ61a,61bから出力された異なる波長をもったレーザ光は、WDMカプラ62によって合成され、合成されたレーザ光は、WDMカプラ65を介してラマン増幅用の励起光として増幅用ファイバ64に出力される。この励起光が入力された増幅用ファイバ64には、増幅対象の信号光が入力され、ラマン増幅される。
【0114】
増幅用ファイバ64内においてラマン増幅された信号光(増幅信号光)は、WDMカプラ65およびアイソレータ66を介してモニタ光分配用カプラ67に入力される。モニタ光分配用カプラ67は、増幅信号光の一部を制御回路68に出力し、残りの増幅信号光を出力レーザ光として信号光出力ファイバ70に出力する。
【0115】
制御回路68は、入力された一部の増幅信号光をもとに各半導体レーザモジュール60a〜60dのレーザ出力状態、たとえば光強度を制御し、ラマン増幅の利得帯域が平坦な特性となるようにフィードバック制御する。
【0116】
この実施の形態5に示したラマン増幅器では、たとえば図38に示した半導体発光素子180aとファイバグレーティング181aとが偏波面保持ファイバ71aで結合された半導体レーザモジュール182aを用いず、実施の形態1〜3で示した半導体レーザ装置が内蔵された半導体レーザモジュール60aを用いるようにしているので、偏波面保持ファイバ71の使用を削減することができるとともに、ラマン増幅器の小型軽量化とコスト低減を実現することができる。
【0117】
なお、図31に示したラマン増幅器では、偏波合成カプラ61a,61bを用いているが、図32に示すように半導体レーザモジュール60a,60cから、それぞれ偏波面保持ファイバ71を介して直接WDMカプラ62に光出力するようにしてもよい。この場合、半導体レーザモジュール60a,60cの偏波面は、偏波面保持ファイバ71に対して45度となるように入射する。ここで、上述したように、各半導体レーザモジュール60a,60cは、複数の発振縦モードを有しているため、偏波面保持ファイバ長71を短くすることができる。これによって、偏波面保持ファイバ71から出力される光出力の偏波依存性をなくすことができ、一層、小型かつ部品点数の少ないラマン増幅器を実現することができる。
【0118】
また、半導体レーザモジュール60a〜60d内に内蔵される半導体レーザ装置として発振縦モード数が多い半導体レーザ装置を用いると、必要な偏波面保持ファイバ71の長さを短くすることができる。特に、発振縦モードが4,5本になると、急激に、必要な偏波面保持ファイバ71の長さが短くなるため、ラマン増幅器の簡素化と小型化を促進することができる。さらに、発振縦モードの本数が増大すると、コヒーレント長が短くなり、デポラライズによって偏光度(DOP:Degree Of Polarization)が小さくなり、偏波依存性をなくすことが可能となり、これによっても、ラマン増幅器の簡素化と小型化とを一層促進することができる。
【0119】
また、このラマン増幅器では、ファイバグレーティングを用いた半導体レーザモジュールに比して光軸合わせが容易であり、共振器内に機械的な光結合がないため、この点からも、ラマン増幅の安定性、信頼性を高めることができる。
【0120】
さらに、上述した実施の形態1〜3の半導体レーザ装置では、複数の発振モードを有し、かつ変調周波数信号の印加によって発振縦モードのスペクトル幅が広くなっているため、誘導ブリルアン散乱を発生させずに、高出力の励起光を発生することができるので、安定し、かつ高いラマン利得を得ることができる。
【0121】
また、図31および図32に示したラマン増幅器は、後方励起方式であるが、上述したように、半導体レーザモジュール60a〜60dが安定した励起光を出力するため、前方励起方式であっても、双方向励起方式であっても、安定したラマン増幅を行うことができる。
【0122】
たとえば、図33は、前方励起方式を採用したラマン増幅器の構成を示すブロック図である。図33に示したラマン増幅器は、図31に示したラマン増幅器にWDMカプラ65´をアイソレータ63の近傍に設けている。このWDMカプラ65´には、半導体レーザモジュール60a〜60d、偏波合成カプラ61a,61bおよびWDMカプラ62にそれぞれ対応した半導体レーザモジュール60a´〜60d´、偏波合成カプラ61a´,61b´およびWDMカプラ62´を有した回路が接続され、WDMカプラ62´から出力される励起光を信号光と同じ方向に出力する前方励起を行う。この場合、半導体レーザモジュール60a´〜60d´は、上述した実施の形態1〜4で用いられる半導体レーザ装置を用いているため、RINが小さく、前方励起を効果的に行うことができる。
【0123】
同様に、図34は、前方励起方式を採用したラマン増幅器の構成を示すブロック図である。図34に示したラマン増幅器は、図32に示したラマン増幅器にWDMカプラ65´をアイソレータ63の近傍に設けている。このWDMカプラ65´には、半導体レーザモジュール60a,60cおよびWDMカプラ62にそれぞれ対応した半導体レーザモジュール60a´,60c´およびWDMカプラ62´を有した回路が接続され、WDMカプラ62´から出力される励起光を信号光と同じ方向に出力する前方励起を行う。この場合、半導体レーザモジュール60a´,60c´は、上述した実施の形態1〜4で用いられる半導体レーザ装置を用いているため、RINが小さく、前方励起を効果的に行うことができる。
【0124】
また、図35は、双方向励起方式を採用したラマン増幅器の構成を示すブロック図である。図35に示したラマン増幅器は、図31に示したラマン増幅器の構成に、図33に示したWDMカプラ65´、半導体レーザモジュール60a´〜60d´、偏波合成カプラ61a´,61b´およびWDMカプラ62´をさらに設け、後方励起と前方励起とを行う。この場合、半導体レーザモジュール60a´〜60d´は、上述した実施の形態1〜4で用いられる半導体レーザ装置を用いているため、RINが小さく、前方励起を効果的に行うことができる。
【0125】
同様に、図36は、双方向励起方式を採用したラマン増幅器の構成を示すブロック図である。図35に示したラマン増幅器は、図32に示したラマン増幅器の構成に、図34に示したWDMカプラ65´、半導体レーザモジュール60a´,60c´およびWDMカプラ62´をさらに設け、後方励起と前方励起とを行う。この場合、半導体レーザモジュール60a´,60c´は、上述した実施の形態1〜4で用いられる半導体レーザ装置を用いているため、RINが小さく、前方励起を効果的に行うことができる。
【0126】
上述した図33〜図36に示したラマン増幅器は、上述したようにWDM通信システムに適用することができる。図37は、図31〜図36に示したラマン増幅器を適用したWDM通信システムの概要構成を示すブロック図である。
【0127】
図37において、複数の送信機Tx1〜Txnから送出された波長λ1〜λnの光信号は、光合波器80によって合波され、1つの光ファイバ85に集約される。この光ファイバ85の伝送路上には、図33〜図36に示したラマン増幅器に対応した複数のラマン増幅器81,83が距離に応じて配置され、減衰した光信号を増幅する。この光ファイバ85上を伝送した信号は、光分波器84によって、複数の波長λ1〜λnの光信号に分波され、複数の受信機Rx1〜Rxnに受信される。なお、光ファイバ85上には、任意の波長の光信号を付加し、取り出したりするADM(Add/Drop Multiplexer)が挿入される場合もある。
【0128】
なお、上述した実施の形態5では、実施の形態1〜3に示した半導体レーザ装置あるいは実施の形態4に示した半導体レーザモジュールを、ラマン増幅用の励起光源に用いる場合を示したが、これに限らず、たとえば、980nm,1480nmなどのEDFA励起用光源として用いることができるのは明らかである。
【0129】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、回折格子による波長選択特性によって複数の発振縦モードをもたせ、かつ、変調手段が、前記活性層に注入されるバイアス電流を変調する変調信号を生成し、該変調信号を前記バイアス電流に重畳し、各発振縦モードのスペクトル幅を広げるようにしているので、誘導ブリルアン散乱の閾値を相対的に高め、安定かつ高効率の半導体レーザ装置を実現することができるという効果を奏する。
【0130】
また、この発明によれば、前記変調手段が、前記変調信号が重畳された電流を前記非電流注入領域外の領域から注入するようにしているので、たとえば、回折格子近傍の屈折率が変化しないようにしているので、光増幅制御を簡易かつ容易に行うことができるかつ精度高く行うことができるともに、CODの発生確率を低くすることが期待できるという効果を奏する。
【0131】
また、この発明によれば、回折格子による波長選択特性によって複数の発振縦モードをもたせ、かつ、変調手段が、前記活性層に注入されるバイアス電流を変調する変調信号を生成し、該変調信号を前記バイアス電流に重畳し、各発振縦モードのスペクトル幅を広げるようにしているので、誘導ブリルアン散乱の閾値を相対的に高め、安定かつ高効率の半導体レーザ装置を実現することができるという効果を奏する。
【0132】
また、この発明によれば、回折格子による波長選択特性によって複数の発振縦モードをもたせ、かつ、変調手段が、前記光導波路層に変調信号を印加し、各発振縦モードのスペクトル幅を広げるようにしているので、誘導ブリルアン散乱の閾値を相対的に高め、安定かつ高効率の半導体レーザ装置を実現することができるという効果を奏する。
【0133】
また、この発明によれば、前記変調信号を正弦波信号としているので、ノイズ成分の広がりを抑えることができるという効果を奏する。
【0134】
また、この発明によれば、前記変調信号の電流振幅を、前記バイアス電流の電流値の0.1〜10%とすることによって、レーザ光のスペクトル幅を所望の値に設定でき、かつ誘導ブリルアン散乱を抑制することができるという効果を奏する。
【0135】
また、この発明によれば、前記変調信号の光振幅を、前記レーザ光の光出力の0.1〜10%とすることによって、レーザ光のスペクトル幅を所望の値に設定でき、かつ誘導ブリルアン散乱を抑制することができるという効果を奏する。
【0136】
また、この発明によれば、前記変調信号の周波数は、5〜1000kHzの範囲とすることによって、レーザ光のスペクトル幅を所望の値に設定でき、かつ誘導ブリルアン散乱を抑制することができるという効果を奏する。
【0137】
また、この発明によれば、前記変調信号の周波数および変調度を、当該半導体レーザ装置のレーザ光を用いる装置に最終的に外部出力されるまでの減衰量を加味して決定し、可能な限り小さな値することによってRINの抑制とともに誘導ブリルアン散乱を抑制することができるという効果を奏する。
【0138】
また、この発明によれば、第1反射膜側に設けられる前記回折格子の回折格子長を、300μm以下としているので、2本以上の発振縦モードを容易に生成でき、かつ光出力の効率を向上させることができるという効果を奏する。
【0139】
また、この発明によれば、第1反射膜側に設けられる前記回折格子の回折格子長を、前記共振器長の(300/1300)倍の値以下としているので、任意の共振器長に対しても、2本以上の発振縦モードを容易に生成でき、かつ高出力の光出力効率を向上させることができるという効果を奏する。
【0140】
また、この発明によれば、前記回折格子は、該回折格子の結合係数と回折格子長との乗算値が0.3以下とし、駆動電流−光出力特性の線形性を良好にし、光出力の安定性を高めるようにしているので、発振波長の駆動電流依存性を小さくすることができ、出力安定性の高い半導体レーザ装置を実現することができるという効果を奏する。
【0141】
また、この発明によれば、前記回折格子のグレーティング周期をランダムあるいは所定周期で変化させ、回折格子の波長選択に揺らぎを発生させ、発振波長スペクトルの半値幅を広げるようにしているので、発振波長スペクトルの半値幅内に含まれる発振縦モード数の増大を容易に行うことができ、安定かつ高効率の半導体レーザ装置を実現することができるという効果を奏する。
【0142】
また、この発明によれば、前記第1反射膜と前記第2反射膜との間に形成された活性層によって形成された共振器の長さを、800μm以上とし、高出力動作を可能としているので、高出力動作を可能にし、回折格子によって選択される発振波長を安定かつ高効率に出力することができるという効果を奏する。
【0143】
また、この発明によれば、RINを小さく、誘導ブリルアン散乱の閾値を大きくすることができることに加え、ファイバグレーティングを用いない半導体レーザ装置を用いて該半導体レーザ装置の共振器が物理的に分離されていないため、光軸合わせなどを行う必要がなく、半導体レーザモジュールの組立が容易になるとともに、機械的振動などによってレーザの発振特性が変化しにくくなり、安定したレーザ光を信頼性高く、かつ安定して出力し、さらに低コスト化を実現することができる半導体レーザモジュールを実現することができるという効果を奏する。
【0144】
また、この発明によれば、ファイバグレーティングを用いない半導体レーザ装置を用いているため、インライン式のファイバ型と異なり、偏波無依存アイソレータを使用することができ、挿入損失が小さく、さらにRINが小さい半導体レーザモジュールを実現することができるという効果を奏する。
【0145】
また、この発明によれば、上記の発明に記載の半導体レーザ装置、あるいは半導体レーザモジュールを広帯域ラマン増幅用の励起光源として用い、上述した各半導体レーザ装置あるいは各半導体レーザモジュールの作用効果を奏するようにし、回折格子によって選択される発振波長を安定かつ高効率に出力することができるという効果を奏する。
【0146】
また、この発明によれば、上記の発明に記載の半導体レーザ装置、あるいは半導体レーザモジュールを、広帯域ラマン増幅用の励起光源であって、前方励起用光源あるいは双方向励起方式における前方励起用光源として用い、上述した各半導体レーザ装置あるいは各半導体レーザモジュールの作用効果を奏するようにし、回折格子によって選択される発振波長を安定かつ高効率に出力することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1である半導体レーザ装置を斜めからみた破断図である。
【図2】この発明の実施の形態1である半導体レーザ装置の構成を示す長手方向の縦断面図である。
【図3】図2に示した半導体レーザ装置のA−A線断面図である。
【図4】図1に示した半導体レーザ装置の発振波長スペクトルと発振縦モードとの関係を示す図である。
【図5】バイアス電流に変調周波数信号を重畳した場合における光出力の時間変化を示す図である。
【図6】電流−光出力特性を用いて重畳信号が印加された場合における光出力変化を示す図である。
【図7】バイアス電流に変調周波数信号を重畳した場合における駆動電流の時間変化を示す図である。
【図8】重畳信号が印加された場合における波長変化を示す図である。
【図9】重畳信号が印加された場合におけるRINの周波数特性を示す図である。
【図10】重畳信号が印加され、かつ共振器長に対して部分的に回折格子が設けられた場合に誘導ブリルアン散乱の閾値が相対的に上昇することを示す図である。
【図11】重畳信号を印加した場合における変調周波数信号振幅に対する発振縦モードのスペクトル幅の変化を示す図である。
【図12】発振縦モードのスペクトル幅に対する誘導ブリルアン散乱の閾値の変化を示す図である。
【図13】回折格子に適用されるチャープドグレーティングの構成を示す図である。
【図14】回折格子にチャープドグレーティングを適用した場合における発振波長スペクトルを示す図である。
【図15】周期揺らぎのあるグレーティングの変形例を示す図である。
【図16】この発明の実施の形態2である半導体レーザ装置の長手方向の構成を示す縦断面図である。
【図17】変調度をパラメータとした場合におけるリターンロスの変調周波数依存性の一例を示す図である。
【図18】変調度をパラメータとした場合におけるリターンロスの変調周波数依存性の一例を示す図である。
【図19】変調度をパラメータとした場合におけるリターンロスの変調周波数依存性の一例を示す図である。
【図20】図17に示した半導体レーザ装置の無変調時のスペクトル波形を示す図である。
【図21】図18に示した半導体レーザ装置の無変調時のスペクトル波形を示す図である。
【図22】図19に示した半導体レーザ装置の無変調時のスペクトル波形を示す図である。
【図23】変調度をパラメータとしたリターンロスの縦モード本数依存性を示す図である。
【図24】縦モード本数をパラメータとしたリターンロスの減衰量依存性を示す図である。
【図25】リターンロスの入射出力依存性を示す図である。
【図26】図25の実験結果を求めるための実験装置の一例を示す図である。
【図27】半導体レーザ装置から最終的な外部出力までにレーザ光が減衰される場合の一例を示す図である。
【図28】この発明の実施の形態3である半導体レーザ装置の長手方向の構成を示す縦断面図である。
【図29】図28に示した半導体レーザ装置の変形例を示す縦断面図である。
【図30】この発明の実施の形態4である半導体レーザモジュールの構成を示す縦断面図である。
【図31】この発明の実施の形態4であるラマン増幅器の構成を示すブロック図である。
【図32】図31に示したラマン増幅器の応用例を示すブロック図である。
【図33】図31に示したラマン増幅器の変形例であって、前方励起方式を採用したラマン増幅器の構成を示すブロック図である。
【図34】図33に示したラマン増幅器の応用例を示すブロック図である。
【図35】図31に示したラマン増幅器の変形例であって、双方向励起方式を採用したラマン増幅器の構成を示すブロック図である。
【図36】図35に示したラマン増幅器の応用例を示すブロック図である。
【図37】図31〜図36に示したラマン増幅器を用いたWDM通信システムの概要構成を示すブロック図である。
【図38】従来のラマン増幅器の概要構成を示すブロック図である。
【図39】図38に示したラマン増幅器に用いた半導体レーザモジュールの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 n−InP基板
2 n−Inpバッファ層
3 GRIN−SCH−MQW活性層
4 p−InPスペーサ層
6 p−InPクラッド層
7 p−InGaAsPコンタクト層
8 p−InPブロッキング層
9 n−InPブロッキング層
10 p側電極
11 n側電極
13 回折格子
14 反射膜
15 出射側反射膜
16,17 光導波路層
20 半導体レーザ装置
21 電流駆動部
22 変調信号印加部
23 接続点
30 発振波長スペクトル
31〜33 発振縦モード
45 複合発振波長スペクトル
46 可変減衰器
47 カプラ
48,53,63,66 アイソレータ
50,60a〜60d,60a´〜60d´ 半導体レーザモジュール
52 第1レンズ
54 第2レンズ
55 光ファイバ
56 電流モニタ
57 ベース
57a ヒートシンク
58 ペルチェ素子
58a サーミスタ
59 パッケージ
61a,61b,61a´,61b´ 偏波合成カプラ
62,65,62´,65´ WDMカプラ
64 増幅用ファイバ
67 モニタ用光分配カプラ
68 制御回路
69 信号光入力ファイバ
70 信号光出力ファイバ
71 偏波面保存ファイバ
81,83 ラマン増幅器
Lg 回折格子長

Claims (18)

  1. レーザ光の出射端面に設けた第1反射膜と該レーザ光の反射端面に設けた第2反射膜との間に形成された活性層の近傍に沿って部分的に設けられた回折格子を有し、少なくとも該回折格子による波長選択特性によって発振縦モードのピークの包絡線として定義される発振波長スペクトルの半値幅内に前記活性層が形成する共振器の発振縦モード間隔だけ離れて隣接する複数の発振縦モードをもつレーザ光を出力するラマン増幅器励起光源用の半導体レーザ装置において、
    前記活性層に注入されるバイアス電流を変調する変調信号を生成し、該変調信号を前記バイアス電流に重畳する変調手段を備えたことを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 前記回折格子を含む周囲近傍への電流注入が抑制される非電流注入領域が形成され、
    前記変調手段によって前記変調信号が重畳された電流を前記非電流注入領域外の領域から注入することを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  3. レーザ光の出射端面に設けた第1反射膜と該レーザ光の反射端面に設けた第2反射膜との間に活性層と光導波路層とを設け、該光導波路層の近傍に沿って部分的に設けられた回折格子を有し、少なくとも該回折格子による波長選択特性によって発振縦モードのピークの包絡線として定義される発振波長スペクトルの半値幅内に前記活性層および前記光導波路層が形成する共振器の発振縦モード間隔だけ離れて隣接する複数の発振縦モードをもつレーザ光を出力するラマン増幅器励起光源用の半導体レーザ装置において、
    前記活性層に注入されるバイアス電流を変調する変調信号を生成し、該変調信号を前記バイアス電流に重畳する変調手段を備えたことを特徴とする半導体レーザ装置。
  4. レーザ光の出射端面に設けた第1反射膜と該レーザ光の反射端面に設けた第2反射膜との間に活性層と光導波路層とを設け、該光導波路層の近傍に沿って部分的に設けられた回折格子を有し、少なくとも該回折格子による波長選択特性によって発振縦モードのピークの包絡線として定義される発振波長スペクトルの半値幅内に前記活性層および前記光導波路層が形成する共振器の発振縦モード間隔だけ離れて隣接する複数の発振縦モードをもつレーザ光を出力するラマン増幅器励起光源用の半導体レーザ装置において、
    前記光導波路層に変調信号を印加する変調手段を備えたことを特徴とする半導体レーザ装置。
  5. 前記変調信号は、正弦波信号であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の半導体レーザ装置。
  6. 前記変調信号の電流振幅は、前記バイアス電流の電流値の0.1〜10%の電流振幅をもつことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の半導体レーザ装置。
  7. 前記変調信号の光振幅は、前記レーザ光の光出力の0.1〜10%の光振幅をもつことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の半導体レーザ装置。
  8. 前記変調信号の周波数は、5〜1000kHzの範囲であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の半導体レーザ装置。
  9. 前記変調信号の周波数および変調度は、当該半導体レーザ装置のレーザ光を用いる装置に最終的に外部出力されるまでの減衰量を加味して決定することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の半導体レーザ装置。
  10. 前記回折格子は、回折格子長が300μm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の半導体レーザ装置。
  11. 前記回折格子の回折格子長は、前記共振器長の(300/1300)倍の値以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の半導体レーザ装置。
  12. 前記回折格子は、該回折格子の結合係数と回折格子長との乗算値が0.3以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の半導体レーザ装置。
  13. 前記回折格子は、グレーティング周期をランダムあるいは所定周期で変化させたことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の半導体レーザ装置。
  14. 前記第1反射膜と前記第2反射膜との間に形成された活性層によって形成された共振器の長さは、800μm以上であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載の半導体レーザ装置。
  15. 請求項1〜14に記載の半導体レーザ装置と、
    前記半導体レーザ装置から出射されたレーザ光を外部に導波する光ファイバと、
    前記半導体レーザ装置と前記光ファイバとの光結合を行う光結合レンズ系と、
    を備えたことを特徴とする半導体レーザモジュール。
  16. 前記半導体レーザ装置の温度を制御する温度制御装置と、
    前記光結合レンズ系内に配置され、光ファイバ側からの反射戻り光の入射を抑制するアイソレータと、
    をさらに備えたことを特徴とする請求項15に記載の半導体レーザモジュール。
  17. 請求項1〜14に記載の半導体レーザ装置、あるいは請求項15または16に記載の半導体レーザモジュールを広帯域ラマン増幅用の励起光源として用いたことを特徴とするラマン増幅器。
  18. 請求項1〜14に記載の半導体レーザ装置、あるいは請求項15または16に記載の半導体レーザモジュールは、広帯域ラマン増幅用の励起光源であって、前方励起用光源あるいは双方向励起方式における前方励起用光源として用いられることを特徴とするラマン増幅器。
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