JP4043588B2 - 化粧板の製造方法、化粧板および絵柄転写シート - Google Patents

化粧板の製造方法、化粧板および絵柄転写シート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅の外装及び内装材等の各種用途に用いる化粧板として、特に耐候性、耐熱性、耐熱水性、耐温水性等に優れ、外装や水回りに適した無機系基材等からなる化粧板を製造する方法と、得られる化粧板、及びその製造に用いる絵柄転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、化粧板において、耐候性、耐熱性、耐熱水性、耐温水性等の耐久性に優れたものとするには、例えば次の様な方法があった。
▲1▼基材としては、石膏セメント板、石綿ケイ酸カルシウム板等の非セラミックス系窯業系無機質基材、陶磁器、硝子等のセラミックス系窯業系無機質基材、或いは木質系基材等のその他基材を用いて、先ず最初に必要に応じ適宜目止め処理を施した後、その基材面に、アクリルウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂塗料を塗装する事で装飾して、上記各種耐久性を出す方法である(特開昭55−51781号公報等に記載)。
▲2▼或いは、転写シートを用いて、印刷等で絵柄を設けた絵柄層を基材に転写した後、保護塗膜層として一般に使用されている熱硬化型樹脂塗料を塗装して、転写された絵柄層上に保護層を形成する方法(特開昭55−116470号公報等に記載)もある。
▲3▼或いは、上記▲2▼の保護層として、例えば、多官能(メタ)アクリレートモノマー等からなる紫外線硬化型樹脂塗料をスプレー塗装した後、紫外線照射で架橋硬化させて保護層とする方法(特開昭59−213682号公報等に記載)等もある。
▲4▼或いは、上記▲2▼の保護層を、紫外線硬化性樹脂による架橋硬化層を転写層として有する転写シートを用いて、転写形成する方法も試みられた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記▲1▼の塗装で装飾する方法では、前記列記した様な樹脂では、仕上げ面の表面硬度が十分で無く、堅い部分に接触すると傷付き易かった。しかも、塗装では、模様や絵柄による装飾は不可能で、意匠感に乏しい。
また、前記▲2▼の絵柄層転写後に、保護層を熱硬化型樹脂塗料で形成する方法では、保護層塗装後のその硬化反応に熱と時間を要し、生産効率に問題があった。しかも、この為の付随の装置(乾燥装置等)も必要である。
また、前記▲3▼の絵柄層転写後に、保護層を紫外線硬化型樹脂塗料で形成する方法では、塗料の硬化は短時間で済み、また、保護層の耐擦傷性等の表面物性には優れるが、基材が多孔質の場合は塗料が基材に部分的に吸収され、また、基材表面が凹凸の場合、塗料が凸部から凹部へ流れ込み、保護層にムラ、抜け等の塗装欠点が多く、歩留りも劣った。
また、前記▲4▼の絵柄層転写後に、保護層も(別の転写シートで)転写する方法では、絵柄層と保護層との密着性が劣る。特に、基材に石膏セメント板等のアルカリ性無機質基材を用いた場合は、耐水性や耐温水性等の水回りの試験に於いて、基材から出るアルカリ成分によって、絵柄層が溶解し、絵柄層と保護層との層間で剥離が観察された。
また、前記▲3▼及び▲4▼の保護層に紫外線硬化性樹脂を用いる場合でも、絵柄層にアクリル樹脂を用いると、140℃で3時間の耐熱性試験等とアクリル樹脂の融点以上の温度域では、絵柄層の流動の為に、絵柄層と保護層との間で剥離が観察された。
【0004】
そこで、本発明の課題は、絵柄層との密着が良く且つ塗装ムラ等の無い保護層を有し、しかも、耐候性、耐熱性、耐熱水性、耐温水性等の物性に優れた化粧板を製造する方法、またその化粧板、それに用いる絵柄転写シートを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明の化粧板の製造方法では、支持体上の転写層として、少なくとも、2液硬化型ウレタン樹脂からなる透明樹脂層と、ポリカーボネートジオールとイソホロンジイソシアネートとを用いた熱可塑性ポリウレタンエラストマーで、ウレア結合を導入したウレタン樹脂のバインダーからなる絵柄層とを有する絵柄転写シートを用いて、間に接着剤を介して、転写層を被転写基材に転写し、その後、さらにその上に、未硬化状態では常温固体で且つ熱可塑性である電離放射線硬化性樹脂の未硬化層からなる透明な保護層を支持体上に有する保護層転写シートを用いて、保護層を転写し、その後、電離放射線を照射して転写された保護層を架橋硬化させる様にした。この結果、耐擦傷性等の表面物性に優れた保護層を塗布ムラ等を生ずることも無く付与でき、また、塗装では不可能な絵柄も絵柄層で付与でき、しかも、保護層と絵柄層との密着も良く、耐候性、耐熱性、耐熱水性、耐温水性等の物性に優れた化粧板を製造できる。
【0006】
また、本発明の化粧板は、被転写基材上に、少なくとも、接着剤層、ポリカーボネートジオールとイソホロンジイソシアネートとを用いた熱可塑性ポリウレタンエラストマーで、ウレア結合を導入したウレタン樹脂のバインダーからなる絵柄層、2液硬化型ウレタン樹脂からなる透明樹脂層、電離放射線硬化性樹脂の架橋硬化物からなる保護層がこの順に積層された構成とする。この結果、塗装では不可能な絵柄を有し、しかも、耐擦傷性等の表面物性の他に、耐候性、耐熱性、耐熱水性、耐温水性等の物性に優れた化粧板となる。
【0007】
また、本発明の絵柄転写シートは、支持体上に、転写層として少なくとも、2液硬化型ウレタン樹脂からなる透明樹脂層と、ポリカーボネートジオールとイソホロンジイソシアネートとを用いた熱可塑性ポリウレタンエラストマーで、ウレア結合を導入したウレタン樹脂のバインダーからなる絵柄層とをこの順に有する構成とする。この絵柄転写シートは、上記本発明の化粧板の製造方法にて使用され、上記本発明の化粧板が得られる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の化粧板の製造方法、化粧板および絵柄転写シートについて、実施の形態を説明する。
【0009】
先ず、図1は本発明の化粧板の製造方法、化粧板、及び絵柄転写シートを説明する概念図である。先ず、図1(A)の如く、絵柄転写シートS1には、支持体1上の転写層2として、少なくとも、前記特定材料の透明樹脂層3と、前記特定材料の絵柄層4とがこの順に積層されたものを用いる。一方、図1(B)は、被転写基材Bであり、ここでは、被転写基材Bの被転写面上には予め接着剤層Aが施してある。もちろん、接着剤層は、転写シートS1側に設けても良く、被転写基材B及び転写シートS1の両方に設けても良い。そして、図1(C)の如く、絵柄転写シートS1で被転写基材Bに、間に接着剤(接着剤層A)を介して、絵柄層4を転写する。この更に、絵柄層4と共に透明樹脂層3も転写層2として転写する。なお、転写法は従来公知のローラ転写法等、任意である。
【0010】
そして次は、図1(E)の如く、絵柄転写シートS1の支持体1を剥離し、透明樹脂層3が露出した面に、保護層5を転写する。保護層5は、保護層転写シートS2(或いは保護層転写シートS2a)を用いて転写する。
用いる保護層転写シートS2又はS2aは、図1(D)に示す如く、支持体1上に前記特定材料の保護層5が積層された構成の保護層転写シートS2でも良いが、その保護層5の上に更にセパレータ6が積層された構成の保護層転写シートS2aでも良い。セパレータを有する形態は、保護層に粘着性があり、取扱いに支障を来す場合に良い。
【0011】
そして、図1(E)の如く、保護層転写シートS2又はS2aで、保護層5を透明樹脂層3上に転写したら、紫外線や電子線等の電離放射線を照射して、転写された保護層5の架橋硬化を完結させれば、目的とする化粧板Dが得られる。なお、本発明の化粧板の製造方法では、保護層転写シートの支持体1の剥離は、保護層の架橋硬化完結後でも良い。
【0012】
図2は、以上に様にして得られた、本発明の化粧板の一形態を示す断面図である。同図の化粧板Dは、下から順に被転写基材B、下塗り層7、接着剤層A、前記特定材料の絵柄層4、前記特定材料の透明樹脂層3、前記特定材料の保護層5からなる構成である。
【0013】
以下、さらに本発明の化粧板の製造方法について詳述する。
【0014】
〔被転写基材〕
用いる被転写基材は特に限定されない。例えばその材料は、石、石膏、石膏ケイ酸カルシウム、セメント(ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC(硝子繊維強化コンクリート)、石綿セメント、スラグセメント、パルプセメント等)、煉瓦、セラミックス(陶磁器、ガラス等)、金属(鉄、アルミニウム、銅等)等の無機質系材料、木材(単板、合板、集成材、MDF(木質中密度繊維板)等繊維板、パーチクルボード等)、樹脂(ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ABS樹脂等)等の有機質系材料と任意である。特に耐候性が要求される用途では、なかでも、上記各種セメント類、セラミックス、金属等の無機質系材料は好適である。
なお、被転写基材の形状は平板以外にも、曲面板、棒状体、立体物等でも良い。
また、被転写面は、平面以外にも、転写シート及び採用する転写法が、形状追従性の有るものであれば、凹凸表面でも良い。特に転写法に後述する固体粒子衝突圧を用いる場合にはなおさらである。表面凹凸形状は任意だが、例えば、複数のタイルや煉瓦を平面に配置した場合の目地、花崗岩の劈開面、砂目等の石材表面の凹凸、木材羽目板、浮造木目等の木材板表面凹凸、簓の無い下見張板の表面凹凸、リシン調、スタッコ調等の吹付塗装面の凹凸等である。
【0015】
(下塗り層)
なお、被転写基材には下地処理として、下塗り層(ベースコート層)を基材表面上に設けておいても良い。下塗り層は、基材内部からのアルカリ分、水分等の流出成分の滲み出しの遮断、基材表面の目止め、基材の伸縮又は外力による応力の吸収・緩和、或いは接着剤との接着補助、下地(基材)色の調整等が必要な場合に、これら1以上を目的とする為の下地処理層である。下塗り層は用途により1層又は多層で用いる。下塗り層に用いる樹脂塗料は、目的により従来公知のものの中から適宜選択すれば良い。例えば、上記各種セメント類からなる被転写基材の場合は、アルカリ分の滲み出し遮断及び目止めの為の下塗り層を設けることが好ましい。アルカリ対策の下塗り層の場合は、耐アルカリ性に優れた樹脂を用いる事が好ましい。例えば、アクリルウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等からなる樹脂塗料から適宜選択する。なかでも、アクリルウレタン樹脂は好ましい。なお、アクリルウレタン樹脂としては、主剤にアクリルポリオールを使用し、これをヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネートを硬化剤として架橋硬化させる2液硬化型樹脂が使用できる。また、下地色調整の場合は、下塗り層中にチタン白等の隠蔽性の高い顔料を添加する。
なお、下塗り層の形成方法としては、カーテンフローコート、スプレーコート、軟質ゴムロールやスポンジロール等のロールを使用したロールコート等の各種塗工方法から、基材表面凹凸形状等により適宜選択する。
【0016】
〔絵柄転写シート〕
絵柄転写シートS1には、図1(A)の如く、支持体1と転写移行する転写層2とからなり、転写層2は少なくとも特定材料による透明樹脂層3及び特定材料による絵柄層4とからなる構成のものを用いる。
【0017】
(支持体)
支持体1は、転写層と離型性が有り、また被転写面に凹凸が有る場合は、凹凸への形状追従性が有るものであれば、従来公知のもので良く特に限定はない。従って、被転写面が平面或いは二次元的凹凸表面であれば、延伸性が無い紙等を用いる事も可能である。また、被転写面が三次元的凹凸表面の場合には、少なくとも転写時には延伸性の有る支持体を用いる。延伸性のある支持体としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン−ブテン3元共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン系熱可塑性エラストマー等のエラストマー等の樹脂からなる、好ましくは低延伸又は無延伸の樹脂フィルム(シート)を用いる。また、支持体はこれらの単層又は異種材料からなる複層構成としても良い。例えば、被転写面が平面的の場合には、上質紙にポリプロピレンを積層した構成の支持体は転写性に優れ且つ安価である点で好ましい支持体の一つである。なお、支持体の厚みは、通常は20〜200μm程度である。
【0018】
なお、支持体には必要に応じ、転写層側に転写層との剥離性を向上させる為、支持体の構成要素として離型層を設けても良い。この離型層は支持体を剥離時に、支持体の一部として転写層から剥離除去される。離型層としては、例えば、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス等の単体又はこれらを含む混合物が用いられる。例えば上記した上質紙にポリプロピレンを離型層として積層した支持体である。
また、剥離性の調整の為に、支持体の転写層側の面にコロナ処理、オゾン処理等を行っても良い。
【0019】
(転写層:透明樹脂層)
転写層2における透明樹脂層3は、絵柄層4と後から別に転写する保護層5との中間層として介在して、絵柄層4及び保護層5との密着性を向上させる層(プライマー層)であり、本発明ではこの透明樹脂層を2液硬化型ウレタン樹脂からなる層する。2液硬化型ウレタン樹脂は、ポリオールを主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂である。
【0020】
ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が用いられる。なかでも、アクリルポリオールは、保護層等との良好な密着性を与え、耐候性、耐熱性、耐熱水性等の耐久性の点で良好な物性を与える。特に、保護層の電離放射線硬化性樹脂にウレタンアクリレート等のアクリレート系化合物を用いたり、非架橋型樹脂としてポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂を併用する場合はなおさらである。但し、アクリルポリオール単体では、優れた耐熱性が得られず、熱水試験等で保護層と透明樹脂層間、或いは透明樹脂層と絵柄層間等で剥離が生じやすい。
【0021】
また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートが用いられる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(或いは脂環式)イソシアネートが用いられる。或いは、また、上記各種イソシアネートの付加体、又は多量体を用いる事も出来る。例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネートの3量体(trimer)等が有る。なかでも、無黄変タイプのイソシアネートは耐候性の点で良好な物性を与える。無黄変タイプのイソシアネートは例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(或いは脂環式)イソシアネート、或いはその付加体、多量体等である。
【0022】
なお、2液硬化型ウレタン樹脂の好ましい態様として、イソシアネート中のイソシアネート基(−NOC基)の数(モル数)を、それと反応させるポリオールの水酸基(−OH基)の数(反応当量)よりも多くするか又は少なくし、ポリオールとイソシアネートとが反応した後でも未反応のイソシアネート基又は水酸基を確実に、しかも多数残留させる態様がある。この場合、−NCO基/−OH基、又は−OH基/NCO基の比は最大1.4程度までとする。イソシアネート基を過剰にすると、絵柄インキのバインダーにカルボキシル基、水酸基等の活性水素含有官能基を有する樹脂を用いた場合、透明樹脂層と絵柄層との層間のウレタン結合による層間の密着がより良好となる。但し、空気中等から浸入する湿気の為、イソシアネート基が経時的に架橋反応する為、透明樹脂層の未反応イソシアネート基が十分に架橋しない間に、絵柄層の形成及び転写を完了させる必要がある。一方、水酸基過剰とすると、絵柄インキのバインダーにイソシアネート基過剰のものを用いた場合に、絵柄層と透明樹脂層との層間の密着がウレタン結合によって向上する。この場合は、透明樹脂層の経時架橋は生じ無い為、透明樹脂層形成以降の時間管理は不要である。
【0023】
(転写層:絵柄層)
転写層2に於ける絵柄層4は、塗装では不可能な模様の絵柄等を付与する層であるが、もちろん、塗装でも可能なベタ柄等でも良い。絵柄層はグラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の従来公知の方法、材料で絵柄等を印刷した層である。絵柄層用インキは、バインダー等からなるビヒクル、顔料や染料等の着色剤、これに適宜加える各種添加剤からなる。バインダーに用いる樹脂は、特に制限は無く、例えば、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリルポリオール等のアクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂等の単体又はこれらを含む混合物等の一般的なものでも良い。バインダーの樹脂は、接着剤層や下塗り層或いは透明樹脂層等の絵柄層に接する層との密着性を考慮して適宜選択する。
なかでも、本発明では透明樹脂層に2液硬化型ウレタン樹脂を用いているので、絵柄用インキのバインダーとしてウレタン樹脂は好ましい。例えば、ポリカーボネートジオールとイソホロンジイソシアネートとを用いた熱可塑性ポリウレタンエラストマーで、ウレア結合を導入したもの等が、密着性や耐候性等の点で好ましい。また、ウレタン樹脂に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を、ウレタン樹脂対塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体=1対9〜9対1(重量比)を添加した混合系樹脂も、物性調整が容易となる点で好ましい。具体的には例えばウレタン樹脂対塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体=8対2重量比の混合樹脂系を用いる。また、上記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体としては、共重合比として塩化ビニル/酢酸ビニル=1/9〜9/1(モル比)の範囲から選択する。また、マレイン酸を共重合させて分子中にカルボキシル基を導入すると、透明樹脂層中のイソシアネート基と絵柄層中のカルボキシル基とのウレタン結合によって、両層間の密着はより良好になる。
【0024】
また、上記ウレタン樹脂としては、ゴム弾性(ガラス転移温度以上の温度領域において、貯蔵弾性率(E′)の温度変化の挙動が顕著で無い)を示すものが、特に好ましい。この様な、ゴム弾性を示すウレタン樹脂としては、例えば、熱可塑性ポリウレタンエラストマーを使用できる。熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、ポリオールには、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が用いられ、ジイソシアネートには、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート脂肪族(或いは脂環式)ジイソシアネート等が用いられる。
ここで、透明樹脂層のバインダーが前記の如く、イソシアネート基(又は水酸基)過剰の場合に、絵柄層のバインダーとしてのウレタン樹脂に余剰の水酸基(又はイソシアネート基)を有するようにしておくことにより、透明樹脂層と絵柄層の密着を向上できる。
【0025】
なお、絵柄層に用いる着色剤の顔料としては、チタン白、カーボンブラック、弁柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラック、キナクリドン、イソインドリノン、フタロシアニンブルー等の有機顔料、或いはその他染料等を用いる。
なお、絵柄層の絵柄は任意だが、例えば木目模様、石目模様、布目模様、タイル調模様、煉瓦調模様、全面ベタ等である。また、絵柄層としては、上記印刷による層の他に、アルミニウム、クロム、金、銀等の金属を公知の蒸着法等を用いて部分的或いは全面に形成した金属薄膜層等も併用しても良い。
【0026】
〔接着剤〕
本発明の化粧板の製造方法では、少なくとも透明樹脂層及び絵柄層からなる転写層を被転写基材に接着させる為の接着剤は、転写シート側に絵柄層を形成した上に更に接着剤層として予め設けておいても良いし、被転写基材側に接着剤層として設けても良いし、これら両方に接着剤層を設けても良い。転写シートに事前に接着剤層を設けておけば、転写の際に、転写シート又は被転写基材の片方又は両方に、接着剤を施すことは省略することもできる。但し、転写シート側のみに接着剤層を予め設けておく方法では、転写シートに絵柄層等と同時に印刷等で形成できる上、転写時に設ける手間、装置が省略できる利点があるが、被転写基材が石綿セメント板等の無機質系基材で、その表面が粗い場合は、転写シート側の接着剤層では密着が難しいことがある。この様な場合には、被転写基材側に、或いは被転写基材及び転写シートの両方に接着剤層を設けると良い。
転写シートに設ける接着剤層は、被転写基材(或いはその被転写面に形成された下塗り層、接着剤層)や絵柄層等との密着性、或いは被転写基材が凹凸表面の場合は更に転写時の伸び適性等を考慮して適宜選択される。また、被転写基材に設ける接着剤層は、絵柄転写シートの転写層との密着性を考慮して適宜選択される。
【0027】
これらの接着剤層に用いる接着剤としては、具体的には、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂による従来公知の感熱溶融型接着剤や、ウレタン系の湿気硬化型ホットメルト接着剤、ゴム系接着剤、或いは保護層で用いるのと同様に、未硬化で常温固体で且つ熱可塑性の電離放射線硬化性樹脂接着剤等を使用できる。なお、転写直前に設ける場合は、上記の他に、感圧型の粘着剤等の接着剤も使用できる。中でも、本発明では絵柄層にウレタン樹脂を用いた絵柄転写シートを用いるので、接着剤層にも2液硬化型ウレタン樹脂のものを被転写基材に形成して、完全硬化前の状態で絵柄転写シートを圧接すると、密着性等の点で、好ましい結果が得られる。
接着剤層の形成方法は、カーテンフローコート、スプレーコート、軟質ゴムロールやスポンジロール等のロールを使用したロールコート等の各種塗工方法から(被転写基材側の場合はその表面凹凸形状等により)適宜選択する。また、無溶剤のホットメルト接着剤の場合は、アプリケータ等による熔融塗工法でも良い。なお、接着剤の塗布量は、接着剤の組成、被転写基材の種類及び表面状態で異なるが、通常10〜200g/m2 (固形分)程度である。
【0028】
〔保護層転写シート〕
保護層転写シートS2は、少なくとも支持体1と、転写移行する転写層として特定材料の保護層5とからなる。なお、保護層に粘着性が有る場合は、図1(D)如く、保護層5をセパレータ6で覆った構成の保護層転写シートS2aとしても良い。セパレータ6は転写時に剥がして保護層転写シートを使用する。
【0029】
(支持体)
保護層転写シートに用いる支持体1としては、前述の絵柄転写シートSに用いる支持体1として列記した支持体が挙げられる。また、保護層転写シートの支持体では、その保護層側の面に砂目、ヘアライン等の凹凸模様を賦形しても良い(保護層の表面凹凸模様となる)。
【0030】
(保護層)
本発明では、保護層として、(転写シート上に於いて)未硬化状態では常温固体で且つ熱可塑性である電離放射線硬化性樹脂の未硬化物からなる層を用いる。この保護層も(保護層)転写シートによって、被転写基材に転写された透明樹脂層及び絵柄層等からなる転写層の最上層である透明樹脂層に接する様にその上に更に転写する。保護層は、被転写基材及び該転写層を保護し、化粧板に耐候性、耐熱性、耐温水性や耐熱水性等の耐水性の他に、耐擦傷性や耐摩耗性等の表面物性も付与する層である。
未硬化とは、硬化が全く進行していない完全未硬化状態以外にも、熱可塑性を呈すれば、部分的に(不完全に)硬化反応が進行した状態でも良い。但し、硬化が進み過ぎると、保護層の転写を保護層自体の熱融着による接着で行えず、透明樹脂層との接着性も低下する。保護層が熱可塑性を有する事で、転写時に加熱して、保護層の熱融着による接着が可能となる。保護層の接着力の発現温度(活性化温度)は、常温即ち雰囲気温度よりも高い温度、通常100〜150℃程度となる樹脂組成を選ぶ。また、保護層を未硬化状態で転写することによって、被転写基材の転写面が凹凸面の場合にも、転写面の凹凸形状への追従性、成形性も良好となる。
【0031】
また、保護層は未硬化状態で常温固体だが、特に非粘着状態とするのが保護層転写シートの取扱いの点からは好ましい。しかし、粘着性が有る場合は、前記の如くセパレータを併用すれば良い。セパレータ(離型シート)には、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等の樹脂フィルムや紙等を基材として、この表面をシリコーン樹脂、ポリメチルペンテン等の塗工で、離型処理した従来公知の物が使用できる。厚みは通常50〜200μm程度である。
【0032】
なお、本発明で言う「常温」とは、保護層転写シートを製造、保存し、またその支持体の剥離作業を行う室内(或いは室外)の雰囲気温度を意味する。具体的値は、気候や作業環境によって異るが、通常は10〜40℃の範囲である。又、室温は支持体の剥離を行う最低の温度でもある。
【0033】
上記、未硬化状態では常温固体で且つ熱可塑性である電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、次の(I)や(II)の電離放射線硬化性樹脂を使用できる。なお、後述するが、電離放射線による架橋硬化反応に寄与しない非架橋型樹脂として、常温固体の熱可塑性樹脂であるポリメチルメタクリレート(PMMA)等を、(電離放射線で架橋硬化反応する)電離放射線硬化性樹脂に混合した樹脂組成物は好ましい、電離放射線硬化性樹脂の一つである。
【0034】
(I)ラジカル重合性不飽和基を有する、熱可塑性の次の(1) 又は(2) の2種類の樹脂。
(1) ガラス転移温度が0〜250℃のポリマー中にラジカル重合性不飽和基を有するもの。更に具体的には以下の▲1▼〜▲8▼を重合、もしくは共重合させたものに対し、後述する方法(a) 〜(d) によりラジカル重合性不飽和基を導入したものを用いることができる。なお、以下において、例えば(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートの意味で用いる。
▲1▼水酸基を有するモノマー;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなど。
▲2▼カルボキシル基を有するモノマー;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノサクシネートなど。
▲3▼エポキシ基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレートなど。
▲4▼アジリジニル基を有するモノマー;2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、2−アジリジニルプロピオン酸アリルなど。
▲5▼アミノ基を有するモノマー;(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど。
▲6▼スルフォン基を有するモノマー;2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸など。
▲7▼イソシアネート基を有するモノマー;2,4−トルエンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの1モル対1モルの付加物などのジイソシアネートと活性水素を有するラジカル重合性モノマーとの付加物など。
▲8▼上記▲1▼〜▲7▼のモノマーと共重合可能で上記▲1▼〜▲7▼以外のモノマー;このモノマーは得られる共重合体のガラス転移温度や物性を調節する共重合成分として使用する。例えば、メチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど。
【0035】
次に、上述のようにして得られた重合体又は共重合体を、以下に述べる方法(a) 〜(d) により反応させてラジカル重合性不飽和基を導入する。
(a) 水酸基を有するモノマーの重合体又は共重合体の場合には、前述した▲2▼の(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基を有するモノマーなどを縮合反応させる。
(b) カルボキシル基、スルフォン基を有するモノマーの重合体又は共重合体の場合には、前述▲1▼の水酸基を有するモノマーを縮合反応させる。
(c) エポキシ基、イソシアネート基、或いはアジリジニル基を有するモノマーの重合体又は共重合体の場合には、前述▲1▼の水酸基を有するモノマーもしくは前述▲2▼のカルボキシル基を有するモノマーを付加反応させる。
(d) 水酸基あるいはカルボキシル基を有するモノマーの重合体又は共重合体の場合には、前述▲3▼のエポキシ基を有するモノマーあるいは前述▲4▼のアジリジニルを有するモノマーあるいは前述▲7▼のジイソシアネート化合物と水酸基含有アクリル酸エステルモノマーとの1モル対1モルの付加物等のイソシアネート基を有するモノマーを、付加反応させる。
なお、上記反応を行うには、微量のハイドロキノンなどの重合禁止剤を加え、乾燥空気を送りながら行うことが望ましい。
【0036】
(2) 融点が20℃〜250℃であり、ラジカル重合性不飽和基を有する化合物。具体的には、ステアリル(メタ)アクリレート、トリアクリルイソシアヌレート、シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、スピログリコールジアクリレート、スピログリコール(メタ)アクリレートなどである。
【0037】
また、上記(1) 及び(2) を混合して用いることもできる。
更に、上記(1) 又は(2) 、又は(1) 及び(2) の混合物に対して、反応性希釈剤としてラジカル重合性モノマーを加えることもできる。このラジカル重合性モノマーは、電離放射線照射による架橋密度を上げて耐熱性を向上させる。該モノマーとしては、例えば、前述の▲1▼〜▲8▼のモノマーの他に、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ポレエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテルテトラ(メタ)アクリレートなどを用いることができる。配合量は、前記(1) 又は(2) の単独又は混合物の樹脂100重量部に対して、0.1〜100重量部で用いることが好ましい。
また、後述(ロ) の非架橋型樹脂を加えることもできる。
【0038】
(II)常温で液状(流動状態)の電離放射線硬化性樹脂に、常温で熱可塑性固体である非架橋型樹脂を混合して得られる電離放射線硬化性樹脂。
(イ) 常温で液状の電離放射線硬化性樹脂;分子中にラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマー又はモノマーの、単体又は混合物からなる組成物である。或いはカチオン重合性官能基を有するプレポリマーやモノマーからなる組成物である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレートなどである。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーの例としては、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどがある。また、多官能モノマーとして、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどがある。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーがある。
【0039】
(ロ) 非架橋型樹脂は、電離放射線による架橋硬化反応に寄与しない常温固体の熱可塑性樹脂であり、例えば、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、或いは、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ブチラール樹脂等のビニル系樹脂である。
例えば、アクリル系樹脂は、そのモノマーとして、
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−n−アミル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、
(メタ)アクリル酸−2−クロルエチル、(メタ)アクリル酸−3−クロルプロピル等の(メタ)アクリル酸ハロゲン化アルキル、
(メタ)アクルル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等の水酸基を持つ(メタ)アクリル酸エステル、
α−クロル(メタ)アクリル酸メチル、α−クロル(メタ)アクリル酸エチルなどのハロゲン化(メタ)アクリル酸エステル、
(メタ)アクルル酸−1−クロル−2−ヒドロキシエチルなどの水酸基を持つα−アルキル(メタ)アクリル酸エステル、
及び(メタ)アクリル酸グリシジル
等の(メタ)アクリル系モノマーの1種又は2種以上からなる単独重合体又は共重合体である。
また、これらのアクリル系樹脂は、平均分子量が50,000〜600,000、ガラス転移温度が50〜130℃のものを用いることが好ましい。平均分子量及びガラス転移温度が、共にこれら数値範囲にあると、常温で液状の電離放射線硬化性樹脂の常温での流動性を消失させる効果、及び転写シートに於ける保護層の可撓性を兼ね備えることが出来、好適である。
【0040】
なお、紫外線又は可視光線にて硬化させる場合には、上記(I)又は(II)の電離放射線硬化性樹脂に、さらに光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル類を単独又は混合して用いることができる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることができる。なお、これらの光重合開始剤の添加量としては、電離放射線硬化性樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。
なお、電離放射線としては、保護層中の分子を架橋させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常用いられるものは、紫外線又は電子線であるが、この他、可視光線、X線、イオン線等を用いる事も可能である。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用される。紫外線の波長としては通常190〜380nmの波長域が主として用いられる。電子線源としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜1000keV、好ましくは、100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射するものが使用される。
【0041】
また、上記電離放射線硬化性樹脂に更に、必要に応じて、各種添加剤を添加することもできる。例えば艶調整剤等として、シリカ、カオリン、アルミナ、炭酸カルシウム、クレー、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料を添加したり、或いは、着色顔料(或いは染料)を添加して保護層を透明着色層としたり、或いはパール顔料やアルミニウムフレーク等の光輝性顔料を添加して透明で光輝性の着色層として良い。
【0042】
上記電離放射線硬化性樹脂による保護層を、支持体上に形成するには、従来公知のグラビアロールコート等による溶液塗工や、アプリケータ等による熔融塗工(溶融塗工)法によれば良い。希釈溶剤を添加せずに用いれば、溶剤乾燥は不要である。保護層の厚みは、保護層の厚みは通常1〜100μm程度である。
なお、本発明では、保護層が熱可塑性で熱融着可能なので、保護層上に更に接着剤層は設ける必要は無い。
【0043】
また、転写した後の保護層に紫外線や電子線等の電離放射線を照射して架橋硬化させて完全硬化させる時期は、保護層転写シートにより、被転写基材上の既に転写された(透明樹脂層及び絵柄層等からなる)転写層上に保護層が圧接され、保護層が該転写層と接着(接触)した後であれば、支持体の剥離除去前でも後でもよい。
【0044】
〔転写法〕
本発明の化粧板の製造方法にて、絵柄転写シートや保護層転写シートの転写で採用する転写法は、特に限定されないが、例えば下記▲1▼及び▲2▼等の従来公知の転写法を採用できる。中でも、▲1▼のローラ転写法は平易な転写法であり、また弾性体ローラを軟質とすることで多少の表面凹凸が有っても転写できる転写法として好ましい。また、▲3▼の固体粒子衝突圧を利用した転写法は、平面はもちろん、従来は不可能であった大きな表面凹凸にも転写できる転写法として好ましい。
【0045】
▲1▼特公昭60−59876号公報、特開平5−270199号公報、特開平5−139097号公報に記載されるように、転写シートを、転写層を被転写基材側に向けて、支持体側から転写ローラとなる弾性体ローラとしてゴムローラで加圧し、転写層が被転写基材に圧着後、支持体を剥離する、所謂ローラ転写法、
▲2▼特公昭56−45768号公報(オーバーレイ法)、特公昭60−58014号公報(真空プレス法)等に記載されるように、成形品等の立体形状物品の表面に転写シートを対向又は載置し、立体形状物品側からの少なくとも真空吸引、更に適宜転写シート側からの圧空押し付け、による圧力差により転写シートの転写層を立体形状物品の表面に転写する、所謂真空成形積層法を利用した転写方法(真空成形転写法)等である。
▲3▼特開平9−315095号公報に開示された様に、転写圧の押圧手段自体が新規な転写法として、転写圧に固体粒子衝突圧を利用した転写法がある。この転写法は、ローラ転写法、真空成形転写法等では不可能な大きな三次元形状等の表面凹凸の被転写基材にも転写可能であり、後で詳述する。特にこの転写法は、深い溝や凹凸の凹部内部までも転写したい場合等の様にローラ転写法では不可能な表面凹凸にも適用できる転写方法である。
【0046】
(ローラ転写法)
所謂ローラ転写法では、被転写基材に対して、支持体と転写層とからなる転写シートを、転写層側を被転写基材側に向けて、支持体側から転写ローラとして弾性体ローラを用いて押圧して転写圧を加えて、転写層が被転写基材に接着後、支持体を剥離することで、転写層を被転写基材に転写する方法である。ローラ転写法は、被転写面が平坦或いはその表面凹凸が比較的小さい被転写基材に対して適用できる。弾性体ローラとしては、通常、鉄等の剛体の回転軸芯の表面周囲を軟質の弾性体で被覆したローラを用いる。弾性体としては、シリコーンゴム、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、天然ゴム等のゴムを用いる。特に、耐熱性、耐久性、弾性等の点からシリコーンゴムが好ましい。また特に、被転写基材の転写すべき被転写面の凹凸形状が大きい場合は、弾性体として、JIS規格のゴム硬度が60°以下のものを使用することが、転写シートを凹凸面に追従成形させる為に好ましい。
弾性体ローラの直径は、通常5〜20cm程度である。また、通常、弾性体ローラは内部の電熱ヒータや外部の赤外線輻射ヒータ等の加熱源により加熱して加熱ローラとしても使用できる。
【0047】
(真空成形転写法)
上記▲2▼の真空成形転写法とは、転写シートを転写層が被転写基材側に向く様にして配置し、転写シートの表裏両側の気圧差を少なくとも被転写基材側からの真空吸引によって発生させ、少なくとも該気圧差によって転写シートを被転写基材に押圧して密着させた後、転写シートの支持体を剥離して、被転写基材に転写層を転写する転写方法である。通常、転写シートの被転写基材側を減圧にして転写シート表裏間の空気圧差を与える。また、更に転写シートの支持体側からも加圧空気により加圧すれば、より大きな空気圧差を与えられる。なお、真空プレス法は、転写シートの被転写基材への押圧に空気圧以外に、弾性体膜としてゴム状弾性膜の収縮力(収縮圧)も利用する点、転写シートの加熱をヒータにより加熱されたゴム状弾性膜を通して行う点等が若干異なり、転写シートの均一加熱とより強い押圧力等に特徴がある。
【0048】
(固体粒子衝突圧を利用した転写法)
新規な転写方法である固体粒子衝突圧を利用した転写法は、弾性体ローラでは適用出来ない大きな表面凹凸を有する被転写基材に対して好適てある。
この方法は、被転写基材の被転写面側に、転写シートの転写層側を対向させ、該転写シートの支持体側に固体粒子を衝突させ、その衝突圧を利用して、被転写基材の被転写面への転写シートの圧接を行い、転写層が被転写基材に接着後、転写シートの支持体を剥離除去することで、転写層を被転写基材に転写する転写法である。
すなわち、図3に示す如く、支持体11と転写層12とからなる転写シートS(前記絵柄転写シートS1や保護層転写シートS2、S2aである)の支持体側(図面上方)から、多数の固体粒子Pを衝突させ、その衝突圧によって転写シートを被転写基材の表面形状に追従させ成形するとともに転写シートを、被転写基材のうち少なくとも転写すべき被転写面に押圧して圧着させる。その後、支持体のみ剥離除去することで転写が完了する。なお、固体粒子Pに付記した矢印は、固体粒子の速度ベクトルを表す。
【0049】
固体粒子としては、ガラスビーズ等の無機粒子、亜鉛、鉄等の金属粒子、ナイロンビーズや架橋ゴムビーズ等の樹脂ビーズ等の有機粒子、或いは金属等の無機粒子と樹脂とからなる無機物・樹脂複合粒子等を使用する。粒子形状は球形状が好ましいが、その他の形状でも用い得る。粒径は通常10〜1000μm程度である。
固体粒子は噴出器から転写シートに向かって噴出させ、転写シートに衝突したその衝突圧が転写圧となる。噴出器には、代表的には羽根車や吹出ノズルを用いる。羽根車はその回転により固体粒子を加速し、吹出ノズルは高速の流体流で固体粒子を加速する。羽根車や吹出ノズルには、サンドブラスト或いはショットブラスト、ショットピーニング等とブラスト分野にて使用されているものを流用できる。例えば羽根車には遠心式ブラスト装置、吹出ノズルには加圧式や吸引式ブラスト装置、ウェットブラスト装置等である。遠心式ブラスト装置は羽根車の回転力で固体粒子を加速し噴出する。加圧式ブラスト装置は、圧縮空気に混合しておいて固体粒子を、空気と共に噴出する。吸引式ブラスト装置は、圧縮空気の高速流で生ずる負圧部に固体粒子を吸い込み、空気と共に噴出する。ウェットブラスト装置は、固体粒子を液体と混合して噴出する。
【0050】
図4及び図5は、羽根車による噴出器の一例を示す概念図である。羽根車812は、複数の羽根813がその両側を2枚の側面板814で固定され、且つ回転中心部は羽根813が無い中空部815となっている。更に、この中空部815内に方向制御器816を内在する(図5参照)。方向制御器816は、外周の一部が円周方向に開口した開口部817を有し中空筒状で羽根車812の回転軸芯と同一回転軸芯で、羽根車とは独立して回動自在となっている。羽根車使用時は、方向制御器の開口部を適宜の方向に向くように固定して、固体粒子の噴出方向を調整する。更に、この方向制御器の内部に、内部中空で羽根車812の回転軸芯と同一回転軸芯のもう一つの羽根車が散布器818として内在する(図5参照)。散布器818は外側の羽根車812と共に回転する。そして、前記側面板814の回転中心には回転軸819が固定され、回転軸819は、軸受820で回転自在に軸支され電動機等の回転動力源(図示略)によって駆動回転され、羽根車812が回転する。また回転軸819は、羽根813を間に有する2枚の側面板814間には貫通しておらず、軸無しの空間を形成している。
そして、散布器818の内部に固体粒子Pがホッパ等から輸送管を通って供給される。通常、固体粒子は、羽根車の上方(直上又は斜上方)から供給する。散布器内に供給された固体粒子は散布器の羽根車で外側に飛び散る。飛び散った固体粒子は、方向制御器816の開口部817によって許された方向にのみ放出され、外側の羽根車812の羽根813と羽根813との間に供給される。そして、羽根813に衝突し、羽根車812の回転力で加速され、羽根車から噴出する。
羽根車812の寸法は、通常直径5〜60cm程度、羽根の幅は5〜20cm程度、羽根の長さは、ほぼ羽根車の直径程度、羽根車の回転数は500〜5000〔rpm〕程度である。固体粒子の噴出速度は10〜50〔m/s〕程度、投射密度(基材単位面積当たりに衝突させる固体粒子の総重量)は10〜150〔kg/m2 〕程度である。
【0051】
次に、図6は吹出ノズルを用いた噴出器の一例を示す概念図である。同図の噴出器840は固体粒子加速流体として空気等の気体を用い、固体粒子噴出時に該気体と固体粒子を混合して噴出する形態の噴出器の一例である。噴出器840は、固体粒子Pと流体Fを混合する誘導室841と、誘導室内に流体を噴出する内部ノズル842と、ノズル開口部843から固体粒子及び流体を噴出する吹出ノズル部844からなる。圧縮機等からの加圧状態の流体Fを、内部ノズル842から噴出し誘導室841を経てノズル844のノズル開口部843から噴出する際に、噴出器内の誘導室841にて、高速で流れる流体流の作用で負圧を作り、この負圧により固体粒子を流体流に導き混合し、流体流で固体粒子を加速、搬送して、ノズル844のノズル開口部843から流体流と共に噴出するものである。なお、固体粒子加速流体に液体を用いる吹出ノズル等もある。
流体圧は吹付圧力で通常0.1〜10kg/cm2 程度である。流体流の流速は、液流では通常1〜20m/秒程度、気流では通常5〜80m/秒程度である。
【0052】
噴出器は、1個のみでは加圧領域を所望の形状、大きさに出来ない場合は、複数用いる。例えば、転写シート及び被転写基材の送り方向に直交して幅方向に全幅を加圧領域とするには、幅方向に一直線状に複数個を配置して、幅方向に直線状で幅広の帯状形状の加圧領域とする。また、衝突圧印加時間を長くするには、噴出器は、例えば転写シート及び被転写基材の送り方向に向かって2列以上配置する多段配置とする。複数個を配列時は、個々の噴出器の隣接する加圧領域を互いに一部重複させることが好ましい。なお、固体粒子の衝突圧は、例えば転写シート送り方向に直交する幅方向の中央部が最大で、幅方向両端部に近い程低下する山型圧力分布等と、不均一に設定することもできる。この設定は、中央部から両端部に向かって順次段階的に圧着を進行させ、内部に空気を抱き込むことを防ぐ。もちろん、衝突圧は転写が完全に行える圧以上で、且つ転写シートの歪み、被転写基材の変形、破損等の生じない圧以下の適正圧力範囲内とする。
【0053】
また、複数の噴出器を用いる場合、被転写基材の被転写面の包絡面(の搬送方向に直交する断面形状)が例えば円型になる円筒状の凸曲面であれば、各噴出器が主とし受け持つ個別の衝突面に対して、略垂直に固体粒子が衝突する様に、噴出器の向きを、近接する被転写基材の包絡面法線方向をカバーする様に複数配置することもできる。
【0054】
また、実際に固体粒子を用いて転写する際は、固体粒子は周囲の雰囲気中に飛散させずに且つ循環再利用するのが好ましい。そこで、転写する空間を周囲空間と隔離するチャンバ内で、固体粒子を転写シートに衝突させて転写圧を加える等すると良い。支持体の剥離は、チャンバ外でも良い。支持体の剥離は、転写層が被転写基材に密着し、支持体が破れたりせずに剥離可能な状態になれば、固体粒子衝突圧の解除直後でも良いし、間を置いてからでも良いからである。
【0055】
また、好ましくは、予め熱可塑性樹脂の支持体からなる転写シートは、赤外線輻射ヒータ等で加熱軟化させ、被転写基材が熱容量の大きい場合は予め予熱し、感熱型の接着剤層は加熱活性化させた状態で固体粒子を転写シートに衝突させる様にする。
なお、接着剤に感熱溶融型接着剤等の感熱型接着剤となる物を用いる場合、転写シート上の保護層を加熱軟化させてその接着性を活性化し熱融着により転写する場合は、接着剤や保護層を活性化して熱融着させる為に加熱するタイミングは、衝突圧印加前、衝突圧印加中、或いは衝突圧印加前及び印加中などのいずれでも良い。接着剤や保護層の加熱は転写シートや被転写基材を加熱して行う。また、衝突圧印加中の加熱には、加熱固体粒子や、固体粒子加速用の流体を加熱流体として用いても良い。
一方、転写シートが被転写基材が凹凸表面の場合はその表面形状に追従し、成形され、接着剤や保護層が十分活性化すれば、冷風等の冷却手段で接着剤や保護層の冷却を促進しても良い。冷風は、転写シート側や被転写基材側から吹き付ける。また、冷却手段として、冷却固体粒子、冷却流体も用いることもできる。冷却促進は、被転写基材が凹凸表面の場合にその凹部内部にまで追従成形された転写シートが衝突圧開放後に復元力がある場合に戻るのも防止する。
【0056】
〔化粧板の用途〕
化粧板の用途は各種用途に用いられ得る。例えば、サイディング等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の外装、壁面、天井、床等の建築物の内装、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨居等の建具類の表面化粧、箪笥等の家具やテレビ受像機等の弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車、航空機、船舶等の乗物内装材等の各種分野で用いられ得る。なお、化粧板の形状は、平板以外にも、曲面板、棒状体、立体物等でも良い。
なかでも、本発明で得られる化粧板は、耐候性、耐熱性、耐熱水性、耐温水性、また耐擦傷性等にも優れるので、外装用途や浴室、厨房等の水回りの用途は好適である。
【0057】
【実施例】
次に実施例及び比較例により本発明を更に説明する。
【0058】
〔実施例〕
被転写面が平坦面のフレシキブルボードを被転写基材として用い、下地処理として、その表面を除塵後、目止め及び下地色調整の為の下塗り層を形成した。目止めは、ウレタン樹脂系シーラー塗料で塗装形成した。さらに、下地色調整の為に、白色顔料としてチタン白を含有する2液硬化型アクリルウレタン樹脂塗料を80g/m2 (固形分基準)スプレー塗布し、80℃のオーブンで10分間加熱し、乾燥、硬化させた。
そして、上記下塗り層の上に、絵柄の転写抜けを防ぎ確実に密着する様に、アクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートからなる2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤をロールコータにて5g/m2 (固形分基準)塗布し、80℃のオーブンで90秒間加熱して乾燥させ、(完全硬化前とした)接着剤層を形成した。
【0059】
(絵柄転写シート)
支持体として、上質紙に離型層としてしポリプロピレンを溶融押出塗工で積層した総厚60μmの積層体を用意した。そしてこの支持体上に、アクリルポリオールを主剤とし、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)を硬化剤とした2液硬化型ウレタン樹脂による透明樹脂層と、ゴム弾性を示すウレタン樹脂として熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(ポリカーボネートジオールとイソホロンジイソシアネートとを用いたポリウレタン系エラストマーで、ウレア結合を導入したもの)と、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との8対2重量比の混合樹脂系をバインダーの樹脂とし、これに無機顔料からなる着色剤を添加してなる着色インキによる多色刷り(複層構成)の絵柄層を、それぞれグラビア印刷で形成した。上記絵柄層のウレタン樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が−35℃で、熔融温度(Tsp)が130℃で、貯蔵弾性率E′はTgに於いて109 〔Pa〕オーダーで、80℃に於いて107 〔Pa〕オーダーで、ガラス転移温度以上の温度領域に於いて貯蔵弾性率にほぼ平坦な領域があり、ゴム弾性を示す樹脂である。また、透明樹脂層のアクリルポリオールの樹脂はガラス転移温度Tg=70℃で、ゴム弾性を示さない。ちなみに、貯蔵弾性率E′はTgに於いて109 〔Pa〕オーダーで、80℃に於いて106 〔Pa〕オーダーである。
【0060】
そして、上記絵柄転写シートを、180℃に加熱した弾性体ローラ(鉄芯の周囲をJIS硬度60度のゴムで被覆したローラ)で押圧し加熱し、透明樹脂層及び絵柄層からなる転写層を転写した。転写速度は3m/分とした。
【0061】
(保護層転写シート)
厚さ50μmのポリプロピレン系熱可塑性エラストマーフィルムからなる支持体の片面に、保護層として、ウレタンアクリレート(1分子中の平均アクリロイル基数2.5)15重量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート15重量部、開始剤〔チバガイギー社製、イルガキュア184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)〕3重量部、及び非反応性の通常のポリメチルメタクリレート(平均分子量95,000、ガラス転移温度105℃)70重量部からなる電離放射線硬化性樹脂を、トルエンとメチルエチルケトンの1対1重量比混合溶剤で希釈した塗液を塗布、乾燥して50μm厚(固形分基準)に塗工して、更に、セパレータとしてポリエチレンフィルムを貼り合わせて、保護層転写シートとした。
【0062】
そして、前記絵柄転写シートの転写後の被転写基材に対して、絵柄転写シートの転写時と同様の転写条件で、保護層転写シートによる転写を行った。支持体が剥離され転写された保護層の面に対して、紫外線を照射し(80W/cm高圧水銀灯、送り速度3m/分)、保護層の架橋硬化を完結させた。そして、40℃のオーブン中に3日間放置して養生し、接着剤を完全硬化させ、化粧板を得た。性能評価結果は、後述表1に比較例と共にまとめて示す。
【0063】
(比較例1)
実施例において、絵柄転写シートとして、転写層に透明樹脂層が無く絵柄層のみの転写シートを用いた。その他は実施例同様にして化粧板を試作した。
【0064】
(比較例2)
実施例において、絵柄転写シートの絵柄層を、実施例の透明樹脂層に用いたウレタン樹脂の硬化剤成分であるイソシアネートは使用せずに、主剤のアクリルポリオール樹脂のみを、バインダーの樹脂としたインキで形成し、透明樹脂層は無い構成の絵柄転写シートを用いた。その他は実施例同様にして化粧板を試作した。
【0065】
(比較例3)
実施例において、絵柄転写シートの透明樹脂層を、その硬化剤成分であるイソシアネートは使用せずに、主剤のアクリルポリオール樹脂のみを使用して形成し、絵柄層は実施例と同様のそのままとした、絵柄転写シートを用いた。その他は実施例同様にして化粧板を試作した。
【0066】
(比較例4)
実施例において、絵柄転写シートの絵柄層を、実施例の透明樹脂層に用いたウレタン樹脂の硬化剤成分であるイソシアネートは使用せずに、主剤のアクリルポリオール樹脂のみを、バインダーの樹脂としたインキで形成し、透明樹脂層は実施例と同様のそのままとした、絵柄転写シートを用いた。その他は実施例同様にして化粧板を試作した。
【0067】
(実施例及び比較例で転写した層内容のまとめ)
実施例、及び比較例1〜比較例4で得られた化粧板の層構成について、絵柄転写シート及び保護層転写シートによって、被転写基材上に転写で形成した層のみについて、それらの層の材料内容を図7にまとめて示す。
【0068】
(性能評価)
▲1▼初期密着性、▲2▼耐温水性、▲3▼耐熱水性、▲4▼耐熱性、▲5▼耐候性は次の様にして評価した。評価結果は表1に示す。なお、実施例及び比較例は、電離放射線硬化性樹脂による保護層により、いずれも耐擦傷性等の表面物性は良好であった。
【0069】
▲1▼初期密着:碁盤目テストとして、化粧板上の保護層の上から4mm間隔で碁盤目状に縦横に切り込みを入れて、縦横4×4個の合計16個の枡目を作った後、セロハン粘着テープ(ニチバン株式会社製、工業用24mm幅)を室温20℃にて接着後、剥離して剥がれた枡目数で評価した。
▲2▼耐温水性:化粧板の表面を60℃の温水に240時間接触させた後、60℃で24時間乾燥し、上記▲1▼に記載の碁盤目テストにて二次密着力を評価した。
▲3▼耐熱水性:化粧板の表面を90℃の熱水に4時間接触させた後、60℃で2時間乾燥する操作を1サイクルとして、10サイクル繰り返した後、前記▲1▼に記載の碁盤目テストにて、二次密着力を評価した。なお、表1中のサイクル数は、不良発生時のサイクル数を示す。
▲4▼耐熱性:140℃のオーブン中に3時間入れた後、取り出して室温まで冷却した後、前記▲1▼に記載の碁盤目テストにて、二次密着力を評価した。
、▲5▼耐候性:サンシャインウェザオメータ(カーボンアーク灯型、ブラックパネル温度63℃、降雨時間は18分/120分中))で240時間の促進耐候性試験を行った後、前記▲1▼に記載の碁盤目テストにて、二次密着力を評価した。
【0070】
【表1】
Figure 0004043588
【0071】
表1に示す如く、実施例では、初期密着、耐温水性、耐熱水性、耐熱性、耐候性の全てに優れるが、比較例では全ての性能は得られない。実施例と同じ絵柄層でも、透明樹脂層を省略した比較例1では、初期密着と耐温水性は良いが、耐熱水性が2サイクルで保護層と絵柄層間の剥離発生で不良となる。また、耐熱性も保護層と絵柄層間の膨れ発生で不良となり、耐候性も保護層と絵柄層間間の剥離で不良となり、総合的な判定は不良である。
また、比較例2は透明樹脂層は省略し、絵柄層にアクリルポリオール樹脂(ゴム弾性を示さない)として、実施例の透明樹脂層で用いた2液硬化ウレタン樹脂の主剤のアクリルポリオールを用いた例で、耐熱性は良好となるが耐熱水性、耐候性は不良である。
また、比較例3は実施例と同じ絵柄層でも、透明樹脂層にアクリルポリオール樹脂として、実施例の透明樹脂層で用いた2液硬化ウレタン樹脂の主剤のアクリルポリオールを用いたものだが、比較例2同様に、耐熱水性、耐候性が不良である。
また、比較例4は、透明樹脂層は実施例と同じでも、絵柄層が比較例2同様に、アクリルポリオール樹脂(ゴム弾性を示さない)として実施例の透明樹脂層で用いた2液硬化ウレタン樹脂の主剤のアクリルポリオールを用いた例だが、耐熱水性は7サイクルで不良とやや性能は伸びるが依然として不良で、耐候性も二次密着は良いが碁盤目作成時のカッターによるクラック発生の為やや良好程度であり、総合的な判定は、やや良好までである。
【0072】
【発明の効果】
本発明の化粧板の製造方法によれば、耐擦傷性等の表面物性に優れた保護層を塗布ムラ等を生ずることも無く付与でき、また、塗装では不可能な絵柄も絵柄層で付与でき、しかも、保護層と絵柄層との密着も良く、耐候性、耐熱性、耐熱水性、耐温水性等の物性に優れた化粧板を製造できる。
また、本発明の化粧板によれば、塗装では不可能な絵柄を有し、しかも、耐擦傷性等の表面物性の他に、耐候性、耐熱性、耐熱水性、耐温水性等の物性に優れ、外装や浴室等の水回りに適する化粧板となる。
また、本発明の絵柄転写シートによれば、上記化粧板の製造方法で使用して、上記各種性能に優れた化粧板を得る事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧板の製造方法、化粧板、及び絵柄転写シートを断面図で説明する概念図。
【図2】本発明の化粧板の製造方法で得られる化粧板の一形態を示す断面図。
【図3】固体粒子衝突圧を利用した転写法を概説する説明図。
【図4】羽根車を用いた噴出器の一例を概念的に説明する斜視図。
【図5】図4の羽根車内部を説明する概念図。
【図6】吹出ノズルによる噴出器の一例を概念的に説明する断面図。
【図7】実施例と比較例の化粧板で、転写形成した層のみの材料内容を示す説明図。
【符号の説明】
1 支持体
2 転写層
3 透明樹脂層
4 絵柄層
5 保護層
6 セパレータ
7 下塗り層
11 支持体
12 転写層
812 羽根車
813 羽根
814 側面板
815 中空部
816 方向制御器
817 開口部
818 散布器
819 回転軸
820 軸受
840 吹出ノズルを用いた噴出器
841 誘導室
842 内部ノズル
843 ノズル開口部
844 ノズル
A 接着剤層
B 被転写基材
D 化粧板
F 流体
P 固体粒子
S 転写シート
S1 絵柄転写シート
S2 保護層転写シート
S2a 保護層転写シート

Claims (3)

  1. 支持体上に、転写層として少なくとも、2液硬化型ウレタン樹脂からなる透明樹脂層と、ポリカーボネートジオールとイソホロンジイソシアネートとを用いた熱可塑性ポリウレタンエラストマーで、ウレア結合を導入したウレタン樹脂のバインダーからなる絵柄層とをこの順に有する絵柄転写シートを用いて、間に接着剤を介して、転写層を被転写基材に転写し、その後、さらにその上に、未硬化状態では常温固体で且つ熱可塑性である電離放射線硬化性樹脂の未硬化物からなる保護層を支持体上に有する保護層転写シートを用いて、保護層を転写し、その後、電離放射線を照射して転写された保護層を架橋硬化させる、化粧板の製造方法。
  2. 被転写基材上に、少なくとも、接着剤層、ポリカーボネートジオールとイソホロンジイソシアネートとを用いた熱可塑性ポリウレタンエラストマーで、ウレア結合を導入したウレタン樹脂のバインダーからなる絵柄層、2液硬化型ウレタン樹脂からなる透明樹脂層、電離放射線硬化性樹脂の架橋硬化物からなる保護層がこの順に積層されている化粧板。
  3. 支持体上に、転写層として少なくとも、2液硬化型ウレタン樹脂からなる透明樹脂層と、ポリカーボネートジオールとイソホロンジイソシアネートとを用いた熱可塑性ポリウレタンエラストマーで、ウレア結合を導入したウレタン樹脂のバインダーからなる絵柄層とをこの順に有する絵柄転写シート。
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