JP4043579B2 - 衝撃吸収包装体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、輸送梱包に使用する優れた衝撃吸収性のある包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から家電製品、パソコン、精密機械製品等の物流における衝撃吸収材には発泡プラスチックによる緩衝材が使用されてきたが、今日では環境負荷を高める発泡プラスチックに代わって紙製の緩衝材を使用するケースが増えている。
また、従来から可撓性フィルムを緩衝材として使用する提案がなされている。図5は、実開昭48−112780号広報に提案されている従来の可撓性フィルム間に被包装物を挟持する衝撃吸収包装体の説明図である。この衝撃吸収包装体は、図5(a)に示すような、窓枠Mを有する2枚の台紙10’を外箱内に折り込んで、図5(b)に示すように可撓性フィルムFの支持体20’となし、予め台紙10’全体に貼り込んである対向する2枚の可撓性フィルムFによって、外箱内で被包装物Hを中吊り状態にしようとするものである。
また、図示はしていないが、特開平8−183564号広報には、一対のフランジのある硬質性のボウル或いはトレーの開口部に可撓性フィルムを緊張するように貼りつけたものを対向させ、対向する可撓性フィルム同志で被包装物Hを挟持する包装体が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
紙製の緩衝材は、焼却廃棄がし易いという点で好ましいが、セッティングに時間がかかり、大幅な緩衝効果が期待出来ないという問題がある。
また、廃棄された場合の廃棄物としての容積が大きくて処理に手間がかかり、さらに、紙から出る紙粉が製品に入り込んだり、開梱時に周辺に散らばるという問題がある。
実開昭48−112780号公報に提案されている可撓性フィルムによって被包装物を挟持する包装体は、上記の問題を殆どクリアーするが、2枚の可撓性フィルムを保持する構造が華奢で重量のある被包装物Hには使用出来ないという問題がある。また使い終わったあとの処理について配慮がされていない。
特開平8−183564号公報に提案されている可撓性フィルムによって被包装物を挟持する包装体は、プラスチック成形された硬質のボウルあるいはトレーが使用されるので、使用後の処理が問題である。
本発明は、前述の問題点に鑑みてなされたもので、2枚の可撓性フィルムを保持するための構造を強固にして、重量のある商品にも適用できるようにし、使用時以外はコンパクトに折り畳むことができる衝撃吸収包装体の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明による衝撃吸収包装体は、4辺が4角柱体からなる2個の中枠を、外箱に内接して上下に対向させ、前記4角柱体が、一枚の角状のブランクの4辺と直交する方向に外側から内側に向かって第1内板、第1天板、外板、底板、第2内板、第2天板の順に折り線を介して連接された6面からなる4角柱体構成部を前記第1内板が最内層になるように巻き折りして、前記第2天板に連接されている差し込み片を前記第1天板と前記外板間のスリットに差し込んで形成され、隣接する前記4角柱体同士が、前記底板の両端部同士で斜めの折り線を介して連接され、前記中枠の対向する前記底板にそれぞれ可撓性フィルム片の4側辺が強接着されてなり、対向する2枚の前記可撓性フィルム片によって被包装物を中吊り状態に挟持している構成からなるものである。さらに、本発明による衝撃吸収包装体は、前記ブランクを、前記斜めの折り線と、前記4角柱体構成部の中央を過り直交する2本の折り線とによって、前記ブランクの1/8の面積に折り畳む構成からなるものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明を図面により更に詳細に説明する。
図1は、本発明による衝撃吸収包装体の中枠のブランク説明図である。
図1(a)は、本発明による衝撃吸収包装体の中枠のブランクの展開図である。ブランク10は、図1(a)に示すように、正方形の板紙あるいは段ボールの四隅と中央を打ち抜いたものであって、斜線で表示する4枚の4角柱体構成部Aからなり、それぞれは、底板4の両端部において斜めの折り線gを介して連接されている。
各4角柱体構成部Aは,外側から内側に向かって第1内板1、第1天板2、外板3、底板4、第2内板5、第2天板6の順に折り線a〜eを介して連接され、第2天板6には差し込み片7が延設され、また第1天板2と外板3との間の折り線b上にはスリット8が設けられている。
また、ブランク10の中央部には四角形の網点で示す可撓性フィルム片Fが、底板3と可撓性フィルムフィルム片Fの4側辺で強接着されている。
さらに、ブランク10には4枚の4角柱体構成部Aの中央を横切り互いに交差する折り線fが設けられている。
従って、ブランク10は、以上の折り線fと底板3を連接している折り線gとによって図1(b)に示すように面積的に略1/8の大きさに折り畳むことができる。
【0006】
図2は、本発明による衝撃吸収包装体の中枠の組立説明図である。
4枚の4角柱体構成部Aは、図2に示すようにそれぞれ第1内板1が最内層になるように巻き折りされ、最後に差し込み片7がスリット8に差し込まれて、4周辺が4角柱体Kからなる中枠20を組み立てることができる。ここで中枠20における各4角柱体Kの内側と天側(図2における上部)とは、第1内板1と第2内板5及び第1天板2と第2天板6とによる2重構造となっている。その模様は図3によっても示されている。
組み立てられた4角柱体Kは、底板4の両端部同志で折線gを介してそれぞれ連接されている。また底板4には可撓性フィルム片Fが、その周辺において貼り込まれているので、組み立てられた中枠20の一面は可撓性フィルムで塞がれた状態となっている。
全く同じ要領でもう一方の中枠20を組み立てる。
【0007】
図3は、本発明による衝撃吸収包装体の組立完了図並びに機能説明図である。前述のように組立られた2個の中枠20は、可撓性フィルム片F同志が対向するように、外箱30に挿入されて、2枚の可撓性フィルムF間に被包装物Hが中吊りされるように組み込まれる。その手順は、天面を開封した外箱30の底に一方の中枠20を可撓性フィルム側を上にして置き、その上から被包装物Hを可撓性フィルム上に置き、最後にもう一方の中枠20を可撓性フィルム面を下にして押し込んで外箱30の天面を封鎖すればよい。 図3においては、上下対称に描かれているが、全く同一仕様の中枠20を上下に使用する限りにおいて、下側の可撓性フィルムの方が被包装物Hの重量分だけ余計に引っ張られて伸びが大きくなる。
また、本発明による衝撃吸収包装体40は上下を逆にしても、またいずれかの方向に起こしても、外箱30の中で被包装物Hの中吊り状態が保てるように可撓性フィルムの伸び、引っ張り強度、最初の2枚の可撓性フィルム間の距離が被包装物Hの大きさ、形状、重量に応じて制御されなければならない。
一般に可撓性フィルムFは若干の粘着性を有しており、これは被包装物Hをしっかり保持するような好適な作用を示す。また、可撓性フィルムは耐突き刺し強度に優れているため、角張っている被包装物Hを取り扱うこともできる。
【0008】
図4は、本発明による衝撃吸収包装体に使用する外箱ブランクの一つの実施例を示すブランク展開図である。
この実施例の場合は、図4(a)と図4(b)に示すブランクを糊代N1とその対向面N1’で、また糊代N2とその対向面N2’で貼り合わせて一個分の外箱とするが、組立易く、また被包装物Hを取り出し易くするためにオートボトム方式とロック組立方式を採用している。また、中枠のブランク10と同じように、できる限りコンパクトに折り畳めるように折り線h,iを新たに加えている。本発明による衝撃吸収包装体40に使用される外箱30は、被包装物Hと2個の中枠20の総荷重に耐え、かつ2枚の可撓性フィルムによって被包装物Hを中吊り状態にすることによる中枠20が段ボールの天板あるいは底板を押し上げるように作用する応力に打ち勝てる構造であればいかなる形式の外箱30を使用してもよい。
また外箱30の材質としては、被包装物Hが小型の場合は、板紙、Eフルート段ボールで十分であり、大型化して、重量が増えるとA,Bフルート段ボール等の使用が必要になる。
【0009】
本発明による衝撃吸収包装体40に使用される可撓性フィルムFには、一般のストレッチ物流システムに使用されるポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等の重量物用のストレッチフィルムが利用できるが、中でもポリウレタン系樹脂は、伸長性、復元性、引っ張り強度、引き裂き強度、突き刺し強度、耐磨耗性等において優れ、また軽い粘着性があるところから,本発明による衝撃吸収包装体40用の可撓性フィルムとして好適に使用可能である。
【0010】
本発明による衝撃吸収包装体40は、これまでの緩衝材に比較して強力な緩衝機能を示すので、衝撃によって破壊し易い電子機器、精密機械、ガラス・陶磁器製品等の輸送、梱包に最適である。
また透明性のある可撓性フィルムが使用されているので、外箱の設計次第で中身商品を見せた状態でのディスプレーが可能であり、また、従来の商品に固有な形状の緩衝材と異なり、サイズ、重量、形状が所定の範囲に納まる商品であれば、商品アイテムに係わりなく使用することができるので、通版、宅配業者等が使用する汎用的な衝撃吸収包装材として利用することができる。
また、同時に多種の商品あるいは部品を詰め合わせる場合にも好適に使用可能である。
外箱、中枠ともに折り畳み可能に設定されているので使用後の扱いは前述のとおりに便利である。
【0011】
【発明の効果】
本発明によれば、外箱30に内接し、4方が4角柱体Kからなる一対の中枠の対向する面に可撓性フィルム片Fを貼り合わせ、その間に被包装物Hを挟持して中吊りにさせることにより,重量のある被包装物Hであっても物流過程で衝撃から保護することができ、異種の商品に跨がる汎用的な使用が可能となり、また異なるアイテムの商品をセットとして詰め合わせる場合にも使用できる。また、使用後中枠20と外箱30とを折り畳み可能としたことによって、スペースセービングに役立ち、各家庭に保管しておいて修理等の場合に再使用することがで、廃棄する場合にも減容化が可能である。
さらに、本発明による衝撃吸収包装体40を構成する2個の中枠20と1個の外箱30は、使用後、いずれも折り畳んでコンパクトな状態に減容して、セットとして保存しておき、被包装物Hが故障してメーカーに送り届ける等の場合に再使用することができる。
さらにまた、廃棄する場合も、中枠20、外箱30を折り畳むことによって減容化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による衝撃吸収包装体の中枠のブランク説明図
【図2】 本発明による衝撃吸収包装体の中枠の組立説明図
【図3】本発明による衝撃吸収包装体の組立完了図並びに機能説明図
【図4】本発明による衝撃吸収包装体に使用する外箱ブランクの一つの実施例を示すブランク展開図
【図5】従来の可撓性フィルム間に被包装物を挟持する衝撃吸収包装体の説明図
【符号の説明】
1 第1内板
2 第1天板
3 外板
4 底板
5 第2内板
6 第2天板
7 差し込み片
8 スリット
10 本発明による衝撃吸収包装体の中枠ブランク
10’従来の衝撃吸収包装体の台紙
20 本発明による衝撃吸収包装体の中枠
20’従来の衝撃吸収包装体の支持体
30 本発明による衝撃吸収包装体の外箱
30’従来の衝撃吸収包装体の外箱
40 本発明による衝撃吸収包装体
40’従来の衝撃吸収包装体
a〜i 折り線
A 4角柱体構成部
K 4角柱体
F 可撓性フィルム片
H 被包装物
Claims (2)
- 4辺が4角柱体からなる2個の中枠を、外箱に内接して上下に対向させ、前記4角柱体が、一枚の角状のブランクの4辺と直交する方向に外側から内側に向かって第1内板、第1天板、外板、底板、第2内板、第2天板の順に折り線を介して連接された6面からなる4角柱体構成部を前記第1内板が最内層になるように巻き折りして、前記第2天板に連接されている差し込み片を前記第1天板と前記外板間のスリットに差し込んで形成され、隣接する前記4角柱体同士が、前記底板の両端部同士で斜めの折り線を介して連接され、前記中枠の対向する前記底板にそれぞれ可撓性フィルム片の4側辺が強接着されてなり、対向する2枚の前記可撓性フィルム片によって被包装物を中吊り状態に挟持していることを特徴とする衝撃吸収包装体。
- 前記ブランクが、前記斜めの折り線と、前記4角柱体構成部の中央を過り直交する2本の折り線とによって、前記ブランクの1/8の面積に折り畳まれることを特徴とする請求項1記載の衝撃吸収包装体。
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