JP4042946B2 - Engine starter - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、始動モータを利用してエンジンを始動するエンジンの始動装置に係り、特に、エンジンを車両走行中は所定の停車条件に応答して自動停止し、停止後は所定の発進操作に応答して再始動する自動停止始動システムを採用した車両に好適なエンジンの始動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの始動時に発生する音を低減するために、例えば特開平11−30139号公報を初めとして、様々な技術が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
エンジンを始動させる際に、ドライバによる始動操作時間が短く、始動モータが極めて短時間しか駆動されないと、爆発直後の上死点をピストンが超える前に始動モータが停止してしまい、爆発加重が逆転方向に作用してクランクシャフトが逆転する現象、いわゆるケッチンが発生してノッキング音やギア音などが発生する。
【0004】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、エンジンの始動音を低く抑えたエンジン始動装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明は、エンジンの始動操作に応答して始動モータを駆動させるエンジンの始動装置において、始動操作の期間に対応した始動信号を発生する始動信号発生手段と、所定の基準時間よりも短い始動信号を前記基準時間以上に延長して出力する始動信号延長手段と、始動信号延長手段の出力信号により始動モータを駆動する駆動手段とを含むことを特徴とする。
【0006】
上記した特徴によれば、始動モータを駆動させるための始動操作が短時間しか行われない場合であっても、始動モータを基準時間以上駆動させることができる。したがって、始動モータの駆動時間が短いことに起因して生じるエンジン始動時のケッチンを防止でき、エンジンの始動音を低減することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図5は、本発明のエンジン停止始動制御装置を搭載した自動二輪車の全体側面図である。車体前部2と車体後部3とは低いフロア部4を介して連結され、ダウンチューブ6とメインパイプ7とを含む車体フレームによって車体の骨格が構成されている。燃料タンクおよび収納ボックス(共に図示せず)はメインパイプ7により支持され、その上方にシート8が配置されている。シート8はその下部に設けられるラゲッジボックスの蓋を兼ねることができ、ラゲッジボックスは、その前部FRに設けられるヒンジ機構により開閉自在に構成されている。
【0008】
車体前部2ではダウンチューブ6にステアリングヘッド5が設けられ、このステアリングヘッド5によってフロントフォーク12Aが軸支されている。上方に延びたフロントフォーク12Aの上端にはハンドル11Aが取付けられる一方、下端には前輪13Aが軸支されている。ハンドル11Aの上部は計器板を兼ねたハンドルカバー33で覆われている。
【0009】
メインパイプ7の途中にはリンク部材(ハンガ)37が回動自在に軸支され、このハンガ37によりスイングユニット17がメインパイプ7に揺動自在に連結支持されている。スイングユニット17には、その前部に単気筒の4サイクルエンジン200が搭載されている。このエンジン200から後方にかけてベルト式無段変速機35が構成され、その後部には遠心クラッチを介して設けられた減速機構38に後輪21が軸支されている。減速機構38の上端とメインパイプ7の上部屈曲部との間にはリヤクッション22が介装されている。
【0010】
スイングユニット17の前部には、エンジン200のシリンダヘッド32から延出した吸気管23が接続され、さらにこの吸気管23には気化器24および同気化器24に連結されたエアクリーナ25が配設されている。スイングユニットケース31の下部に設けられた枢軸18にはメインスタンド26が枢着されており、駐車に際してはこのメインスタンド26を立てる(鎖線で図示)。
【0011】
図1は、前記スイングユニット17の第1実施形態の断面図であり、前記図5のA−A面での断面構造を示している。図2は、スイングユニット17のクランクシャフトに垂直な平面での断面図である。前記スイングユニット17は、車両前方に位置するエンジン200、クランクシャフト12の一端に連結された発電装置部G、クランクシャフト12の他端に連結された自動変速機の駆動部AT1および従動部AT2を備える。
【0012】
スイングユニットケース31には主軸受10、11で回転自在に支持されたクランクシャフト12が設けられ、このクランクシャフト12にはクランクピン13を介してコンロッド14が連結されている。クランク室9から張出したクランクシャフト12の一端には発電機44が設けられている。
【0013】
発電機44のアウターロータ42にはワンウェイ(一方向)クラッチ50の一方(クランクシャフト側)のスリーブ57aがネジ43により固定され、他方(スプロケット側)のスリーブ55aは、スプロケット58と一体的に、発電機44および主軸受11間でクランクシャフト12に回転自在に支持されている。スプロケット58には、図2に示した始動モータ49から始動トルクを得るためのチェーン40が掛けられている。
【0014】
前記ワンウェイクラッチ50のクラッチ部56aは、発電機44のアウターロータ42すなわちクランクシャフト12が、スプロケット58に対して相対的に逆転方向へ空転することを阻止し、正転方向へ空転することを許容する。したがって、エンジン始動時に前記始動モータ49が駆動されてスプロケット58がクランクシャフト12の正転方向へ駆動されれば、これに追従してクランクシャフト12も正転方向へ駆動される。
【0015】
これに対してエンジン始動後は、始動モータ49が停止してもクランクシャフト12がスプロケット58に対して空転するので、クランクシャフト12の駆動力が始動モータ49へ伝達されることはない。
【0016】
クランクシャフト12上には、前記スプロケット58および主軸受11間にスプロケット59が固定されている。スプロケット59にはクランクシャフト12からカムシャフト69を駆動する動力を得るためのチェーン60が掛けられている。なお、スプロケット59は潤滑オイルを循環させるポンプ(図示せず)に動力を伝達するためのギヤ61と一体的に形成されている。
【0017】
シリンダ62内に配置されているピストン63はコンロッド14のスモールエンド側に連結されている。シリンダヘッド32には点火プラグ65が螺着され、その電極部がピストン63のヘッドとシリンダヘッド32との間に形成された燃焼室に臨んでいる。シリンダ62の周りは水ジャケット66で囲まれている。
【0018】
シリンダヘッド32内の、前記シリンダ62の上方ではカムシャフト69が回転自在に支持され、カムシャフト69にはカムスプロケット72が固定されている。カムスプロケット72には前記チェーン60が掛けられている。このチェーン60によって、前記スプロケット59の回転つまりクランクシャフト12の回転がカムシャフト69に伝達される。
【0019】
カムシャフト69の上部にはロッカアーム73が設けられ、このロッカアーム73はカムシャフト69の回転に伴いカムシャフト69のカム形状に応じて揺動する。カムシャフト69のカム形状は、4サイクルエンジンの所定の行程に応じて吸排気弁95、96が開閉されるように決定されている。
【0020】
クランクシャフト12上の、前記発電機44が設けられた側とは反対側の端部には、Vベルト82を巻き掛けるためのプーリ83が設けられている。プーリ83はクランクシャフト12に対して回転方向および軸方向の動きが固定された固定プーリ片83a、およびクランクシャフト12に対して軸方向に摺動自在な可動プーリ片83bとからなる。可動プーリ片83bの背面つまりVベルト82と当接しない面にはホルダプレート84が取付けられている。ホルダプレート84はクランクシャフト12に対して回転方向および軸方向の双方にその動きが規制されていて一体で回転する。ホルダプレート84と可動プーリ片83bとによって囲まれた空所はガバナウェイトとしてのローラ85を収容するポケットを形成している。
【0021】
固定プーリ片83aの背面つまりVベルト82と当接しない面にはファン83cが一体的に形成されており、スイングユニットケース31の前記ファン83cと対向する開口部には、自動変速機室内に冷却風を清浄して導入するためのエアクリーナ71を備えたエアクリーナカバー70が装着されている。前記ファン83cは、クランクシャフト12が正転したときにエアクリーナ71を介して外気を自動変速機室内に吸引するように形成されている。
【0022】
自動変速機の従動部AT2において、クラッチのメインシャフト125にはプーリ132の固定プーリ片132aが支持されている。メインシャフト125の端部にはナット133によってカップ状のクラッチ板134が固定されている。前記固定プーリ片132aのスリーブ135には、プーリ132の可動プーリ片132bがメインシャフト125の長手方向に摺動自在に設けられている。可動プーリ片132bは、メインシャフト125の周りで一体的に回転できるようにディスク136に係合している。ディスク136と可動プーリ片132bとの間には、両者間の距離を拡張する方向に反発力が作用する圧縮コイルばね137が設けられている。メインシャフト125、アイドルシャフト142および出力シャフト145は相互に噛合い、後輪21のリム21aは前記出力シャフト145に固定されている。
【0023】
上記したように、本実施形態によれば、始動モータ49とクランクシャフト12とが無端連結手段としてのチェーン40により連結され、エンジン始動時にはクランクシャフト12がチェーン駆動されるので、始動モータ49による始動音を従来に比べて低く抑えることができる。
【0024】
また、本実施形態のようにクランク室9を挟んでクランクシャフト12の両側に発電機44および自動変速機のプーリ83を設ける場合、クランクシャフト12上での軸方向の占有領域は、自動変速機のプーリ83が発電機44よりも大きくなる。したがって、クランク室9を挟んで両側のクランクシャフト長も、プーリ83側が発電機44側よりも長くなる傾向にある。これに対して、本実施形態ではスプロケット58およびその一方向クラッチ50を発電機44側に設けたので、クランク室9を挟んで両側のクランクシャフト長を同等にすることができ、その回転バランスを安定させることができる。
【0025】
さらに、本実施形態によれば、クランクシャフト12と始動モータ49とを連結するためのチェーン40、およびクランクシャフト12とカムシャフト69とを連結するためのチェーン60をエンジンの一方の側に集約できるのでメインテナンス性が向上する。
【0026】
続いて、本発明を適用したエンジン自動停止始動システムについて説明する。このシステムは、アイドリングを許可する動作モード(以下、「始動&アイドルスイッチ(SW)モード」という)と、アイドリングを制限(または禁止)する動作モード(以下、「停止発進モード」という)とを備えている。
【0027】
アイドリングを許可する「始動&アイドルスイッチ(SW)モード」では、エンジン始動時の暖気運転等を目的として、主電源投入後の最初のエンジン始動後にアイドリングが一時的に許可される。また、上記した最初のエンジン始動後以外でも、運転者の意思(アイドルSWを“オン”)によってアイドリングが許可される。
【0028】
一方、アイドリングが制限される「停止発進モード」では、車両を停止させるとエンジンが自動停止し、停止状態でアクセルが操作されるとエンジンが自動的に再始動されて車両の発進が可能になる。
【0029】
図8は、エンジン200における自動始動停止システムの全体構成を示したブロック図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。
【0030】
クランク軸12には、これと同軸に発電機(ACジェネレータ172)が設けられ、発電機172による発電電力は、レギュレータ・レクティファイア167を介してバッテリ168に充電される。レギュレータ・レクティファイア167は、発電機172の出力電圧を、12Vないし14.5Vに制御する。バッテリ168は、スタータリレー162が導通されるとスタータモータ171へ駆動電流を供給すると共に、メインスイッチ173を介して各種の一般電装品174および主制御装置160等に負荷電流を供給する。
【0031】
主制御装置160には、エンジン回転数Neを検知するNeセンサ153と、エンジン200のアイドリングを手動で許可または制限するためのアイドルスイッチ253と、運転者がシートに着座すると接点を閉じて“H”レベルを出力する着座スイッチ254と、車速を検知する車速センサ255と、前記「停止発進モード」で点滅するスタンバイインジケータ256と、スロットル開度θを検知するスロットルセンサ257(スロットルスイッチ257aを含む)と、スタータモータ171を駆動してエンジン200を始動するスタータスイッチ258と、ブレーキ操作に応答して“H”レベルを出力するストップスイッチ259と、バッテリ168の電圧が所定値(例えば、10V)以下になると点灯して充電不足を運転者に警告するバッテリインジケータ276と、エンジンの冷却水温度を検知する水温センサ251とが接続されている。
【0032】
さらに、主制御装置160には、クランク軸12の回転に同期して点火プラグ65を点火させる点火制御装置(イグニッションコイルを含む)161と、スタータモータ171に電力を供給するスタータリレー162の制御端子と、前照灯169に電力を供給する前照灯ドライバ163の制御端子と、キャブレタ166に装着されたバイスタータ165に電力を供給するバイスタータリレー164の制御端子とが接続されている。前記前照灯ドライバ163は、FET等のスイッチング素子により構成され、このスイッチング素子を所定の周期およびデューティー比で断続させて前照灯169への印加電圧を実質的に制御する、いわゆるチョッピング制御を採用している。
【0033】
図9〜12は、主制御装置160の構成を機能的に示したブロック図(その1、その2、その3、その4)であり、図8と同一の符号は同一または同等部分を表している。
【0034】
図13、14には、主制御装置160を構成するスタータリレー制御部400、バイスタータ制御部900、スタンバイインジケータ制御部600、前照灯制御部800、停車後非着座制御部100、点火制御部700、点火ノック制御部200および充電制御部500の各制御内容を一覧表示している。
【0035】
図9において、動作切換部300は、アイドルスイッチ253の状態および車両の状態等が所定の条件のときに、主制御装置160の動作モードを「始動&アイドルSWモード」および「停止発進モード」のいずれかに切り換える。
【0036】
動作切換部300の動作モード信号出力部301には、アイドルスイッチ253の状態信号が入力される。アイドルスイッチ253の状態信号は、オフ状態(アイドリング制限)では“L”レベル、オン状態(アイドリング許可)では“H”レベルを示す。動作モード信号出力部301は、アイドルスイッチ253、車速センサ255および水温センサ155の出力信号に応答して、主制御装置160の動作モードを「始動&アイドルSWモード」および「停止発進モード」のいずれかに指定する動作モード信号S301 を出力する。
【0037】
図15は、動作モード信号出力部301による動作モードの切り換え条件を模式的に示した図であり、メインスイッチ173が投入されて主制御装置160がリセットされる(条件1が成立)と、動作モード信号S301 を“L”レベルにして「始動&アイドルSWモード」を起動する。
【0038】
さらに、この「始動&アイドルSWモード」において所定速度(例えば、時速10キロ)以上の車速が検知され、かつ水温が所定温度(例えば、暖気運転が完了したと予測される温度)以上であり、かつアイドルスイッチ253がオフであれば(条件2が成立)、動作モード信号S301 を“L”レベルから“H”レベルへ遷移させて「停止発進モード」を起動する。
【0039】
また、「停止発進モード」において、アイドルSWが“オフ”から“オン”(条件3が成立)にされると、動作モード信号S301 を“H”レベルから“L”レベルへ遷移させ、動作モードを「停止発進モード」から「始動&アイドルSWモード」へ戻す。なお、「停止発進モード」あるいは「始動&アイドルSWモード」のいずれにおいても、メインSW173が遮断(条件4が成立)されればオフ状態となる。
【0040】
図9へ戻り、スタータリレー制御部400は、前記各動作モードに応じて所定の条件下でスタータリレー162を起動する。クランキング回転数以下判定部401およびアイドリング回転数以下判定部408にはNeセンサ153の検知信号が入力される。クランキング回転数以下判定部401は、エンジン回転数が所定のクランキング回転数(例えば、600rpm)以下であると“H”レベルの信号を出力する。アイドリング以下判定部408は、エンジン回転数が所定のアイドリング回転数(例えば、1200rpm)以下であると“H”レベルの信号を出力する。
【0041】
AND回路402は、クランキング回転数以下判定部401の出力信号と、ストップスイッチ259の状態信号と、スタータスイッチ258の状態信号との論理積を出力する。AND回路404は、アイドリング以下判定部408の出力信号と、スロットルスイッチ257aの検出信号と、着座スイッチ254の状態信号との論理積を出力する。
【0042】
AND回路403は、前記AND回路402の出力信号と動作モード信号S301 の反転信号との論理積を出力する。AND回路405は、前記AND回路404の出力信号と動作モード信号S301 との論理積を出力する。OR回路406は、前記各AND回路403、405の論理和を始動信号Sinとして出力する。始動信号延長部407は、始動信号Sinのパルス幅が所定の基準時間よりも短いと、これを基準時間以上に延長してスタータリレー162へ出力する。
【0043】
前記始動信号延長部407は、前記始動信号Sinを検知してワンショットのパルス信号を出力するマルチバイブレータ407aと、前記始動信号Sinとマルチバイブレータ407aの出力信号との論理和を延長後の始動信号Sout として出力するOR回路407bとを含む。前記マルチバイブレータ407aは、その出力パルスのパルス幅を可変抵抗の抵抗値に応じて任意に延長できる。
【0044】
図18は、前記始動信号延長部407の動作を示したタイミングチャートであり、マルチバイブレータ407aの可変抵抗値は、出力パルスのパルス幅が始動信号Sinのパルス幅tonにかかわらず0.6秒となるように設定されている。したがって、スタータスイッチ258が0.6秒よりも短い期間しかオンにされない場合でも、マルチバイブレータ407aの出力パルス幅は0.6秒になる。
【0045】
さらに、OR回路407bはマルチバイブレータ407aの出力パルスと始動信号Sinとの論理和を出力するので、始動信号延長部407の出力信号Sout は、始動信号Sout のパルス幅tonが0.6秒未満であれば0.6秒,始動信号Sinのパルス幅tonが0.6秒よりも長ければ、そのパルス幅の信号となる。
【0046】
なお、上記した実施形態では、始動信号を0.6秒まで延長するものとして説明したが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、始動モータ49の回転速度や減速比に応じて最適に設定する必要がある。
【0047】
すなわち、図19に示したように、エンジンを停止させると、そのピストンは爆発上死点(TDC)に至る直前の圧縮工程で停止する確率が高い。そして、次のエンジン始動時にこの状態から始動モータ49を駆動すると、直後の爆発TDCの直前ではエンジンに点火せず、直後の次の爆発TDCの手前で初めて爆発する。したがって、始動モータ49は、少なくともピストンが直後の次の爆発TDCまで達するようにエンジンを回転させなければならない。
【0048】
ただし、ピストンが前記直後の次の爆発TDCの近傍に達した時点で始動モータ49が停止してしまうと、爆発加重が逆転方向に作用してクランクシャフト12が逆転する、いわゆるケッチンが発生してしまう。したがって、前記始動信号延長部407による延長時間は、爆発TDCの手前で停止したピストンが、その直後の圧縮TDCおよび次の圧縮TDCを超える位置まで駆動されるのに要する時間に設定することが望ましい。
【0049】
上記したように、本実施形態では始動信号延長部407を設け、スタータスイッチ258が0.6秒よりも短い期間しか投入されない場合でも、スタータ171は少なくとも0.6秒間は駆動される。したがって、エンジン始動時のケッチンが防止されてエンジン始動音の低減が可能になる。
【0050】
また、本実施形態によれば、スロットルグリップを短時間開くだけでも、始動モータをエンジンの始動に最低限必要な時間は駆動させることができるので、特に自動遠心クラッチを採用した車両では、ドライバはエンジン回転数の上昇に気遣うことなく、容易なスロットル操作でエンジンを始動させることができる。
【0051】
さらに、上記したスタータリレー制御によれば、「始動&アイドルスイッチモード」ではAND回路403がイネーブル状態となる。したがって、エンジン回転数がクランキング回転数以下であり、かつストップスイッチ259がオン状態(ブレーキ操作中)のときにスタータスイッチ258が運転者によりオンされる(AND回路402の出力が“H”レベルになる)と、スタータリレー162が導通してスタータモータ171が起動される。
【0052】
また、「停止発進モード」では、AND回路405がイネーブル状態となる。したがって、エンジン回転数がアイドリング以下であり、着座スイッチ254がオン状態(運転者がシートに着座中)のときにスロットルが開かれる(AND回路404の出力が“H”レベルになる)と、スタータリレー162が導通してスタータモータ171が起動される。
【0053】
図10のスタンバイインジケータ制御部600では、車速ゼロ判定部601に車速センサ255の検知信号が入力され、車速が実質的にゼロであれば“H”レベルの信号を出力する。Ne判定部602にはNeセンサ153の検知信号が入力され、エンジン回転数が所定値以下であれば“H”レベルの信号を出力する。AND回路603は、前記各判定部601、602の出力信号の論理積を出力する。
【0054】
AND回路604は、前記AND回路603の出力信号と着座スイッチ254の反転信号との論理積を出力する。AND回路605は、前記AND回路603の出力信号と着座スイッチ254の出力との論理積を出力する。点灯/点滅制御部606は、AND回路604の出力信号が“H”レベルであれば点灯信号を発生し、“L”レベルであれば点滅信号を発生する。AND回路607は、点灯/点滅制御部606の出力信号と動作モード信号S301 との論理積を出力する。スタンバイインジケータ256は、点灯信号に応答して点灯し、点滅信号に応答して点滅する。
【0055】
このようなスタンバイインジケータ制御によれば、図13に示したように、スタンバイインジケータ256は「停止発進モード」中の停車時に、運転者が非着座であれば点灯し、着座していれば点滅する。したがって、運転者はスタンバイインジケータ256が点滅していれば、エンジンが停止していてもアクセルグリップを開きさえすれば直ちに発進できることを認識することができる。
【0056】
図10の点火制御部700は、前記各動作モード毎に、所定の条件下で点火制御装置161による点火動作を許可または禁止する。
【0057】
走行判定部701は、車速センサ255の検知信号に基づいて車両が走行状態にあるか否かを判別し、走行状態にあると“H”レベルの信号を出力する。OR回路706は、走行判定部701の出力信号とスロットルスイッチ257aの出力信号との論理和を出力する。AND回路707は、着座スイッチ254の出力信号と前記OR回路706の出力信号との論理積を出力する。したがって、AND回路707の出力は、スロットルが開いているか、あるいは車速が0よりも大きく、かつ運転者が着座しているときに“H”レベルとなる。
【0058】
AND回路702は、着座スイッチ254の出力信号と、前記走行判定部701の反転信号と、スロットルスイッチ257aの反転信号との論理積を出力する。タイマ703は、入力信号を所定時間(本実施形態では、3秒)だけ遅延して出力する。NAND回路705は、前記AND回路702の出力信号とタイマ703の出力信号との論理積を反転出力する。したがって、NAND回路705の出力は、スロットルが閉じており、車速が0で、かつ運転者が着座している状態が3秒間継続すると“L”レベルとなる。
【0059】
切換回路708の可動接点は、点火制御装置161が点火動作中はNAND回路705側に切り換えられ、停止中はAND回路707側に切り換えられる。OR回路709は、前記動作モード信号S301 の反転信号と切換回路708の出力の反転信号との論理和を点火制御装置161へ出力する。
【0060】
上記した構成の点火制御部700によれば、図14に示したように、「始動&アイドルSWモード」ではOR回路709の出力が常に“H”レベルとなるので点火制御が常に許可される。
【0061】
これに対して、「停止発進モード」では、車両が停止してエンジンが自動停止されると、運転者が着座しているときにスロットルが開いているか、あるいは車速が0よりも大きくなると点火制御が許可される。一方、車両が走行状態から停止したときは、運転者の着座が検知されれば点火制御が禁止されてエンジンが自動停止されるが、運転者の着座が検知されなければ、点火制御が許可され続けるのでエンジンは自動停止されない。
【0062】
したがって、着座スイッチ254に不具合が生じたために運転者が着座しているにもかかわらずこれを検知できない場合には、車両が走行状態から停止してもエンジンが自動停止されないので、発進時のエンジン始動が不要となる。したがって、運転者の着座を条件にエンジンの自動始動を許可するシステムにおいて着座スイッチ254に不具合が生じても、走行に支障が生じることはない。
【0063】
さらに、本実施形態によれば、車両が走行状態から停止したときに運転者の着座が検知されていても、直ぐには点火制御を禁止せず、所定時間(本実施形態では、3秒)経過後に禁止するようにしている。したがって、交差点での一時停止時や、運転者が着座状態で車速がほぼゼロ、かつスロットル開度が全閉に近いUターン時には、エンジンを始動させ続けておくことが可能になる。
【0064】
図10の点火ノック制御部200は、前記各動作モード毎に、加速時の点火時期を常時よりもリタードさせることによってノッキングの発生を防止する。特に、本実施形態ではエンジン停止状態から加速する発進加速時のリタード量を、エンジンが回転している状態からの通常加速時のリタード量よりも大きくすることで、エンジン自動停止始動装置を搭載した車両に固有の、発進加速時におけるノッキングの発生を完全に防止している。
【0065】
標準点火時期決定部207には、標準点火時期がTDC(爆発上死点)からの進角角度(deg)として、エンジン回転数Neおよびスロットル開度θの関数として予め登録されている。図16は、本実施形態におけるエンジン回転数Neおよびスロットル開度θと標準点火時期との関係を示した図であり、エンジン回転数が2500回転に達するまでは15度(deg;進角)とし、2500回転を越えるあたりからエンジン回転数Neに応じて徐々に進角量を増している。
【0066】
Ne判定部201は、エンジン回転数Neが700rpm<Ne<3000rpmであれば、通常加速信号Sacc1を“H”レベルとし、700rpm<Ne<2500rpmであれば、発進時加速信号Sacc2を“H”レベルとする。なお、発進時加速信号Sacc2を発生する際のエンジン回転数Neの下限値(本実施形態では、700rpm)は、エンジンのクランキング回転数に設定することが望ましい。
【0067】
加速判定部205は、スロットルセンサ257により検知されたスロットル開度θの変化率Δθが所定値を越えると、加速操作がなされたものと判定して“H”レベルの加速検知信号を出力する。水温判定部206は、水温センサ155の検知信号に基づいてエンジン冷却水の水温を判定し、水温が所定温度(本実施形態では、50℃)を越えると出力を“H”レベルとする。
【0068】
AND回路202は、前記通常加速信号Sacc1、加速検知信号、水温判定信号および動作モード信号S301 の反転信号の論理積を出力する。AND回路203は、前記発進時加速信号Sacc2、加速検知信号、水温判定信号および動作モード信号S301 の論理積を出力する。
【0069】
加速時点火時期補正部204は、前記各AND回路202、203の出力がいずれも“L”レベル、すなわち車両が加速状態になければ、前記標準点火時期決定部207により決定された標準点火時期(図16)を点火制御装置161へ通知する。点火制御装置161は、加速時点火時期補正部204を介して通知された点火タイミングで点火動作を実行する。
【0070】
また、AND回路202の出力信号が“H”レベル、すなわち、図14に示したように、「始動&アイドルSWモード」においてエンジン回転数Neが700rpm<Ne<3000であり、かつ運転者により加速操作がなされ、かつ水温が所定値(本実施形態では、50℃)を超えていると、図17に破線Aで示したように、点火時期を前記標準点火時期決定部207による決定結果にかかわらず、7度(進角)までリタードさせる。
【0071】
一方、AND回路203の出力信号が“H”レベル、すなわち、図14に示したように、「停止発進モード」においてエンジン回転数Neが700rpm<Ne<2500であり、かつ運転者により加速操作がなされ、かつ水温が所定値を超えていると、図17に実線Bで示したように、点火時期を前記点火時期決定部207による決定結果にかかわらず、0度までリタードさせる。
【0072】
なお、加速時点火時期補正部204はカウンタ204aを備え、いずれかのAND回路202、203の出力が“H”レベルになると、上記したリタード点火を直ちに所定回数(本実施形態では、3回)だけ実行し、その後は直ちに、前記標準点火時期決定部207による通常の点火タイミングへ復帰する。
【0073】
このような点火ノック制御によれば、中速回転域からの通常加速時と発進加速時とで異なるリタード量を設定することができ、発進加速時のリタード量を中速回転域からの通常加速時よりも大きく設定することにより、中速回転域からの通常加速時のみならず、発進加速時のノッキングも防止できる。
【0074】
図11の前照灯制御部800では、Ne判定部801がNeセンサ153の検知信号に基づいて、エンジン回転数が所定の設定回転数(アイドル回転数未満)以上であるか否かを判定し、設定回転数以上であれば“H”レベルの信号を出力する。AND回路802は、Ne判定部801の出力信号と動作モード信号S301 の反転信号との論理積を出力する。AND回路803は、Ne判定部801の出力信号と動作モード信号S301 との論理積を出力する。
【0075】
点灯/減光切換部804は、AND回路802の出力信号が“H”レベルであれば“H”レベルを出力し、“L”レベルであればデューティー比50%のパルス信号を出力する。点灯/多段減光切換部805は、AND回路803の出力信号が“H”レベルであれば“H”レベルを出力し、“L”レベルであれば、その継続時間をタイマ805aでカウントし、継続時間に応じてデューティー比が段階的に減少するパルス信号を出力する。本実施形態では、デューティー比を95%から0.5ないし1秒間で段階的に50%まで減少させる。このような段階的な減光方法によれば、光量が瞬時かつリニアに減少するので、節電と高い商品性の維持とが達成される。
【0076】
このような前照灯制御によれば、図13に示したように、「始動&アイドルSWモード」では、エンジン回転数Neに応じて前照灯が点灯あるいは減光され、「停止発進モード」では、エンジン回転数Neに応じて前照灯が点灯あるいは段階的に減光される。したがって、対向車からの十分な視認性は維持しながら、停車時におけるバッテリの放電を抑制できる。この結果、その後の発進時には発電機からバッテリへの充電量を減じることができ、発電機の電気負荷が減少するので発進時の加速性能が向上する。
【0077】
図11のバイスタータ制御部900では、水温センサ155の検知信号が水温判定部901に入力される。この水温判定部901は、水温が第1の予定値(本実施形態では、50℃)以上であると“H”レベルの信号を出力してバイスタータリレー164を閉じ、第2の予定値(本実施形態では、10℃)以下になると“L”レベルの信号を出力してバイスタータリレー164を開く。
【0078】
このようなバイスタータ制御によれば、水温が高くなれば燃料が濃くなり、低くなれば自動的に薄くなる。また、本実施形態ではバイスタータリレー164の開閉温度にヒステリシスを設定しているので、臨界温度付近で生じ得るバイスタータリレー164の不要な開閉動作を防止できる。
【0079】
図11の充電制御部500では、加速操作検知部502に車速センサ255の検知信号とスロットルセンサ257の検知信号とが入力され、図14に示したように、車速が0よりも大きく、かつスロットルが全閉状態から全開状態まで0.3秒以内に開かれると、加速操作と判定して加速検知パルスを発生する。
【0080】
加速時充電制限部504は、前記加速検知パルス信号に応答してレギュレータレクティファイア167を制御し、バッテリ168の充電電圧を常時の14.5Vから12.0Vへ低下させる。
【0081】
前記加速時充電制限部504は更に、前記加速検知パルスに応答して6秒タイマ504aをスタートし、このタイマ504aがタイムアウトするか、あるいはエンジン回転数Neが設定回転数以上になるか、あるいはスロットル開度が減少すると、充電制限を解除して充電電圧を12.0Vから14.5Vへ戻す。
【0082】
発進操作検知部503には、車速センサ255の検知信号と、Neセンサ153の検知信号と、スロットルセンサ257の検知信号とが入力され、図14に示したように、車速が0、かつエンジン回転数Neが設定回転数(本実施形態では、2500rpm)以下のときにスロットルが開いていると、発進操作と判定して発進検知パルスを発生する。
【0083】
発進時充電制限部505は、前記発進検知パルス信号を検出すると、レギュレータレクティファイア167を制御してバッテリ168の充電電圧を常時の14.5Vから12.0Vへ低下させる。
【0084】
前記発進時充電制限部505は更に、前記発進検知パルスに応答して7秒タイマ505aをスタートし、このタイマ505aがタイムアウトするか、あるいはエンジン回転数Neが設定回転数以上になるか、あるいはスロットル開度が減少すると、充電制限を解除して充電電圧を12.0Vから14.5Vへ戻す。
【0085】
このような充電制御によれば、運転者がスロットルを急激に開いて急加速した場合、あるいは停止状態からの発進時には充電電圧が低く抑えられ、発電機172の電気負荷が一時的に低減される。したがって、発電機172によりもたらされるエンジン200の機械的負荷が低減されて加速性能が向上する。
【0086】
図12の停車後非着座制御部100は、運転者が経験的にスタータスイッチによりエンジンを始動し得るタイミングでは、本来的には禁止されているスタータスイッチ258によるエンジン始動を例外的に許可する。
【0087】
AND回路102は、動作モード信号S301 と着差スイッチ254の反転信号との論理積を出力する。非着座継続判定部101はタイマ101aを備え、エンジンの自動停止後にAND回路102の“H”レベルが所定時間以上検知される。すなわち、「停止発進モード」においてエンジンの自動停止後に運転者の非着座が所定時間以上継続すると、出力信号を“H”レベルに設定する。この結果、点火制御装置161が付勢されて点火許可状態となる。
【0088】
OR回路103は、スタータスイッチ258およびスロットルスイッチ257aの各出力の論理和を出力する。AND回路104は、前記非着座継続判定部101およびOR回路103の各出力信号の論理積をスタータリレー162へ出力する。すなわち、「停止発進モード」においてエンジンの自動停止後に運転者の非着座が所定時間以上継続(非着座継続判定部101の出力が“H”レベル)したあとに、スタータスイッチ258が投入、あるいはスロットルが開かれると、スタータリレー162が付勢されてスタータモータ171が駆動される。このとき、点火制御装置161は前記非着座継続判定部101により付勢されているので、エンジンの始動が可能になる。
【0089】
このような停車後非着座制御によれば、所定の停車条件に応答してエンジンを停止した後でも、運転者の非着座状態が所定時間継続して検知されるとスタータスイッチ258によるエンジン始動が例外的に許可される。したがって、停車時にエンジンが自動停止されて運転者が主電源を遮断せずにそのまま車両から離れ、その後、車両に戻った運転者がエンジンの自動停止制御下であったことを失念してスタータスイッチ258を操作しても、エンジンを常時と同様に始動させることができる。
【0090】
なお、上記した停車後非着座制御では、「停止発進モード」でのエンジンの自動停止後に、運転者の非着座が所定時間以上継続したことを条件にスタータスイッチ258によるエンジン始動を例外的に許可するものとして説明したが、図12に破線で示したように、動作切換部300を制御して動作モードを「停止発進モード」から「始動&アイドルSWモード」へ切り換えることでスタータスイッチ258によるエンジン始動を許可しても良い。あるいは、図15に“条件5”として示したように、メインスイッチ173を遮断することで、スタータスイッチ258によるエンジン始動を実質的に許可するようにしても良い。
【0091】
図3は、前記スイングユニット17の第2実施形態の断面図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。
【0092】
上記した第1実施形態では、始動モータ49と連結されるスプロケット58を、ワンウェイクラッチ50を介して発電機44のアウターロータ42に結合するものとして説明したが、本実施形態では、クランク室9を挟んで発電機44とは反対側のプーリ83および主軸受10間に、スプロケット58を前記と同様の機能を有するワンウェイクラッチ50を介してクランクシャフト12に結合している。
【0093】
ワンウェイクラッチ50は、クランクシャフト12に固定された一方のスリーブ57bと、スプロケット58をクランクシャフト12に対して回転自在に支持する他方のスリーブ55bと、前記各スリーブ55b、57bを、クランクシャフト12がスプロケット58に対して相対的に逆転方向へ空転することを阻止し、正転方向へ空転することを許容するように結合するクラッチ部56bとにより構成されている。
【0094】
本実施形態によれば、始動モータ49の駆動力をクランクシャフト12へ伝達するためのスプロケット58を、クランク室9よりも自動変速機のプーリ83側に設け、クランク室9を挟んで自動変速機側のクランク長を発電機側よりも長くしたので、重量物であるエンジンの中心位置をタイヤ中心すなわち車両の中心に配置することができる。したがって、スイングユニット17に捩じれやモーメントが発生しにくくなり、重量配分が良好になって走行安定性が向上する。
【0095】
さらに、本実施形態によれば、始動モータ49と連結されるスプロケット58が、クランクシャフトの軸方向にタイヤ21から離れた位置でクランクシャフト12に連結されるので、スプロケット58の大径化が可能となり、大きな減速比を得られるので始動モータ49の小型化および軽量化が可能になる。
【0096】
図4は、前記スイングユニット17の第3実施形態の断面図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。
【0097】
本実施形態では、前記ワンウェイクラッチ50のクランクシャフト側のスリーブ57cを、固定プーリ片83aの背面つまりVベルト82と当接しない面に一体的に形成し、他方のスリーブ55cを、固定プーリ片83aの軸方向外側に延長されたフランジ部83dに固定することで、スプロケット58が一方向クラッチ50および固定プーリ片83aを介してクランクシャフト12の端部に結合されるようにした。
【0098】
本実施形態によれば、スプロケット58およびそのチェーン40がクランクシャフト12の最外郭に取り付けられるので、その取り付け、取り外しが容易となってメインテナンスが容易になり、さらには既存のスイングユニットの改造による取付も極めて容易となる。
【0099】
さらに、本実施形態でも前記第2実施形態と同様に、スプロケット58がクランクシャフトの軸方向にタイヤ21から離れた位置でクランクシャフト12に連結されるので、スプロケット58の大径化が可能となり、大きな減速比を得られるので始動モータ49の小型軽量化が可能になる。
【0100】
図6は、前記スイングユニット17の第4実施形態の主要部の断面図、図7は、スイングユニット17のクランクシャフト12に垂直な平面での断面図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。
【0101】
上記した第1ないし第3実施形態では、エンジン始動時に発生する始動音を低く抑えるために、クランクシャフト12に設けたスプロケット58と始動モータ49とをチェーン40により連結した。これに対して本実施形態では、スプロケット58と始動モータ49とをギア列で常時連結すると同時に、クランクシャフト12とスプロケット58とを、前記と同様にワンウェイクラッチ50を介して連結することにより、飛び込みギアを用いることなく、クランクシャフト12側から始動モータ49側への動力伝達を遮断するようにした。これにより、飛び込みギアを用いることなく始動モータからクランクシャフトへの一方向連結が可能になるので、エンジン始動時の騒音低減が可能になる。
【0102】
図6、7において、始動モータ49の回転軸にはギア歯221が形成され、このギア歯221には、ドライブ軸234に連結された大径歯車222が歯合している。さらに、ドライブ軸234には前記大径歯車222と同軸状に隣接して小径ギア223が形成され、この小径ギア223にクランクシャフト12のスプロケット58が歯合している。
【0103】
前記ドライブ軸234は、エンジンの始動頻度が高くなるエンジン始動装置において摺動摩耗や摩耗ガタによる騒音増加を防止するために、前記大径歯車222および小径ギア223を挟んだ両側部において、一対の含油ブッシュ式ベアリング234a,234bにより回転自在に軸支されている。また、本実施形態では上記した歯車列から発生する騒音を抑えるために、相互に歯合するギア歯に対してシェービング加工あるいは歯研を施している。
【0104】
ここで、本実施形態ではクランクシャフト12に設けたスプロケット58と始動モータ49との連結に飛び込み歯車を採用せず、両者を固定的な歯車列により常時連結しているため、始動モータ49側からクランクシャフト12側への動力伝達は許容してクランクシャフト12側から始動モータ49側への動力伝達は遮断する一方向連結のための構成が別途に必要となる。そこで、本実施形態では前記スプロケット58を、前記と同様にワンウェイクラッチ50を介してクランクシャフト12に連結している。
【0105】
したがって、エンジン始動時に前記始動モータ49が駆動されてスプロケット58がクランクシャフト12の正転方向へ駆動されれば、これに追従してクランクシャフト12も正転方向へ駆動される。これに対してエンジン始動後は、始動モータ49が停止してもクランクシャフト12がスプロケット58に対して空転するので、クランクシャフト12の駆動力が始動モータ49へ伝達されることはない。
【0106】
上記したように、本実施形態によれば、始動モータ49とクランクシャフト12とを飛び込みギアを用いることなく連結することができるので、飛び込みギアの作動音が発生しない分だけエンジン始動時の騒音を低く抑えることが可能になる。
【0107】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
【0108】
(1) 請求項1の発明によれば、始動モータを駆動させるための始動操作が短時間しか行われない場合であっても、始動モータを基準時間以上駆動させることができるので、始動モータの駆動時間が短いことに起因して生じるエンジン始動時のケッチンを防止でき、エンジン始動時の騒音を低減することができる。
【0109】
(2) 請求項2の発明によれば、ドライバが自らの意思により始動モータを長く駆動させたい場合には、それを可能にすることができる。
【0110】
(3) 請求項3の発明によれば、始動モータをスタータスイッチで始動する車両において、エンジン始動時のケッチンを防止してエンジン始動時の騒音を低減することができる。
【0111】
(4) 請求項4の発明によれば、エンジンの自動停止始動システムを具備した車両において、エンジン始動時のケッチンを防止してエンジン始動時の騒音を低減することができる。
【0112】
(5) 請求項5、6の発明によれば、爆発上死点の手前で停止したピストンを、その直後の爆発上死点および次の爆発上死点を超える位置まで駆動することができるので、エンジン始動時のケッチンを確実に防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 エンジン自動停止始動システムを備えた車両のスイングユニットの第1実施形態の断面図である。
【図2】 第1実施形態のスイングユニットのクランクシャフトに垂直な平面での断面図である。
【図3】 エンジン自動停止始動システムを備えたスイングユニットの第2実施形態の断面図である。
【図4】 エンジン自動停止始動システムを備えたスイングユニットの第3実施形態の断面図である。
【図5】 エンジン自動停止始動システムを搭載した自動二輪車の側面図である。
【図6】 エンジン自動停止始動システムを備えたスイングユニットの第4実施形態の断面図である。
【図7】 第4実施形態のスイングユニットのクランクシャフトに垂直な平面での断面図である。
【図8】 本発明の一実施形態であるエンジン自動停止始動システムのブロック図である。
【図9】 主制御装置の機能を示したブロック図(その1)である。
【図10】 主制御装置の機能を示したブロック図(その2)である。
【図11】 主制御装置の機能を示したブロック図(その3)である。
【図12】 主制御装置の機能を示したブロック図(その4)である。
【図13】 主制御装置の主要動作を一覧表示した図(その1)である。
【図14】 主制御装置の主要動作を一覧表示した図(その2)である。
【図15】 動作モードの切り換え条件を示した図である。
【図16】 エンジン回転数Neおよびスロットル開度θと標準点火時期との関係を示した図である。
【図17】 エンジン回転数と点火時期との関係を示した時である。
【図18】 図9の始動信号延長部の動作を示したタイミングチャートである。
【図19】 図9の始動信号延長部による始動時間の延長時間の決定方法を示した図である。
【符号の説明】
9…クランク室、12…クランクシャフト、17…スイングユニット、21…タイヤ、31…スイングユニットケース、32…シリンダヘッド、40…チェーン、44…発電機、49…始動モータ、50…ワンウェイクラッチ、58…始動モータ用スプロケット、70…エアクリーナカバー、71…エアクリーナ、83…プーリ[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an engine starter that starts an engine using a starter motor, and in particular, automatically stops in response to a predetermined stop condition while the engine is running on a vehicle, and responds to a predetermined start operation after stopping. The present invention relates to an engine starter suitable for a vehicle that employs an automatic stop start system that restarts.
[0002]
[Prior art]
In order to reduce the noise generated at the start of the engine, various techniques have been proposed, including, for example, Japanese Patent Application Laid-Open No. 11-30139.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
When starting the engine, if the start operation time by the driver is short and the start motor is driven only for a very short time, the start motor stops before the piston exceeds the top dead center immediately after the explosion, and the explosion load is reversed. A phenomenon in which the crankshaft reverses by acting in the direction, so-called ketting, is generated, and knocking noise, gear noise, and the like are generated.
[0004]
An object of the present invention is to solve the above-described problems of the prior art and provide an engine starter that suppresses engine start-up noise to a low level.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above-described object, the present invention provides an engine starter for driving a starter motor in response to an engine start operation, a start signal generating means for generating a start signal corresponding to the start operation period, A start signal extending means for outputting a start signal shorter than a predetermined reference time by extending the start signal to the reference time or more, and a drive means for driving the start motor by the output signal of the start signal extending means.
[0006]
According to the above-described feature, even when the starting operation for driving the starting motor is performed only for a short time, the starting motor can be driven for a reference time or more. Accordingly, it is possible to prevent the kicking at the time of starting the engine due to the short driving time of the starting motor, and to reduce the engine starting sound.
[0007]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail with reference to the drawings. FIG. 5 is an overall side view of a motorcycle equipped with the engine stop / start control device of the present invention. The vehicle
[0008]
In the vehicle
[0009]
A link member (hanger) 37 is pivotally supported in the middle of the main pipe 7, and the
[0010]
An
[0011]
FIG. 1 is a cross-sectional view of the first embodiment of the
[0012]
The
[0013]
One (crankshaft side)
[0014]
The
[0015]
On the other hand, after the engine is started, even if the
[0016]
A
[0017]
The
[0018]
A
[0019]
A
[0020]
A
[0021]
A
[0022]
In the driven portion AT2 of the automatic transmission, a fixed
[0023]
As described above, according to the present embodiment, the
[0024]
Further, when the
[0025]
Furthermore, according to this embodiment, the
[0026]
Next, an engine automatic stop / start system to which the present invention is applied will be described. This system includes an operation mode that permits idling (hereinafter referred to as “start & idle switch (SW) mode”) and an operation mode that restricts (or prohibits) idling (hereinafter referred to as “stop start mode”). ing.
[0027]
In the “start & idle switch (SW) mode” that permits idling, idling is temporarily permitted after the first engine start after turning on the main power for the purpose of warm-up operation at the time of engine start. Also, idling is permitted even after the first engine start described above, depending on the driver's will (idle SW is “ON”).
[0028]
On the other hand, in the “stop / start mode” where idling is restricted, the engine is automatically stopped when the vehicle is stopped, and the engine is automatically restarted when the accelerator is operated in the stopped state, thereby allowing the vehicle to start. .
[0029]
FIG. 8 is a block diagram showing the overall configuration of the automatic start / stop system in the
[0030]
The
[0031]
The
[0032]
Further, the
[0033]
9 to 12 are block diagrams (No. 1, No. 2, No. 3, and No. 4) functionally showing the configuration of the
[0034]
13 and 14, the starter
[0035]
In FIG. 9, when the state of the
[0036]
A state signal of the
[0037]
FIG. 15 is a diagram schematically showing the operation mode switching conditions by the operation mode
[0038]
Furthermore, in the “start & idle SW mode”, a vehicle speed of a predetermined speed (for example, 10 km / h) or higher is detected, and the water temperature is equal to or higher than a predetermined temperature (for example, a temperature at which the warm-up operation is predicted to be completed), If the
[0039]
Further, in the “stop start mode”, when the idle SW is changed from “off” to “on” (
[0040]
Returning to FIG. 9, the starter
[0041]
The AND
[0042]
The AND
[0043]
The start
[0044]
FIG. 18 is a timing chart showing the operation of the
[0045]
Further, since the OR
[0046]
In the above-described embodiment, the start signal has been described as extending to 0.6 seconds. However, the present invention is not limited to this, and is optimal according to the rotation speed and reduction ratio of the
[0047]
That is, as shown in FIG. 19, when the engine is stopped, there is a high probability that the piston will stop in the compression process immediately before reaching the explosion top dead center (TDC). When the
[0048]
However, if the
[0049]
As described above, in this embodiment, the
[0050]
Further, according to this embodiment, even if the throttle grip is opened for a short time, the starter motor can be driven for the minimum time required to start the engine. The engine can be started with a simple throttle operation without worrying about an increase in the engine speed.
[0051]
Further, according to the starter relay control described above, the AND
[0052]
In the “stop / start mode”, the AND
[0053]
In the standby
[0054]
The AND
[0055]
According to such standby indicator control, as shown in FIG. 13, the
[0056]
The
[0057]
The traveling
[0058]
The AND
[0059]
The movable contact of the
[0060]
According to the
[0061]
On the other hand, in the “stop start mode”, when the vehicle is stopped and the engine is automatically stopped, the ignition control is performed when the throttle is opened when the driver is seated or when the vehicle speed becomes higher than zero. Is allowed. On the other hand, when the vehicle stops from the running state, if the driver's seating is detected, the ignition control is prohibited and the engine is automatically stopped, but if the driver's seating is not detected, the ignition control is permitted. The engine will not automatically stop because it continues.
[0062]
Therefore, if the
[0063]
Furthermore, according to the present embodiment, even if the driver's seating is detected when the vehicle stops from the running state, the ignition control is not immediately prohibited, and a predetermined time (3 seconds in the present embodiment) has elapsed. It is banned later. Therefore, it is possible to keep the engine started when the vehicle is temporarily stopped at the intersection or when the driver is seated and the vehicle speed is almost zero and the throttle opening is almost fully closed.
[0064]
The ignition
[0065]
In the standard ignition
[0066]
The
[0067]
When the change rate Δθ of the throttle opening θ detected by the
[0068]
The AND
[0069]
The acceleration timing fire
[0070]
Further, the output signal of the AND
[0071]
On the other hand, the output signal of the AND
[0072]
The acceleration timing ignition
[0073]
According to such ignition knock control, different retard amounts can be set for normal acceleration and start acceleration from the medium speed rotation range, and the retard amount during start acceleration can be set as normal acceleration from the medium speed rotation range. By setting it larger than the time, knocking at the time of starting acceleration as well as normal acceleration from the medium speed rotation region can be prevented.
[0074]
In the
[0075]
The lighting /
[0076]
According to such a headlamp control, as shown in FIG. 13, in the “start & idle SW mode”, the headlamp is turned on or dimmed according to the engine speed Ne, and the “stop start mode”. Then, the headlamp is turned on or dimmed stepwise in accordance with the engine speed Ne. Therefore, it is possible to suppress battery discharge when the vehicle is stopped while maintaining sufficient visibility from the oncoming vehicle. As a result, the amount of charge from the generator to the battery can be reduced at the subsequent start, and the electric load of the generator is reduced, so that the acceleration performance at the start is improved.
[0077]
In the
[0078]
According to such bi-starter control, the fuel becomes thicker when the water temperature becomes higher, and automatically becomes thinner when the water temperature becomes lower. Further, in this embodiment, since hysteresis is set for the switching temperature of the
[0079]
In the charging
[0080]
The acceleration
[0081]
The
[0082]
The start
[0083]
When the start-up
[0084]
The start-up
[0085]
According to such charging control, when the driver suddenly opens the throttle and accelerates rapidly, or when starting from the stop state, the charging voltage is kept low, and the electric load of the
[0086]
The
[0087]
The AND
[0088]
The OR
[0089]
According to such non-seating control after stopping, even after the engine is stopped in response to a predetermined stopping condition, the engine start by the
[0090]
In the non-seating control after stopping as described above, the engine start by the
[0091]
FIG. 3 is a cross-sectional view of the second embodiment of the
[0092]
In the first embodiment described above, the
[0093]
The one-way clutch 50 includes one
[0094]
According to this embodiment, the
[0095]
Furthermore, according to the present embodiment, the
[0096]
FIG. 4 is a cross-sectional view of the third embodiment of the
[0097]
In this embodiment, the
[0098]
According to this embodiment, since the
[0099]
Furthermore, in this embodiment as well as the second embodiment, since the
[0100]
FIG. 6 is a cross-sectional view of the main part of the fourth embodiment of the
[0101]
In the first to third embodiments described above, the
[0102]
6 and 7,
[0103]
The
[0104]
Here, in the present embodiment, the
[0105]
Therefore, if the starting
[0106]
As described above, according to the present embodiment, since the
[0107]
【The invention's effect】
According to the present invention, the following effects are achieved.
[0108]
(1) According to the invention of
[0109]
(2) According to the invention of
[0110]
(3) According to the invention of
[0111]
(4) According to the invention of
[0112]
(5) According to the inventions of
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view of a first embodiment of a vehicle swing unit equipped with an engine automatic stop / start system.
FIG. 2 is a cross-sectional view taken along a plane perpendicular to the crankshaft of the swing unit of the first embodiment.
FIG. 3 is a cross-sectional view of a second embodiment of a swing unit provided with an engine automatic stop / start system.
FIG. 4 is a cross-sectional view of a third embodiment of a swing unit provided with an engine automatic stop / start system.
FIG. 5 is a side view of a motorcycle equipped with an engine automatic stop / start system.
FIG. 6 is a cross-sectional view of a fourth embodiment of a swing unit provided with an engine automatic stop / start system.
FIG. 7 is a cross-sectional view taken along a plane perpendicular to the crankshaft of the swing unit according to the fourth embodiment.
FIG. 8 is a block diagram of an engine automatic stop / start system according to an embodiment of the present invention.
FIG. 9 is a block diagram (part 1) showing functions of the main control unit.
FIG. 10 is a block diagram (No. 2) showing functions of the main control device.
FIG. 11 is a block diagram (No. 3) showing functions of the main control device.
FIG. 12 is a block diagram (No. 4) showing functions of the main control device.
FIG. 13 is a diagram (part 1) showing a list of main operations of the main control device.
FIG. 14 is a diagram (part 2) showing a list of main operations of the main control device.
FIG. 15 is a diagram showing operating mode switching conditions;
FIG. 16 is a graph showing the relationship between engine speed Ne, throttle opening θ, and standard ignition timing.
FIG. 17 shows a relationship between the engine speed and the ignition timing.
18 is a timing chart showing the operation of the start signal extension part of FIG. 9. FIG.
FIG. 19 is a diagram showing a method of determining an extension time of the start time by the start signal extension unit of FIG.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
Claims (4)
前記エンジンが4サイクルエンジンであって、
始動操作の期間に対応した始動信号を発生する始動信号発生手段と、
所定の基準時間よりも短い始動信号を前記所定の基準時間以上に延長して出力する始動信号延長手段と、
前記始動信号延長手段の出力信号により始動モータを駆動する駆動手段とを含み、
前記始動信号延長手段は、爆発上死点の手前で停止したピストンが、その直後の爆発上死点および次の爆発上死点を超える位置まで駆動されるように、前記始動信号を延長することを特徴とするエンジンの始動装置。In an engine starter that drives a starter motor in response to an engine start operation,
The engine is a four-cycle engine;
Start signal generating means for generating a start signal corresponding to the period of the start operation;
Start signal extension means for outputting a start signal shorter than a predetermined reference time by extending it beyond the predetermined reference time; and
Drive means for driving the starter motor by the output signal of the start signal extension means,
The starting signal extending means extends the starting signal so that the piston stopped before the explosion top dead center is driven to a position exceeding the explosion top dead center immediately after that and the next explosion top dead center. An engine starting device.
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