以下、図面を参照して、この発明の一実施の形態に係るアナログコピープロテクトシステムを説明する。
図1は、この発明の一実施の形態に係るアナログコピープロテクト(ACP)システムを説明する図である。この実施形態では、ビデオ信号がデジタル信号段階でスクランブルされる。
すなわち、DVDビデオプレーヤなどで再生されたデジタルコンポーネントビデオ信号(たとえばフレーム転送レートが毎秒48〜60枚のプログレッシブ信号)S10は、エンコード情報(スクランブル情報SI)に基づき、スクランブラ100において、スクランブル(エンコード)される。このエンコードは、種々な情報を、スクランブル後のビデオ信号の垂直帰線期間情報VBIに乗せる処理も含むことができる。
スクランブルされたデジタルコンポーネントビデオ信号(VBIに種々な情報を含む;図26、図27、図29参照)S12は、DAC102により、対応するアナログコンポーネントビデオ信号に変換される。
DAC102からのアナログコンポーネントビデオ信号(スクランブルされている)は、スイッチSW10の接点s(送信)を介して、アナログコンポーネントビデオ(Y/Cb/Cr)の出力端子HY1(ハイブリッドY端子1)に導かれる。
図1の構成において、スクランブラ(エンコーダ)100、DAC102、後述する認証キー交換部/暗号化キー作成部104、スイッチSW10、および端子HY1は、ソース機器(DVDビデオプレーヤなど)側トランスミッタ10を構成している。
端子HY1からのアナログコンポーネントビデオ信号S20は、信号ケーブル(たとえば3線独立の同軸ケーブルを1本に束ねたコンポーネント接続ケーブル)20を介して、シンク機器(HDTVなど)側レシーバ30のアナログコンポーネントビデオ(Y/Cb/Cr)の入力端子HY2(ハイブリッドY端子2)に送られる。
端子HY2で受信されたアナログコンポーネントビデオ信号S20は、スイッチSW20の接点r(受信)を介して、デ・スクランブラ300に供給される。
デ・スクランブラ300は、供給された信号S20のVBIに含まれる認証情報を、認証キー交換部/暗号化キー作成部304、スイッチSW20の接点s(送信)、ケーブル20、およびトランスミッタ10のスイッチSW10の接点r(受信)を介して、認証キー交換部104に送る。
ここで、スイッチSW10、SW20の切り替えは、VBIの転送に同期(つまりビデオフレームに同期)したタイミングで、行うことができる。この切り替えタイミングの間、転送されるVBI情報は、認証キー交換部/暗号化キー作成部104、304あるいはエンコーダ100、デコーダ300の内部メモリ(図示せず)に、一時保存できる。
トランスミッタ10の認証キー交換部/暗号化キー作成部104は、受信した認証情報および暗号化キーをスクランブラ100に伝える。この認証情報により相手(レシーバ30)を確認したスクランブラ100は、スクランブル解除に用いる暗号キー情報をVBIに乗せ、ケーブル20を介して、デ・スクランブラ300に送る。
デ・スクランブラ300は、送られてきた暗号キー情報に基づいて(場合によっては受信済みの認証情報も併用して)、相手(トランスミッタ10)側でスクランブルに用いた解読キーを再生し、この解読キーにより、スクランブルされたアナログコンポーネントビデオ信号S20をデ・スクランブル(デコード)する。このデコードは、VBIに乗った種々な情報(図27の制御コマンドなど)に基づく処理も含むことができる。
ここで、トランスミッタ10の認証キー交換部/暗号化キー作成部104およびレシーバ30の認証キー交換部/暗号化キー作成部304は、端子HY1および端子HY2を介してスクランブルを解除するキー情報を交換するキー情報交換手段を構成している。
デ・スクランブラ300でスクランブルが解除された通常のアナログコンポーネントビデオ信号S30は、外部接続部40を介して、シンク機器(HDTVに代表される高解像度マルチスキャンモニタなど)50の内部回路500に、供給される。
シンク機器が既存の民生用機種の場合、外部接続部40は、一般的には3連のRCAタイプピンプラグ(DVDコンポーネント信号用のY/Cb/Crまたはハイビジョンコンポーネント信号用のY/Pb/Pr)で構成される。
一方、シンク機器が既存の教務用機種の場合、外部接続部40は、BNCタイプの3〜5連接栓(3つの場合はY/Cb/CrまたはY/Pb/Prに対応し、5つの場合はR/G/B/H同期/V同期に対応)で構成されることが多い。
あるいは、シンク機器が既存のマルチスキャン型パーソナルコンピュータ用モニタの場合、外部接続部40は、5連BNC接栓、あるいは2〜3列の15ピン〜23ピンマルチコネクタで構成されることが多い。
以下では、シンク機器がRCAタイプのプラグを備えた既存の民生用機種の場合を想定して、説明を続ける。
なお、民生機器用の外部接続部40としては、RCAタイプピンプラグの他に、S端子もある。このS端子の輝度信号Yの回路にこの発明に係る信号(スクランブルされたアナログビデオ信号とVBI)を乗せることは可能である。しかし、既存のS端子はそのままではY/Cb/Cr(またはY/Pb/Pr)に対応しないので、説明の複雑化を避けるため、以下ではS端子利用の場合の実施形態の説明は省略する。
図1の構成において、デ・スクランブラ(デコーダ)300、認証キー交換部/暗号化キー作成部304、スイッチSW20および端子HY2は、シンク機器(HDTVなど)側のレシーバ30を構成している。
そして、このレシーバ30の機能・構成を組み込んだものが、アナログコピープロテクタACPとなる。
シンク機器50が既存のHDTV等であり、HY2端子を備えていない場合は、レシーバ30はACPアダプタとして製作され、シンク機器50の外部接続部(通常はRCAタイプのピンプラグ)40に堅固に取り付けられる。
あるいは、シンク機器50が入力インターフェイスボードを備えたマルチスキャンモニタ(またはマルチスキャンプロジェクタ)の場合は、レシーバ(ACPアダプタ)30の回路機能は、この入力インターフェイスボード(図示せず)に組み込むことができる。
あるいは、シンク機器50がAV入力インターフェイスボードを備えたパーソナルコンピュータの場合は、レシーバ(ACPアダプタ)30の回路機能は、このAV入力インターフェイスボード(図示せず)に組み込むことができる。
一方、シンク機器50がこの発明に基づく新機種でありHY2端子を備える場合は、レシーバ(ACPアダプタ)30の回路機能は、このシンク機器50の内部回路基板(図示せず)に組み込むことができる。
既存のHDTV等をHY端子に対応させるためのACPアダプタ(図1ではレシーバ30)は、シンク機器50の接続部40に着脱自在ではまずい。というのは、接続部40に出ているアナログコンポーネントビデオ信号S30はスクランブルが解除されているので、この信号S30が不正コピーに使われる恐れがあるからである。
この不正コピーの恐れを取り除くために、以下の方法が考えられる:
(01)ACPアダプタのシンク機器(既存のHDTVなど)50への取付は、ディーラのサービスマンによるものとする(第三者により録画装置に取り付けられるのを防ぐため);
(02)サービスマンが取り付けた後のACPアダプタは、シンク機器50から取り外し不可能とする(第三者が無理に取り外そうとすると、ACPアダプタが物理的あるいは回路機能的に壊れるようにする)。
なお、コンポーネントビデオ入力が1系統しかないシンク機器にACPアダプタが固定装着された場合、通常のコンポーネントビデオ信号もその入力に接続可能でないと、不都合が生じることがある。
この不都合を取り除くためには、以下の方法が考えられる:
(11)ACPアダプタのHY2端子とRCAピンプラグとを、回路インピーダンス、ビデオ信号レベルおよび接続部分の物理サイズに関して、コンパチブルにする;
(12)通常のビデオ信号(標準画質のビデオ信号;マクロビジョン方式でスクランブルされた信号も含む)がHY2端子に入力された場合、ACPアダプタはこの通常ビデオ信号をパススルーさせる;
(13)この発明によるスクランブルが施されたアナログビデオ信号(走査周波数が高い高解像度・高画質のアナログビデオ信号)がHY2端子に入力された場合は、ACPアダプタはその信号に対して、デ・スクランブル処理(および所定のコマンド処理等)を行なう。
図2は、この発明の実施の形態に係るACPシステムにおいて、ビデオ信号のブランキングインターバル(垂直帰線期間VBI)のライン番号とステータスとの対応関係の一例を説明する図である。
VBIのライン10および273には、図1のトランスミッタ10がレシーバ30にチャレンジする際の送信情報が挿入される。また、VBIのライン11および274には、図1のトランスミッタ10へレシーバ30がレスポンスする際の受信情報が挿入される。
VBIのライン10/11および273/274の情報は、図1の認証キー交換部/暗号化キー作成部104および304の間で交換される情報を含むことができる。この情報交換により、トランスミッタ10は、チャレンジした相手(レシーバ30;ここではスレーブ)が、自分(トランスミッタ10;ここではマスター)と接続可能なデバイスであることを確認でき、これによりスクランブル解除を行なう際のキー情報のやり取りができるようになる。
VBIのライン12〜21および275〜284には、上記デバイス認証/キー交換情報以外のVBIデータ(図26の(c)〜(e)、図27の制御コマンド参照)を挿入できる。
このVBIライン12〜21および275〜284のうち、ライン12〜19および275〜282は、通常のアナログビデオ信号の場合は、前述したマクロビジョン方式のアナログコピープロテクト信号(AGCパルス)に使用されている。しかし、この発明は、マクロビジョン方式ではコピープロテクトできないアナログビデオ信号を想定しているので、VBIライン12〜21および275〜284は、この発明の制御コマンド等に利用可能となっている。
図3は、この発明の実施の形態に係るACPシステムにおいて、スクランブル(暗号化)の形式とコンポーネントアナログ信号等に対する処理内容との対応関係の一例を説明する図である。
アナログコンポーネントビデオ信号に対するスクランブル方法は、1種類に限られず、色々考えられる。
まず、タイプ1として、Y/Cb/Crのうち、クロマ信号(Cb/Cr)だけをランダムに極性反転(位相反転)させるスクランブルがある。
次に、タイプ2として、Y/Cb/Crのうち、輝度信号(Y)だけをランダムに極性反転(位相反転)させるスクランブルがある。
次に、タイプ3として、Y/Cb/Crの全てをランダムに極性反転(位相反転)させるスクランブルがある。
次に、タイプ4として、Y/Cb/Crのうち、輝度信号(Y)とクロマ信号(Cb/Cr)をランダムに入れ替えてしまうスクランブルがある。
さらに、タイプnとして、Y/Cb/Cr以外の信号(R/G/B信号、あるいはS端子のY/C信号など)をランダムに極性反転しあるいはランダムに入れ替えてしまうスクランブルがある。
あるいは、タイプnとして、たとえば、本来の水平/垂直同期信号を関係ない別の同期信号とランダムに入れ替えてしまうスクランブルもある。
上記タイプ1〜4(あるいはタイプ1〜n)のランダム反転/ランダム入れ替えの周期(リフレッシュ間隔)は、フレーム毎(たとえば1/60秒毎)あるいは所定時間毎(たとえばDVDビデオのVOBUの間隔に対応した0.4〜1.2秒)とすることができる。このリフレッシュ間隔は、固定(たとえば1秒)でもよい。
上記タイプ1〜4(あるいはタイプ1〜n)を識別指定する情報は、図2のVBIのライン10/11および273/274(またはライン12〜21および275〜284の何処か)に挿入することができる。
図4は、この発明の実施の形態に係るACPシステムが組み込まれたACPアダプタが、既存のAV機器(図1のシンク機器50に対応)に対してどのように使われるのかの一例を説明する図である。
図4のAV機器50としては、通常スキャンレート(15.75kHz)のNTSCビデオ入力の他にハイ・スキャンレート(31.5kHz、33.7kHz等)の高解像度ビデオ入力に自動追従する、HDTV、パソコン用マルチスキャンモニタ、マルチスキャンプロジェクタ等がある。
このAV機器(シンク機器)50のアナログコンポーネントビデオ入力は、たとえば図示するように、縦3連のRCA型ピン端子(図1の外部接続部40に対応)で構成されている。
この3連端子のうち、輝度信号(Y)入力部分に、図1のACPアダプタが(一旦取り付けたら外せないように)堅固に取り付けられる。このACPアダプタのハイブリッドY端子HY(図1のHY2に対応)に、ソース機器(図1のトランスミッタ10に対応)からのY信号プラグが(着脱自在に)装着される。
図4に示すように、シンク機器50のY入力に一旦取り付けられたACPアダプタは、それ以後取り外せないようになっており、無理に取り外そうとするとACPアダプタが破損するように構成されている。この「無理に取り外そうとすると破損する」構成については、図6〜図15を参照して後述する。
また、AV機器(HDTV)50の色差信号(Cb/Cr)入力部分に、それぞれ、ソース機器からのCb/Cr信号プラグが装着される(Cb/Cr信号プラグは着脱自在でもよい)。
図4のACPアダプタは、ACP対応のソース機器(AV機器10A)からアナログビデオ信号を受け付ける端子(HY)構造と、シンク機器(AV機器50)の入力端子に挿入される端子(RCA)構造とを備えている。
上記ソース機器としては、ACP対応(HY端子装備)のAV機器(プログレッシブ・アナログコンポーネントビデオ出力付の新型DVDビデオプレーヤなど)10Aの他に、ACP非対応(HY端子なし)の以下のものが考えられる:
既存のデジタル放送受信機のセットトップボックス(STB)10B;
既存のDVDビデオプレーヤ10C;
既存のVCRまたはDVC(アナログコンポーネントビデオ出力付)10D。
これら既存のソース機器(HY端子なし)からスクランブルされたアナログビデオ信号が出力され、このスクランブルされたアナログビデオ信号がAV機器50に装着されたACPアダプタに入力されたときは、ACPアダプタは、このスクランブルされたアナログビデオ信号を、そのままAV機器50に送り込む。
この場合、AV機器50にはスクランブルされたアナログビデオ信号が送り込まれるので、AV機器(HDTV)50の画面には正常なビデオ映像は写し出されない。
ただし、このスクランブルが、前述したマクロビジョン方式のアナログコピープロテクトによるものなら、AV機器(HDTV)50の画面には正常なビデオ映像が映し出される。しかしこのAV機器50が民生用ビデオレコーダ(VHS等のVCR)なら、マクロビジョン方式でプロテクトされたビデオ信号の録画は妨害される。
図5は、この発明の実施の形態に係るACPアダプタに対する給電方法の代表例を説明する図である。
このACPアダプタは、図1に示すデ・スクランブラ(デコーダ)300およびその周辺回路を集積したICを内蔵している。このICを稼働させるためには、電源供給が必要となる。
図5では、外部のAC電源アダプタまたはBSアンテナ端子を利用して、このACPアダプタ内ICへ電源供給を行なうようにしている。
すなわち、シンク機器が衛星放送(BS)対応のHDTVの場合、そのBSアンテナ端子にはBSアンテナ給電用に+15の電源出力が可能になっている。そこで、BS対応TVの場合は、この+15Vを利用するのが最も経済的である。外部AC電源アダプタは、このようなBSアンテナ端子のないシンク機器TVにACPアダプタを装着する場合に使用する。
また、図4ではACPアダプタ本体にHY端子およびシンク機器への接続端子構造を備えているが、図5では、ACPアダプタ本体にHY端子を直接設けていない。その代わり、Y信号用のオスプラグ付同軸ケーブル(HY端子に電気的に直結)とともに、Cb/Crのオス/メスプラグ付同軸ケーブルを、ACPアダプタから直出ししている。
次に、図6〜図13を参照して、一旦シンク機器に取り付けた後に外そうとすると破損する構造を持った、ACPアダプタの製法を説明する。
図6は、回路基板が組み込まれる前のACPアダプタフレームの構造を例示する断面図である。
ACPアダプタフレームは、絶縁体円筒状構造を持つ。その円筒状空間内部(図6左側)に、シンク機器側RCAピン端子の接地側(アース側あるいはコールド側)に圧接する接地用円筒状導体が挿入される。また、その反対側(図6右側)に、ソース機器側HYピン端子の接地側に接触する接地用円筒状導体が取り付けられる。このソース機器側接地用円筒状導体は、シンク機器側接地用円筒状導体と、電気的に接続される構造となっている。
ソース機器側HYピン端子の接地用円筒状導体の内部には、絶縁体を介して、ソース機器側HYピン端子の信号側(ホット側)に接触する信号用センタピン導体が取り付けられる。この信号用センタピン導体は、ACPアダプタフレームの内部空間中央に突出するように固定される。
このセンタピン導体が突出した内部空間中央にはACPアダプタフレームの側面から2つの丸孔が貫通している。
図7は、図6のACPアダプタフレームに、ACPアダプタ回路基板が取り付けられた状態を例示する断面図である。
図1のレシーバ30の内部回路その他(安定化電源回路等)が集積されたICは、ACPアダプタ基板に組み込まれている。この基板からは、図1のアナログビデオ信号S30(デ・スクランブルされたアナログビデオ信号)の信号出力回路に繋がる接続チップが、予め導出されている。この基板と接続チップとの間は、切れやすい極細の裸銅線(または極細の金線)で結ばれている。
このようなACPアダプタ基板にはスルーホールが設けられており、このスルーホールに図6のセンタピン導体を通し、基板の信号回路パターンにセンタピン導体を半田付け(または導電性接着材で固定)する。また、基板の接地回路がHYピン端子の接地側に電気的に繋がるように、基板の接地回路パターンを接地用円筒状導体の一部に半田付け(または導電性接着材で固定)する。
なお、回路基板の接地回路と接地用円筒状導体の一部との電気的接続には、信頼性が確保できるなら、導電性シートを用いてもよい。
以上の作業は、基板から引き出された切れやすい極細線が誤って断線するのを防ぐために、接続チップをアダプタフレームの上側丸孔に逃がしてから、注意深く行うとよい。
図8は、図7のACPアダプタフレームに、外部給電コネクタの受け部分(レセプタクル)が取り付けられた状態を例示する断面図である。
アダプタフレームの下側丸孔には、給電コネクタのレセプタクルが、圧入され接着される(またはタッピングスクリューが刻まれたレセプタクルがねじ込まれる)。このレセプタクルの外周(「ー」給電用)は、HYピン端子の接地側に電気的に接触するようになっている。また、このレセプタクルの中央電極(「+」給電用)は、適当な配線導体を介して、基板の電源回路パターンに半田付け(または導電性接着材で固定)される。このレセプタクルに図5の給電プラグを差し込むことにより、ACPアダプタ基板が電源供給を受け、作動できるようになる。
図9は、図8のACPアダプタフレームに、信号コネクタのセンタピンを絶縁支持するための絶縁体カラーが取り付けられた状態を例示する断面図である。
このカラーは、通常の接着材では強固な接着ができないテフロン(登録商標)などで作られる。このカラーの外径は、シンク機器側(図9の左側)の円筒状導体内部にきつく圧入されるようなサイズとなっている。挿入されるカラーは、圧入だけでは機械的強度が不足するなら、周囲にネジ溝を切ってねじ込むか、特殊な接着材(テフロン対応)で固定される。
このカラーの中央には、センタピン導体(図10で説明する)が緩く挿通される、段付孔が設けられている。
図10は、図9のACPアダプタフレームの絶縁体カラーに、シンク機器側(図9の左側)用の信号コネクタのセンタピンが挿通された状態を例示する断面図である。
このセンタピン導体の図面左側は、シンク機器側の入力端子にきつく挿入されるように、太めの先割れ細長樽型形状を持つ。
一方、このセンタピン導体の図面右側は、絶縁体カラーの中央孔に緩く挿通されるように、細目のストレート丸棒状に仕上げてある。このセンタピン導体は、絶縁体カラーに対しては、圧入も接着もねじ込みもしてはならない。
なお、絶縁体カラーに「強固な接着ができないテフロン」を例示した理由は、図面左側から接着材が流し込まれ、センタピン導体が絶縁体カラーに強固に固定されることを防ぐためである(正規のサービスマンでない第三者がACPアダプタをシンク機器に取り付ける場合に、このような接着材流し込みの恐れがある)。
図11は、図10のACPアダプタフレームの信号コネクタセンタピンに、ACPアダプタ回路基板から引き出された極細導線(切れやすい裸銅線あるいは切れやすい金線)が接続された状態を例示する断面図である。
基板から引き出された極細銅線の先端の接続チップは、絶縁体カラーに緩く挿入されたセンタピン導体の右側の切り欠き部に、(極細銅線を切らないよう注意しながら)半田付け(または導電性接着材で固定)される。
この半田付け(または導電性接着材固定)の作業終了後、基板からセンタピン導体までの極細銅線のたるみを取るためにこの極細銅線を(切らないよう注意しながら)ツイストし、極細銅線のツイスト部分をACPアダプタフレームの上側孔内部に残す(極細銅線の長さを短か目に設定し、このツイスト処理を省略する場合もあり得る)。
図12は、図11のACPアダプタフレームの極細導線(切れやすい裸銅線等)のたるみ部分とともに極細導線の取付作業孔を樹脂封止した状態を例示する断面図である。
また、図13は、図12のACPアダプタフレームの樹脂封止と同時に、それまでの作業中露出していた基板部分その他をキャップで接着(または溶着)封止した状態を、信号コネクタピンの側からみた状態を例示する図である。
この樹脂封止の第1の目的は、ACPアダプタがシンク機器から取り外されたときに、センタピン導体に半田付け(または接着)された接続チップからの極細銅線が、より切れやすくすることである。
また、この樹脂封止の第2の目的は、ACPアダプタがシンク機器から取り外されたあと、第三者がACPアダプタを分解(図13のキャップ部分を無理にはぎ取るなど)し、センタピン導体を再びアダプタに接続・固定して修理しようと試みた場合に、その試みを失敗させることである。すなわち、図13のキャップ部分が強引にはぎ取られると、ツイストした極細線を内包する樹脂封止部もキャップとともに一緒に剥がれる方向にストレスを受ける。このストレスにより、樹脂封止部と基板との間の極細銅線が切断される。
上記第三者によるアダプタ修理の試みをより確実に失敗させるために、図12の基板〜樹脂封止部分の極細銅線回りも樹脂などで封止しておいて、この部分を利用した配線復活作業を困難にすることも有効である。
また、基板〜樹脂封止部分の極細銅線回りとともに基板の一部も樹脂などで封止しておけば、キャップを強引に剥がしたときのストレスで基板自体を破損させることも可能である。
なお、図6〜図13の説明では、ACPアダプタフレームが縦割りされ、製造作業の最終段階(図13)でキャップ封止を行なう場合を説明したが、別の製造方法もある。
すなわち、初めから円筒状のACPアダプタフレーム(図13のキャップが初めからフレームと一体化されている)を用意し、図11の段階で、ピンセット等を用いて、接続チップをセンタピン導体の切り欠き部に、導電性接着材などで接着する方法である。この方法では、フレーム上側の丸孔が接続チップの接着作業をする際にピンセットが通る空間となる。この製法を用いた場合も、作業終了後、フレーム上側の丸孔を樹脂(または絶縁性の接着材)などで封止したほうがよい。
図14は、図6〜図13のプロセスで作成されたACPアダプタがシンク機器(HDTV等)の入力端子に装着され、かつこのACPアダプタにソース機器(DVDプレーヤ等)からのピンプラグが挿入された状態を例示する断面図である。
ACPアダプタをシンク機器の入力端子に強固に固定するため、正規ディーラのサービスマンなどにより、以下の作業が行われる:
(21)ACPアダプタのシンク機器側プラグの構造部分うち、シンク機器の入力端子に接触する部分に、強力な接着材(あるいは強力な両面接着テープ)を付ける;
(22)強力な接着材(あるいは強力な両面接着テープ)を付けたあと、ACPアダプタの先割れ太めセンタピン導体を、シンク機器の入力端子の信号ホット側受け孔に、強く挿入する(シンク機器の入力端子のホット側受け電極は多少のバネ性を持つので、この挿入で破損することはない)。このとき、接着材(あるいは両面接着テープ)は、シンク機器の入力端子対抗面に接触(または圧接)する。
両面テープ利用なら直ちにアダプタの固定は完了するが、接着材利用の場合は、しばらく時間がかかる(もっとも、接着材が固まる前にACPアダプタを引き抜くと、先割れ太めセンタピン導体がシンク機器の入力端子に残留し、アダプタ内部の極細銅線が断線しするので、この引き抜きはしないよう厳重注意する)。
(23)取付後のACPアダプタのHY入力端子に対して頻繁にピンプラグの抜き差しがなされる可能性がある場合は、ACPアダプタとシンク機器入力端子との間の機械的結合強度が強くないと、抜き差しの最中に事故的にACPアダプタが外れ、内部の極細銅線が切れて、使用不能になる恐れがある。
この恐れを取り除くために、図14では、ACPアダプタフレームの外周に金属締め付けバンドを設けている。このバンドは、シンク機器入力端子の接地側突出部分を内部中心に喰わえたACPアダプタフレームの外周を、シンク機器入力端子の接地側突出部分とともに締め付けるものである。
このバンドの具体的な構造は色々考えられるが、たとえば、家庭のガス栓に挿入されたゴムホースが抜けるのを防止する金属バンド(クリップ)と同様の構造でもよい。
あるいは、多少コストアップにはなるが、ACPアダプタプラグの金属締め付けバンド部分にコレットチャック構造を採用し、コレットチャックによる締め付けを、アダプタ取り付け強度の強化に利用てもよい。
なお、図6〜図14の例ではACPアダプタフレーム(ユーザの指に触れる部分)をプラスチック等の絶縁体で作る場合を想定したが、このフレームをねじ込み式の筒状金属とし、ねじ込み後にこの筒状金属をACPアダプタのHY端子の接地側金属に溶接(あるいは強固に接着)するような構造も、可能である。
図15は、図14のようにシンク機器に装着されたACPアダプタがシンク機器から強引に取り外された場合に、ACPアダプタの内部信号線が断線した様子を例示する断面図である。
ここでは、ACPアダプタの先割れセンタピン導体が、シンク機器の入力端子への接着固定部分に残留し、このセンタピン導体のアダプタ内部側に取り付けられた接続チップとアダプタ内部の樹脂封止部に固定された極細銅線との間で、断線が生じた場合を、例示している。
なお、極細銅線がアダプタ内部の樹脂封止部に固定されず、この極細銅線が機械的に丈夫な場合は、図15のようなアダプタ取り外し状態で、ACPアダプタ基板がアダプタ内部から機械的に剥がれて、基板とアダプタフレームの信号回路(信号ホットおよび/または接地回路)との間で電気的切断が生じるようにしてもよい(この例の場合、基板をアダプタ内部に接続・固定する手段として、剥がれが起きやすい導電性接着シートを利用できる)。
あるいは、図15のようなアダプタ取り外し状態で、ACPアダプタ基板がアダプタ内部から機械的に剥がたときに、基板に加わる機械的な歪みなどにより基板上のICの一部のピンが折れたり、あるいはICピンが基板の回路パターンから剥がれるようにしてもよい。
あるいは、図15のようなアダプタ取り外し状態で、極細銅線の断線による回路状態の変化(たとえば極細銅線の信号回路インピーダンスが50Ω〜75Ωから数kΩ以上〜無限大Ωへ)を検出し、この変化が生じたらそれ以後機能停止するように基板上のICの内部回路を構成しておいてもよい(この例の場合、サービスマンが初めてACPアダプタをシンク機器に取り付けたあと、ICの機能停止回路が作動するように、初期化操作を行なう)。
あるいは、図15のようなアダプタ取り外し状態で、基板上のICが電気的に(瞬間的な高圧パルスなどで)破壊されるように構成しておいてもよい)。
以上の説明は、ACPアダプタに接続される相手側シンク機器がRCAタイプのピンプラグを装備している場合のものである。
シンク機器が既存の民生用機種の場合、外部接続部40は、一般的には3連のRCAタイプピンプラグ(DVDコンポーネント信号用のY/Cb/Crまたはハイビジョンコンポーネント信号用のY/Pb/Pr)で構成される。
一方、シンク機器が既存の教務用機種の場合、外部接続部40は、BNCタイプの3〜5連接栓(3つの場合はY/Cb/CrまたはY/Pb/Prに対応し、5つの場合はR/G/B/H同期/V同期に対応)で構成されることが多い。
あるいは、シンク機器が既存のマルチスキャン型パーソナルコンピュータ用モニタの場合、外部接続部40は、5連BNC接栓あるいは2〜3列の15ピン〜23ピンマルチコネクタで構成されることが多い。
もし、接続相手のシンク機器がBNC接栓を備えたものであるときは、このBNC接栓のオスプラグのセンタピンが抜け落ちて、抜け落ちたピンが図15のようにシンク機器側に残留するようにすればよい。
また、接続相手のシンク機器が15ピン〜23ピンRGBモニタ用コネクタを備えたものであるときは、このコネクタの接続ピンのうち、R、G、B、V同期、および/またはH同期の接続ピンのいずれか1以上が抜け落ちて、抜け落ちたピンが図15のようにシンク機器側に残留するようにすればよい。
ACPアダプタがシンク機器から強引に取り外された場合の要件と解決策は、たとえば次のようになる:
(要件1)TVモニタなしでのアダプタ接続(つまりTVモニタ以外のVCR等への接続)は禁止;
(対策1)アダプタの取り付けは、正規ディーラのサービスマンその他の有資格者に限る。
(要件2)取付済みのアダプタが外されると破壊(断線はその一例);
(対策2))取付済みのアダプタが外されるとアダプタ内部で断線あるいはICの機能停止が起きる。
図16は、この発明の他の実施の形態に係るアナログコピープロテクト(ACP)システムを説明する図である。この実施形態では、ビデオ信号がアナログ信号段階でスクランブルされる。
すなわち、DVDビデオプレーヤなどで再生されたデジタルコンポーネントビデオ信号(たとえばフレーム転送レートが毎秒48〜60枚のプログレッシブ信号)S10は、DAC102Aにより対応するアナログコンポーネントビデオ信号S14に変換される。
このアナログ信号S14は、スクランブルキー発生部104Aからのエンコード信号(スクランブル情報)SEに基づいて、スクランブラ100Aにおいて、スクランブル(エンコード)される。
スクランブルされたアナログコンポーネントビデオ信号は、スイッチSW11の接点1(送信)を介して、アナログコンポーネントビデオ(Y/Cb/Cr)の出力端子HY1(ハイブリッドY端子1)に導かれる。
端子HY1からのアナログコンポーネントビデオ信号S20は、信号ケーブル(3線独立の同軸ケーブルを1本に束ねたコンポーネント接続ケーブル)20を介して、シンク機器(HDTVなど)側レシーバ30のアナログコンポーネントビデオ(Y/Cb/Cr)の入力端子HY2(ハイブリッドY端子2)に送られる。端子HY2で受信されたアナログコンポーネントビデオ信号S20は、スイッチSW21の接点1(受信)を介して、デ・スクランブラ300Aに供給される。
一方、スクランブルキー発生部104Aからのエンコード信号(スクランブル情報)SEは、スイッチSW11の接点2(送信)を介して、端子HY1に導かれる。
端子HY1からのエンコード信号(スクランブル情報)SEは、信号ケーブル20を介して、シンク機器(HDTVなど)側レシーバ30の端子HY2に送られる。端子HY2で受信されたエンコード信号(スクランブル情報)SEは、スイッチSW21の接点2(受信)を介して、スクランブルキー受信部304Aに供給される。
スクランブルキー受信部304Aは、供給されたエンコード信号(スクランブル情報)SEに対応したデコード信号(スクランブルを解除するキー情報)DEを、デ・スクランブラ300Aに供給する。
デ・スクランブラ300Aは、供給されたデコード信号(スクランブル解除キー)DEを一時記憶し、記憶したデコード信号DEの内容(デコード情報)に基づいて、ソース機器側のスクランブラ100Aから送られてくるスクランブルされたアナログコンポーネントビデオ信号S20を、デ・スクランブル(デコード)する。
ここで、スイッチSW11、SW21の切り替えは、ビデオ信号S20の垂直帰線期間に同期(つまりビデオフレームの転送に同期)したタイミングで、行うことができる。この切り替えタイミングの間、転送されるエンコード信号(スクランブル情報)は、スクランブルキー受信部304Aあるいはデ・スクランブラ300Aの内部メモリ(図示せず)に、一時保存できる。
デ・スクランブラ300でスクランブルが解除された通常のアナログコンポーネントビデオ信号S30は、一旦取り付けたら外せない外部接続部40を介して、シンク機器(HDTVに代表される高解像度マルチスキャンモニタなど)50の内部回路500に、供給される。
図17は、図16のACPシステムにおいて、エンコーダ(アナログコンポーネント信号のスクランブラ)の構成例を説明する図である。
まず、スクランブルキー発生部104Aからのエンコード信号SEが、スクランブラ100A内の乱数発生部1002に、乱数発生の初期値として、入力される。乱数発生部1002では、入力された初期値(SE)を基に、水平帰線期間あるいは垂直帰線期間(VBI)のタイミングにあわせて、M系列の乱数発生器内で、乱数(スクランブル情報あるいは暗号化キー情報を作る基になるもの)が発生される。発生された乱数は、スクランブラ100A内のエンコード情報記憶部1004に供給される。
エンコード情報記憶部1004は、たとえば6ビット(a〜f)のシフトレジスタおよび6個のラッチ(フリップフロップ回路)で構成できる。このシフトレジスタに乱数がビットシフトしながら読み込まれたあと、読み込まれた情報(0/1)のビット列がラッチされる。
このラッチのタイミングは、たとえばVBIの転送タイミング(または垂直同期信号のタイミング)と同じでよい。この場合、シフトレジスタの内容は、VBIの転送周期で変化できる。
あるいは、乱数発生が水平走査を基準になされるときは、このラッチのタイミングを、水平走査のタイミング(または水平同期信号のタイミング)に合わせてもよい。この場合、シフトレジスタの内容は、VBI内のライン番号切替周期で変化できる。
エンコード情報記憶部1004にラッチされたビット列(a〜f)は、スクランブル情報(暗号化キー情報)として、スクランブラ100A内のアナログコンポーネントビデオ信号切替/反転処理部1006に供給される。
信号切替/反転処理部1006には、スクランブルされていない(暗号化あるいはエンコードされていない)アナログコンポーネントビデオ信号S14が、入力される。
信号切替/反転処理部1006は、そのときにエンコード情報記憶部1004にラッチされているビット列(a〜f)に基づいて、アナログコンポーネントビデオ信号S14のY/Cb/Crの切替(入れ替え)および/または極性反転(位相反転)を行なうことで、信号S14をスクランブルする(信号切替/反転処理部1006の具体例は図23を参照して後述する)。
こうしてスクランブルされたアナログコンポーネントビデオ信号S20は、スイッチ回路SW11を介して、HY1端子に送られる。
また、スクランブル情報(暗号化キー情報)であるビット列(a〜f)は、信号S20の垂直帰線期間(VBI)にスイッチSW11により選択され、VBIの情報の一部として、HY1端子に送られる。
図17の構成において、エンコード情報記憶部1004からアナログコンポーネントビデオ信号切替/反転処理部1006へ転送される6本の信号(a〜f)は、アナログビデオ入力(S14)の水平走査線のタイミングに合わせ、アナログビデオ信号の走査線毎(水平走査毎または垂直走査毎)に切り替わるが、アナログビデオ信号の各走査線内では、一定の値に保たれるようになっている。
アナログコンポーネントビデオ信号切替/反転処理部1006では、エンコード情報記憶部1004からの情報(a〜f)に合わせて、アナログビデオ信号の各走査線毎に、輝度Y信号、色差U信号(あるいはCr信号)、色差V信号(あるいはCb信号)間の極性反転および/または信号の入れ替えを行い、アナログビデオ信号情報の暗号化(スクランブル・エンコード)を行っている。
こうして暗号化されたアナログビデオ信号情報(S20)が、スイッチ回路SW11を介してHY1端子へ転送される。
図18は、図16のACPシステムにおいて、デコーダ(アナログコンポーネント信号のデ・スクランブラ)の構成例を説明する図である。
トランスミッタ10から送られてきたアナログコンポーネントビデオ信号(スクランブルされている)S20およびその垂直帰線期間の情報VBIは、HY2端子を介して、スイッチSW21に入力される。
スイッチSW21において、VBIのタイミングで、信号S20の映像情報部分(Y/Cb/Cr)とVBI部分とが切り分けられる。
スイッチSW21により切り分けられたVBIに含まれるデコード信号DEの情報(エンコードに用いたビット列a〜fに対応)は、デ・スクランブラ300Aのデコード情報記憶部3004に取り込まれ、次の信号DEが送られてくるまで一時記憶される。
また、スイッチSW21により切り分けられた信号S20の映像情報部分(Y/Cb/Cr)は、デ・スクランブラ300Aのアナログコンポーネント信号切替/反転処理部3006に入力される。
信号切替/反転処理部3006では、記憶部3004に一時記憶されたデコード情報(エンコードに用いたビット列a〜f)に基づいて、スクランブルされたアナログコンポーネントビデオ信号S20の映像情報部分(Y/Cb/Cr)が、元の信号形態にデコード(デ・スクランブル)される(信号切替/反転処理部3006の具体例は図24を参照して後述する)。
こうしてデ・スクランブル(デコード)されたアナログコンポーネントビデオ信号が、一旦接続したら外せない外部接続部40を介して、図16のシンク機器50に供給される。
図19は、この発明のさらに他の実施の形態に係るアナログコピープロテクト(ACP)システム(スクランブル/デ・スクランブルだけでなくコマンド処理も含む構成)を説明する図である。この図は、この発明が適用されたアナログ信号情報処理機器が複数台接続されて構成された伝送システムを示している。
このシステムにおいて、図20はアナログ信号情報伝送部1008の内部構成を例示する図であり、図21はアナログ信号情報伝送部2008の内部構成を例示する図であり、図22はアナログ信号情報伝送部2028の内部構成を例示する図である。
図19において、アナログ信号情報処理装置1000は、不正コピーなどから保護したいアナログ映像信号を送信するキー局である。このキー局としては、たとえばケーブルTV放送局、あるいは無線(地上放送あるいは衛星放送)TV放送局がある。
ここで、アナログ信号情報処理装置1000は、図1のトランスミッタ10に対応させることができる。
また、アナログ信号情報処理装置2000は、TV受信器あるいはSTB(セットトップボックス)に画面表示用TVを一体化した機器を示す。
ここで、アナログ信号情報処理装置2000は、部分的には、図1のレシーバ30に対応させることができる。
さらに、アナログ信号情報情報処理装置3000は、録画再生可能な光ディスク装置(たとえばDVDリアルタイム録画装置)あるいはVCR(ビデオカセットレコーダ)/DVC(デジタルビデオカセット)等の、アナログ信号入力を備えた記録装置を示す。このアナログ信号情報処理装置3000内では、暗号化(スクランブル)されたままのアナログ信号がそのまま記録される。
アナログ信号情報処理装置2000にはさらに、アナログ信号情報伝送経路L2000を介して、他のアナログ信号情報処理装置4000および4000が、接続されている。
ケーブルTV送信局あるいは無線TV放送局であるアナログ信号情報処理装置1000内では、アナログ映像信号発生器1002から放送すべき映像信号が取り出され、アナログ信号暗号化部1004で暗号化(エンコード)されて、アナログ信号・コマンド情報合成部1006へ転送される。
ここで、アナログ信号暗号化部1004(および後述する2004)は、図1のスクランブラ100あるいは図16〜図17のスクランブラ100Aに対応させることができる。
この時の暗号化に用いられる暗号キー情報は、暗号キー情報生成部1012で生成される。同時に、ここで作成した暗号キー情報から、アナログ信号情報処理装置2000内でアナログ信号のキー解読(復号化/デコード)を行うために必要な情報が、暗号キー情報生成部1012で作成され、コマンド情報処理部1010に転送される。
コマンド情報処理部1010では、転送されてきた上記キー解読(復号化/デコード)に必要な情報が、伝送するためのコマンド形式に変換される。ここで作成されたコマンド情報は、アナログ信号・コマンド情報の合成部1006内で、先に暗号化されたアナログ映像信号情報と時間軸上で合成される。
暗号化されたアナログ映像信号情報とコマンド情報が合成された情報は、アナログ信号情報伝送部1008内のアナログ信号送信部1008B(図20)を経由して、送受信切替部1008C(図20)からアナログ信号情報伝送経路L1000へ送られる。そして、アナログ信号情報処理装置2000へ配送される。
ここで、送受信切替部1008C(図20)は、図1のSW10あるいは図17のSW11に対応させることができる。
アナログ信号情報伝送経路L1000とは、有線の場合にはCATVなどの光ケーブルであったり、同軸ケーブルであったりする。また、無線の場合には、アナログ信号情報伝送経路L1000は、地上放送波もしくは衛星放送波などの無線放送経路になる。
このアナログ信号情報伝送経路L1000は双方向の通信経路になっている。
送受信切替部1008C(図20)は、時分割により、アナログ信号情報伝送経路L1000に対する送信系と受信系を、適宜切り替え可能に構成されている。
すなわち、送信時にはアナログ信号送信部1008B(図20)から転送されたアナログ信号情報がアナログ信号情報伝送経路L1000に送信され、受信時にはアナログ信号情報伝送経路L1000を介して返送されてきたコマンド関連情報がコマンド情報抽出部1008A(図20)に転送される。
コマンド情報抽出部1008Aでは、送受信切替部1008C(図20)から送られた情報内容を理解してコマンドに対する戻り値(ステータス)を抽出したり、アナログ信号情報処理装置2000から送られてくるコマンド内容とそのパラメーターを解釈してその結果をコマンド情報処理部1010へ転送したりする。
図19のコマンド情報処理部1010では、コマンド情報抽出部1008A(図20)から送られてくる情報を基に、アナログ信号情報処理装置2000側の現在の状況(ステータス)やアナログ信号情報処理装置2000からの要求内容(コマンド)に応じて、処理を行う。
その処理状況に応じて、必要となれば、アナログ信号情報処理装置2000に対して新たなコマンドを作成し、そこで作成したコマンド情報を、アナログ信号・コマンド情報合成部1006でアナログ信号情報に合成し、アナログ信号送信部1008B(図20)および伝送線路L1000を経由して、アナログ信号情報処理装置2000に伝送する。
このコマンド情報のやり取りの一つとして、アナログ信号情報処理装置間の相互認証処理や暗号解読に用いられる暗号キーに関する関連情報の交換が行なわれる。
アナログ信号情報伝送経路L1000を介して伝送される暗号化されたアナログ映像信号情報とコマンド情報は、アナログ信号情報処理装置2000のアナログ信号情報伝送部2008に入力される。
前述したように、アナログ信号情報伝送経路L1000は双方向伝送が可能であり、アナログ信号情報処理装置2000からの送信情報は、コマンド情報挿入部2008D(図21)およびアナログ信号情報伝送経路L1000を経由して、アナログ信号情報処理装置1000に転送できる。その際の送受信の切り替えは、送受信切替部2008C(図21)により行われる。
アナログ信号情報処理装置2000側での受信情報からは、アナログ信号情報抽出部2008E(図21)により暗号化されたアナログ信号情報が抽出され、コマンド情報抽出部2008A(図21)によりコマンド情報が抽出される。
ここで抽出された受信側のコマンド情報は、コマンド処理部2010で解読される。アナログ信号情報処理装置1000に対する返答コマンドや以前に送られたコマンドに対する戻り値(ステータス)を返信する必要が生じた場合には、その情報は、コマンド情報処理部2010からコマンド情報挿入部2008D(図21)へ送られ、送受信切替部2008C(図21)およびアナログ信号情報伝送経路L1000を経由して、アナログ信号情報処理装置1000へ返送される。
暗号化されたアナログ映像情報信号の暗号解読(デコード)をする前に、たとえばアナログ信号方法処理装置1000、2000相互間で共通の暗号キーを共有化するために必要な相互認証を行なうときには、アナログ信号情報処理装置1000、2000の間で複数回に渡り双方向でのコマンド交換処理が必要となる。
アナログ信号情報処理装置2000内の暗号キー情報生成部2012で暗号キーが作成されると、この暗号キーを利用して、アナログ信号の復号化部(暗号解読部)2014において、アナログ信号情報抽出部2008E(図21)からの暗号化されたアナログ映像信号情報が復号化/デコード(暗号解読)される。
こうして復号化(暗号解読)がなされたアナログ映像信号情報は、アナログ映像情報表示部2016(通常のNTSC信号あるいはPAL信号などのビデオ映像を表示するCRTディスプレーあるいは液晶ディスプレー)において、表示される。この表示部2016は、図16でいえばシンク機器50のモニタに対応させることができる。
なお、図19におけるアナログ信号の暗号解読部(デコーダ)2014とアナログ信号の暗号化部(エンコーダ)2004の内部は、基本的に、同様に構成できる。すなわち、暗号化部(エンコーダ)2004は、たとえば図17のスクランブラ(エンコーダ)100Aに示すように構成できる。また、アナログ信号の暗号解読部(デコーダ)2014は、たとえば図18のデ・スクランブラ(デコーダ)300Aに示すように構成できる。
さらに、図19のアナログ信号情報伝送部2028は、図20と図22を比較すれば分かるように、同様な内部構成を持っている。このアナログ信号情報伝送部2028の内部構成については、図25のフローチャートの説明箇所で触れることにする。
図19に示したアナログ信号情報処理装置におけるコマンド情報に関して、以下の特徴がある:
(31)映像信号情報の垂直基線消去期間(VBI)にコマンド情報を伝送できる;
(32)映像信号情報の垂直基線消去期間内の各1本(各ライン)毎の走査線期間に1個のコマンド情報を伝送できる;
(33)映像信号情報の垂直基線消去期間内で、走査線期間毎に、全く同一内容のコマンド情報(コマンド内容とコマンドパラメーター内容)を複数回伝送することができる;
(34)文字信号多重期間(垂直基線消去期間内の第14〜16番目および第21番目の走査ライン)にはコマンド情報は伝送しない;
(35)コマンドに対する戻り値も同一のコマンド形式で返送する;
ここで、コマンドパラメーターにより、送信側(コマンド発行者)からの伝送系と返信側(戻り値回答者)からの伝送系の識別を行う;
(36)映像信号情報の垂直基線消去期間内において、コマンド伝送可能期間内のコマンド送信利用者の割り振りについては、Slot_ID作成開始宣言者が、Slot_ID作成開始宣言を行った後の特定期間の間、割り振り決定する権利を持つ。
図23は、図16〜図22のACPシステムにおいて、アナログ信号の暗号化(コンポーネント信号の切替/反転処理)と暗号キー(スクランブルキー;エンコード情報)との関係の一例を説明する図である。
いま、図17のアナログコンポーネントビデオ信号切替/反転処理部1006が図23のように構成されているとする。
この場合、スクランブルされていない元のアナログコンポーネントビデオ信号S14の輝度Y、色差U(Cb)および色差V(Cr)は、それぞれ、図23の端子T11〜T13に供給される。これらの端子に供給された輝度Y、色差U(Cb)および色差V(Cr)の各信号成分は、インバータ(極性反転回路)INV11〜INV13により極性反転される。このような輝度Y、色差U(Cb)、色差V(Cr)およびそれらの極性反転信号は、図23のスイッチ回路を介して、端子T21〜T23に導かれる。
図23の各スイッチの選択状態は、6つのビット列a〜fのセットで構成される暗号化キー情報により、決定される。このビット列a〜fにより、各スイッチの選択状態が、たとえば図示の点線状態にあれば、端子T11のY信号は端子T23(仮のV端子)に導かれ、端子T12のU(Cb)信号は端子T21(仮のY端子)に導かれ、端子T13のV(Cr)信号は端子T22(仮のU端子)に導かれる。
スクランブルされていなければ仮Y=Y、仮U=U(Cb)、仮V=V(Cr)であるところ、この例のスクランブルにより、仮Y=U(Cb)、仮U=V(Cr)、仮V=Yとなる。
こうして暗号化されたアナログ映像信号情報(仮Y、仮U、仮V)は、図17のHY1端子へ転送される。
上記例はY、U(Cb)およびV(Cr)の極性反転がない場合であるが、ビット列a〜fの内容により、端子T21〜T23に、適宜極性反転されたY、U(Cb)およびV(Cr)を出力することもできる。
上記ビット列a〜fは、図17のエンコード情報記憶部1004から得られる。このビット列a〜fの内容(0/1)は、アナログ信号入力(S14)の水平走査線のタイミングに合わせ、アナログ映像信号の走査線(水平または垂直)毎に切り替わる(各走査線内では一定の値に保たれる)ようになっている。
図24は、図16〜図22のACPシステムにおいて、暗号化(スクランブル)されたアナログコンポーネント信号の解読/復号化(デ・スクランブル)と復号化キー(スクランブルキー;デコード情報)との関係の一例を説明する図である。
いま、図18のアナログコンポーネントビデオ信号切替/反転処理部3006が図24のように構成されているとする。
この場合、図23の端子T21〜T23からの暗号化されたアナログ映像信号情報(仮Y、仮U、仮V)は、それぞれ、図24の端子T32〜T33に供給される。
このとき、端子T32〜T33に供給された映像信号情報(仮Y、仮U、仮V)のスクランブルに用いた暗号化キー情報(6つのビット列a〜fのセット)は、その映像信号のVBIにより図18のデコード情報記憶部3004に転送され記憶されている。このデコード情報記憶部3004に記憶された6つのビット列a〜fのセットにより、図24のスイッチ回路のスイッチ選択状態が決定される。
図24に例示するようなスイッチ選択状態の場合、端子T31に供給された仮Y(図23の例ではU(Cb))は、ゲイン/オフセット調整部G/OF11を通ったあと、図示状態のスイッチ回路を介して、端子T42に導かれる。
また、端子T32に供給された仮U(図23の例ではV(Cr))は、ゲイン/オフセット調整部G/OF12を通ったあと、図示状態のスイッチ回路を介して、端子T43に導かれる。
同様に、端子T33に供給された仮V(図23の例ではY)は、ゲイン/オフセット調整部G/OF13を通ったあと、図示状態のスイッチ回路を介して、端子T41に導かれる。
こうして、図24の端子T41に元のアナログコンポーネントビデオ信号のY信号が出力され、端子T42に元のアナログコンポーネントビデオ信号のU(Cb)信号が出力され、端子T43に元のアナログコンポーネントビデオ信号のV(Cr)信号が出力される。
ここで、図24のG/OF11〜G/OF33は、INV11〜INV23の反転処理などによりペデスタルレベル(黒レベル)が元に戻らなくなったものを元に戻すオフセット調整機能と、伝送経路での信号減衰率の違いなどによりペデスタルレベルから信号ピークレベルまでの振幅がずれたものを元の振幅に戻すゲイン調整機能を持っている。(Y/Cb/Crのペデスタルレベル/ピークレベルがずれると、デコードされたビデオ信号のホワイトバランスが崩れ、元のビデオ信号の色調が再現されなくなる恐れがある。)
G/OF11〜G/OF33それぞれの内部は、基本的に、ゲイン調整用抵抗回路を備えた高速オペアンプ1個で構成できる。このゲイン調整用抵抗回路にはゲート印加電圧でドレイン〜ソース間内部抵抗が変化するFETを利用できる。すなわち、FETのドレイン〜ソース間抵抗値をそのゲート電圧で制御して、高速オペアンプのゲインを調整することができる。
また、オフセット補正のために、高速オペアンプの入力側にDCバイアスが掛けられる構造になっている。FET内部抵抗制御用ゲート電圧印加部およびオフセットDCバイアス電圧供給部は、DAC(図示せず)を介して、アナログ信号情報処理装置内のMPU(図示せず)に接続されている。
暗号化(エンコード)/復号化(デコード)の処理を行う前に、一度、基準映像信号を図19のアナログ信号情報伝送経路L1000あるいはL2000内に流し、上記MPUを使って、G/OF11〜G/OF33内の動作値が最適になるように、それぞれのFET内部抵抗制御用ゲート電圧およびオフセットDCバイアス電圧が、自動調整される仕組みになっている。
なお、図24のG/OF11〜G/OF33は、アナログのスクランブル/デ・スクランブル処理では必要であるが、デジタルでのスクランブル/デ・スクランブル処理(たとえば図1の構成において、トランスミッタ10のDAC102をパススルーとし、レシーバ30のデジタルデコーダ300内でデ・スクランブルされたビデオ信号の出力側にDACを設けた場合)では不要となる。
高解像度ビデオ信号のベースバンドは非常に広帯域であるため、従来はベースバンドレベルでの暗号化は難しいとされていた。しかし、図23および図24の構成では、暗号化に必要な高速デバイスとしてはアナログスイッチ(ゲイン/オフセットの調整速度はインバータの反転速度よりは遅くてもよい)のみを用いているため、高速なアナログベースバンドの暗号化が可能となっている。
なお、高速アナログスイッチは、自動入出金機(ATM)等で大量に使用されている安価な高速スイッチでよい。
しかもエンコーダ(スクランブル)およびデコーダ(デ・スクランブル)の構成は図17、図18、図23、図24に示すように、非常に回路規模が小さいので、安価でコンパクトなアナログ信号用の暗号化/復号化回路を作成できる。
図25は、図16〜図22のACPシステムにおいて、暗号化(スクランブル)されたアナログ信号および暗号キー(たとえば図17〜図18、図23〜図24のa〜f)の伝送処理の一例を説明するフローチャートである。
この伝送処理は、図19に示したように複数台のアナログ信号情報処理装置(3000〜5000)が1つのアナログ信号情報処理装置(2000)に(HY端子を介して)接続されている場合において、所定の1つ(たとえば3000)が選び出され、選び出された1つの装置(3000)にアナログ信号情報処理装置(2000)からアナログ映像情報が送信される場合を想定している。
なお、複数台のアナログ信号情報処理装置(3000〜5000)と1つのアナログ信号情報処理装置(2000)とを結ぶ伝送経路L2000は、必ずしもアナログコンポーネント接続には限られず、従来のコンポジットタイプのアナログビデオケーブルまたはS端子用アナログビデオケーブルでもよい。
まず、図19のコマンド情報処理部2010が、アナログ映像信号の伝送開始を宣言するための“SLOT_IDコマンド”を発生させる。そして、アナログ信号・コマンド情報合成部2006から、アナログ信号送信部2028B(図22)および送受信切替部2028C(図22)を経由して、アナログ信号情報伝送経路L2000に、“SLOT_IDコマンド”を伝送し、アナログ信号情報の送信開始宣言を行う(ステップST10)。
このSLOT_IDコマンド内には、パラメータとして、アナログ信号情報送信宣言情報と、今回は記録装置3000である受信装置指定情報が含まれている。
このコマンドを受信すると、該当するアナログ信号情報処理装置3000がアナログ映像信号情報伝送処理に対応したSLOT_ID(各異なる伝送処理を行なうセッションを識別するためのID)を発行し、アナログ信号情報受信リクエスト表明を行なう(ステップST12)。
すると、アナログ信号情報受信リクエスト表明を行った装置(図19では3000〜5000のどれか)が「アナログ信号情報処理装置2000が伝送を希望している相手か」どうかを確かめるために、アナログ信号情報処理装置2000とアナログ信号情報処理装置3000との間で、相互認証処理が行われる。
具体的には、アナログ信号情報処理装置3000のみが持っている公開キー情報で暗号化した情報をアナログ信号情報処理装置2000からアナログ信号情報処理装置3000へ送り、この情報をアナログ信号情報処理装置3000が解読できるかを調べ、次にその逆を行なうチャレンジ・レスポンス処理により、相互認証処理を行なう(ステップST14)。
この相互認証処理が完了すると、暗号キー作成の元になる情報の配信を行い(ステップST16)、配信された情報を基に、アナログ信号情報処理装置間の共通の暗号キーまたは暗号解読キーの作成を行なう(ステップST18)。
その具体的な方法として、
a)ステップST14で行なうチャレンジ・レスポンス処理の際に同時に暗号キーの一部(または暗号作成用の基情報)を相互に送り合い、その相互に送り合った情報から暗号キーを作成する方法;
b)アナログ信号情報処理装置2000〜3000間で事前に暗号キーの基になる情報を共有しておき、両者のうちどちらかが送信した情報を基に両者がそれぞれ共通な暗号キーを作成する方法;
などがある。
以上の処理を経て暗号キー情報生成部2012で暗号キーが作成されると、アナログ信号暗号解読部2014で復号化されたアナログ映像情報に対して、再度、別の暗号キーによって、アナログ信号の暗号化部2004で暗号化(エンコード;スクランブル)が行われる(ステップST20)。
その結果得られた暗号化されたアナログ映像信号情報は、コマンド処理部2010で作成したコマンド情報と、アナログ信号・コマンド情報合成部2006において、合成される。
そして、アナログ信号送信部2028B(図22)および送受信切替部2028C(図22)と伝送経路L2000を経て、アナログ信号情報処理装置3000へ伝送される(ステップST22)。
アナログ信号情報処理機器3000では、暗号化されたアナログ映像信号情報が共通の暗号キーで暗号解読(デコード;デ・スクランブル)され(ステップST24)、図示しない情報記憶媒体(DVD−RAMディスク、磁気テープなど)に記録される。
なお、上記例に限らず、暗号化されたままのアナログ映像信号情報をそのまま情報記憶媒体に記録する方法も可能である。
以上の説明において、共通の暗号キーの例としては、たとえば図17、図18のビット列a〜fの情報がある。
図26の(a)〜(e)は、図19〜図22のACPシステムにおいて、アナログ信号情報処理装置間で伝送される伝送情報(コマンド情報を含む)TIのフォーマットの一例を示す。
この例では、映像情報伝送期間VTPの間の垂直基線消去期間VBI内の第10〜13番目と第17〜20番目の走査線期間中に、コマンド情報を伝送するようになっている。
上記の期間内での伝送利用者の割り振りでは、Slot_ID作成開始宣言者に特定期間を決定する権利が与えられ、Command Line Controlコマンド(図27)によりその割り振りが通知される。
ただし、同時に複数のコマンドが並列処理されず、1個のコマンドと戻り値(ステータス)のやり取りのみを行う単純なコマンド伝送の場合には、コマンド送信者側が第10〜13番目の走査線を利用し、全て同一のコマンドが4回繰り返して伝送される。
またこの場合には、コマンドステータス回答者(戻り値を返す側)が第17〜20番目の走査線を利用し、同様に同一の内容を4回繰り返して返信する。
コマンド情報は272ビットのデーターパケットDP構造により伝送される。実際のコマンド情報は、176ビットのコマンドデーターブロックCDB内に入り、複数コマンドの同時並行が可能なように、固有のセッションを指定するスロットID;SLID、送信元の装置を認識させるための送信装置ID;TRID、送信相手を指定する受信装置ID;REID、コマンド内容を示すコマンドコードCMCD、およびそのコマンドに関する情報を示すコマンドパラメータCMPRなどの情報が送れるようになっている。
コマンドデータブロックCDBのサイズは、176ビットと非常に小さいので、多量の情報をコマンド形式で伝送する場合、何度かに分けて伝送する必要がある。そのため、同一のコマンドに関する何回目の情報を送っているかを示すために、同一コマンド内シリアル番号SCSNも伝送される。
図27は、図26のフォーマットで伝送される情報に含まれるコマンドの具体例を示している。
図28は、図19〜図22のACPシステムにおいて、アナログ信号情報処理装置間で相互認証を行なう場合の処理の一例を説明するフローチャートである。
この処理では、図27のコマンド情報が利用されている。
まず、認証相手に割り付けたスロットID値を、認証相手へ送信する(ステップST30)。このとき、設定エリア情報とストリームID情報が通知される。ここでは、コマンドとして、レポートキーが使用される。
次に、暗号化された相手のチャレンジキーを、認証相手から受信する(ステップST32)。ここでは、コマンドとして、センドキーが使用される。
次に、認証相手のチャレンジキーで暗号化した「暗号キー1」を、認証相手へ送信する(ステップST34)。ここでは、コマンドとして、レポートキーが使用される。
次に、暗号化されたこちら側のチャレンジキーを、認証相手へ送信する(ステップST36)。ここでは、コマンドとして、センドキーが使用される。
次に、こちら側のチャレンジキーで暗号化した「暗号キー2」を、認証相手から受信する(ステップST38)。ここでは、コマンドとして、センドキーが使用される。
こうして「暗号キー1」および「暗号キー2」が得られたあと、これらのキーから、「バスキー」を生成する(ステップST40)。
そのあと、「バスキー」で暗号化した情報を、トランスポートストリームで送受信する(ステップST42)。
図29は、図26〜図27に例示したようなコマンド情報を含み得るデジタル放送受信機(STB)のアナログ出力が、HY端子付の高解像度テレビジョン(HDTV)あるいはHY端子付のビデオレコーダに接続された場合において、HY端子を経由するアナログ信号中のVBIの内容を例示する図である。
ここではVBI期間中の走査ラインL10/L273にマスター側発行のコマンド情報が含まれ、L11/L274にスレーブ側発行のコマンド情報が含まれ、L12〜L19/L275〜L282にデジタルTVの付加情報(サービス情報SI)が含まれている。
この付加情報部分(L12〜L19/L275〜L282)は、従来ビデオではマクロビジョン方式のアナログコピープロテクト用AGCパルスに用いられていた部分を利用している。
また、VBI期間中の走査ラインL20/L283にビデオID情報が含まれ、L21/L284に文字多重/クローズドキャプション情報が含まれる。
その他の走査ラインL22〜L263/L285〜L525には、アナログ映像情報(インターレース)が含まれる。
図29の場合、セットトップボックスSTBを中心にして、HY端子付VCRに対してはコマンド情報が送受信され、HY端子付TVに対してはコマンド情報以外の情報(付加情報、ビデオIDなど)が送信される。
図30は、図29の変形例を示す。すなわち、VBI期間中の走査ラインL10〜L19/L273〜L282がデジタルTVの付加情報(サービス情報SI)に利用され、コマンド情報は省略されている。それ以外の走査ラインの内容は図29と同じである。
図29または図30の構成において、デジタル放送をリアルタイムで視聴する場合は、STBからHDTVへビデオ信号が送られる。
一方、一旦VCRに録画をしておくタイムシフト視聴を行なう場合は、最初にSTBからVCR(またはDVD録再ビデオ)にビデオ信号のアナログコンポーネント記録が行われる。そして、録画後の適当な時間に、記録されたビデオ信号が、STBを経由してHDTVへ送られる。
図29または図30の構成には、次のような特徴がある:
(41)デジタル放送の付加情報SIを、HY端子付ACPアダプタを用いて、既存VCRに記録可能;
(42)既存VCR情報(テープナビなど)に対する付加情報記録が可能;
(43)ビデオID以外の付加情報を記録し、ビデオIDとの共存を図ることが可能;
ここで、ビデオID以外の付加情報(または付加機能)としては、たとえば次のものがある:
(イ)タイトラー機能(画面切替目に映像内容を示すタイトルを記録);
ここでのビデオIDの文字情報は副映像の字幕のイメージ
(ロ)スキッピング用のエントリポイント設定;
(ハ)ブックマーク(しおり)ポインタ位置設定;
(ニ)静止画(サムネール)ポインタ設定;
(ホ)インデックス(目次)情報;
このインデックス情報(時間情報など)は、記録媒体上の録画終了場所にまとめて記録できる。
図31は、図1〜図18で説明したようなACPアダプタが装着されたシンク機器(既存のAV機器等)に、図26〜図27に例示したようなコマンド情報を含むアナログ信号を供給するものにおいて、コマンド情報が電磁波(無線電波)等を利用したリモコン経由でシンク機器に送られる構成の一例を説明する図である。
図31において、シンク機器(既存AV機器)50のアナログビデオ入力端子42に取り外し不能に取り付けられたACPアダプタは、図1の構成に対応するデ・スクランブル/認証処理部300Bの他に、VBIコマンドに対応した制御用プロセサ310Bと、リモコン制御部312Bを備えている。
このリモコン制御部312Bは、たとえば電波(無線)を利用して、シンク機器50に取り付けられたリモコンセンサ80(このセンサは赤外線リモコン70にも無線リモコンにも対応している)に、VBIのコマンド、付加情報などを送れるようになっている。
図32は、この発明の実施の形態に係るACPアダプタの動作例を説明するフローチャートである。
まず、接続相手の回路インピーダンス(通常は75Ωだが接続相手によっては50Ωの場合もあり得る)を調べて、相手機器が(こちら機器のHY端子に)接続されているかどうかチェックする(ステップST60)。
接続されていない場合(回路インピーダンスが数kΩ以上かほぼ無限大)は、接続されるのを待つ(ステップST62ノー)。
接続されている場合は(ステップST62イエス)、相手機器からのビデオ信号のVBIにコマンドが乗るのを、所定時間(たとえば1〜2秒)待つ(ステップST64)。
所定時間経過後、VBIのコマンドをチェックする(ステップST66)。
コマンドがなければ、相手機器はこの発明のACPシステムに対応していない従来機器(HY端子なし)であると判断し、相手機器に、アナログビデオ信号をそのまま送る(ステップST68)。すなわち、スクランブルされたアナログビデオ信号は、スクランブルされたまま相手機器に送られる。
一方、コマンドがVBIに含まれておれば、相手機器はこの発明のACPシステムに対応した新機種(HY端子付)であると判断し、相手機器と、相互認証処理およびキー交換を行なう(ステップST70)。
その後、暗号化(エンコード)されたビデオ信号を解読(デコード)し、スクランブルされたビデオ信号のスクランブルを解除する(ステップST72)。
こうしてデコード(デ・スクランブル)されたアナログビデオ信号が、アダプタ接続機器(シンク機器)に送られる(ステップST74)。
図33は、図12のACPアダプタの変形例であって、プラグおよびケーブル部分を、ACPアダプタ給電用の電源配線を含む3芯構造とした場合の構成を例示する断面図である。ここでは、ACPアダプタのHY端子外側に、基板給電用の電極の位置合わせのためのガイド突起が設けられている。
また、図34は、図33のACPアダプタのHY端子に挿通される3芯構造のHY端子対応ピンプラグを、信号コネクタピンの側からみた状態を例示する図である。このHY端子に挿入されるピンプラグには、HY端子のガイド突起と相対する位置に、位置合わせのためのガイド溝が設けられている。
アダプタ内部のACP基板のたとえば「+」電源回路はHY端子のACPアダプタ給電電極に接続され、ACP基板の「ー」電源回路および信号接地(コールド)回路はHY端子のアース電極に接続され、ACP基板の信号ホット回路はHY端子の中心電極(センタピン導体)に接続される。
ここで、HY端子のアース電極はシンク機器の入力端子に挿入される側(図33の左側)のアース電極に電気的に接続されるが、HY端子のアダプタ給電電極は、シンク機器側のアース電極から電気的に絶縁される。
この「HY端子のアダプタ給電電極とアース電極との電気的絶縁」を実働状態でも保証するため、図33のHY端子に挿入される図34のプラグのアダプタ給電電極の周囲には、アース電極と給電電極とを絶縁分離する溝が設けられている。
また、図34のプラグの上部(ガイド溝のある方向)には、プラグの給電電極をHY端子の給電電極と同じ向きに合わせることを容易にするために、挿入位置合わせマークが付されている。
図33のガイド突起および図34のガイド溝のペアによる位置合わせが可能なので、図34のプラグ側ACPアダプタ給電電極は、確実に、図33のHY端子側ACPアダプタ給電電極に接触できる。
図33の構造では、ガイド突起があるために、HY端子に従来のRCAピンプラグをスムースに挿入することはできない。このため、RCAピンプラグをACPアダプタのHY端子に誤挿入したことで(ACP基板が給電されないから)ACPアダプタが作動しないという、ユーザミスによるトラブルを防止できる。
図33に示すような3芯構造のACPアダプタが採用される場合、図34の3芯構造ピンプラグに対しては、3重同軸ケーブルを用いるか、2重同軸ケーブルの外部に給電用配線を這わせたケーブルを用いることができる。
なお、図34の3芯プラグが従来のRCA型入力端子に誤挿入された場合は、ACPアダプタ給電電極がアース電極に短絡される。この場合、給電電極に電源供給を行っている外部機器の安定化電源回路に、短絡保護回路が設けられておれば、電源回路の破壊は防止できる(安定化電源回路に一般的な3端子レギュレータを用いた場合、このレギュレータ内部には短絡保護回路が設けられている)。
図35は、図33のACPアダプタの変形例であって、挿入位置合わせ用ガイドの凹凸関係を逆にした場合の構成を例示する断面図である。ここでは、ACPアダプタのHY端子外側に、基板給電用の電極の位置合わせのためのガイド溝が設けられている。
また、図36は、図35のACPアダプタのHY端子に挿通される3芯構造のHY端子対応ピンプラグを、信号コネクタピンの側からみた状態を例示する図である。このHY端子に挿入されるピンプラグには、HY端子のガイド溝と相対する位置に、位置合わせのためのガイド突起が設けられている。
図35のガイド溝および図36のガイド突起のペアによる位置合わせが可能なので、図35のプラグ側ACPアダプタ給電電極は、確実に、図36のHY端子側ACPアダプタ給電電極に接触できる。
図35の構造では、HY端子に従来のRCAピンプラグも挿入することができる(ガイド溝はRCAピンプラグの挿入の際の障害にならない)。
ガイド突起/ガイド溝の関係を除き、図35と図36の構成は、前述した図33と図34の構成と同じでよい。
図35および図36に示すような3芯構造のACPアダプタが採用される場合、給電電極による給電状態を利用して、ソース機器側の接続相手がHY端子に対応したものかどうかの自動判別を行なうことができる。
すなわち、ソース機器側の接続相手が通常の2芯ピンプラグ(RCA型ピンプラグ)の場合、ACPアダプタ内の回路基板に対する給電はなされない(あるいはRCA型ピンプラグのアース電極を介して、HY端子のアース電極とアダプタ給電電極とが電気的に短絡される)。この場合は、ソース機器側からのビデオ信号はACPアダプタ内部をパススルーし、そのままシンク機器側へ送出される。
一方、ソース機器側の接続相手が通常の3芯ピンプラグ(HY端子対応ピンプラグ)の場合、ACPアダプタ内の回路基板に対する給電がなされるようになる。この場合は、ACPアダプタは接続相手とキー交換を行い、入力されたアナログビデオ信号のスクランブルを解除して、正常な信号形式のアナログビデオ信号をシンク機器側に送出できる。
なお、3芯ピンプラグの場合でも、ソース機器側から電源供給がなされない場合は、2芯ピンプラグと同様な動作となり、ソース機器側からのビデオ信号はACPアダプタ内部をパススルーする。
図35のHY端子に挿入されるプラグが従来のRCAタイプか3芯HYタイプかにより、次のような違いがある:
*アダプタ接続相手 →RCA端子 →HY端子
*接続相手ケーブル →2芯(ホット/アース) →3芯(ホット/アース/給電)
*電源供給場所 →電源供給なし →HY端子付接続相手機器内
*アダプタIC稼働状況 →IC動作停止(電源ゼロ)→IC稼働
*アダプタ内信号伝送 →入力信号をパススルー →デ・スクランブル信号伝送
*回転方向の位置規制 →規制なし →突起部により回転方向の位置規制
次に、日米における標準画質(SD)ビデオおよび高解像度・高画質(HD)ビデオを例にとって、HY端子を用いたHD画質のアナログコピープロテクトと、SD画質でのアナログコピープロテクトの関連処理について、図37に例示しておく。
ここで、日本で既発売のHDTV(HDモニタ)に対しては、HY端子対応アダプタの接着を前提としている。日本で既発売のHD対応録画装置については、ここでは考慮外としている。
図37においては、マクロビジョン方式のコピープロテクトを使用する525プログレッシブまでを、SD画質と考えている。
既存装置との間では事前認証ができないので、この場合はコマンドをVBIに乗せない。ただし既存装置に対してHY端子対応アダプタを接続した場合は、双方向通信および/または一方向遠隔操作が可能となる。
パッケージメディアのコピー制御では、CGMS−Aを付属させる。アナログ放送系では、コピー制御情報を付けない。デジタル放送系では、独自のコピー制御情報を用いる。
最後に、双方向コマンドの概念を以下にまとめておく:
<マスタ/スレーブの概念を採用>
マスタ…ビデオ出力(ビデオ送信側)
スレーブ…ビデオ入力(ビデオ受信側)
ライン管理者…マスタ
スレーブに対してタイムリーにコマンドレディを発行し、リアルタイムでスレーブからのコマンド発行を可能にする。
下記のアイテム毎に詳細なコマンドが発行できるように「階層構造をもったコマンド記述」を採用:
1)コマンド、付加情報等の区別をする情報
2)ビデオ入力/ビデオ出力の宣言
3)コマンドの方向性(双方向I/Fか、一方向コマンドか)
4)事故紹介/構成認証
5)コマンドバージョン
6)マスタ/スレーブアドレス
<ユーザビリティ>
端子間の接続ミスの自動検出機能
HY端子の抜き差し自動認識
映像へのサービス情報の添付送信
接続機種確認機能(メーカ名、機種名、型番などをユーザに表示し確認させる)
<各機器に対する遠隔操作>
双方向通信を可能にする。
基本的なAV/C(AVコンポーネント)と同等レベルのコマンド制御を可能にする。
コンバータを介してIEEE1394と相互乗り入れ可能にする。
各機器毎にメニュー情報転送可能にする。
ここでのメニュー情報は、
a)機器動作選択メニュー;
b)記録コンテンツ内容メニュー
対象機種の切替を可能にする。
1個の万能リモコンを想定し、制御対象を切り替える
<VCRまたはDVDレコーダに対する制御>
電源オン・オフ
記録・再生・ポーズなど
高速ダビング機能(525P→525i転送など;この場合2倍速)
VCRの外部機器からテープナビ機能を実現可能にする。
<TVに対する制御>
TVの音量制御
画面切替/表示モード切替
電源オン・オフ
<監視カメラ(CCD)に対する制御>
ズームイン・ズームアウト
カメラアングル(上下左右への撮影位置の移動)
<将来性>
IEEE1394とのコマンド相互乗り入れ
3台以上の機器同士の協調動作
この協調動作は、1対N制御が基本だが、バスマスタ設定/スター型でN対N制御の可能性もある。
スイッチャ制御を含めたネットワーク自体の制御
異種機種を含めた統合制御…白物家電、電話、TV電話
この発明を実施することにより、以下のいずれかの効果が期待できる:
1.暗号化されたアナログ映像情報を各機器間で伝送し合うことにより、ネットワークに接続された他機器での映像情報の不正利用や不正コピーを防止できる。
2.暗号化されたアナログ映像情報を各機器間で伝送し合うことにより、簡単な回路付加(例えば1個のIC付加)により既存のアナログ接続端子(コンポジット端子もしくはS端子)が利用可能となる。
アナログ端子はほとんどの映像機器に標準装備されているので、暗号化されたアナログ映像情報の伝送処理方法は普及し易い。
3.既存のIEEE1394上でのコピープロテクション(暗号化されたディジタル映像情報の伝送処理)と比べて、制御用回路規模が少なく、映像情報機器のコストアップが抑えられるとともに、映像情報機器サイズの増加を防ぐことができる。
4.アナログの映像情報暗号化方法として、主走査線順の入れ替えといったレベルの簡易暗号化が可能なため、受信相手以外の他機器でも映像情報のおよその内容が分かる。そのため他機種を利用しているユーザーに対して購買意欲をそそり、暗号化されたアナログ映像情報の伝達処理機能を有した映像情報機器の市場拡大に大きく貢献する。
5.映像信号を送信するアナログ信号伝送路を使って同時に暗号キー情報を伝送するため、ケーブルTVなどの暗号化された映像信号に対する暗号キー情報を「郵送など別経路で配布する」従来方式に比べて、非常に簡単に、受信者のみが利用できる暗号キー情報を配送できる。このため、暗号キー情報を伝送するためのコストがほとんどかからない。
6.映像信号を送信するアナログ信号伝送路を使って同時に暗号キー情報を伝送するため、映像信号情報の送信者側が頻繁に暗号キー内容を変更できる。その結果、ハッカーに暗号解読の時間的の余裕を与えないのでセキュリティー(不正使用防止、不正コピー防止)に関し非常に高い信頼性を確保できる。
7.映像信号を送信するアナログ信号伝送路を使って同時にコマンド情報のやり取りができるため、非常に簡単かつ低価格で、IEEE1394に近いレベルの映像情報処理機器間の相互制御が可能となる。
ACP…アナログ・コピー・プロテクション;VBI…垂直帰線消去期間の情報;HDTV…アナログコンポーネントビデオ入力端子を装備し、NTSCビデオ信号(水平捜査周波数15.75kHz/垂直走査周波数60Hz)以外の走査周波数のビデオ信号も受け付けるテレビジョン/ビデオモニタ;10…ソース機器(DVDプレーヤ等)側のトランスミッタ;100…デジタル・スクランブラ(エンコーダ);100A…アナログ・スクランブラ(エンコーダ);102…スクランブルされたデジタル信号をアナログ化するD/A変換器;102A…スクランブルされる前のデジタル信号をアナログ化するD/A変換器;104…認証キー交換部;104A…スクランブルキー発生部;20…アナログ信号ケーブル;30…シンク機器側のレシーバ;300、300A…デ・スクランブラ(デコーダ);304…認証キー交換部;304A…スクランブルキー受信部;40…既存機器の外部接続部(ACPアダプタが接続される);50シンク機器(ハイビジョンTV等);500…シンク機器の内部回路;1000〜5000…アナログ信号情報処理装置;INV11〜INV23…アナログインバータ/極性反転回路;G/OF11〜G/OF33…ゲイン/オフセット調整部。