JP4040304B2 - トナー補給容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電子写真画像形成装置などとされる画像形成装置の装置本体に着脱可能なトナー補給容器に関する。
【0002】
ここで、電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成するものである。そして、電子写真画像形成装置としては、例えば電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えばレーザービームプリンタ、LEDプリンタなど)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサー等が含まれる。
【0003】
【従来の技術】
従来、電子写真複写機やプリンタ等の電子写真画像形成装置には現像剤としての微粉末のトナーが使用されている。そして、電子写真画像形成装置本体のトナーが消費された場合には、トナー供給容器(トナー補給容器)を用いて画像形成装置本体へトナーを補給することが行われている。
【0004】
トナーは極めて微細な粉末であるため、トナー補給作業時には、トナーが飛散しないようにトナー補給容器を画像形成装置本体内の内部に据え置いて、小さな開口部から少量ずつトナーを排出する方式が知られている。
【0005】
これらの上述したトナー補給容器は、いずれの場合も画像形成装置本体側から、何らかの駆動を受けて、トナー補給容器側の搬送部材や容器本体を駆動させることで、トナーを排出させる構成になっている。こうした駆動伝達手段としては幾つかの方法があり、例えば実開平05−75768号公報に記載されているように、トナー補給容器としてのトナーボトルの外周面にギア部を設け、このギアに駆動源に連結された回転する駆動ギアを噛み合わせてトナーボトルを回転駆動させる構成がある。
【0006】
又、特開平10−63084号公報に記載されているような、トナーボトルの端面に回転駆動用の突起を設け、この突起を画像形成装置本体からの駆動部に設けた凹み部に係合させて、駆動を伝達する構成等がある。
【0007】
又、その他の例としては特開平10−63076号公報に開示されているような方法もある。これは画像形成装置本体の回転力伝達部の内径に複数の係合溝を設け、一方、トナー容器側にはその係合溝に係合するような突起が設けてあり、それらを係合させて回転駆動を伝達する構成となっている。
【0008】
このように、トナー補給容器を駆動させる方法として、種々の駆動伝達方法が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例では幾つかの技術的課題があった。
【0010】
実開平5−75768号公報に記載の方法の場合はトナーボトルを画像形成装置本体に挿入セットする際、トナーボトルの外周面に設けたギア部と画像形成装置本体内の駆動ギア部とをうまく噛み合わせる必要があり、この作業はユーザー自身が注意して挿入する必要があり、そのためユーザーに補給操作性における負担を強いることとなっていた。又、ギアとギアの噛み合わせによりトナーボトルを回転させるため、トナーボトルは回転モーメントにより、軸直角方向にずれようとする力を受け、このため、トナーボトルが浮き上がったり、横ずれして正常な回転ができなくなるおそれがある。このようなずれを防止するために、トナーボトルの周囲を全部包囲して支持する必要があるが、そのようにすると今度はトナーボトルの着脱操作を簡単に行うことができなくなると同時に補給システム自体の構成が複雑化し、コストアップにつながる。
【0011】
又、特開平10−63084号公報や特開平10−63076号公報記載の方法の場合は、トナーボトル端面の突起(又は凹み部)を本体駆動部の凹み部(又は突起)に係合するようにトナーボトルを挿入する際に、トナーボトルの回転方向の位置合わせが必要となり、これをユーザー自ら行うことは補給操作性の低下を招くとともに、わずかな位置ずれにより、駆動が的確に伝達されない状態になる場合がある。
【0012】
このような係合不良を防止するために常にトナーボトル挿入時の回転方向の位置が決まるようにトナーボトル外面にガイドリブを設けたり、又、それに対応して本体駆動部の係合凹み部が常に所定の回転位置で停止するように回転動作を制御する必要があり、いずれも補給システムの構成の複雑化・コストアップ要因となる。
【0013】
又、こうした凹凸の係合によるカップリング駆動伝達の多くは、トナーボトルと本体駆動部の位相がズレて挿入された場合、本体駆動部をばねで退避させて、位相が合うと係合位置に戻るような構成にする場合がある。このような構成では、トナーボトルを挿入した時にボトルの位相がずれていても、本体駆動部が退避するため、そのうちボトルを回転させると位相が合って、係合することが可能になるが、本体駆動部の構成が複雑化することと、本体駆動部を奥側に退避させるため、余計なスペースを必要とすることから、装置本体のコンパクト化といった観点からも好ましくない。
【0014】
本発明は、前述した従来のトナー補給容器を更に発展させたものである。
【0015】
本発明の目的は、トナー補給容器の画像形成装置本体への着脱及びトナー補給動作を簡単な動作及び構成で確実に行なうことのできるトナー補給容器を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、トナー補給容器によるトナー補給操作時にトナー補給容器の回転方向の位置合わせを必要とせず、簡単な操作で確実に補給できるトナー補給容器を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、トナー補給容器及び画像形成装置本体の機構が簡単で安価にすることができるトナー補給容器を提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、画像形成装置本体をコンパクト化できるトナー補給容器を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係るトナー補給容器にて達成される。要約すれば、本発明に係る第1の発明は、画像形成装置本体に着脱可能で、画像形成装置本体の駆動部から回転駆動力を受け、容器自身が回転することで内部に収容したトナーを画像形成装置本体へ補給する略円筒形状のトナー補給容器であって、画像形成装置本体へトナーを補給するための開口部を備え、トナーを収容するトナー補給容器本体と、前記開口部を封止する封止部材と、を有したトナー補給容器において、
前記封止部材は、前記開口部を密閉する封止部と、前記封止部と一体に形成され、画像形成装置本体の駆動部に圧接して前記画像形成装置本体からの駆動力を伝達する円筒状の保持部と、を備えており、
前記保持部の内部には、軸線方向にスライド可能に配置され、画像形成装置本体へのトナー補給容器の挿入動作に伴って、画像形成装置本体からの作用により画像形成装置本体へのトナー補給容器の挿入方向とは逆方向にスライドして、前記保持部を拡径方向に弾性変形し、前記画像形成装置本体の駆動部と密着係合させ、前記画像形成装置本体からの駆動力を伝達してトナー補給容器本体の回転を可能とするスライドコアと、前記スライドコアを画像形成装置本体へのトナー補給容器の挿入方向に付勢するばね部材と、を備え、
前記スライドコアには、前記スライドコアの画像形成装置本体へのトナー補給容器の挿入方向とは逆方向へのスライド動作に伴って拡径方向に弾性変形して前記画像形成装置本体の駆動部と密着係合した際に前記保持部の弾性変形状態を維持するための係止部が設けられ、
前記保持部には、トナー補給容器を取り出す際には、画像形成装置本体からの作用により、前記スライドコアに作用して前記スライドコアを前記バネ部材の付勢方向に移動させ、前記保持部の前記画像形成装置本体の駆動部との密着係合状態を解除するための解除部が設けられる、
ことを特徴とするトナー補給容器である。
【0020】
本発明の一実施態様によると、前記保持部は、軸方向に形成した複数のスリット溝と、その内面には画像形成装置本体へのトナー補給容器の挿入方向とは逆方向にいくにしたがって縮径するテーパー面を有する。
【0021】
本発明の他の実施態様によると、前記保持部の本体駆動部との密着係合面がエラストマーで構成されている。
【0022】
本発明に係る第2の発明は、画像形成装置本体に着脱可能で、画像形成装置本体の駆動部から回転駆動力を受け、容器自身が回転することで内部に収容したトナーを画像形成装置本体へ補給する略円筒形状のトナー補給容器であって、画像形成装置本体へトナーを補給するための開口部を備え、トナーを収容するトナー補給容器本体と、前記開口部を封止する封止部材と、を有したトナー補給容器において、
前記封止部材は、前記開口部を密閉する封止部と、前記封止部と一体に形成された円筒体と、を備えており、
前記円筒体の内部には、軸線方向にスライド可能に配置され、画像形成装置本体へのトナー補給容器の挿入動作に伴って、画像形成装置本体へのトナー補給容器の挿入方向とは逆方向にスライドする円筒形状を成すスライドコアと、前記スライドコアをトナー補給容器の画像形成装置本体への挿入方向へ付勢するばね部材と、を備え、
前記スライドコアは、軸方向に形成した複数のスリット溝により複数のセグメントに分割されており、画像形成装置本体からの作用により前記スライドコアを画像形成装置本体へのトナー補給容器の挿入方向とは逆方向にスライドすることで縮径方向に弾性変形し、前記スライドコアの円筒内面で前記画像形成装置本体の駆動部と密着係合させ、前記画像形成装置本体からの駆動力を伝達してトナー補給容器本体の回転を可能とする保持部を有し、
前記円筒体は、前記円筒体に形成された軸方向の複数のスリット溝に配置され、前記スライドコアの弾性変形状態を維持するために前記画像形成装置本体側係止部に係合する係止部を有し、
前記係止部は、トナー補給容器を取り出す際に、画像形成装置本体からの作用により前記係止部を縮径方向に弾性変形させ、前記画像形成装置本体側係止部との係合状態を解除させるための傾斜爪部を有し、
トナー補給容器を取り出す際には、前記画像形成装置本体からの作用により前記画像形成装置本体側係止部との係合状態を解除させると共に、画像形成装置本体からの作用により、前記円筒体に作用して前記スライドコアを前記バネ部材の付勢方向に移動させ、前記保持部の前記画像形成装置本体の駆動部との密着係合状態を解除する、
ことを特徴とするトナー補給容器である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るトナー補給容器を図面に則して更に詳しく説明する。
【0027】
実施例1
先ず、本発明に係るトナー補給容器が装着される画像形成装置の一例である電子写真画像形成装置の構成について図1に基づいて説明する。
【0028】
[電子写真画像形成装置]
図1に示す電子写真複写機本体(以下、「装置本体」という)100において、原稿101が原稿台ガラス102の上に置かれると、原稿101の画像情報に応じた光像が光学部103の複数のミラーMとレンズLnにより、像担持体としての電子写真感光体ドラム(以下、「感光体ドラム」という)104上に結像する。カセット105、106、107、108に積載された記録媒体(以下、「用紙」という)Pのうち、図2に示す操作部100aから使用者(ユーザー)が入力した情報もしくは原稿101の紙サイズから最適な用紙Pをカセット105〜108の用紙サイズ情報から選択する。ここで、記録媒体としては用紙に限定されずに、例えばOHPシート等適宜選択できる。
【0029】
そして、給紙・分離装置105A、106A、107A、108Aにより搬送された1枚の用紙Pを、搬送部109を経由してレジストローラ110まで搬送し、更にレジストローラ110により用紙Pを感光体ドラム104の回転と、光学部103のスキャンのタイミングを同期させて転写部に搬送する。転写部では、転写放電器111によって、感光体ドラム104上に形成されたトナー像を用紙Pに転写する。そして、分離放電器112によって、トナー像の転写された用紙Pを感光体ドラム104から分離する。
【0030】
この後、搬送部113により定着部114へ搬送された用紙Pは、定着部114において熱と圧力により用紙P上のトナー像を定着させた後、片面コピーの場合には、排紙反転部115を通過し、排紙ローラ116により排紙トレイ117へ排出される。又、両面コピーの場合には、排紙反転部115のフラッパ118の制御により、再給紙搬送路119、120を経由してレジストローラ110まで搬送された後、片面コピーの場合と同様の経路をたどって排紙トレイ117へ排出される。
【0031】
又、多重コピーの場合には、用紙Pは排紙反転部115を通り、一度排紙ローラ116により一部が装置外へ排出される。そして、この後、用紙Pの終端がフラッパ118を通過し、排紙ローラ116にまだ挟持されているタイミングでフラッパ118を制御すると共に排紙ローラ116を逆回転させることにより、再度装置本体100内へ搬送される。更にこの後、再給紙搬送部119、120を経由してレジストローラ110まで搬送された後、片面コピーの場合と同様の経路をたどって排紙トレイ117へ排出される。
【0032】
ところで、上記構成の装置本体100において、感光体ドラム104の回りには現像手段としての現像装置201、クリーナ装置202、一次帯電器203等が配置されている。
【0033】
現像装置201は、原稿101の情報が光学部103により感光体ドラム104に形成された静電潜像を、トナーを用いて現像するものである。そして、この現像装置201へトナーを補給するためのトナー補給容器1が使用者によって装置本体100に着脱可能に装着されている。
【0034】
又、現像装置201は、収容手段としてのトナーホッパー201aと現像器201bとを有している。トナーホッパー201aは、トナー補給容器1から補給されたトナーを撹拌するための撹拌部材201cを有している。そして、この撹拌部材201cにより撹拌されたトナーは、マグネットローラ201dにより現像器201bに送られる。現像器201bは、現像ローラ201fと、送り部材201eを有している。そして、マグネットローラ201dによりトナーホッパー201aから送られたトナーは、送り部材201eにより現像ローラ201fに送られて、この現像ローラ201fにより感光体ドラム104に供給される。
【0035】
尚、クリーナ装置202は、感光体ドラム104に残留しているトナーを除去するためのものである。又、一次帯電器203は、感光体ドラム104を帯電するためのものである。
【0036】
図2に示す外装カバーの一部であるトナー補給容器交換用前カバー15(以下、「交換用前カバー」という)を図3に示すように使用者が開けると、容器受け台50が、駆動系(不図示)によって所定の位置まで引き出される。そして、この容器受け台50上にトナー補給容器1を載置する。使用者がトナー補給容器1を装置本体100から取り出す際には、容器受け台50を引き出し、容器受け台50に載っているトナー補給容器1を取り出す。ここで、交換用前カバー15はトナー補給容器1を着脱(交換)するための専用カバーであって、トナー補給容器1を着脱するためだけに開閉される。尚、装置本体100のメンテナンスは、前面カバー100cを開閉することによって行われる。
【0037】
尚、容器受け台50を介することなく、トナー補給容器1を装置本体100に直接装着し、又、装置本体100から取り外してもよい。
【0038】
[トナー補給動作]
先ず、図7(A)〜図7(C)を用いてトナー補給容器(以下、「トナーボトル」という)のトナー補給動作について説明する。図7(A)〜図7(C)はトナーボトル1を装置本体100内に挿入してトナー補給を行う過程の状態を各段階毎に示した図である。
【0039】
同図に示すように、装置本体100にはトナー補給装置400が設けられ、更にトナー補給装置400には、トナーボトル1と連結してトナーボトル1を回転駆動させる駆動部(駆動力伝達部)20が具備されている。駆動部20はベアリング23によって回転可能に支持され、装置本体100内に設けた不図示の駆動モータにより回転駆動する構成になっている。
【0040】
又、装置本体100には、ホッパー201aに連通するトナー補給路24を形成する隔壁25が設けられ、この隔壁25には、トナーボトル1の一部を回転可能に支持し、かつトナー補給路24を密封する内外ベアリング26a、26bが固着されている。更に、トナー補給路24には補給トナーをホッパー201aに搬送するためのスクリュー部材27が配置されている。
【0041】
図7(A)には、トナーボトル1を装置本体100に挿入させる状態が示されている。トナーボトル1先端の一端面には、例えば円筒状とされるトナー補給開口部(以下、単に「開口部」という)1aが設けてあり、開口部1aは、その先端開口が封止部材2により封止された状態にある。
【0042】
図7(B)には、トナーボトル1の挿入が更に進み、封止部材2の先端部に設けた係止部としての爪部3が装置本体側の駆動部20と係合した状態が示されている。この駆動部20と封止部材2との係合はユーザーがトナーボトル1を挿入した時の挿入力によって行われる。この時、封止部材2は、爪部3に設けた係止面によって駆動部20とスラスト方向(軸方向)に係止されているため、封止部材2はこの係止を解除しない限り、駆動部20に位置的に固定された状態にある。
【0043】
図7(C)には、封止部材2と駆動部20が係合した後、交換用前カバー15の閉動作に連動して、スライド部材300が矢印b方向に後退することでトナーボトル1も後退し、相対的に封止部材2がトナーボトル1から離れて開口部1aが開き、トナー補給が可能となった状態が示されている。この時、トナーボトル1の本体(以下、「ボトル本体」という)1Aに固定された駆動軸1bは封止部材2から完全に外れることはなく、駆動軸1bの一部が封止部材2内に残っている。尚、駆動軸1bは、その断面が、四角形や三角形などの回転駆動伝達が可能な非円形断面形状になっている。
【0044】
この状態で不図示のモータを駆動させると回転駆動力は本体駆動部20から封止部材2へと伝達し、更に封止部材2から駆動軸1bへと伝わることでトナーボトル1が回転する構成になっている。すなわちこの封止部材2はトナーを封止すると同時にトナーボトル1の回転駆動力を伝達させる2つの機能を果たしている。
【0045】
又、トナーボトル1は容器受け台50に設けられたボトル受けローラ23により回転可能に支持されているため、わずかな駆動トルクでもスムーズに回転することが可能である。このボトル受けローラ23はボトル本体1Aに対して鞍となる位置に4ケ所配設されている。ボトル受けローラ23は装置本体100のトナー補給装置400に回転自在に設けてある。このようにトナーボトル1が回転することでトナーボトル1の内部に収容されていたトナーが開口部1aから順次排出され、トナー補給路24に設けられたスクリュー部材27によって装置本体100側のホッパー201aへと搬送され、トナー補給が行われる。
【0046】
[トナー補給容器の交換方法]
次に、トナーボトルの交換方法について説明する。
【0047】
画像形成のプロセスに伴い、トナーボトル1内のトナーが略全量消費されると、装置本体100に設けられたトナー補給容器空検知手段(不図示)によってトナーボトル1内のトナーが無くなったことが検知され、その旨が液晶等の表示手段100b(図2参照)によりユーザーに知らされる。
【0048】
本実施例においてトナーボトル1の交換はユーザー自身が行い、その手順は以下の通りである。
【0049】
先ず、閉じられた状態の交換用前カバー15をヒンジ18を中心に回動させて図6の破線で示す位置まで開く。この交換用前カバー15を開く動作に連動して後述のトナー補給部開閉手段により、上述の図7(C)の状態にあるボトル本体1Aが矢印b方向とは反対方向の図7(A)に示す矢印a方向に移動して、それまでボトル本体1Aと離間した、トナー補給開口部1aを開放する状態にあった封止部材2がトナー補給開口部1aに圧入嵌合され、トナー補給開口部1aが閉止され、上記図7(B)に示す状態となる。
【0050】
次に、ユーザーは、装置本体100に装着されているトナーのなくなったトナーボトル1を図7(A)に示す矢印a方向と逆方向、即ち、図7(C)に示す矢印b方向に引き出し、装置本体100から取り外す。なお、本発明に従った、取り外す際の爪部3の係止解除の方法は後で詳しく述べる。この後、ユーザーは新しいトナーボトル1を図7(A)に示す矢印aの向きに装置本体100へと挿入した後、交換用前カバー15を閉じる。そして、上述のように、この交換用前カバー15を閉める動作に連動してトナー補給部開閉手段により封止部材2が容器本体1Aから離間され、トナー補給開口部1aが開封される(図7(C))。以上が、トナー補給容器の交換手順である。
【0051】
[トナー補給容器(トナーボトル)]
次に、本実施例のトナーボトルについて図8と図9を用いて更に説明する。
【0052】
トナーボトル1は略円筒形状に形成され、その一端面のほぼ中央にそのボトル本体、即ち、円筒部1Aより小径の開口部1aが突設されている。開口部1aには開口部1aを閉じる封止部材2が設けてあり、図7(A)〜(C)に関連した説明にて理解されるように、この封止部材2がトナーボトル1の軸方向(矢印a−b方向)にスライドすることにより、開口部1aの開閉動作を行う構成になっている。
【0053】
この封止部材2は、前記開口部1aを密閉する封止部2bと本体駆動部20(図7)に圧接して本体からの駆動力を伝達する円筒状の保持部(以下、「保持部」という。)2cを有している。この保持部2cには軸線方向に対して複数のスリット溝2dが設けてあり、さらに保持部2cの内部には軸線方向にスライドするスライドコア3が内設されている。そして、スライドコア3の軸線方向の移動に伴って保持部2cがラジアル方向(半径方向)に押し開かれることで画像形成装置本体の駆動部20に圧接し、トナーボトル1に回転駆動を伝達する機能を果たす構成になっている。この封止部材2の構成については後で詳細に述べる。
【0054】
先ず、トナーボトル1の内部の構成について説明する。
【0055】
上述のように、トナーボトル1は略円筒形状を有しており、装置本体100内に略水平に配置され、装置本体100から回転駆動を受けて、回転する。そして、このトナーボトル1の内面には、図8に示すように、螺旋状の突起1dが設けてある。トナーボトル1が回転することにより、この螺旋状突起1dに沿ってトナーが軸方向に搬送され、トナーボトル1端面に設けた開口部1aからトナーが排出される。
【0056】
本発明におけるトナーボトル1内部の構成については、トナーボトル1が回転することによりトナーが排出するボトル形状であれば、特にその形状や構成について限定するものではない。
【0057】
つまり、本発明の主旨は、駆動を受けることによってトナーを排出するトナーボトル1において、トナーボトル1と装置本体100との駆動伝達部の構成に特徴を持たせたことであるため、トナーボトル1の内部構成については、本実施例のように一般的によく知られているボトル内部に螺旋状突起1cを形成したものや、その他の構成のものであっても構わない。
【0058】
例えば、本実施例の変形例として図10に示すようなボトル内部の構成でも良い。本変形例では、ボトル本体内部に板状のバッフル部材40を設け、バッフル部材40の表面にトナーボトル1の軸線方向に対して傾斜した傾斜突起40aを複数設けており、この傾斜突起40aの一端は開口部1aに達している。トナーは最終的にこの傾斜突起40aから開口部1aを通って排出される。トナーが排出する原理は、トナーボトル1の回転によってバッフル部材40で掻き揚げられたトナーがバッフル部材40表面上を滑り落ち、傾斜突起40aによってトナーボトル1の前方へ搬送される。この動作を繰り返すことによって、トナーボトル内部のトナーは順次、撹拌・搬送されて開口部1aから排出される。
【0059】
又、本発明における駆動の形式は、本実施例に示すような回転駆動だけに限定するものではなく、トナーボトルを振動、或いは、揺動、又はその他の方法等、何らかの駆動力を受けることによりトナーを補給するものであれば、特にその駆動の形式は問わない。つまり、装置本体100から何らかの駆動を受けることによってトナーを排出するトナーボトルであれば、その駆動は回転でも、揺動でも振動でも、いずれの駆動形式でもよい。
【0060】
また、前記変形例においては、この板状のバッフル部材40はトナーボトル1とは別部材で構成されており、封止部材2を介して、このバッフル部材40に回転駆動力を伝達することで間接的にトナーボトル1を回転させる。
【0061】
このように封止部材2を介してトナーボトル1を直接或いは間接的に回転駆動力を伝える構成でもどちらの構成を用いてもよい。
【0062】
図8及び図9において、上述のようにボトル本体1Aにはその一端面に開口部1aが設けてあり、さらに開口部1a内には封止部材2から突出した駆動軸2aに係合する係合穴部1bが設けてある。この係合穴部1bは駆動軸2aが軸方向にスライド可能なように貫通穴1cを備えており、この貫通穴1cは、開口部1aのほぼ中心軸線上に位置し、封止部材2に設けた駆動軸2aと係合する。係合部1bは装置本体100から封止部材2を介して回転駆動力をボトル本体1Aへ伝達させるためのものであることから、係合穴部1bの貫通穴1cの断面形状は回転駆動力を伝達可能な四角形状やHカット形状、Dカット形状等の形状になっている。係合穴部1bは適宜手段によってボトル本体1Aに固定されている。
【0063】
[封止部材]
次に、封止部材2について図11〜図13を用いて更に説明する。
【0064】
図11は本発明における封止部材2の外観斜視図、図12は図11の部分断面斜視図、図13は封止部材2の正面断面図である。
【0065】
図11及び図12において、封止部材2はトナーボトル1の開口部1aを開封可能に封止する封止部2b、及び、装置本体の駆動部20と係合する円筒状の保持部2cを備えている。封止部2bの外径は開口部1aの内径よりも適当量大きく設定されている。そして、封止部2bを開口部1aに圧入嵌合することにより、封止部材2によって開口部1aであるトナー補給口が密封される。
【0066】
上述のように、封止部材2は、係合穴部1bと係合して装置本体100から受けた駆動力を係合穴部1bに伝達するための駆動軸2aを有している。この駆動軸2aは封止部2b及び保持部2cにわたって形成されている。又、この駆動軸2aは係合穴部1bの貫通穴1cの断面形状に対応した形状を有するとともに、貫通穴1cよりも僅かに小さく形成されている。これにより駆動軸2aは係合穴部1bに遊嵌される。又、駆動軸2aは係合穴部1bの貫通穴1cと同断面であって、多角形である。本実施例では正方形を採用している。
【0067】
そして、このように駆動軸2aが係合穴部1bに遊嵌されることにより、ボトル本体1Aと封止部材2とは、ボトル本体1Aの回転方向には互いに係止される。一方、軸線方向へは相互に移動自在に構成される。これにより、トナーボトル1をトナー補給装置400へ装着時、後述するように封止部材2とボトル本体1Aとの離間が可能となり、トナー供給口、即ち、開口部1aの開封(開口)が可能となる。
【0068】
ところで、この駆動軸2aと係合穴部1bとの係合長さは、封止部材2とボトル本体1Aとが離間する際、外れることのない長さを有している。これにより封止部材2がボトル本体1と離間しても、係合穴部1bは封止部材2を介して駆動力を受けることができる。
【0069】
次に、本発明の最大の特徴部分である、封止部材2の内部の構成について詳しく説明する。
【0070】
封止部材2の保持部2cの内部にはスライドコア3が設けられる。このスライドコア3は保持部2c内で軸線方向(矢印a−b方向)にスライド可能に支持されており、ガイド溝3cと、保持部2c内部に設けたガイド突起2gとによってガイドされた状態で支持されている。
【0071】
また、スライドコア3は通常はスプリングSによって常に矢印a方向に付勢された状態にあるが、b方向に力を加えると所定量だけb方向にスライドすることができ、力を除去するとスプリングの弾性力によって元の状態に戻る。このスライドコア3は、スプリングSによって矢印a方向に付勢されているが、ガイド突起2gによってスライドコア3が保持部2c内から完全に外れることはない。
【0072】
また、スライドコア3の先端部には突当部3bと係止部3aが設けてあり、係止部3aは、スライドコア3の全周にわたって突出したリング状の凸部を形成している。この係止部3aはスライドコア3が矢印b方向にスライドしたときに、保持部2c内面に設けた係止溝2eに嵌まり、係止する構成とされる。
【0073】
また、保持部2cにはスリット溝2dが複数形成されており、それによって、矢印c−d方向(図13)に容易に弾性変形可能である。さらに、保持部2c内面は、矢印b方向に行くに従って縮径するテーパー(傾斜面)がついているため、スライドコア3が係止溝2eに嵌まって係止すると同時に保持部2cは矢印c方向に僅かに広がる構成になっており、後述する本体駆動部20との圧接力により、本体駆動部20としっかりと固定され、駆動伝達が可能となる。
【0074】
また、保持部2cには穴部2fが複数設けられており、その穴部2f内に解除部材4が回動自在に配設されている。この解除部材4は支持軸4aで円筒部2cに支持されており、支持軸4aを回転中心として自由に回動できる。この解除部材4は、保持部2cよりも半径方向外側と内側に対して(矢印c−d方向)に突出して設けており、後述する解除リングの動作によってスライドコア3を解除するための機能を果たしている。このスライドコア3の解除動作については後で詳細に説明する。
【0075】
封止部材2の材質としては、上述のように、スライドコア3のスライドによって封止部材2の保持部2cが自由に弾性変形することができるように、弾性変形可能な材質が好ましい。
【0076】
封止部材2は、プラスチック等の樹脂を射出成形して製造するのが好ましいが、他の材料及び製造方法であっても、任意に分割、接合しても構わない。又、封止部材2は開口部1aに圧入嵌合してこれを密封するために適度な弾性が必要とされる。その材料としては、種々の合成樹脂を使用することができ、低密度ポリエチレンが最も好ましく、次いでポリプロピレン、直鎖状ポリアミド、例えば商品名ナイロン、高密度ポリエチレン、ポリエステル、ABS、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)等の樹脂が好ましく利用できる。
【0077】
上記のように、保持部2cを弾性変形可能な弾性部材とすることにより、弾性変形を利用して駆動部20及び保持部2cの係合離脱を容易に行なうことができる。又、上記の材料は、適度な弾性を有しているので、駆動部20及び保持部2cの係合離脱を容易に行なうことができ、且つ、十分な耐久性を有している。
【0078】
また、保持部2cは、スライドコア3のスライドによって半径方向外側に弾性変形し、本体駆動部20に圧接することで駆動伝達力を得る構成であるため、より確実でより高い駆動伝達性能を得るために、本体駆動部に圧接する部分の材質を図18に示す実施例のように、適宜設定することも可能である。
【0079】
つまり、図18に示す実施例では、保持部2cの一部を密着性の高い材質であるエラストマー2hにした場合の一例を示す。このような構成とすることで、より高い密着性が得られ、確実でより高い駆動力の伝達を行うことが可能である。こうした部分に使用する材質としては、粘着性ゴム、シリコンゴム、エラストマー等の材質が好適である。斯かる構成の封止部材は、製造方法としては二色成形やインサート成形などにより容易に製造することが可能である。
【0080】
また、図18には保持部2cの一部を上記材質とする例を示したが、保持部2cの一部に限らず全部に使用することももちろん可能である。
【0081】
[本体側駆動部]
次に、図14及び図15を参照して、先に説明した封止部材2に駆動力を伝達する画像形成装置本体側の駆動部20の構成について説明する。図14は本体側駆動部20の構成についての一例を示した部分断面斜視図であり、図15は本体側駆動部20と封止部材2との関係を示した正面断面図である。
【0082】
本実施例にて、軸20cは、本体側駆動軸であり、不図示の駆動モータからの回転駆動を伝達し、駆動部20と一体で回転する。駆動部20の先端側は封止部材2を受け入れるための導入部20bが形成される。この導入部20bは傾斜した面になっているため、封止部材2をスムーズに駆動部20に案内することができる。また、駆動部20の内面には、封止部材2の保持部2cと接触し、駆動力を伝達するための駆動伝達面20aが設けてある。この駆動伝達面20aと保持部2cとの圧接力によって回転駆動を封止部材2に伝達する。
【0083】
なお、本発明においては、図15に示した駆動部20の形状はこれに限定するものではなく同一の機能を果たすことができれば他の形状であっても何ら構わない。
【0084】
[駆動伝達の説明]
次に、図16を用いて、本実施例における駆動部20と封止部材2との駆動伝達の態様を説明する。
【0085】
図16(A)はユーザーが新しいトナーボトル1を装置本体100にセットするために、矢印a方向にトナーボトル1を挿入する際の様子を示したものであり、装置本体内の駆動部20と係合する前の状態である。
【0086】
トナーボトル1の挿入が進むと、図16(B)に示すように、封止部材2内に配設したスライドコア3の先端突当部3bが駆動部20に当接し、やがて係止部3aが係止溝2eに係止されるまでボトル1が挿入される。この時、封止部材2の保持部2cは係止部3aによって半径方向に広がる作用を受けるため、駆動部20の駆動伝達面20aにしっかりと圧接し、この張力によって封止部材2と駆動部20とが強固に固定され、駆動伝達が可能な状態になる。なお、スライドコア3は、係止部3aと係止溝2eとの係止によって軸方向の位置が保持された状態であるため、その後、図16(C)に示すように、トナーボトル1を矢印b方向に後退させても、封止部材2はトナーボトル1と一緒に引きつられて後退することなく、しっかり駆動部20に固定される。一方、トナーボトル1だけが後退するため、封止部材2とトナーボトル1が確実に離間され開口部1aが開封する。尚、トナーボトル1の後退動作は装置本体100の前カバー15の開閉動作に連動してトナーボトル1をスライドさせるような構成にしてもよい。
【0087】
また、前記スライド動作については、前述したように封止部材2を固定して、トナーボトル1をスライドさせてもよいし、逆にトナーボトル1を固定して、封止部材2をスライドさせてもよいし、或いは封止部材2とトナーボトル1の両者を互いに離間する方向にスライドさせても構わない。
【0088】
このように本発明においては、トナーボトル1の挿入動作に連動して封止部材2が弾性変形することで本体駆動部20の内面の駆動伝達面20aに圧接することで駆動力を伝達する構成とされるために、従来の駆動伝達手段のように、凹凸の組合せによるカップリング駆動のような場合の凹部と凸部の位相を合わせといった面倒な作業が一切必要ない。
【0089】
つまり、本発明においては、ユーザーはトナーボトル1を挿入するだけで確実にトナーボトル1を装置本体100にセットすることができ、更にトナーボトル1の挿入の際にボトル1の回転方向の位置合せなどの面倒な作業を必要とせずに簡単な動作で交換作業を行うことができる。
【0090】
又、トナー補給容器の開封動作を画像形成装置本体内で補給動作に連動させて行なうために、ユーザー自身が開封作業を行なう必要がなく、ユーザーは手を汚さずに簡単にトナー補給を行なうことができる。
【0091】
[駆動伝達の解除方法]
次に、図17を用いて、封止部材2と本体駆動部20との駆動伝達解除方法について説明する。
【0092】
トナー補給が終了し、トナーボトル1が空になると、古いトナーボトル1を取り外し、新しいトナーボトルに交換しなければならない。その際にそれまで係合していた封止部材2と駆動部20の駆動伝達を解除する必要がある。
【0093】
図17(A)は、トナー補給が終わり、トナーボトル1の開口部1aが開口した状態を示している。先に説明した図16(C)と同じ状態を示す。
【0094】
図17(A)において、先ず、補給が完了したトナーボトル1の開口1aを封止するために不図示の本体カバーとの連動によってトナーボトル1が矢印方向に移動し、開口部1aを封止部材2によって封止する。封止された状態が図17(B)である。
【0095】
次に、駆動部20と封止部材2の駆動伝達を解除する際は、図17(B)にて、封止部材2に設けた解除部4に解除リング21を矢印b方向に進入させることで、図17(C)に示すように、解除部4は支持軸4aを回転中心に回転する。この回転によって解除部4の他端側、即ち、内方端がスライドコア3を反対側の矢印c方向に押し出すことでそれまで係止状態にあったスライドコア3の係止状態を解除する。解除されたスライドコア3は再びスプリング力により付勢され、それにより支持部2cは弾性変形により半径方向内側に戻り、この瞬間駆動伝達面20aとの圧接力が解放され駆動伝達が解除される(図17(C))。
【0096】
この解除リング21の駆動構成については、装置本体100の前カバー15の開閉動作に連動させて、前カバー15を開けた時に解除リング21が矢印b方向移動して(図17(B))、駆動部20とトナーボトル1の封止部材2の分離を行い(図17(C))、前カバー15を閉じると矢印b方向に移動するといった構成にしてもよいし、或いは、別途駆動モータ等を用いて、独立した分離動作を行うような構成にしてもよい。又は、装置本体100の前カバー15との連動動作ではなく、別途手動レバーを設け、これに連動して分離動作を行うような構成にする等、どのような方法でも構わない。
【0097】
上記のように、本実施例によれば、トナー補給容器1を挿入するだけで確実に画像形成装置本体に係合でき、且つ取り出す時には解除部4を押圧するだけの動作で容易に係合が解除できるので、非常に簡単な動作及び構成でトナー補給容器の補給動作を行なうことができる。従って、操作性の高いトナー補給容器を提供できる。
【0098】
又、トナー補給容器1の駆動伝達の解除が行えると同時に、開口部1aの開閉動作をも同時に実現させることが可能である。
【0099】
更に、このように非常に簡単な動作、かつ簡単で安価でコンパクトな構成にも拘らず、確実で信頼性の高い駆動伝達を実現できる。
【0100】
又、トナー補給容器に回転駆動を伝達するに際し、回転軸受機構が不要であり、簡単な構成でしかも軸受部でのトナー漏れ、トルクアップ、粗粒発生等の弊害が生じないトナー補給容器を提供できる。
【0101】
実施例2
尚、本発明は以上説明してきた実施例に限定されるものではなく、他の種々の実施例が可能である。
【0102】
例えば、図19に示すように、トナーボトル1が、ボトル本体1Aの円筒面1dに開口部1aがある場合、保持部2cを上述した封止部材2に設けるのではなく、トナーボトル本体1Aの端面に直接設けてもよい。この場合、開口部1aはシャッタ部材5により開閉可能に封止される。
【0103】
実施例3
また、他の実施形態としては、封止部材2は、図20に示すような形態でもよい。つまり、図20に示す実施例では、封止部材2側に係合穴2iを設けた場合の例を示す。この場合、トナーボトル本体側から駆動軸(図示せず)を突出させて駆動伝達を行う構成になる。この係合穴2i、及び、ボトル本体側の駆動軸は駆動伝達が可能なように断面形状が四角状やHカット形状、Dカット形状などの形状になっている。
【0104】
実施例4
図21〜図24には、本発明に係る封止部材2の他の実施例を示す。本実施例の封止部材2は、実施例1の封止部材とは、本体駆動部20からの駆動を受ける駆動力受け部として機能する保持部2cが、スライドコア3に設けられている点で大きく異なる。
【0105】
つまり、本実施例では、封止部材2に形成された駆動軸2aとは反対方向に突出して形成された、実施例1では保持部2cを形成している円筒部2Aに、軸線方向に所定長さにてスリット溝3dが形成され、それによって、爪状の係止部3aが複数個、本実施例では、周面4カ所に均等間隔で設けられている。係止部3aは押圧されることで、容易に半径方向内方向へと弾性変形可能とされる。この係止部3aは、詳しくは後で説明するように、封止部材2が矢印a方向にスライドしたときに、固定の解除リングとしての本体側係止部20dと嵌り合い、内方へと押圧されて変形し、その後、弾発的に元の位置へと戻り、係止部20dに係止する。
【0106】
円筒体2Aの内部には、スライドコア3が設けられる。このスライドコア3は、円筒体2A内で円筒体2Aに対して相対回転は禁止されるが、軸線方向(矢印a−b方向)にはスライド可能とされる。即ち、スライドコア3は、円筒体2A内で、ガイド溝3cと、円筒体の内部に設けたガイド突起2gとによって軸線方向にスライド可能にガイドされた状態で支持されている。
【0107】
スライドコア3は、スプリングSによって、常に矢印a方向に付勢された状態にあるが、矢印b方向に力を加えると所定量だけ矢印b方向にスライドすることができ、力を除去するとスプリングSの弾性力によって元の状態に戻る。このようにスライドコア3は、スプリングSによって矢印a方向に付勢されているが、ガイド突起2gによってスライドコア3が保持部2c内から完全に外れることはない。斯かる構成は実施例1の場合と同様である。
【0108】
本実施例によると、実施例1の場合と異なり、スライドコア3は、中心部に保持部2cとしての中心穴が形成されている。又、スライドコア3は、軸線方向に形成された幅広のスリット溝3dにより、複数のセグメント、本実施例では4個のセグメントに分割されており、そのために、スライドコア3は、半径方向に弾性変形可能とされる。スリット溝3dは、上記係止部3aに対応した位置とされ、従って、係止部3aが、半径方向内方へと押圧されたとき、このスリット溝3d内へと進入可能とされる。スライドコア3の先端部は、詳しくは後述するが、本体駆動部20の駆動軸20cが衝接する駆動軸突当部3bとされる。
【0109】
又、スライドコア3は、突当部3bの外径が円筒体2Aの内径より大とされ、その後、外径は、突当部3より円筒体2Aの内部へと行くに従って小さくされている。従って、スライドコア3は、円筒体2Aの内部へと押入されると、保持部2cの内径が縮径される。このため、後述するように、保持部2cに本体駆動部20の駆動軸20cが嵌合し、駆動軸20cの矢印b方向への押圧力により、保持部2cが縮径し、そのときの圧接力により本体駆動部20としっかりと固定され、駆動伝達が可能となる。
【0110】
装置本体側には、上述したように、固定の解除リングとしての本体側係止部20dが設けられるほかに、実施例1にて説明したと同様に、軸線方向に移動自在とされた解除リング21が配置される。この解除リング21は、爪状係止部3aに係合して係止部3aを下方へと押し下げ、係止部3aの本体側係止部20dとの係止を解除し、それによって、スライドコア3と駆動軸20cとの解除を行うための機能を果たしている。このスライドコア3の解除動作については、後で詳細に説明する。
【0111】
封止部材2、スライドコア3などは、実施例1にて説明した材料にて作製することができる。
【0112】
本実施例によると、先に説明した封止部材2に駆動力を伝達する画像形成装置本体側の駆動部20の駆動軸20cは、実施例1と同様に、不図示の駆動モータからの回転駆動を伝達する。駆動軸20cの先端部は、先細とされ、スライドコア3の中心穴、即ち、保持部2c内へと嵌入可能とされる。又、駆動軸20cに形成された環状肩部20eがスライドコア3の駆動軸突当部3bに衝接する。
【0113】
次に、図25及び図26を用いて、本実施例における駆動部20と封止部材2との駆動伝達及び解除態様を説明する。
【0114】
図25(A)は、ユーザーが新しいトナーボトル1を装置本体100にセットするために、矢印a方向にトナーボトル1を挿入する際の様子を示したものであり、装置本体内の駆動部20と係合する前の状態である。
【0115】
トナーボトル1の挿入が進むと、図25(B)に示すように、封止部材2の係止部3aの傾斜爪部が、本体側係止部20dに当接し、係止部3aは、矢印で示すように、半径方向内方へと押圧され、スライドコア3のスリット溝3d内へと弾性変形する。やがて、係止部3aは、リング状本体側係止部20dの穴部を通過し、弾発的に元の位置へと戻り、図25(C)に示すように、爪部が本体側係止部20dに係止される。
【0116】
このとき、封止部材2内に配設したスライドコア3の先端突当部3bが駆動軸20cの環状肩部20eに当接する。更に、駆動軸20cがスライドコア3をばねSの力に抗して軸線方向内方へと押入することにより、スライドコア3が縮径し、封止部材2と駆動部20とが強固に固定され、駆動伝達が可能な状態になる。
【0117】
なお、スライドコア3は、係止部3aと本体側係止部20dとの係止によって軸方向の位置が保持された状態であるため、その後、図26(A)に示すように、トナーボトル1を矢印b方向に後退させても、封止部材2はトナーボトル1と一緒に引きつられて後退することはなく、しっかり駆動部20に固定される。一方、トナーボトル1だけが後退するため、封止部材2とトナーボトル1が確実に離間され開口部1aが開封する。尚、トナーボトル1の後退動作は、装置本体100の前カバー15の開閉動作に連動してトナーボトル1をスライドさせるような構成としても良く、或いは、他の構成にしても良いのは、実施例1の場合と同様である。
【0118】
このように本実施例においては、トナーボトル1の挿入動作に連動して封止部材2が弾性変形することにより本体駆動部20の駆動軸20cに圧接し、それによって、駆動力を伝達する構成とされるために、従来の駆動伝達手段のように、凹凸の組合せによるカップリング駆動のような場合の凹部と凸部の位相を合わせといった面倒な作業が一切必要ない。
【0119】
本実施例においても、ユーザーはトナーボトル1を挿入するだけで確実にトナーボトル1を装置本体100にセットすることができ、更にトナーボトル1の挿入の際にボトル1の回転方向の位置合せなどの面倒な作業を必要とせずに簡単な動作で交換作業を行うことができる。
【0120】
又、トナー補給容器の開封動作を画像形成装置本体内で補給動作に連動させて行なうために、ユーザー自身が開封作業を行なう必要がなく、ユーザーは手を汚さずに簡単にトナー補給を行なうことができる。
【0121】
トナー補給が終了し、トナーボトル1が空になると、古いトナーボトル1を取り外し、新しいトナーボトルに交換しなければならない。その際にそれまで係合していた封止部材2と駆動部20の駆動伝達を解除する必要がある。
【0122】
図26(A)は又、トナー補給が終わり、トナーボトル1の開口部1aが開口した状態を示している。
【0123】
図26(A)において、先ず、補給が完了したトナーボトル1の開口1aを封止するために不図示の本体カバーとの連動によってトナーボトル1が矢印b方向とは反対方向に移動し、開口部1aを封止部材2によって封止する。封止された状態が図26(B)である。
【0124】
次に、解除リング21を矢印b方向に進入させることで、図26(B)に示すように、解除リング21が封止部材2の係止部3aに当接し、係止部3aを半径方向内方向へと矢印方向に変形させる。これにより、本体側係止部20dと係止部3aとの係合が解除され、トナーボトルを矢印aとは逆方向に移動させ、駆動部20とトナーボトル1の封止部材2の分離を行う。解除動作は、実施例1と同様の構成にて行うことができる。
【0125】
上記のように、本実施例においても、実施例1の場合と同様の効果を達成し得る。
【0126】
尚、本願明細書でいう「トナー」とは、一成分現像剤であるトナー、或いは、二成分現像剤のトナーであってもよく、また、二成分現像剤であれば、キャリアを混在してもよい。
【0127】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のトナー補給容器によれば、
(1)トナー補給容器の画像形成装置本体への着脱及びトナー補給動作を簡単な動作及び構成で確実に行なうことができ、操作性を向上させることができる。
(2)トナー補給容器及び画像形成装置本体の機構を簡単で安価にすることができる。
(3)画像形成装置本体をコンパクト化できる。
という効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例を示す断面図である。
【図2】図1の画像形成装置を示す斜視図である。
【図3】トナー補給容器を画像形成装置に装着する様子を示す斜視図である。
【図4】図1の画像形成装置の正面図である。
【図5】図1の画像形成装置の側面図である。
【図6】トナー容器交換用カバーを開いた様子を示す画像形成装置の平面図である。
【図7】トナー補給容器の装着動作、即ち、(A)装着開始時、(B)装着途中、及び(C)装着完了時を示す断面図である。
【図8】トナー補給容器の一実施例を示す一部切り欠き斜視図である。
【図9】駆動軸を封止部材に設けた場合の駆動伝達部の一実施例を示す部分拡大断面図である。
【図10】トナー補給容器の他の実施例を示す一部切り欠き斜視図である。
【図11】封止部材の一実施例を示す外観斜視図である。
【図12】封止部材を示す図11の断面斜視図である。
【図13】封止部材を示す図12の正面断面図である。
【図14】画像形成装置本体側の駆動部の一例を示す部分断面斜視図である。
【図15】本体側駆動部と封止部材との関係を示す正面断面図である。
【図16】トナーボトルの駆動伝達部との係合時の様子、即ち、(A)トナーボトル挿入前、(B)挿入完了、(C)ボトルがスライドし開封した状態を示す断面図である。
【図17】トナーボトルの駆動伝達部における係合解除の様子、即ち、(A)封止前の状態、(B)ボトルがスライドし封止した後の状態、(C)駆動伝達の解除完了時を示す断面図である。
【図18】封止部材の保持部の材質の一部をエラストマーなどの粘着性部材にした場合の一例を示す封止部材の断面図である。
【図19】本発明のトナー補給容器の他の実施例を示す斜視図である。
【図20】本発明の封止部材の他の実施例を示す断面図である。
【図21】本発明の封止部材の他の実施例を示す斜視図である。
【図22】図21の封止部材の断面斜視図である。
【図23】本体側駆動部と封止部材との係合状態を示す正面断面図である。
【図24】図23と同様の本体側駆動部と封止部材との係合状態を示す断面斜視図である。
【図25】トナー補給容器の装着動作、即ち、(A)装着開始時、(B)装着途中、及び(C)装着完了時を示す断面図である。
【図26】トナーボトルの駆動伝達部における係合解除の様子、即ち、(A)トナー補給容器を装着完了時の状態、(B)ボトルがスライドして封止した後、解除リングが駆動伝達の解除を始めた時を示す断面図である。
【符号の説明】
1 トナーボトル(トナー補給容器)
1A ボトル本体(トナー補給容器本体)
2 封止部材
2c 保持部
3 スライドコア
3a 係止部
3b 突当部
4 解除部
20 駆動力伝達部
20c 駆動伝達部の駆動軸
20d 本体側係止部
21 解除リング
100 画像形成装置本体
400 トナー補給装置
Claims (4)
- 画像形成装置本体に着脱可能で、画像形成装置本体の駆動部から回転駆動力を受け、容器自身が回転することで内部に収容したトナーを画像形成装置本体へ補給する略円筒形状のトナー補給容器であって、画像形成装置本体へトナーを補給するための開口部を備え、トナーを収容するトナー補給容器本体と、前記開口部を封止する封止部材と、を有したトナー補給容器において、
前記封止部材は、前記開口部を密閉する封止部と、前記封止部と一体に形成され、画像形成装置本体の駆動部に圧接して前記画像形成装置本体からの駆動力を伝達する円筒状の保持部と、を備えており、
前記保持部の内部には、軸線方向にスライド可能に配置され、画像形成装置本体へのトナー補給容器の挿入動作に伴って、画像形成装置本体からの作用により画像形成装置本体へのトナー補給容器の挿入方向とは逆方向にスライドして、前記保持部を拡径方向に弾性変形し、前記画像形成装置本体の駆動部と密着係合させ、前記画像形成装置本体からの駆動力を伝達してトナー補給容器本体の回転を可能とするスライドコアと、前記スライドコアを画像形成装置本体へのトナー補給容器の挿入方向に付勢するばね部材と、を備え、
前記スライドコアには、前記スライドコアの画像形成装置本体へのトナー補給容器の挿入方向とは逆方向へのスライド動作に伴って拡径方向に弾性変形して前記画像形成装置本体の駆動部と密着係合した際に前記保持部の弾性変形状態を維持するための係止部が設けられ、
前記保持部には、トナー補給容器を取り出す際には、画像形成装置本体からの作用により、前記スライドコアに作用して前記スライドコアを前記バネ部材の付勢方向に移動させ、前記保持部の前記画像形成装置本体の駆動部との密着係合状態を解除するための解除部が設けられる、
ことを特徴とするトナー補給容器。 - 前記保持部は、軸方向に形成した複数のスリット溝と、その内面には画像形成装置本体へのトナー補給容器の挿入方向とは逆方向にいくにしたがって縮径するテーパー面を有することを特徴する請求項1に記載のトナー補給容器。
- 前記保持部の本体駆動部との密着係合面がエラストマーで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー補給容器。
- 画像形成装置本体に着脱可能で、画像形成装置本体の駆動部から回転駆動力を受け、容器自身が回転することで内部に収容したトナーを画像形成装置本体へ補給する略円筒形状のトナー補給容器であって、画像形成装置本体へトナーを補給するための開口部を備え、トナーを収容するトナー補給容器本体と、前記開口部を封止する封止部材と、を有したトナー補給容器において、
前記封止部材は、前記開口部を密閉する封止部と、前記封止部と一体に形成された円筒体と、を備えており、
前記円筒体の内部には、軸線方向にスライド可能に配置され、画像形成装置本体へのトナー補給容器の挿入動作に伴って、画像形成装置本体へのトナー補給容器の挿入方向とは逆方向にスライドする円筒形状を成すスライドコアと、前記スライドコアをトナー補給容器の画像形成装置本体への挿入方向へ付勢するばね部材と、を備え、
前記スライドコアは、軸方向に形成した複数のスリット溝により複数のセグメントに分割されており、画像形成装置本体からの作用により前記スライドコアを画像形成装置本体へのトナー補給容器の挿入方向とは逆方向にスライドすることで縮径方向に弾性変形し、前記スライドコアの円筒内面で前記画像形成装置本体の駆動部と密着係合させ、前記画像形成装置本体からの駆動力を伝達してトナー補給容器本体の回転を可能とする保持部を有し、
前記円筒体は、前記円筒体に形成された軸方向の複数のスリット溝に配置され、前記スライドコアの弾性変形状態を維持するために前記画像形成装置本体側係止部に係合する係止部を有し、
前記係止部は、トナー補給容器を取り出す際に、画像形成装置本体からの作用により前 記係止部を縮径方向に弾性変形させ、前記画像形成装置本体側係止部との係合状態を解除させるための傾斜爪部を有し、
トナー補給容器を取り出す際には、前記画像形成装置本体からの作用により前記画像形成装置本体側係止部との係合状態を解除させると共に、画像形成装置本体からの作用により、前記円筒体に作用して前記スライドコアを前記バネ部材の付勢方向に移動させ、前記保持部の前記画像形成装置本体の駆動部との密着係合状態を解除する、
ことを特徴とするトナー補給容器。
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