JP4038401B2 - 摺動接点と摺動型電気部品及びセンサ - Google Patents

摺動接点と摺動型電気部品及びセンサ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車のポテンショメータなどに用いられる摺動用途の接点部と摺動型電気部品及びセンサに関し、導通経路の導通抵抗を低くすることができ、信頼性の高い製品を提供できる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、摺動接点において摺動ノイズの発生を少くするために図22に示すカーボンファイバ(炭素繊維)103を金属板よりなる導電性保持体101で集束状態に保持し、集束状態のカーボンファイバ103を摺動子アーム105に取り付けてカーボンファイバ103の一端を基板107上の抵抗体108に摺接させることができるようにした構成のカーボン摺動子が知られている。
この構成のカーボン摺動子においては、カーボンファイバの束の先端部で抵抗体108に相対摺動するため、多接点であり、接点圧力を上げる必要がなく、摺動ノイズが少なく、抵抗体108の削れ粉が殆ど発生しないという特徴を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図22に示すカーボン摺動子を備えた摺動接点の構成においては、あくまでもカーボンファイバの束の先端が抵抗体108に相対摺動するが故に、カーボンファイバの束の先端のエッジで抵抗体108を削ってしまう可能性があり、繰り返し多数回の摺動を受けた場合、抵抗体108の表面部分にわずかながら削れ粉が発生してしまうことが避けられないという問題があった。
更に、カーボンファイバの束の先端部を抵抗体108に対して往復摺動させる場合、カーボンファイバの束の先端部の接触部分が往路側の移動の際に往路側進行方向と逆向きに若干撓みながら抵抗体108の表面に沿って移動し、復路側の移動の際に復路側進行方向と逆向きに若干撓みながら抵抗体108の表面に沿って移動するので、往路と復路でカーボンファイバの束の先端部の接触部分の撓み方向が逆方向になり、抵抗体108に対してカーボンファイバの束の先端部が接触している位置に応じた抵抗値を検出している場合、カーボンファイバの束の移動方向の正逆に応じて検出抵抗値に若干ヒステリシスを生じる問題があった。
【0004】
本発明は以上の背景に鑑みてなされたもので、相対摺動する導電パターンのトラックを削って削れ粉を発生させてしまうおそれが少なく、摺動ノイズの発生も少なく、出力にヒステリシスを生じない信頼性の高い摺動接点及びそれを備えた摺動型電気部品とセンサを提供することを目的の1つとする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の摺動接点は、カーボンファイバ集束体からなり、該カーボンファイバ集束体の少なくとも側部を導電物を混入した合成樹脂から形成された被覆層で覆ってなり、前記カーボンファイバ集束体の側部を前記被覆層を介して導電パターンのトラックに対する線接触自在または面接触自在の摺動部とした接点部を具備したことを特徴とする。
カーボンファイバ集束体の側部で導電パターンのトラックに摺動するので、カーボンファイバの先端やエッジがトラックに対して垂直に摺動する場合よりもトラックを削る作用は少なくなり、トラックが削られ難く、トラック摩耗の進行度が遅くなる。従って、繰り返し往復摺動を受けた場合にトラックに対する接点部の摺動特性が安定し、長期間の使用にも耐え得る。また、カーボンファイバの側面は先端に比べて硬度が低く、又エッジ部分はなく、滑らかなので、導体パターンを削り難くすることができる。
また、カーボンファイバ集束体の側部をトラックに対して摺動させた場合、往復移動時において往路側でも復路側でもトラックにカーボンファイバ集束体の一定の側部を常に摺動させることができるので、摺動時の抵抗の出力にヒステリシスを生じることがない。即ち、カーボンファイバの先端部を垂直にトラックに往復摺動させた場合に比べ、ヒステリシスの問題を生じ難い。
ここで適用する導電パターンのトラックとは、抵抗体層、導電層、集電体層、金属層のいずれでも良くこれらの組み合わせや積層体とされた層でも良い。
【0007】
本発明の摺動接点は、カーボンファイバが直接トラックに当接するのではなく、被覆層がトラックに接触するので、カーボンファイバの先端のエッジが導電パターンのトラックに接することがなくなり、トラックが削られるおそれが更に少なくなる。また、被覆層によりカーボンファイバ自体が保護される。
【0008】
本発明の摺動接点は、被覆層が導電性を付与した合成樹脂からなるので、トラックに対する摺動時にトラックに対して摺動する際の導電性が向上する。また、仮に被覆層が損耗してカーボンファイバが露出した場合であっても、カーボンファイバを介して導通が満足になされるので、被覆層の損耗後の摺動時の特性劣化は生じない。
【0009】
前記課題を解決するために本発明の摺動接点は、前記カーボンファイバ集束体がその両端部を支持された状態で撓曲され、撓曲部分の一部の側部が摺動部とされたことを特徴とする。
カーボンファイバ自体はしなやかな撓曲性を本来有するが、カーボンファイバ自体に剛性が更に付与されている方が摺動時の確実な接触の面では好ましいが、カーボンファイバ集束体の両端部を支持して撓曲させた状態で支持した場合にその剛性は向上するので、トラックに当接させて往復摺動させる場合に往路側移動と復路側移動でヒステリシスが生じ難い。また、カーボンファイバの両端部を支持することでカーボンファイバの剛性が向上するので、折損に強くなる。
【0010】
前記課題を解決するために本発明の摺動接点は、カーボンファイバ集束体が二股型に撓曲され、該カーボンファイバの撓曲側と反対側の両端側の側部に、対になるトラックを有する導電パターンに対する摺動部が形成されてなる接点部を具備したことを特徴とする。
対になるトラックを有する導電パターンに対して摺動する摺動部が撓曲状態のカーボンファイバ集束体の両端部に形成されているので、カーボンファイバ集束体のみで対になるトラックどうしを接続可能になり、対になるトラックの間に他の部材を介在させないので、対になるトラックどうしを確実に接続することが可能で、導通経路における接点を少なくすることができ、抵抗値の低い安定した信頼性の高い摺動接点を提供できる。また、摺動接点における上述のような抵抗の低い確実な接続を撓曲状態のカーボンファイバ集束体のみで行い得るので少ない部品点数で実現可能であり、部品点数が少ないので組立時の工数削減が可能となる。また、カーボンファイバ集束体を摺動させるトラックに対して出力端子を接続することができるので、カーボンファイバから信号を取り出す必要は無くなる。
ここで適用するトラックとは、抵抗体層、導電層、集電体層、金属層のいずれでも良く、これらの組み合わせや積層体の層でも良い。また、二股型とは、カーボンファイバ集束体を折損させない程度に折り曲げた形状を全て含むものとするので、U字状、C字状、J字状、Ω字状、ω状、傾斜角度が緩いV字状あるいはL字状、曲げ角度の緩いN字状、S字状、円弧状等の種々の形状を包含するものとする。
【0011】
前記課題を解決するために本発明の摺動接点は、筒形の保持部材によりカーボンファイバ集束体が部分的に拘束されて一体化されてなる。
筒形の保持部材によりカーボンファイバ集束体が拘束されていることによりカーボンファイバ集束体は確実に形状保持される。筒形の保持部材として、1本の保持部材がカーボンファイバ集束体の両端部を除く部分の全部を覆ってなる構成でも良く、複数本の筒形の保持部材が共同して折曲状態のカーボンファイバ集束体を拘束してなるものでも良い。カーボンファイバ集束体を保持部材により拘束して形状保持することで、対になるトラックに対してカーボンファイバ集束体が摺動する際にカーボンファイバ集束体の拘束状態が乱れることがなく、対になるトラックに対して安定した摺動が可能となる。
【0012】
前記課題を解決するために本発明の摺動接点は、前記カーボンファイバ集束体の端部側に位置する前記保持部材の端部に偏平部が形成され、該偏平部から突出されたカーボンファイバ集束体の端部が偏平型に整列された摺動部とされ、前記両摺動部が個々に相対摺動される前記トラックの幅方向に揃えられたことを特徴とする。
カーボンファイバ集束体の端部が偏平型にされることで、導電パターンのトラックに対する摺動時に所定幅のトラックに対して偏平状のカーボンファイバ集束体の端部を均一幅で摺動させることが可能となり、摺動状態の安定性に寄与する。
【0013】
前記課題を解決するために本発明の摺動型電気部品は、トラックを有する導電パターンと、前記トラックに対して相対摺動自在とされた請求項1〜8のいずれかに記載の摺動接点とを備え、前記トラックと前記摺動接点により導通経路が形成されてなる。
カーボンファイバ集束体で導電パターンに接続可能になり、摺動抵抗の安定した摺動接点を提供できる。また、摺動接点における上述のような確実な接続を折曲状態のカーボンファイバ集束体で行い得るので少い部品点数で実現可能であり、部品点数が少いので工数削減が可能となる。
【0014】
前記課題を解決するために本発明の摺動型電気部品は、前記摺動接点が、先のいずれかに記載の摺動接点であることを特徴とする。
先のいずれかに記載の摺動接点を備えた摺動型電気部品とすることで、先のいずれかの摺動接点が具備する特徴を有することができる。
【0015】
前記課題を解決するために本発明のセンサは、先のいずれかに記載の摺動型電気部品を備えたことを特徴とする。
本発明によるセンサによれば、先に説明の摺動接点の特徴を備えたセンサを得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1において符号15は図1の左右方向に往復移動自在に設けられた摺動子受け(支持部材)であり、この摺動子受け15の底部に斜め方向に伸びる凹部15Aが形成され、この凹部15Aに以下に詳述する摺動接点14が接着等の固定手段により取り付けられている。
この形態の摺動接点14は、後述するU字撓曲状(二股状)のカーボンファイバ集束体14Aとそれを拘束したU字筒形の保持部材14Bからなり、U字状に二股に撓曲されたカーボンファイバ集束体14Aが接点部(摺動子)とされている。
カーボンファイバ集束体(接点部)14Aは、直径数μm〜数10μm程度、例えば5〜10μm程度の細径のカーボンファイバ(炭素繊維)を好ましくは数100本〜数1000本程度、例えば1000〜2000本程度束ねたカーボンファイバの集合体からなる。そして、このカーボンファイバ集合体がU字型に撓曲され、アルミニウムパイプ、黄銅パイプ、ステンレス鋼製のパイプなどの塑性変形が可能な金属パイプからなるU字状の保持部材14BによってU字型形状が保持されるとともに、その撓曲側ではない側の両端部、即ち、カーボンファイバ集束体14Aの端部の側部14a、14aが所定の長さ保持部材14Bの両端部から突出されて摺動部とされている。
【0017】
また、アルミニウムパイプ等からなる保持部材14Bの両端部はプレス加工等により偏平型に加工され、カーボンファイバを抜け止めしてそれらの形状を揃えるための偏平部14bとされていて、これらの偏平部14bから露出されたカーボンファイバの摺動部としての先端側の側部14a、14aは個々に偏平状態になるように整列状態で突出され、一方の側部14aと他方の側部14aにおいて個々に突出されたカーボンファイバの先端部は平行状態でかつ略同一面内に並ぶように配列されている。
なお、この例では金属パイプの両端部を偏平状態になるようにプレス等の加圧手段で塑性加工して偏平部14bを形成することでカーボンファイバを偏平状に整列状態とし、保持部材14Bの両端部が加工時に末広がり状態になるような形状に加工されているが、本発明では特にこのような形状に限るものではなく、また、両端部を偏平型に加工しなくても良いのは勿論である。
【0018】
以上の如く形成された摺動接点14は、摺動子受け15の底部側に形成された斜め下向きの凹部15Aに前記保持部材14Bの半分程度を挿入して挿入部分を接着等の固定手段で凹部15Aに固定し、かつ、摺動接点14の先端側の側部14a、14aを摺動子受け15の底部から突出させた状態で摺動子受け15の底部に固定されている。
また、摺動子受け15の下方、即ち、摺動接点14の先端側の側部14a、14aに対向する位置に、対になる平行配置された短冊状の第1のトラック30と第2のトラック31とを具備してなる導電パターン32が基板等の基材33上に形成された形で設けられている。
【0019】
また、前記摺動接点14の側部14a、14aは基材33側の第1のトラック30と第2のトラック31の各幅方向にわたってほぼ平行に跨がるように、かつ、斜め方向から側部14a、14aをトラック上面に接触させるように配置されている。即ち、偏平状態のカーボンファイバ集束体14Aの一方の側部14aはその幅方向を第1のトラック30の幅方向に揃え、カーボンファイバ集束体14Aの他方の側部14aはその幅方向を第2のトラック31の幅方向に揃えた状態で各トラック上をそれらの長作方向に沿って摺動するように接触支持されている。
前記凹部15Aはカーボンファイバ集束体14Aの側部14aを前記トラック30、31に対して斜め方向に傾斜させるためにトラック30、31に対して傾斜させて形成することが好ましく、その傾斜角度は例えば20〜60°程度の範囲が好ましく、例えば30°前後であるが、特に先の範囲に限定されるものではない。但し、往路と復路のいずれにおいても導電パターン32に接する位置が変らないように角度を小さくする必要がある。また、保持部材14Bが導電パターン32には接しない様に角度を所定値以上とする必要がある。
そして、摺動接点14と第1のトラック30と第2のトラック31とにより摺動型電気部品が構成され、第1のトラック30とカーボンファイバ集束体14Aと第2のトラック31とによって導通経路(電路)が構成され、この電路内において接点は摺動端としてのカーボンファイバ集束体14Aの側部14a、14aの2カ所とされている。また、前記第1のトラック30には所定の電源装置30Aから所定の直流電圧が印加され、第2のトラック31の一端側には出力端子34が形成されている。
【0020】
先の第1のトラック30は抵抗体層からなり、例えば、導電体としてのカーボンブラックあるいはカーボンファイバと、主に抵抗体層の補強及び摩擦係数を低減するためのカーボンナノチューブと、熱硬化性樹脂としてのフェノール樹脂あるいはエポキシ樹脂などからなるポリマー抵抗体により構成され、第2のトラック31は良導電体からなり、例えば、銅箔、アルミニウム箔等の良導電性金属材料、あるいは導電体としての銀粉を熱硬化性樹脂に混入して形成した導体回路からなり、集電体として機能する。
なお、該抵抗体層は、0.5μm以下の表面粗さとなるように、転写等の方法で形成されている。このため、カーボンファイバには引っ掛かりがより少なくなるので、往復移動の際のヒステリシスをより抑えることができる。
前記カーボンブラックとしては、比較的小さな導電率を有するファーネスブラック(例えば、旭カーボン(株)製の商品名;旭60、Columbian社製の商品名;RAVEN150、三菱化成工業(株)の商品名;MA100など)を用いることができる。また、カーボンブラックとして、比較的大きな導電率を有する導電性ファーネスブラック(例えば、ライオン(株)のケッチェンブラックEC)、あるいは、アセチレンブラック(例えばデンカ(株)製の商品名;デンカブラック)などのいずれを用いても良い。
【0021】
前記構造の摺動型電気部品にあっては、摺動子受け15が図1の左右方向にトラック30、31と平行に往復移動するように構成されるので、摺動接点14の側部14a、14aが第1のトラック30と第2のトラック31に対して往復摺動し、摺動時の摺動接点14の位置、正確には側部14aのトラックに対する接触位置に応じて第1のトラック30に印加されている入力電圧が分圧されて、その出力電圧を測定することによって摺動接点14の接触位置が検出され、出力電圧値と位置の相対関係から位置検出が可能となる。なお、出力電圧は、第2のトラック31に接続されている出力端子34から得られる電気出力を測定すれば良い。
【0022】
次に前記構造の摺動型電気部品にあっては、対になるトラック30、31間をカーボンファイバ集束体14Aのみで確実に電気的に接続することができる。
更にカーボンファイバ集束体14Aのみで2つのトラック30、31を確実に電気的に接続できるので、カーボンファイバから直接電気信号を取り出す必要もなく、トラック30、31から電気信号の直接的な取り出しが可能となる効果がある。また、カーボンファイバの側面は先端に比べて硬度が低く、又エッジ部分はなく、滑らかなので、導体パターンを削り難くすることができる。
【0023】
前記構造のカーボンファイバ集束体14Aは例えば以下に説明する方法で製造することができる。
図3に示すように必要長さに揃えた必要本数、例えば1000本〜2000本のカーボンファイバ40を束ねたならば、カーボンファイバ40の束ねたものをアルミニウム製のパイプ41に挿通し、パイプ41を湾曲加工してU字状に塑性変形させてU字管411とし、カーボンファイバ40の束ねたものをU字状に保持した状態の中間成形体42を得る。
次にU字管411の両端部をプレス加工により偏平型に塑性加工することにより、図5に示すように偏平部14bを備えた保持部材14Bにより拘束された状態のU字型のカーボンファイバ集束体を得ることができ、この状態でパイプ41から突出されているカーボンファイバの先端が不揃いである場合は図5に2点鎖線で示す切断線S−S'線に沿ってカーボンファイバの先端部を切り揃えることで、図2に示したカーボンファイバ集束体(摺動接点)14Aを得ることができる。そしてこの状態のカーボンファイバ集束体14Aの両端部に対して必要に応じてグリスあるいはオイル等の潤滑剤を塗布しておいてから実際の使用に供しても差し支えない。
【0024】
なお、図4に示すU字管411をプレス加工により塑性変形させて偏平部14bを形成する場合、図6に示すようにU字管411をその厚さ方向片側から主にプレスにより加圧してU字管411の厚さ方向底部側に位置するように偏平部14b1を形成するか、U字管411をその厚さ方向両側から均等にプレスして図7に示す如くU字管411の厚さ方向中央部に位置するように偏平部14b2を形成するかは特に問わない。また、プレス加工後のカーボンファイバ集束体14Aの先端部分は図6と図7に示すいずれの構造においても2点鎖線で示す切断線に沿って切り揃えてそれらの突出長さを揃えておくことが好ましい。
この実施の形態においては、保持部材を湾曲させることにより、直線形状に比べてカーボンファイバを抜け難くすることができる。
【0025】
図8は本発明に係る摺動接点の第2の実施形態を示すもので、この形態においては摺動子受け(支持部材)15に垂直下向きの凹部15Bが形成され、この凹部15Bに接着等の固定手段によりU字状の保持部材14Bが下向きに固定され、保持部材14の偏平部14b3が斜めに折曲され、接点部を構成するカーボンファイバ集束体14Aの一方の側部14aが第1のパターン30に斜め向きに接触するように、他方の端部14aが第2のパターン31に斜め向きに接触するようにそれぞれトラック30、31に接触された摺動接点44とされている。
図8に示すカーボンファイバ集束体14Aを備えた摺動接点44と第1のトラック30並びに第2のトラック31とからなる摺動型電気部品においても先に説明した実施の形態の摺動型電気部品の場合と同様な作用効果を得ることができる。
また、摺動接点44の偏平部14b3の曲げ角度は任意で良いが、カーボンファイバ集束体14Aの端部14aをトラック30、31に斜め方向から接触させる必要があるので、端部14aを例えば20〜60゜程度でトラック30、31に接触させるために必要な角度曲げておけば良い。
【0026】
図9は本発明に係る摺動接点の第3の実施形態を示すもので、この形態においては第1の実施の形態と同等のU字撓曲状(二股状)のカーボンファイバ集束体14Aとそれを拘束したU字筒形の保持部材14Bからなる摺動接点14が接着層あるいはインサート成型層からなる接合層45によって板バネ等の弾性を有する取付体46に取り付けられている。
この形態の構造においては、前記取付体46を先の第1の形態の摺動子受け15の凹部15Aに接着等の固定手段で取り付けることで先の実施の形態の場合と同等の作用効果を得ることができる。
また、この形態では取付体46自身が弾性を有するので、カーボンファイバ集束体14Aに弾性を持たせなくとも、側部14aをトラック30、31に対して容易に弾性接触させることができる。
【0027】
図10は本発明に係る摺動接点の第4の実施形態を示すもので、この形態においては、帯状のカーボンファイバ集束体47をその長さ方向中央部で湾曲状態に捩って折り返し形状とし、カーボンファイバ集束体47の一端47aと他端47aを同方向に向けた状態になるように接着層により拘束して接点部とし、このカーボンファイバ集束体47の端部47a、47aを第1のトラック30と第2のトラック31に同じ向きにして接触させて摺動接点が構成されている。
この形態の帯状のカーボンファイバ集束体47は、その端部を除いた部分を接着層等の固定層で覆って固めて形状を保持するようにしても良いし、カーボンファイバ集束体47を偏平状の金属パイプ中に挿入して該カーボンファイバ集束体47の周囲に偏平状の金属パイプを配置し、偏平状の金属パイプを加工してその形状を保持する等の形状保持手段を採用すれば良い。
この形態のカーボンファイバ集束体47においても先の実施形態の構成と同等の作用効果を得ることができる。
また、カーボンファイバ集束体47の湾曲部分をなだらかな湾曲形状とすることで、カーボンファイバ集束体47に対して負荷をかけないようにしてカーボンファイバ集束体47の折損のおそれを防止できる。
【0028】
図11は本発明に係る摺動接点の第5の実施形態を示すもので、この形態においては、カーボンファイバ集束体48を1回捩り螺旋状になるように加工し、カーボンファイバ集束体(接点部)48の一端48aと他端48aを互い違いに別方向に向けた状態になるように拘束した形状の接点部とし、このカーボンファイバ集束体48の端部48a、48aを第1のトラック30と第2のトラック31に互い違いの向きになるように接触させて摺動接点が構成されている。
【0029】
この形態の帯状のカーボンファイバ集束体48は、その端部を除いた部分を接着層等の固定層で覆って固めて形状を保持するようにしても良いし、固定層で固めた後に円柱の回りに巻き付けた状態で保持しても良い。また、カーボンファイバ集束体48を偏平状の金属パイプ中に挿入して該カーボンファイバの周囲に偏平状の金属パイプを配置し、偏平状の金属パイプを加工してその形状を保持する等の形状保持手段を採用すれば良い。
この形態のカーボンファイバ集束体48においても先の実施形態の構成と同等の作用効果を得ることができる。
【0030】
図12は本発明に係る摺動接点の第6の実施形態を示すもので、この形態においては、カーボンファイバ集束体(接点部)49を側面視略Ω状になるように加工し、カーボンファイバ集束体49の一端49aと他端49aを互い違いに別方向に向けた状態になるように拘束して接点部とし、このカーボンファイバ集束体49の端部49a、49aを段差のある状態に設けられた第1のトラック30と第2のトラック31に互い違いの向きになるように接触させて摺動接点が構成されている。
この形態の帯状のカーボンファイバ集束体49は、その端部を除いた部分を接着層等の固定層で覆って固めて形状を保持するようにしても良いし、カーボンファイバ集束体49を偏平状の金属パイプ中に挿入して、カーボンファイバ集束体49の周囲に偏平状の金属パイプを配置し、偏平状の金属パイプを加工してその形状を保持する等の形状保持手段を採用すれば良い。
この形態のカーボンファイバ集束体49においても先の実施形態の構成と同等の作用効果を得ることができる。
【0031】
図13は図10に示すカーボンファイバ集束体47からなる摺動接点に近い形態の摺動接点を製造するための方法の一例を示すもので、図13aに示すように数1000本のカーボンファイバ集束体を偏平型に束ねた集合体50に容器51からエポキシ樹脂等の樹脂液52を塗布して樹脂液を板状に固めて図13bに示すシート状のプリプレグ53を形成する。
このプリプレグ53においてはカーボンファイバ集束体の両端部を摺動に必要な所定長さ露出させておく。あるいは、カーボンファイバ集束体の両端部を覆ってしまう場合は、後述するように導電粒子を樹脂液に混入させておく。
また、プリプレグ53の樹脂分はこの段階では半固形状態としておくことが好ましい。また、使用する樹脂液は、エポキシ樹脂に限らず、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等の加熱硬化型の樹脂であれば良い。なお、熱可塑性樹脂の場合に導電性を付与しつつ射出形成をするのは難しいが、加熱、硬化型の樹脂であれば、比較的簡単に導電性を付与し、加工することが可能で、収縮率が大きいので、カーボンファイバ同士をより密着させることができるので、好適と考えられる。但し本発明では加熱硬化型の樹脂に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂を用いても良いのは勿論である。
【0032】
このプリプレグ53を短冊状に切り出して切り出し部54を得、この切り出し部54を図13dの如く折り曲げてコ字型に加工し、半固形状態の樹脂分を必要な硬化温度に加熱し乾燥させることで樹脂分を完全に硬化させてコ字状に拘束されたカーボンファイバ集束体からなる接点部55を備えた摺動接点56を得ることができる。このコ字状の接点部55の折り曲げ側の部分を先に説明した摺動子受け(支持体)15の斜め方向に形成された凹部15Aに挿入して両端部を摺動子受け15から突出させた状態とするならば、図13eに示す接点部55と対になるトラック30、31からなる導通経路(電路)が構成される。
【0033】
図14は、図13に基づく製造方法を実施した場合に、樹脂液でカーボンファイバ集束体の全体を覆った場合に得られる接点部を示すもので、この形態の接点部57はカーボンファイバ集束体58とその周囲を覆う被覆層59からなり、カーボンファイバ集束体58の側部58aが被覆層59を介してトラック30あるいは31に斜めに接近されて当接された状態を示す拡大図である。なお、被覆層59の機能としては、被覆の他に、カーボンファイバを保持する機能も有する。このような構成の接点部57においては、樹脂製の被覆層59の内部に導電性のカーボンナノチューブ、粒子状の導電体等の導電物質を混入しておく。
即ち、図13に示す製造方法でカーボンファイバ集束体58を樹脂で固めて拘束して製造する場合、カーボンファイバ集束体58の両端部まで樹脂液で覆って製造すれば良い。ここで使用する樹脂液には、カーボンブラック等の導電性粒子、カーボンナノチューブ(直径10nm程度)等の補強用、摺動特性向上を兼ね備える導電粒子を混入しておくことが好ましい。なお、カーボンナノチューブとして用いるのは、先の直径のもののほかに、糸玉のように長いもの等、特に限定されるものではない。また、導電性粒子は、カーボンブラック、あるいは、銀、または金等の貴金属でも良い。更に、被覆層自体を導電性プラスチックで形成することもできる。
【0034】
この形態ではカーボンファイバ集束体58の周囲を樹脂製の被覆層59が覆うので、カーボンファイバ集束体58の剛性を被覆層59が強化し、被覆層59の部分でつっぱることができるので、カーボンファイバ集束体58が往復移動する場合、往路側に移動しても復路側に移動しても、即ち、図14において矢印に沿って右側に移動しても、あるいは矢印に沿って左側に移動しても、カーボンファイバ集束体58が反対側に向きを変えることなく図14の状態を維持したままカーボンファイバ集束体58の側部58aをトラック30に当接させたままで往復移動させることができる。従ってこの形態の構造により、ヒステリシスのない抵抗変化を得ることができる。また、カーボンファイバが中に入っているので、合成樹脂単独のものに比べて、導電性に優れ、また、強度も高めることができる。また、一旦カーボンファイバ集束体の両端部まで樹脂液で覆ってプリプレグを形成し、このプリプレグを切り出して折り曲げた後、両端部を溶剤等で溶解してカーボンファイバ集束体の両端部を露出させて図13eに示す構成の接点部55を備えた摺動接点56を製造することもできる。
【0035】
図15は先の形態のカーボンファイバ集束体58を備えた接点部57の被覆層59が繰り返し摺動により損耗し、トラック30に対してカーボンファイバ集束体58を接触させながら摺動している状態を示す。
この状態になっても先の形態の接点部57であるならば、被覆層59が損耗してもトラックにカーボンファイバ集束体58が摺動するようになるのみであるので、摺動特性としては特に劣化する事なく維持しながら目的を達成することができる。
【0036】
図16は本発明に係る第7の実施の形態の摺動型電気部品を示すもので、この例における接点部は支持部材(摺動子受け)60に対してU字状に撓曲させた状態のカーボンファイバ集束体(接点部)61の両端部61a、61aを埋め込む形で固定し、カーボンファイバ集束体61の中間部分の2カ所の撓曲部分61b、61bを第1のトラック30と第2のトラック31用の摺動端として構成したものである。この例では、基材63の上面に横断面V字状の溝部64が形成され、溝部64の傾斜内面に第1のトラック30と第2のトラック31が互いに斜めに向くように設置されている。 この例の接点部を構成するカーボンファイバ集束体61は摺動端61b、61bで第1と第2のトラック30、31に摺動して目的を達成する。
この例の摺動接点並びに摺動型電気部品においても先の形態の摺動接点並びに摺動型電気部品と同じ作用効果を得ることができる。
【0037】
図17は本発明に係る第8の実施の形態の摺動接点を示すもので、この例の摺動接点はカーボンファイバ集束体70がU字状に撓曲され、その両端部70a、70aを除く部分がポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂製のパイプからなる保持部材72によって形状が保持されている点に特徴を有する。
この構成の場合、カーボンファイバ集束体70を金型のU字状の成形キャビティに挿入し、両端に張力を与えた状態でインサート成形してカーボンファイバ集束体70を部分的に保持部材72で覆うことで接点部を得ることができる。成形後にカーボンファイバ集束体70の先端部を切り揃えておくことが好ましい。
この例の接点部においても先の形態の接点部と同じ作用効果を得ることができる。
【0038】
図18は本発明に係る第9の実施の形態の摺動接点を示すもので、この例における接点部はカーボンファイバ集束体80がU字状に撓曲され、その両端部80a、80aを除く部分にカーボンファイバ集束体80を包み囲むように含浸させた樹脂製の保持部材82によって形状が保持されている点に特徴を有する。
この例のカーボンファイバ集束体80はカーボンファイバの束をU字状に撓曲させた状態で撓曲部分まわりに接着剤を含浸させ、接着剤を固化することで得ることができる。
この例の摺動接点においても先の形態の摺動接点と同じ作用効果を得ることができる。
【0039】
図19は本発明に係る第10の実施の形態の摺動接点の製造方法と構造を示すもので、図13aを元に説明した場合と同じように数1000本のカーボンファイバ集束体を偏平型に束ねた集合体50を金型に装着して集合体50の両端側にインサート樹脂成形を行って板状の支持板90、90を形成し、支持板90、90を図19bに示す切断線T−T'に沿って切断して支持部90A、90Aに両端を支持された状態のカーボンファイバ集束体91を得る。そして、支持部90A、90Aを図19cに示すように重ねて摺動子受け1の底面に、接着、かしめ固定等の固定方法で取り付けることにより、カーボンファイバ集束体91を撓曲させることができ、ループ状のカーボンファイバ集束体からなる接点部92を得ることができる。
この接点部92のループ状に撓曲された中間部分の側部92aをトラック30あるいはトラック31に対する摺動接点として用いることで目的を達成することができる。
また、この形態において接点部92は対になるトラック30、31に跨がる必要はなく、トラック30あるいはトラック31に単独で摺動する摺動接点として適用することができる。該実施の形態においては、確実にカーボンファイバの側面を導電パターンに接するようにでき、また、両持ちバネとなるので、大きな荷重を加えることができる。
【0040】
図20と図21は本発明に係る摺動接点を備えた自動車用のセンサの一例を示すもので、この実施形態のセンサ1は、自動車のエンジン付近等に搭載され、ガソリンと空気との混合比をコントロールするセンサや、排気ガスのリサイクル量をコントロールするセンサなどとして使用されるものである。図20はセンサの断面図、図21は摺動子受けに摺動接点を取り付けた状態を示す側面図である。
【0041】
図20に示すセンサ1は、外殻を形成するケーシング11と、このケーシング11に対して図1の左右方向へ移動可能な軸12と、前記ケーシング11に内蔵された基材13と、この基材13上に形成されている抵抗体からなる第1のトラック30及び導電体からなる第2のトラック31を備えた基材13に対して摺接する摺動接点14と、この摺動接点14を保持する摺動子受け(支持部材)15と、基材13に接続された外部端子17等を備えている。
前記ケーシング11では、一端(図1の左端部)に設けられた軸孔11aに前記軸12が挿入され、他端(図1の右端部)に設けられた開口11bにカバー18が取り付けられている。
前記摺動接点14としては、先の図9に示す板バネ状の取付体46に固定したカーボンファイバ集束体14を摺動接点の接点部として適用することができる。
【0042】
前記構造のセンサ1は自動車のエンジン付近などにおいて使用される。前記センサ1にあっては、摺動接点14が第1のトラック30と第2のトラック31を備えた基材13に対して往復摺動し、前述の第1の実施の形態と同様、摺動時の摺動接点14の位置に応じて摺動接点14のカーボンファイバ集束体14Aと第1のトラック30と第2のトラック31に接続された回路で入力電圧に対する出力電圧を測定することで摺動接点14が備えられた軸12の位置が検出され、位置検出センサとして機能する。
【0043】
なお、前記構造のセンサ1においては、直線往復移動におけるカーボンファイバ集束体14Aの端部14a、14aの位置を検出したが、回転角度センサを構成する場合、円板状の基材上面に径の異なる環状の第1のトラックと環状の第2のトラックを例えば同心円位置に配置し、接点部としてのカーボンファイバ集束体14を回転可能な円盤状の摺動子受けに設け、環状の第1のトラックと第2のトラックに跨がるようにカーボンファイバ集束体14を配置し、回動する摺動子受けの回動角度位置に応じてカーボンファイバ集束体14の端部14aのトラックに対する接触位置が変動するので、この位置に連動して出力される出力電圧により回転角度を検出する形の回転角度センサに適用できるのは勿論である。
【0044】
なお、本発明に係る摺動接点は、自動車のセンサ用の摺動用途の抵抗体に限らず、音響機器のスライダック抵抗等の調整用としての摺動抵抗器(調整用センサ)、スイッチ(入力センサ)、ロータリーエンコーダ(角度センサ)等の広い意味でのセンサとして各種用途に適用できるのは勿論である。
なおまた、これまで説明した例においては、カーボンファイバ集束体の形状を維持して拘束する保持部材として、金属パイプ、樹脂パイプあるいは接着剤を用いたが、カーボンファイバ集束体の形状を保持するものとして、断面コ字状等のチャンネル材を撓曲させた保持部材、熱収縮チューブに形状保持用の撓曲させた金属芯材を配置してなる複合構造の保持部材でも良く、保持部材は要はカーボンファイバ集束体を所定の形状に保持する作用を奏するものであればその構造や材料は問わない。
【0045】
一方、カーボンファイバ集束体14Aの端部14aをトラック30、31に直接接触させる必要はなく、トラック30、31上に導電層を被覆してそれらの導電層を介してカーボンファイバ集束体14を摺動させても良く、カーボンファイバの1本1本あるいはカーボンファイバ集束体14Aの端部14aに導電性粒子を含有させた樹脂層を被覆して用いても良い。
次に、これまでの実施形態では、対になるパターン30、31が導電体層と抵抗体層の組み合わせから構成されていたが、両方のパターンが抵抗体層からなる構成、両方のパターンが導電体層からなる構成、一方のトラックが櫛刃状の導電パターンで他方が集電体パターンからなる構成でも差し支えない。
そして、これらの場合、及び各実施の形態においても、一方のパターンに入力電流を流して摺動接点を介して他方のパターンから電流を出力する様に構成しても良いのは勿論である。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、被覆層で覆ったカーボンファイバ集束体の側部で導電パターンのトラックに摺動するので、カーボンファイバの先端やエッジがトラックに対して垂直に摺動する場合よりもトラックを削る作用は少なくなり、トラックが削られ難く、トラック摩耗の進行度が遅くなる。従って、繰り返し往復摺動を受けた場合にトラックに対する接点部の摺動特性が安定し、長期間の使用にも耐え得る。
【0047】
また、本発明において、カーボンファイバの少なくとも側部を覆う被覆層を設けたので、カーボンファイバが直接トラックに当接するのではなく、被覆層がトラックに接触するので、カーボンファイバの先端のエッジが導電パターンのトラックに接することがなくなり、トラックが削られるおそれが更に少なくなる。また、被覆層によりカーボンファイバ自体を保護することができる。
【0048】
本発明において、被覆層に導電物を混入した合成樹脂からカーボンファイバの少なくとも側部を覆い、被覆層が導電性を付与した合成樹脂からなるので、トラックに対する摺動時にトラックに対して摺動する際の導電性が向上する。また、仮に被覆層が損耗してカーボンファイバが露出した場合であっても、カーボンファイバを介して導通が満足になされるので、被覆層の損耗後の摺動時の特性劣化は生じない。
【0049】
本発明において、対になるトラックを有する導電パターンに対して摺動する摺動端が撓曲状態のカーボンファイバ集束体の両端部、あるいはその他の部分に形成されているので、カーボンファイバ集束体のみで対になるトラックどうしを接続可能になり、対になるトラックの間に他の部材を介在させないので、対になるトラックどうしを確実に接続することが可能で、対になるトラック間の導通経路における接点を極力少なくすることができ、抵抗値の低い、安定した信頼性の高い摺動接点を提供できる。更にカーボンファイバ集束体を適用することで低ノイズ化できる利点を有する。
また、摺動接点における上述のような抵抗の低い確実な接続を撓曲状態のカーボンファイバ集束体のみで行い得るので、本発明構成を少ない部品点数で実現可能であり、部品点数が少ないので組立時の工数削減が可能となり、工程の簡略化に寄与する。また、カーボンファイバ集束体を摺動させるトラックに対して出力端子を接続することができるので、カーボンファイバから信号を取り出す必要は無くなり、出力端子の接続も容易にできる。
【0050】
本発明によれば、カーボンファイバ集束体の両端部を除く部分の少なくとも一部を保持部材で覆うことで束ねて撓曲した状態のカーボンファイバ集束体を確実に形状保持することができ、露出させたカーボンファイバ集束体の両端部又はその他の部分をトラックに対する摺動端とすることが確実にできる。
また、保持部材でカーボンファイバ集束体を形状保持できるので、カーボンファイバ集束体の形状維持が確実にできる。カーボンファイバ集束体の形状保持のためには、撓曲状態のカーボンファイバ集束体の両端部を除く部分の少なくとも一部をカーボンファイバ集束体とは異なる部材としての保持部材で覆うことにより実現することができる。
【0051】
本発明において、カーボンファイバ集束体の端部が偏平型にされることで、導電パターンのトラックに対する摺動時に所定幅のトラックに対して偏平状のカーボンファイバ集束体の端部を均一幅で摺動させることが可能となり、摺動状態の安定性に寄与し、安定した摺動特性の摺動接点を得ることができる。
本発明では、先の種々の特徴を備えた摺動接点を備えた摺動型電気部品あるいはセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明に係る第1の実施の形態の摺動接点と第1のトラック及び第2のトラックの位置関係を示す斜視図である。
【図2】 図2は同摺動接点の平面図である。
【図3】 図3は同摺動接点の組立方法を説明するための斜視図である。
【図4】 図4は同摺動接点の組立途中に得られる中間成形体の斜視図である。
【図5】 図5は加工終了段階の摺動接点の斜視図である。
【図6】 図6は本発明に係る摺動接点の端部側の形状の一例を示す側面図である。
【図7】 図7は本発明に係る接点部の端部側の形状の他の一例を示す側面図である。
【図8】 図8は本発明に係る第2の実施の形態の摺動接点と第1のトラック及び第2のトラックの位置関係を示す斜視図である。
【図9】 図9は本発明に係る第3の実施の形態における摺動接点の取り付け状態の他の例を示す斜視図である。
【図10】 図10は本発明に係る摺動接点の第4の実施の形態の斜視図である。
【図11】 図11は本発明に係る摺動接点の第5の実施の形態の斜視図である。
【図12】 図12は本発明に係る摺動接点の第6の実施の形態の斜視図である。
【図13】 図13は本発明に係る摺動接点を製造する方法の一例を示す斜視図である。
【図14】 図14は同摺動接点の部分拡大図である。
【図15】 図15は本発明に係る摺動接点の損耗状態の一例を示す断面図である。
【図16】 図16は本発明に係る第7の実施の形態の摺動接点の製造方法と構造を示す図である。
【図17】 図17は本発明に係る第8の実施の形態の摺動接点とトラックの位置関係を示す断面図である。
【図18】 図18は本発明に係る第9の実施の形態の摺動接点を示す断面図である。
【図19】 図19は本発明に係る第10の実施の形態の摺動接点を示す断面図である。
【図20】 図20は本発明に係る摺動接点を備えたセンサの一例を示す断面図である。
【図21】 図21は図20に示すセンサの一部分を示す側面図である。
【図22】 図22は従来の摺動接点の一例を示す図である。
【符号の説明】
13…基板、
14、44、47、48、49、53、…摺動接点、
14A…カーボンファイバ集束体(接点部)、
14a…端部(摺動端)、
14B…保持部材、
15…摺動子受け(支持部材)、
30…第1のトラック、
31…第2のトラック、

Claims (7)

  1. カーボンファイバ集束体からなり、該カーボンファイバ集束体の少なくとも側部を導電物を混入した合成樹脂から形成された被覆層で覆ってなり、前記カーボンファイバ集束体の側部を前記被覆層を介して導電パターンのトラックに対する線接触自在または面接触自在の摺動部とした接点部を具備したことを特徴とする摺動接点。
  2. 前記カーボンファイバ集束体がその両端部を支持された状態で撓曲され、撓曲部分の一部の側部が摺動部とされたことを特徴とする請求項1に記載の摺動接点。
  3. カーボンファイバ集束体が二股型に撓曲され、該カーボンファイバの撓曲側と反対側の両端側の側部に、対になるトラックを有する導電パターンに対する摺動部が形成されてなる接点部を具備したことを特徴とする請求項1または2に記載の摺動接点。
  4. 筒形の保持部材によりカーボンファイバ集束体が部分的に拘束されて一体化されてなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の摺動接点。
  5. 前記カーボンファイバ集束体の端部側に位置する前記保持部材の端部に偏平部が形成され、該偏平部から突出されたカーボンファイバ集束体の端部が偏平型に整列された摺動部とされ、前記両摺動部が個々に相対摺動される前記トラックの幅方向に揃えられたことを特徴とする請求項に記載の摺動接点。
  6. トラックを有する導電パターンと、前記トラックに対して相対摺動自在とされた請求項1〜のいずれかに記載の摺動接点とを備え、前記トラックと前記摺動接点により導通経路が形成されたことを特徴とする摺動型電気部品。
  7. 請求項に記載の摺動型電気部品を具備したことを特徴とするセンサ。
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