JP4037781B2 - 貯湯式給湯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は貯湯タンク内の湯水を熱源とする熱交換器を備えた貯湯式給湯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりこの種のものにおいては、図12に示すようなものがあった。
ここで、101はヒートポンプ回路、102は貯湯タンクで、この貯湯タンク102下部から取り出した5〜25℃程度の低温水をヒートポンプ回路101で70〜90℃程度に加熱して貯湯タンク102の上部から積層貯湯していくものである。
【0003】
前記貯湯タンク102には、その下端に給水管103が接続され、また上端には出湯管104が接続されているものである。105は電動ミキシング弁で、出湯管104からの高温水と給水管103からの低温水をリモコン(図示せず)等で設定された任意の給湯設定温度に混合して給湯栓106から出湯するものである。
【0004】
107は暖房あるいは風呂の追焚き/保温の熱源としての熱交換器で、出湯管104から分岐した熱交往き管108および給水管103に合流する熱交戻り管109により貯湯タンク102と循環可能に接続されており、貯湯タンク102内の高温水を熱交換器107に流入させて暖房回路あるいは風呂の追焚き/保温回路等の2次側回路(図示せず)の温水を加熱するものである。
【0005】
そして、貯湯タンク102の上部から取り出された高温水は、前記熱交換器107で熱交換されて温度低下し、30〜50℃程度の中温水となって貯湯タンク102の下部から貯湯タンク102内に戻るものである。
【0006】
なお、このような従来の貯湯式給湯装置にかかる公知の刊行物を本願出願人は発見することができないが、貯湯タンク内に貯湯された高温水を熱源として暖房を行うものとして例えば特許文献1が挙げられる。
【0007】
【特許文献1】
特許2663637号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来のものでは、熱交換器107での熱交換により30〜50℃程度の中温水が貯湯タンク102に貯まっていくが、この中温水は暖房あるいは追焚きの熱源として利用するには温度が低いため適さず、しかも湯切れするまで給湯を行わないと容量当たりの保有熱量が少ない中温水がいつまでも貯湯タンク102内に残留し、貯湯タンク102の保有熱量を減らしてしまい貯湯タンク容量の有効利用ができず、さらに貯湯タンク102内の水の沸き上げを行う場合、中温水をヒートポンプ回路101で再加熱するには温度が高いため効率が悪く、ヒートポンプ式給湯装置のCOP(エネルギー消費効率)を低下させてしまうという課題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明はこれらの課題を解決するために、請求項1では、給水管が下端部に接続されていると共に貯湯している湯水を流出させる出湯管が上端部に接続されている貯湯タンクと、この貯湯タンク側面上下に複数設けられ貯湯タンク内の湯水の温度を検出する貯湯温度センサと、この貯湯タンク内の湯水を高温に加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクの前記給水管よりも高く且つ前記出湯管よりも低い中間位置の上下に設けられている上中温水出湯口および下中温水出湯口と、この上下の中温水出湯口の何れか一方を選択する切換手段と、前記出湯管からの高温水と前記切換手段で選択された中温水出湯口からの湯水とを任意の所定温度に混合する中温水混合弁と、前記中温水混合弁で混合された湯と前記給水管から分岐されたバイパス管からの低温水とを任意の給湯設定温度に混合して給湯させる給湯混合弁と、前記各中温水出湯口高さ近傍の前記貯湯温度センサで検出する温度が入力され、上中温水出湯口高さ近傍の検出温度が第1所定温度以下である場合は前記切換手段を上中温水出湯口側に切換え、下中温水出湯口高さ近傍の検出温度が第1所定温度より低い第2所定温度以下である場合は前記切換手段を上中温水出湯口側に切換え、上中温水出湯口高さ近傍の検出温度が前記第1所定温度以上で且つ下中間水出湯口高さ近傍の検出温度が第2所定温度以上の場合は前記切換手段を下中温水出湯口側に切換えるよう前記切換手段に切換信号を出力する制御手段とを備えたものとした。
【0010】
これにより、貯湯タンクの中間部の多数の中温水出湯口の何れかから出湯するので、貯湯タンク上部に貯められた高温水を貯めたままで、その下に貯まっている温度の低下した中温水を優先して給湯することができ、しかも、高温水の下に貯まっている中温水の貯められている高さが上下しても、貯湯温度センサを利用して第1所定温度以下、第2所定温度以上の湯水を中温水とみなし、この中温水の貯められた高さに近い中温水出湯口を切換手段により選択して出湯させることが可能で、貯湯タンク内の中温水を余すことなく給湯に用いることが可能となる。
【0013】
また、請求項2では、前記加熱手段を二酸化炭素冷媒を用いたヒートポンプ回路として超臨界ヒートポンプサイクルを構成すると共に、前記貯湯タンクと前記ヒートポンプ回路とをヒーポン循環回路にて湯水が循環可能に接続し、前記貯湯タンク下部からの湯水を前記ヒートポンプ回路で加熱して前記貯湯タンク上部へ戻すよう構成したものとした。
【0014】
これにより、貯湯タンク内の中温水は優先的に給湯されて、貯湯タンク下部には給水管からの低温水が貯められることとなるので、必ず低温水から沸き上げることができ、沸き上げの効率が向上しヒートポンプ回路のCOP(エネルギー消費効率)が良くなるものであると共に、ヒートポンプ回路によって高効率に高温まで沸き上げることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の一実施形態の貯湯式給湯装置を図1〜図11に基づき説明する。なお、図3〜図11中の貯湯タンク内にハッチングした斜線は低温水、二重斜線は中温水、三重斜線は高温水を示し、矢印は湯水の流れ方向を示すものである。
【0016】
この貯湯式給湯装置は、時間帯別契約電力の電力単価が安価な深夜時間帯に湯水を沸き上げて貯湯し、この貯湯した湯水を給湯に用いるもので、1は湯水を貯湯する貯湯タンク2を備えた貯湯タンクユニット、3は貯湯タンク内の湯水を加熱するヒートポンプユニット、4は台所や洗面所等に設けられた給湯栓、5はこの給湯栓4の近傍に設けられた給湯リモコン、6は浴槽、7は浴室に設けられたふろリモコンである。
【0017】
前記貯湯タンクユニット1の貯湯タンク2は、上端に出湯管8と、下端に給水管9とが接続され、さらに、下部にヒーポン循環回路を構成するヒーポン往き管10と、上部にヒーポン循環回路を構成するヒーポン戻り管11とが接続され、前記ヒートポンプユニット3によってヒーポン往き管10から取り出した貯湯タンク2内の湯水を沸き上げてヒーポン戻り管11から貯湯タンク2内に戻して貯湯され、給水管9からの給水により貯湯タンク2内の湯水が押し上げられて貯湯タンク2内上部の高温水が出湯管8から押し出されて給湯されるものである。
【0018】
前記ヒートポンプユニット3は、圧縮機12と凝縮器としての冷媒−水熱交換器13と電子膨張弁14と強制空冷式の蒸発器15で構成された加熱手段としてのヒートポンプ回路16と、貯湯タンク2内の湯水を前記ヒーポン往き管10およびヒーポン戻り管11を介して冷媒−水熱交換器13に循環させるヒーポン循環ポンプ17と、それらの駆動を制御するヒーポン制御部18とを備えており、ヒートポンプ回路16内には冷媒として二酸化炭素が用いられて超臨界ヒートポンプサイクルを構成しているものである。なお、冷媒に二酸化炭素を用いているので、低温水を電熱ヒータなしで約90℃の高温まで沸き上げることが可能なものである。
【0019】
ここで、前記冷媒−水熱交換器13は冷媒と被加熱水たる貯湯タンク2内の湯水とが対向して流れる対向流方式を採用しており、超臨界ヒートポンプサイクルでは熱交換時において冷媒は超臨界状態のまま凝縮されるため効率良く高温まで被加熱水を加熱することができ、被加熱水の冷媒−水熱交換器13入口温度と冷媒の出口温度との温度差が一定になるように前記減圧器14または圧縮機12を制御することで、被加熱水の冷媒−水熱交換器13の入口温度が5〜20℃程度の低い温度であるとCOP(エネルギー消費効率)が3.0以上のとても良い状態で被加熱水を加熱することが可能なものである。
【0020】
19は前記浴槽6の湯水を加熱するための熱交換器で、その一次側には貯湯タンク2上部に接続された高温水往き管20と貯湯タンク2下部に接続された中温水戻り管21とが接続されて熱交循環回路22を構成し、中温水戻り管21途中に設けられた熱交循環ポンプ23の作動により貯湯タンク2から取り出した高温水を熱交換器19に循環させ、熱交換により温度低下した中温水を再び貯湯タンク2内に戻すものである。
【0021】
前記熱交換器19の二次側には、浴槽6の湯水を循環可能にふろ往き管24とふろ戻り管25より構成されるふろ循環回路26が接続され、ふろ戻り管25途中に設けられたふろ循環ポンプ27の作動により浴槽6の湯水が熱交換器19に循環されて、一次側の高温水により加熱されて浴槽6内の湯水の保温あるいは追焚きが行われるものである。なお、28はふろ戻り管25を循環する浴槽6の湯水の温度を検出するふろ温度センサである。
【0022】
次に、29は前記中温水戻り管21より高く前記出湯管8より低い貯湯タンク2の中間位置に接続された中温水出湯管で、前記熱交換器19で二次側と熱交換して温度低下した中温水を貯湯タンク2から出湯するものである。
【0023】
30は、前記中温水出湯管29の下流に設けられた中温水混合弁で、貯湯タンク2中間位置付近の中温水と貯湯タンク2上端に接続された出湯管8からの高温水とを、その下流の第1出湯管31に設けた出湯温度センサ32で検出する湯温が、給湯リモコン5またはふろリモコン7でユーザーが設定した給湯設定温度またはふろ設定温度(第2給湯設定温度)より一定温度高い温度である任意の所定温度になるように混合比率を制御するものである。
【0024】
ここで、前記中温水出湯管29は切換手段たる出湯口切換弁33を介して貯湯タンク2の中間位置の上下に設けられた上中温水出湯口34と下中温水出湯口35に接続され、出湯口切換弁33によって何れか一方の出湯口から貯湯タンク2の中間位置付近に貯められている中温水を中温水混合弁30に向けて出湯するものである。
【0025】
次に、37は第1出湯管31からの湯水と給水管9から分岐された第1バイパス管38からの低温水を混合する電動ミキシング弁より構成された給湯混合弁であり、その下流の給湯管39に設けた給湯温度センサ40で検出した湯温が給湯リモコン5またはふろリモコン7でユーザーが設定した給湯設定温度になるように混合比率を制御するものである。
【0026】
また、41は前記第1出湯管31から分岐された第2出湯管42からの湯水と、給水管9から分岐された第2バイパス管43からの低温水とを混合する電動ミキシング弁より構成されたふろ混合弁であり、その下流側の前記ふろ循環回路26に連通された第2給湯端たる湯張り管44に設けた湯張り温度センサ45で検出した湯温がふろリモコン7でユーザーが設定したふろ設定温度になるように混合比率を制御するものである。
【0027】
そして、前記湯張り管44には、ふろ循環回路26を介した浴槽6への湯張りの開始/停止を行う湯張り弁46と、浴槽6への湯張り量をカウントするふろ流量カウンタ47が設けられているものである。
【0028】
次に、48は貯湯タンク2の上下方向に複数個配置された貯湯温度センサで、この実施形態では5つの貯湯温度センサが配置され上から48a、48b、48c、48d、48eと呼び、この貯湯温度センサ48が検出する温度情報によって、貯湯タンク2内にどれだけの熱量が残っているかを検知し、そして貯湯タンク2内の上下方向の温度分布を検知するものである。
【0029】
前記給湯リモコン5およびふろリモコン7には、給湯設定温度を設定する給湯温度設定スイッチ49、50、およびふろ設定温度を設定するふろ温度設定スイッチ51、52がそれぞれ設けられていると共に、浴槽6へふろ設定温度の湯をふろリモコン7の湯張り量設定スイッチ(図示せず)で設定された湯張り量だけ湯張りし所定時間保温させるふろ自動スイッチ53、54がそれぞれ設けられているものである。
【0030】
55は貯湯タンクユニット1内の各センサの入力を受け各アクチュエータの駆動を制御するマイコンを有した給湯制御部で、機能の1つとして前記貯湯温度センサ48で検出する各温度に応じて前記出湯口切換弁33を上下の中温水出湯口34、35の何れか一方側に切換えるよう前記出湯口切換弁33に切換信号を出力するプログラムが組まれているものである。この給湯制御部55に前記給湯リモコン5およびふろリモコン7が無線または有線により接続されユーザーが任意の給湯設定温度およびふろ設定温度を設定できるようにしているものである。
【0031】
なお、56は貯湯タンク2の過圧を逃す過圧逃し弁、57は給水の温度を検出する給水温度センサ、58は給水の圧力を減圧する減圧弁、59は給湯する湯水の量をカウントする給湯流量カウンタである。
【0032】
ここで、前記給湯制御部55による前記出湯口切換弁33の切換動作について図2に基づき説明すると、前記給湯制御部55には上中温水出湯口34の高さ位置と近い高さ位置に配置されている貯湯温度センサ48cで検出する温度と下中温水出湯口35の高さ位置と近い高さ位置に配置されている貯湯温度センサ48dで検出する温度とが入力され、ステップ1で貯湯温度センサ48cで検出する温度Tcが第1所定温度(ここでは高温水とみなせる60℃)以上かどうかを判定し、Tcが第1所定温度以上であるならば上中温水出湯口34の高さ付近には高温水があるとみなし、ステップ2で貯湯温度センサ48dで検出する温度Tdが第2所定温度(ここでは中温水とみなせる給水温度+10℃)以上かどうかを判定し、Tdが第2所定温度以上であるならば下中温水出湯口35の高さ付近には中温水があるとみなし、ステップ3で出湯口切換弁33を下中温水出湯口35側に切換えるよう切換信号を出力し、また、ステップ1で貯湯温度センサ48cで検出する温度Tcが第1所定温度以下であった場合は、上中温水出湯口34の高さ付近に中温水があるとみなし、ステップ4で出湯切換弁33を上中温水出湯口34側に切換えるよう切換信号を出力し、また、ステップ2で貯湯温度センサ48dで検出する温度Tdが第2所定温度以下であった場合は、下中温水出湯口35の高さ付近に低温水があるとみなし、ステップ4で出湯切換弁33を上中温水出湯口34側に切換えるよう切換信号を出力するようにしている。
【0033】
次に、この一実施形態の作動を説明する。
まず、図3に示す沸き上げ運転について説明すると、深夜電力時間帯になって貯湯温度センサ48が貯湯タンク2内に翌日に必要な熱量が残っていないことを検出すると、給湯制御部55はヒーポン制御部18に対して沸き上げ開始指令を発する。指令を受けたヒーポン制御部18は圧縮機12を起動した後にヒーポン循環ポンプ17を駆動開始し、貯湯タンク2下部に接続されたヒーポン往き管10から取り出した5〜20℃程度の低温水を冷媒−水熱交換器13で70〜90℃程度の高温に加熱し、貯湯タンク2上部に接続されたヒーポン戻り管11から貯湯タンク2内に戻し、貯湯タンク2の上部から順次積層して高温水を貯湯していく。貯湯温度センサ48が必要な熱量が貯湯されたことを検出すると、給湯制御部55はヒーポン制御部18に対して沸き上げ停止指令を発し、ヒーポン制御部18は圧縮機12を停止すると共にヒーポン循環ポンプ17も停止して沸き上げ動作を終了するものである。
【0034】
次に、図4に示す給湯運転について説明すると、給湯栓4を開くと、給水管9からの給水が貯湯タンク2内に流れ込む。そしてこのとき、貯湯タンク2内には沸き上げられた高温水が満たされているので、給湯制御部55によって中温水切換弁33が下中温水出湯口34側に切換えられて、下中温水出湯口34から中温水出湯管29を介して中温水混合弁30へ高温水が押し出される。なお、貯湯タンク2内には上部に高温水、下部に低温水が貯められているが、その温度差により比重差が発生し、温度境界層を形成して比重の軽い高温水が上部に、比重の重い低温水が下部に位置するので、互いに混じり合うことはないものである。
【0035】
ここで、給湯制御部55は中温水出湯管29からの湯水と出湯管8からの湯水を混合して中温水混合弁30にて給湯リモコン5またはふろリモコン7で設定された給湯設定温度より一定温度以上高い温度となるように中温水混合弁30を適当な比率に調整する。なお、ここでは、中温水出湯管29から流入する湯が高温で給湯設定温度より高いため、中温水混合弁30の出湯管8側を閉じることとなる。
【0036】
そして、中温水混合弁30から流出した湯は第1出湯管31を介して給湯混合弁36へ流入し、第1バイパス管38からの低温水と混合され、給湯制御部55が給湯混合弁36の混合比率を調整し給湯設定温度の湯が給湯栓4から給湯される。そして、給湯栓4の閉止によって給湯が終了するものである。
【0037】
ここで、給湯により高温水が消費されて貯湯温度センサ48cが第1所定温度以上で貯湯温度センサ48dが第2所定温度以下を検出すると、図5に示すように給湯制御部55が出湯口切換弁33を上中温水出湯口34側に切換え、上中温水出湯口34から高温水を出湯するようにしている。
【0038】
また、前記中温水混合弁30は給湯設定温度よりも一定温度以上高い温度の湯を第1出湯管31に供給するようにしているので、上中温水出湯口34および下中温水出湯口35から出湯する湯水の温度が給湯設定温度よりも低い場合は、図6に示すように給湯制御部55により中温水混合弁30の混合比率が調整されて出湯管8からの高温水を用いて給湯設定温度よりも一定温度高い温度の湯を第1出湯管31に供給するようにし、貯湯タンク2の中間位置からの出湯を優先し、貯湯タンク2の上部に貯められている高温水の使用を最小限に留め、熱源となる高温水をより多く確保することが可能となる。
【0039】
次に、図7に示す浴槽6への湯張り運転について説明すると、給湯リモコン5またはふろリモコン7のふろ自動スイッチ53、54の何れかが操作されると、給湯制御部55が湯張り弁46を開弁する。そして、給水管9からの給水が貯湯タンク2内に流れ込む。そしてこのとき、貯湯温度センサ48cが第1所定温度以上で貯湯温度センサ48dが第2所定温度以上を検出し、給湯制御部55によって中温水切換弁33が下中温水出湯口35側に切換えられて、下中温水出湯口35から中温水出湯管29を介して中温水混合弁30へ高温水が押し出される。
【0040】
ここで、給湯制御部55はふろ自動スイッチ53、54の入力を受けると、中温水出湯管29からの湯水と出湯管8からの湯水を混合して中温水混合弁30にて給湯リモコン5またはふろリモコン7で設定されたふろ設定温度より一定温度以上高い温度となるように中温水混合弁30を適当な比率に調整するようにしている。なお、ここでは、中温水出湯管29から流入する湯が高温でふろ設定温度より高い温度であるため、中温水混合弁30の出湯管8側を閉じることとなる。
【0041】
そして、中温水混合弁30から流出した湯は第2出湯管42へ出湯される。そして第2出湯管42からの高温水はふろ混合弁41へ流入し、第2バイパス管43からの低温水と混合され、給湯制御部55がふろ混合弁41の混合比率を調整し、ふろ設定温度の湯が湯張り管44からふろ循環回路26を介して浴槽6へ湯張りされる。
【0042】
そして、湯張り管44途中に設けられたふろ流量カウンタ47が所定の湯張り量をカウントすると給湯制御部55が湯張り弁46を閉弁して湯張り運転を終了し、中温水混合弁30での任意の混合温度を給湯設定温度よりも一定温度高い温度となるようにするものである。
【0043】
次に、図8に示すふろの保温運転あるいは追焚き運転について説明すると、前記の浴槽6への湯張り運転に引き続き、給湯制御部55は一定時間毎にふろ循環ポンプ27を駆動し、浴槽6内の湯温をふろ温度センサ28により検出する。そしてふろ温度センサ28の検出する温度がふろ設定温度より所定値以上低下していると、給湯制御部55は熱交循環ポンプ23およびふろ循環ポンプ26を駆動開始し、高温水往き管20から取り出した高温水を熱交換器19に流入させ、二次側の浴槽水と熱交換させふろの保温運転あるいは追焚き運転を行う。そして、熱交換により温度低下した中温水が中温水戻り管21を介して貯湯タンク2下部に戻り、高温水と入れ替わる形で高温水と中温水の境界面を押し上げるようにして中温水が貯湯されるものである。なお、貯湯タンク2内には上部に高温水、中間部に中温水、下部に低温水が貯められているが、その温度差が20℃程度あれば比重差が発生し、温度境界層を形成して比重の軽い高温水が上部に、中間の中間水が中間部に、比重の重い低温水が下部に位置するので、互いに混じり合うことはないものである。
【0044】
そして、二次側では、熱交換器19にて加熱された浴槽水が浴槽6へ戻って浴槽6内を昇温し、ふろ温度センサ28で検出する温度がふろ設定温度に達すると、給湯制御部55は熱交循環ポンプ23およびふろ循環ポンプ26を駆動停止して保温運転あるいは追焚き運転を停止する。
【0045】
次に、貯湯タンク2内に中温水が貯められた後の給湯運転について説明する。図9に示すように、上中温水出湯口34付近に高温水が貯められて下中温水出湯口35付近に中温水が貯められている場合には、貯湯温度センサ48cが第1所定温度以上を検出し、貯湯温度センサ48dが第2所定温度以上を検出しているので、給湯制御手段55により出湯口切換弁33は下中温水出湯口35側に切換えられ、給湯混合水栓3の開栓により、給水管9からの給水が貯湯タンク2内に流れ込むと同時に、下中温水出湯口35から中温水が押し出されて中温水出湯管29を介して中温水混合弁30へ流入する。
【0046】
ここで、下中温水出湯口35から押し出される湯水の温度が給湯設定温度よりも低い場合は、中温水混合弁30の混合比率が調整されて貯湯タンク2上端部の出湯管8からの高温水と混合されて給湯設定温度より一定温度高い温度の湯を供給するようにしている。
【0047】
そして、中温水混合弁30から流出した湯は第1出湯管31を介して給湯混合弁36へ流入し、第1バイパス管38からの低温水と混合され、給湯制御部55が給湯混合弁36の混合比率を調整し給湯設定温度の湯が給湯栓4から給湯される。そして、給湯栓4の閉止によって給湯が終了するものである。
【0048】
ここで、図10に示すように、上中温水出湯口34付近に中温水が貯められて下中温水出湯口35付近に低温水が貯められている場合には、貯湯温度センサ48cが第1所定温度以下を検出しているので、給湯制御部55が出湯口切換弁33を上中温水出湯口34側に切換え、上中温水出湯口34から中温水を出湯するようにしている。よって、下中温水出湯口35付近に高温水あるいは中温水が貯められている場合には下中温水出湯口35から出湯し、下中温水出湯口35付近に給水管9からの低温水が貯められている場合は上中温水出湯口34から出湯されることとなり、貯湯タンク2内の中温水を余すことなく給湯に用いることが可能となるものである。
【0049】
また、前記中温水混合弁30は給湯設定温度よりも一定温度以上高い温度の湯を第1出湯管31に供給するようにしているので、上中温水出湯口34および下中温水出湯口35から出湯する湯水の温度が給湯設定温度よりも低い場合は、給湯制御部55により中温水混合弁30の混合比率が調整されて出湯管8からの高温水を用いて給湯設定温度よりも一定温度高い温度の湯を第1出湯管31に供給するようにし、貯湯タンク2の中間位置からの出湯を優先し、貯湯タンク2の上部に貯められている高温水の使用を最小限に留め、熱源となる高温水をより多く確保することが可能となる。
【0050】
次に、図11に示す給湯動作中に湯張り運転が開始されるかまたは湯張り運転中に給湯動作が開始される同時給湯時は、給湯制御部55が給湯設定温度とふろ設定温度を比較し、高い方の温度よりも一定温度高い温度を中温水混合弁30での任意の所定温度とするようにしている。
【0051】
このように、その時々の任意の給湯設定温度に応じて熱源として利用した中温水を可能な限り多く使って給湯を行うことができ、給湯が行われていない側の給湯設定温度が高い場合であっても、中温水混合弁で混合される任意の所定温度を、給湯設定温度の実際に給湯されている側の給湯設定温度よりも一定温度高い温度としているので、中温水を可能な限り多く使って給湯を行うことができると共に、複数の給湯端から同時給湯の要求がある時であっても、中温水を有効に使いつつ、各々の設定温度の湯を同時に給湯できるもので、熱源となる高温水を無駄に使用することを抑制して熱源としての能力を多く確保できるものである。
【0052】
なお、前記中温水戻り管21は貯湯タンク2最下端の給水管9および下部のヒーポン往き管10よりも高い位置に接続されているため、貯湯タンク2内に熱源として使われた中温水が戻されても、給湯の使用により貯湯タンク2下端から給水管からの低温水が流入することで貯湯タンク2の最下端には低温水が確保されることとなり、次回の沸き上げの際には必ず低温水から沸き上げることができるという効果がある。
【0053】
また、上中温水出湯口34および下中温水出湯口35が中温水戻り管21よりも高い位置に設けられているので、中温水戻り管21と上中温水出湯口34および下中温水出湯口35との間にある程度の容量を確保でき、熱交換器19で温度低下した中温水をその容量分だけ一時的に貯めておくことができることとなり、中温水出湯管29から出湯させることができない中温水を極力少なくすることができるもので、しかも、上中温水取出し口34及び下中温水取出し口35を上下に設けているため、下中温水取出し口35よりも上に中温水が貯められても、上中温水取出し口34で中温水を出湯させることができ、熱源として利用されてできた中温水を貯湯タンク2内に無駄に貯めてしまうことなく給湯に有効に利用することができる。
【0054】
ここで、もし中温水戻り管21と上中温水出湯口34または下中温水出湯口35とが同じ高さにあった場合には、中温水が中温水戻り管21より高い位置に貯められてしまう場合があり、これを中温水戻り管21と同じ高さにある上中温水出湯口34または下中温水出湯口35から取り出すことができないため、中温水が発生すると全く同時にこの中温水を給湯に用いる必要があり、さもなければ多量に給湯を行って中温水が貯湯タンク2上端部に接続された出湯管8にまで押し上げられるまで貯湯タンク2内に中温水が貯湯されてしまうこととなる。しかし、この一実施形態では上記のように中温水戻り管21よりも高い位置に上中温水出湯口34または下中温水出湯口35が設けられているため、この高さの差分の容量だけ中温水の発生から利用までの容量的あるいは時間的余裕ができ、中温水をある程度の容量分発生させてから時間的間隔をおいて給湯を行っても中温水を給湯に用いることができる効果がある。
【0055】
このように、給湯の際に熱源として利用された中温水を高温水よりも優先して貯湯タンク2の途中から取り出して給湯するので、高温水を給湯しきるまで中温水を給湯できないと行った不具合がなく、給湯を行う度に貯湯タンク2内の中温水が減って給水管9からの低温水に入れ替わって、深夜の沸き上げ動作を行う時には沸き上げ効率の悪い中温水ではなく、温度の低い低温水をヒートポンプ回路16で沸き上げることとなり、沸き上げの効率が向上しヒートポンプ式給湯装置としてのCOP(エネルギー消費効率)が良くなるものである。
【0056】
なお、この一実施形態では、熱交換器19と熱交循環ポンプ23とふろ循環ポンプ27とを貯湯タンクユニット1内に設けているが、貯湯タンクユニット1とは別体のユニット体に設けるようにしても良く、本発明の要旨を変更しない範囲での実施形態の変更をすることを妨げるものではない。
【0057】
また、この一実施形態では、熱交換器19の二次側にふろ循環回路26を設けているが、床暖房パネルや温水式温風暖房器や温水式パネルコンベクタ、温水式パネルラジエータ等の暖房循環回路を設けても良く、要は貯湯タンク16内の高温水の熱を熱交換器19で熱交換して利用する熱機器であれば何でも良いものである。
【0058】
さらに、貯湯タンク2内の湯水を加熱する手段としてヒートポンプ回路16を例示しているが、これに限られず、貯湯タンク2内に直接配置した電熱ヒータや、貯湯タンク2内の湯水を循環させて電熱ヒータで加熱するようにしても良いものである。
【0059】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、貯湯タンクの中間部上下の中間出湯口の何れかから出湯するので、貯湯タンク上部に貯められた高温水を貯めたままで、その下に貯まっている温度の低下した中温水を優先して給湯することができ、しかも、高温水の下に貯まっている中温水の貯められている高さが上下しても、貯湯温度センサを利用して中温水の貯められた高さに近い中温水出湯口を切換手段により選択して出湯させることが可能で、貯湯タンク内の中温水を余すことなく給湯に用いることが可能となる。
【0060】
また、貯湯タンク内の中温水は優先的に給湯されて、貯湯タンク下部には給水管からの低温水が貯められることとなるので、必ず低温水から沸き上げることができ、沸き上げの効率が向上しヒートポンプ回路のCOP(エネルギー消費効率)が良くなるものであると共に、ヒートポンプ回路によって高効率に高温まで沸き上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の概略構成図。
【図2】同一実施形態の切換手段の切換え方を説明するフローチャート。
【図3】同一実施形態の沸き上げ運転の作動を説明する図。
【図4】同一実施形態の給湯運転の作動を説明する図。
【図5】同一実施形態の給湯運転の作動を説明する図。
【図6】同一実施形態の給湯運転の作動を説明する図。
【図7】同一実施形態の湯張り運転の作動を説明する図。
【図8】同一実施形態の保温/追焚き運転の作動を説明する図。
【図9】同一実施形態の貯湯タンク内に中温水が存在する場合の給湯運転の作動を説明する図。
【図10】同一実施形態の貯湯タンク内に中温水が存在する場合の給湯運転の作動を説明する図。
【図11】同一実施形態の貯湯タンク内に中温水が存在する場合の給湯/湯張り同時運転の作動を説明する図。
【図12】従来の貯湯式給湯装置の概略構成図。
【符号の説明】
2 貯湯タンク
8 出湯管
9 給水管
10 ヒーポン往き管(ヒーポン循環回路)
11 ヒーポン戻り管(ヒーポン循環回路)
16 ヒートポンプ回路(加熱手段)
30 中温水混合弁
33 出湯口切換弁(切換手段)
34 上中温水出湯口
35 下中温水出湯口
37 給湯混合弁
38 第1バイパス管
48a〜e 貯湯温度センサ
55 給湯制御部(制御手段)
Claims (2)
- 給水管が下端部に接続されていると共に貯湯している湯水を流出させる出湯管が上端部に接続されている貯湯タンクと、この貯湯タンク側面上下に複数設けられ貯湯タンク内の湯水の温度を検出する貯湯温度センサと、この貯湯タンク内の湯水を高温に加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクの前記給水管よりも高く且つ前記出湯管よりも低い中間位置の上下に設けられている上中温水出湯口および下中温水出湯口と、この上下の中温水出湯口の何れか一方を選択する切換手段と、前記出湯管からの高温水と前記切換手段で選択された中温水出湯口からの湯水とを任意の所定温度に混合する中温水混合弁と、前記中温水混合弁で混合された湯と前記給水管から分岐されたバイパス管からの低温水とを任意の給湯設定温度に混合して給湯させる給湯混合弁と、前記各中温水出湯口高さ近傍の前記貯湯温度センサで検出する温度が入力され、上中温水出湯口高さ近傍の検出温度が第1所定温度以下である場合は前記切換手段を上中温水出湯口側に切換え、下中温水出湯口高さ近傍の検出温度が第1所定温度より低い第2所定温度以下である場合は前記切換手段を上中温水出湯口側に切換え、上中温水出湯口高さ近傍の検出温度が前記第1所定温度以上で且つ下中間水出湯口高さ近傍の検出温度が第2所定温度以上の場合は前記切換手段を下中温水出湯口側に切換えるよう前記切換手段に切換え信号を出力する制御手段とを備えたことを特徴とする貯湯式給湯装置。
- 前記加熱手段を二酸化炭素冷媒を用いたヒートポンプ回路として超臨界ヒートポンプサイクルを構成すると共に、前記貯湯タンクと前記ヒートポンプ回路とをヒーポン循環回路にて湯水が循環可能に接続し、前記貯湯タンク下部からの湯水を前記ヒートポンプ回路で加熱して前記貯湯タンク上部へ戻すよう構成したことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
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