JP4037768B2 - 光ピックアップ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(LD)、デジタル多用途ディスク(DVD)等の光学式記録媒体に記録再生を行うための光ピックアップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、CD、LD、DVD等の再生専用型光ディスクの再生を行う光学的再生装置や、追記型、書き換え可能型等の光ディスクであるCD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM、ミニディスク(MD)等に記録再生を行う光学的記録再生装置には、記録再生用に光ピックアップ装置が使用されている。光学式記録媒体としての光ディスクには、その記録面を保護すべく、所定の厚さの透過基板が上記記録面を覆うように形成されている。情報読取手段としての光ピックアップは、この透過基板を介して記録面に読取ビーム光を照射した際の反射光量によって、かかる光ディスクから記録情報の読取りを行うようにしている。
【0003】
しかしながら、製造上において、全ての光ディスクの透過基板の厚さを規定値に形成させることは困難であり、通常、数十μmの厚さ誤差が生じてしまう。そのため、かかる透過基板の厚さ誤差によって球面収差が発生する。球面収差が生じると、情報読取信号またはトラッキングエラー信号の振幅レベルが著しく低下する場合があり、情報読取精度を低下させてしまうという問題が生じる。
【0004】
この問題に対して、光学系に生じている球面収差量に応じた分だけ同球面収差の補正を行う球面収差補正手段と、前記補正量を変更しつつ前記トラッキングエラー信号の振幅レベルを検出しその振幅レベルが最大となった時の前記補正量を最終的な球面収差補正量として球面収差補正手段に供給し、球面収差を補正する方法が開示されている(たとえば特許文献1参照)。球面収差補正手段としては、復屈折特性を有する液晶が充填されている液晶層上に円環状の透明電極が形成されている液晶パネルを用い、透明電極に印加する電位に応じて補正量を変えるようにしている。球面収差補正手段としての液晶パネルは、レーザ発生素子の光軸上に配置され、レーザ発生素子から発生されるレーザビーム光の波面に位相差を持たせて透過出力させてから、光ディスクの記録面上に集光させるようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−222838号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが前述の特許文献1に開示されている方法では、トラッキングエラー信号の振幅レベルが最大となる時の補正量を検出するために、球面収差補正手段で変更可能な補正量の全範囲を探索する必要があり、補正量を確定するまで時間がかかるという課題がある。さらに球面収差がある程度以上小さくなると、トラッキングエラー信号の振幅レベルの変化が小さくなるため、ノイズ、外乱等の影響により振幅最大値が精度よく検出できなくなってしまうという課題がある。
【0007】
本発明の目的は、ノイズ、外乱等の影響を受けることなく、正確な最適収差補正量での補正を、短時間で行うことができる光ピックアップ装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、集光されたビーム光を光学記録媒体の記録面に照射し、該記録面からの反射光量によって記録情報の読取りを行う際に、光学系に生じる球面収差を相殺する球面収差を発生させて補正する補正手段を具備する光ピックアップ装置において、
前記補正手段に光学記録媒体の記録面上での集光スポットのもつ球面収差がP−V値で波長λの1/4以上、あるいは標準偏差が波長λの1/14以上となる範囲の該2つ以上の異なる量で球面収差を発生させ、各球面収差量で補正する場合の反射光量を受光して得られるレファレンス信号の評価値に基づく数値演算で最適収差補正量を計算する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記補正手段に、前記2つ以上の異なる量の球面収差を、P−V値で波長λの1/2以上互いに離れる2つの領域で発生させることを特徴とする光ピックアップ装置である。
【0009】
本発明に従えば、補正手段が発生させる球面収差の値がP−V値で波長λの1/4以上の範囲、あるいは標準偏差が波長λの1/14以上となる範囲であるため、これらの球面収差で補正を行って、光学記録媒体の記録面からの反射光量を受光して得られるリファレンス信号としては、リファレンス信号の評価値の変化の特性上、補正量の変化に対する評価値変化の感度の高い部分を利用することができる。また、最適収差補正量の算出は、ピーク値あるいはボトム値の検出といった方法を採らずに、数値演算によって計算するので、各球面収差とそのときのそれぞれのリファレンス信号を用いて数値演算によって計算される最適収差補正量は、ノイズ、外乱等の影響を受けることなく、単一の値の特定が可能となり、より正確な最適収差補正量を検出することができる。また、球面収差量を発生してレファレンス信号に基づく数値演算を行うための測定のポイントは、P−V値で波長λの1/2以上互いに離れる2つの領域で発生させた少なくとも2点でよいため、従来のように変更可能な球面収差量の全範囲に渡って測定する必要がなく、球面収差補正に係わる測定時間の短縮を図ることができる。
【0010】
また本発明で、前記制御手段は、前記補正手段に、4つ以上の異なる量で球面収差を発生させ、前記数値演算で、前記4つ以上の異なる量で発生させる球面収差と、各球面収差に対する前記評価値とから近似曲線を計算し、該近似曲線のピークあるいはボトム位置を前記最適収差補正量とすることを特徴とする。
【0011】
本発明に従えば、実際のレファレンス信号の評価値では、球面収差補正量の変化に対するピークあるいはボトムがはっきりしない場合でも、近似曲線を計算して、仮想的なピークあるいはボトムを一意に特定できるため、最適収差補正量を一意に決定することができる。
【0012】
また本発明で、前記近似曲線は、多項式近似曲線であることを特徴とする。
本発明に従えば、近似曲線は多項式近似曲線であるため、演算式が比較的簡単になり、演算回路規模あるいは演算用のソフトウエアが比較的小さいボリュームで実現可能となる。
【0013】
また本発明で、前記数値演算は、
前記補正手段に発生させた前記2つ以上の異なる量の球面収差のうち、P−V値で波長λの1/2以上離れ、かつ各球面収差に対する前記評価値がほぼ等しい2つの球面収差量についての平均値演算であり、
前記最適収差補正量として、該平均値演算によって得られる平均値を用いることを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、数値演算は、前記補正手段に発生させた前記2つ以上の異なる量の球面収差のうち、P−V値で波長λの1/2以上離れ、かつ各球面収差に対応して得られるリファレンス信号の評価値がほぼ等しい値となる2つの異なる量の球面収差の平均値演算であり、最適収差補正量は2つの異なる量の球面収差の平均値とするので、正確な最適収差補正量を算出することが可能となる。
【0015】
また本発明で、前記制御手段は、
前記補正手段に、第1の量の球面収差を発生させ、さらにそのときに得られるレファレンス信号の評価値とほぼ等しい評価値となるレファレンス信号が得られ、該第1の量の球面収差とP−V値で波長λの1/2以上離れる第2の球面収差を発生させ、
前記数値演算は、第1および第2の量の球面収差についての平均値演算であり、
前記最適収差補正量として、該平均値演算によって得られる平均値を用いることを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、補正手段は第1の量の球面収差を発生させ、さらにそのときに得られるリファレンス信号の評価値とほぼ等しい評価値が得られ、第1の量の球面収差とP−V値で波長λの1/2以上離れる第2の量の球面収差を発生させる。数値演算は、2つの量の球面収差に基づく平均値演算として、平均値演算によって得られる平均値を用いることによって、正確な最適収差補正量を算出することが可能となる。
【0017】
なお、リファレンス信号が光学記録媒体の記録面から読出す情報信号で、その評価値が振幅レベルであることを特徴とするならば、光ピックアップ装置として品質を確保しなければならない情報信号を直接リファレンス信号とするため、より正確な球面収差の補正を実現することができる。
【0018】
また、リファレンス信号がトラッキングエラー信号で、その評価値が振幅レベルであることを特徴とするならば、信号振幅が大きく感度の高いトラッキングエラー信号をリファレンス信号とするため、ノイズ、外乱等の影響を受け難くすることができる。
【0019】
さらに、リファレンス信号が情報信号で、その評価値がジッターであることを特徴とするならば、情報信号品質と相関性の高いジッターを評価値とするため、正確な球面収差の補正を実現することができる。
【0020】
また、リファレンス信号が情報信号で、その評価値がエラーレートであることを特徴とするならば、情報信号品質と相関性の高いエラーレートを評価値とするため、正確な球面収差の補正を実現することができる。
【0021】
また本発明で、前記補正手段は、
複屈折特性を有する液晶が充填された液晶層上に円環状の透明電極が形成されている液晶パネルと、
前記2以上の異なる量の球面収差に対応する電位を該透明電極に印加する液晶駆動回路とを含むことを特徴とする。
【0022】
本発明に従えば、液晶層に電界を形成し、液晶の有する複屈折特性に基づいて、所望の球面収差量を機械的な動きなしに即座に発生することができるため、球面収差量を正確に管理することができる。
【0023】
本発明に従えば、補正手段であるビームエキスパンダは、ビーム光を集光する対物レンズとの相対位置ずれの影響が小さいため、光ピックアップ装置への組込み調整を比較的容易に行うことができる。
【0024】
また本発明で前記補正手段は、前記光学記録媒体の記録面に照射されるビーム光と、該記録面からの反射光とが透過する光路に配置されることを特徴とする。
【0025】
本発明に従えば、補正手段から発生する球面収差量での補正は、光学記録媒体の記録面に照射されるビーム光が透過し、記録面からの反射光も透過する光路で行うので、照射光と反射光とに対して二重に補正することができ、各球面収差量で2倍の球面収差量に相当する補正を行うことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。各実施形態で、相互に対応する部分は同一の参照符を付し、重複する説明を省略している場合がある。
【0031】
図1は、本発明の実施の第1形態としての光ピックアップ装置の構成を示す。図1において、ピックアップ20は、スピンドルモータ30によって回転駆動される光学式記録媒体としての光ディスク40に読取ビーム光を照射し、その反射光を受光する。この際、スピンドルモータ30は、上記光ディスク40を1回転させる度に回転信号RTを発生し、これを制御回路50に供給する。ピックアップ20は、上述した如く光ディスク40に読取ビーム光を照射した際の反射光を受光し、これを電気信号に変換したものを、フォーカスエラー生成回路1、トラッキングエラー生成回路2、およびRF信号生成回路3の各々に供給する。
【0032】
ピックアップ20は、レーザ発生素子21、コリメートレンズ22、ビームスプリッタ23、λ/4板24、液晶パネル25、対物レンズ26、フォーカシングトラッキングアクチュエータ27、集光レンズ28、シリンドリカルレンズ29および光検出器31から構成されている。レーザ発生素子21は、所定の光パワーを有するレーザビーム光を発生する。かかるレーザビーム光は、光ディスク40の透過基板の厚さ誤差に伴う球面収差を補正すべく設けられる液晶パネル25を透過して、対物レンズ26に導出される。液晶パネル25は、補正手段として機能し、制御手段として機能する制御回路50から液晶ドライバ4に与えられる球面収差補正信号SAに基づいて駆動される。
【0033】
図2は、前述のレーザビーム光の光軸方向から眺めた液晶パネル25の構造を示す。図2に示されるように、液晶パネル25は、円形の透明電極E1、円環状の透明電極E2、および複屈折特性を有する液晶分子が充填された液晶層CLとからなる。透明電極E1の直径は、対物レンズ26のレンズ径が3000μmである場合に、たとえば約1600μmであり、透明電極E2の外径は約2800μmである。なお、透明電極E1およびE2の中心軸は、ともにレーザビーム光の光軸中心上となるように配置される。透明電極E1には所定の電位として、たとえば2ボルトが固定印加されており、透明電極E2には液晶ドライバ4からの液晶駆動電位CVが印加される。この際、液晶層CL内に充填されている液晶分子のうち、透明電極E2に覆われた円環状の領域に存在する液晶分子のツイスト角が液晶駆動電位CVに応じた分だけ推移する。よって、図2に示されるようにレーザビーム光によるビームスポットSPTが液晶パネル25に照射されると、透明電極E2に覆われた領域を透過する光と、他の領域を透過する光とに液晶駆動電位CVに応じた分の位相差が生じる。つまり、液晶パネル25は、レーザ発生素子21から供給されるレーザビーム光の波面に、前述のような位相差をもたせて透過出力するのである。
【0034】
かかる動作により、液晶パネル25は、光ディスク40の透過基板厚のバラツキによる球面収差の補正を行う。このように液晶パネル25による球面収差補正では、透過基板厚のバラツキによる球面収差を相殺しうる所望の球面収差量を機械的な動きなしに即座に発生することができるため、補正のための球面収差量を正確に管理することができる。対物レンズ26は、液晶パネル25から供給されるレーザビーム光を、前述の読取ビーム光として、光ディスク40の記録面に形成されている記録トラック上に集光する。
【0035】
フォーカシングについては、フォーカシングトラッキングアクチュエータ27が、対物レンズ26をサーボループスイッチ5を介して供給されるフォーカス駆動信号Fに応じた分だけ、光ディスク40の記録面に対する垂直方向、いわゆるフォーカス調整軌道上において移動せしめる。
【0036】
トラッキングについては、フォーカシングトラッキングアクチュエータ27が、サーボループスイッチ6を介して供給されるトラッキング駆動信号Tに応じた分だけ、対物レンズ24の光軸を光ディスク40のディスク半径方向に振る。
【0037】
図3は、光検出器31の受光面を示す図である。読取ビーム光を光ディスク40の記録トラック上に照射して得られる反射光は、対物レンズ26、液晶パネル25およびλ/4板24を透過し、ビームスプリッター23で方向を変えて、集光レンズ28およびシリンドリカルレンズ29を介して光検出器31の受光面に照射される。光検出器31は、トラック方向に対して図の如く配列された4つの独立した受光素子A〜Dを備えている。受光素子A〜Dは、光ディスク40からの反射光を受光して電気信号に変換したものを光電変換信号RA〜RDとしてそれぞれ出力する。
【0038】
フォーカスエラー生成回路1は、光検出器31の受光素子A〜Dのうちで、互いに対角に配置されている受光素子同士の出力和をそれぞれ求め、両者の差分値をフォーカスエラー信号FEとして減算器7に供給する。すなわち、フォーカスエラー生成回路1は、
FE=(RA+RC)−(RB+RD)
なるフォーカスエラー信号FEを減算器7に供給するのである。減算器7は、かかるフォーカスエラー信号FEから、制御回路50から供給されたフォーカス調整軌道上位置信号FPを減算して得るフォーカスエラー信号FE’をサーボループスイッチ5に供給する。サーボループスイッチ5は、制御回路50から供給されたフォーカスサーボスイッチ信号FSに応じて、オン状態またはオフ状態となる。たとえば、サーボループスイッチ5は、フォーカスサーボ・オフを示す論理レベル”0”のフォーカスサーボスイッチ信号FSが供給される場合にはオフ状態となる。一方、フォーカスサーボ・オンを示す論理レベル”1”のフォーカスサーボスイッチ信号FSが供給される場合にはオン状態となり、上記フォーカスエラー信号FE’に応じたフォーカス駆動信号Fをフォーカシングトラッキングアクチュエータ27に供給開始する。すなわち、ピックアップ20、フォーカスエラー生成回路1、減算器7、およびサーボループスイッチ5なる系により、いわゆるフォーカスサーボループを形成しているのである。かかるフォーカスサーボループにより、対物レンズ26は、フォーカス調整軌道上位置信号FPに応じたフォーカス調整軌道上の位置に保持される。
【0039】
トラッキングエラー生成回路2は、光検出器31の受光素子A〜Dのうちで、トラック方向に隣接配置されている受光素子同士の出力和をそれぞれ求め、両者の差分値をトラッキングエラー信号としてサーボループスイッチ6に供給する。すなわち、(RA+RD)と(RB+RC)との差をトラッキングエラー信号として求めるのである。サーボループスイッチ6は、制御回路50から供給されたトラッキングサーボスイッチ信号TSに応じてオン状態またはオフ状態となる。たとえば、サーボループスイッチ6は、トラッキングサーボ・オンを示す論理レベル”1”のトラッキングサーボスイッチ信号TSが供給される場合にはオン状態となり、トラッキングエラー信号に応じたトラッキング駆動信号Tをトラッキングアクチュエータ27に供給開始する。一方、トラッキングサーボ・オフを示す論理レベル”0”のトラッキングサーボスイッチ信号TSが供給される場合にはオフ状態となる。この際、フォーカシングトラッキングアクチュエータ27にはトラッキング駆動信号Tの供給がなされない。
【0040】
RF信号生成回路3は、光電変換信号RA〜RDを互いに加算して得る加算結果を、光ディスク40に記録されている情報データに対応する情報読取信号として求め、これを情報データ復調用のRF復調回路10および制御回路50にそれぞれ供給する。RF復調回路10は、かかる情報読取信号に対して所定の復調処理を施すことにより、情報データを再生し、これを再生情報データであるRFデータとして出力する。
【0041】
図4は、図1に示す光ピックアップ装置に球面収差が残っている場合に、球面収差を補正していくときの情報読取信号のRFレベルの変化を示す。図において横軸に装置のもつ球面収差量のP−V値、縦軸に情報読取信号のRFレベルをとると、球面収差が0の場合にRFレベルは最大となる。ただし、その球面収差量が球面収差が0の位置に対して光学特性の評価基準値以下である領域では、RFレベルの変化量が極めて少なくなる。この評価基準値としてよく知られているのは、光源波長をλとして波面収差の最大値がλ/4以下であるレイリー(Rayleigh)リミット、あるいは波面収差の標準偏差がλ/14以下であるSD(Strehl Definition:シュトレールディフィニション)であり、これらの場合の集光ビームは、ほぼ理想ビームと判断することができる。なお「P−V値」は、符号プラスの場合の最大値、あるいは符号マイナスの場合の最小値、すなわち、絶対値の最大値を意味する。
【0042】
本実施形態では、前述のRFレベル最大時の収差補正量を検出するために、レベルの変化の大きい領域における球面収差補正量でRFレベルを検出するサンプリング点をたとえば4点(SA1〜SA4)設定し、演算回路にて近似曲線L1を演算し、近似曲線L1上の頂点位置相当の収差補正量を最適収差補正量SABESTとして決定する。こうすることによって、実際のRF信号ではピークやボトムがはっきりしない場合でも、仮想的なピークやボトムを一意に特定することができ、最適収差補正量SABESTを一意に決定することができる。
【0043】
この場合、サンプリング点は4点に限らず、少なくとも4点以上あれば近似曲線L1を演算することは可能であり、サンプリング点数が少ないほど演算方法が簡単になり、演算回路の構成が簡素化できるとともに、補正量導出までの時間を短くすることができる効果がある。またサンプリング点を増やしていくほど近似曲線L1の精度が上がり、より正確な収差補正量を検出することが可能となる。
【0044】
また近似曲線L1を多項式近似とすると、演算式が比較的簡単になり、演算回路規模あるいは演算ソフトウエアが比較的小さいボリュームで実現可能となる。あるいは、より誤差の少ないスプライン補間等、各種補間法を想定することもできる。また前述の近似曲線L1を計算し、収差補正量を導出する演算回路はマイコンにその機能をプログラミングする方法、あるいはDSP(デジタルシグナルプロセッサ)に専用演算機能を組み込む方法、あるいはアナログ回路にて実現する方法等がある。
【0045】
またサンプリング点の決定方法としては、あらかじめ想定している補正量をメモリしておく方法、あるいはあらかじめサンプリングすべきRFレベルをメモリしておき、補正量を変化させていってメモリしていたRFレベルになった補正量をサンプリングしていく方法等がある。
【0046】
なお前述の説明はRFレベルを基準にした場合の例であり、光ピックアップ装置として品質を確保しなければならない信号のレベルを直接リファレンス信号の評価値とするため、より正確な収差補正を実現することができるが、これがトラッキングエラーレベルであってもかまわない。この場合、信号振幅が大きく感度の高いトラッキングエラー信号をリファレンス信号とするため、ノイズや外乱等の影響を受け難くすることができる。さらに、情報信号をリファレンス信号とし、情報信号品質と相関性の高いジッターやBER(ビットエラーレート)をリファレンス信号の評価値としてもかまわない。この場合も正確な球面収差補正を実現することができる。
【0047】
図5は、本実施形態で、球面収差補正量決定までの具体的な手順の例を示す。制御手段である制御回路50は、光学式情報再生装置における各種記録再生動作を実現すべく、図示を省略しているメインルーチンに従った制御を行う。この際、かかるメインルーチンの実行中に、光ディスク40がこの光学式情報再生装置に装着されると、制御回路50は、図5に示されるが如き手順からなる球面収差補正サブルーチンの実行に移る。なお、制御回路50は、前述の4点のサンプリング位置での球面収差量に対応する球面収差補正信号SA(1)〜SA(4)を内蔵レジスタに格納しておく。
【0048】
まずステップS1で、制御回路50は、フォーカスサーボをオン状態にすべく、論理レベル”1”のフォーカスサーボスイッチ信号FSをサーボループスイッチ5に供給する。次のステップS2で、制御回路50は、トラッキングサーボをオフ状態にすべく、論理レベル”0”のトラッキングサーボスイッチ信号TSをサーボループスイッチ6に供給する。また、変数Nに1を格納して初期化する。
【0049】
ステップS3で、制御回路50は、内蔵レジスタに記憶されている球面収差補正信号SA(N)を読出して、液晶ドライバ4に供給する。かかるステップS3の実行により、液晶ドライバ4は、球面収差補正信号SA(N)の値に応じた電位を有する液晶駆動電位CVを発生し、これを液晶パネル25に印加する。したがって、この際、液晶パネル25にレーザビーム光が照射されると、図2に示されるが如き円環状の透明電極E2に覆われた領域を透過する光と、他の領域を透過する光とに、球面収差補正信号SA(N)に応じて位相差が生じる。これにより、球面収差の仮補正が為されることになる。
【0050】
次のステップS4で、制御回路50は、スピンドルモータ30から供給される回転信号RTに基づき、光ディスク40が1回転したか否かを判定する。この判定は、光ディスク40が1回転するまで繰り返し行う。ステップS4において、光ディスク40が1回転したと判定されると、ステップS5で、制御回路50は、RF信号をRF(N)として取り込む。次に、ステップS6で、制御回路50は、Nの値が”4”になっているか否かを判定する。このステップにてNが4でないと判定されるとき、ステップS7に進み、制御回路50はN=N+1として、ステップS3に戻り、内蔵レジスタに記憶されている球面収差補正信号SA(N)を読出す。以下、ステップS3〜S7までの動作を繰り返して実行する。この間、一連の動作が実施されるたびに、液晶パネル25による球面収差補正がその補正量をたとえばSA(1)からSA(4)まで4回更新しつつ行われる。この補正量としての球面収差補正信号SA(1)、SA(2)、SA(3)、SA(4)の値は、RFレベルの変化が大きい領域での値が望ましい。たとえば最大補正量近傍値2点と最小補正量近傍値2点とる場合を想定すると、最大補正量を16段階に分けた場合、SA(1)は1段階分、SA(2)は2段階分、SA(3)は15段階分、SA(4)は16段階分の補正量に相当させる。
【0051】
次にステップS6で、制御回路50はNの値が”4”になっていると判定すると、ステップS8に進む。ステップS8で、制御回路50は、SA(1)〜SA(4)までの球面収差補正信号に対応する4種類の球面収差補正量と、各球面収差補正量で補正を行った際に各段階毎に取り込まれたRF信号RF(1)〜RF(4)のデータをサンプリングデータとして、近似曲線を演算し、その近似曲線における最大RF信号レベルRFMAXとなる最適球面補正量SABESTを求める。次のステップS9で、制御回路50は、この最適球面収差補正量SABESTを表す信号を最終的な球面収差補正信号として液晶ドライバ4に供給する。
【0052】
すなわち、ステップS9の実行により、最適球面収差補正量SABESTを最終的な球面収差補正量とし、この補正量に応じた分だけ図2に示される透明電極E2に覆われた領域に対して位相差をもたせるべく液晶パネル25を駆動する。かかる駆動により、最終的な球面収差補正をなすのである。ステップS9の終了後、制御回路50は、この球面収差補正サブルーチンを抜けてメインルーチンの実行に戻る。以上のルーチンにより、最適な球面収差補正量を短い探索時間にて正確に検出し、補正を行うことが可能となる。
【0053】
なお、図5に示される動作では、球面収差補正信号SAを4回読出して調整するようにしているが、その調整回数は4回に限定されるものではない。また、本実施形態においては、RF信号の振幅レベルを用いて各種処理を実施しているが、このRF信号の振幅レベルに代わり、トラッキングエラー信号振幅あるいはトラッキングサーボのサーボゲインを用いるようにしてもよい。
【0054】
また、図2においては、液晶パネル25の液晶層CL上に円環状の透明電極E2を1つだけ形成するようにしているが、同心円状に複数の円環状透明電極を形成するようにしてもよい。つまり、ビームスポットの外周側領域と内周側領域とでは球面収差の度合いが異なるので、その度合いに対応した位相差を各領域毎にもたせて、より細かく球面収差の補正を行えるようにするのである。この際、これら複数の円環状透明電極各々に印加すべき電位は、球面収差のパターンに応じて重み付けしておく。
【0055】
以下、本発明の実施の第2形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図6は、本発明の実施の第2形態としての光ピックアップ装置の構成を示す。図6において、ピックアップ20は、スピンドルモータ30によって回転駆動される光学式記録媒体としての光ディスク40に読取ビーム光を照射し、その反射光を受光する。この際、スピンドルモータ30は、光ディスク40を1回転させる度に回転信号RTを発生し、これを制御回路50に供給する。ピックアップ20は、光ディスク40に読取ビーム光を照射した際の反射光を受光し、これを電気信号に変換したものを、フォーカスエラー生成回路1、トラッキングエラー生成回路2、およびRF信号生成回路3にそれぞれ供給する。
【0056】
ピックアップ20は、レーザ発生素子21、コリメートレンズ22、ビームスプリッタ23、λ/4板24、ビームエキスパンダ35、ビームエキスパンダ用アクチュエータ34、対物レンズ26、フォーカシングトラッキングアクチュエータ27、集光レンズ28、シリンドリカルレンズ29および光検出器31から構成されている。レーザ発生素子21は、所定の光パワーを有するレーザビーム光を発生する。かかるレーザビーム光は、光ディスク40の透過基板の厚さ誤差に伴う球面収差を補正すべく設けられるビームエキスパンダ35に入射する。
【0057】
ビームエキスパンダ35は、たとえば凹レンズ33と凸レンズ32との対で構成されるビーム拡大型のリレーレンズである。通常は入射平行光に対してビーム径を拡大させた平行光を出射させるように構成されている。凹レンズ33と凸レンズ32とのレンズ間隔を変化させることによって、対物レンズ26に入射する光を発散光あるいは集束光に変換させ、対物レンズ26により球面収差を発生させることができる。かかる動作により、ビームエキスパンダ35は、光ディスク40の透過基板厚のバラツキによる球面収差の補正を行う補正手段として機能させることができる。この場合、ビームエキスパンダ35と対物レンズ26とは、相対的な位置ずれによる球面収差発生性能への影響が小さいため、光ピックアップ装置への組込み調整を比較的容易に行うことができる。
【0058】
対物レンズ26は、ビームエキスパンダ35から供給されるレーザビーム光を、読取ビーム光として光ディスク40の記録面に形成されている記録トラック上に集光する。フォーカシングについては、フォーカシングトラッキングアクチュエータ27が、対物レンズ26をサーボループスイッチ5を介して供給されるフォーカス駆動信号Fに応じた分だけ、光ディスク40の記録面に対する垂直方向、いわゆるフォーカス調整軌道上において移動せしめる。トラッキングについては、フォーカシングトラッキングアクチュエータ27が、サーボループスイッチ6を介して供給されるトラッキング駆動信号Tに応じた分だけ対物レンズ24の光軸を光ディスク40のディスク半径方向に振る。
【0059】
ここで、読取ビーム光を光ディスク40の記録トラック上に照射する際に得られる反射光は、対物レンズ26、ビームエキスパンダ35およびλ/4板24を透過し、ビームスプリッタ23で方向を変えて、集光レンズ28、シリンドリカルレンズ29を介して光検出器31の受光面に照射する。光検出器31は、図3に示すような受光面を有している。
【0060】
図3に示されるように、光検出器31は、トラック方向に対して図の如く配列された4つの独立した受光素子A〜Dを備えている。各受光素子A〜Dは、光ディスク40からの反射光を受光して電気信号に変換したものを光電変換信号RA〜RDとしてそれぞれ出力する。フォーカスエラー生成回路1は、光検出器31における受光素子A〜Dのうちで互いに対角に配置されている受光素子同士の出力和をそれぞれ求め、両者の差分値をフォーカスエラー信号FEとして減算器7に供給する。すなわち、フォーカスエラー生成回路1は、
FE=(RA+RC)−(RB+RD)
なるフォーカスエラー信号FEを減算器7に供給するのである。減算器7は、かかるフォーカスエラー信号FEから、制御回路50から供給されたフォーカス調整軌道上位置信号FPを減算して得るフォーカスエラー信号FE’をサーボループスイッチ5に供給する。サーボループスイッチ5は、制御回路50から供給されたフォーカスサーボスイッチ信号FSに応じてオン状態またはオフ状態となる。たとえば、サーボループスイッチ5は、フォーカスサーボ・オフを示す論理レベル”0”のフォーカスサーボスイッチ信号FSが供給される場合にはオフ状態となる。一方、フォーカスサーボ・オンを示す論理レベル”1”のフォーカスサーボスイッチ信号FSが供給される場合にはオン状態となり、フォーカスエラー信号FE’に応じたフォーカス駆動信号Fをフォーカシングトラッキングアクチュエータ27に供給開始する。すなわち、ピックアップ20、フォーカスエラー生成回路1、減算器7、およびサーボループスイッチ5を含む系により、いわゆるフォーカスサーボループを形成しているのである。かかるフォーカスサーボループにより、対物レンズ26は、フォーカス調整軌道上位置信号FPに応じたフォーカス調整軌道上の位置に保持される。
【0061】
トラッキングエラー生成回路2は、光検出器31の受光素子A〜Dのうちでトラック方向に隣接配置されている受光素子同士の出力和を求め、両者の差分値をトラッキングエラー信号としてサーボループスイッチ6に供給する。すなわち、(RA+RD)と(RB+RC)との差をトラッキングエラー信号として求めるのである。サーボループスイッチ6は、制御回路50から供給されたトラッキングサーボスイッチ信号TSに応じてオン状態またはオフ状態となる。たとえば、サーボループスイッチ6は、トラッキングサーボ・オンを示す論理レベル”1”のトラッキングサーボスイッチ信号TSが供給された場合にはオン状態となり、上記トラッキングエラー信号に応じたトラッキング駆動信号Tをフォーカシングトラッキングアクチュエータ27に供給開始する。一方、トラッキングサーボ・オフを示す論理レベル”0”のトラッキングサーボスイッチ信号TSが供給された場合にはオフ状態となる。この際、フォーカシングトラッキングアクチュエータ27にはトラッキング駆動信号Tの供給が為されない。
【0062】
RF信号生成回路3は、光電変換信号RA〜RDを互いに加算して得る加算結果を、光ディスク40に記録されている情報データに対応した情報読取信号として求め、これをRF復調回路10および制御回路50にそれぞれ供給する。RF復調回路10は、かかる情報読取信号に対して所定の復調処理を施すことによって情報データを再生し、これを再生情報を示すRFデータとして出力する。
【0063】
図7は、図6に示す光ピックアップ装置に球面収差が残っている場合に、ビームエキスパンダ35のレンズ間隔を変化させて球面収差を補正していくときの情報読取信号のRFレベルの変化を示す。図において、横軸には装置のもつ球面収差量をP−V値で示し、縦軸には情報信号のRFレベルをとる。球面収差が0の場合、RFレベルは最大となるが、その収差量が光学特性の評価基準値以下である領域では、RFレベルの変化量が極めて少なくなる。この評価基準値としてよく知られているのはレイリーリミット(波面収差の最大値がλ/4以下(λは光源波長))あるいはSD(シュトレールディフィニション)(波面収差の標準偏差がλ/14以下)であり、この場合集光ビームは、ほぼ理想ビームと判断することができる。
【0064】
本実施形態は、RFレベル最大時のレンズ間隔を検出するために、レベルの変化の大きい領域における球面収差補正量でRFレベルを検出するサンプリング点をたとえば4点(SP1〜SP4)設定し、演算回路にて近似曲線L2を演算し、近似曲線L2上の頂点位置を与える最適レンズ間隔SPBESTを最適収差補正時のレンズ間隔として決定する。この場合サンプリング点は4点に限らず、少なくとも4点以上あれば、近似曲線L2を演算することは可能であり、サンプリング点数が少ないほど演算方法が簡単になり、演算回路の構成が簡素化できるとともに補正量導出までの時間を短くすることができる効果がある。またサンプリング点を増やしていくほど近似曲線L2の精度が上がり、より正確なレンズ間隔を検出することが可能となる。
【0065】
また近似曲線L2には、多項式近似あるいはスプライン補間等、各種補完法を想定することができる。また近似曲線L2を計算し、レンズ間隔を導出する演算回路は、マイコンにその機能をプログラミングする方法、あるいはDSP(デジタルシグナルプロセッサ)に専用演算機能を組み込む方法、あるいはアナログ回路にて実現する方法等がある。
【0066】
またサンプリング点の決定方法としては、あらかじめ想定しているレンズ間隔をメモリしておく方法、あるいはあらかじめサンプリングすべきRFレベルをメモリしておき、レンズ間隔を変化させていって、メモリしていたRFレベルになったレンズ間隔をサンプリングしていく方法等がある。
【0067】
なお前述のようなRFレベルを評価の基準にした場合の例の他に、トラッキングエラーレベル、ジッターあるいはBER(ビットエラーレート)を評価の基準としても構わない。
【0068】
図8は、本実施形態で、球面収差補正のためのレンズ間隔決定までの具体的な手順の例を示す。制御手段である制御回路50は、光学式情報再生装置における各種記録再生動作を実現すべく、図示を省略しているメインルーチンに従った制御を行う。この際、かかるメインルーチンの実行中に、光ディスク40がこの光学式情報再生装置に装着されると、制御回路50は、図8に示されるが如き手順からなる球面収差補正サブルーチンの実行に移る。なお、制御回路50は、前述の4点のサンプリング位置でのレンズ間隔SP1〜SP4に対応するレンズ間隔信号SP(1)〜SP(4)を内蔵レジスタに格納しておく。
【0069】
まずステップS11で、制御回路50は、フォーカスサーボをオン状態にすべく、論理レベル”1”のフォーカスサーボスイッチ信号FSをサーボループスイッチ5に供給する。次のステップS12で、制御回路50は、トラッキングサーボをオフ状態にすべく、論理レベル”0”のトラッキングサーボスイッチ信号TSをサーボループスイッチ6に供給する。また、変数Nに1を格納して初期化する。
【0070】
ステップS13で、制御回路50は、内蔵レジスタに記憶されているレンズ間隔信号SP(N)を読出して、ビームエキスパンダ駆動アクチュエータ34に供給する。かかるステップS3の実行により、ビームエキスパンダ駆動アクチュエータ34は、ビームエキスパンダ35を、レンズ間隔がレンズ間隔信号SP(N)の値に応じた間隔になるように駆動する。これにより対物レンズ26に非平行光が入射し、レンズ間隔信号SP(N)に応じた球面収差が生じるので、球面収差の仮補正がなされることになる。
【0071】
次にステップS14で、制御回路50は、スピンドルモータ30から供給される回転信号RTに基づき、光ディスク40が1回転したか否かの判定を、この光ディスク40が1回転するまで繰り返し行う。次のステップS15で、制御回路50は、RF信号のレベルをRF(N)として取り込む。次のステップS16で、御回路50はNの値が”4”になっているか否かを判定する。このステップにてNが4でないと判定されるとき、ステップS16に進み、制御回路50はN=N+1として、ステップS13に戻り、内蔵レジスタに記憶されているレンズ間隔信号SP(N)を読出して球面収差の仮補正を行う。以下、ステップS13〜S17までの動作を繰り返し実行する。この間、一連の動作が実施される度にビームエキスパンダ35による球面収差補正が、そのレンズ間隔をたとえばレンズ間隔信号SP(1)からSP(4)までに対応させて、4回更新しつつ行われる。このとき補正量としてのレンズ間隔信号SP(1)、SP(2)、SP(3)、SP(4)の値は、そのときのRFレベルの変化が大きい領域の値が望ましい。たとえば最大レンズ間隔近傍値2点と最小レンズ間隔近傍値2点であり、最大レンズ間隔に対応する信号の大きさを16段階に分けた場合、SP(1)は1段階分、SP(2)は2段階分、SP(3)は15段階分、SP(4)は16段階分のレンズ間隔に相当させる。
【0072】
ステップS16でNの値が”4”になっていると判定されるとき、制御回路50は、ステップS18に進み、レンズ間隔信号SP(1)〜SP(4)に対応する4種類のレンズ間隔SP1〜SP4と、各レンズ間隔で取り込まれたRF信号のレベルRF1〜RF4のデータをサンプリングデータとして、近似曲線L2を演算し、その近似曲線L2における最大RF信号レベルRFMAXに対応する最適レンズ間隔SPBESTを求める。ステップS19で、制御回路50は、この最適レンズ間隔SPBESTを表す信号を最終的な球面収差補正を行うレンズ間隔信号として、ビームエキスパンダ駆動アクチュエータ34に供給する。すなわち、ステップS19の実行により、最適レンズ間隔SPBESTに対応するレンズ間隔を最終的なレンズ間隔とし、このレンズ間隔に応じた分だけ対物レンズ26に球面収差を持たせ、光ディスクの透過基板の厚さ誤差により発生する球面収差と相殺させ、最終的な球面収差補正をなすのである。ステップS19の終了後、制御回路50は、この球面収差補正サブルーチンを抜けてメインルーチンの実行に戻る。
【0073】
以上のルーチンにより、最適な球面収差補正量を短い探索時間にて正確に検出し、補正を行うことが可能となる。なお、図8に示される動作では、レンズ間隔信号SP(N)を4回調整するようにしているが、その調整回数は4回に限定されるものではない。また、本実施形態においては、RF信号の振幅レベルを用いて各種処理を実施しているが、このRF信号の振幅レベルに代わりトラッキングエラー信号振幅あるいはトラッキングサーボのサーボゲインを用いるようにしてもよい。
【0074】
また、図6においては、ビームエキスパンダ35の駆動レンズを凹レンズ33とし、小さい側のレンズを可動させる構造により、ビームエキスパンダ駆動アクチュエータ34の推力やサイズを比較的小さく構成することができる効果を得ている。可動させるレンズは、凸レンズ32側、あるいは両方でもかまわない。またビームエキスパンダ35は、凹レンズ33、凸レンズ32の順による拡大光学系としているが、凸レンズ32、凹レンズ33の順による縮小光学系でも構わない。
【0075】
また、光ピックアップ装置の波面収差(標準偏差)の許容値はλ/14であるが、波面収差を発生させる要因としては透過基板の厚さ誤差により発生する球面収差以外にもピックアップ20自体の光学部品がもつ波面収差、ディスクチルトによって発生する収差、光ディスク40の読取りにフォーカスサーボをかけたときに残留するフォーカスオフセットで発生するデフォーカス時の収差、それぞれの発生収差分を加味すると、本実施例における球面収差の許容量は35mλ程度とするのが望ましい。
【0076】
以下、その具体的実施例について説明する。対物レンズのNA(Numerical Aperture:開口数)を0.85、理想ディスクの透過基板厚さを0.1mm、ビームエキスパンダ35のビーム拡大率1.5倍とした場合で、基板厚さずれ、フォーカスオフセットがあった場合の発生する波面収差の計算結果を図9に示す。すなわち、横軸には基板厚さずれ(μm)、縦軸にはF(フォーカス)オフセット(μm)をそれぞれ取るときの波面収差を波長λを基準とするrms値で示す。図より、フォーカスオフセットを0とした場合の波面収差35mλ以下を許容できる厚さずれ量は、−3.5〜3μm程度となることが判る。
【0077】
図10は、以下に示す6種類の記録条件で記録したRFランダムデータを再生したときのRF最大信号振幅の変化を測定した結果で、横軸は再生時にビームエキスパンダ35で発生させた波面収差量を基板厚さずれ相当に換算しなおしたものを示す。サンプル間隔は、約1.5μmの基板厚さずれに相当する。(たとえばCG厚誤差1μm位置は、基板厚さが設計より1μm厚くなったときに発生するのと同等の波面収差をビームエキスパンダ35で発生させた状態で再生したときを表す。)
【0078】
記録条件
▲1▼収差なし・Fオフセットなし(B0F0)での最適記録パワー
▲2▼収差なし・Fオフセットなし(B0F0)での記録パワー+20%ずれ
▲3▼収差なし・Fオフセットなし(B0F0)での記録パワー−20%ずれ
▲4▼7μmの透過基板の厚さ誤差相当の収差・Fオフセット−0.1μm(B7F1)での最適記録パワー
▲5▼7μmの透過基板の厚さ誤差相当の収差・Fオフセット−0.1μm(B7F1)での記録パワー+20%ずれ
▲6▼7μmの透過基板の厚さ誤差相当の収差・Fオフセット−0.1μm(B7F1)での記録パワー−20%ずれ
【0079】
このとき、前記のとおり許容できる厚さずれ量−3.5〜3μmとし光ディスク40の個体差による厚みのばらつきを±2μmとした場合、光ピックアップ装置として許容できる球面収差は−1〜1.5μm相当の厚さずれ量に相当する。さらにビームエキスパンダ35の制御位置誤差として±0.5μm厚さずれ相当のマージンをとると、ビームエキスパンダ35の調整誤差の許容量は−1〜0.5μmとなる。
【0080】
このとき図に示すように上記6種類の記録条件のデータに対して、ピーク振幅を表すサンプル点の両側でピーク振幅より最初に3%以上振幅が落ちるサンプル点の中点を○プロット、ピーク振幅を表すサンプル点の両側でピーク振幅より最初に5%以上振幅が落ちるサンプル点の中点を△プロット、ピーク振幅を表すサンプル点の両側でピーク振幅より最初に10%以上振幅が落ちるサンプル点の中点を□プロットした場合、○プロットではビームエキスパンダ35の調整誤差の許容量−1〜0.5μmからはずれる場合もあるがそれ以外の△プロットと□プロットでは許容範囲に入っていることが判る。つまりサンプリングすべきRFレベルはピーク振幅の5%落ち以上とすることが望ましく、この場合再生データの記録条件にかかわらず、より正確にビームエキスパンダ35の調整が可能となる。
【0081】
次に図11に上記6種類の記録条件で記録したRFランダムデータをフォーカスオフセットが+0.14μm残留している状態で再生したときのRF最大信号振幅の変化を測定した結果を示す(フォーカスオフセット調整前にビームエキスパンダ間隔を調整することを想定)。同様にピーク振幅を表すサンプル点の両側でピーク振幅より最初に5%以上振幅が落ちるサンプル点の中点を△プロット、ピーク振幅を表すサンプル点の両側でピーク振幅より最初に10%以上振幅が落ちるサンプル点の中点を□プロットした場合、△プロットではビームエキスパンダ35の調整誤差の許容量−1〜0.5μmからはずれる場合もあるが、それ以外の□プロットでは許容範囲に入っていることが判る。つまりフォーカスオフセットが残留している状態では、サンプリングすべきRFレベルはピーク振幅の10%落ち以上とすることが望ましく、この場合再生データの記録条件にかかわらず、より正確にビームエキスパンダ35の調整が可能となる。
【0082】
以下、本発明の実施の第3形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図12は、本実施形態として、図6の実施形態と同様な構成の光ピックアップ装置において、光ピックアップ装置に球面収差が残った状態の場合、同装置のビームエキスパンダ35のレンズ間隔を変化させて球面収差を補正していくときのRFレベルの変化を示す。図12においても、図7と同様に、横軸に装置のもつ球面収差量、縦軸に情報信号のRFレベルをとる。球面収差が0の場合、RFレベルは最大となるが、その収差量が光学特性の評価基準値以下である領域では、RFレベルの変化量が極めて少なくなる。この評価基準値としてよく知られているのは、前述のように、レイリーリミット(波面収差の最大値がλ/4以下(λは光源波長))あるいはSD(シュトレールディフィニション)(波面収差の標準偏差がλ/14以下)であり、この場合集光ビームは、ほぼ理想ビームと判断することができる。
【0083】
本実施形態では、RFレベル最大時のレンズ間隔を検出するために、まずレンズ間隔を可動範囲内における設定最小位置近傍のレンズ間隔SP1まで送る。このときのRFレベルをPとすると、レンズ間隔を徐々に広げていくことにより、再びRFレベルがPとなるレンズ間隔SP2を検出する。レンズ間隔SP1とレンズ間隔SP2とは、前述のレイリーリミットでλ/4の領域の範囲外に採られることになり、レンズ間隔はλ/2以上となる。(SP1+SP2)/2のレンズ間隔を、最適収差補正時の最適レンズ間隔SPBESTとして決定する。この方法によれば、2点のサンプリング点の中点が最適レンズ間隔SPBESTとなって、演算回路が非常に単純になり、回路規模を小さくすることができる効果がある。
【0084】
また前述の方法では、レンズ間隔SP1をあらかじめ決めておいた既定値としている場合の例であるが、RFレベルPを既定値とし、RFレベルがPとなるレンズ間隔SP1とSP2とを検出する方法でもよい。この場合装置の個体差により、RFレベルの検出感度にばらつきがあっても正確にレンズ間隔を検出することができる。
【0085】
なおRFレベルを評価の基準にするばかりではなく、トラッキングエラーレベル、ジッターあるいはBER(ビットエラーレート)を評価の基準にするようにしても構わない。
【0086】
図13は、本実施形態で、レンズ間隔決定までの具体的な手順の例を示す。制御回路50は、光ピックアップ装置における各種記録再生動作を実現すべく、図示を省略しているメインルーチンに従った制御を行う。この際、かかるメインルーチンの実行中に、光ディスク40がこの光ピックアップ装置に装着されると、制御回路50は、図13示されるが如き手順からなり、ビームエキスパンダ35による球面収差補正サブルーチンの実行に移る。
【0087】
図13において、先ず、ステップS21で、制御回路50は、フォーカスサーボをオン状態にすべく、論理レベル”1”のフォーカスサーボスイッチ信号FSをサーボループスイッチ5に供給する。次にステップS22で、制御回路50は、トラッキングサーボをオフ状態にすべく、論理レベル”0”のトラッキングサーボスイッチ信号TSをサーボループスイッチ6に供給する。また、N=1と初期化する。
【0088】
ステップS23で、制御回路50は、ビームエキスパンダ駆動アクチュエータ34により、ビームエキスパンダ35のレンズ間隔がレンズ間隔信号SP(N)の値に応じた間隔になるように駆動信号を出力する。かかるステップS23の実行により、対物レンズ26に非平行光が入射し、レンズ間隔信号SP(N)に応じた球面収差が生じる。これによって、球面収差の仮補正がなされることになる。次のステップS24で、制御回路50は、スピンドルモータ30から供給された回転信号RTに基づき、光ディスク40が1回転したか否かの判定を、この光ディスク40が1回転するまで繰り返し行う。次のステップS25で、制御回路50は、RF信号のレベルをRF(N)として取り込む。次のステップS26で、制御回路50は、RF(N)の値が既定値Pになっているか否かを判定する。このステップにて、RF(N)がPでないと判定されるとき、ステップS27に進み、制御回路50はN=N+1として、ステップS23に戻る。ステップS23では、内蔵レジスタに記憶されているレンズ間隔信号SP(N)を読出してサンプリングを行う。以下、前述した如きステップS23〜S27までの動作を繰り返し実行する。
【0089】
ステップS26でRF(N)=Pと判定されるとステップS28に進み、制御回路50はRF(N)の値がはじめてPになっているか否かを判定する。ステップS28でRF(N)の値がはじめてPになっていると判定されたとき、ステップS29に進み、SP(N)のレンズ間隔をSP1として記憶するとともに、さらにステップS30で制御回路50はN=N+1として、内蔵レジスタに記憶されているレンズ間隔信号SP(N)を、ステップS23の実行に戻って読出し、前述した如きステップS23〜S27までの動作を繰り返し実行する。
【0090】
ステップS28でRF(N)の値が2回目にPになっていると判定されるとき、制御回路50は、ステップS31に進み、SP(N)のレンズ間隔をSP2として記憶する。次のステップS32では、最適レンズ間隔SPBEST=(SP1+SP2)/2を求める。そして、ステップS33で、制御回路50は、この最適レンズ間隔信号SPBESTを最終的な球面収差補正を行うレンズ間隔信号として、ビームエキスパンダ駆動アクチュエータ34に供給する。すなわち、ステップS33の実行により、最適レンズ間隔信号SPBESTに対応するレンズ間隔を最終的なレンズ間隔とし、このレンズ間隔に応じた分だけ対物レンズ26に球面収差をもたせ、光ディスクの透過基板の厚さの誤差により発生する球面収差と相殺させ、最終的な球面収差補正をなすのである。ステップS33の終了後、制御回路50は、この球面収差補正サブルーチンを抜けてメインルーチンの実行に戻る。以上のルーチンにより、最適な球面収差補正量を短い探索時間にて正確に検出し補正を行うことが可能となる。
【0091】
なお、図13に示される動作では、レンズ間隔信号SPを最小間隔から最大間隔の間で調整するようにしているが、その調整回数はたとえば16回というようにビームエキスパンダのレンズ間隔設定できる分解能内にて、最小間隔から最大間隔までを等分割しその回数以内にて探索するようにし、集光スポットのもつ球面収差量がP−V値で波長λの1/4以上、あるいは標準偏差が波長λの1/14以上となる範囲で、かつP−V値で波長λの1/2以上互いに離れる2つの領域から、SP1およびSP2を求めてもよい。この場合、探索回数が限られるため、その回数以内に球面収差補正サブルーチンを抜けられ、球面収差補正に要する時間を短縮することができる。
【0092】
また、本実施形態においては、RF信号の振幅レベルを用いて各種処理を実施しているが、このRF信号の振幅レベルに代わりトラッキングエラー信号振幅あるいはトラッキングサーボのサーボゲインを用いるようにしてもよい。
【0093】
さらに、前述の各実施形態では、図4、図7および図12に示すように、RF信号の振幅レベルのようにピークが生じる評価値で、そのピーク位置を最適な補正量に対応させているけれども、ボトムが生じる評価値を用いて、そのボトム位置を最適な補正量に対応させることもできる。
【0094】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、補正手段から発生させる球面収差の量がP−V値で波長λの1/4以上の範囲、あるいは標準偏差が波長λの1/14以上となる範囲であるため、これらの球面収差量に対応して得られるリファレンス信号として、レファレンス信号の評価値の変化が球面収差量の変化に対して感度の高い部分を利用することができる。
【0095】
したがって、各球面収差量に対応して得られるリファレンス信号の評価値を用いる数値演算によって計算される最適収差補正量は、ノイズ、外乱等の影響を受けることなく、単一の値の特定が可能となり、短時間でより正確な最適収差補正量での球面収差補正を行うことができる。
【0096】
また本発明によれば、実際のレファレンス信号の評価値ではピークあるいはボトムがはっきりしない場合でも、仮想的なピークあるいはボトムを一意に特定することができるため、最適収差補正量を一意に決定することができる。
【0097】
また本発明によれば、近似曲線が多項式近似曲線であるため、演算式は比較的簡単となり、演算回路規模あるいは演算用ソフトウエアを比較的小さいボリュームで実現することができる。
【0098】
また本発明によれば、球面収差補正手段は2つの異なる量の球面収差を発生させるとともに、各球面収差量は対応して得られるリファレンス信号の評価値がほぼ等しくなり、数値演算は2つの異なる量の球面収差の平均値演算であり、最適収差補正量は2つの異なる量の球面収差の平均値とすることによって、正確な最適収差補正量を検出することが可能となる。
【0099】
また本発明によれば、補正手段は第1の量の球面収差を発生させ、そのときに得られるリファレンス信号の評価値とほぼ等しくなる評価値が得られる第2の球面収差量を発生させ、数値演算として2つの球面収差量の平均値演算を行い、平均値として正確な最適収差補正量を検出することが可能となる。
【0100】
また本発明よれば、所望の球面収差量を機械的な動きなしに即座に発生できるため、差量を正確に管理することができる。
【0101】
また本発明によれば、補正手段であるビームエキスパンダは、ビーム光を光学記録媒体の記録面に照射するために用いるレンズとの相対位置ずれの影響が小さいため、光ピックアップ装置への組込み調整を比較的容易に行うことができる。
【0102】
また本発明によれば、補正手段かによる球面収差の補正は、照射光と反射光とに対して二重に行うことができ、各球面収差量で2倍の球面収差量に相当する補正を行うことができる。
【0103】
また本発明によれば、第1および第2の量の球面収差に対するレファレンス信号の評価値を、レファレンス信号のピーク振幅よりも5%以上小さくなるように発生させ、2つの球面収差に対応して得られる2つのレファレンス信号の評価値がほぼ等しくなるようにして、最適収差補正量を平均値演算によって計算し、正確な補正を行うことができる。
【0104】
また本発明によれば、第1および第2の量の球面収差に対するレファレンス信号の評価値を、レファレンス信号のピーク振幅よりも10%以上小さくなるように発生させ、2つの球面収差に対応して得られる2つのレファレンス信号の評価値がほぼ等しくなるようにして、最適収差補正量を精度よく計算して、正確な補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態としての光ピックアップ装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】図1の実施形態で、収差補正手段として用いる液晶パネル25の構造を示す平面図である。
【図3】図1の光検出器31の受光面の構造を示す図である。
【図4】図1の実施形態で、球面収差量とRFレベルとの関係を示すグラフであるである。
【図5】図1の実施形態で、球面収差補正サブルーチンの動作手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の第2形態としての光ピックアップ装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図7】図6の実施形態で、球面収差量とRFレベルとの関係を示すグラフである。
【図8】図6の実施形態で、収差補正手段としてのビームエキスパンダ35を用いる球面収差補正サブルーチンの動作手順を示すフローチャートである。
【図9】基板厚さずれとフォーカスオフセットとがある場合に発生する波面収差の計算結果を示すグラフである。
【図10】6種類の記録条件で記録したRFランダムデータを再生したときに、RF最大信号振幅の変化を測定した結果を示すグラフである。
【図11】6種類の記録条件で記録したRFランダムデータをフォーカスオフセットが+0.14μm残留している状態で再生したときに、RF最大信号振幅の変化を測定した結果を示すグラフである。
【図12】本発明の実施の第3形態で、球面収差量とRFレベルとの関係を示すグラフである。
【図13】図12の関係に基づいて、ビームエキスパンダ35を用いる球面収差補正サブルーチンの動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 フォーカスエラー生成回路
2 トラッキングエラー生成回路
3 RF信号生成回路
4 液晶ドライバ
5 フォーカスサーボスイッチ
6 トラッキングサーボスイッチ
7 減算器
10 RF信号復調回路
20 ピックアップ
21 レーザ発生素子
22 コリメートレンズ
23 ビームスプリッタ
24 λ/4板
25 液晶パネル
26 対物レンズ
27 フォーカシングトラッキングアクチュエータ
28 集光レンズ
29 シリンドリカルレンズ
30 スピンドルモータ
31 光検出器
32 凸レンズ
33 凹レンズ
34 ビームエキスパンダ駆動アクチュエータ
35 ビームエキスパンダ
40 光ディスク
50 制御回路
Claims (8)
- 集光されたビーム光を光学記録媒体の記録面に照射し、該記録面からの反射光量によって記録情報の読取りを行う際に、光学系に生じる球面収差を相殺する球面収差を発生させて補正する補正手段を具備する光ピックアップ装置において、
前記補正手段に光学記録媒体の記録面上での集光スポットのもつ球面収差がP−V値で波長λの1/4以上、あるいは標準偏差が波長λの1/14以上となる範囲の該2つ以上の異なる量で球面収差を発生させ、各球面収差量で補正する場合の反射光量を受光して得られるレファレンス信号の評価値に基づく数値演算で最適収差補正量を計算する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記補正手段に、前記2つ以上の異なる量の球面収差を、P−V値で波長λの1/2以上互いに離れる2つの領域で発生させることを特徴とする光ピックアップ装置。 - 前記制御手段は、前記補正手段に、4つ以上の異なる量で球面収差を発生させ、
前記数値演算で、前記4つ以上の異なる量で発生させる球面収差と、各球面収差に対する前記評価値とから近似曲線を計算し、該近似曲線のピークあるいはボトム位置を前記最適収差補正量とすることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。 - 前記近似曲線は、多項式近似曲線であることを特徴とする請求項2記載の光ピックアップ装置。
- 前記数値演算は、
前記補正手段に発生させた前記2つ以上の異なる量の球面収差のうち、P−V値で波長λの1/2以上離れ、かつ各球面収差に対する前記評価値がほぼ等しい2つの球面収差量についての平均値演算であり、
前記最適収差補正量として、該平均値演算によって得られる平均値を用いることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。 - 前記制御手段は、
前記補正手段に、第1の量の球面収差を発生させ、さらにそのときに得られるレファレンス信号の評価値とほぼ等しい評価値となるレファレンス信号が得られ、該第1の量の球面収差とP−V値で波長λの1/2以上離れる第2の球面収差を発生させ、
前記数値演算は、第1および第2の量の球面収差についての平均値演算であり、
前記最適収差補正量として、該平均値演算によって得られる平均値を用いることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。 - 前記補正手段は、
複屈折特性を有する液晶が充填された液晶層上に円環状の透明電極が形成されている液晶パネルと、
前記2以上の異なる量の球面収差に対応する電位を該透明電極に印加する液晶駆動回路とを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光ピックアップ装置。 - 前記補正手段は、1組のレンズを含むビームエキスパンダであり、該1組のレンズのレンズ間隔を変えることによって、前記球面収差を発生可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
- 前記補正手段は、前記光学記録媒体の記録面に照射されるビーム光と、該記録面からの反射光とが透過する光路に配置されることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
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