JP4037087B2 - 数値制御工作機械のねじ切り制御方法および制御装置とそれを組み込んだ数値制御工作機械 - Google Patents

数値制御工作機械のねじ切り制御方法および制御装置とそれを組み込んだ数値制御工作機械 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、少なくとも1つの主軸および少なくとも1つのねじ切り工具を装着できる刃物台を有する数値制御工作機械のねじ切り制御方法、およびそれを実施する制御装置とその制御装置を組み込んだ数値制御工作機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
NC旋盤やNCフライス盤等の数値制御工作機械において、円柱状の被加工材(ワーク)の外周面あるいは円筒状又は穴あきの被加工材の内周面にねじ加工(ねじ切り)を行う際には、図4に示すように、回転する被加工材30にねじ切り用の工具(刃物)40を接触させながら、その被加工材30の回転に同期してその軸線Aに平行なZ軸方向に工具40を移動させて行う。
しかし、工具40を軸線Aに沿う方向へ移動させるには、その工具40を取り付けた図示しない刃物台を軸線Aに沿う方向へ移動させるが、その駆動用モータの加減速に時間を要するため、工具40が停止状態から一定速度になるまでの時間および工具が一定速度から停止状態になるまでの時間は、ねじ31のピッチが不正になる部分(不完全ねじ部)31bができてしまう。
【0003】
この不完全ねじ部31bの発生は広く認知されており、実際の加工プログラムにおいて確保すべき不完全ねじ部の距離を計算で求めるのが一般的になっている。また数値制御装置の仕様としても、これら計算式が一般に公開されている。
近年、刃物の高剛性化や主軸の高回転化が進む中で、旋削による切削条件(回転数、送り速度)が向上している。本来、ねじ切りにおいても、被加工材を回転させる主軸を高回転にして、工具の送り速度を上げることによって切削時間を短くすることが望まれる。
【0004】
しかし、工具の送り速度を上げるとその分だけ加速に時間がかかり、主軸の回転速度に対して工具の送り速度が追従しなくなるため、図4に示した不完全ねじ部31bが長くなる。そのため、主軸の回転数を低くせざるを得ないのが現状である。また、工具の送り速度の加減速を向上させても、加減速時間を0にすることはできない。
【0005】
通常、ねじ切り加工は繰り返し切削動作を行う。ねじ山が高くなればなるほどその繰り返し回数は増える。したがって、既に切削したねじに対して再び刃物を接触させることになるが、被加工材の回転と位相すなわち回転角がずれないように制御する必要がある。
ところが、工具(刃物)が停止状態から一定速度になるまでの時間、および刃物が一定速度から停止状態になるまでの時間は、工具の送り速度が変化しているため、被加工材との位相を完全に合わせることができず、この場合ねじ山が潰れるなどの現象となり、やはり不完全ねじ部を生成してしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した理由により、ねじの切り始め部分においては、図5に示すように、ピッチが不正になる部分(不完全ねじ部)をアプローチDaとして確保する必要がある。このアプローチDaをとることは、加工をしていない時間が増えることになり、1部品あたりの加工時間が増えることにもなる。
また、加工する部品の形状や長さや切削室の大きさから、必要なアプローチを確保できない場合もある。
【0007】
ねじの切り上げ部分(切り終わり部分)は材料が存在するため、切り上げ距離を確保できないことが多い。この場合、出来上がったねじに不完全ねじ部が生じるだけでなく、工具40に余分な力がかかるため、工具40の寿命が短くなってしまう。
従来のモータの加速は、オーバーシュートなど副作用を発生しない限界まで調整されており、これ以上、単純に速度のみを上げることはできない。また加減速時間を0にすることは困難である。
【0008】
この発明は、このような従来のNC工作機械におけるねじ切り加工時の問題を改善するためになされたものであり、ねじ切り加工時には、ねじ切り用の工具を移動させるモータをねじ切り加工における最適な調整値で調整して動作制御できるようにして、加工速度を向上させ、ねじの切り始め部分のアプローチを短くし、ねじの切り上げ部分においても加工精度を向上させることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明による数値制御工作機械のねじ切り制御方法は、少なくとも1つの主軸および少なくとも1つのねじ切り工具を装着できる刃物台を有する数値制御工作機械のねじ切り制御方法であって、上記の目的を達成するため、次のようにすることを特徴とする。
上記数値制御工作機械によるねじ切り加工時に上記主軸および刃物台を駆動する各モータの最適な調整値を予め求めて、変数データのねじ切り用のファイルとして保存しておく。
そして、上記数値制御工作機械が加工プログラム実行中にねじ切り加工を行う際には、実行中のプログラムで上記各モータの調整に使用する変数データを、上記予め保存したねじ切り用のファイルの変数データに入れ換える。
【0010】
上記ねじ切り用のファイルの変数データは、ねじ切り以外の加工時に使用する変数データと比べて、少なくとも前記刃物台を駆動するモータの加減速時間を短くするか、それと共に応答性を高める変数データとする
上記数値制御工作機械が加工プログラム実行中にねじ切り加工を行うか否かの判別を、実行中の加工プログラムの指令の種別によって行うようにすることができる。
【0011】
また、この発明による数値制御工作機械の制御装置は、少なくとも1つの主軸および少なくとも1つのねじ切り工具を装着できる刃物台を有する数値制御工作機械の制御装置であって、上記の目的を達成するため、次の手段を設けたことを特徴とする。
すなわち、上記数値制御工作機械によるねじ切り加工時に上記主軸および刃物台を駆動する各モータの予め求められた最適な調整値を、変数データのねじ切り用のファイルとして保存する記憶手段と、
上記数値制御工作機械が加工プログラム実行中にねじ切り加工を行うか否かを判別するねじ切り判別手段と、
該手段がねじ切り加工を行うと判別したときには、前記予め保存したねじ切り用のファイルの変数データを読み出して、実行中のプログラムで上記各モータの調整に使用する変数データをその読み出した変数データと入れ換える手段とを設けたものである。
【0012】
そして、上記記憶手段が記憶するねじ切り用のファイルの変数データは、ねじ切り以外の加工時に使用する変数データと比べて、少なくとも上記刃物台を駆動するモータの加減速時間を短くするか、それとともに応答性を高める変数データとする
上記ねじ切り判別手段は、実行中の加工プログラムの指令の種別によってねじ切り加工を行うか否かを判別する手段であるとよい。
【0013】
この発明による数値制御工作機械は、上述した制御装置を組み込んで、ねじ切り加工時に主軸および刃物台を駆動する各モータが、ねじ切りに最適な動作状態に制御されるようにしたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1はこの発明の一実施形態である数値制御工作機械(以下「NC工作機械」という)の主として制御装置側の概略構成を示すブロック図であり、図2はその主として工作機械(例えば旋盤)側の要部構成を示す図である。
図1に示すNC工作機械の制御装置1は、数値制御装置であり、コントロールユニット2、入力部3、表示部4、外部記憶装置5、およびモータ制御部6によって構成されている。その他、この発明に直接関係しない部分の構成は図示および説明を省略している。コントロールユニット2は、CPU7とROM8およびRAM9とバス10からからなり、マイクロコンピュータを構成している。
【0015】
CPU7は各種の演算・処理機能を有する中央処理装置であり、ROM8に格納されている動作プログラムによって動作してこのコントロールユニット2および制御装置1の全体を統括制御し、RAM9に格納されたNCプログラムにしたがってモータ制御部6の各部を制御する。
ROM8はリードオンリ・メモリであり、CPUの動作プログラムおよび、この発明によるねじ切り加工時の制御に使用する各モータの調整値を示す変数データのファイル(その詳細は後述する)等の固定データを予め格納している。
RAM9は、ランダムアクセス・メモリであり、実行する加工プログラム(NCプログラム)やその実行中の加工プログラムで各モータの調整に使用する変数データ(その詳細は後述する)等を一時的に記憶するとともに、CPU7のワーキングメモリとしても使用される。
【0016】
入力部3と表示部4は、このNC工作機械の図示しない操作盤に設けられている。その入力部3は、このNC工作機械の各種の機能を選択したり必要な情報を入力したりするためのスイッチやボタン、および自動プログラミング装置やパーソナルコンピュータからNCプログラムを入力するためのインタフェースなども含んでいる。
表示部4は、CRTや液晶ディスプレイであり、このNC工作機械の操作に必要な各種の情報や入力情報および実際の加工状況などの情報を表示する。
外部記憶装置5は、ハードディスク装置やFDドライブ装置あるいはMOドライブ装置等の大容量の記憶媒体を用いる装置であり、予め種々の加工プログラム(NCプログラム)や前述したねじ切り加工を含む各条件毎の各モータの調整値を示す変数データのファイルを格納しておくこともできる。
【0017】
これらを接続するバス10は、データバスとコントロールバスとアドレスバスとによって構成されている。
モータ制御部6は、図1に実線で示すように、少なくとも1つの主軸回転制御部である第1主軸回転制御部11と、少なくとも1つの刃物台移動制御部である第1刃物台移動制御部12とを有し、それぞれ第1主軸回転駆動源(主軸モータ)21および第1刃物台駆動機構(モータ)22の駆動を制御する。すなわち、この制御装置1が制御する工作機械20は、少なくとも1つの主軸(スピンドル)と少なくとも1つのねじ切り工具を装着できる刃物台を有している。
【0018】
さらに、工作機械20が移動可能な背面主軸等の第2主軸を有する場合には、その第2主軸回転駆動源23を制御する第2主軸回転制御部13と、第2主軸駆動機構24を制御する第2主軸移動制御部14を、それぞれ図1におけるモータ制御部6に破線で示すように設ける。また、工作機械20の刃物台に回転工具を取り付けられる場合には、その回転工具回転駆動源25を制御する回転工具回転制御部15を、同じくモータ制御部6に破線で示すように設ける。
このモータ制御部6も、コントロールユニット2とバス10によって接続されている。
【0019】
図2は工作機械20側の最も単純な構成例を、モータ制御部6との間の信号の入出力関係と共に示している。
モータ制御部6の第1主軸回転制御部11によって制御される第1主軸回転駆動源21は、主軸(スピンドル)210を回転させる主軸モータであり、主軸210に設けられたチャック211によって保持する被加工材料(ワーク)30を高速で回転させる。その主軸モータ21には、回転検出器212が取り付けられており、主軸モータ21の主軸210が一定角度回転する毎にパルス信号を発生し、第1主軸回転制御部11へフィードバックする。この主軸モータ21及びチャック211を備えた主軸210は、図示を省略しているベッドに配設されている。
【0020】
第1刃物台駆動機構22は、刃物台(XZテーブル機構に保持されている)220をX軸方向(図では垂直方向)に移動させるためのX軸送りモータ221xと送りねじ222x、およびその刃物台をZ軸方向(図では水平方向)に移動させるためのZ軸送りモータ221zと送りねじ222z等によって構成されている。
そのX軸送りモータ221xには回転検出器223xが装着されており、Z軸送りモータ221zには、回転検出器223zが装着されている。
【0021】
モータ制御部6の第1刃物台移動制御部12は、図2に示すようにX軸送り制御部12xとZ軸送り制御部12zとを有している。そして、そのX軸送り制御部12xは、その出力制御信号によってX軸送りモータ221xの回転を制御し、回転検出器223xからの送りねじ222xの回転速度に比例する周波数のパルス信号をフィードバック信号として入力する。
一方、Z軸送り制御部12zは、その出力制御信号によってZ軸送りモータ221zの回転を制御し、回転検出器223zからの送りねじ222zの回転速度に比例する周波数のパルス信号をフィードバック信号として入力する。
【0022】
そして、この第1刃物台駆動機構22によって、刃物台220に取り付けた工具(刃物)40をX軸方向およびZ軸方向に移動させ、主軸210のチャック211に保持されて回転されるワーク30を加工する。
この例では、刃物台220に1つの工具40のみを取り付けているが、一般にターレット式刃物台を使用して、その周囲に放射状に多数の工具、例えば各種の外径削り用バイト、内径削り用バイト、ねじ切り用バイト、突切り用バイト、回転工具であるドリルなどを取り付け、それらのいずれかを任意に選択して使用できるようにしている。この実施形態においても、ターレット式刃物台を使用して、加工プログラムの実行中に工具を自動的に交換できるものとする。
【0023】
次に、このNC工作機械における制御装置1によるこの発明に係るねじ切り制御方法について説明する。
まず、この発明によるNC工作機械のねじ切り制御方法の概略を箇条書きにして説明する。
1)ねじ切り加工時においては、刃物台移動用モータの加減速時間を短くするような設定にする。
2)ねじ切り加工時においては、刃物台移動用モータの加減速の間においても、被加工材の回転と同期できるように設定する。
3)ねじ切り加工時においては、少なくとも上記1)の設定データを使用するために、通常の切削加工時と調整用の変数データを入れ換えて使用できるようにする。
4)そのために、ねじ切り専用の変数データ(パラメータ)を別に持つようにする。
【0024】
ねじ切りという切削の条件に特化してモータの調整を行い、その設定値をねじ切り加工時に使用すれば、現状の不完全ねじ部に対して改善を加えることができる。但し、この設定で全ての加工を行うことは振動や発熱といった弊害を生じることになる。その理由は、速度の変化に対して敏速に反応する(レスポンスを上げる)ために、アイドル状態でも常に高い電流を流すなどの制御をするためである。
【0025】
次に、図1および図2によって説明したNC工作機械にこの発明によるねじ切り制御方法を実施する場合の例を、具体的に説明する。
まず、このNC工作機械によるねじ切りの加工は、図2に示した刃物台220の工具40としてねじ切り用工具(刃物)を選択して、主軸210によって回転される被加工材30の外周面にねじ切りを行うものとする。
そのねじ切り加工時に、主軸210を回転させる主軸モータ21と、刃物台220をX軸方向およびZ軸方向へ駆動するX軸送りモータ221xとZ軸送りモータ221zの最適な調整値を計算あるいは実測によって求め、その各調整値を変数データのファイルとして、例えばファイルSA−7,ファイルTA−7とそれぞれファイル名を付けて、図1に示したコントロールユニット2内のROM8、あるいは外部記憶装置5に記憶させて保存しておく。
【0026】
なお、コントロールユニット2内のRAM9には、加工プログラム実行中にCPU7によって使用され、各モータの動作を直接左右する調整データが格納されている領域(変数データ領域)は1つだけであり、通常はそこに従来のNC工作機械の制御装置と同様に、加工条件および使用条件のどれを優先するかによって決定された標準の調整データ(変数データ)が格納されている。
表1は、その標準の変数データの例を示し、このデータも書き換えられ後、再び書き戻せるように、例えばファイルSA−0,ファイルTA−0とそれぞれファイル名を付けて、前述のROM8あるいは外部記憶装置5に記憶させて保存しておく。
表2は、ねじ切り加工用のファイルSA−7,ファイルTA−7の変数データの例を示す。
これらの表において、主軸の1軸目は主軸モータ21、刃物台の1軸目はX軸送りモータ221x、2軸目はZ軸送りモータ221zに対する各データである。
【0027】
【表1】
Figure 0004037087
【0028】
【表2】
Figure 0004037087
【0029】
ここで変数データとは以下のようなものを言う。
○最大速度(早送り速度):モータを回転させて軸移動させる際の速度の最大値であり、単位はmm/sec
○加減速時間(時定数):モータを停止状態から最大速度までの加速に要する時間であり、単位はmsec(ミリ秒)
応答性(ゲイン):モータの回転開始時の追従力や反力に対する応答力などの増加量であり、相対比例値である。
補正(ロストモーション補正など):特殊な条件下で見られる傾向を補う機能であり、相対比例値である。
【0030】
表2に示すねじ切り加工用の変数データは、表1に示す標準の変数データと比べて、特に刃物台駆動用の各モータの加減速時間をかなり短くし、応答性も大幅に高くしている。
ねじ切り加工時には、このねじ切り加工用の変数データを、図1に示したCPU7が、ROM8あるいは外部記憶装置5から読み出して、RAM9内の変数データを入れ換える(書き換える)。
変数データを入れ換える方法に複数の方法があり、変数データ入れ換え方法の選択を表示部4の画面によって行う。
【0031】
図3に表示部4によるその変数データ入れ換え方法の選択画面の一例を示す。この例では、画面の中から[自動],[プログラム指令],[操作]のいずれか一つを選択することができる。
ここで「自動」とは、加工プログラムの指令やモータの状態に応じて変数データの入れ換えを自動的に行う方法である。
「プログラム指令」とは、加工プログラムの中で変数データの入れ換えを指示する指令を与える方法である。
【0032】
「操作」とは、機械操作時に変数データの入れ換えを指示する操作を行う方法である。
選択した入れ換え方法に従って、ねじ切り加工を行うか否かを判別しながら、ねじ切り用あるいは標準のファイルの調整データ(変数データ)を選び、RAM9に格納されている変数データを入れ換える。なお、ねじ切り以外の加工条件や使用条件、あるいはその組み合わせに対する変数データもファイル名を付けて保存し、必要に応じてその変数データを読み出して、RAM9に格納されている変数データを入れ換えるようにしてもよい。
【0033】
さらに、刃物台220のZ軸送りモータ221zの加減速の間においても、被加工材料30の回転と同期できるように、Z軸送りモータ221zの起動時から工具40のZ軸方向への送り速度が一定になるまで、主軸モータ21の回転を下げて、Z軸送りモータ221zと同期させてその回転数を上げるように制御するとなおよい
【0034】
[加工プログラムによる変数データ入れ換えの例]
ここで、図3に示した選択画面で「プログラム指令」を選択した場合の、加工プログラムによる変数データの入れ換え方法の具体例を説明する。
この例では、図2に示した刃物台220がターレット式刃物台で、そのT04位置にねじ切り用工具が取り付けられているものとする。
【0035】
加工プログラム(NCプログラム)
M3 S1=5000
T0400
M107
X13.0
G92 X11.5 Z−80 F0.7
X11.1
X10.96
X10.96
G0 X13.0
【0036】
この加工プログラムの実行中に、ツール指令のTコードであるT0400が図1におけるCPU7に読み込まれると、ターレット式刃物台を回転させてねじ切り工具を選択し、次の補助指令のMコードであるM107を読み込むと、ファイルSA−7とファイルTA−7のねじ切り加工用の変数データをROM8から読み出し、RAM9に格納されている変数データを入れ換える。
この例では、MコードのM107の最後の数値「7」は、ファイル名の数値を示しており、CPU7はこれによってファイルSA−7とファイルTA−7のねじ切り加工と判別して、その各ファイルの変数データをROM8から読み出して、RAM9の変数データを入れ換える。
したがって、その後に開始される旋削加工中は、表2に示した「ねじ切り」の変数データに基づいて、各モータの調整がなされる。
【0037】
このねじ切り加工が終了し、次のツール指令のTコードでねじ切り用工具以外の工具を選択すると、次の補助指令のMコードで、CPU7がファイルSA−0とファイルTA−0の標準ファイルの変数データをROM8から読み出し、RAM9に格納されている変数データを入れ換える(元のデータに戻す)。
なお、この例では加工プログラム中の補助指令のMコードによって、ねじ切り加工の判別およびそのファイルの変数データの読み出しと入れ換えを行うようにしたが、ツール指令のTコードによってもねじ切り加工を行うことを判別できるので、このTコードによってCPU7がRAM9の変数データの入れ換えを行うようにしてもよい。
【0038】
このねじ切り制御方法によれば、図5に示したねじ切りのアプローチDaを短くして、ねじ切り加工の作業効率を高めることができる。また、図4に示した従来のねじ切り加工による不完全ねじ部31bの長さは、主軸の回転数によっても異なるが、主軸の回転数を5000rpmにしてねじ切り加工をした場合、7〜8ピッチとなっていた。それが、この発明のねじ切り制御方法を実施することによって、不完全ねじ部を2〜3ピッチに減らすことができる。
【0039】
この発明による数値制御工作機械の制御装置においては、図1におけるROM8あるいは外部記憶装置5が、このNC工作機械によるねじ切り加工時に主軸および刃物台を駆動する各モータの予め求められた最適な調整値を、変数データのねじ切り用のファイルとして保存する記憶手段である。
また、CPU7が、このNC工作機械が加工プログラム実行中にねじ切り加工を行うか否かを判別するねじ切り判別手段の機能と、該手段がねじ切り加工を行うと判別したときには、上記予め保存したねじ切り用のファイルの変数データを読み出して、実行中のプログラムで上記各モータの調整に使用する変数データをその読み出した変数データと入れ換える手段の機能とを果している。
【0040】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明によれば、数値制御工作機械におけるねじ切り加工時に、各軸を駆動する各モータに対してねじ切り加工に最適な調整を行い、その調整値を元に動作制御することができるので、加工速度を向上させることができる。しかも、ねじの切り始めの部分のアプローチを短くし、ねじの切り上げ部分においても加工精度を向上させることができる。振動や熱の発生を抑え、工具(刃物)の寿命を延ばすこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態である数値制御工作機械の主として制御装置側の概略構成を示すブロック図である。
【図2】同じくその主として工作機械側の要部構成を示す図である。
【図3】図1における表示部4による変数データ入れ換え方法の選択画面の一例を示す図である。
【図4】従来のNC工作機械によるねじ切り加工によって不完全ねじ部が生じることの説明図に供する図である。
【図5】不完全ねじ部が生じないようにアプローチをとることの説明に供する図である。
【符号の説明】
1:制御装置 2:コントロールユニット
3:入力部 4:表示部
5:外部記憶装置 6:モータ制御部
7:CPU 8:ROM 9:RAM
10:バス 11:第1主軸回転制御部
12:第1刃物台移動制御部 20:工作機械
21:第1主軸回転駆動源(主軸モータ)
22:第1刃物台駆動機構
30:被加工材(ワーク)
40:工具(ねじ切り用工具)
210:主軸 220:刃物台
221x:X軸送りモータ
221z:Z軸送りモータ

Claims (7)

  1. 少なくとも1つの主軸および少なくとも1つのねじ切り工具を装着できる刃物台を有する数値制御工作機械のねじ切り制御方法であって、
    前記数値制御工作機械によるねじ切り加工時に前記主軸および刃物台を駆動する各モータの最適な調整値を予め求めて、変数データのねじ切り用のファイルとして保存しておき、
    前記数値制御工作機械が加工プログラム実行中にねじ切り加工を行う際には、実行中のプログラムで前記各モータの調整に使用する変数データを、前記予め保存したねじ切り用のファイルの変数データに入れ換え、
    前記ねじ切り用のファイルの変数データは、ねじ切り以外の加工時に使用する変数データと比べて、少なくとも前記刃物台を駆動するモータの加減速時間を短くする変数データであることを特徴とする数値制御工作機械のねじ切り制御方法。
  2. 前記ねじ切り用のファイルの変数データは、ねじ切り以外の加工時に使用する変数データと比べて、少なくとも前記刃物台を駆動するモータの加減速時間を短くすると共に応答性を高める変数データであることを特徴とする請求項1記載のねじ切り制御方法。
  3. 前記数値制御工作機械が加工プログラム実行中にねじ切り加工を行うか否かの判別を、実行中の加工プログラムの指令の種別によって行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の数値制御工作機械のねじ切り制御方法。
  4. 少なくとも1つの主軸および少なくとも1つのねじ切り工具を装着できる刃物台を有する数値制御工作機械の制御装置であって、
    前記数値制御工作機械によるねじ切り加工時に前記主軸および刃物台を駆動する各モータの予め求められた最適な調整値を、変数データのねじ切り用のファイルとして保存する記憶手段と、
    前記数値制御工作機械が加工プログラム実行中にねじ切り加工を行うか否かを判別するねじ切り判別手段と、
    該手段がねじ切り加工を行うと判別したときには、前記予め保存したねじ切り用のファイルの変数データを読み出して、実行中のプログラムで前記各モータの調整に使用する変数データをその読み出した変数データと入れ換える手段と
    を設け、前記記憶手段が記憶する前記ねじ切り用のファイルの変数データが、ねじ切り以外の加工時に使用する変数データと比べて、少なくとも前記刃物台を駆動するモータの加減速時間を短くする変数データであることを特徴とする数値制御工作機械の制御装置。
  5. 前記記憶手段が記憶する前記ねじ切り用のファイルの変数データが、ねじ切り以外の加工時に使用する変数データと比べて、少なくとも前記刃物台を駆動するモータの加減速時間を短くすると共に応答性を高める変数データであることを特徴とする請求項記載の数値制御工作機械の制御装置。
  6. 前記ねじ切り判別手段は、実行中の加工プログラムの指令の種別によってねじ切り加工を行うか否かを判別する手段であることを特徴とする請求項4又は5に記載の数値制御工作機械の制御装置。
  7. 請求項乃至のいずれか一項に記載の制御装置を組み込んだことを特徴とする数値制御工作機械。
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