JP4036712B2 - 非破壊検査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、非破壊検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造では、半導体ウェーハ上に複数のダイ(チップ)を形成した後、ウェーハ検査が行われる。ウェーハ検査には、非破壊検査装置が用いられる。非破壊検査装置の一例として、走査型SQUID顕微鏡が知られている。SQUID顕微鏡は、試料の表面にレーザスポット光を照射し、それによって誘起された磁場の強度をSQUID磁束計(超伝導量子干渉磁束計)で検出する。磁場強度の分布は、SQUID磁束計の出力信号を用いて画像化される。この画像を観察することにより、ウェーハを検査できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
走査型SQUID顕微鏡を半導体ウェーハのスクリーニングに使用した場合、検査の分解能を高めるほど、スループットが低下する。場合によっては、一枚のウェーハを観察するのに、数日を要することすらある。また、ウェーハを載せたステージを走査してスポット光の照射位置を変える場合、ステージ走査の速度が検査速度を決定することがある。この場合、分解能を下げてもスループットを思うように高めることができない。また、レーザ光の光源を変調させてロックイン検出をする場合には、SQUID磁束計の応答速度との兼ね合いで、ステージ走査の速度が更に制限される。これは、スループットの向上を妨げる。
【0004】
そこで、この発明は、検査のスループットを高めることの可能な非破壊検査装置の提供を課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る非破壊検査装置は、所定の構造を有する試料にレーザ光を照射する照射手段と、試料上におけるレーザ光の照射位置を移動させて試料を走査する走査手段と、試料の走査によって発生する磁場の強度を検出し、磁場分布データを取得する磁場検出手段と、を備えている。この装置は、磁場分布データに基づいて前記構造の欠陥を検出する。この構造は、半導体デバイスパターンであってもよい。この発明の非破壊検査装置は、減算手段、比較手段、および判定手段をさらに備えている。減算手段は、磁場分布データおよび所定の標準分布データの一方から他方を減算して差分データを生成する。標準分布データは、欠陥のない正常試料についてあらかじめ取得した磁場分布データであってもよい。比較手段は、差分データを正の第1しきい値および負の第2しきい値と比較する。判定手段は、レーザ光の一つの照射位置に対応する差分データが第1しきい値以上のとき、その照射位置に第1の種類の欠陥が存在すると判定する。また、判定手段は、レーザ光の一つの照射位置に対応する差分データが第2しきい値以下のとき、その照射位置に第2の種類の欠陥が存在すると判定する。試料に照射されるレーザ光は、長辺および短辺を有するスリット状の光、または、実質的に同一の大きさを有する複数のスポット光が一列に配列されてなるスポット列である。
【0006】
スリット光またはスポット列は、単独のスポット光よりも大きな照射面積を有する。したがって、検査のスループットが高まる。スリット光の長辺の長さ、またはスポット列の長手方向の長さを変えれば、スループットと分解能が変化する。このため、走査手段によるスリット光またはスポット列の照射位置の移動速度にかかわらず、スループットと分解能を調整できる。
【0008】
この発明に係る非破壊検査装置は、上述した、照射手段、走査手段及び磁場検出手段を備え、上記磁場分布データに基づいて、試料において同一の形状を有する複数の領域の各々について、その領域に設けられた所定の構造の欠陥を検出するものであって、減算手段、比較手段、および判定手段を備えるものとすることもできる。減算手段は、第1の領域の磁場分布データから第2の領域の磁場分布データを減算して第1の差分データを生成する。また、減算手段は、第2の領域の磁場分布データから第3の領域の磁場分布データを減算して第2の差分データを生成する。比較手段は、第1差分データを正の第1しきい値および負の第2しきい値と比較する。また、比較手段は、第2差分データをその第1および第2しきい値と比較する。判定手段は、この比較の結果に応じて、第2領域における欠陥の有無を判定する。判定手段は、第1、第2および第3領域の共通の座標において第1差分データが第2しきい値以下かつ第2差分データが前記第1しきい値以上のとき、第2領域中の当該座標に第1の種類の欠陥が存在すると判定する。また、判定手段は、第1、第2および第3領域の共通の座標において第1差分データが第1しきい値以上かつ第2差分データが第2しきい値以下のとき、第2領域中の当該座標に第2の種類の欠陥が存在すると判定する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0010】
(実施形態1)
図1は、この実施形態に係る非破壊検査装置1の構成を示す概略図である。装置1は、走査型レーザSQUID顕微鏡である。装置1は、試料として、半導体ウェーハ5を検査する。
【0011】
図2は、半導体ウェーハ5の表面を示す平面図である。ウェーハ5は、複数のダイ52を有している。これらのダイ52は、ウェーハ5の表面上で2次元的に配列されている。各ダイ52には、所定の構造が形成されている。この構造は、半導体デバイスパターンである。これらのダイ52は、すべて同じデバイスパターンを有することを予定されている。非破壊検査装置1は、各ダイ52のデバイスパターンにおける欠陥の有無を検査する。
【0012】
再び、図1を参照する。非破壊検査装置1は、IRレーザ光源10、照射光学系12、XYθステージ14、SQUID磁束計16、および制御・画像処理装置18を有している。IRレーザ光源10は、照射光学系12に光学的に結合されている。IRレーザ光源10、XYθステージ14およびSQUID磁束計16は、制御・画像処理装置18に電気的に接続されている。装置1は、フォトダイオード11、ステージコントローラ17、SQUIDコントローラ19、および表示装置20をさらに有している。フォトダイオード11は、照射光学系12に光学的に結合されている。フォトダイオード11、ステージコントローラ17、SQUIDコントローラ19および表示装置20は、制御・画像処理装置18に電気的に接続されている。
【0013】
装置1によるウェーハ5の検査の際、ウェーハ5は、XYθステージ14上に載置される。XYθステージ14の上面には、チャック15が設置されている。チャック15は、ウェーハ5の裏面のエッジ部分を吸着してウェーハ5を保持する。この実施形態では、チャック15は透明であり、IRレーザ光源10から発する赤外レーザ光を透過させる。
【0014】
なお、透明チャックの代わりに、環状のチャックを使用してもよい。環状チャックも、透明チャックと同様に、ウェーハ5の裏面5bのエッジ部分を吸着してウェーハ5を保持する。IRレーザ光源10からのレーザ光は、環状チャックの中央開口部を通過してウェーハ5に照射される。このため、環状チャックは、透明でなくてもよい。
【0015】
IRレーザ光源10は、赤外レーザ光を発する発光素子である。IRレーザ光源10には、光ファイバ40の一端が光学的に接続されている。光ファイバ40の他端は、照射光学系12に光学的に接続されている。IRレーザ光源10から発したレーザ光は、光ファイバ40に入射し、光ファイバ40によって伝搬され、照射光学系12に入射する。
【0016】
フォトダイオード11は、ウェーハ5で反射され、照射光学系12から出射する赤外レーザ光を受光する。フォトダイオード11は、受光した赤外レーザ光の強度に応じた出力信号を生成する。この出力信号は、制御・画像処理装置18に送られる。フォトダイオード11には、光ファイバ41の一端が光学的に接続されている。光ファイバ41の他端は、照射光学系12に光学的に接続されている。照射光学系12から光ファイバ41に入射するレーザ光は、光ファイバ41によって伝搬され、フォトダイオード11に入射する。
【0017】
照射光学系12は、IRレーザ光源10から赤外レーザ光を受け取り、その赤外レーザ光からスリット状の光を形成して、ウェーハ5へ照射する。照射光学系12は、XYθステージ14の下方に配置されている。照射光学系12から出射するレーザ光は、XYθステージ14の開口部を通ってチャック15に入射する。レーザ光は、チャック15を透過して、ウェーハ5に到達する。こうして、ウェーハ5の裏面側からレーザ光が照射される。
【0018】
XYθステージ14は、ウェーハ5の表面と実質的に平行な平面内で、ウェーハ5およびチャック15を平行移動および回転させることができる。XYθステージ14は、ウェーハ5およびチャック15をX方向に沿って平行移動させることができる。また、XYθステージ14は、X方向と直交するY方向に沿ってウェーハ5およびチャック15を平行移動させることもできる。さらに、XYθステージ14は、XY平面に垂直なZ軸の周りにウェーハ5およびチャック15を回転させることができる。XYθステージ14は、照射光学系12から出射するレーザ光に対して相対的にウェーハ5を移動させることができる。したがって、XYθステージ14の駆動により、ウェーハ5におけるレーザ光の照射位置を変えることができる。
【0019】
XYθステージ14は、ステージコントローラ17を介して制御・画像処理装置18に電気的に接続されている。ステージコントローラ17は、制御・画像処理装置18からステージ駆動命令を受け取る。このステージ駆動命令は、ステージ14の移動方向および移動量をステージコントローラ17に指示する。ステージコントローラ17は、ステージ駆動命令に応答してステージ駆動信号を生成し、このステージ駆動信号をXYθステージ14に送る。XYθステージ14は、このステージ駆動信号に応答して駆動する。この結果、XYθステージ14は、制御・画像処理装置18が指示する移動方向および移動量だけウェーハ5を移動させる。
【0020】
SQUID磁束計16は、ウェーハ5の上方に配置されている。SQUID磁束計16は、ウェーハ5へのレーザ光照射によって発生する磁場を検出する。赤外レーザ光がウェーハ5に照射されると、熱起電力または光起電力が発生する。この熱起電力または光起電力は、ウェーハ5内に電流を生じさせる。この電流によって、磁場が誘起される。SQUID磁束計16は、この誘起磁場を検出する。SQUID磁束計16は、検出した磁場の強度に応じた出力電圧信号(計測磁場信号)を生成する。この信号は、SQUIDコントローラ19を介して制御・画像処理装置18へ送られる。
【0021】
SQUID磁束計16は、SQUIDコントローラ19を介して、制御・画像処理装置18に電気的に接続されている。SQUIDコントローラ19は、制御・画像処理装置18からの命令にしたがって、SQUID磁束計16を作動させ、またはSQUID磁束計16の動作を停止させる。SQUIDコントローラ19は、制御・画像処理装置18からSQUID作動命令を受け取ると、SQUID磁束計16に作動電力を供給する。これによりSQUID磁束計16が作動し、磁場が検出される。SQUIDコントローラ19は、制御・画像処理装置18からSQUID停止命令を受け取ると、SQUID磁束計16への作動電力の供給を停止する。これにより、SQUID磁束計16は、その動作を停止する。
【0022】
制御・画像処理装置18は、IRレーザ光源10、XYθステージ14、およびSQUID磁束計16の動作を制御する。制御・画像処理装置18は、照射光学系12内に配置された光スキャナ122の動作も制御する。光スキャナについては、後で詳しく説明する。
【0023】
制御・画像処理装置18は、ウェーハ5へのレーザ光照射によって誘起された磁場の分布を画像化することができる。制御・画像処理装置18は、ウェーハ5上におけるレーザ光の照射位置をピクセル位置に対応付ける。制御・画像処理装置18は、ウェーハ5上のある位置にレーザ光を照射したときの計測磁場信号レベルを、その照射位置に対応付けられたピクセルの輝度に変換する。これにより、ウェーハ5へのレーザ光照射によって誘起された磁場の画像データが得られる。以下では、この画像を「SQUID画像」と呼ぶことにする。SQUID画像データは、磁場の分布を示す磁場分布データでもある。SQUID画像データは、画像信号の形で処理されることがある。制御・画像処理装置18は、ダイ52の各々についてSQUID画像データを算出する。
【0024】
制御・画像処理装置18は、SQUID画像データを用いて各ダイ52内の欠陥の有無を判定する。制御・画像処理装置18は、ダイ52内に欠陥が存在すると判定すると、その欠陥の位置を示す画像データを生成する。制御・画像処理装置18は、フォトダイオード11の出力信号を受け取る。この出力信号は、ダイ52の反射画像を表す。制御・画像処理装置18は、必要に応じて、ダイ52の反射画像に欠陥位置を重ねた画像データを生成する。制御・画像処理装置18は、生成した画像データを表示装置20に送る。
【0025】
表示装置20は、制御・画像処理装置18から画像データを受け取る。表示装置20は、この画像データにしたがって画像を画面上に表示する。
【0026】
次に、図1および図3を参照しながら、照射光学系12の構成を詳しく説明する、ここで、図3は、照射光学系12の構成を示す斜視図である。照射光学系12は、IRレーザ光源10からレーザ光を受光し、そのレーザ光からスリット状のレーザ光45を形成する。
【0027】
照射光学系12は、第1の光学系120、光スキャナ122、第2の光学系124、および対物レンズ126を有している。第1の光学系120は、コリメータレンズ120a、集光レンズ120b、ビームスプリッタ120c、および平凸型のシリンドリカルレンズ120dから構成されている。第2の光学系124は、ミラー124aおよびズーム式瞳投影レンズ124bから構成されている。
【0028】
コリメータレンズ120aには、光ファイバ40の一端が光学的に接続されている。したがって、コリメータレンズ120aは、光ファイバ40を介してIRレーザ光源10に光学的に接続されている。光源10からのレーザ光は、光ファイバ40から出射すると、コリメータレンズ120aに入射する。コリメータレンズ120aは、そのレーザ光を平行ビームに変換し、ビームスプリッタ120cに送る。ビームスプリッタ120cは、その平行レーザビームを反射して、シリンドリカルレンズ120dに送る。シリンドリカルレンズ120dは、その母線と垂直な面内でレーザビームを収束させる。シリンドリカルレンズ120dを透過したレーザビームは、光スキャナ122に向かう。
【0029】
光スキャナ122は、レーザビームを反射して、ミラー124aに送る。この反射角度は可変である。反射角度を連続的に変化させると、レーザビームが連続的に移動する。これが、レーザビームの走査である。光スキャナ122は、制御・画像処理装置18に電気的に接続されている。制御・画像処理装置18は、光スキャナ122に駆動信号を送って光スキャナを作動させる。制御・画像処理装置18は、光スキャナ122によるレーザビームの反射角度を制御でき、したがってレーザビームの移動(走査)を制御できる。
【0030】
ミラー124aは、光スキャナ122から送られるレーザビームを反射して瞳投影レンズ124bに送る。レーザビームは、瞳投影レンズ124bを透過して対物レンズ126に入射する。
【0031】
照射光学系12では、シリンドリカルレンズ120dの屈折作用により、スリット光45が形成される。このスリット光45は、対物レンズ126によってウェーハ5上に縮小投影される。
【0032】
図4は、ウェーハ5上に照射されたスリット光45を示す概略平面図である。スリット光45は、長辺および短辺を有する方形の光である。長辺の長さは、ズーム式瞳投影レンズ124bのズーム比を変えることで調整できる。
【0033】
装置1は、ウェーハ5の検査の際、ウェーハ5上におけるスリット光45の照射位置を移動させてウェーハ5を走査する。照射位置の移動方向(走査方向)および移動経路は、図4において、矢印60および線62によってそれぞれ示されている。照射位置は、図4において矢印60で示されるように、スリット光45の短辺に沿った方向に移動させられる。照射位置は、短辺方向に沿ってウェーハ5の一端から他端まで移動すると、スリット光の45の長辺方向に沿って平行移動させられる。この後、照射位置は、再び、短辺方向に沿って移動させられる。このように、スリット光45の照射位置は、スリット光45の短辺方向および長辺方向に交互に繰り返し移動させられる。これにより、ウェーハ5の全体にスリット光45が照射され、すべてのダイ52が走査される。
【0034】
スリット光45の照射位置の移動は、光スキャナ122によるレーザビームの走査およびXYθステージ14の駆動によって実行される。この実施形態では、スリット光45の短辺方向はXYθステージ14のX軸方向に等しく、スリット光45の長辺方向はXYθステージ14のY軸方向に等しい。光スキャナ122によるレーザビームの走査は、照射位置をスリット光45の短辺方向に沿って移動させる。一方、XYθステージ14は、ウェーハ5をY軸方向に沿って移動させる。これにより、照射位置は、スリット光45の長辺方向に沿って移動する。
【0035】
スリット光45の一部は、ウェーハ5によって反射される。この反射光は、スリット光45の照射経路を逆向きにたどり、ビームスプリッタ120cに到達する。反射光の一部は、ビームスプリッタ120cを透過して、集光レンズ120bに入射する。反射光は、集光レンズ120bによって集光され、光ファイバ41に送られる。反射光は、光ファイバ41によってフォトダイオード11まで伝送される。フォトダイオード11は、この反射光を検出し、反射光の強度に応じた出力信号を生成する。
【0036】
フォトダイオード11の出力信号は、制御・画像処理装置18に送られる。スリット光45の照射位置はウェーハ5の全体にスリット光45が照射されるように移動するから、フォトダイオード11の出力信号は、ウェーハ5の全体にわたる反射光の強度分布を示す。制御・画像処理装置18は、フォトダイオード11の出力信号に基づいて、ウェーハ5の反射画像データを生成する。
【0037】
以下では、非破壊検査装置1による検査処理を説明する。検査の際、IRレーザ光源10は赤外レーザ光を発し、照射光学系12はその赤外レーザ光をウェーハ5に照射する。赤外レーザ光の照射により、ウェーハ5内に熱起電力または光起電力が発生する。この起電力によってウェーハ5内に電流が流れる。この電流によって磁場が誘起される。この磁場は、SQUID磁束計16によって検出される。検査処理の間、SQUID磁束計16にはSQUIDコントローラ19から作動電力が供給される。磁場の検出は、ウェーハ5上におけるスリット光45の照射位置を移動させながら行われる。これにより、ウェーハ5上のすべてのダイ52にスリット光45が照射され、誘起磁場が検出される。制御・画像処理装置18は、SQUID磁束計16からSQUIDコントローラ19を介して計測磁場信号を受け取る。制御・画像処理装置18は、この計測磁場信号を用いて、各ダイ52のSQUID画像データを生成する。
【0038】
SQUID磁束計16によって検出される磁場は、ダイ52に含まれるデバイスの構造に応じて変化する。また、検出される磁場には、レーザビームの照射によって誘起された磁場のほかに、外部磁場がバックグラウンドノイズとして含まれることがある。このため、ダイ52のSQUID画像を単独で観察しても、欠陥を精度良く検出することは難しい。そこで、制御・画像処理装置18は、各ダイ52のSQUID画像データを、あらかじめ用意された良品ダイのSQUID画像データと比較することにより、各ダイ52内の欠陥の有無を判定する。
【0039】
以下では、図5を参照しながら、欠陥検査処理を詳しく説明する。図5は、欠陥検査処理の説明図である。図5の「計測SQUID画像」は、一つのダイ52の走査によって生成されるSQUID画像の一例である。符号71、72は、ダイ52中の欠陥を示している。計測SQUID画像中の破線は、走査経路の一つである。これらの欠陥71および72は、同じ走査経路上に位置するものとする。計測SQUID画像の下に示されている電圧信号は、その計測SQUID画像の画像信号の一部である。この信号部分は、計測SQUID画像中の破線に沿った走査によって生成される。したがって、この信号部分の横軸座標(時間情報)は、その破線によって示される走査経路上のスリット光45の照射位置に対応し、また、計測SQUID画像においてその破線上のピクセル位置に対応する。
【0040】
図5の「良品SQUID画像」は、良品ダイに関する計測磁場信号から生成されるSQUID画像である。良品SQUID画像は、非破壊検査装置1を用いて良品ダイを事前に検査することにより取得される。良品SQUID画像中の破線は、走査経路の一つである。この走査経路は、計測SQUID画像中の破線が示す走査経路と同一である。つまり、これらの走査経路は、それぞれ良品ダイおよび被検査ダイの同一座標を通過する。良品SQUID画像の下に示されている電圧信号は、その良品SQUID画像の画像信号の一部である。この信号部分は、良品SQUID画像中の破線に沿った走査によって生成される。したがって、この信号部分の横軸座標(時間情報)は、その破線によって示される走査経路上のスリット光45の照射位置に対応し、また、良品SQUID画像においてその破線上のピクセル位置に対応する。
【0041】
計測SQUID画像中の欠陥71は、良品ダイの同一箇所に比べて高い輝度を有する。つまり、欠陥71は、プラスの輝度方向を有している。これは、欠陥71の走査により検出される磁場強度が、良品ダイの同一箇所の走査により検出される磁場強度より高いことに起因する。このような欠陥をプラス欠陥と呼ぶことにする。一方、欠陥72は、良品ダイの同一箇所に比べて低い輝度を有する。つまり、欠陥72は、マイナスの輝度方向を有している。これは、欠陥72の走査により検出される磁場強度が、良品ダイの同一箇所の走査により検出される磁場強度より低いことに起因する。このような欠陥をマイナス欠陥と呼ぶことにする。このように、欠陥には、SQUID磁束計16によって検出される磁場強度を高くするものと低くするものとがある。本実施形態の欠陥検査処理によれば、この2種類の欠陥を判別できる。
【0042】
制御・画像処理装置18は、あるダイ52の欠陥の有無を検査するために、そのダイ52の計測SQUID画像を良品SQUID画像と比較する。具体的には、制御・画像処理装置18は、計測SQUID画像データから良品SQUID画像データを減算して、差画像データを生成する。生成された差画像は、図5の右側に「減算SQUID画像」として示されている。理想的な差画像では、欠陥のみが表示される。
【0043】
図5において、差画像の下に示されている電圧信号は、その差画像の画像信号の一部である。この信号部分は、差画像中の破線に沿った走査によって得られる。差画像信号では、欠陥71が信号の山71a、すなわち信号レベルの上昇として現れる。また、差画像信号では、欠陥72が信号の谷72b、すなわち信号レベルの降下として現れる。このように、差画像信号の山は、被検査ダイ52のプラス欠陥を示す。また、差画像信号の谷は、被検査ダイ52のマイナス欠陥を示す。
【0044】
制御・画像処理装置18は、この差画像信号のレベルを所定のしきい値と比較する。制御・画像処理装置18は、二つの異なるしきい値を有している。以下では、高い方のしきい値を第1しきい値、低い方のしきい値を第2しきい値と呼ぶことにする。図5では、第1しきい値が破線81で、第2しきい値が破線82でそれぞれ示されている。この実施形態では、第1しきい値は正値であり、第2しきい値は負値である。制御・画像処理装置18は、差画像信号のレベルが第1しきい値以上または第2しきい値以下の場合に、欠陥が検出されたと判定する。第1しきい値以上の一連の信号部分および第2しきい値以下の一連の信号部分が、それぞれ一つの欠陥と認識される。二つのしきい値を用いるのは、プラス欠陥とマイナス欠陥を判別するためである。
【0045】
図6は、二つのしきい値の算出方法を説明するための図である。第1および第2しきい値は、装置1を用いて、二つの良品ダイのそれぞれについてSQUID画像データを取得することにより算出される。この算出は、制御・画像処理装置18が実行する。制御・画像処理装置18は、これらのSQUID画像データの一方から他方を減算して差画像データを生成し、その差画像データの輝度ヒストグラムを算出する。制御・画像処理装置18は、輝度ヒストグラムの標準偏差も算出する。第1しきい値は、(輝度ヒストグラムのピーク値)+(標準偏差のk倍)によって算出される。第2しきい値は、(輝度ヒストグラムのピーク値)−(標準偏差のk倍)によって算出される。ここで、kは所定の定数である。kの値は、非破壊検査装置1のオペレータが任意に設定できる。
【0046】
また、このしきい値の算出は、ダイの中の同一位置をウェーハ全体でサンプリングして、ダイを構成するピクセル単位で設定する手法でも対応が可能である。
【0047】
制御・画像処理装置18は、より適切な第1および第2しきい値を得るために、マージ機能を有している。マージ機能は、しきい値を設定するためのサンプル数を増やす機能である。マージ機能は、新たに一つ以上のダイについてSQUID画像を取得し、既存のSQUID画像との間で減算処理を行い、輝度ヒストグラムのサンプル数を増やす。マージ機能を達成するため、輝度ヒストグラムの算出に用いられたSQUID画像は、制御・画像処理装置18内の記憶装置に保存される。
【0048】
制御・画像処理装置18は、第1しきい値以上の差画像信号レベルを与えるピクセル位置にプラス欠陥が存在すると判定する。図5の例では、制御・画像処理装置18は、山71aのうち第1しきい値81以上の部分をプラス欠陥と判定する。また、制御・画像処理装置18は、第2しきい値以下の差画像信号レベルを与えるピクセル位置にマイナス欠陥が存在すると判定する。図5の例では、制御・画像処理装置18は、谷72bのうち第2しきい値82以下の部分をマイナス欠陥と判定する。差画像信号の横軸座標は、SQUID画像のピクセル位置およびダイ52におけるスリット光45の横軸座標に対応している。制御・画像処理装置18は、欠陥と判定された信号部分の時間情報から、その欠陥の位置を算出できる。
【0049】
制御・画像処理装置18は、すべてのダイ52について欠陥の有無を判定すると、判定結果を示す画像のデータを生成する。この画像データは、表示装置20に送られる。これにより、表示装置20の画面上では、検出された欠陥がウェーハマップ上に表示される。また、装置1のオペレータによってダイ52が指定されると、制御・画像処理装置18は、より詳細な結果表示用の画像データを生成する。この画像データも、表示装置20に送られ、画面に表示される。これにより、表示装置20の画面上において、指定されたダイ52内の欠陥位置情報がそのダイ52の反射画像に重ねて表示される。なお、欠陥は、その種類に応じて異なる表示態様で表示される。例えば、プラス欠陥とマイナス欠陥を違う色で表示してもよい。
【0050】
非破壊検査装置1は、次のような利点を有している。装置1は、スリット光45を用いて試料を走査するので、スポット光を照射する場合に比べて照射面積を大きくできる。これにより、検査のスループットを高められる。スリット光45の長辺の長さを変えることで、スループットと分解能を調整できる。スリット光45の短辺の長さは、短辺方向に沿った照射位置の移動速度に応じて決められる。スリット光45の長辺および/または短辺の長さを調節することで、光スキャナ122の走査速度やXYθステージ14の移動速度によって制限されることなく、スループットと分解能を調整できる。
【0051】
(実施形態2)
以下では、この発明の第2の実施形態について説明する。実施形態2の非破壊検査装置も、実施形態1と同様に、SQUID顕微鏡である。実施形態1では、スリット光45をウェーハ5に照射する。これに対し、実施形態2では、スリット光45の代わりに、ビームスポット列をウェーハ5に照射する。ビームスポット列は、実質的に同一の大きさを有する複数のレーザスポット光が一列に配列されたものである。
【0052】
実施形態2の非破壊検査装置は、図1の非破壊検査装置1において、照射光学系12の代わりに、ビームスポット列を生成する照射光学系12aを設置したものである。以下では、図7を参照しながら、照射光学系12aの構成を説明する。図7は、照射光学系12aの構成を示す概略斜視図である。
【0053】
照射光学系12aは、上記実施形態の照射光学系12におけるシリンドリカルレンズ120dの代わりに、回折光学素子(DOE)120eを有する。照射光学系12aでは、コリメータレンズ120aによって形成された平行レーザビームが、ビームスプリッタ120cで反射されて、DOE120eに入射する。DOE120eは、このレーザビームを一軸方向に沿って分割する。分割されたレーザビームは、光スキャナ122およびミラー124aによって反射され、ズーム式瞳投影レンズ124bに入射する。瞳投影レンズ124bは、この非破壊検査装置(SQUID顕微鏡)の像面にビームスポット列を形成する。このビームスポット列は、対物レンズ126によってウェーハ5上に縮小投影される。
【0054】
図8は、ウェーハ5上に投影されたビームスポット列46を示す概略平面図である。ビームスポット列46は、複数のビームスポット48を含んでいる。これらのビームスポット48は、実質的に同じ形状および大きさを有し、一方向に沿って配列されている。ビームスポット列46の照射位置は、ビームスポット列46の長手方向(Y軸方向)と直交する方向(X軸方向)に沿って移動させられる。図8において、X軸方向は、ビームスポット列46の照射位置の移動方向を示す。Y軸方向は、ビームスポット46の配列方向、すなわちビームスポット列46の長手方向を示す。図8において、lは、ビームスポット列46の長手方向に沿った長さ(以下では、単に「長さ」と呼ぶ)を示す。長さlは、ズーム式瞳投影レンズ124bのズーム比を変えることで調整できる。
【0055】
実施形態2の非破壊検査装置は、ウェーハ5の検査の際、ウェーハ5上におけるビームスポット列46の照射位置を、ビームスポット列46の長手方向と直交する方向に移動させる。この移動は、光スキャナ122によるレーザビームの走査によって実行される。照射位置は、ウェーハ5の一端から他端まで移動すると、ビームスポット列46の長手方向に沿って平行移動させられる。この移動は、XYθステージ14の駆動によって実行される。この後、照射位置は、再び、ビームスポット列46の長手方向と直交する方向に移動させられる。このように、ビームスポット列46の照射位置は、長手方向と直交する方向および長手方向に交互に繰り返し移動させられる。これにより、ウェーハ5の全体にビームスポット列46が照射され、すべてのダイ52が走査される。
【0056】
この実施形態の非破壊検査装置は、実施形態1の装置1と同様の利点を有する。この実施形態の非破壊検査装置は、スポット列46を用いて試料を走査するので、単一のスポット光を照射する場合に比べて照射面積を大きくできる。これにより、検査のスループットを高められる。スポット列46の長さlを変えることで、スループットと分解能を調整できる。スポット列46の幅(長手方向と直交する方向の長さ)は、幅方向に沿った照射位置の移動速度に応じて決められる。スポット列46の長さおよび/または幅を調節することで、光スキャナ122の走査速度やXYθステージ14の移動速度によって制限されることなく、スループットと分解能を調整できる。
【0057】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0058】
上記の実施形態は、光スキャナ122による走査とXYθステージ14の駆動とによってレーザ光の照射位置を移動させる。この代わりに、レーザ光を固定し、XYθステージ14によってウェーハ5を移動させることのみによって照射位置を移動させてもよい。また、レーザ光を固定し、照射光学系12または12aをウェーハ5に対して移動させることによっても、照射位置を移動させることができる。
【0059】
上記実施形態では、欠陥の有無を判定するために、ダイ52の計測SQUID画像を、あらかじめ取得した良品ダイのSQUID画像と比較する。しかし、この代わりに、複数のダイ52の計測SQUID画像同士を比較してもよい。
【0060】
以下では、図9および図10を参照しながら、異なるダイ52間のSQUID画像比較による欠陥検査処理を説明する。図9は、この欠陥検査処理の概略説明図である。図10は、この欠陥検査処理の詳細説明図である。
【0061】
図9の左側には、(n−1)番目のダイ52とn番目のダイ52の計測SQUID画像が示されている。ここで、nは2以上の整数である。以下では、(n−1)番目のダイ52をダイ(n−1)と呼び、n番目のダイ52をダイ(n)と呼ぶことにする。これらは、例えば、走査経路に沿って隣接して配置されたダイ52である。符号73、74は、ダイ(n−1)中の欠陥を示している。符号75、76は、ダイ(n)中の欠陥を示している。欠陥73および75は、上述したマイナス欠陥であり、欠陥74および76は、上述したプラス欠陥である。各計測SQUID画像中の破線は、走査経路の一つである。各破線によって示される走査経路は、ダイ(n−1)およびダイ(n)の共通の位置座標を通過する。欠陥73〜76は、いずれも破線の走査経路上に位置するものとする。
【0062】
図9において計測SQUID画像の右側に示される電圧信号は、その計測SQUID画像中の破線に沿った走査により得られる画像信号である。ダイ(n−1)の画像信号には、欠陥73が谷73bとして現れ、欠陥74が山74aとして現れる。同様に、ダイ(n)の画像信号には、欠陥75が谷75bとして現れ、欠陥76が山76aとして現れる。
【0063】
制御・画像処理装置18は、すべてのダイ52に関して、ダイ(n−1)の計測SQUID画像とダイ(n)の計測SQUID画像を比較する。つまり、ダイ(1)とダイ(2)、ダイ(2)とダイ(3)、…ダイ(N−1)とダイ(N)間で、それぞれ計測SQUID画像が比較される。ここで、Nはダイの総数である。具体的には、制御・画像処理装置18は、ダイ(n−1)の計測SQUID画像からダイ(n)の計測SQUID画像を減算して、差画像信号を生成する。差画像信号の一部は、図9の右側に示されている。差画像信号では、欠陥74および75が山74aおよび75aとして現れ、欠陥73および76が谷73bおよび76bとして現れる。このように、この差画像信号の山は、ダイ(n−1)のプラス欠陥またはダイ(n)のマイナス欠陥を示す。また、この差画像信号の谷は、ダイ(n−1)のマイナス欠陥またはダイ(n)のプラス欠陥を示す。差画像信号の横軸座標は、ダイの位置座標に対応する。
【0064】
制御・画像処理装置18は、この差画像信号のレベルを第1および第2のしきい値と比較する。上記実施形態と同様に、第1しきい値は正値であり、第2しきい値は負値である。これらのしきい値の算出方法は、図6を参照して上述した通りである。制御・画像処理装置18は、差画像信号のレベルが第1しきい値以上または第2しきい値以下の場合に、欠陥が検出されたと判定する。第1しきい値以上の一連の信号部分および第2しきい値以下の一連の信号部分が、それぞれ一つの欠陥と認識される。この信号部分の横軸座標は、ダイ(n−1)およびダイ(n)の共通の位置座標に対応する。
【0065】
差画像信号のうち第1しきい値以上の部分は、ダイ(n−1)のプラス欠陥である可能性とダイ(n)のマイナス欠陥である可能性を有する。同様に、第2しきい値以下の部分は、ダイ(n−1)のマイナス欠陥である可能性とダイ(n)のプラス欠陥である可能性を有する。欠陥がどちらのダイに含まれるのかを特定するため、制御・画像処理装置18は、ダイ(n)とダイ(n+1)間の計測SQUID画像の比較結果を利用する。以下では、図10を参照しながら、欠陥検査処理をさらに詳しく説明する。
【0066】
図10の左側には、ダイ(1)〜(6)の計測SQUID画像が示されている。ダイ(1)、(2)、(5)および(6)は、欠陥を有さない。ダイ(3)は、マイナス欠陥77を有している。ダイ(4)は、プラス欠陥78を有している。図10の中央には、相隣る番号のダイ間の差画像信号が示されている。図10において「減算(m−1)−m」(mは、2以上N以下の整数。ここで、Nはダイの総数。)は、ダイ(m−1)の計測SQUID画像信号からダイ(m)の計測SQUID画像信号を減算することを意味する。
【0067】
図10に示されるように、制御・画像処理装置18は、すべてのm値について順次に減算(m−1)−mを実行する。その後、すべての差画像信号について、その信号レベルを第1および第2しきい値と比較する。減算2−3による差画像信号には、第1しきい値81を上回るピーク値を有する山77aが現れている。制御・画像処理装置18は、山77aのうち第1しきい値81以上の部分を欠陥と判定する。この欠陥は、ダイ2のプラス欠陥である可能性と、ダイ3のマイナス欠陥である可能性がある。
【0068】
減算3−4による差画像信号には、減算2−3による差画像信号の山77aと同じ位置に、第2しきい値82を下回るピーク値を有する谷77bが現れている。制御・画像処理装置18は、谷77bのうち第2しきい値82以下の部分を欠陥と判定する。この欠陥は、ダイ(3)のマイナス欠陥である可能性と、ダイ(4)のプラス欠陥である可能性がある。
【0069】
減算2−3および減算3−4によって共通に予想されるのは、ダイ(3)のマイナス欠陥だけである。したがって、制御・画像処理装置18は、ダイ(3)にマイナス欠陥が存在すると判定する。このように、制御・画像処理装置18は、減算2−3による差画像信号と減算3−4による差画像信号の双方において同一の横軸座標に欠陥が検出されると、ダイ(3)中において、その横軸座標に対応する位置座標に欠陥が存在すると判定する。
【0070】
減算3−4による差画像信号には、第2しきい値82を下回るピーク値を有する谷78bも現れている。制御・画像処理装置18は、谷78bのうち第2しきい値82以下の部分を欠陥と判定する。この欠陥は、ダイ(3)のマイナス欠陥である可能性と、ダイ(4)のプラス欠陥である可能性がある。減算4−5による差画像信号には、減算3−4信号における谷78bと同じ位置に、第1しきい値81を上回るピーク値を有する山78aが現れている。制御・画像処理装置18は、山78aのうち第1しきい値81以上の部分を欠陥と判定する。この欠陥は、ダイ(4)のプラス欠陥である可能性と、ダイ(5)のマイナス欠陥である可能性がある。減算3−4および減算4−5によって共通に予想されるのは、ダイ(4)のプラス欠陥だけである。したがって、制御・画像処理装置18は、ダイ(4)中にプラス欠陥が存在すると判定する。ダイ(4)における欠陥の位置座標は、差画像信号における欠陥の横軸座標から特定される。
【0071】
このように、欠陥制御・画像処理装置18は、減算(n−1)−nによる差画像信号と減算n−(n+1)による差画像信号の双方において同一の横軸座標に欠陥が検出されると、ダイ(n)において、その横軸座標に対応する位置座標に欠陥が存在すると判定する。また、欠陥制御・画像処理装置18は、減算(n−1)−nによる差画像信号で欠陥が検出され、減算n−(n+1)による差画像信号において同一の横軸座標に欠陥が検出されない場合は、ダイ(n−1)に欠陥が存在すると判定する。さらに、欠陥制御・画像処理装置18は、減算n−(n+1)による差画像信号で欠陥が検出され、減算(n−1)−nによる差画像信号において同一の横軸座標に欠陥が検出されない場合は、ダイ(n+1)に欠陥が存在すると判定する。どのダイに欠陥が存在するかが特定されれば、その欠陥が差画像信号において山であるか谷であるかに応じて、その欠陥の種類も特定される。
【0072】
なお、「二つの差画像信号の同一の横軸座標に欠陥が検出される」とは、横軸座標が完全に一致する場合のほか、所定の許容値だけ横軸座標がずれている場合を含んでいてもよい。この場合、二つの差画像の同一画素にそれぞれ欠陥が検出される場合のほか、二つの差画像の欠陥の位置が数ピクセルずれている場合も、同一の画素に欠陥が存在するとみなされる。所定値以内のずれを許容するのは、欠陥の検出位置の誤差を考慮したものである。
【0073】
制御・画像処理装置18は、すべてのダイ52について欠陥の有無を判定すると、判定結果を示す画像を生成する。表示装置20は、その生成された画像を画面上に表示する。この画像の生成および表示は、実施形態1に関して説明した通りである。
【0074】
【発明の効果】
この発明の非破壊検査装置は、スリット光またはスポット列で試料を走査するので、スポット光を単独で照射する場合に比べて照射面積を大きくできる。したがって、検査のスループットを高められる。スリット光の長辺の長さ、またはスポット列の長手方向の長さを変えることで、スループットと分解能を調整できる。このため、走査手段によるスリット光またはスポット列の照射位置の移動速度にかかわらず、スループットと分解能を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態の構成を示す概略図である。
【図2】ウェーハ5の表面を示す概略平面図である。
【図3】照射光学系12の構成を示す斜視図である。
【図4】ウェーハ5上に照射されたスリット光45を示す概略平面図である。
【図5】被検査ダイと良品ダイとのSQUID画像の比較による欠陥検査処理の説明図である。
【図6】第1および第2しきい値の算出方法の説明図である
【図7】この発明の第2実施形態における照射光学系12aの構成を示す概略斜視図である。
【図8】ウェーハ5上に投影されたビームスポット列46を示す概略平面図である。
【図9】異なるダイ間のSQUID画像比較による欠陥検査処理の概略説明図である。
【図10】図9の欠陥検査処理の詳細説明図である。
【符号の説明】
1…非破壊検査装置、5…ウェーハ、10…赤外レーザ光光源、11…フォトダイオード、12…照射手段としての照射光学系、14…走査手段としてのXYθステージ、16…磁場検出手段としてのSQUID磁束計、18…減算手段、比較手段、判定手段および画像生成手段としての制御・画像処理装置、20…表示装置、45…スリット光、46…スポット列、48…スポット光、52…ダイ、120…走査手段としての光スキャナ。

Claims (9)

  1. 所定の構造を有する試料にレーザ光を照射する照射手段と、
    前記試料上における前記レーザ光の照射位置を移動させて前記試料を走査する走査手段と、
    前記試料の走査によって発生する磁場の強度を検出し、磁場分布データを取得する磁場検出手段と、
    を備え、前記磁場分布データに基づいて前記構造の欠陥を検出する非破壊検査装置であって、
    前記磁場分布データおよび所定の標準分布データの一方から他方を減算して差分データを生成する減算手段と、
    前記差分データを正の第1しきい値および負の第2しきい値と比較する比較手段と、
    前記レーザ光の一つの照射位置に対応する前記差分データが前記第1しきい値以上のとき、当該照射位置に第1の種類の欠陥が存在すると判定し、前記レーザ光の一つの照射位置に対応する前記差分データが前記第2しきい値以下のとき、当該照射位置に第2の種類の欠陥が存在すると判定する判定手段と、
    をさらに備え、
    前記試料に照射される前記レーザ光は、長辺および短辺を有するスリット状の光、または、実質的に同一の大きさを有する複数のスポット光が一列に配列されてなるスポット列である
    非破壊検査装置。
  2. 所定の構造を有する試料にレーザ光を照射する照射手段と、
    前記試料上における前記レーザ光の照射位置を移動させて前記試料を走査する走査手段と、
    前記試料の走査によって発生する磁場の強度を検出し、磁場分布データを取得する磁場検出手段と、
    を備え、前記磁場分布データに基づいて、前記試料において同一の形状を有する複数の領域の各々について、その領域に設けられた所定の構造の欠陥を検出する非破壊検査装置であって、
    第1の前記領域の磁場分布データから第2の前記領域の磁場分布データを減算して第1の差分データを生成するとともに、前記第2領域の磁場分布データから第3の前記領域の磁場分布データを減算して第2の差分データを生成する減算手段と、
    前記第1差分データを正の第1しきい値および負の第2しきい値と比較するとともに、前記第2差分データを前記第1および第2しきい値と比較する比較手段と、
    前記比較手段による比較の結果に応じて、前記第2領域における欠陥の有無を判定する判定手段と、
    をさらに備え、
    前記試料に照射される前記レーザ光は、長辺および短辺を有するスリット状の光、または、実質的に同一の大きさを有する複数のスポット光が一列に配列されてなるスポット列であり、
    前記判定手段は、
    前記第1、第2および第3領域の共通の座標において前記第1差分データが前記第2しきい値以下かつ前記第2差分データが前記第1しきい値以上のとき、前記第2領域中の当該座標に第1の種類の欠陥が存在すると判定し、
    前記第1、第2および第3領域の共通の座標において前記第1差分データが前記第1しきい値以上かつ前記第2差分データが前記第2しきい値以下のとき、前記第2領域中の当該座標に第2の種類の欠陥が存在すると判定する
    非破壊検査装置。
  3. 前記走査手段は、前記スリット光の長辺と直交する方向または前記スポット列の長手方向と直交する方向に沿って前記照射位置を移動させることにより前記試料を走査する、請求項1または2記載の非破壊検査装置。
  4. 前記スリット光の長辺の長さまたは前記スポット列の長手方向の長さが可変である、請求項1または2記載の非破壊検査装置。
  5. 前記走査手段は、前記レーザ光を移動させることにより前記試料を走査する、請求項1または2記載の非破壊検査装置。
  6. 前記走査手段は、前記試料を移動させることにより前記試料を走査する、請求項1または2記載の非破壊検査装置。
  7. 前記照射手段は、
    前記レーザ光を発する光源と、
    前記光源から前記レーザ光を受光し、そのレーザ光から前記スリット状の光または前記スポット列を生成して前記試料に照射する照射光学系と、
    を有している
    請求項1または2記載の非破壊検査装置。
  8. 前記走査手段は、前記照射光学系を移動させることにより前記試料を走査する、請求項7記載の非破壊検査装置。
  9. 前記判定手段によって判定された欠陥の位置を示す画像を生成する画像生成手段と、
    前記画像生成手段によって生成された画像を画面上に表示する表示装置と、
    をさらに備える請求項1または2記載の非破壊検査装置であって、
    前記画像において前記第1の種類の欠陥は、第1の表示態様で表示され、
    前記画像において前記第2の種類の欠陥は、前記第1表示態様と異なる第2の表示態様で表示される
    請求項1または2記載の非破壊検査装置。
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