JP4036011B2 - 難燃性熱硬化樹脂組成物,それを用いたプリプレグ及び電気配線板用積層板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,電気配線板用絶縁材料,成型材料,接着用、特にガラス基材エポキシ樹脂電気配線板用絶縁材料に適したエポキシ樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年,電子機器の種類は,拡大の一途を辿っており,コンピューター関連ばかりでなく,自動制御機器,通信機器,事務用機器なども,小型,軽量化が望まれている。これらの機器に使用されているプリント配線板は,4〜10層が中心であり,高密度実装に対応するために,ファインパターン化はもちろん薄型化が図られている。
【0003】
このプリント配線板に要求される項目には,吸湿耐熱性,信頼性等が挙げられる。したがって,プリント配線板に用いられる樹脂にも高Tg,高耐熱性,低吸水性が必要である。この要求に対応するために,エポキシ樹脂の改良や,ポリイミド樹脂,イソシアネート樹脂等が使用されている。
【0004】
また、これらの電気絶縁材料は、ガラス基材エポキシ樹脂電気配線板用絶縁材料に代表される様に安全性の面から高い難燃性が求められハロゲン系難燃剤やアンチモン化合物またはリン系難燃剤等を併用して難燃化してきた。
しかしながら、近年、環境汚染や毒性の面から使用物質規制の動きが高まってきており、なかでもダイオキシン等の有機ハロゲン物質の毒性,発がん性が問題となっており、ハロゲン含有物質の低減,削減が強く求められている。
【0005】
また、アンチモンの発がん性の問題から、アンチモン化合物についても低減,削減の要求がたかまっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ハロゲンおよびアンチモン化合物の含有量が各々0.25重量%以下にて難燃性UL94V−0を達成する材料を提供するものである。
【0007】
しかしながら,難燃剤として,リン酸エステル等の添加型のリン化合物を添加するとガラス転移点(以下,Tgと称す)の大幅な低下や耐熱性が低下する問題があり,本発明は,このような問題を解決するためになされたものである。
【0008】
また,特開平4−11662,特開平11−166035,特開平11−279258にある様なリン含有エポキシを用いるのみでは,電気配線板用積層板の幅広い板厚において難燃性UL94V−0を達成することができない。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果,(A)エポキシ樹脂が5〜80重量部,と(B)ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物が0〜80重量部,(C)フェノール類とトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類の重縮合物が5〜80重量部,からなる熱硬化性樹脂であり、かつ(A)エポキシ樹脂中の5〜80重量部が(D)リン含有エポキシ樹脂である事を特徴とする熱硬化性樹脂組成物をもちいる事により、課題を達成可能であることを見いだした。特に(D)リン含有エポキシ樹脂の1つが一般式(1)または一般式(2),一般式(3)に示すリン化合物とエポキシ樹脂を反応させたものを使用することによりガラス転移点(以下,Tgと称す)の大幅な低下や耐熱性が低下するすることなく,ハロゲンおよびアンチモン化合物の含有量が各々0.25重量%以下にて難燃性UL94V−0を達成することを見い出し本発明を完成するに至った。
【0010】
(A)エポキシ樹脂が5〜80重量部である理由は,5重量部未満ではエポキシ樹脂の特長である,高い接着性が発現せず,80重量部を超えると,残りの20重量部未満のエポキシ樹脂の硬化成分量が不足し,未反応成分が残るため,耐熱性やTgが低下するためである。そのため,接着性や耐熱性やTgの点から5〜80重量部が好ましく,難燃性等のバランスから10〜50重量部が特に好ましい。
【0011】
(B)ジヒド、ロベンゾオキサジン環を有する熱硬化樹脂が0〜80重量部である理由は,80重量部を超えると,残りの20重量部未満のジヒドロペンゾオキサジン環を有する熱硬化樹脂の硬化成分量が不足し,未反応成分が残るため,耐熱性が低下するためである。そのため,難燃性や耐熱性の点から0〜80重量部が好ましく,接着性等のバランスから10〜70重量部が特に好ましい。
【0012】
(C)フェノール類とトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類の重縮合物が5〜80重童部である理由は,5重量部未満ではフェノール類とトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類の重縮合物の特長である,高い難燃性が発現せず,80重量部を超えると,残りの20重量部未満のフェノール類とトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類の重縮合物の硬化成分量が不足し,未反応成分が残り,耐熱性が低下するためである。そのため,難燃性や耐熱性の点から5〜80重量部が好ましく,接着性,Tg等のバランスから10〜50重量部が特に好ましい。
【0013】
(D)リン含有エポキシ樹脂が,5〜80重量部である理由は,5重量部未満では難燃性向上効果が低く,80重量部を超えるとTgおよび耐熱性が低下するため,5〜80重量部が好ましく,接着性および難燃性等の理由から,10〜70重量部が特に好ましい。
【0014】
本発明に使用するエポキシ樹脂としてはビスフェノールA型エポキシ,ピスフェノールF型エポキシ,フェノールノボラック型エポキシ,ビスフェノールAノボラック型エポキシ,クレゾールノボラック型エポキシ,環状脂肪族エポキシ,複素環式エポキシ,ジグリシジルエステル系エポキシ等があげられ特に制限がなく、単独または数種類加えるなど使用目的にあわせて選択可能である。
【0015】
ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂としては,ジヒドロベンゾオキサジン環を有し,ジヒドロベンゾオキサジン環の開環反応により硬化する樹脂であれば特に限定されるものではなく,フェノール性水酸基を有する化合物,ホルマリン,1級アミンから一般式(4)により合成される。
【0016】
【化4】
(式中のR1はアルキル基,シクロヘキシル基,フェニル基またはアルキル基もしくはアルコキシル基で置換されたフェニル基である。)
フェノール性水酸基を有する化合物として,多官能フェノール,ビフェノール化合物,ビスフェノール化合物,トリスフェノール化合物,テトラフェノール化合物,フェノール樹脂があげられる。多官能フェノールとしてはカテコール,ヒドロキノン,レゾルシノールがあげられる。ビスフェノール化合物としては,ビスフェノールA,ビスフェノールFおよびその位置異性体,ビスフェノールS,テトラフルオロビスフェノールAがあげられる。またフェノール樹脂としてはレゾール樹脂,フェノールノボラック樹脂,フェノール変性キシレン樹脂,アルキルフェノール樹脂,メラミンフェノール樹脂,ベンゾグアナミンフェノール樹脂,フェノール変性ポリブタジエン等があげられる。
【0017】
1級アミンとしては,具体的にメチルアミン,シクロヘキシルアミン,アニリン,置換アニリン等があげられる。
【0018】
本発明においてフェノール性水酸基を有する化合物と1級アミンとの混合物を70℃以上に加熱したアルデヒド中に添加して,70〜110℃,好ましくは90〜100℃で20〜120分反応させ,その後120℃以下の温度で減圧乾燥することにより,合成することが出来る。
【0019】
本発明のフェノール類とトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類との重縮合物でメチルエチルケトンに固形分80重量%以下にて溶解する変性フェノール樹脂を得るために使用するためのフェノール類としては、フェノールまたはピスフェノールA,ピスフェノールF,ビスフェノールSなどの多価フェノール類や、クレゾール,キシレノール,エチルフェノール,ブチルフェノール,などのアルキルフェノール類,アミノフェノール,フェニルフェノールなどがあげられ1種類または2種以上の併用も可能である。このましくはフェノールとピスフェノールAの組合せまたは、フェノールとアルキルフェノールを組合せて使用した場合にはフェノール単独を使用した場合より反応性が抑制され成形性にすぐれ、ピスフェノールAやアルキルフェノールを単独で使用した場合より難燃性に優れ好ましい。
【0020】
また、トリアジン環を有する化合物としてはメラミンまたはベンゾグアナミン,アセトグアナミンなどのグアナミン誘導体、シアヌル酸またはメチルシアヌレート,エチルシアヌレートなどのシアヌル酸誘導体や、イソシアヌル酸またはメチルイソシアヌレート,エチルシアヌレートなどのイソシアヌル酸誘導体などがあげられる。好ましくは耐熱性や難燃性が良好になり低価格なメラミンが適しておりトリアジン環を有する化合物種類,使用量を目的に合わせて選定しN含有量を調整し難燃性,反応性,耐熱性の最適化が可能である。
【0021】
アルデヒド類としては,ホルムアルデヒド,パラホルムアルデヒド,トリオキサン,テトラオキシメチレン等が挙げられこれらに限定されるものではないが、取扱いの容易さから、ホルムアルデヒドが好ましく、特にホルマリン,パラホルムアルデヒドが好ましい。
【0022】
以下に,本発明で使用する変性フェノール樹脂を得るための代表的な方法について説明する。まず,前記したフェノール類とトリアジン環を有する化合物とを塩基性あるいは酸性触媒化で反応させる。このとき系のpHは特に限定ものではないがトリアジン環を含む化合物の多くが塩基性触媒に容易に溶解することから,塩基性触媒化で反応させることが好ましく,さらにはアミン類の使用が好ましい。また,各材料の反応順序も特に制限なく,フェノール類,アルデヒド類をまず反応させてからトリアジン環を有する化合物を加えても,逆にトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類を反応させてから,フェノール類を加えても,同時にすべての原料を加えて反応させてもよい。このとき,フェノール類に対するアルデヒド類のモル比は特に限定されるものではないが0.2〜1.5で,好ましくは0.4〜0.8である。また,フェノール類に対するトリアジン還を有する化合物との重量比は10〜98:90〜2で好ましくは50〜95:50〜5である。フェノール類の重量比が10%以下では,樹脂化することが困難になり,98%以上では充分な難燃効果がえることができなくなる。
【0023】
また,触媒として特に限定されるものではないが,代表的なものとして水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化バリウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物,およびこれらの酸化物,アンモニア,1〜3級アミン類,ヘキサメチレンテトラミン,炭酸ナトリウム等,そして塩酸,硫酸,スルホン酸等の無機酸,シュウ酸,酢酸等の有機酸,ルイス酸,あるいは酢酸亜鉛などの2価金属塩等がある。
【0024】
金属などの無機物が触媒残として残ることは好ましくないことから,塩基性の触媒としてはアミン類,酸性の触媒としては有機酸を使用することが好ましい。また反応制御の面から反応を各種溶剤の存在下で行ってもよい。次に必要に応じて中和,水洗して塩類などの不純物を除去する。ただし,触媒にアミン類を使用した場合は行わないことが好ましい。反応は,70〜90℃にて2〜4時間実施し,反応終了後,未反応のアルデヒド類,フェノール類,溶剤等を常圧蒸留,真空蒸留等の常法にしたがって除去する。その時,未反応のアルデヒド類とメチロール類を除去することが好ましく,未反応のアルデヒド類とメチロール基を実質的に含まない樹脂組成物を得るためには120℃以上の加熱処理を追加で実施する必要がある。このとき,ノボラック樹脂を得るときの常法にしたがい充分に加熱,蒸留することが好ましい。特に限定されるわけではないが,またこのとき前記したように未反応一官能性のフェノール単量体を2%以下にすることが好ましい。
【0025】
このようにして得られたものは,フェノール類とトリアジン環を有する化合物とアルデヒドの混合物または縮合物からなるフェノール樹脂組成物である。特に限定されるものではないが該混合物または縮合物申に未反応アルデヒドを含まず,メチロール基についても実質上含まないことが好ましい。
【0026】
さらに、本発明の変性フェノール樹脂を数種組み合わせたり、他のフェノール類のノボラック樹脂と併用して硬化剤として使用することにより単独では得られない成形性や難燃性,耐熱性を得ることが可能であり目的に応じ併用することも好ましい。
【0027】
反応型リン化合物としては、一般式(1)に示す有機リン化合物の例としては,9,10一ジヒドロー9一オキサー10一ホォスファフェナンスレンー10一オキサイド,6,8一ジクロルー9,10一ジヒドロー9一オキサー10一ホォスファフェナンスレンー10一オキサイド,6,8一ジターシャリープチルー9,10一ジヒドロー9一オキサー10一ホォスファフェナンスレンー10一オキサイドなどがあり,また,一般式(2)に示す有機リン化合物の例としては,10−2,5一ジヒドロキシフェニルー10H−9一オキサー10一ホォスファフェナントレン=10一オキシドなどがあり,また,一般式(3)に示す有機リン化合物の例としては,ジフェニルフォスフィンオキシドなどがあげられる。これらに限定せずに他のエポキシ樹脂と反応が可能なリン化合物を用いてもよい。これらのリン化合物を用い,エポキシ樹脂と反応させたものが,本発明で用いるリン含有エポキシであり,反応させる方法としては公知の常法に従い行うことができ,具体的には反応速度を考慮して,触媒としてトリフェニルホスフィン等のフォスフィン類,2メチルイミダゾール,2エチル4メチルイミダゾール等のイミダゾール類,3級アミン類等の各種触媒を使用し,100〜200℃で撹拝を行いながら反応を行う。また,リン化合物の量は,リン含有エポキシ樹脂中のリン含有率が0.5〜10重量%になるようにすることが好ましく,0.5重量%未満では難燃性の効果が少なく,10重量%を超えると,耐熱性や金属等への密着性が低下するため好ましくない。
【0028】
これらの成分のほかに,必要に応じて,着色剤,酸化防止剤,還元剤,紫外線不透過剤,水酸化アルミニウムやシリカ等の無機充填剤などが配合される。
【0029】
プリプレグを作製する際に使用する織布および不織布の基材としては紙,コットンリンターのような天然繊維基材,アラミド,ポリビニルアルコール,ポリエステル,アクリルのような有機合成繊維基材,ガラス,アスベストのような無機繊維基材が使用される。耐燃性の見地から,ガラス繊維基材が好ましい。ガラス繊維基材としては,Eガラス,Cガラス,Dガラス,Sガラスなどを使用した織布や短繊維を有機バインダーで接着したガラス不織布,さらに,ガラス繊維とセルロース繊維とを混沙したものがある。
【0030】
これらを配合したワニスは従来と同様に,織布や不織布などの基材に含浸させてプリプレグを製造し,プリプレグを重ねあわせその両面に錫箔を構成後,加圧,加熱プレスすることにより,銅張り積層板を製造することが出来る。
【0031】
【作用】
本発明は、芳香族成分が多く熱分解がしにくく、難燃性に優れたジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物を使用し、さらに、硬化剤として難燃性を高めるNを含有するトリアジン環を有したフェノール樹脂組成物を使用するため、安定した状態で分子構造中にNを多量に取り込み、さらに難燃性を高める作用を有するリン源としてリン含有エポキシ樹脂を使用し樹脂の構造内にリンを取り込むことにより,添加型のリン酸エステル等を使用した際におこるTgの低下,耐熱性の低下を起こすことなく,難燃性,および他特性バランスのすぐれたエポキシ樹脂組成物を得ることが可能である。また,リン含有エポキシ樹脂を単独で使用した場合より難燃性を高めることが可能となり,電気配線板用積層板の幅広い板厚において難燃性UL94V−0を達成することが可能である。
以上の作用により、本発明の解決する課題を達成可能とした。
【0032】
【実施例】
以下に本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。以下、部は「重量部」を%は「重量%」を示すものとする。
【0033】
実施例1〜5,比較例1〜2
〔1〕ジヒドロベンゾオキサジン環を有する樹脂の合成
(1)フェノールノボラックの合成
フェノール1.9kg,ホルマリン(37%水溶液)1.15kg,しゅう酸4gを5リットルフラスコに仕込み,還流温度で6時間反応させた。引き続き,内部を6666.1Pa以下に減圧して未反応のフェノールおよび水を除去した。得られた樹脂は軟化点89℃(環球法),3核体以上/2核体比=89/11(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるピーク面積比)であった。以下得られた樹脂を(A1)と略記する。
【0034】
(2)ジヒドロベンゾオキサジン環の導入
上記により合成したフェノールノボラック樹脂1.7kg(ヒドロキシル基16molに相当)をアニリン1.49kg(16molに相当)と80℃で5時間撹拝し,均一な混合溶液を調整した。5リットルフラスコ中に,ホルマリン1.62kgを仕込み90℃に加熱し,ここヘノボラック/アニリン混合溶液を30分間かけて少しずつ添加した。添加終了後30分間,還流温度に保ち,然る後に100℃で2時間6666.1Pa以下に減圧して縮合水を除去し,反応しうるヒドロキシル基の95%がジヒドロベンゾオキサジン化された熱硬化性樹脂を得た。以下得られた樹脂を(B1)と略記する。
〔2〕変性フェノール樹脂組成物の合成例
フェノール94部に41.5%ホルマリン29部,およびトリエチルアミン0.47部を加え,80℃にて3時間反応させた。メラミンを19部加えさらに1時間反応させた後,常圧下にて水を除去しながら120℃まで昇温し,温度を保持したまま2時間反応させた。次に常圧下にて水を除去しながら180℃まで昇温し,減圧下にて未反応のフェノールを除去し,軟化点136℃のフェノールとメラミンの反応物であるフェノール樹脂組成物を得た。
以下得られた樹脂を(C1)と略記する。
【0035】
フェノールとメラミンの重量比率,未反応ホルムアルデヒド量,メチロール基の存在の有無,および未反応フェノールモノマー量を求め,結果を表1に示した。
【0036】
【表1】
〔3〕エポキシ樹脂
フェノールノボラック型エポキシ樹脂
エポキシ当量170〜180g/eq,常温で液状
【0037】
リン含有エポキシ樹脂(A)
9,10一ジヒドロー9一オキサー10一ホォスファフェナンスレンー10一オキサイド(三光化学製商品名HCA)21部,フェノールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量170〜180g/eq,常温で液状)79部,触媒としてトリフェニルフォスフィン0.002部を150℃で3時間反応し,リン含有率約3%のリン含有エポキシ樹脂をえた。
【0038】
リン含有エポキシ樹脂(B)
10−2,5一ジヒドロキシフェニルー10H−9一オキサー10一ホォスファフェナントレン=10一オキシド(三光化学製商品名HCA−HQ)19部,フェノールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量170〜180g/eq,常温で液状)81部,触媒としてトリフェニルフォスフィン0.002部を150℃で3時間反応し,リン含有率約1%のリン含有エポキシ樹脂をえた。
【0039】
リン含有エポキシ樹脂(C)
ジフェニルフォスフィンオキシド19部,フェノールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量170〜180g/eq,常温で液状)81部,触媒としてトリフェニルフォスフィン0.002部を150℃で3時間反応し,リン含有率約3%のリン含有エポキシ樹脂をえた。
【0040】
添加型リン化合物
トリフェニルホォスフェート(以下,TPPと称す)
〔4〕積層板の作製
表2に示した固形分配合の樹脂組成物をメチルエチルケトンに溶解させ、溶液の不揮発分を65〜75%になるようにメチルエチルケトンで調整した。しかる後,各々の混合溶液をガラスクロス(0.2mm)に含浸させ,160℃で4分間乾燥してプリプレグを得た。このプリプレグを8枚重ね,その両面に18μmの錫箔を重ね,185℃,圧4MPaにて100分間加熱加圧成形して厚さ1.6mmの両面銅張り積層板を得た。
【0041】
以上作製した両面銅箔張積層板について,耐燃性,耐湿耐熱性,Tgを調べた。
その結果を表2に示す。
なお,試験方法は以下の通りとした。
耐燃焼性:UL94に準拠する。
はんだ耐熱性:121℃、2130hPaのプレッシャークッカー処理装置内に6時間保持後の試験片(50mm×50mmの片面半銅付き)を,260℃に加熱されたはんだ槽に30秒間沈め、,ふくれ及びミーズリングの発生の有無を肉眼にて観察した。表中の各記号は、○:変化なし、△:ミーズリングまたは目浮き発生、×:ふくれ発生を意味する。
【0042】
ガラス転移温度(Tg):JIS−C−6481に規定されるTMA法に従って測定した。なお,昇温速度10℃/分で試料がガラス転移温度以上になるまで加熱し,一旦室温まで冷却してから再度昇温速度10℃/分で昇温したときの寸法変化量を測定し,“温度一寸法”カーブからガラス転移温度を求めた。
得られた積層板の特性を表2に示す。
【0043】
【表2】
実施例
*HCA:9,10・ジヒドロ・9・オキサ・10・フオスファナンスレン・10・オキサイド
表2の結果から、本発明により、Tg,耐熱性が著しく低下することなく,ハロゲンおよびアンチモン化合物の含有量が各々0.25重量%以下にて難燃性UL94V−0を達成可能であることが確認できた。
【0044】
【発明の効果】
本発明により、Tg,耐熱性が著しく低下することなく,ハロゲンおよびアンチモン化合物の含有量が各々0.25重量%以下にて難燃性UL94V−0を達成する材料を提供可能である。
Claims (6)
- (A)エポキシ樹脂が5〜80重量部,と(B)ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物が10〜80重量部,(C)フェノール類とトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類の重縮合物が5〜80重量部であり,(A)(B)(C)の合計が100重量部である熱硬化性樹脂組成物であり,かつ(A)エポキシ樹脂中の5〜80重量%が(D)リン含有エポキシ樹脂であり、
(D)リン含有エポキシ樹脂のすくなくとも1つが一般式(1)で表せる有機リン化合物とエポキシ樹脂を反応してえられるものであることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
- (A)エポキシ樹脂が5〜80重量部,と(B)ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物が10〜80重量部,(C)フェノール類とトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類の重縮合物が5〜80重量部であり,(A)(B)(C)の合計が100重量部である熱硬化性樹脂組成物であり,かつ(A)エポキシ樹脂中の5〜80重量%が(D)リン含有エポキシ樹脂であり、
(D)リン含有エポキシ樹脂のすくなくとも1つが一般式(3)で表せる有機リン化合物とエポキシ樹脂を反応してえられるものであることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
- 熱硬化性樹脂組成物中のハロゲンおよびアンチモン化合物の含有量が各々0.25重量%以下であること特徴とする請求項1または2記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜3いずれか記載の熱硬化性樹脂組成物をワニスとし,基材に含浸乾燥してなるプリプレグ。
- 請求項4記載の基材が織布または不織布であるプリプレグ。
- 請求項4〜5いずれか記載の同種または異種のプリプレグを組み合わせて用い、その片面または両面に金属箔を積層し、加熱加圧成形して得られる電気配線板用積層板。
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