JP4035666B2 - サックバックバルブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイヤフラムの変位作用下に流体通路を流通する所定量の圧力流体を吸引することにより、例えば、圧力流体の供給口の液だれを防止し、圧力流体の吸引量を安定化させることが可能なサックバックバルブに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば、半導体ウェハ等の製造工程においてサックバックバルブ(suck back valve )が使用されている。このサックバックバルブは、半導体ウェハに対するコーティング液(圧力流体)の供給を停止した際、供給口から微量のコーティング液が半導体ウェハに向かって滴下する、いわゆる液だれを防止する機能を有する。
【0003】
ここで、従来技術に係るサックバックバルブを図5に示す(例えば、実公平8−10399号公報参照)。
【0004】
このサックバックバルブ1は、流体導入ポート2と流体導出ポート3とを連通させる流体通路4が形成された弁本体5と、前記弁本体5の上部に連結されるボンネット6とを有する。前記流体通路4の中央部には、厚肉部および薄肉部から構成されたダイヤフラム7が設けられている。前記ボンネット6には、図示しない圧力流体供給源に接続され、前記サックバックバルブ1と別体で構成された図示しない切換弁装置の切換作用下に圧力流体を供給する圧力流体供給ポート8が形成される。
【0005】
前記ダイヤフラム7にはピストン9が嵌合され、前記ピストン9には、弁本体5の内壁面を摺動するとともにシール機能を営むvパッキン10が装着されている。また、弁本体5内には、ピストン9を上方に向かって常時押圧するスプリング11が設けられている。なお、参照数字12は、ピストン9に当接して該ピストン9の変位量を調整することにより、ダイヤフラム7によって吸引される圧力流体の流量を調整するねじ部材を示す。
【0006】
このサックバックバルブ1の概略動作を説明すると、流体導入ポート2から流体導出ポート3に向かって圧力流体(例えば、コーティング液)が供給されている通常の状態では、圧力流体供給ポート8から供給された圧縮空気の作用下にピストン9およびダイヤフラム7が下方向に向かって一体的に変位し、ピストン9に連結されたダイヤフラム7が、図5中、二点鎖線で示すように流体通路4内に突出している。
【0007】
そこで、図示しない切換弁装置の切換作用下に流体通路4内の圧力流体の流通を停止した場合、圧力流体供給ポート8からの圧縮空気の供給を停止させることにより、スプリング11の弾発力の作用下にピストン9およびダイヤフラム7が一体的に上昇し、前記ダイヤフラム7の負圧作用下に流体通路4中に残存する所定量の流体が吸引され、図示しない供給口における液だれが防止される。
【0008】
ところで、前記従来技術に係るサックバックバルブ1では、圧力流体供給源とサックバックバルブ1との間に別体で構成された切換弁装置(図示せず)が設けられており、この切換弁装置を図示しない駆動装置を介してオン/オフ動作させることにより、サックバックバルブ1の流体通路4内に圧力流体を供給し、またはその圧力流体の供給を停止している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の従来技術に係るサックバックバルブでは、該サックバックバルブと切換弁装置との間に配管接続作業が必要となって煩雑であるとともに、サックバックバルブ以外に切換弁装置や前記切換弁装置をオン/オフ動作させるための駆動装置等が必要となる。このため、前記切換弁装置および駆動装置を付設するための占有スペースが必要となって設置スペースが増大するとともに、設備投資に要するコストが高騰するという不都合がある。
【0010】
また、サックバックバルブと切換弁装置との間に接続される配管によって流路抵抗が増大し、ダイヤフラムの応答精度が劣化するという不都合がある。
【0011】
本発明は、前記の種々の不都合を克服するためになされたものであり、ダイヤフラムの応答精度を向上させ、しかも、配管接続作業を不要とすることにより、装置全体を小型化してコストダウンを図ることが可能なサックバックバルブを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、一端部に第1ポートが形成され他端部に第2ポートが形成された流体通路を有する継手部と、
パイロット圧によって変位する可撓性部材の負圧作用下に前記流体通路内の圧力流体を吸引するサックバック機構と、
前記可撓性部材と同軸状に設けられ、ばね部材の弾発力によって変形することにより前記流体通路の内壁に形成された着座部に着座して前記流体通路を閉成する弾性部材と、前記弾性部材を保持する保持プレートと、前記保持プレートに螺合され前記弾性部材の変位量を調整可能な調整ねじとを有し、前記弾性部材が前記着座部に対して離間または着座することにより前記継手部の流体通路を開閉するオン/オフ弁と、
を備え、
前記弾性部材は、前記可撓性部材の中央の厚肉部と当接可能に設けられ、供給されるパイロット圧によって前記可撓性部材が前記弾性部材側に向かって押圧され、前記ばね部材の弾発力に抗して該弾性部材が該可撓性部材と連動して変位することにより前記着座部から離間して前記流体通路が開成されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、一端部に第1ポートが形成され他端部に第2ポートが形成された流体通路を有する継手部と、
可撓性部材の変位作用下に前記流体通路内の圧力流体を吸引するサックバック機構と、
前記可撓性部材と同軸状に設けられ、ばね部材の弾発力によって変形することにより前記流体通路の内壁に形成された着座部に着座して前記流体通路を閉成する弾性部材と、前記弾性部材を保持する保持プレートと、前記保持プレートに螺合され前記弾性部材の変位量を調整可能な調整ねじとを有し、前記弾性部材が前記着座部に対して離間または着座することにより前記継手部の流体通路を開閉するオン/オフ弁と、
前記可撓性部材を変位させる電動リニアアクチュエータと、
を備え、
前記弾性部材は、前記可撓性部材の中央の厚肉部と当接可能に設けられ、前記電動リニアアクチュエータの駆動作用下に前記可撓性部材が前記弾性部材側に向かって押圧され、前記ばね部材の弾発力に抗して該弾性部材が該可撓性部材と連動して変位することにより前記着座部から離間して前記流体通路が開成されることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、継手部の流体通路を開閉するオン/オフ弁の弾性部材と、負圧作用下に流体通路内の圧力流体を吸引する可撓性部材とを同軸状に且つ当接可能に設けるとともに、保持プレートに螺合され前記弾性部材の変位量を調整可能な調整ねじを備え、前記オン/オフ弁の弾性部材と前記可撓性部材とを連動して変位させる。従って、前記オン/オフ弁を駆動させる駆動装置を別個独立に設ける必要がなく、装置全体の小型化を図ることができる。
【0015】
また、本発明によれば、可撓性部材を変位させるパイロット圧を、給気弁並びに排気弁を有する制御部によって電気的に制御している。従って、前記可撓性部材の応答精度を高めることが可能となる。
【0016】
さらに、前記可撓性部材を電動リニアアクチュエータによって変位させることにより、該可撓性部材によって吸引される圧力流体の流量を安定させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係るサックバックバルブについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0018】
図1において参照数字20は、本発明の実施の形態に係るサックバックバルブを示す。このサックバックバルブ20は、一組のチューブ22a、22bが着脱自在に所定間隔離間して接続される継手部24と、前記継手部24の上部に一体的に設けられた本体部26とから構成される。
【0019】
継手部24は、一端部に第1ポート28が、他端部に第2ポート30が形成されるとともに、前記第1ポート28と第2ポート30とを連通させる流体通路32が設けられた継手ボデイ34と、前記第1ポート28および第2ポート30にそれぞれ係合し、且つチューブ22a、22bの開口部に接続されるインナ部材36と、前記継手ボデイ34の端部に刻設されたねじ溝に螺入することによりチューブ22a、22bの接続部位の液密性を保持するロックナット38とを有する。
【0020】
前記継手ボデイ34の中央部には、着座部40から離間しまたは前記着座部40に着座することにより流体通路32を開閉するオン/オフ弁42が設けられる。このオン/オフ弁42は、継手ボデイ34の凹部に張設され、撓曲または変形されて着座部40に着座する弾性部材44と、弾発力の作用下に前記弾性部材44の中央部を、常時、上方に向かって付勢するばね部材46とを有する。なお、参照数字48は、前記着座部40に近接して形成された切欠部を示す。
【0021】
継手ボデイ34の中央部には前記弾性部材44を保持する保持プレート50が設けられ、前記保持プレート50のねじ穴には前記弾性部材44の変位量を調整するねじ部材52が設けられる。また、前記ねじ部材52の一端部には、前記ばね部材46を保持する孔部54が形成される。さらに、前記ねじ部材52を所定位置に保持するロックナット56が設けられる。
【0022】
本体部26は、継手ボデイ34の上部に連結され、内部に形成された室58内にサックバック機構60が配設されたボンネット62と、前記ボンネット62の上部に連結され、前記室58を閉塞するカバー部材64とを含む。
【0023】
サックバック機構60は、ボンネット62と一体的に形成されたガイド部66の案内作用下に、矢印X1 またはX2 方向に変位するステム68と、前記ステム68のフランジに係着されその弾発力によって該ステム68を、常時、上方側(矢印X1 方向)に向かって付勢するばね部材70を有する。なお、ステム68には、環状溝を介してシール部材72が装着されている。
【0024】
ステム68の上部には該ステム68の上面部に係合する第1ダイヤフラム74が張設され、前記第1ダイヤフラム74の上方にはパイロット圧が供給されることにより該第1ダイヤフラム74を作動させる第1ダイヤフラム室(パイロット室)76が形成される。
【0025】
一方、ステム68の下部には、第2ダイヤフラム(可撓性部材)78によって閉塞される第2ダイヤフラム室80が形成され、また、ステム68の下端部に形成された複数の爪片82によって前記第2ダイヤフラム78の厚肉部が係止されることにより、第2ダイヤフラム78がステム68と一体的に変位するように設けられる。
【0026】
前記第2ダイヤフラム78の底面の中央部は、前述した弾性部材44と当接するように設けられ、前記ステム68の変位作用下に第2ダイヤフラム78と弾性部材44とが連動して動作するように設けられている。
【0027】
すなわち、第1ダイヤフラム室76にパイロット圧が供給されてステム68が下方側(矢印X2 方向)に変位することにより、第2ダイヤフラム78の厚肉部は、ばね部材46の弾発力に抗してオン/オフ弁42の弾性部材44を下方側(矢印X2 方向)に向かって押圧する。従って、前記オン/オフ弁42を構成する弾性部材44は、着座部40から離間して第1ポート28と第2ポート30とが連通状態となり、流体通路32に沿って圧力流体が流通する。
【0028】
また、第2ダイヤフラム78の上面部には、例えば、ゴム材料等によって形成され該第2ダイヤフラム78の薄肉部を保護するリング状の緩衝部材84が設けられ、前記緩衝部材84は、ステム68の下端部に連結された断面L字状の保持部材86によって保持される。
【0029】
この場合、サックバック機構60を構成する第2ダイヤフラム78は、オン/オフ弁42を構成する弾性部材44と同軸状に設けられている。ここで、同軸状とは、第2ダイヤフラム78の軸線と弾性部材44の軸線とが一致する場合、第2ダイヤフラム78の軸線と弾性部材44の軸線とが略平行に形成される場合、または第2ダイヤフラム78の軸線と弾性部材44の軸線とが所定角度傾斜して交叉する場合のいずれの場合をも含む。
【0030】
なお、前記ボンネット62には、第2ダイヤフラム室80を大気に連通させる通路88が形成され、前記通路88を介して第2ダイヤフラム室80内のエアーを給排気することにより第2ダイヤフラム78を円滑に作動させることができる。
【0031】
カバー部材64には、第1ダイヤフラム室76に連通し前記第1ダイヤフラム室76に圧力流体を供給するパイロット通路90が形成される。また、カバー部材64の中央部にはねじ穴が形成され、前記ねじ穴には第1ダイヤフラム74の変位量を規制するストッパ92が螺入される。前記ストッパ92は、ロックナット94によって所定位置に保持される。
【0032】
本発明の実施の形態に係るサックバックバルブ20は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0033】
まず、サックバックバルブ20の第1ポート28に連通するチューブ22aには、コーティング液が貯留されたコーティング液供給源96を接続し、一方、第2ポート30に連通するチューブ22bには、図示しない半導体ウェハに向かってコーティング液を滴下するノズル(図示せず)が設けられたコーティング液滴下装置98を接続する。また、パイロット通路90には、図示しない圧力流体供給源を接続しておく。
【0034】
このような準備作業を経た後、図示しない圧力流体供給源を付勢し、パイロット通路90に圧力流体(パイロット圧)を導入する。前記パイロット通路90から導入された圧力流体は第1ダイヤフラム室76に供給され、前記パイロット圧の作用下に第1ダイヤフラム74が撓曲してステム68を下方側(矢印X2 方向)に押圧する。
【0035】
従って、ステム68の下端部に連結された第2ダイヤフラム78が、ばね部材46の弾発力に抗してオン/オフ弁42の弾性部材44を下方側(矢印X2 方向)に向かって押圧することにより、前記第2ダイヤフラム78とオン/オフ弁42の弾性部材44とが当接した状態を保持しながら下方側(矢印X2 方向)に一体的に連動し、図1に示す状態に至る。この結果、前記オン/オフ弁42を構成する弾性部材44は、その変形作用下に着座部40から離間してオン状態となり、第1ポート28と第2ポート30とが連通する。
【0036】
このように、第1ダイヤフラム室76に供給されたパイロット圧の作用下にオン/オフ弁42がオン状態となることにより、コーティング液供給源96から供給されたコーティング液は、流体通路32に沿って流通し、コーティング液滴下装置98を介してコーティング液が半導体ウェハに滴下される。そして、図示しない半導体ウェハには、所望の膜厚を有するコーティング被膜(図示せず)が形成される。
【0037】
コーティング液滴下装置98を介して所定量のコーティング液が図示しない半導体ウェハに塗布された後、図示しない切換弁の切換作用下に第1ダイヤフラム室76に対するパイロット圧の供給を停止し、大気開放状態とする。
【0038】
この場合、第1ダイヤフラム室76が大気状態となることにより、ばね部材70の弾発力の作用下に、第1ダイヤフラム74、ステム68および第2ダイヤフラム78が上方側(矢印X1 方向)に向かって一体的に変位すると同時に、オン/オフ弁42を構成する弾性部材44がばね部材46の弾発力の作用下に変形する。
【0039】
オン/オフ弁42を構成する弾性部材44は、ばね部材46の弾発力の作用下に変形し、第2ダイヤフラム78に当接した状態を保持しながら着座部40に着座することにより、第1ポート28と第2ポート30との連通状態が遮断される。この結果、半導体ウェハに対するコーティング液の供給が停止し、コーティング液滴下装置98のノズル(図示せず)から半導体ウェハに対するコーティング液の滴下状態が停止する。その際、コーティング液滴下装置98のノズル内には、半導体ウェハに滴下される直前のコーティング液が残存しているため、液だれが生ずるおそれがある。
【0040】
オン/オフ弁42を構成する弾性部材44が着座部40に着座した後、第1ダイヤフラム74、ステム68および第2ダイヤフラム78は、ばね部材70の弾発力の作用下に、さらに上方側(矢印X1 方向)に向かって一体的に変位することにより、図2に示された状態に至る。
【0041】
すなわち、第1ダイヤフラム74はストッパ92の一端部に当接するまで上昇するとともに、ステム68を介して第2ダイヤフラム78が矢印X1 方向に向かって変位することにより、前記第2ダイヤフラム78は、オン/オフ弁42を構成する弾性部材44から同軸状に所定距離だけ離間する。そして、第2ダイヤフラム78が、図2に示されるように上方に向かって撓曲または変形することにより負圧作用が発生し、流体通路32内の所定量のコーティング液が、図2中、矢印A方向に沿って吸引される。この結果、コーティング液滴下装置98のノズル内に残存する所定量のコーティング液がサックバックバルブ20側に向かって戻されることにより、半導体ウェハに対する液だれを防止することができる。
【0042】
なお、図示しない切換弁の切換作用下に圧力流体供給源から第1ダイヤフラム室76にパイロット圧を導入することにより、第1ダイヤフラム74、ステム68および第2ダイヤフラム78が下方側(矢印X2 方向)に変位し、オン/オフ弁42を構成する弾性部材44がばね部材46の弾発力に抗して着座部40から離間することにより図1に示す状態に復帰し、半導体ウェハに対するコーティング液の滴下が開始される。
【0043】
本実施の形態では、ステム68および第2ダイヤフラム78を含むサックバック機構60と弾性部材44を含むオン/オフ弁42とを同軸状に設け、且つ吸引作用を発揮する第2ダイヤフラム78と流体通路32を開閉する前記弾性部材44とが連動するように構成している。
【0044】
この結果、本実施の形態では、従来技術と異なりサックバックバルブ20と切換弁装置間の配管接続作業を不要とし、前記切換弁装置および該切換弁装置を駆動させる駆動装置等を付設するための占有スペースを設ける必要がないという点で設置スペースの有効利用を図ることができる。
【0045】
また、本実施の形態では、従来技術における切換弁装置として機能するオン/オフ弁42をサックバック機構60と連動するように設け且つサックバック機構60と一体的に組み込んで構成することにより、従来技術と異なって前記切換弁装置を駆動させための駆動装置が不要となり、装置全体の小型化を図ることができる。従って、製造コストの低減化を達成することが可能となる。
【0046】
さらに、サックバックバルブ20と切換弁装置との間に配管を設ける必要がないため、流路抵抗が増大することが回避されることにより、パイロット圧によって作動する第1ダイヤフラム74の応答精度を高めることが可能となり、第2ダイヤフラム78を介して流体通路32内に残存するコーティング液を迅速に吸引することができる。
【0047】
次に、本発明の他の実施の形態に係るサックバックバルブ100を図3に示す。なお、図1に示すサックバックバルブ20と同一の構成要素には同一の参照数字を付し、以下、異なる構成要素についてのみ説明する。
【0048】
このサックバックバルブ100は、サックバック機構60に供給される圧力流体の圧力(パイロット圧)を制御する制御部102が設けられている点で図1に示すサックバックバルブ20と異なる。
【0049】
制御部102は、プレート104を介して本体部26と一体的に組み付けられたハウジング106を有し、前記プレート104には、圧力流体供給ポート108aおよび圧力流体排出ポート108bが形成されている。
【0050】
前記ハウジング106内には、前記パイロット通路90を介して第1ダイヤフラム室76に供給されるパイロット圧を制御し給気弁として機能する第1電磁弁110と、前記第1電磁弁110に供給された圧力流体を外部に排出することにより排気弁として機能する第2電磁弁112と、前記第1電磁弁110に供給されるパイロット圧を検出してその検出信号をメインコントロールユニット114に導出する圧力センサ115が配設されている。
【0051】
前記第1電磁弁110および第2電磁弁112は、それぞれノーマルクローズタイプからなり、メインコントロールユニット114からそれぞれ第1、第2電磁弁110、112の電磁コイル116に対して電流信号を導出することにより、弁体118a、118bが矢印X1 方向に吸引されて弁開の状態となる。
【0052】
前記圧力センサ115によって検出された圧力値等はLED表示器120に表示されるとともに、必要に応じて、コネクタ122を介して図示しないキー入力装置により設定した設定圧力値が前記LED表示器120に表示される。なお、前記メインコントロールユニット114には、制御・判断・処理・演算・記憶の各手段として機能する図示しないMPU(マイクロプロセッサユニット)が設けられ、該MPUから導出される制御信号によって第1電磁弁110および第2電磁弁112を付勢・滅勢することにより、第1ダイヤフラム室76に供給されるパイロット圧が制御される。
【0053】
また、前記プレート104には、圧力流体供給ポート108aと第1電磁弁110とを連通させる第1通路124と、第1電磁弁110と第2電磁弁112とを連通させる第2通路126と、前記第2通路126から分岐し圧力センサ115にパイロット圧を導入する第3通路128と、前記第2通路126から分岐し第1ダイヤフラム室76にパイロット圧を供給するパイロット通路90と、第2電磁弁112と圧力流体排出ポート108bとを連通させる第4通路130とが設けられている。
【0054】
この場合、メインコントロールユニット114から第1電磁弁110の電磁コイル116に電流信号が供給されたときに弁体118aが変位して弁開状態となり、第1通路124と第2通路126とが連通する。従って、圧力流体供給ポート108aから供給された圧力流体(パイロット圧)は、第1通路124、第2通路126およびパイロット通路90を介して第1ダイヤフラム室76に供給される。
【0055】
一方、メインコントロールユニット114から第2電磁弁112の電磁コイル116に電流信号が供給されたときに弁体118bが変位して弁開状態となり、第2通路126と第4通路130とが連通する。従って、第1ダイヤフラム室76内の圧力流体(パイロット圧)は、第4通路130並びに圧力流体排出ポート108bを通じて大気中に排出される。
【0056】
次に、本実施の形態に係るサックバックバルブ100の動作並びに作用効果について説明する。なお、図1に示すサックバックバルブ20と同一の動作並びに作用効果については、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0057】
図示しない圧力流体供給源を付勢し、圧力流体供給ポート108aに対し圧力流体を導入するとともに、図示しない入力手段を介してメインコントロールユニット114に入力信号を導入する。メインコントロールユニット114は、前記入力信号に基づいて第1電磁弁110にのみ電気信号を導出して弁開状態とする。その際、第2電磁弁112は、滅勢されて弁閉状態にある。
【0058】
従って、圧力流体供給ポート108aから導入された圧力流体(パイロット圧)は、第1通路124、第2通路126およびパイロット通路90を経由して第1ダイヤフラム室76に供給される。前記第1ダイヤフラム室76に供給されるパイロット圧の作用下に第1ダイヤフラム74が撓曲または変形してステム68を矢印X2 方向に押圧する。この結果、ステム68の下端部に連結された第2ダイヤフラム78およびオン/オフ弁42を構成する弾性部材44が一体的に変位し、前記弾性部材44が着座部40から離間することにより、第1ポート28と第2ポート30とが連通状態となる(図2中、二点鎖線参照)。そして、コーティング液供給源96から供給されたコーティング液は、サックバックバルブ100を通過しコーティング液滴下装置98を介して半導体ウェハに向かって滴下される。
【0059】
なお、前記第1ダイヤフラム室76に供給されるパイロット圧は、第3通路128を介して圧力センサ115に導入され、前記圧力センサ115から出力される検出信号がメインコントロールユニット114に導入されてフィードバック制御が行われる。
【0060】
このような状態において、前記メインコントロールユニット114は、第1電磁弁110に滅勢信号を導出して該第1電磁弁110を弁閉状態にすると同時に第2電磁弁112に付勢信号を導出して該第2電磁弁112を弁開状態とする。従って、第1ダイヤフラム室76に対するパイロット圧の供給が停止されるとともに、第1ダイヤフラム室76内に残存する圧力流体が第4通路130を介して大気中に排出される。その際、第1ダイヤフラム74は、ばね部材70の弾発力の作用下に矢印X1 方向に上昇し、図3に示された状態に至る。
【0061】
すなわち、第1ダイヤフラム74が上昇し、ステム68を介して第2ダイヤフラム78が矢印X1 方向に向かって一体的に変位することにより負圧作用が発生する。その際、流体通路32内の所定量のコーティング液が矢印A方向に沿って吸引される。この結果、コーティング液滴下装置98のノズル内に残存する所定量のコーティング液がサックバックバルブ100側に向かって戻されることにより、半導体ウェハに対する液だれを防止することができる。
【0062】
なお、再びコーティング液を滴下する場合には、メインコントロールユニット114から第1電磁弁110に付勢信号を導出してオン状態にするとともに、第2電磁弁112に滅勢信号を導出してオフ状態とすることにより初期状態に復帰し、半導体ウェハに対するコーティング液の滴下が開始される。
【0063】
本実施の形態では、メインコントロールユニット114によって電気的に制御される第1電磁弁110および第2電磁弁112によってパイロット圧を精度良く加減することができる。この結果、パイロット圧によって作動する第1ダイヤフラム74の応答精度を高めることが可能となり、流体通路32内に残存するコーティング液を迅速に吸引することができる。
【0064】
また、前記パイロット圧を制御部102を介して制御することにより、サックバック機構60によって吸引されるコーティング液の品質を損なうことなく、且つ吸引されるコーティング液の流量を安定させることができる。
【0065】
次に、本発明の他の実施の形態に係るサックバックバルブ140を図4に示す。
【0066】
このサックバックバルブ140では、電磁コイル142に発生する電磁力の作用下に変位するステム144を介してダイヤフラム78を撓曲または変形させている点で図1に示すサックバックバルブ20と異なっている。
【0067】
前記サックバックバルブ140は、継手部24の上部に連結された弁ボデイ146を介して電動アクチュエータとして機能するリニアボイスコイル型の弁駆動部148が一体的に設けられる。前記弁駆動部148はハウジング150を有し、前記ハウジング150の室152内には長尺なステム144が矢印X1 またはX2 方向に沿って変位自在に設けられる。前記室152内の上部中央には、図示しない固定ピンによって固定された固定鉄心154が設けられ、前記固定鉄心154は、ハウジング150の軸線方向に沿って所定長だけ延在するように形成されている。
【0068】
また、前記室152内には、前記固定鉄心154から所定距離離間し、支持部材156を介してハウジング150の内壁面に固着された固定極磁石158が設けられる。この場合、固定極磁石158と固定鉄心154との間で略水平方向の磁界が形成される。さらに、前記固定鉄心154と固定極磁石158との間には電磁コイル142が巻回された変位部材(ボビン)160が介装され、前記変位部材160は連結ピン(図示せず)を介してステム144と一体的に変位自在に設けられる。また、固定鉄心154と変位部材160との間には所定のクリアランスが形成されている。なお、参照数字162は、前記電磁コイル142に電流を流すためのリード線を示す。
【0069】
ハウジング150の内壁面には、前記支持部材156を介してガイド部材164がねじ締結され、前記ガイド部材164は、前記ステム144の凹部166と係合することにより該ステム144を直線状に案内するとともに、該ステム144の変位量を規制する機能を営む。
【0070】
前記ガイド部材164と反対側のハウジング150の内壁面には、支持部材168を介してエンコーダ170が固着される。前記エンコーダ170は、ハウジング150側に固定された図示しないフォトセンサと、ガラス基板に一定の間隔でスケール値が形成されステム144側に固着された図示しないガラススケールとを有する。この場合、ステム144の変位量がガラススケールを介して図示しないフォトセンサによって検出され、前記フォトセンサから導出される検出信号はリード線172を介して図示しない制御手段にフィードバックされる。従って、前記制御手段では、前記フォトセンサの検出信号に基づいてステム144の変位量を高精度に制御することができる。
【0071】
次に、本実施の形態に係るサックバックバルブ140の動作並びに作用効果について説明する。なお、前記実施の形態と同一の動作並びに作用効果については、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0072】
まず、図示しない電源を付勢して電磁コイル142に電流を流す。この場合、電磁コイル142に発生する電磁力(後述する)の作用下にステム144およびダイヤフラム78が矢印X2 方向に一体的に変位し、オン/オフ弁42を構成する弾性部材44が着座部40から離間して第1ポート28と第2ポート30とが連通した状態にある(図4中、二点鎖線参照)。
【0073】
従って、コーティング液供給源96から供給されたコーティング液は、サックバックバルブ140を通過しコーティング液滴下装置98を介して半導体ウェハに向かって滴下された状態にある。
【0074】
このような状態において、電磁コイル142に対して前記とは反対の極性を有する電流を流すと、固定極磁石158および固定鉄心154によって形成された磁界との相互作用により、いわゆるフレミングの左手の法則にしたがって前記電磁コイル142に電磁力が発生する。前記電磁力の作用下に、電磁コイル142が巻回された変位部材160およびステム144が矢印X1 方向に向かって一体的に変位する。この電磁力は、電磁コイル142に流される電流の大きさを適切に調節することによって所望の大きさおよび持続時間に調整することが可能であり、また前述したように、前記電磁コイル142に流される電流の極性を逆転させることにより、その力の向きを矢印X1 方向または矢印X2 方向に変えることが可能である。
【0075】
このように、電磁コイル142の電磁力の作用下にステム144を矢印X1 方向に向かって変位させることにより、ダイヤフラム78およびオン/オフ弁42を構成する弾性部材44が一体的に上昇し、前記弾性部材44が着座部40に着座することによりコーティング液の供給状態が停止される。そして、電磁コイル142によって発生する電磁力の作用下に変位部材160およびステム144がさらに上昇することによりダイヤフラム78が弾性部材44から離間し、前記ダイヤフラム78が図4に示されるような状態に撓曲または変形すると、該ダイヤフラム78の吸引作用下に流体通路32内の所定量のコーティング液が吸引される。この結果、コーティング液滴下装置98のノズル内に残存するコーティング液がサックバックバルブ140側に戻されることにより、半導体ウェハに対する液だれを防止することができる。
【0076】
本実施の形態では、電気制御によって吸引作用を営むダイヤフラム78を作動させているため、ダイヤフラム78の応答時間が短縮される。従って、オン/オフ弁42を構成する弾性部材44が着座部40に着座してコーティング液の供給を停止してから所定量のコーティング液を吸引するまでの動作を迅速に行うことができる。
【0077】
また、本実施の形態では、電気制御であるために高精度に制御することができ、しかも圧力流体供給源の圧力変動の影響を受けることがなく、サックバックバルブ140によって吸引されるコーティング液の流量を一定に保持することが可能となる。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0079】
すなわち、従来技術と異なりサックバックバルブと切換弁装置との間の配管作業を行う必要がなく、また前記切換弁装置を駆動させる駆動装置が不要となるため、設置スペースの有効利用を図り、装置全体の小型化を達成することができる。この結果、製造コストの低減化を図ることができる。
【0080】
また、サックバックバルブと切換弁装置との間を接続する配管が不要となるため、流路抵抗が増大することを抑制することができる。しかも、制御部を設けることによりパイロット圧を精度良く加減することができる。この結果、パイロット圧によって作動する可撓性部材の応答精度を高めることが可能となり、流体通路内に残存する圧力流体を迅速に吸引することができる。
【0081】
さらに、可撓性部材を電動リニアアクチュエータによって変位させることにより、可撓性部材の応答精度をより一層高めることができるとともに、該可撓性部材によって吸引される圧力流体の流量を、常時、一定に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るサックバックバルブの縦断面図である。
【図2】図1に示すサックバックバルブにおいて、ダイヤフラムが撓曲または変形して流体通路内のコーティング液を吸引する状態を示す動作説明図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係るサックバックバルブの縦断面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係るサックバックバルブの縦断面図である。
【図5】従来技術に係るサックバックバルブの縦断面図である。
【符号の説明】
20、100、140…サックバックバルブ
24…継手部 26…本体部
28、30…ポート 32…流体通路
34…継手ボデイ 40…着座部
42…オン/オフ弁 44…弾性部材
46、70…ばね部材 48…切欠部
60…サックバック機構 68、144…ステム
74、78…ダイヤフラム 76、80…ダイヤフラム室
90…パイロット通路 102…制御部
110、112…電磁弁 114…メインコントロールユニット
115…圧力センサ 142…電磁コイル
154…固定鉄心 158…固定極磁石
Claims (2)
- 一端部に第1ポートが形成され他端部に第2ポートが形成された流体通路を有する継手部と、
パイロット圧によって変位する可撓性部材の負圧作用下に前記流体通路内の圧力流体を吸引するサックバック機構と、
前記可撓性部材と同軸状に設けられ、ばね部材の弾発力によって変形することにより前記流体通路の内壁に形成された着座部に着座して前記流体通路を閉成する弾性部材と、前記弾性部材を保持する保持プレートと、前記保持プレートに螺合され前記弾性部材の変位量を調整可能な調整ねじとを有し、前記弾性部材が前記着座部に対して離間または着座することにより前記継手部の流体通路を開閉するオン/オフ弁と、
を備え、
前記弾性部材は、前記可撓性部材の中央の厚肉部と当接可能に設けられ、供給されるパイロット圧によって前記可撓性部材が前記弾性部材側に向かって押圧され、前記ばね部材の弾発力に抗して該弾性部材が該可撓性部材と連動して変位することにより前記着座部から離間して前記流体通路が開成されることを特徴とするサックバックバルブ。 - 一端部に第1ポートが形成され他端部に第2ポートが形成された流体通路を有する継手部と、
可撓性部材の変位作用下に前記流体通路内の圧力流体を吸引するサックバック機構と、
前記可撓性部材と同軸状に設けられ、ばね部材の弾発力によって変形することにより前記流体通路の内壁に形成された着座部に着座して前記流体通路を閉成する弾性部材と、前記弾性部材を保持する保持プレートと、前記保持プレートに螺合され前記弾性部材の変位量を調整可能な調整ねじとを有し、前記弾性部材が前記着座部に対して離間または着座することにより前記継手部の流体通路を開閉するオン/オフ弁と、
前記可撓性部材を変位させる電動リニアアクチュエータと、
を備え、
前記弾性部材は、前記可撓性部材の中央の厚肉部と当接可能に設けられ、前記電動リニアアクチュエータの駆動作用下に前記可撓性部材が前記弾性部材側に向かって押圧され、前記ばね部材の弾発力に抗して該弾性部材が該可撓性部材と連動して変位することにより前記着座部から離間して前記流体通路が開成されることを特徴とするサックバックバルブ。
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