JP4035378B2 - 押釦スイッチ用部材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、携帯電話、PDA等の携帯端末、電話機、カーステレオ、車載用ボードコンピュータ、オーディオ、計測器、パーソナルコンピュータ、ホームシアター用リモコン等の入力装置に用いられ、この入力装置のキートップ部にそれぞれのスイッチ機能を表示する表示部を有する押釦スイッチ用部材に関するものであり、より詳しくは、暗い所で表示部を照らし出すことのできる照光式の押釦スイッチ用部材とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の入力装置に用いられる押釦スイッチ用部材は、夜間時の使用において押釦スイッチの機能を示した表示部を照光するいわゆる照光機能が必要とされている。
【0003】
例えば、携帯電話機等の入力装置に使用される押釦スイッチ30では、図8又は図9に示したように、操作キーを構成する複数のキートップ部31を一体に形成したカバー基材32と回路基板33とが向かい合った状態で、目的とする入力装置の筐体内に組み込まれて押釦スイッチ30のスイッチ機能を実現できるようにしている。そして、暗い所でも押釦スイッチ30の機能がわかるように、各々の操作キーとなるのキートップ部31の天面部又は裏面部には、それぞれのスイッチ機能に応じた文字、符号又は図柄等の模様を施した表示部34が設けられており、回路基板33上に設けたLED35や電球36等の光源から発せられる直射光及びこの直射光が周辺の部材に反射して生じる反射光がキートップ部31の裏面部から天面部に透過することで、表示部34の表示内容が浮かび上がって視認できるようになっている。これにより、夜間時でも支障なく携帯電話等を使用することができる。
【0004】
また、より均一な明るさが要求される場合には、図10又は図11に示したように、LED35とキートップ部31との間に薄板上の導光部材37を挿入したり、光源として面発光するEL(エレクトロルミネセンス)シート38を使用することで発光表面積を大きくすることが試みられていた。
【0005】
しかしながら、LED35、電球36、ELシート38等の光源及び光源からの直射光を導く導光部材37は、回路基板33上の接点部39とキートップ部31との接触動作を阻害することのないよう、キートップ部31から離れた所に配置されているため、光源35,36,38や導光部材37と表示部34とが離れた位置関係となり、LED35や電球36の数を増やしたり、導光部材37を補ったり、或いはELシート38を用いた場合にあっては、部品点数が増加することによる設計の困難性が高くなる割には、暗い所で表示部34の表示内容を確認するだけの十分な光量を供給できない場合が生じ、その実効性に乏しかった。
【0006】
特に、電池駆動する携帯電話機にあっては、低消費電力が求められており、少ない数の光源で十分な光量を確保することが望まれるが、上述した従来の方法では光源から発せられる光の一部しか表示部34の視認性向上に寄与できず、大きな消費電力を使用しても視認性を向上することができないといった矛盾が生じていた。
【0007】
さらに、キートップ部31とこれに対応する固定基板33に設けた接点部39の間に、光源35,36,38や導光部材37を設けるため押釦スイッチ30の厚みを薄くすることができず、ひいては入力装置や機器本体の厚みを薄くすることに制約が生じると共に重量の増加を招くこととなっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、以上のような不具合を解消するため、特開平11−232954号公報又は特開2000−285760号公報に記載された発明のように、キートップ部の天面部に自発光する面発光体を設けて表示部の近傍に光源を取り付けることで、光の拡散と障害物による光量の損失を防ぐ工夫が行われているものが知られている。これらは、絶縁性透明フィルムに文字、符号又は図柄等の模様が施された表示部層、透明電極、発光体、誘電体、背面電極を形成した後、キートップ形状を成形するものである。
【0009】
より具体的には、透明電極は透明絶縁フィルム上に、酸化錫インジウ、酸化錫や酸化アンチモン錫をイオンスパッタリング等でセラミック層を形成したもの、或いはセラミック粉を透明絶縁性樹脂に分散混合した透明導電性インク、さらには透明な導電性高分子をスクリーン印刷等で形成したものである。背面電極には、銀ペーストやカーボンペースト或いは導電性高分子ペーストを用い、効率のよい発光を得るため、給電端子から発光部までの電圧低下をきたさないように、それぞれの電極に連なる導体を設け導電性を補っている。
【0010】
ところが、この従来の表示部の近傍に面発光体を有する押釦スイッチ用部材にあっては、環境安定性、特には、高湿下においては、透明電極或いはそれに連なる導体と、背面電極或いはそれに連なる導体との絶縁性が低下するという問題があった。
【0011】
そのため、この発明の発明者はこの発明より以前に、発光部以外では両者が異なる平面上に配置され、かつ重ならないようにすることを提案した。
【0012】
しかしながら、昨今の携帯端末の軽薄短小化、高密度化、多様化から、透明電極の導体と背面電極の導体とが重ならないように配線することは物理的に難しく、そのため、透明電極と背面電極との絶縁性を維持することが難しく、良好な発光品質を得ることが困難であるという問題を内包していた。
【0013】
そこで、この発明は、以上のような従来の表示部の近傍に面発光体を有する押釦スイッチ用部材の問題を解消するために考えられたものであって、透明電極の導体と背面電極の導体との十分な絶縁性を確保し、均一な発光をする表示部が効率よく得られ、携帯端末の軽薄短小化、高密度化、多様化にも対応し得る押釦スイッチ用部材とその製造方法を提供することを課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、回路基板上の固定接点に対向して配置される可動接点を前記固定接点に接触させる方向に押圧するための複数のキートップ部と、該キートップ部を所定の位置に配して前記回路基板上に取り付けるためのカバー基材とを有し、前記キートップ部には、識別機能又はスイッチ機能を表示する表示部と、該表示部に一体の面発光体とを有し、前記面発光体は、発光材料からなる発光体層が透明電極と背面電極との間に挟まれて、前記透明電極と前記背面電極間に交流を印加することで前記発光体層を発光させる構成を有する押釦スイッチ用部材の製造方法であって、平面状の基材フィルムに前記透明電極、前記発光体層、前記背面電極、前記透明電極と連なる導体、及び、背面電極に連なる導体を形成し、その際、前記発光体層は、前記基材フィルムの前記キートップ部の前記天面部に対応する位置に、前記キートップ部の前記天面部より小さく形成し、また、前記透明電極に連なる導体及び前記背面電極に連なる導体は、前記透明電極と前記背面電極のそれぞれに複数接続し、且つ、前記キートップ部に対応する位置以外において、前記透明電極に連なる導体と前記背面電極に連なる導体とが交差する部位を設けると共に前記両導体間に絶縁層を介在させ、更に、前記透明電極及び該透明電極に連なる導体と、前記背面電極及び該背面電極に連なる導体とは、前記キートップ部の側面に対応する位置で互いに重ならないように形成し、その後、前記各電極、前記発光体層、及び前記各電極と連なる前記各導体を形成した前記基材フィルムを、前記表示部の領域を除いて加熱して成形することで、前記キートップ部の側面に対応する位置を延伸させて、前記キートップ部の天面部に対応する位置を前記キートップ部に対応する位置以外の部位より***させ、前記キートップ部の天面部に対応する位置に発光体層が位置するように成形することを特徴とする。
【0015】
ここで、絶縁層とは、絶縁性を有する厚みを持った部材を意味し、単独又は複数の材料のいずれからなるものであってもよい。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成に加えて、前記複数のキートップ部は1つの絶縁性を有する基材フィルムに一体に設け、いずれか1つのキートップ部を操作したときに生じる前記基材フィルムの応力を他のキートップ部に伝えることを防ぐ応力遮断部が隣接するキートップ部同士を繋ぐ前記基材フィルムの前記平坦部に形成することを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成に加えて、前記絶縁層の厚み、少なくとも10μm以上にすることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項3の構成に加えて、前記絶縁層に、絶縁性中空粒子含有させることを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項3の構成に加えて、前記透明電極に連なる導体と背面電極に連なる導体とが重なる部位において、一方の導体を前記基材フィルムを貫通させて片面側から他面側へ配線し、該基材フィルムを前記絶縁層とすることを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一つに記載の構成に加えて、複数の前記キートップ部のそれぞれに設けられた複数の前記透明電極及び複数の前記背面電極を、前記透明電極に連なる導体及び前記背面電極に連なる導体により並列に接続することを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図1乃至図7によって説明する。
【0022】
[発明の実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1に係る押釦スイッチ用部材を示した要部断面図である。
【0023】
図1に示した実施の形態1に係る押釦スイッチ用部材1は、文字、符号又は図柄等の模様部とその背景部とからなり、少なくともそのいずれか一方が発光する表示部2をキートップ部3の天面部側に設けたものであって、表示部2に自発光する面発光体4を採用したものである。
【0024】
押釦スイッチ用部材1には、回路基板5上の固定接点6に対向させて配置される可動接点7が設けられている。具体的には、キートップ部3の裏面部中央に設けた押圧突部8の先端に可動接点7を形成し、キートップ部3を回路基板5側へ押圧することにより可動接点7が固定接点6へ接触できるようにしている。
【0025】
また、キートップ部3の外周部でかつ押釦スイッチ用部材1と回路基板5との間には、所定の位置に配された複数のキートップ部3を一体に形成したシリコーンゴム等の弾性材料のカバー基材(図示せず)が設けられており、キートップ部3を押圧した際にカバー基材の一部が回路基板5側に弾性変形して、キートップ部3から手を離した際にカバー基材の弾性復元力によりキートップ部3が元の位置に復帰できるようにしている。
【0026】
押釦スイッチ用部材1には複数のキートップ部3が配置されており、人間工学等の観点から、3次元の複雑な形状を有している場合が多く、キートップ部3の天面部は、キートップ部3以外の部分より***した形状となり、入力装置の筐体に設けられた開口部(図示せず)から突出している。表示部2は数字、文字又は図柄等の模様が採用され、キートップ部3の識別機能又はキートップ部3のスイッチ機能の説明を示すものが使われる。これら表示部2は、例えば文字色(模様部)と文字以外の背景色(地部)との色差によって識別されるが、必要に応じて視認性のよい色合いが選択されることとなる。
【0027】
プランジャー部等を形成する芯材15として充填される材料は、硬質又は軟質の樹脂や、エラストマーから選ばれる。熱可塑性又は熱硬化性、或いはペレット状又は液状等その性状を限定するものではないが、液状熱硬化性樹脂は注入作業が容易であり成形性の点で優れている。プランジャー部等の形成には、射出成形、トランスファー成形、ポッティング等によって行うことができ、予め成形したものを接着して設けることも可能である。
【0028】
キートップ部3の裏面部を除いた押釦スイッチ用部材1の外周表面には、基材フィルムである透明絶縁性フィルム9が被覆されており、この透明絶縁性フィルム9の裏面にはキートップ部3の側面からキートップ部3の天面部に達する範囲で、面発光体4の一方の電極となる透明電極10が設けられている。透明電極10の裏面及び透明電極10が設けられていない透明絶縁性フィルム9の裏面には、遮光性及び絶縁性を有する不透明着色層11が設けられている。
【0029】
そして、不透明着色層11には表示部2の文字、符号又は図柄等の形態に合わせた抜き型部12が形成されている。不透明着色層11の裏面には、抜き型部12を含めたキートップ部3の天面部の大きさより僅かに小さな大きさの発光体層13を設けている。したがって、抜き型部12は発光体層13で埋められ、文字、符号又は図柄等からなる模様部が形成され、この模様部と抜き型部12の周囲の不透明着色層11からなる背景部(地部)とによって表示部2のデザインが完成されることになる。そして、発光体層13の裏面には、もう一方の電極を形成する背面電極14を設けている。
【0030】
図2は、図1の天面部を拡大した要部拡大断面図である。
【0031】
不透明着色層11には透明着色層16が接触して設けられており、透明着色層16の一部が不透明着色層11の抜き型部12を埋めている。透明着色層16の裏面にはアンカーコート層17が設けられており、透明着色層16と透明電極10との密着性を高めるようにしている。アンカーコート層17は、透明着色層16に透明電極10との密着性を高める機能がある場合には省略することができる。
【0032】
透明電極10は必要以上に大きくすることのないようにすべきであり、背面電極14との絶縁を保つために、背面電極14に連なる導体Hとは重なることがないように、形成することが肝要である。透明電極と10と背面電極14との間には、発光材料からなる発光体18と誘電体層19とが挟まれている。発光体18と誘電体層19は透明電極10と背面電極14の絶縁性を保つ必要から、透明電極10と背面電極14が重なる部分においては、透明電極10を覆うように形成する必要がある。
【0033】
キートップ部3の天面部には表示部2があり、この表示部2が成形によって歪んだり延伸されることはないが、キートップ部3の側面の部分が成形により最も延伸される。そのため、キートップ部3の側面の部分に各層の周辺端部や、透明電極10とそれに連なる導体T及び背面電極14とそれに連なる導体Hが重なる部分があっては、剥離、断線が生じることになり兼ねないので、避けなければならない。また、成形のばらつき等による不慮の断線或いは抵抗値の上昇を避けるために、冗長回路として、複数の導電回路を透明電極10と背面電極14のそれぞれにほぼ法線方向に接続することは、発光の安定性に大変好ましい。
【0034】
透明絶縁性フィルム9は、厚みが25〜500μm程度のポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフロロエチレンプロピレン、ポリクロロトリフロロエチレン、ポリビニリデン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリアリレート、或いはスチレン系、ポリエステル系、ポリアミド系熱可塑エラストマーや、それらの共重合物、アロイ等の変性物の他、数種のフィルムをラミネーションした複層品等が使用できる。
【0035】
また、透明絶縁性フィルム9は、キートップ形状の形成が容易な、軟化点が100〜200℃、好ましくは50〜150℃の樹脂がよく、ガス透過の小さいものが望ましい。成形後、外側に酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物を蒸着法、ゾルゲル法等の方法でガスバリアー層として形成することや、透明樹脂等のオーバーコート層を形成することは、発光体層13や表示部2の意匠を保護し、長寿命化にとって好ましい。
【0036】
透明着色層16と不透明着色層11は、軟質の樹脂やエラストマーをバインダーにし、染料や顔料を混合したもので、透明絶縁性フィルム9に密着し、同じく延伸性のあるものがよく、同様の樹脂を用いることが好ましい。その厚みは1〜20μmとされるが、印刷等で設けやすい3μm以上で、全厚の薄い方が成形しやすいことから、10μm以下が好ましい。
【0037】
透明電極10に用いられる材料には、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリセレノフェン、ポリアズレン、ポリピレン、ポリカルバゾール、ポリピリダジン、ポリナフチレン、ポリフルオレンやそれらのアルキル化やアルコキシル化等の置換基を導入したポリエチレンジオキシチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ(3メチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3−チオフェン−β−エタンスルフォネール)、ポリメチルピロール、ポリ(3へキシルピロール)、ポリ(3−メチル−4−ピロールカルボン酸メチル)、ポリシアノフェニレンビニレン、ポリジメトキシフェニレンビニレン誘導体、或いはポリイソプレン変成物等の共役系導電性高分子が挙げられる。
【0038】
このうち、ドーパントの影響もあるが、酸素や湿度に安定性が高く、透明性があり導電性が高い、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン誘導体が好ましい。
【0039】
導電性高分子単体では、十分な抵抗を得ることができないため、ドーピングする必要があり、アクセプターとしてヨウ素、臭素等のハロゲン、PF、AsF、BF等のルイス酸、HF、HCl、HSO等のプロトン酸やパラトルエンスルホン酸、パラメトキシエチルトルエンスルホン酸等の有機酸、FeCl、TiCl等の遷移金属化合物、テトラシアノジメタン、テトラシアノテトラアザナフタレン、クロラニル等の有機物質或いはドナーとしてのLi、Na、K等のアルカリ金属、Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類金属等が挙げられる。
【0040】
温度、湿度による安定性を高めるため、脱ドープには注意が必要で、電解質アニオン、カチオンは避ける方がよく、導電性高分子との配位結合や共重合等は固定に対し有効な方法である。特に、ドーパントをAB2型のモノマーを出発原料とし、中心核分子から順次結合させて合成されたデンドリマーやポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン等のオリゴマー、ポリマー或いはフラーレン分子に導入し、官能基として担持することは簡便であり、透明絶縁性成形体やフィルムへの密着性が高まることから、特に望ましい。また、このような担体を中心に多官能となったドーパントは、導電的には、導電性高分子の分子間をブリッジさせ、安定化し抵抗を下げることにもなるため、非常に有用である。導電性高分子が封止された状態では脱ドープの影響は非常に小さくなるので、成形体中に収めるようにする方がよい。
【0041】
さらに、導電性を低下させるためには、導電性高分子を延伸し、導電性高分子の分子間距離を縮めることは有用で、賦形時の延伸を利用することができる。
【0042】
透明電極10の他の材料としては、酸化錫インジウム、酸化錫や酸化アンチモン錫をイオンスパッタリング等でセラミック層を形成したもの、或いはセラミック粉を透明絶縁性樹脂に分散混合した透明導電性インク等も挙げられるが、キートップ形状に延伸成形されるときに、抵抗が上昇してしまうことがないように、微細な導電性繊維を混合することによりその欠点を補う等の処置が必要である。導電性高分子は破断するまで導電性を維持するので、延伸成形を伴うこの発明には好都合である。
【0043】
発光体層13の構造は、電気−光変換のメカニズムを利用すればよく、表示部2の領域を均一に発光させ、樹脂の成形体との複合化を考えると、有機系の無機EL、有機EL或いはLEC(Light Emitting Electrochemical Cell、電気化学発光)等が挙げられ、この中でも膜厚制御が容易で、環境に対する安定性があり簡便な無機ELが適している。
【0044】
無機ELは対向する少なくとも一方が透明の2電極(透明電極10とベース電極14)間に、約5〜50μmの発光体18を設け、20〜100V、50〜400Hzの交流を印加して発光させる。携帯機器等の直流電池の場合には、インバーター等によって昇圧し、交流に変換する必要がある。
【0045】
発光体18は、硫化亜鉛等の無機蛍光体粉末をシアノエチルセルロース、シアノエチルサッカロース、シアノエチルプルラン、シアノエチルビニルアルコール等の高誘電体有機物バインダーに分散させ、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等で溶液化し、湿式にて加工を施すことができる。特に、発光体18には銅、鉄等の金属をドーピングし多色化が図られている。また、蛍光体をゾルゲル法等により、セラミックスでマイクロカプセル化し、耐湿性を高めたものが知られている。発光効率だけでなく基材への密着性や低い透湿性が求められる場合は、適宜使用することができる。接着性の低い導電性高分子からなる透明電極10に、良好に接着するためには、アンカーコートの材料と同等のものを用いることが望ましい。
【0046】
誘電体層19のバインダーには、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム等の高誘電体をさらに配合し、電界効率を上げることができる。透明電極10と背面電極14とを絶縁するには、両者の体積抵抗と膜厚が重要で、DC100V印加で1の13乗以上の体積抵抗が必要で、膜厚は少なくとも10μmは必要である。この絶縁性が低下すると、発光輝度が低くなり、発光効率が落ちるので注意が必要である。勿論、ピンホールや異物の混入等があってはならない。無溶剤インク等の高濃度インクを用いると、一度に膜厚が形成され、溶剤揮発によるピンホール等が低減し、絶縁性を維持しやすい。
【0047】
従来の面状光源として用いられる無機ELシートの面積は広いが、この発明は表示部2のみに採用するため、その面積は約1/5〜1/100となり、それに比例して消費電力を低減することができる。
【0048】
透明電極10と対向する背面電極14は、前述の導電性高分子でもかまわないが、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、白金等の金属又は合金、或いはタングステンカーバイト、炭化珪素、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性セラミックス微粒子の他、カーボンブラック、グラファイト等の導電性フィラーをエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の低架橋密度の熱硬化性樹脂、或いはポリアミド、ポリエステル、ポリアクリル、塩素化ポリオレフィンや未加硫合成ゴム、熱可塑性エラストマー等の分子量の大きな熱可塑性樹脂とすることは延伸性が高くなるので好ましい。
【0049】
バインダーの成形温度における貯蔵弾性率は、基材及び後述する絶縁性高分子薄膜20のそれより小さくて、それらより早く流動状態となり、容易に延伸されることが必要である。動的粘弾性を測定すると、その貯蔵弾性率は1桁以下、さらに好ましくは2桁以下であることが好ましい。動的粘弾性を測定するのに十分な試料の大きさがない場合は、微小硬度計を用い、試料が必要な温度に維持した状態で、大小の判別を行うことができる。
【0050】
透明電極10、発光体18、誘電体層19及び背面電極14からなる発光体層13の裏面は絶縁性を有する絶縁性高分子薄膜20が形成され、電気的に保護されている。
【0051】
透明電極10又は背面電極14に連なる導体T,Hは、背面電極14と同じ材料が用いられるが、導電性がよいことが好ましく、一般には銀ペースト、カーボンペーストが用いられる。
【0052】
透明電極10又は背面電極14に連なる導体T,Hは、図3に示したように、複数のキートップ部3を同電位に保ち、輝度むらをなくすため、導体T,Hを介して並列に繋がれており、発光部以外では、リーク電流が生じないように、最小限の面積で重なるように努めなければならない。
【0053】
特に、導体T,Hを引き回す面積に限界があるので、透明電極10又は背面電極14に連なる導体同士T,Hが交錯してしまう。このため、十分な絶縁性を与えるために、絶縁性インク等で絶縁層を両者の間に設けることが望ましい。図4に示したものは、導体Tと導体Hとが交差する部位に、絶縁層として絶縁性インク等を印刷した絶縁印刷層26を採用した例である。このように、絶縁層を印刷で形成した場合は、ピンホールに注意を払わなければならない。
【0054】
導体Tと導体Hとが交差する部位における両者の隔絶距離、言い換えると絶縁印刷層(絶縁層)26の厚みは10μm以上、より望ましくは20μm以上とすればよい。ここで、絶縁層を単独の部材で構成する場合には重ね印刷、若しくはインク固形分を高めたものを使用するほか、粒径の大きな絶縁性粒子、例えばガラス粒子、アクリル粒子、シリコーン粒子、スチレン粒子等を含有するものを用いて厚膜印刷すればよい。絶縁性粒子が中空であった場合は、誘電率が低下することから、交流駆動の発光体を用いるときには、特に好都合である。
【0055】
また、絶縁性を有する基材フィルムである透明絶縁性フィルム9を絶縁層として用いた場合には、高い絶縁性を確保することができる。この場合は、図5に示したように、透明絶縁性フィルム9に予め設けたスルーホールSを介して、透明電極10に連なる導体Tをこの導体Tが配置される一方の側から他方の側へ逃がすようにして配線し、交差する背面電極14に連なる導体Hとの間に透明絶縁性フィルム9を介在させることで、基材フィルムである透明絶縁性フィルム9が透明電極10に連なる導体Tと背面電極14に連なる導体Hとの絶縁層として機能させることができる。
【0056】
なお、透明絶縁性フィルム9を絶縁層として採用する場合には、絶縁層は当然透明であるが、キートップ部3の意匠との関係で不透明となることもあり、いずれかに限定されるものではない。
【0057】
また、図3又は6に示したように、キートップ部3を操作したときに、隣接するキートップ部3が連なって動くことのないようにしなければならず、そのため隣接するキートップ部同士3,3を繋ぐ透明絶縁性フィルム9の平坦部に切り欠き21を設け、個々のキートップ部3の独立性を保つことが必要である。ここで、切り欠き21は、いずれか1つのキートップ部3を操作した際に基材フィルムである透明絶縁性フィルム9に生じる応力が隣接するキートップ部3に伝わらないようにする応力遮断部であって、同様の作用を実現できるものであればこれに限らず、例えばスリットやその他の構成を採用してもよい。
【0058】
不透明着色層11、透明着色層16、発光体層13等の形成に当たっては、通常のスクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷、グラビア印刷、タンポ印刷、吹き付け塗装、ディップコーティング、スピンコーティング、蒸着等を用いる。
【0059】
キートップ形状の賦形は、通常用いられる、ブロー成形、真空成形、プレス成形等が採用される。表示部2の模様の位置ずれをなくすためには、プレス成形がよく、透明絶縁性フィルム9を、その表示部3の領域を除いて、熱変形温度に加熱し、金型に沿った形状に保持した後、除圧前に冷却すると精度のよい形状を得ることができる。延伸の速度が速いほど、導体T,Hの抵抗値が上昇しやすいため、100mm/分以下、望ましくは50mm/分以下がよい。
【0060】
[発明の実施の形態2]
図7は、この発明の実施の形態2に係る押釦スイッチ用部材の要部断面図である。
【0061】
図7に示した実施の形態2に係る押釦スイッチ用部材1は、文字、符号又は図柄等の模様部とその背景部とからなる表示部2をキートップ部3の中間部に設けたものであって、表示部2に自発光する面発光体4を採用したものである。
【0062】
実施の形態2に係る押釦スイッチ用部材1には、回路基板5上の固定接点6の配置に合わせてこの固定接点6と対向する位置に可動接点7を配するように弾性変形可能なドーム部22の内面に可動接点7を設けた接点シート部材23のドーム部22の中央部を押圧できる押圧突部8を有した芯材である第2樹脂成形体25と、この第2樹脂成形体25を覆う透明絶縁性フィルム9と、この透明絶縁性フィルム9の表面(上面)に所望のキートップ形状に成形された第1樹脂成形体24とが一体に設けられており、透明絶縁性フィルム9の裏面(下面)には、透明電極10が形成されている。
【0063】
透明電極10に裏面には、キートップ部3の天面部に当たる箇所に透明な着色インクで表示部2の模様部を形成した透明着色層16が形成されている。表示部2はキートップ部3の天面部の一部分に形成されるが、透明着色層16の裏面及び透明着色層16の周囲の透明電極10の裏面には、発光材料からなる発光体層13が設けられている。また、発光体層13の裏面には銀ペーストによる背面電極14が設けられている。
【0064】
なお、実施の形態2における各部材の材料については、実施の形態1と同様であるため、実施の形態1の説明を参照のこと。
【0065】
次に、実施の形態2に係る押釦スイッチ用部材の製造方法について説明する。
【0066】
まず、透明絶縁性フィルム9の裏面のキートップ部3が位置する箇所に、キートップ部3の天面の幅とほぼ等しい帯状の透明電極10を形成し、この透明電極10の上に透明な着色インクで表示部2の文字、符号又は図柄等の模様部を形成する。次に、発光材料を透明電極10及び透明着色層16の上に塗布して発光体層13を形成する。次に、発光体層13のキートップ部3の裏面部中央に当たる箇所を除いて、遮光性及び絶縁性を有する絶縁性インクを発光体層13の外周部と透明電極10の上に塗布して不透明着色層(絶縁層)11を形成する。発光体層13の上には対向電極として背面電極14を印刷し、不透明着色層(絶縁層)11の印刷エリア内に留める。
【0067】
次に、この印刷済みシートを圧空・真空成形やプレス成形等により所望の第2樹脂成形体25の形状に合わせた賦形加工を行い、キートップ部3の芯材となる第2樹脂成形体25が設けられる凹部を有する賦形シートを作成する。
【0068】
次に、賦形加工によって成形された賦形シートの凹部に背面電極14の上から芯材となる熱硬化性樹脂を注入して中央部に押圧突部8を有する第2樹脂成形体25の形状を金型内で造形し硬化させて、第1樹脂成形体24を除いた状態の押釦スイッチ用部材1を完成する。
【0069】
次に、芯材である第2樹脂成形体25を形成した透明絶縁性フィルム9の対応する位置の表面側に、予め所望のキートップ形状に形成した第1樹脂成形体24を接着固定して、押釦スイッチ用部材1を完成する。
【0070】
実施の形態2にあっては、発光体層13が第1樹脂成形体24と第2樹脂成形体25との間に配置されキートップ部3の中間部の位置に設けられているため、発光体層13が外部雰囲気からより隔離された環境状態に保たれているため、酸素や湿度の影響受けることがなく長期に使用しても発光性能が低下することがない。
【0071】
【実施例】
[実施例1]
実施例1は、この発明の実施の形態1に対応するものである。
【0072】
まず、100μmのポリメチルメタクリレートコート(アクリプレン、三菱レーヨン(株)製)の片面にスルホン化ポリスチレンをドーピングしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(デナトロン4001、長瀬産業(株)製)水溶液にその固形分に対し3%のマルチウォールナノチューブ(線径0.01μm、平均線長5μm、ハイペリオン社製)を、ホモジナイザーを用い分散させ透明な処理液を得た。
【0073】
この処理液を基材フィルムである透明絶縁性フィルム9の片面にグラビアコーターにより全面塗布し、1μm厚の透明電極10を形成した。透明電極10の全光線透過率は70%(JIS−K7105)で、表面抵抗500Ω/□(JIS−K6911)であった。
【0074】
次に、不透明着色層11を遮光性を有する絶縁性の黒色の着色インクで表示部2の背景部(地部)をスクリーン印刷で、表示部2及び背面電極14の電極端子28を除き全面に5μm厚で塗布した。
【0075】
緑色の発光色を有する硫化亜鉛をシアノエチルセルロースに分散させた無機ELペーストを背景部(地部)の抜き型部12に最小限の大きさで20μm厚の発光体18を印刷し、次いでチタン酸バリウム粉末をシアノエチルセルロースに分散させた10μm厚の誘電体層19を設けた。
【0076】
背面電極14となる誘電体層19の部分及び電極端子28を除き、28μm厚の絶縁層26を設けた。絶縁層26の材料は、塩素化ポリエチレン(スーパークロン、日本製紙(株)製)に20wt%の中空ガラス粒子(粒径10、東芝パロディーニ製)を混合したインクを使用した。
【0077】
最後に、銀ペースト(ドーデントNH−030A、熱可塑性ポリアミドバインダー、ニホンハンダ(株)製)で発光体18上に背面電極14とそれに連なる導体H及び電極端子28を設けた。なお、透明電極10に連なる導体Tと背面電極14に連なる導体Tとは5μm厚の不透明着色層11で間隔をあけて配置した。
【0078】
以上の印刷工程終了後、真空乾燥装置でよく乾燥させ印刷済みフィルムを得た。
【0079】
次に、直径12mm、深さ78mm、底面R50mmの凹曲面を有する12個のキャビティーを有する金型と、これにより型取りした硬度90度(ショア−A)の弾性体からなる雄型を用い、表示部2に断熱のため直径8mmの金属片を置き、赤外線照射により110℃に加熱し、金属片を取り去り直ちに、印刷済みフィルムを冷間で圧縮成形した。
【0080】
雄型を取り除いた後、芯材15として硬度80度(ショア−A)の液状シリコーンゴムを必要量注型し、押厚突部8の形状を有する第2の雄型により、芯材15に押圧突部8を成形した。押圧突部8の先端にカーボンブラックを含有するシリコーンインクにより可動接点7を形成し、押釦スイッチ用部材1を得た。
【0081】
押釦スイッチ用部材1の電極端子27,28と回路基板5上の電極端子とを接続し、60℃、95%RHの高温雰囲気中に500時間保存後、常温常湿の環境下に戻し、高湿発光体に50V、100Hzを印加すると、12個すべてのキートップ部3の表示部2は緑色の発光を呈し、輝度は5.8ニットであった。
【0082】
[実施例2]
実施例2は、この発明の実施の形態2に対応するものである。
【0083】
まず、基材フィルムである透明絶縁性フィルム9として、両面プラズマ処理を施した100μmのポリプロピレンフィルムの両面に15μmのエチレンビニルアルコールコポリマーフィルムをラミネートした。緑色の不透明着色インクで表示部2の背景部(地部)をスクリーン印刷で、表示部2を除き全面に塗布した。その上に、ポリアニリンの構造単位の1/6モルのスルホン化デンドリマー(DSM社のジアミノブタンとシアノエチレンを出発物質としたデンドリマー(商品名:DAB(PA)8)のベンゼンスルホン酸を反応させたドーパントを含むポリアニン溶液をインクジェット印刷により透明電極10を形成した。このポリアニン溶液を固形分の75wt%の銀粉(シルコート、福田金属箔粉工業(株)製)を混合した導電性ポリマーインクを表示部2の周囲から透明電極10の電極端子28まで、図4に示したように導体Tを引き回した。透明電極10の全光線透過率は65%(JIS−K7105)で、表面抵抗は700Ω/□(JIS−K56911)であった。
【0084】
青色の発光色を有する硫化亜鉛をシアノエチルセルロースに分散させた無機ELペーストにより、透明電極10を覆うように、厚さ15μmの発光体18を形成し、実施例1と同様に誘電体層19を設けた。次いで、背面電極14に連なる導体Hと交差する透明電極10に連なる導体T上に、ポリエステル(スタフィックス、富士写真フィルム(株)製)に25wt%の熱硬化アクリル粒子(粒径8μm、総研化学(株)製)を混合した絶縁性インクで覆い、厚さ15μmの絶縁層26を形成した。
【0085】
銀混合導電性ポリマーインクで、背面電極14とそれに連なる導体H及び電極端子28を形成した。以上の印刷工程終了後、真空乾燥装置でよく乾燥させ印刷済みフィルムを得た。
【0086】
3mm×5mm、深さ1mmの底面が平坦な有する12個のキャビティーを有する雌型と2.8mm×4.8mm、高さ0.9mmの天面が平坦な形状を有する雄型を用い、表示部2に断熱のため2.6mm×4.6mmの金属片を置き、赤外線照射により100℃に加熱し、金属片を取り去り直ちに、印刷済みフィルムを冷間で圧縮成形を行った。
【0087】
雄型を取り除いた後、酸素除去剤として10wt%の鉄粉を含む液状エポキシ樹脂を必要量注型し、押厚突部8の形状を有する第2の雄型により、芯材である第2樹脂成形体25に押圧突部8を成形した。さらに、透明絶縁性フィルム9の第2樹脂成形体に対応する位置の表面上に、予め所望形状に成形されたアクリル樹脂からなる第1樹脂成形体24を二液性アクリル接着剤で貼着した。得られた成形体の電極端子27,28をマスクして、アミノシラノールを触媒とするシラノール溶液に浸し、40℃で乾燥、反応させ、成形体表面に2μm厚のシリカ層を形成し、図3又は6に示したように、隣り合うキートップ部3,3同士の間の平坦な部分に切り欠き21をトムソン型にて打ち抜き形成し、押釦スイッチ用部材1を得た。
【0088】
押釦スイッチ用部材1の電極端子27,28と回路基板5上の電極端子とを接続し、60℃、95%RHの高温雰囲気中に500時間保存後、常温常湿の環境下に戻し、高温発光体に50V、100Hzを印加すると、12個すべてのキートップ部3の表示部2は緑色の発光を呈し、輝度は6.5ニットであった。
【0089】
[比較例1]
28μm厚の絶縁層26を除いた以外は実施例1と同じ仕様のものを製作し、比較例1とした。
【0090】
比較例1の押釦スイッチ用部材1を60℃、95%RHの高湿雰囲気中に500時間保存後、常温常湿の環境下に戻し、発光体18を点灯させたところ、12個のうち2箇所のキートップ部3が点灯せず、電極端子27,28から遠いキートップ部3ほどその明るさが低かった。
【0091】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1に記載された発明によれば、面発光体は透明電極と背面電極との間に発光体層を有し、透明電極に連なる導体と背面電極に連なる導体とが重なる部位には絶縁層が介在しているので、透明電極の導体と背面電極の導体との十分な絶縁性を確保される。これにより、均一な発光をする表示部が効率よく得られ、携帯端末の軽薄短小化、高密度化、多様化にも対応し得る押釦スイッチ用部材を提供することができる。
【0092】
請求項2に記載の発明によれば、複数のキートップ部は1つの絶縁性を有する基材フィルムに一体に設けられており、いずれか1つのキートップ部を操作したときに生じる基材フィルムの応力を他のキートップ部に伝えることを防ぐ応力遮断部が隣接するキートップ部同士を繋ぐ基材フィルムの平坦部に形成されているので、押圧操作したキートップ部の動きによって周辺のキートップ部が誤動作することがなくなるため、請求項1の効果に加え、より確実なスイッチングが保証できる押釦スイッチ用部材が完成される。
【0093】
請求項3に記載の発明によれば、絶縁層の厚みは少なくとも10μm以上であるので、十分な絶縁性能を確保することができるため、請求項1又は2の効果に加え、発光品質が一層向上する。
【0094】
請求項4に記載の発明によれば、絶縁層には絶縁性中空粒子が含有されているので、誘電率が低下することとなるから、請求項3の効果に加え、交流駆動の発光体を用いるときに特に好都合な押釦スイッチ用部材が得られる。
【0095】
請求項5に記載の発明によれば、透明電極に連なる導体と背面電極に連なる導体とが重なる部位において、一方の導体を基材フィルムを貫通させて片面側から他面側へ配線し、該基材フィルムを前記絶縁層としたので、基材フィルムを絶縁層として利用するため、請求項3の効果に加え、別途絶縁層を設けるための部材を必要としないため、製造が容易となりコスト低減を図ることができる。
【0096】
請求項6に記載の製造方法の発明によれば、平面状の基材フィルムに透明電極、発光体層、背面電極並びに透明電極と連なる導体と背面電極に連なる導体とを形成し、その後キートップ部及び外部電極と接続できる電極端子を賦形するようにしたので、平面状の基材フィルムの上に発光体層を印刷等の手段によりキートップ部の表示部に接して設けることが可能であるから、透明電極の導体と背面電極の導体との十分な絶縁性が確保された押釦スイッチ用部材を容易に製造することができる。これにより、均一な発光をする表示部が効率よく得られ、携帯端末の軽薄短小化、高密度化、多様化にも対応し得る押釦スイッチ用部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る押釦スイッチ用部材を示した要部断面図である。
【図2】図1の天面部を拡大した要部拡大断面図である。
【図3】同実施の形態1に係る押釦スイッチ用部材における導体のレイアウトの一例を示した平面図である。
【図4】同実施の形態1に係る押釦スイッチ用部材であって、透明絶縁フィルムとは別に絶縁層を採用した場合の透明電極に連なる導体と背面電極に連なる導体との交差部を示した要部拡大断面図である。
【図5】同実施の形態1に係る押釦スイッチ用部材であって、透明絶縁フィルムを絶縁層とした場合の透明電極に連なる導体と背面電極に連なる導体との交差部を示した要部拡大断面図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る押釦スイッチ用部材の平面図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係る押釦スイッチ用部材を示した要部断面図である。
【図8】従来の光源に発光ダイオードを使用した押釦スイッチ用部材の要部断面図である。
【図9】従来の光源に電球を使用した押釦スイッチ用部材の要部断面図である。
【図10】従来の導光部材を採用した押釦スイッチ用部材の要部断面図である。
【図11】従来の光源にELシートを使用した押釦スイッチ用部材の要部断面図である。
【符号の説明】
1 押釦スイッチ用部材
2 表示部
3 キートップ部
4 面発光体
5 回路基板
6 固定接点
7 可動接点
8 押圧突部
9 透明絶縁性フィルム(基材フィルム)
10 透明電極
11 不透明着色層(絶縁層)
12 抜き型部
13 発光体層
14 背面電極
15 芯材
16 透明着色層(絶縁層)
18 発光体
19 誘電体層
21 切り欠き(応力遮断部)
24 第1樹脂成形体
25 第2樹脂成形体(芯材)
26 絶縁印刷層(絶縁層)

Claims (6)

  1. 回路基板上の固定接点に対向して配置される可動接点を前記固定接点に接触させる方向に押圧するための複数のキートップ部と、該キートップ部を所定の位置に配して前記回路基板上に取り付けるためのカバー基材とを有し、前記キートップ部には、識別機能又はスイッチ機能を表示する表示部と、該表示部に一体の面発光体とを有し、前記面発光体は、発光材料からなる発光体層が透明電極と背面電極との間に挟まれて、前記透明電極と前記背面電極間に交流を印加することで前記発光体層を発光させる構成を有する押釦スイッチ用部材の製造方法であって、
    平面状の基材フィルムに前記透明電極、前記発光体層、前記背面電極、前記透明電極と連なる導体、及び、背面電極に連なる導体を形成し、
    その際、前記発光体層は、前記基材フィルムの前記キートップ部の前記天面部に対応する位置に、前記キートップ部の前記天面部より小さく形成し、
    また、前記透明電極に連なる導体及び前記背面電極に連なる導体は、前記透明電極と前記背面電極のそれぞれに複数接続し、且つ、前記キートップ部に対応する位置以外において、前記透明電極に連なる導体と前記背面電極に連なる導体とが交差する部位を設けると共に前記両導体間に絶縁層を介在させ、
    更に、前記透明電極及び該透明電極に連なる導体と、前記背面電極及び該背面電極に連なる導体とは、前記キートップ部の側面に対応する位置で互いに重ならないように形成し、
    その後、前記各電極、前記発光体層、及び前記各電極と連なる前記各導体を形成した前記基材フィルムを、前記表示部の領域を除いて加熱して成形することで、前記キートップ部の側面に対応する位置を延伸させて、前記キートップ部の天面部に対応する位置を前記キートップ部に対応する位置以外の部位より***させ、前記キートップ部の天面部に対応する位置に発光体層が位置するように成形することを特徴とする押釦スイッチ用部材の製造方法
  2. 前記複数のキートップ部は1つの絶縁性を有する基材フィルムに一体に設け、いずれか1つのキートップ部を操作したときに生じる前記基材フィルムの応力を他のキートップ部に伝えることを防ぐ応力遮断部が隣接するキートップ部同士を繋ぐ前記基材フィルムの前記平坦部に形成することを特徴とする請求項1に記載の押釦スイッチ用部材の製造方法
  3. 前記絶縁層の厚み、少なくとも10μm以上にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の押釦スイッチ用部材の製造方法
  4. 前記絶縁層に、絶縁性中空粒子含有させることを特徴とする請求項3に記載の押釦スイッチ用部材の製造方法
  5. 前記透明電極に連なる導体と背面電極に連なる導体とが重なる部位において、一方の導体を前記基材フィルムを貫通させて片面側から他面側へ配線し、該基材フィルムを前記絶縁層とすることを特徴とする請求項3に記載の押釦スイッチ用部材の製造方法
  6. 複数の前記キートップ部のそれぞれに設けられた複数の前記透明電極及び複数の前記背面電極を、前記透明電極に連なる導体及び前記背面電極に連なる導体により並列に接続することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載の押釦スイッチ用部材の製造方法。
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