JP4033985B2 - インテークドア制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室外の排気ガス濃度を検知し、外気が清浄状態であると外気導入モード側にし、外気が汚染状態であると内気(循環)モード側にするインテークドア制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インテークドア制御装置としては、例えば、「社団法人 自動車技術会学術講演会前刷集975」(1997年10月発行)の第149頁〜第152頁に記載のものが知られている。
上記従来出典には、車載のエアコンユニットの外気吸込口に設けられ、インテークドアアクチュエータにより外気モードと内気モードを切り換えるインテークドアと、車両に設置されて外気の排気ガス濃度を検出する排気ガスセンサーと、排気ガスセンサーからのセンサー信号を入力し、ガス濃度センサー値が設定しきい値以上であるか以下であるかで外気が清浄状態か汚染状態かを判断し、外気清浄状態では外気モードとし、外気汚染状態では内気モードとするように前記インテークドアを動作させるサーボモータの駆動制御を行なうコントロールユニットを備えた装置が記載されている。
【0003】
また、上述のインテークドア制御装置や空気清浄器などで用いられているガスセンサーにあっては、単体ばらつきや、経時劣化による変動,温度,湿度依存性などの変動要因が多く存在している。そこで、このような変動要因を補正する方法として、特開昭60−27849号公報に記載のものが公知である。この従来の補正方法にあっては、センサー値と清浄空気値時の値との比較によりガス濃度を求めるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の補正方法にあっては、排気ガスセンサーの変動要因に対する補正は行うことができても、ユーザーの個々の好みに応じて補正することはできなかった。すなわち、排気ガス臭を臭く感じるのには個人差があり、僅かなガスの臭気でも気になる人もいれば排気ガスの臭気を全く気にしない人もいる。また、内気モードに切り換えた場合、窓ガラスが曇り易くなるとともに車室中のCO2 濃度が高くなるため、ユーザーによっては、ある程度のガス臭気は我慢できても窓ガラスが曇ったり車室中のCO2 濃度が高くなったりすることの方が我慢できず、なるべく外気モードとしたいと感じる人もいる。ところが、上述の技術では、このようなユーザーの個々の好みに応じて補正を行うことができなかった。
【0005】
さらに、上記従来のインテークドア制御装置にあっては、ガス濃度センサー値が設定しきい値以上となると、インテークドアを外気モード位置から一気に内気モード位置にするガス濃度対応制御によりドア制御が行なわれるため、自車の前に車両割り込んできたときのような一発臭の発生時などのように、人の鼻が最も一番臭いと感じるような状況であってもガス濃度センサー値が設定しきい値以上にならないことにはインテークドアが内気モードへの切り換えが行なわれず、ドア動作の応答遅れにより、排気ガスの車室内侵入を許してしまうという問題がある。
そこで、一発臭の発生時にドア閉動作の応答を早めるべく設定しきい値をガス濃度の低い値に設定する案があるが、この場合、通常の市街地走行において内気循環によるリサーキュレーション位置(REC)の頻度がきわめて高くなり、車室内の換気効率が悪くなる(CO2 の濃度が増加)。
つまり、設定しきい値は、内気モードによる排気ガス侵入防止と外気モードによる車室内の良好な換気効率の確保とを両立させるように設定する必要があり、その設定自由度は限られた狭い範囲であり、設定しきい値の変更では一発臭の発生対策とはなり得ない。
【0006】
本発明は、ユーザーの個々の好みに応じた補正を行うことを可能として制御品質の向上を図り、かつ、これを安価に達成することを目的としている。そして、この目的を達成した上で、さらに、頻繁にドア閉制御に入る煩わしさがなく良好な換気効率の確保を図りながら、一発臭の発生時などの本当に必要な時にのみ高応答にて内気モードへの切り換えを行うようにして、いっそう制御品質を向上させることを第2の目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上述の目的を達成するために、図1のクレーム対応図に示すように、車載のエアコンユニットの吸込口に設けられ、インテークドアアクチュエータgにより外気モードと内気モードとに切り換えられるインテークドアaと、車両に設置されて外気の排気ガス濃度を検出する排気ガスセンサーbと、この排気ガスセンサーbからのセンサー信号を入力し、センサー信号に基づいて排気ガス濃度を演算する排気ガス濃度演算手段cと、この排気ガス濃度演算手段cで得られた排気ガス濃度に基づいて内気モードと外気モードとを切り換えるべくインテークドアアクチュエータの駆動を制御する吸入切換制御手段dと、を備えたインテークドア制御装置において、前記排気ガス濃度を任意に補正可能な感度調整手段eを設け、吸入切換制御手段dの切換制御を外気モードへの切換傾向を強めたり内気モードへの切換傾向を強めたり変更可能に構成し、前記排気ガス濃度演算手段cを、センサー信号の値であるセンサー値を基準となる清浄空気値で除算することで排気ガス濃度を演算するように構成し、かつ、清浄空気値には初期値とリミット値を与え、前記感度調整手段eを、排気ガス濃度の補正時には、前記清浄空気値の初期値とリミット値とを補正するよう構成され、前記排気ガス濃度演算手段は、エンジン始動後に所定時間を越えない時には、センサー値を前記感度調整手段により補正する前の予め設定された初期値に設定し、また、エンジン始動後所定時間が経過した時には、センサー値が清浄空気値を越えた場合に限り、清浄空気値の更新処理を行った後、前記排気ガス濃度を求める演算を実行するよう構成され、前記更新処理は、センサー値が前記リミット値を越えない範囲では、清浄空気値をセンサー値に設定し、センサー値がリミット値を越えた範囲では、清浄空気値を前記感度調整手段により補正する前の予め決められたリミット値に書き換える処理であることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
実施の形態1は全請求項に記載の発明に対応する。
【0009】
図2は実施の形態1のインテークドア制御装置を示す全体システム図である。
図2において、1はインテークドア、2は外気吸入口、3は内気吸入口、4は脱臭フィルタ、5はブロワ、6はブロワモータ、7はサーボモーター(請求の範囲のインテークドアアクチュエータに相当する)、8は排気ガスセンサー、9はドア位置センサー、10は車速センサー、11は外気温センサー、12はエアコン・コントロールユニット、13はインテークドア制御部、14はブロワ風量信号、15はコンプレッサ信号、16はモード信号である。
【0010】
前記インテークドア1は、ブロワ5の吸入側に配置され、インテークドアアクチュエータとしてのサーボモータ7により駆動される。そして、内気吸入口3を塞ぐインテークドア1のフレッシュ位置(FRE)では、100%の外気導入率つまり外気モードとなり、逆に、外気吸入口2を塞ぐインテークドア1のリサーキュレーション位置(REC)では、0%の外気導入率、つまり内気モードとなる。
また、前記インテークドア1とブロワ5との間には、活性炭等により排気ガス臭を防止する脱臭フィルタ4が配置されている。
【0011】
前記排気ガスセンサー8は、ガスの存在による抵抗値の変化を利用してガス濃度に応じた電圧信号Vsを出力する。つまり、ガスセンサー素子は、セラミック基板上にSnO2 を主成分として設けられたガス検出部と、ガスに対する反応を促進させるための加熱を行なうヒータ部とで構成され、この素子部に還元性ガスが反応すると酸化還元反応により電気抵抗が変化する。そして、この排気ガスセンサー8は、温度や湿度の変化が少なく排気ガスを高精度かつ効率的に検出できるフロントグリル部に設置される。空気の流れとしてインテークドア1の上流側でかつ排気ガスを最も早く検出できるフロントグリル部に排気ガスセンサー8を設けたことで、排気ガスの車室内侵入をより確実に防止することができる。
【0012】
前記ドア位置センサー9は、インテークドア1のドア開度位置を検出してインテークドア制御部13にドア開度フィードバック情報を与える。
前記車速センサー10は、車速Vcを検出して車速情報をインテークドア制御部13に与える。
前記外気温センサー11は、外気温AMBを検出して外気温情報をインテークドア制御部13に与える。
【0013】
前記エアコン・コントロールユニット12は、外気温,日射量の変化,乗員数の変動等による車室内温度変化を各種センサーにより検知し、一度好みの温度に設定すれば、常に車室内温度を一定に保つように、図示しない冷房サイクルやエンジン冷却水を利用した加熱・温度調節部を有し、吹出風温度,吹出風量,吸込口及び吹出口の切り換えをマイクロコンピュータにより自動制御する。
【0014】
前記インテークドア制御部13は、エアコン・コントロールユニット12に設定されている一つの制御部で、排気ガスによる外気の汚染状態を排気ガスセンサー8にて検知し、インテークドア1を駆動制御することで自動的に吸込口を切り換える制御を行なう。このインテークドア制御部13には、内部信号として、ブロワモータ電圧値によるブロワ風量信号と、エアコンのオン・オフを監視するためのコンプレッサ信号と、デフモード(DEF)かどうか、あるいは、オート・リサーキュレーションモード(オートREC)かどうか(オートエアコン制御処理で高熱負荷と判断したか?)を監視するためのモード信号が与えられる。
【0015】
次に、作用を説明する。
[インテークドア制御作動について]
図3は実施の形態1のインテークドア制御部13において実行されるインテークドア制御作動の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0016】
ステップ29では、サブルーチンコールにより後述のユーザーのスイッチ操作に基づいて感度調整処理が行われる。
ステップ30では、サブルーチンコールによって後述のガスセンサーA/D値GSADから演算用ガスセンサー値FGSCを得るガスセンサー値処理が行なわれる。
ステップ31では、イグニッションスイッチをOFFからONに切り換えてから60秒(電源投入からセンサー出力が安定するまでに十分な時間)が経過したかどうかが判断される。60秒の経過前においては、ステップ32へ進み、REC→FREへの遅延タイマのタイマカウンタが初期化される。
ステップ33では、吸込口を内気モード(REC)に固定するオートRECモードかどうかが判断され、オートRECモードが選択されている時には、排気ガス対応インテークドア制御を行なわずにリターンする。
ステップ34では、デフモード選択時かどうかが判断され、デフモード選択時には排気ガス対応インテークドア制御を行なわずにリターンする。
【0017】
ステップ35では、図7に示す制御特性グラフ−1とステップ30により得られた演算用ガスセンサー値FGSCに対応したドア開度が決定されると共に、遅延時間Rsec (例えば、20sec 〜30sec )が設定される。
続くステップ351では、演算用ガスセンサー値FGSC=0であるか否かを判定し、FGSC≠0ではそのままステップ36に進み、FGSC=0の場合はステップ352に進んで、目標ドア開度FTI=0に設定した後ステップ36に進む。
ステップ36では、REC→FRE方向への移動かどうかが判断され、NOの時(FRE→REC方向への移動時)にはステップ37へ進み、YESの時(REC→FRE方向への移動時)にはステップ39へ進む。
ステップ37では、遅延タイマのタイマカウンタが初期化される。
ステップ38では、ステップ35で決定したドア開度が目標ドア開度FTIとして設定される。
【0018】
ステップ39では、遅延時間Rsec が経過したかどうかが判断される。遅延時間Rsec を経過している場合、前記ステップ37及びステップ38へ進み、タイマカウンタの初期化と目標ドア開度FTIの設定が行なわれる。
ステップ40では、遅延時間Rsec の経過前は目標ドア開度FTIを保持する。
但し、全閉を保つ連続時間は、車室内CO2 濃度の増加を考慮し、最大15分以内とされる。この連続時間は、例えば、乗員センサーで乗員数を検出し、乗員数が多くなるほど短くすることにより、車室内CO2 濃度の増加を考慮した制御とすることもできる。
ステップ41では、ステップ38またはステップ40で設定された目標ドア開度FTIが得られる指令値もサーボモータ7に出力する。
【0019】
[感度調整処理について]
本実施の形態では、ユーザーの感度調整手段の操作に基づいて、内気モードへの制御傾向と外気モードへの制御傾向との一方を強め他方を弱める感度調整処理を実行する。
【0020】
図8は、感度調整手段を示すもので、手動により操作される感度調整用スイッチ20と、スイッチ操作に連動して感度レベルを表示する表示部21により構成されている。例えば、後述する初期値補正値OIGとリミット値補正値OLGとの値は車室内のインストパネルに設けられた感度調整用スイッチ20により7段階に調整される。また、表示部21おける表示が図示の位置である時にはDIG=A1,OLG=B1に設定されていることを示す。
【0021】
次に、図4は図3のステップ29における感度調整処理のフローチャートである。
ステップ291〜297は、感度調整用スイッチ20により感度補正値DGCOSTとして、−3〜3までのいずれの値が設定されているか否かを判定するステップであり、この感度補正値DGCOSTは、+側の値が大きいほど感度を高くし、−側の値が大きいほど感度を低くするものであり、また、DGCOST=0が初期設定感度であるノーマルの感度であることを示す。
【0022】
そして、感度補正値DGCOST=3の場合、ステップ301にて、初期値補正値OIG=A3,リミット値補正値OLG=B3と処理し、感度補正値DGCOST=2の場合、ステップ302にて、初期値補正値OIG=A2,リミット値補正値OLG=B2と処理し、感度補正値DGCOST=1の場合、ステップ303にて、初期値補正値OIG=A1,リミット値補正値OLG=B1と処理し、感度補正値DGCOST=0の場合、ステップ304にて、初期値補正値OIG=0,リミット値補正値OLG=0と処理し、感度補正値DGCOST=−1の場合、ステップ305にて、初期値補正値OIG=−A1,リミット値補正値OLG=−B1と処理し、感度補正値DGCOST=−2の場合、ステップ306にて、初期値補正値OIG=−A2,リミット値補正値OLG=−B2と処理し、感度補正値DGCOST=−3の場合、ステップ307にて、初期値補正値OIG=−A3,リミット値補正値OLG=−B3と処理し、感度補正値DGCOSTが−3〜3のいずれでもない場合、ステップ308にて、初期値補正値OIG=0,リミット値補正値OLG=0と処理する。
【0023】
[ガスセンサー値処理について]
図5及び図6はインテークドア制御部13で行なわれるガスセンサー値処理の流れを示すフローチャートである。
ステップ50〜ステップ57は、センサー測定値から排気ガス濃度を示すガスセンサー値GSC(0%〜100%)をガスセンサーA/D値GSADと清浄空気値GSMXにより演算するステップで、ガスセンサーA/D値GSADをそのままガス濃度に換算するのではなく、清浄空気値GSMXを基準値とすることでセンサー単体のバラツキ,温度,湿度特性を補正する(排気ガス濃度演算手段cに相当)。
【0024】
ステップ50では、ガスセンサーA/D値GSADが、GSAD=255−GSADの式により演算される。尚、式中のGSADは、排気ガスセンサー8から今回の処理にて読み込まれた測定によるガスセンサーA/D値であり、255の値から差し引いているのは、空気の汚れ度合い度合いを255bitであらわし特性を反転させていることによる。よって、ガスセンサーA/D値GSADの最大清浄空気値は255となり、最大汚れ空気値は0となる。
【0025】
ステップ51では、イグニッションスイッチをOFF→ONとしてから60秒の設定時間(電源投入からセンサー出力が安定するまでに十分な時間)が経過したかどうかが判断され、NOの時にはステップ52へ進み、YESの時にはステップ53へ進む。
ステップ52では、イグニッションスイッチをOFF→ONとしてから60秒を経過する前において、予め設定された初期値に初期値補正値OIGを加算した値が、ガスセンサーA/D値GSADとして設定される(請求項3の更新処理に相当)。なお、こうして設定されたガスセンサーA/D値は、後述するステップ56において、清浄空気値GSMXの初期値として設定されることになる。
ステップ53では、イグニッションスイッチをOFF→ONとしてから60秒を経過した後、ステップ50で得られたガスセンサーA/D値GSADと一番空気がきれいであることを示す清浄空気値GSMXとが比較される。ここで、清浄空気値GSMXは、イグニッションスイッチのONから前回の処理までの間において一番空気がきれいであることを示す値で、書き換え可能なRAMに記憶させている。
【0026】
ステップ54では、ステップ53での判断でYES、つまり、GSAD>GSMSである場合、ガスセンサーA/D値GSADと清浄空気値GSMXのリミット値とが比較される。ここで、清浄空気値GSMXのリミット値とは、いかに空気がきれいとしてもその値には限界があることで(最大限界値255)、予め決められている限界値である。
ステップ55では、ステップ54でGSAD>リミット値である時、ガスセンサーA/D値GSADが異常値であると判断し、リミット値にリミット値補正値OLGを加えた値を清浄空気値GSMXとしてメモリーし(請求項3の更新処理に相当)、ステップ56に進む。
ステップ56では、ステップ54でGSAD≦リミット値である時、ガスセンサーA/D値GSADが正常値であると判断し、ガスセンサーA/D値GSADが清浄空気値GSMXとメモリーされる。
ステップ57では、基準値である清浄空気値GSMXに対するガスセンサーA/D値GSADの比がガスセンサー値(排気ガス濃度)GSCとされる。
【0027】
図5のステップ52で用いられる初期値補正値OIGは、ガスセンサーA/D値GSADとして設定された後、ステップ56において清浄空気値GSMXとして設定されるものであり、また、ステップ55において、清浄空気値GSMXとしてリミット値にリミット値補正値GSADを加算した値を設定する。
このように設定された清浄空気値GSMXは、ガスセンサー値GSCを求める演算の分母に相当しているから、センサー出力であるガスセンサーA/D値が一定であっても清浄空気値GSMXを増加させると、ガスセンサー値GSCが低下して内気モードへの制御傾向が強くなり、逆に、清浄空気値GSMXを減少させるとガスセンサー値GSCが増加して外気モードへの制御傾向が強くなる。
つまり、臭気に対しては個人差あり、多少の臭気があっても気にならない人はなるべく内気モードにしない方が、窓ガラスの曇りや車室内のCO2 増加を防止することができ、逆に、わずかな臭気があっても気になる人は、なるべく内気モードに制御したい要求がある。
これに対し、外部からの調整操作により各清浄空気値GSMXを増減させることにより、上記のように内気・外気モードの傾向を強めて臭気に対する個人差に対応することができる。
しかも、感度調整手段を、手動により操作される感度調整用スイッチ20と、スイッチ操作に連動して感度レベルを表示する表示部21により構成したため、視覚認識しながらの簡単なスイッチ操作により感度を調整できる。
【0028】
図6において、ステップ58〜ステップ66は、ステップ57で求められたガスセンサー値(排気ガス濃度)GSC(0%〜100%)の微分処理を行ない、目標ドア開度FTIを決める最終的な演算用ガスセンサー値FGSC(0〜255bit)を演算するステップである。
【0029】
ステップ58では、微分時間ΔAsecを経過したかどうかが判断される。
ステップ59では、前回のガスセンサー値OGSCと今回のガスセンサー値GSCとの差により時間ΔAsec当りのセンサー値変化量であるGSC微分値DTGSが求められる(請求項7の微分値演算手段d1に相当)。
ステップ60では、GSC微分値DTGSが0よりも大きいか否か、すなわちDTGS>0かどうかが判断される。
【0030】
ステップ61では、ステップ60での判断がDTGS≦0である時、つまり、ガス濃度状態変化が安定または清浄方向である時、GSC微分値DTGSがDTGS=0にセットされる。
ステップ62では、ステップ60での判断がDTGS>0である時、つまり、ガス濃度状態変化が汚れ方向である時、前回のGSC微分値0DTGS=0かどうか、つまり、前回のガス濃度状態変化が安定または清浄方向であるかどうかが判断される(第1判定手段に相当)。
ステップ63では、今回のガス濃度状態変化であるGSC微分値DTGSが、汚れ方向の設定値である微分しきい値DGC以上であるかどうかが判断される(第2判定手段に相当)。
【0031】
ステップ64では、前回のガス濃度状態変化が安定または清浄方向であるとのステップ62の判断と今回のGSC微分値DTGSが微分しきい値DGC以上であるとのステップ63での判断に基づいて、外気が汚れ方向に移行すると予測し、ガスセンサー値GSCをGSC=0、つまり、インテークドア1を全閉とする値にセットされる(外気汚れ予測制御手段に相当)。
ステップ65では、GSC微分値DTGSが前回のGSC微分値0DTGSにセットされる。
ステップ66では、ガスセンサー値GSCが演算用ガスセンサー値FGSCとしてセットされる。
【0032】
[外気汚れ予測制御について]
ガス濃度対応制御によりドア開閉制御を行なった場合、車両割り込みによる一発臭の発生時等のように人の鼻が最も一番臭いと感じるような状況であってもガス濃度を示す演算用ガスセンサー値FGSCが設定しきい値以上にならないことにはインテークドア1の全閉駆動が行なわれず、ドア閉動作の応答遅れにより、排気ガスの車室内侵入を許してしまう。
【0033】
そこで、ガスセンサー値GSCの微分値DTGSがガス濃度上昇を示す値であるという今回の微分値条件のみでRECへドアを閉じる制御を行なう案が考えられる。しかし、この場合、今回の微分値DTGSの大きさでのみ制御が行なわれるため、ノイズの入り易いシステムや応答が良すぎるガスセンサーとの組み合わせでは、頻繁にRECへ閉じてしまう制御となってしまって、とても煩わしくなる。また、結果として、RECへ閉じる実行時間が長くなるため、車室内の換気効率が悪い制御となってしまう。
【0034】
これに対し、実施の形態1では、図6のステップ62,63,64に示すように、ステップ62での前回のガス濃度状態変化が汚れ方向であり、かつ、ステップ63での今回のGSC微分値DTGSが微分しきい値DGC以上であるとの判断時、今後、一発臭の発生時等により人の鼻が一番臭いと感じる状況の時であると予測し、この外気が汚れ方向に移行するとの予測に基づいてガスセンサー値GSCをGSC=0にセットし、図3に示すフローに従ってインテークドア1が全閉とされる。
【0035】
上記のように、前回のガス濃度状態変化が図9(イ) に示すように安定方向または図9(ロ) に示すように清浄方向である時に限って、今回のGSC微分値DTGSの大きさによりドア閉制御を行なうため、頻繁にドア閉制御に入る煩わしさがなく良好な換気効率の確保を図りながら、一発臭の発生時等の本当に必要な時にのみ高応答にてドア閉制御が行なわれることになる。
【0036】
[外気汚れ予測制御と排気ガス濃度対応制御との併用制御について]
上記外気汚れ予測制御のみを行なう場合、一発臭の発生時等での高応答ドア閉制御を行なうことができても、外気の汚れが慢性的に高レベルであって、ガス濃度変化が小さい市街地走行時等では、インテークドア1は全開のままで排気ガスの車室内侵入を許すことになる。
【0037】
これに対し、実施の形態1では、図3のフローチャートに示すように、外気汚れ予測制御によりインテークドア1を全閉にする以外のガス状態では、図7に示す制御特性グラフ−1とステップ30により得られた演算用ガスセンサー値FGSCに対応し、外気の汚れ度が低い外気清浄状態では吸込口を外気モードとし、外気の汚れ度が高い外気汚染状態では吸込口を内気モードとするインテークドア1の排気ガス濃度対応ドア制御が行なわれる。
よって、一発臭の発生時等での高応答ドア閉制御と、それ以外の走行時における排気ガス侵入防止と車室内換気確保を両立するドア開閉制御とを併せて達成することができる。
【0038】
[遅延制御について]
走行中に目標ドア開度が全閉から全開へ移行した時、その指令が出ると直ちにインテークドア1を全開とすると、車室内の排気ガス臭を脱臭フィルタ4により除去する時間が不足したり、頻繁にドア動作が行なわれることになる。
【0039】
そこで、インテークドア制御を示す図3のフローチャートにおいて、ステップ36→ステップ39へ進むREC→FREへのドア開時には、遅延時間Rが設定され、全開指令が出ても遅延時間Rを待ってインテークドア1が開動作をするようにしている。
よって、遅延制御により、残った排気ガス臭がなくなるまでの時間を確保することができるし、頻繁にドア動作する煩わしさを無くすこともできる。
【0040】
[窓曇り対応制御について]
走行中、窓曇りを取り除くための操作を行なっているにもかかわらず排気ガス対応インテークドア制御が行なわれると、窓曇りがなかなか消えないことになってしまう。
そこで、インテークドア制御を示す図3のフローチャートにおいて、ステップ34から明らかなように、窓曇りを取り除くための操作と推定することができるデフモード選択時には、排気ガス対応インテークドア制御を行なわない。
これによって、排気ガス対応インテークドア制御に窓曇り対応制御を取り込むことができる。
【0041】
又、オートエアコン制御において、クールダウン制御のように、高負荷(熱)の場合、空気が清浄であっても、オートエアコン制御を優先とする制御(通常制御)に移行する(ステップ33)。
【0042】
(その他の実施の形態)
実施の形態1では、ガス濃度演算値として清浄空気値GSMXを基準とするガスセンサー値GSCを用いる例を示したが、排気ガスセンサーからの測定値をA/D変換した値をガス濃度演算値とする例であっても良い。
実施の形態1では、ガスセンサー値GSCを微分して外気汚れを予測して、より製品品質を高めた例を示したが、請求項1〜6に記載した感度調整を行う発明としては、外気汚れ予測は実行しなくてもよい。
実施の形態1では、感度調整手段として、感度調整用スイッチとしきい値レベルの表示部による手段の例を示したが、ダイヤルスイッチやレベル毎に多数設けたボタンスイッチ等のような他の調整手段を用いても良い。
実施の形態1では、外気汚れ予測制御手段と排気ガス濃度対応ドア制御手段とを併用する例を示したが、外気汚れ予測制御手段のみを適用しても良いもので、この場合、例えば、微分値条件を満足してドアが全閉にされると、設定タイマー時間だけドア全閉を維持して、タイマー時間経過後にドアを開ける制御を行なったり、また、微分値条件を満足してドアが全閉にされると、その後の排気ガス濃度の変化状態を監視し、清浄方向あるいは清浄な値になるとドアを開ける制御を行なうようにしても良い。
実施の形態1では、インテークドア制御として、図7の実線特性に示すように、排気ガス濃度を示す演算用ガスセンサー値がしきい値以上か未満かでドアの全開と全閉をオン・オフ的に制御する例を示したが、例えば、図7の点線特性に示すように、演算用ガスセンサー値に応じて目標ドア開度を徐々に変化させる無段階制御としても良い。この無段階制御の場合、制御特性をインテークドア開度に対する臭気強度の相関特性に基づいて設定することで、車室内のCO2 濃度上昇抑制と排気ガス臭官能値抑制とをうまく両立させることができる。
【0043】
【発明の効果】
請求項1記載の発明にあっては、車室外の排気ガス濃度に対応してインテークドアの開閉制御を行うインテークドア制御装置において、排気ガス濃度を任意に補正可能な感度調整手段を設け、吸入切換制御手段の切換制御を外気モードへの切換傾向を強めたり内気モードへの切換傾向を強めたり変更可能に構成したために、ユーザーが、個人の好みに応じて、換気を主体とした外気モードへの切換傾向を強めたり、排気ガスの臭いをできるだけ嗅ぐことのないように内気モードへの切換傾向を強めたりすることができ、よって、各ユーザーが基準となり、全ての変更要因に対する補正領域を狭く設定することが可能となり、本来ユーザーが求めている制御に簡単な構成により近付けて制御品質の向上を図ることができるという効果を奏する。
また、このように感度を任意に変更させるにあたり、排気ガス濃度の演算値を補正するようにしているから、吸入切換制御手段における制御内容、例えばマップや制御しきい値などを変更する必要がない。よって、上述の制御品質の向上を安価に達成することができるという効果を奏する。
また、排気ガス濃度演算手段を、センサー信号の値であるセンサー値を基準となる清浄空気値で除算することで排気ガス濃度を演算するよう構成し、かつ、清浄空気値に初期値とリミット値を与え、感度調整手段を、排気ガス濃度の補正時には、前記清浄空気値の初期値とリミット値とを補正するよう構成したために、センサー値をそのままガス濃度に換算するのではなく清浄空気値を基準値とすることで、センサー単体のばらつき,温度,湿度特性を補正するもので、これによって、制御精度が向上し、制御品質の向上を図ることができるという効果を奏し、さらに、感度調整手段は、排気ガス濃度を求める演算に使用する清浄空気値を加減するだけで済み、補正のための演算が容易であり、本発明装置を安価に提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインテークドア制御装置を示すクレーム対応図である。
【図2】実施の形態1のインテークドア制御装置を示す全体システム図である。
【図3】実施の形態1のインテークドア制御部で行なわれる排気ガス対応インテークドア制御作動の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1のインテークドア制御部で行なわれる感度調整制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1のインテークドア制御部で行なわれるガスセンサー値処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施の形態1のインテークドア制御部で行なわれるガスセンサー値処理(微分処理)の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1のインテークドア制御部で行なわれる排気ガス濃度対応ドア制御で用いられる目標ドア開度特性図である。
【図8】実施の形態1の感度調整制御による補正値を調整する感度調整用スイッチと調整レベルの表示部の例を示す図である。
【図9】実施の形態1の外気汚れ予測制御でインテークドアを全閉とする制御が実行されるガス濃度微分値変化パターンを示す図である。
【符号の説明】
a インテークドア
b 排気ガスセンサー
c 排気ガス濃度演算手段
d 吸入切換制御手段
d1 微分値演算手段
d2 第1判定手段
d3 第2判定手段
d4 外気汚れ予測制御手段
e 感度調整手段
f メモリ手段
g インテークドアアクチュエータ
Claims (1)
- 車載のエアコンユニットの吸込口に設けられ、インテークドアアクチュエータにより外気モードと内気モードとに切り換えられるインテークドアと、
車両に設置されて外気の排気ガス濃度を検出する排気ガスセンサーと、この排気ガスセンサーからのセンサー信号を入力し、センサー信号に基づいて排気ガス濃度を演算する排気ガス濃度演算手段と、
この排気ガス濃度演算手段で得られた排気ガス濃度に基づいて内気モードと外気モードとを切り換えるべくインテークドアアクチュエータの駆動を制御する吸入切換制御手段と、
を備えたインテークドア制御装置において、
前記排気ガス濃度を任意に補正可能な感度調整手段を設け、吸入切換制御手段の切換制御を外気モードへの切換傾向を強めたり内気モードへの切換傾向を強めたり変更可能に構成し、
前記排気ガス濃度演算手段は、センサー信号の値であるセンサー値を基準となる清浄空気値で除算することで排気ガス濃度を演算するよう構成され、かつ、清浄空気値には初期値とリミット値が与えられ、前記感度調整手段は、排気ガス濃度の補正時には、前記清浄空気値の初期値とリミット値とを補正するよう構成され、
前記排気ガス濃度演算手段は、エンジン始動後に所定時間を越えない時には、センサー値を前記感度調整手段により補正する前の予め設定された初期値に設定し、また、エンジン始動後所定時間が経過した時には、センサー値が清浄空気値を越えた場合に限り、清浄空気値の更新処理を行った後、前記排気ガス濃度を求める演算を実行するよう構成され、前記更新処理は、センサー値が前記リミット値を越えない範囲では、清浄空気値をセンサー値に設定し、センサー値がリミット値を越えた範囲では、清浄空気値を前記感度調整手段により補正する前の予め決められたリミット値に書き換える処理であることを特徴とするインテークドア制御装置。
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