JP4032338B2 - インクジェット式記録装置、及び、インクジェット式記録ヘッドの駆動方法 - Google Patents

インクジェット式記録装置、及び、インクジェット式記録ヘッドの駆動方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4032338B2
JP4032338B2 JP2000398812A JP2000398812A JP4032338B2 JP 4032338 B2 JP4032338 B2 JP 4032338B2 JP 2000398812 A JP2000398812 A JP 2000398812A JP 2000398812 A JP2000398812 A JP 2000398812A JP 4032338 B2 JP4032338 B2 JP 4032338B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
waveform
pressure chamber
drive pulse
waveform element
ink
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000398812A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001171115A (ja
Inventor
俊 華 張
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2000398812A priority Critical patent/JP4032338B2/ja
Publication of JP2001171115A publication Critical patent/JP2001171115A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4032338B2 publication Critical patent/JP4032338B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク体積が異なる複数種類のインク滴を同一のノズル開口部から吐出可能なインクジェット式記録装置、及び、このインクジェット式記録装置に用いるインクジェット式記録ヘッドの駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット式記録装置は、列状に並べた状態で形成された多数のノズル開口部を備える記録ヘッドと、この記録ヘッドを主走査方向(記録紙幅方向)に移動させるキャリッジ機構と、記録紙を副走査方向(紙送り方向)に移動させる紙送り機構とを備えている。
【0003】
上記の記録ヘッドは、ノズル開口部に連通した圧力室とこの圧力室内のインク圧力を変化させる圧力発生素子とを備えている。この記録ヘッドでは、駆動パルスを圧力発生素子に供給することで圧力室内のインク圧力を変化させ、ノズル開口部からインク滴を吐出させる。
【0004】
上記のキャリッジ機構は、記録ヘッドを主走査方向に移動させる。この移動中において記録ヘッドは、ドットパターンデータにより規定されるタイミングでインク滴を吐出させる。そして、記録ヘッドが移動範囲の終端に達したならば、紙送り機構は記録紙を副走査方向に移動させる。記録紙の移動を行ったならば、キャリッジ機構は記録ヘッドを再度主走査方向に移動させ、記録ヘッドは移動中にインク滴を吐出する。
【0005】
以上の動作を繰り返し行うことにより、ドットパターンデータに基づく画像が記録紙上に記録される。
【0006】
この記録装置は、インク滴を吐出するか否か、つまりドットの有無により画像を構成するものである。このため、この記録装置では、1つの画素を4×4、8×8等の複数のドットで表現することによって中間階調を表現する方法が採用されている。そして、この方法で高い画質の画像を記録するためには、体積の極く小さいインク滴を記録ヘッドから吐出させる必要がある。しかしながら、インク滴の体積を極く小さくすると、記録速度が遅くなるという別の問題が生じる。
【0007】
このような事情に鑑み、画質の向上と記録速度の向上という相対する要求を満たすため、同一のノズルにより異なる大きさのインク滴を吐出させる技術が提案された。
【0008】
例えば、特公平4-15735号公報や米国特許第5,285,215号明細書にて開示された技術では、微小なインク滴を生成可能なパルス信号を複数供給することにより、同一のノズルから微小なインク滴を複数吐出させ、記録紙上に着弾する前に各インク滴を合体させて大きなインク滴を生成する。
【0009】
しかしながら、これらの技術では、合体可能なインク滴の数が限られてしまうので、インク滴の大きさが限られてしまうし、大きさの可変範囲も狭い。さらに、着弾前に複数のインク滴を合体させなければならないので、制御も困難である。
【0010】
そこで、吐出させるインク滴の体積に応じた複数種類の駆動パルスを一連に接続した駆動信号を発生して、この駆動信号から得られた駆動パルスを圧力発生素子に供給する技術が考えられている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この技術において、複数種類の駆動パルスを単純に接続しただけでは、次の問題が生じる。
【0012】
第1の問題は、1ドットを記録するために必要な駆動周期が長くなってしまうことである。即ち、この技術では、吐出させるインク体積の種類だけ駆動パルスを接続する必要があり、接続した駆動パルスの数だけ駆動周期が長くなってしまう。そして、駆動周期が長くなってしまうと、記録速度が遅くなってしまう。
【0013】
第2の問題は、インク体積の違いに伴ってインク滴の飛行速度が異なってしまうことである。例えば、大ドットを形成する大インク滴と中ドットを形成する中インク滴とを比較すると、大インク滴は中インク滴よりも飛行速度が速い。そして、インク滴同士の体積の差を大きくすると、飛行速度に大きな差が生じてしまう。そして、この飛行速度の違いによりインク滴の着弾位置にズレが生じ、画質が損なわれてしまう。
【0014】
この発明は上記に鑑み提案されたものである。そして、発明の目的は、インク体積が異なる複数種類のインク滴を発生させる駆動パルスを、限られた駆動周期の中に効率良く収めることである。
【0015】
また、この発明の他の目的はインク体積の違いに伴うインク滴の飛行速度の違いを少なくすることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために提案されたものであり、ノズル開口部に連通する圧力室に対応して設けられた圧力発生素子を有する記録ヘッドを備え、圧力発生素子を作動させるための駆動パルスを圧力発生素子に供給して各ノズル開口部からインク滴を吐出させるインクジェット式記録装置において、
駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、駆動信号から駆動パルスを生成する駆動パルス生成手段とを有し、
駆動信号発生手段が発生する駆動信号は圧力発生素子を作動させる波形要素と圧力発生素子を作動させない接続要素とを含み、尚且つ、接続要素は波形要素同士間の異なる電圧レベルを接続し、
駆動パルス生成手段は、波形要素を選択することにより複数種類の駆動パルスを生成することを特徴とするインクジェット式記録装置である。
【0017】
また、好ましくは、前記駆動信号発生手段における接続要素の傾斜部分の発生時間を、圧力発生素子を作動させる波形要素の傾斜部分の発生時間以下に設定する。
【0018】
また、好ましくは、前記波形要素は、インク滴を吐出させるように圧力発生素子を作動させる吐出波形要素を複数含み、
接続要素により吐出波形要素同士を連結する。
【0019】
また、好ましくは、前記波形要素は、圧力室内にインクを充填させるように圧力発生素子を作動させる充填波形要素を含み、
駆動パルス生成手段は、吐出波形要素と充填波形要素とを選択する際のタイミングにより、複数種類の駆動パルスを生成する。
【0020】
また、好ましくは、前記波形要素は、異なるタイミングでインク滴を吐出させるように圧力発生素子を作動させる複数の吐出波形要素を含み、
駆動パルス生成手段は、吐出されるインク滴の体積が異なり、尚且つ、小さい体積のインク滴の吐出タイミングが大きい体積のインク滴の吐出タイミングよりも早期になるように複数種類の駆動パルスを生成する。
【0021】
また、好ましくは、前記波形要素は、異なるタイミングでインク滴を吐出させるように圧力発生素子を作動させる複数の吐出波形要素を含み、
駆動パルス生成手段は、小ドットを形成し得る小インク滴を吐出させ得る小ドット駆動パルスと、中ドットを形成し得る中インク滴を吐出させ得る中ドット駆動パルスと、大ドットを形成し得る大インク滴を吐出させ得る大ドット駆動パルスとを生成し、
駆動パルス生成手段によって生成される各駆動パルスは、小ドット駆動パルスの吐出波形要素よりも前に、大ドット駆動パルスの吐出波形要素或いは中ドット駆動パルスの吐出波形要素の一方が配置され、小ドット駆動パルスの吐出波形要素よりも後に、大ドット駆動パルスの吐出波形要素或いは中ドット駆動パルスの吐出波形要素の他方が配置されている。
【0022】
また、好ましくは、前記波形要素は、大ドットを形成し得る大インク滴を吐出させる第1の大ドット吐出波形要素及び第2の大ドット波形吐出要素と、他のドットを形成するためのインク滴を吐出させる他ドット吐出波形要素とを含み、尚且つ、第1の大ドット吐出波形要素及び第2の大ドット吐出波形要素の間に他ドット吐出波形要素を配置し、
駆動パルス生成手段は、第1の大ドット吐出波形要素及び第2の大ドット吐出波形要素からなる駆動パルスを生成する。
【0023】
また、好ましくは、前記波形要素は、大ドットを形成し得る大インク滴を吐出させる複数の大ドット吐出波形要素と、他のドットを形成するためのインク滴を吐出させる他ドット吐出波形要素とを含み、尚且つ、大ドット吐出波形要素同士の間に他ドット吐出波形要素を配置し、
また、好ましくは、駆動パルス生成手段は、少なくとも一つの吐出波形要素からなる駆動パルスを生成する。
【0024】
また、好ましくは、前記大インク滴を吐出させ得る複数の波形要素が、実質的に同一形状の波形である。
【0025】
また、好ましくは、前記大ドット吐出波形要素が2つであり、等間隔に配置される。
【0026】
また、好ましくは、前記波形要素は、圧力室内にインクを充填させるように圧力発生素子を作動させる充填波形要素を複数含むと共に、インク滴を吐出させるように圧力発生素子を作動させる吐出波形要素を含み、
接続要素により充填波形要素同士を連結し、
駆動パルス生成手段は、選択した一の充填波形要素と吐出波形要素とから一の駆動パルスを生成する。
【0027】
また、好ましくは、前記波形要素と接続される接続要素の接続端部を、電圧が一定の定電圧部とする。
【0028】
本発明は、駆動パルスが入力されることにより圧力室を膨張収縮させて圧力室内のインク圧力を変動させる圧力発生素子を有し、上記圧力変動によりノズル開口部からインク滴を吐出させるインクジェット式記録装置であって、
駆動信号を発生させる駆動信号発生手段と、駆動信号から駆動パルスを生成する駆動パルス生成手段とを有し、
駆動パルス生成手段は、圧力室を膨張させ、変化後の膨張状態を保持する膨張波形要素と、膨張波形要素によって膨張状態が保持された圧力室をさらに膨張させる第1の充填波形要素と、第1の充填波形要素によって膨張された圧力室を収縮させてインク滴を吐出させる第1の吐出波形要素とを含む第1駆動パルスを生成するインクジェット式記録装置である。
【0029】
また、好ましくは、前記膨張波形要素による膨張状態保持時間を、圧力室の固有振動周期よりも長く設定する。
【0030】
また、好ましくは、前記駆動パルス生成手段は、圧力室を収縮させ、この収縮状態を保持する収縮波形要素と、収縮波形要素によって収縮状態が保持された圧力室を膨張させてインクを充填する第2の充填波形要素と、第2の充填波形要素によって膨張された圧力室を収縮させてインク滴を吐出させる第2の吐出波形要素とを含む第2駆動パルスを生成する。
【0031】
また、好ましくは、前記膨張波形要素を、圧力室を複数段階に膨張させる段階的膨張波形要素によって構成する。
【0032】
また、好ましくは、前記収縮波形要素を、圧力室を複数段階に収縮させる段階的収縮波形要素によって構成する。
【0033】
また、好ましくは、少なくとも一つの駆動パルスを複数の波形要素に分割し、分割した波形要素の間に、他の駆動パルスを構成する波形要素を混在させて一連の駆動信号を構成し、
駆動パルス生成手段は、分割した波形要素を選択的に連結することにより、駆動パルスを生成する。
【0034】
また、好ましくは、少なくとも一つの駆動パルスの膨張波形要素を複数の膨張部分要素に分割し、これらの膨張部分要素の間に、他の駆動パルスの吐出波形要素を混在させて一連の駆動信号を構成する。
【0035】
また、好ましくは、少なくとも一つの駆動パルスの収縮波形要素を複数の収縮部分要素に分割し、これらの収縮部分要素の間に、他の駆動パルスの吐出波形要素を混在させて一連の駆動信号を構成する。
【0036】
また、好ましくは、前記膨張波形要素の一部を構成する膨張要素を駆動信号の先頭部に配置し、第1吐出波形要素を駆動信号の終端部に配置する。
【0037】
また、好ましくは、分割された波形要素同士間の異なる電圧レベルを接続要素によって接続する。
【0038】
また、好ましくは、前記圧力発生素子をたわみ振動モードの圧電振動子によって構成する。
【0039】
また、好ましくは、前記圧力発生素子を縦振動モードの圧電振動子によって構成する。
【0040】
また、好ましくは、前記圧力発生素子を縦振動モードの圧電振動子によって構成し、
中間電圧から電圧を降下する波形要素の終端をグランド電圧から5V以下の電圧範囲内に設定し、
上記波形要素の終端を接続要素によって接続する。
【0041】
本発明は、分割された波形要素同士を接続要素で接続した一連の駆動信号を発生し、接続要素よりも前に配置された波形要素と接続要素よりも後に配置された波形要素とを駆動信号から選択し、これらの選択された波形要素同士を連結することによって駆動パルスを生成し、該生成した駆動パルスを圧力発生素子に供給してインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドの駆動方法である。
【0042】
本発明は、圧力室を膨張させ、この膨張状態を所定時間に亘って保持し、膨張状態が保持された圧力室をさらに膨張させた後に収縮させてインク滴を吐出させる駆動パルスを、圧力発生素子に供給してインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドの駆動方法である。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明を適用するインクジェット式記録装置の機能ブロック図である。
【0044】
このインクジェット式記録装置は、プリンタコントローラ1とプリントエンジン2とから構成されている。プリンタコントローラ1は、ホストコンピュータ(図示せず)等からの印刷データ等を受信するインターフェース3と、各種データの記憶等を行うRAM4と、各種データ処理のための制御ルーチン等を記憶したROM5と、CPU等からなる制御部6と、発振回路7と、記録ヘッド8へ供給する駆動信号を発生する駆動信号発生回路9と、ドットパターンデータ(ビットマップデータ)に展開された印字データや駆動信号等をプリントエンジン2に送信するためのインターフェース10とを備えている。なお、駆動信号発生回路9は、本発明における駆動信号発生手段の一種である。
【0045】
インターフェース3は、例えばキャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータのいずれか1つのデータまたは複数のデータからなる印刷データをホストコンピュータ等から受信する。また、インターフェース3は、ホストコンピュータに対してビジー(BUSY)信号やアクノレッジ(ACK)信号等を出力することができる。
【0046】
RAM4は、受信バッファ4a、中間バッファ4b、出力バッファ4cおよびワークメモリ(図示せず)等として利用されるものである。受信バッファ4aには、インターフェース3が受信したホストコンピュータからの印刷データが一時的に記憶される。中間バッファ4bには、制御部6によって中間コードに変換された中間コードデータが記憶される。出力バッファ4cには、階調データをデコードした後のドットパターンデータが展開される。なお、これについては後述する。
【0047】
ROM5は、制御部6によって実行される各種制御ルーチン、フォントデータ、及び、グラフィック関数等を記憶している。
【0048】
制御部6は、受信バッファ4a内の印刷データを読み出して中間コードに変換する。そして、制御部6は、変換した中間コードデータを中間バッファ4bに記憶する。また、制御部6は、中間バッファ4bから読み出した中間コードデータを、ROM5内のフォントデータおよびグラフィック関数等を参照してドットパターンデータに展開する。この展開されたドットパターンデータは、必要な装飾処理が行われた後、出力バッファ4cに記憶される。
【0049】
記録ヘッド8の1行分に相当するドットパターンデータが得られると、この1行分のドットパターンデータは、インターフェース10を介して記録ヘッド8にシリアル伝送される。出力バッファ4cから1行分のドットパターンデータが出力されると、中間バッファ4bの内容が消去されて、次の中間コードに対する変換が行われる。
【0050】
プリントエンジン2は、記録ヘッド8と、紙送り機構11と、キャリッジ機構12とから構成されている。紙送り機構11は、紙送りモータ及び紙送りローラ等からなり、記録紙等の印刷記録媒体を順次送り出す。即ち、紙送り機構11は記録動作における副走査を行う。キャリッジ機構12は、記録ヘッド8を搭載するキャリッジと、このキャリッジを、タイミングベルト等を介して走行させるパルスモータ等とからなる。このキャリッジ機構12は、記録動作における主走査を行う。
【0051】
記録ヘッド8は、副走査方向に並べられて多数(例えば64個等)形成されたノズル開口部13(図2に示す)を有し、各ノズル開口部13からインク滴を吐出させる。
【0052】
ドットパターンデータに展開された印字データ(SI)は、発振回路7からのクロック信号(CK)に同期して、インターフェース10を通じて選択信号発生部22にシリアル伝送される。この選択信号発生部22は、ラッチ信号(LAT)の受信によって印字データに応じた選択信号を発生し、発生した選択信号を電圧増幅器であるレベルシフタ23に供給する。ここで、選択信号とは、駆動信号発生回路9からの駆動信号(COM)から必要な部分を選択させるための信号である。
【0053】
レベルシフタ23は、供給された選択信号に基づいて、スイッチ回路24にスイッチ信号を出力する。スイッチ回路24の入力側には駆動信号が入力されており、スイッチ回路24の出力側には圧電振動子25が接続されている。そして、このスイッチ回路24は、スイッチ信号が入力されると接続状態になる。なお、上記の圧電振動子25は、本発明の圧力発生素子の一種である。
【0054】
上記の印字データは、スイッチ回路24の作動を制御する。例えば、印字データが「1」である期間中は、選択信号発生部22から選択信号が出力され、レベルシフタ23からスイッチ信号が出力される。これにより、駆動信号が圧電振動子25に供給され、この駆動信号に応じて圧電振動子25は変形する。一方、スイッチ回路24に加わる印字データが「0」の期間中は、圧電振動子25への駆動信号の供給が遮断される。
【0055】
そして、圧電振動子25の変形に伴って、ノズル開口部13からはインク滴が吐出する。
【0056】
次に、記録ヘッド8について詳しく説明する。まず、記録ヘッド8の構造について説明する。図2に例示した記録ヘッド8は、たわみ振動モードの圧電振動子25を取り付けた記録ヘッド8である。
【0057】
この記録ヘッド8は、複数の圧力室31を形成したアクチュエータユニット32と、ノズル開口部13及び共通インク室33を形成した流路ユニット34と、圧電振動子25と備えている。そして、アクチュエータユニット32の前面には流路ユニット34を接合し、アクチュエータユニット32の背面には圧電振動子25を設ける。
【0058】
圧力室31は、圧電振動子25の変形に伴って膨張収縮し、圧力室31内のインク圧力を変化させる。そして、この圧力室31内のインク圧力の変化によってノズル開口部13からインク滴を吐出させる。例えば、圧力室31を急激に収縮させることで圧力室31内を加圧し、ノズル開口部13からインク滴を吐出させる。
【0059】
アクチュエータユニット32は、圧力室31を形成する空部が形成された圧力室形成基板35と、この圧力室形成基板35の前面に接合される蓋部材36と、この圧力室形成基板35の背面に接合されて空部の開口面を塞ぐ振動板37とから構成されている。蓋部材36には、共通インク室33と圧力室31とを連通させるための第1インク流路38と、圧力室31とノズル開口部13を連通させるための第2インク流路39とを形成してある。
【0060】
流路ユニット34は、共通インク室33を形成する空部が形成されたインク室形成基板41と、多数のノズル開口部13が穿設され、インク室形成基板41の前面に接合されるノズルプレート42と、インク室形成基板41の背面に接合される供給口形成板43とから構成されている。
【0061】
インク室形成基板41には、ノズル開口部13に連通するノズル連通口44を形成してある。また、供給口形成板43には、共通インク室33と第1インク流路38とを連通するインク供給口45と、ノズル連通口44と第2インク流路39とを連通する連通口46とを穿設してある。
【0062】
従って、この記録ヘッド8には、共通インク室33から圧力室31を通ってノズル開口部13に至る一連のインク流路が形成されている。
【0063】
圧電振動子25は、振動板37を挟んで圧力室31の反対側に形成されている。この圧電振動子25は平板状であり、圧電振動子25の前面には下部電極48が形成され、背面には圧電振動子25を覆うようにして上部電極49が形成されている。
【0064】
また、アクチュエータユニット32の両端部には、基端部分が各圧電振動子25の上部電極49に導通する接続端子50が形成されている。この接続端子50の先端面は、圧電振動子25よりも高く形成されている。そして、接続端子50の先端面には、フレキシブル回路基板51が接合され、接続端子50及び上部電極49を介して圧電振動子25に駆動波形を供給する。
【0065】
なお、圧力室31、圧電振動子25、及び、接続端子50は、図ではそれぞれ二つしか示していないが、ノズル開口部13に対応して多数設けられている。
【0066】
この記録ヘッド8では、駆動パルスが入力されると上部電極49と下部電極48との間に電圧差が生じる。この電位差により圧電振動子25は、電界とは直交する方向に収縮する。このとき、振動板37に接合された圧電振動子25の下部電極48側は収縮せずに上部電極49側だけが収縮するため、圧電振動子25及び振動板37は、圧力室31側に突出するように撓み、圧力室31の容積を収縮させる。
【0067】
そして、ノズル開口部13からインク滴を吐出させる場合には、例えば、圧力室31を急激に収縮させる。即ち、圧力室31が急激に収縮されると圧力室31内にはインク圧力の上昇が生じ、この圧力上昇に伴ってノズル開口部13からはインク滴が吐出される。また、インク滴の吐出後に、上部電極49と下部電極48との間の電圧差をなくすと、圧電振動子25及び振動板37が元の状態に戻る。これにより、収縮されていた圧力室31内が膨張し、共通インク室33からインク供給口45を通して圧力室31にインクが供給される。
【0068】
次に、記録ヘッド8の電気的構成について説明する。
【0069】
この記録ヘッド8は、図1に示すように、選択信号発生部22、レベルシフタ23、スイッチ回路24及び圧電振動子25等を備えている。なお、これらの選択信号発生部22、レベルシフタ23およびスイッチ回路24は、本発明における駆動パルス生成手段として機能する。
【0070】
そして、図3に示すように、レベルシフタ23は、ノズル開口部13に対応して設けた複数のレベルシフタ素子23a〜23nを備える。同様に、スイッチ回路24も複数のスイッチ素子24a〜24nを備える。また、圧電振動子25も複数の圧電振動子25a〜25nから構成される。
【0071】
選択信号発生部22からの選択信号は、印字データに基づいて、レベルシフタ素子23a〜23nに対して選択的に供給される。スイッチ素子24a〜24nは、この選択信号に基づいて選択的に接続状態が制御される。
【0072】
各スイッチ素子24a〜24nには、駆動信号発生回路9が発生した駆動信号(COM)が入力されており、スイッチ素子24a〜24nが接続状態になると、このスイッチ素子24a〜24nに接続された圧電振動子25a〜25nに対して選択的に駆動信号が供給される。
【0073】
このように、この記録ヘッド8では、印字データによって圧電振動子25に駆動信号を入力するか否かを制御することができる。例えば、印字データが「1」の期間においてはスイッチ回路24が接続状態となるので、駆動信号が圧電振動子25に供給される。そして、この駆動信号によって圧電振動子25が変形する。また、印字データが「0」の期間においてはスイッチが非接続状態となるので、圧電振動子25への駆動信号の供給は遮断される。なお、この印字データが「0」の期間では、各圧電振動子25は直前の電荷を保持し、直前の変形状態が維持される。
【0074】
次に、上記した記録ヘッド8の制御について説明する。以下の説明では、説明を容易にするため、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」及び「非印字」の4階調の場合を例に挙げることにする。ここで、本実施形態における「大ドット」とはインク体積が約20pL(ピコリットル)の大インク滴により形成される比較的大きなドットを意味する。「中ドット」とはインク体積が約8pLの中インク滴により形成される中程度の大きさのドットを意味する。「小ドット」とはインク体積が約4pLの小インク滴により形成される比較的小さいドットを意味する。
【0075】
図4(a)は、駆動信号発生回路9が発生する駆動信号の波形を示した図である。例示した駆動信号は、大インク滴、中インク滴、及び、小インク滴からなる3種類のインク滴を、同一のノズル開口部13から吐出させ得る一連の信号である。
【0076】
そして、駆動信号発生回路9は、この駆動信号を7.2kHzの印刷周期Tで発生する。なお、この印刷周期Tは、記録装置における印刷速度を規定する。また、選択信号発生部22、レベルシフタ23及びスイッチ回路24、即ち、駆動パルス生成手段は、一連の駆動信号から、小インク滴を吐出させるための小ドット駆動パルス、中インク滴を吐出させるための中ドット駆動パルス、又は、大インク滴を吐出させ得る大ドット駆動パルスを生成する。
【0077】
以下、駆動信号から駆動パルスを生成する手順について詳細に説明する。
【0078】
図4(a)に示す駆動信号は、波形要素と接続要素とを含ませて構成してある。波形要素とは、圧電振動子25に供給されて圧電振動子25を変形させる要素である。また、接続要素は、圧電振動子25を作動させることがなく、尚且つ、波形要素同士の間の異なる電圧レベルを連結する要素である。
【0079】
そして、本実施形態における波形要素は、収縮波形要素、充填波形要素、吐出波形要素、及び、制振波形要素などからなる。ここで、収縮波形要素は、インク滴を吐出させない程度に圧力室31を収縮させるように圧電振動子25を変形させる要素である。充填波形要素は、圧力室31を膨張させて圧力室31内にインクを充填させるように圧電振動子25を作動させる要素である。吐出波形要素は、圧力室31を急激に収縮させてノズル開口部13からインクを吐出させるように圧電振動子25を変形させる要素である。制振波形要素は、インク滴の吐出直後におけるメニスカスの波打ちを短時間で制止させる要素である。なお、メニスカスとは、ノズル開口部13におけるインクの湾曲した面(自由表面)のことを意味する。
【0080】
図4(a)及び(b)に示した駆動信号では、P1からP10´まで、及び、P12´からP24までの部分が波形要素である。また、P10´からP12´までの部分が接続要素である。さらに、波形要素におけるP1からP2´までの部分は収縮波形要素、P2´からP5までの部分は第1充填波形要素、P5からP9までの部分は第1吐出波形要素、P9からP10´までの部分は第1制振波形要素である。また、P12´からP15までの部分は第2充填波形要素、P15からP17までの部分は第2吐出波形要素、P17からP18までの部分は第2制振波形要素、P18´からP21までの部分は第3充填波形要素、P21からP23までの部分は第3吐出波形要素、P23からP24までの部分は第3制振波形要素である。
【0081】
なお、P2´からP3の部分は第1充填波形要素における接続端部であり、P10からP10´の部分は第1制振波形要素における接続端部である。同様に、P12´からP13の部分は第2充填波形要素における接続端部であり、P18からP18´の部分は第2制振波形要素における接続端部であり、P18´からP19の部分は第3充填波形要素における接続端部である。
【0082】
そして、駆動パルス生成手段は、これらの収縮波形要素、充填波形要素、吐出波形要素、制振波形要素を適宜選択し、選択した波形を連結することにより、複数種類の駆動パルスを生成する。
【0083】
上記した接続要素は、図4(b)に拡大して示すように、第1制振波形要素における終端P10´と第2充填波形要素における始端P12´との間を連結する。即ち、この接続要素により、第1制振波形要素における終端10´の電圧レベルである中間電圧VMと、第2充填波形要素における始端P12´の電圧レベルである最大電圧VHとの間を連結させている。
【0084】
ところで、駆動信号の波形要素(P1〜P10´、P12´〜P24)は、圧電振動子25に供給される信号要素であるため、圧電振動子25の応答特性や圧力室31内におけるインクの状態に応じて設定される。このため、波形要素は、電圧勾配、及び、電圧を変化させるタイミング等に制限がある。即ち、電圧勾配については所定の勾配以下に設定する必要があり、電圧の変化タイミングについてはインク滴の吐出に適した所定タイミングに設定する必要がある。
【0085】
例えば、電圧勾配を急峻にし過ぎてしまうと、波形要素の電圧変化に圧電振動子25の変形が追従できず、所望の体積のインク滴を吐出させられない虞がある。また、仮に圧電振動子25の変形が追従できたとしても、圧電振動子25が急激に変形することに伴って圧力室31が急激に膨張し、圧力室31内にキャビテーションが発生してしまう虞がある。そして、このキャビテーションによりインク滴の吐出量が安定しない可能性がある。さらに、振動板37に過度な機械的ストレスが加わることで、振動板37が破損してしまう虞もある。
【0086】
また、電圧の変化タイミングに関し、圧力室31を膨張させた後に収縮させてインク滴を吐出させる「引き打ち」の場合には、圧力室31を膨張させた後に圧力室31を収縮させる。この圧力室31を収縮させるタイミングは、共通インク室33から圧力室31内に流入したインクの状態によって定められ、圧力室31内におけるインクの状態がインク滴の吐出に適した状態になったタイミングで圧力室31は収縮される。
【0087】
例えば、圧力室31を膨張させることで圧力室31内を負圧にしてインクを吸入させた場合、インクが流入した際に生じる反対方向(インク吐出方向)の圧力波の発生タイミングにあわせて圧力室31を収縮させる。これにより、インク滴の吐出を最適な状態で行わせることができる。一方、インク滴の吐出に適さないタイミングで圧力室31を収縮させた場合、例えば、上記した逆方向の圧力波の発生タイミングからずれた時点で圧力室31を収縮させた場合には、吐出されたインク滴の大きさにばらつきが生じて画質の低下を招いてしまう。
【0088】
そして、本実施形態のように、波形要素同士の異なる電圧レベル間を接続要素で接続することにより、駆動信号に含ませる波形要素の数を従来より多くしても一連の信号として一印刷周期T内に収めることができる。
【0089】
即ち、この接続要素は、圧電振動子(圧力発生素子)25を変形させない信号要素であるから電圧勾配を急峻に設定することができる。そして、電圧勾配を急峻に設定できることから、接続要素が必要とする期間TSを短時間に設定することができる。このため、第1制振波形要素と第2充填波形要素のように、接続端同士における電圧レベルが異なる波形要素同士を、極めて短時間で連結することができる。なお、この接続要素の傾斜部分(P11〜P12)に関し、この傾斜部分の時間(発生時間)は、圧電振動子25を変形させる波形要素の傾斜部分(例えば、P5〜P6,P15〜P16)の時間(発生時間)と同じか、波形要素の傾斜部分の時間よりも短い時間に設定する。
【0090】
従って、上述したように圧電振動子25との兼ね合いにより電圧勾配や電圧の変化タイミングが規定されてしまう波形要素を、印刷速度により時間が限られてしまう一印刷周期T内に、より多く含ませることができる。
【0091】
これに伴い、インク滴の体積に関しても、波形要素の選択の仕方次第でその可変範囲を大きくすることができる。即ち、波形要素の選択の自由度が広がるので、極く小さい体積のインク滴を吐出させる駆動パルスと、大きな体積のインク滴を吐出させる駆動パルスと、一つの駆動信号から生成することができる。
【0092】
また、この接続要素における接続端部である始端部分P10´〜P11と終端部分P12〜P12´とに関し、本実施形態では、電圧が一定の定電圧部としてある。この定電圧部を設けたことにより、波形要素同士を接続する際において、スイッチ回路24のスイッチング時間を確保でき、要素同士の接続を容易に行わせることができる。また、接続対象となる波形要素同士間の電圧レベルの差をなくすことができ、要素同士の接続部分における突入電流をなくせる。これにより、スイッチ回路24を構成するトランジスタ等の電気部品の破損を防止できる。なお、この定電圧部は、少なくとも2μs以上に設定することが望ましい。
【0093】
上記の駆動信号から図5に示す小ドット駆動パルスを生成するためには、駆動パルス生成手段は、収縮波形要素(P1〜P2´)、第1充填波形要素(P2´〜P5)、第1吐出波形要素(P5〜P9)、第1制振波形要素(P9〜P10´)を選択し、選択した波形要素同士を一連に連結する。
【0094】
同様に、駆動信号から中ドット駆動パルスを生成するためには、駆動パルス生成手段は、収縮波形要素、第2充填波形要素(P12´〜P15)、第2吐出波形要素(P15〜P17)、第2制振波形要素(P17〜P18´)を選択し、選択した波形要素同士を一連に連結する。
【0095】
さらに、駆動信号から大ドット駆動パルスを生成するためには、駆動パルス生成手段は、収縮波形要素、第2充填波形要素、第2吐出波形要素、第2制振波形要素、第3充填波形要素(P18´〜P21)、第3吐出波形要素(P21〜P23)、第3制振波形要素(P23〜P24)を選択し、選択した波形要素同士を一連に連結する。
【0096】
駆動パルス生成手段は、波形要素の選択及び連結を、5ビットの印字データに基づいて行う。このため、本実施形態では、駆動信号を、期間T1における第1波形要素(P1〜P2´)と、期間T2における第2波形要素(P2´〜P10´)と、期間T3における第3波形要素(P12´〜P18´)と、期間T4における第4波形要素(P18´〜P24)とに分割する。
【0097】
そして、図4(c)に示すように、小ドット駆動パルスを生成する場合には、駆動パルス生成手段は、「11000」に設定された印字データに基づいて期間T1と期間T2とでスイッチ回路24を接続状態にし、第1波形要素と第2波形要素とを選択的に圧電振動子25に供給させる。同様に、中ドット駆動パルスを生成する場合には、駆動パルス生成手段は、「10010」に設定された印字データに基づいて期間T1と期間T3とにおいてスイッチ回路24を接続状態にし、第1波形要素と第3波形要素とを選択的に圧電振動子25に供給する。また、大ドット駆動パルスを生成する場合には、駆動パルス生成手段は、「10011」に設定された印字データに基づいて期間T1、期間T3及び期間T4においてスイッチを接続状態にし、第1波形要素、第3波形要素及び第4波形要素を選択的に圧電振動子25に供給する。
【0098】
また、インク滴を吐出させない非印字の場合には、印字データは「00000」となり、スイッチ回路24は非接続状態のままとなる。なお、印字データとスイッチの接続状態の関係については、後で説明する。
【0099】
図5に示すように、小ドット駆動パルスでは、中間電圧VMから所定の電圧勾配θ1で電圧を上昇させ(P1〜P2)、最大電圧VHに達したらこの最大電圧VHを所定時間維持する(P2〜P3)。そして、最大電圧VHから所定の電圧勾配θ2で最低電圧VLまで電圧を下降させ(P3〜P4)、急勾配に設定した電圧勾配θ3に沿って、最低電圧VLから最大電圧VHまで電圧を上昇させる(P5〜P6)。その後、直ちに、中間電圧VMと最低電圧VLとの間に設定した第2中間電圧VM2まで電圧を下降させ(P7〜P8)、この第2中間電圧VM2を所定時間維持した後(P8〜P9)に、電圧勾配θ4に沿って電圧を上昇させて中間電圧VMに復帰させる(P9〜P10)。
【0100】
なお、この小ドット駆動パルスにおいて、電圧勾配θ1、θ2、及び、θ4は、インク滴が吐出しない程度の勾配に設定する。
【0101】
この小ドット駆動パルスを印加することにより、圧電振動子25に対する充電や放電が行われて圧電振動子25が変形する。そして、圧電振動子25の変形により、圧力室31の容積が変化する。
【0102】
即ち、圧電振動子25が中間電圧VMから充電されることにより、圧力室31の容積は、基準の容積(中間電圧VMにおける容積)から徐々に減少する。そして、圧力室31は、最大電圧VHに対応する最小容積を所定時間維持した後に、圧電振動子25の放電に伴って最低電圧VLに対応する最大容積まで膨張する(P1〜P5)。
【0103】
続いて、圧力室31は、最大容積から最小容積まで急激に収縮する(P5〜P6)。この収縮によって圧力室31内のインク圧力が高まりノズル開口部13からインク滴が吐出する。ここでは、最低電位VLの保持時間を極めて短くしており、圧力室31は、直ちに膨張する(P7〜P8)。このように、直ぐに圧力室31を膨張させているため、ノズル開口部13から吐出されるインク滴の体積は、極めて小さい。
【0104】
圧力室31を膨張させたならば、メニスカスの波打ちを短時間で静止させるように圧力室31を収縮させ、圧力室31を基準の容積に戻す(P8〜P10)。
【0105】
また、中ドット駆動パルスでは、中間電圧VMから電圧勾配θ1で最大電圧VHまで電圧を上昇させ(P1〜P2)、この最大電圧VHを所定時間維持する(P2〜P13)。そして、所定の電圧勾配θ5で最低電圧VLまで電圧を下降させてインクを圧力室31に充填する(P13〜P14)。インクの充填後、電圧勾配θ6に沿って最大電圧VHまで急激に電圧を上昇させ、圧力室31を急速に収縮させてインク滴を吐出させる(P15〜P16)。その後、最大電圧VHを所定時間維持し(P16〜P17)、中間電圧VMまで電圧を下降させる(P17〜P18)。
【0106】
この中ドット駆動パルスでは、P16からP17までの期間において最大電圧VHを維持した後に圧力室31を膨張させている。従って、ノズル開口部13から吐出するインク滴の量を、最大電圧VHの維持時間によって調整することができ、中ドットに適した体積のインク滴を吐出させることができる。
【0107】
また、大ドット駆動パルスでは、中ドット駆動パルス(P1〜P18)に続けて、所定の電圧勾配θ7に沿って最低電圧VLまで電圧を下降させて圧力室31にインクを充填する(P19〜P20)。インクを充填したならば、電圧勾配θ8に沿って最大電圧VHまで電圧を上昇させ、圧力室31を急速に収縮させて2個目のインク滴を吐出させる(P21〜P22)。その後、最大電圧VHを所定時間維持し(P22〜P23)、中間電圧VMまで電圧を下降させる(P23〜P24)。
【0108】
この大ドット駆動パルスでは、中ドット駆動パルスと重複しているP1からP18までの部分で1個目のインク滴を吐出させ、引き続くP19からP24の部分で2個目のインク滴を吐出させている。そして、これらの両インク滴の和により大ドットを形成する。
【0109】
このように、本実施形態では、駆動信号を、圧電振動子25を作動させる波形要素と圧電振動子25を作動させることのない接続要素とを含ませて構成し、尚且つ、接続要素により波形要素同士間の異なる電圧レベルを接続している。さらに、駆動パルス生成手段により、波形要素を選択して複数種類の駆動パルスを生成可能としている。従って、波形要素が多くても、一印刷周期内の一連の駆動信号として形成できる。
【0110】
このため、波形要素の選択の仕方次第でインク滴の大きさの可変範囲を従来よりも大きくすることができ、記録速度を高速に維持しながらも種々の大きさのインク滴を吐出させることができる。
【0111】
次に、駆動パルスを生成する印字データを圧電振動子25に供給する手順について説明する。
【0112】
上述したように、ドットパターンデータは、4ビットの印字データにより構成してある。即ち、制御部6は、中間コードデータにおける2ビットの階調値を5ビットの印字データに翻訳し、翻訳後の印字データを出力バッファ4cに格納する。
【0113】
そして、これらの印字データを記録ヘッド8に伝送する際には、まず、第1の波形要素の選択タイミングが到来する直前に、この第1の波形要素に対応する印字データを、全ノズル開口部13分選択信号発生部22にセットする。例えば、前ドットの印刷周期における期間T4中にセットする。この印字データがセットされたならば、第1波形要素の発生タイミングに同期させて、制御部6はラッチ信号を出力させる。
【0114】
このラッチ信号により選択信号発生部22は、「1」の印字データに対応させて選択信号を発生する。この選択信号は、レベルシフタ23によって所定の電圧値に昇圧され、スイッチ回路24に供給される。これにより、当該スイッチ回路24は接続状態となり、対応する圧電振動子25(25a〜25n)に駆動信号における第1波形要素の部分が供給される。
【0115】
この第1波形要素の供給期間T1に、第2の波形要素に対応する印字データを、全ノズル開口部13分選択信号発生部22にセットする。そして、期間T1の終了時点で制御部6は、ラッチ信号を出力させる。これにより、印字データが「1」である圧電振動子25に対して第2波形要素が印加される。以下同様にして、接続要素、第3波形要素、第4波形要素についての処理が行われる。
【0116】
そして、第4波形要素についての処理が終了すると、全ノズル開口部13に対する1ドット分の印刷が終了する。1ドット分の印刷が終了したならば、次ドットの処理を繰り返し行う。
【0117】
ところで、以上の第1実施形態では、大ドットを形成し得るインク滴を吐出させる第2吐出波形要素が期間T3に配置され、第3吐出波形要素が期間T4に配置されており、両吐出波形要素同士が時間的に接近して配置されている。
【0118】
この場合、第3吐出波形要素によりインク滴を吐出させる際に、第2吐出波形要素によるインク滴の吐出の影響が残る虞がある。万一、影響が残ってしまうと、第3吐出波形要素によるインク滴の体積が不安定になってしまう可能性がある。以下、この点に着目した第2実施形態について説明する。
【0119】
図6は、第2実施形態における駆動信号及び駆動パルスの一例を示す図である。なお、駆動信号以外の構成については、先に説明した第1実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0120】
例示した駆動信号において、期間T1の部分(P31〜P32)が第1波形要素であり、期間T2の部分(P32〜P35)が第2波形要素である。そして、期間T3の部分(P36〜P39)が第3波形要素であり、期間T4の部分(P39〜P42)が第4の波形要素である。また、期間TSの部分(P35〜P36)が圧電振動子25を変形させない接続要素である。本実施形態における接続要素もまた、異なる電圧レベルの波形要素同士を接続している。この接続要素により、波形要素を多くしても、限られた印刷周期T内に一連の駆動信号として形成できる。
【0121】
ここで、本実施形態における第1波形要素(P31〜P32)は、第1実施形態における第1波形要素(P1〜P2´)と同じであり収縮波形要素を含んでいる。第2波形要素(P32〜P35)は、第1実施形態における第3の波形要素(P12´〜P18´)と同じであり、中インク滴を吐出させる吐出波形要素(P33〜P34)を含んでいる。第3波形要素(P36〜P39)は、第1実施形態における第2波形要素(P2´〜P10´)と同じであり、小インク滴を吐出させる吐出波形要素(P37〜P38)を含んでいる。第4の波形要素(P39〜P42)は、第1実施形態における第4の波形要素(P18´〜P24)と同じであり、大インク滴を吐出させる吐出波形要素(P40〜P41)を含んでいる。
【0122】
このような駆動信号から小ドット駆動パルスを生成するためには、駆動パルス生成手段(即ち、選択信号発生部22、レベルシフタ23及びスイッチ回路24)は、第1波形要素と第3波形要素とを選択し、選択した波形要素を連結する。具体的には、「10010」に設定された印字データに基づいて波形要素を選択する。また、駆動パルス生成手段は、中ドット駆動パルスを生成する場合には、「11000」に設定された印字データに基づいて、第1波形要素と第2波形要素とを選択し、選択した波形要素を連結する。同様に、駆動パルス生成手段は、大ドット駆動パルスを生成する場合には、「11001」に設定された印字データに基づいて、第1波形要素、第2波形要素及び第4波形要素を選択し、選択した波形要素を連結する。
【0123】
このようにして生成した駆動パルスにおいて、大ドット駆動パルスは、2つのインク滴を吐出させる2つの吐出波形要素、即ち、先の吐出波形要素(P33〜P34、本発明の第1の大ドット吐出波形要素に相当する)と、後の吐出波形要素(P40〜P41、本発明の第2の大ドット吐出波形要素に相当する)とを含んでいる。また、小ドット駆動パルスは、小インク滴を吐出させる吐出波形要素(P37〜P38、本発明における他ドット吐出要素に相当する)を含む。
【0124】
そして、駆動信号は、大ドット駆動パルスの先の吐出波形要素と後の吐出波形要素との間に小ドット駆動パルスの吐出波形要素を配置している。
【0125】
この駆動信号では、大ドット駆動パルスは2つのインク滴を吐出するが、先のインク滴を吐出させるタイミングから後のインク滴を吐出させるタイミングまでの時間間隔を比較的長く設定することができる。このため、先のインク滴を吐出させた後に、インクの状態を安定させてから後のインク滴を吐出させることができる。従って、後のインク滴について、インク体積のばらつきをなくすことができ、画質の更なる向上が図れる。
【0126】
ところで、上記の第1実施形態や第2実施形態では、制振波形要素と充填波形要素を接続要素により接続したが、接続要素はこれに限定されるものではない。例えば、接続要素により、吐出波形要素同士を接続するようにしてもよい。以下、このように構成した第3実施形態について説明する。
【0127】
図7は、第3実施形態における駆動信号及び駆動パルスの一例を示す図である。なお、駆動信号以外の構成については、先に説明した第1実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0128】
例示した駆動信号において、期間T1の部分(P51〜P52)が第1波形要素であり、期間T2の部分(P52〜P54)が第2波形要素であり、期間T3の部分(P55〜P57)が第3波形要素であり、期間T4の部分(P57〜P60)が第4波形要素であり、期間T5の部分(P60〜P62)が第5波形要素である。また、期間TSの部分(P54〜P55)は、接続要素である。
【0129】
この駆動信号は、収縮状態の圧力室31を急激に膨張させることで、極めて小さい体積のインク滴を吐出させるようにしたものである。即ち、最大電圧VHを供給することで、圧電振動子25を圧力室31側に突出するように撓ませて圧力室31を収縮状態にし、その後、最低電圧VLまで電圧を急激に下降させて圧電振動子25を戻り変形させることにより圧力室31を急激に膨張させる。
【0130】
このように制御すると、圧力室31内は急激に負圧になり、メニスカスが圧力室31内に高速で引き込まれる。このメニスカスの移動により、メニスカスの中心部分からは極めて小さなインク滴が分離される。そして、このインク滴が圧力室31の内側とは反対方向に飛翔し、ノズル開口部13から吐出される。
【0131】
従って、この駆動信号においては、P51からP52までの部分は収縮波形要素である。また、P52からP54までの部分は第1吐出波形要素であり、P55からP57までの部分は第2吐出波形要素であり、P58からP59までの部分は第3吐出波形要素である。また、P57からP58までの部分は充填波形要素であり、P59からP62までの部分は制振波形要素である。
【0132】
そして、接続要素(P54〜P55)は、第1吐出波形要素と第2吐出波形要素とを連結し、駆動パルス生成手段(即ち、選択信号発生部22、レベルシフタ23及びスイッチ回路24)は、これらの吐出波形要素を適宜選択することにより、複数種類の駆動パルスを生成する。
【0133】
即ち、小ドット駆動パルスを生成する場合には、駆動パルス生成手段は、期間T1、期間T2及び期間T5でスイッチ回路24を接続状態にして、第1波形要素、第2波形要素及び第5の波形要素を選択的に圧電振動子25に供給する。同様に、中ドット駆動パルスを生成する場合には、駆動パルス生成手段は、期間T1、期間T3及び期間T5でスイッチ回路24を接続状態にして、第1波形要素、第3波形要素及び第5波形要素を選択的に圧電振動子25に供給する。また、大ドット駆動パルスを生成する場合には、駆動パルス生成手段は、期間T1、期間T3、期間T4及び期間T5でスイッチ回路24を接続状態にして、第1の波形要素、第3の波形要素、第4波形要素及び第5波形要素を選択的に圧電振動子25に供給する。
【0134】
本実施形態では、この波形要素の選択を6ビットの印字データにより行うように構成してある。即ち、小ドット駆動パルスを生成する場合には、印字データを「110001」に設定することで、期間T1、T2及びT5における波形要素を圧電振動子25に供給する。同様に、中ドット駆動パルスを生成する場合には、印字データを「100101」に設定することで、期間T1、T3及びT5における波形要素を圧電振動子25に供給する。また、大ドット駆動パルスを生成する場合には、印字データを「100111」に設定することで、期間T1、T3、T4及びT5における波形要素を圧電振動子25に供給する。
【0135】
そして、本実施形態では、接続要素(P54〜P55)により、第1吐出波形要素(P52〜P54)と第2吐出波形要素(P55〜P57)とを連結しているので、吐出波形要素同士の時間間隔を短くすることができる。これにより、限られた時間内であっても多くの吐出要素を駆動信号に含ませることができる。従って、一つの駆動信号から多種類の駆動パルスを生成することができる。
【0136】
また、接続要素により、吐出波形要素同士の時間間隔を調整することもできる。これにより、インク滴の吐出タイミングを微小レベルで調整することができる。従って、インク滴の着弾中心位置のズレを減少させることができる。
【0137】
また、本実施形態では、第1吐出波形要素と第2吐出波形要素とが共通の収縮波形要素(P51〜P52)を使用している。換言すれば、収縮波形要素と第1吐出波形要素とにより一の駆動パルスを生成し、収縮波形要素と第2吐出波形要素とにより他の駆動パルスを生成している。
【0138】
この構成では、インク滴の大きさを、収縮波形要素から吐出波形要素までの時間間隔により調整できる。そして、この間隔は、接続要素の傾きや平坦部分の長さによって調整できる。従って、インク滴の大きさを極小レベルで制御できる。これにより、画質のさらなる向上を図ることができる。
【0139】
なお、上記の構成において、収縮波形要素に代えて充填波形要素を用い、吐出波形要素と充填波形要素とを選択する際のタイミングにより、複数種類の駆動パルスを生成した場合においても同様である。
【0140】
さらに、上記した駆動信号において、駆動信号は、異なるタイミングでインク滴を吐出させるように圧電振動子25を作動させる複数の吐出要素を含んでいる。即ち、駆動信号は、小インク滴を吐出させる第1吐出波形要素(P53〜P54)と、中インク滴を吐出させる第2吐出波形要素(P56〜P57)と、大インク滴を吐出させる第3吐出波形要素(P58〜P59)とを含んでいる。
【0141】
そして、駆動パルス生成手段は、小さいインク滴の吐出タイミングが大きいインク滴の吐出タイミングよりも早期になるように複数種類の駆動パルスを生成する。例えば、小インク滴を吐出させる小ドット駆動パルスと、中インク滴を吐出させる中ドット駆動パルスとを比べた場合、中ドット駆動パルスにおける吐出波形要素(P56〜P57)よりも小ドット駆動パルスにおける吐出波形要素(P53〜P54)の方が早期である。
【0142】
これにより、インク体積が小さいインク滴ほど早期に吐出される。この場合において、吐出されたインク滴の飛翔速度はインク滴の大きさによって僅かに異なり、大きいインク滴ほど飛翔速度が速く、小さいインク滴ほど遅い。このため、吐出された後から記録紙上に着弾するまでの時間もインク滴の大きさによって微妙に異なる。即ち、大きいインク滴では着弾するまでの時間が短く、小さいインク滴では着弾するまでの時間が長い。
【0143】
従って、小さいインク滴を大きいインク滴よりも早く吐出させることにより、各インク滴の大きさに起因する着弾タイミングの差、換言すれば、記録紙上における着弾中心位置の差を小さくすることができる。従って、画質のさらなる向上が図れる。
【0144】
ところで、この第3実施形態では、接続要素により吐出波形要素同士を接続するようにしたものであるが、接続要素により充填波形要素同士を接続するようにしてもよい。以下、このように構成した第4実施形態について説明する。
【0145】
図8は、第4実施形態における駆動信号及び駆動パルスの一例を示す図である。なお、駆動信号以外の構成については、先に説明した第1実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0146】
図8に示した駆動信号において、期間T1の部分(P71〜P72)が第1波形要素であり、期間T2の部分(P72〜P74)が第2波形要素である。また、期間T3の部分(P75〜P76)が第3波形要素であり、期間T4の部分(P77〜P78)が第4波形要素であり、期間T5の部分(P78〜P81)が第5波形要素である。また、期間TS1の部分(P74〜P75)は第1接続要素であり、期間TS2の部分(P76〜P77)は第2接続要素である。
【0147】
この駆動信号は、複数の充填波形要素と一つの吐出波形要素とを含んでおり、充填波形要素と吐出波形要素の組み合わせを変えることにより、吐出するインク滴の体積を変化させるものである。つまり、インクの充填状態が異なる複数の充填要素を用意しておき、いずれの充填要素を選択するかによって吐出するインク滴の体積を異ならせている。
【0148】
そして、この駆動信号において、P71からP72までの部分が収縮波形要素、P72からP74までの部分が第1充填波形要素、P75からP76までの部分が第2充填波形要素、P77からP78までの部分が第3充填波形要素である。また、P79からP80までの部分が吐出波形要素であり、P80からP81までの部分が制振要素である。
【0149】
そして、第1接続要素(P74〜P75)は、第1充填波形要素と第2充填波形要素とを接続し、第2接続要素(P76〜P77)は、第2充填波形要素と第3充填波形要素とを接続する。
【0150】
このように、接続要素により複数の充填波形要素を連結したので、充填波形要素同士の間隔を狭めることができ、一印刷周期内の駆動信号に多くの充填波形要素を含ませることができる。
【0151】
そして、駆動パルス生成手段(即ち、選択信号発生部22、レベルシフタ23及びスイッチ回路24)は、充填波形要素を適宜選択することにより、複数種類の駆動パルスを生成する。
【0152】
即ち、小ドット駆動パルスを生成するには、駆動パルス生成手段は、期間T1、期間T4及び期間T5でスイッチ回路24を接続状態にして、第1波形要素、第4波形要素及び第5波形要素を選択する。これにより、収縮波形要素と第3充填波形要素とが連結された小ドット駆動パルスが生成され、圧電振動子25に供給される。
【0153】
同様に、中ドット駆動パルスを生成するには、駆動パルス生成手段は、期間T1、期間T3及び期間T5でスイッチ回路24を接続状態にして、第1波形要素、第3波形要素及び第5波形要素を選択する。これにより、収縮波形要素と第2充填波形要素とが連結された中ドット駆動パルスが生成され、圧電振動子25に供給される。
【0154】
また、大ドット駆動パルスを生成するには、駆動パルス生成手段は、期間T1、期間T2及び期間T5でスイッチ回路24を接続状態にして、第1波形要素、第2波形要素及び第5波形要素を選択する。これにより、収縮波形要素と第1充填波形要素とが連結された大ドット駆動パルスが生成され、圧電振動子25に供給される。
【0155】
なお、本実施形態では、この波形要素の選択を7ビットの印字データにより行うように構成してある。即ち、小ドット駆動パルスを生成する場合には、印字データを「1000011」に設定することで、期間T1、T4及びT5における波形要素を圧電振動子25に供給する。同様に、中ドット駆動パルスを生成する場合には、印字データを「1001001」に設定することで、期間T1、T3及びT5における波形要素を圧電振動子25に供給する。また、小ドット駆動パルスを生成する場合には、印字データを「1100001」に設定することで、期間T1、T2及びT5における波形要素を圧電振動子25に供給する。
【0156】
そして、本実施形態では、同一の吐出波形要素を使用してインク滴を吐出させるため、第1充填波形要素(P72〜P74)、第2充填波形要素(P75〜P76)、第3充填波形要素(P77〜P78)の内、一つの充填波形要素を選択することによりインク滴の大きさを定めることができる。このため制御が容易である。
【0157】
さらに、インク体積が異なる複数種類のインク滴を、同一の吐出波形要素を用いて吐出させるように構成してあるので、この点からも制御を簡単にすることができる。
【0158】
このため、高い記録速度を維持しつつもインク滴の大きさの可変範囲を広げることができる。
【0159】
次に、基準容積の圧力室31を膨張させて変化後の膨張状態を所定時間に亘って保持し、膨張状態が保持された圧力室31をさらに膨張させた後に収縮させてインク滴を吐出させるように構成した第5実施形態について説明する。
【0160】
図9に示した駆動信号は、インク体積が異なる大インク滴と中インク滴とを同一のノズル開口部13から吐出させる信号である。
【0161】
なお、駆動信号以外の構成については、先に説明した第1実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0162】
この駆動信号において、期間T1の部分(P91〜P97)が第1波形要素であり、期間T2の部分(P97〜P106)が第2波形要素である。
【0163】
第1波形要素は、圧力室31内にインクを充填させるように圧電振動子25を変形させるための充填波形要素(P91〜P93、本発明の第2の充填波形要素に相当する)と、ノズル開口部13からインクを吐出させるように圧電振動子25を変形させるための吐出波形要素(P93〜P95、本発明の第2の吐出波形要素に相当する)と、吐出直後におけるメニスカスの波打ちを短時間で制止させるための制振波形要素(P95〜P96)とから構成されている。
【0164】
そして、第1波形要素の始点(P91)および終点(P97)の電圧は、基準電圧である中間電圧VMに設定されている。この中間電圧VMは、第2波形要素の始点(P97)および終点(P106)でもある。このように、複数の波形要素の始点および終点を中間電圧VMに設定することにより、各波形要素を円滑に連結できる。
【0165】
第2波形要素は、中間電圧VMの基準状態の圧力室31を少しだけ膨張させ、圧力室31内に少しインクを充填させた状態で所定時間保持する膨張波形要素(P98〜P100)と、膨張波形要素によって膨張された圧力室31をさらに膨張させ、圧力室31内にインクを充填させる充填波形要素(P100〜P102、本発明の第1の充填波形要素に相当する)と、ノズル開口部13からインク滴を吐出させる吐出波形要素(P102〜P104、本発明の第1の吐出波形要素に相当する)、吐出直後におけるメニスカスの波打ちを制止させる制振要素(P104〜P105)とから構成されている。
【0166】
第2波形要素の膨張波形要素(P98〜P100)において、膨張させた圧力室31を保持する保持時間、つまり、膨張ホールド要素(P99〜P100)の供給時間Tcは、圧力室31を膨張させるように圧電振動子25を変形させたときのメニスカスの振動が収束して、定常状態になる程度の十分に長い時間に設定するのが好ましい。
【0167】
例えば、圧力室31の固有振動周期よりも長く設定するのが好ましく、この固有振動周期の2倍以上であればより好適である。ここで、圧力室31の固有振動周期とは、圧力室31の容量や寸法等の要因により決定され、記録ヘッド8の種類ごとに固有に存在するメニスカスの振動周期をいい、おおむね8〜10μsec程度の値をとる。
【0168】
そして、駆動パルス生成手段(即ち、選択信号発生部22、レベルシフタ23およびスイッチ回路24)は、駆動信号から、一つ駆動パルスを選択的に生成する。例えば、駆動信号から、中インク滴を吐出させる中ドット駆動パルス(本発明の第2駆動パルスに相当する)を生成する場合には、図10に示すように、第1波形要素(P91〜P97)を選択し、大インク滴を吐出させる大ドット駆動パルス(本発明の第1駆動パルスに相当する)を生成する場合には、第2波形要素(P98〜P106)を選択する。
【0169】
本実施形態においては、この波形要素の選択を2ビットの印字データにより行うように構成している。このため、駆動信号を、期間T1における第1波形要素(P91〜P97)と、期間T2における第1波形要素(P97〜P106)に分割する。そして、中ドット駆動パルスを生成する場合には、印字データを「10」に設定することで、期間T1でスイッチ回路24を接続状態にし、第1波形要素を選択的に圧電振動子25に供給する。同様に、大ドット駆動パルスを生成する場合には、印字データを「01」に設定することで、期間T2においてスイッチ回路24を接続状態にして、第2波形要素を選択的に圧電振動子25に供給する。また、ドットを形成しない非印字の場合には、印字データを「00」に設定することで、スイッチ回路24を非接続状態にする。
【0170】
このようにして生成された中ドット駆動パルスを圧電振動子25に供給することにより、次のようにインク滴の吐出が行われる。
【0171】
図10に示すように、中間電圧VMの状態(P91)では、圧力室31側に突出した状態で圧電振動子25が少し撓んでおり、圧力室31を少しだけ収縮させている。この状態が初期状態であり、圧力室31の基準容積として設定されている。
【0172】
次に、中間電圧VMから所定の電圧勾配θ11で電圧を降下させ(P91〜P92)、最低電圧VLに達したらこの最低電圧VLを所定時間維持する(P92〜P93)。このとき、圧電振動子25は、電圧の降下に伴って変形し、圧力室31は基準容積よりも膨張してインクが圧力室31内に充填される。
【0173】
次に、急勾配に設定した電圧勾配θ12に沿って、最低電圧VLから最大電圧VHまで電圧を急激に上昇させる(P93〜P94)。このとき、圧電振動子25が急激に変形し、圧力室31の容積も急激に収縮する。この圧力室31の収縮により、圧力室31内のインク圧力が高まりノズル開口部13からインク滴が吐出する。
【0174】
そして、最大電圧VHが印加された状態で所定時間維持したのち(P94〜P95)、最大電圧VHからメニスカスの波打ちを短時間で静止させるように圧力室31を膨張させ、基準容積に戻す(P95〜P96)。このとき、最大電圧VHを維持した後に圧力室31を膨張させているので、ノズル開口部13からある程度インクを押し出した後にインクが圧力室31内に戻される。この最大電圧VHの維持時間(P94〜P95)により、ノズル開口部13から吐出されるインク滴の体積を調整することができ、中ドットの形成に適した体積のインク滴を吐出させることができる。
【0175】
また、大ドット駆動パルスを圧電振動子25に供給することにより、次のようにしてインク滴の吐出が行われる。
【0176】
まず、中間電圧VMから所定の電圧勾配θ13で電圧を降下させ(P98〜P99)、中間電圧VMと最低電圧VLとの略中間レベルの第2中間電圧VMLに達したら、この第2中間電圧VMLを所定時間維持する(P99〜P100)。このとき、圧電振動子25の伸長変形に伴って圧力室31は、基準容積よりもやや膨張し、インクがある程度圧力室31内に充填される。そして、第2中間電圧VMLで、十分長い時間Tcだけ保持されるため、圧力室31を膨張させたときのメニスカスの振動が十分に収束した定常状態になる。
【0177】
次いで、第2中間電圧VMLから所定の電圧勾配θ14で電圧をさらに降下させ(P100〜P101)、最低電圧VLに達したらこの最低電圧VLを所定時間維持する(P101〜P102)。このとき、少し膨張した圧力室31がさらに膨張して、インクが圧力室31内に充填される。つぎに、急勾配に設定した電圧勾配θ15に沿って、最低電圧VLから最大電圧VHまで電圧を急激に上昇させ(P102〜P103)、最大電圧VHで所定時間保持したのち(P103〜P104)、最大電圧VHからメニスカスの波打ちを短時間で静止させるように圧力室31を膨張させ、基準容積に戻す(P104〜P105)。このとき、圧電振動子25の急激な変形により、圧力室31の容積が急激に収縮してノズル開口部13からインク滴が吐出する。
【0178】
この大ドット駆動パルスでは、中間電圧VMから、一旦第2中間電圧VMLまで電圧を降下させ、メニスカスの振動が収束するまで所定時間保持し(P98〜P100)、この状態から圧力室31をさらに膨張させてインクを充填しているので(P100〜P102)、インクを充填する際における圧力室31内の圧力変動を少なくすることができ、メニスカスの圧力室31側への後退を抑えることができる。
【0179】
従って、インク体積の大きな大インク滴を吐出させる際に、圧力室31内の圧力の変化幅を従来よりも少なくすることができ、このインク滴の飛行速度が過剰に高速になってしまうことを防止できる。その結果、インク体積の違いに起因する着弾中心位置のズレを防止することができる。
【0180】
そして、インク滴の飛行速度は、圧力室31の膨張度合いや膨張状態の保持時間を設定することで調整できる。このため、吐出させるインク滴の体積に適した飛行速度に調整することができる。従って、この点でもインク体積の違いに伴うインク滴の飛行速度の違いを少なくすることができる。その結果、着弾中心位置のズレを一層確実に防止することができる。
【0181】
しかも、複数の微少インク滴を合体させる困難な動作を必要とせず、ひとつのインク滴で記録紙上に大きなドットを形成させることができるうえ、ドット径の可変範囲も大きくなる。
【0182】
次に、一の駆動パルスを複数の波形要素に分割し、これらの分割した波形要素の間に、他の駆動パルスを混在させて一連の駆動信号を構成した第6実施形態について説明する。
【0183】
図11に示した駆動信号もまた、インク体積が異なる大インク滴と中インク滴とを同一のノズル開口部13から吐出させる信号である。なお、駆動信号以外の構成については、先に説明した第1実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0184】
この駆動信号は、大インク滴を吐出させる大ドット駆動パルスと中インク滴を吐出させる中ドット駆動パルスのふたつの駆動パルスを含む。ここで、本実施形態において、大ドット駆動パルスは、本発明の第1駆動パルスに相当し、中ドット駆動パルスは、本発明の第2駆動パルスに相当する。
【0185】
そして、大ドット駆動パルスを構成する波形要素が2つに分割されて期間T1と期間T3とに配置されている。また、中ドット駆動パルスを構成する波形要素が期間T2に配置されている。つまり、期間T1の第1波形要素(P111〜P113)と期間T3の第3波形要素(P128〜P135)が大ドット駆動パルスを構成し、期間T1と期間T3の間の期間T2に、中ドット駆動パルスを構成する第2波形要素(P116〜P125)が配置されている。
【0186】
また、期間T1と期間T2の間の期間TS1には、図11(b)に示す第1接続要素(P113〜P116)が配置されて、第1波形要素の終端(P113)と第2波形要素の始端(P116)の異なる電圧レベルを接続している。同様に、期間T2と期間T3の間の期間TS2には、図11(c)に示す第2接続要素(P125〜P128)が配置されて、第2波形要素の終端(P125)と第3波形要素の始端(P128)の異なる電圧レベルを接続している。
【0187】
そして、駆動パルス生成手段(即ち、選択信号発生部22、レベルシフタ23、及び、スイッチ回路24)は、「10001」に設定された印字データに基づいて駆動信号から期間T1及び期間T3に配置された波形要素を選択して連結することにより、大ドット駆動パルスを生成する。また、駆動パルス生成手段は、「00100」に設定された印字データに基づいて期間T2に配置された第2波形要素を選択することにより、中ドット駆動パルスを生成する。
【0188】
大ドット駆動パルスは、中間電圧VMから、圧力室31を少し膨張させて圧力室31内にある程度インクを充填させて所定時間保持する膨張波形要素(P111〜P113,P128〜P129)と、膨張した圧力室31をさらにもう少し膨張させてインクを充填させる充填波形要素(P129〜P131、本発明の第1の充填波形要素に相当する)と、ノズル開口部13からインク滴を吐出させる吐出波形要素(P131〜P133、本発明の第1の吐出波形要素に相当する)と、吐出直後におけるメニスカスの波打ちを制止させる制振波形要素(P133〜P134)とから構成されている。
【0189】
一方、中ドット駆動パルスは,中間電圧VMから、圧力室31を一旦収縮させて所定時間保持する収縮波形要素(P117〜P119)と、この収縮した圧力室31を膨張させてインクを充填させる充填波形要素(P119〜P121、本発明の第2の充填波形要素に相当する)と、膨張した圧力室31を収縮させてノズル開口部13からインクを吐出させる吐出波形要素(P121〜P123、本発明の第2の吐出波形要素に相当する)と、吐出直後におけるメニスカスの波打ちを制止させる制振要素(P123〜P124)とから構成されている。
【0190】
このようにして生成された中ドット駆動パルスを圧電振動子25に入力することにより、次のようにしてインク滴の吐出が行われる。まず、中間電圧VMからインク滴を吐出させない程度に設定された所定の電圧勾配θ16で電圧を上昇させ(P117〜P118)、最大電圧VHに達したらこの最大電圧VHを所定時間維持する(P118〜P119)。このとき、圧力室31は、一旦基準容積から収縮し、つぎに圧力室31を膨張させるときの膨張しろが確保される。また、この最大電圧VHの維持時間により、メニスカスを一旦ノズル開口部13から外側に押し出し、押し出したメニスカスが反動で戻ってくるタイミングで圧力室31を膨張させることができる。これにより、メニスカスを圧力室31内に引き込むことができ、この引き込んだ状態から圧力室31の収縮を開始させることができる。
【0191】
ついで、最大電圧VHから所定の電圧勾配θ17で電圧を下降させ(P119〜P120)、最低電圧VLに達したらこの最低電圧VLを所定時間維持し(P120〜P121)、インクを圧力室31内に充填させる。つぎに、急勾配に設定した電圧勾配θ18に沿って、最低電圧VLから、基準電圧VMと最大電圧VHの略中間レベルに設定された電圧VMHまで電圧を急激に上昇させる(P121〜P122)。このとき、圧力室31の容積が急速に収縮してノズル開口部13からインク滴が吐出される。ここで、上記したように、メニスカスを圧力室31内に引き込んだ状態から圧力室31の収縮を開始させ、最大電圧VHよりやや低い電圧VMHまで電圧を上昇させてインク滴を吐出させているため、中ドットの形成に適したインク体積のインク滴を吐出させることができる。
【0192】
そして、電圧VMHが印加された状態で所定時間維持した後(P122〜P123)、電圧VMHからメニスカスの波打ちを短時間で静止させるように圧力室31を膨張させ、基準容積に戻す(P123〜P124)。
【0193】
なお、大ドット駆動パルスを圧電振動子25に供給することにより、インク体積が大きい大インク滴を吐出させる動作は、上記第5実施形態と同様である。このため、説明を省略する。
【0194】
この実施形態では、大ドット駆動パルスを構成する波形要素が膨張波形要素の部分で二つの波形要素に分割されている。つまり、膨張波形要素は、先の膨張波形要素(P111〜P113)と、後の膨張波形要素(P128〜P129)とに分割されている。そして、分割された波形要素(本発明における膨張部分要素に相当する)同士の間に中ドット駆動パルスを構成する波形要素を配置させて一連の駆動信号を構成している。このため、膨張波形要素における保持時間(P112からP129までの時間)を十分に長くとることができる。また、駆動信号自体は短く構成することができるので、複数の駆動波形を限られた一印刷周期内に容易に納めることができる。
【0195】
さらに、中ドット駆動パルスの吐出波形要素(P121〜P122)と大ドット駆動パルスの吐出波形要素(P131〜P133)とを時間的に接近させて配置できるので、インク滴の着弾位置のずれが小さくなって高い印刷品質を確保できる。
【0196】
次に、複数の駆動パルスをそれぞれ複数の波形要素に分割し、一の駆動パルスの波形要素同士の間に、他の駆動パルスの波形要素を混在させて一連の駆動信号を構成した第7実施形態について説明する。
【0197】
図12(a)に示した駆動信号は、大インク滴と小インク滴とを同一のノズル開口部13から吐出させるための信号である。なお、駆動信号以外の構成については、先に説明した第1実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0198】
この駆動信号では、小ドット駆動パルス(本発明の第2駆動パルスに相当する)を構成する波形要素が2つに分割されて期間T1と期間T3とに配置されている。また、大ドット駆動パルス(本発明の第1駆動パルスに相当する)を構成する波形要素も2つに分割されて期間T2と期間T4とに配置されている。つまり、期間T1の第1波形要素(P141〜P143)と期間T3の第3波形要素(P152〜P159)が小ドット駆動パルスを構成する。また、期間T1と期間T3の間に配置された期間T2の第2波形要素(P146〜P149)と期間T4の第4波形要素(P162〜P169)が大ドット駆動パルスを構成する。
【0199】
また、期間T1と期間T2の間の期間TS1には、図12(b)に示す第1接続要素(P143〜P146)が配置されている。この第1接続要素により、第1波形要素の終端(P143)と第2波形要素の始端(P146)の異なる電圧レベルを接続している。同様に、期間T2と期間T3の間の期間TS2には、図12(c)に示す第2接続要素(P149〜P152)が配置され、期間T3と期間T4の間の期間TS3には、図12(d)に示す第3接続要素(P159〜P162)が配置されている。
【0200】
そして、駆動パルス生成手段(即ち、選択信号発生部22、レベルシフタ23、及び、スイッチ回路24)は、「1000100」に設定された印字データに基づいて駆動信号から期間T1,T3に配置された波形要素を選択し連結する。これにより、小ドット駆動パルスを生成する。また、駆動パルス生成手段は、「0010001」に設定された印字データに基づいて期間T2、及び、T4に配置された波形要素を選択して連結する。これにより、大ドット駆動パルスを生成する。
【0201】
このようにして生成された小ドット駆動パルスを圧電振動子25に供給すると、つぎのようにインク滴の吐出が行われる。
【0202】
まず、中間電圧VMからインク滴を吐出させない程度に設定された所定の電圧勾配θ19で電圧を上昇させ(P141〜P142)、最大電圧VHに達したらこの最大電圧VHを所定時間維持する(P142〜P143,P152〜P153)。このとき、圧力室31は、一旦基準容積から収縮し、つぎに圧力室31を膨張させるときの膨張代が確保される。
【0203】
また、この最大電圧VHの維持時間により、メニスカスを一旦ノズル開口部13の開口縁から外側に押し出し、押し出したメニスカスが反動で戻ってくるタイミングで圧力室31を膨張させることができる。これにより、メニスカスを圧力室31内に引き込むことができ、この引き込んだ状態から圧力室31の収縮を開始させることができる。
【0204】
ついで、最大電圧VHから所定の電圧勾配θ20で電圧を下降させる(P153〜P154)。最低電圧VLに達したらこの最低電圧VLを所定時間維持し(P154〜P155)、インクを圧力室31内に充填させる。つぎに、急勾配に設定した電圧勾配θ21に沿って、最低電圧VLから、最大電圧VHまで電圧を急激に上昇させる(P155〜P156)。このとき、圧力室31の容積が急速に収縮して圧力室31内のインク圧力が高まり、ノズル開口部13からインク滴が吐出される。
【0205】
この場合において、メニスカスを深く引き込んだ状態から最大電圧VHまで電圧上昇させてインク滴を吐出させるため、小ドットの形成に適した小さいインク体積の小インク滴を吐出させることができる。
【0206】
そして、最大電圧VHが供給された状態を所定時間維持し(P156〜P157)、最大電圧VHからメニスカスの波打ちを短時間で静止させるように圧力室31を膨張させて基準容積に戻す(P157〜P158)。
【0207】
なお、大ドット駆動パルスを圧電振動子25に供給することにより、インク体積が大きい大インク滴を吐出させる動作は、上記第5の実施の形態と同様である。このため、説明を省略する。
【0208】
この実施形態では、大ドット吐出波形を構成する波形要素と小ドット吐出波形を構成する波形要素とが混在されて、一連の駆動信号が構成されている。このため、駆動信号自体を短くすることができ、複数の駆動波形を限られた印刷周期内に容易に納めることができる。それ以外は、上記第6の実施の形態と同様であり、同様の作用効果を奏する。
【0209】
次に、小ドット駆動パルス、中ドット駆動パルス、及び、大ドット駆動パルスが生成可能であり、尚且つ、小ドット駆動パルスにおける圧力室31の収縮の度合いと、中ドット駆動パルスにおける圧力室31の収縮の度合いが異なる第8実施形態について説明する。
【0210】
図13に示すように、この駆動信号では、大ドット駆動パルス(本発明の第1駆動パルスに相当する)を構成する波形要素が2つの波形要素に分割されて期間T1(P180〜P182)および期間T6(P213〜P220)に配置されている。また、中ドット駆動パルス(本発明の第2駆動パルスに相当する)を構成する波形要素が2つに分割されて期間T2(P185〜P188)と期間T4(P193〜P200)とに配置されている。さらに、小ドット駆動パルス(本発明の第2駆動パルスに相当する)を構成する波形要素が3つに分割されて期間T2(P185〜P188)、T3(P188〜P190)及び期間T5(P203〜P210)に配置されている。
【0211】
また、期間T1と期間T2の間の期間TS1には、図14(a)に示す第1接続要素(P182〜P185)が配置されて、第1波形要素の終端(P182)と第2波形要素の始端(P185)の異なる電圧レベルを接続している。同様に、期間T3と期間T4の間の期間TS2には、図14(b)に示す第2接続要素(P190〜P193)が配置され、期間T4と期間T5の間の期間TS3には、図14(c)に示す第3接続要素(P200〜P203)が配置され、期間T3と期間T4の間の期間TS4には、図14(d)に示す第4接続要素(P210〜P213)が配置されている。
【0212】
そして、駆動パルス生成手段(即ち、選択信号発生部22、レベルシフタ23、及び、スイッチ回路24)は、「0011000100」に設定された印字データに基づいて期間T2の第2波形要素、期間T3の第3波形要素、及び、期間T5の第5波形要素を駆動信号から選択して連結する。これにより、小ドット駆動パルスを生成する。また、駆動パルス生成手段は、「0010010000」に設定された印字データに基づいて期間T2の第2波形要素及び期間T4の第4波形要素を駆動信号から選択して連結する。これにより、中ドット駆動パルスを生成する。同様に、駆動パルス生成手段は、「1000000001」に設定された印字データに基づいて期間T1の第1波形要素、及び、期間T6の第6波形要素を駆動信号から選択して連結する。これにより、大ドット駆動パルスを生成する。
【0213】
大ドット駆動パルスは、基本的に第5実施形態における第1波形と同様であり、中間電圧VMから圧力室31を膨張させて圧力室31内にある程度インクを充填させて所定時間保持する膨張波形要素(P180〜P182,P213〜P214)と、この膨張波形要素によって膨張された圧力室31をさらにもう少し膨張させてインクを充填させる充填波形要素(P214〜P216)と、ノズル開口部13からインク滴を吐出させる吐出波形要素(P216〜P218)と、吐出直後におけるメニスカスの波打ちを制止させる制振波形要素(P218〜P219)とから構成されている。
【0214】
また、小ドット駆動パルスは、中間電圧VMから中間電圧VMと最大電圧VHの略中間レベルに設定された第3中間電圧VMHまで電圧を上昇させて圧力室31を少し収縮させる第1収縮波形要素(P185〜P188)と、この第1収縮波形要素によって収縮された圧力室31をさらに収縮させて所定時間保持する第2収縮波形要素(P188〜P190,P203〜P204)と、この収縮した圧力室31を膨張させてインクを充填させる充填波形要素(P204〜P206)と、膨張した圧力室31を収縮させてノズル開口部13からインク滴を吐出させる吐出波形要素(P206〜P208)と、吐出直後におけるメニスカスの波打ちを制止させる制振波形要素(P208〜P209)とから構成される。
【0215】
さらに、中ドット駆動パルスは,基準電圧VMから第3中間電圧VMHまで電圧を上昇させて圧力室31を少し収縮させて、この収縮状態で保持する第1収縮波形要素(P185〜P188,P193〜P194)と、この収縮した圧力室31を膨張させて圧力室31内にインクを充填させる充填波形要素(P194〜P196)と、膨張した圧力室31を収縮させてノズル開口部13からインク滴を吐出させる吐出波形要素(P196〜P198)、吐出直後におけるメニスカスの波打ちを制止させる制振波形要素(P198〜P199)とから構成される。
【0216】
ここで、中ドット駆動パルスの第1収縮波形要素と、小ドット駆動パルスの第1収縮波形要素とでは、期間T2に配置された第2波形要素(P185〜P188)が共通に使用されている。
【0217】
また、この駆動信号では、圧力室31を収縮させる収縮波形要素が、期間T2の第1収縮波形要素と、期間T3の第2収縮波形要素とからなる2段階の段階的収縮波形要素から構成されている。
【0218】
上記の小ドット駆動パルスを圧電振動子25に供給することにより、第7実施形態と同様に、インク体積が小さい小インク滴を吐出させることができる。ただし、本実施形態では、圧力室31を収縮させる際、第1収縮波形要素(P185〜P188)と第2収縮波形要素(P188〜P190)の2段階の収縮波形要素を圧電振動子25に供給する。
【0219】
また、中ドット駆動パルスを圧電振動子25に供給すると、つぎのようにインク滴が吐出する。まず、中間電圧VMからインク滴を吐出させない程度に設定された所定の電圧勾配θ22で電圧を上昇させ(P186〜P187)、中間電圧VMと最大電圧VHとの略中間レベルの第3中間電圧VMHに達したらこの第3中間電圧VMHを所定時間維持する(P187〜P188,P193〜P194)。このとき、圧力室31は、一旦基準容積から少し収縮し、つぎに圧力室31を膨張させるときの膨張代が確保される。ついで、第3中間電圧VMHから所定の電圧勾配θ23で電圧を下降させ(P194〜P195)、最低電圧VLに達したらこの最低電圧VLを所定時間維持し(P195〜P196)、インクを圧力室31内に充填させる。つぎに、急勾配に設定した電圧勾配θ24に沿って、最低電圧VLから、最大電圧VHまで電圧を急激に上昇させる(P196〜P197)。このとき、圧力室31の容積が収縮してインク滴がノズル開口部13から吐出される。そして、最大電圧VHを供給した状態で所定時間維持し(P197〜P198)、最大電圧VHからメニスカスの波打ちを短時間で静止させるように圧力室31を膨張させ、基準容積に戻す(P198〜P199)。
【0220】
そして、大ドット駆動パルスを圧電振動子25に供給することにより、第5実施形態と同様に、インク体積が相対的に大きい大インク滴を吐出させることができる。
【0221】
なお、本実施形態では、圧力室31を収縮させる要素が、第1収縮波形要素(P186〜P188)と第2収縮波形要素(P188〜P190)との2段階の収縮要素から構成されている。このため、これらの第1収波形縮要素と第2収縮波形要素を選択的に連結することで、複数の収縮波形要素を設けることなく、複数段階の電圧変化を行うことができる。そして、駆動信号自体を短くすることもできる。
【0222】
また、大ドット駆動パルスの波形要素が、波形幅方向に、第1波形要素と第6波形要素とに波形要素に二分割され、第1波形要素が最初の期間T1に配置され、第6波形要素が最後の期間T6に配置されている。さらに、膨張波形要素も2つの膨張波形部分要素に分割され、先の膨張部分要素が駆動信号の先頭部である第1波形要素に配置されている。また、後の膨張波形要素が第6波形要素に配置されている。
【0223】
このように、膨張波形要素の保持時間の間に他の波形要素を存在させることにより、膨張要素の保持時間を十分に長くとることが可能になる。そして、駆動信号全体を短くすることができる。
【0224】
さらに、先の膨張部分要素は膨張要素(P180〜P181)を含んでいる。つまり、膨張波形要素の一部を構成する膨張要素が駆動信号の先頭部に配置されている。また、大ドット駆動パルスの吐出波形要素(P216〜P218)が駆動信号の終端部に配置されている。これにより、膨張波形要素の保持時間の間に他の波形要素を配置することができ、膨張波形要素の保持時間を十分長くとれ、尚且つ、駆動信号の全体の時間を短くすることができる。
【0225】
なお、本実施形態では、圧力室31を収縮させる要素を、第1収縮波形要素と第2収縮波形要素との2段階の収縮波形要素(段階的収縮波形要素)から構成した。同様な考え方に基づいて、圧力室31を膨張させる要素を、第1膨張波形要素と第2膨張波形要素の様に、複数段階の膨張波形要素(段階的膨張波形要素)によって構成することもできる。
【0226】
また、この実施形態において、中ドット駆動パルスを構成する波形要素は、収縮波形要素(P185〜P188,P193〜P194)の部分で、先の収縮波形要素(P185〜P188)と、後の膨張波形要素(P193〜P194)とに分割されている。そして、分割された波形要素間に小ドット駆動パルスを構成する波形要素を配置させて一連の駆動信号を構成している。このため、より多くの波形要素を限られた一印刷周期内に容易に納めることができる。
【0227】
また、本実施形態において、駆動パルス生成手段によって生成される各駆動パルスは、小ドット駆動パルスの吐出波形要素(P206〜P208)よりも前に、中ドット駆動パルスの吐出波形要素(P196〜P198)が配置され、小ドット駆動パルスの吐出波形要素よりも後に、大ドット駆動パルスの吐出波形要素(P216〜P218)が配置されている。
【0228】
そして、この構成で双方向印刷を行った場合、往動時における印刷周期T内の吐出順序は、中インク滴、小インク滴、大インク滴の順である。また、復動時における印刷周期T内の吐出順序は、中インク滴、小インク滴、大インク滴の順である。つまり、往動時と復動時とにおいて、インク滴の着弾位置は、大インク滴と中インク滴とが入れ換わるだけである。このため、記録画像を高画質にすることができる。
【0229】
次に、駆動信号から、大ドット駆動パルス、中ドット駆動パルス、小ドット駆動パルス、及び、印字内微振動パルスを生成可能な第9実施形態について説明する。
【0230】
図15に示すように、この駆動信号では、印字内微振動パルスを構成する波形要素が3つに分割されて、期間T1(P221〜P225)、期間T4(P240〜P243)、及び、期間T5(P243〜P246)に配置されている。また、小ドット駆動パルス(本発明の第2駆動パルスに相当する)を構成する波形要素は2つに分割されて、期間T2(P225〜P228)、及び、期間T6(P247〜P258)に配置されている。また、中ドット駆動パルス(本発明の第2駆動パルスに相当する)を構成する波形要素は、分割されずに期間T3(P230〜P240)に配置されている。さらに、大ドット駆動パルス(本発明の第1駆動パルスに相当する)を構成する波形要素は、2つに分割されて、期間T4(P240〜P243)、及び、期間T7(P260〜P266)に配置されている。なお、期間T4の波形要素は、大ドット駆動パルスと、印字内微振動パルスとに共通に使用されている。
【0231】
また、期間T2と期間T3の間の期間TS1には、第1接続要素(P228〜P229)が配置されている。同様に、期間T5と期間T6の間の期間TS2には、示す第2接続要素(P246〜P247)が配置され、期間T3と期間T4の間の期間TS3には、第3接続要素(P258〜P259)が配置されている。
【0232】
そして、駆動パルス生成手段(即ち、選択信号発生部22、レベルシフタ23、及び、スイッチ回路24)は、「0000100001」に設定された印字データに基づいて期間T4の第4波形要素、及び、期間T7の第7波形要素を駆動信号から選択して連結し、大ドット駆動パルスを生成する。また、駆動パルス生成手段は、「0001000000」に設定された印字データに基づいて期間T3の第3波形要素を駆動信号から選択して、中ドット駆動パルスを生成する。また、駆動パルス生成手段は、「0100000100」に設定された印字データに基づいて期間T2の第2波形要素、及び、期間T6の第6波形要素を駆動信号から選択して連結し、中ドット駆動パルスを生成する。また、駆動パルス生成手段は、「1000110000」に設定された印字データに基づいて期間T1の第1波形要素、期間T4の第4波形要素、及び、期間T5の第5波形要素を駆動信号から選択して連結し、印字内微振動パルスを生成する。
【0233】
図16に示すように、大ドット駆動パルスは、基本的に第5実施形態における大ドット駆動パルスと同様であり、基準容積の圧力室31を少し膨張させて圧力室31内にある程度インクを充填させて所定時間保持する膨張波形要素(P241〜P243,P259〜P260)と、この膨張波形要素によって膨張された圧力室31をさらにもう少し膨張させてインクを充填させる充填波形要素(P260〜P262)と、最大電位VHよりも少し低い電圧レベルに設定された第2最大電圧VH´まで最低電圧VLから急激に電圧を上昇させてノズル開口部13からインク滴を吐出させる吐出波形要素(P260〜P264)と、吐出直後におけるメニスカスの波打ちを制止させる制振波形要素(P264〜P265)とから構成されている。
【0234】
また、中ドット駆動パルスは、最低電位VLよりも僅かに高い電圧レベルに設定された第2最低電圧VL´まで中間電圧VMから電圧勾配θ31に沿って電圧を下降させることで圧力室31を膨張させ、この膨張状態を保持させる充填波形要素(P230〜P232)と、膨張した圧力室31を収縮させる吐出波形要素(P232〜P234)と、吐出波形要素の供給によりインク滴となる部分がメニスカスから分離する直前で圧力室31を急激に膨張させてメニスカスを圧力室31側に引き込む引込波形要素(P234〜P236)と、吐出直後におけるメニスカスの波打ちを制止させる制振波形要素(P236〜P239)とから構成される。
【0235】
また、小ドット駆動パルスは、中間電圧VMから最大電圧VHまで電圧を上昇させることで圧力室31を少し収縮させ、この収縮状態を保持する収縮波形要素(P226〜P228,P247〜P248)と、この収縮波形要素によって収縮状態が保持された圧力室31を膨張させてインクを充填させる充填波形要素(P248〜P250)と、膨張した圧力室31を収縮させる吐出波形要素(P250〜P252)と、吐出波形要素の供給によりインク滴となる部分がメニスカスから分離する直前で圧力室31を急激に膨張させてメニスカスを圧力室31側に引き込む引込波形要素(P252〜P254)と、吐出直後におけるメニスカスの波打ちを制止させる制振波形要素(P254〜P257)とから構成される。
【0236】
さらに、印字内微振動パルスは、第1微振動波形要素(P221〜P224)と、第2微振動波形要素(P241〜P245)とから構成される。
【0237】
上記の大ドット駆動パルスを圧電振動子25に供給することにより、インク体積が大きい大インク滴を吐出させることができることは、第5実施形態と同様である。
【0238】
また、中ドット駆動パルスを圧電振動子25に供給すると、つぎのようにインク滴が吐出する。まず、中間電圧VMからインク滴を吐出させない程度に設定された所定の電圧勾配θ31で第2最低電圧VL´まで電圧を下降させ(P230〜P231)、第2最低電圧VL´に達したらこの第2最低電圧VL´を所定時間維持する(P231〜P232)。これにより、圧力室31内にインクが充填される。つぎに、急勾配に設定した電圧勾配θ32に沿って、最低電圧VLから、第2最大電圧VH´まで電圧を急激に上昇させる(P232〜P234)。このとき、圧力室31が急速に収縮して圧力室31内のインク圧力が上昇する。このインク圧力の上昇に伴って、メニスカスの中央部が吐出方向に盛り上がった状態になる。そして、インク滴となる部分がメニスカスから分離する直前のタイミングで、急勾配に設定したθ31に沿って引込電圧VAまで電圧を下降する(P234〜P235)。これにより、圧力室31が急速に膨張して圧力室31内が負圧になり、メニスカスの周縁部分が圧力室31内側に引き込まれる。従って、メニスカスの中央部分がメニスカスと分離され、この中央部分がインク滴となって飛翔する。インク滴を吐出させたならば、電圧を上昇させた後に再度下降させて、圧力室31を収縮、膨張させ、メニスカスの振動を早期に収束させる(P236〜P239)。
【0239】
また、小ドット駆動パルスを圧電振動子25に供給した場合には、中間電圧から最大電圧VHに電圧が上昇して保持されることにより、圧力室31が膨張して膨張代が確保される(P226〜P228,P247〜P248)。その後は、先に説明した中ドット駆動パルスと同様な動作がなされる(P248〜P257)。この小ドット駆動パルスでは、圧力室31の内側にメニスカスを大きく引き込んだ状態でインク滴を吐出するので、一層小さい体積のインク滴を吐出させることができる。
【0240】
また、微振動パルスを圧電振動子25に供給した場合には、第1微振動波形及び第2微振動波形により、圧力室31は、中間電圧VMに対応する基準容積から少し膨張する。その後圧力室31は、この膨張状態を所定時間に亘って維持した後に、基準容積に戻る。これにより、メニスカスは、少し圧力室31内側に引き込まれ、その後、通常状態に復帰する。従って、ノズル開口部13近傍のインクが攪拌される。
【0241】
次に、第10実施形態について説明する。この第10実施形態では、2つの大ドット吐出波形要素の間に他ドット吐出波形要素としての小ドット吐出波形要素を配設している。さらに、大インク滴を吐出させる2つの大ドット駆動パルスの波形形状を同一にしている。
【0242】
図17に示した駆動信号において、期間T1の部分(P270〜P273)の部分が第1波形要素であり、期間T2の部分(P274〜P281)が第2波形要素である。そして、期間T3の部分(P282〜P289)が第3波形要素であり、期間T4の部分(P289〜P295)が第4波形要素である。また、期間TS1の部分(P273〜P274)は第1接続要素であり、期間TS2の部分(P281〜P282)は第2接続要素である。
【0243】
上記の第1波形要素は、収縮波形要素(P271〜P272)を含んでいる。第2波形要素は、第1充填波形要素(P275〜P277)と、第1大ドット吐出波形要素(P277〜P279)と、第1制振波形要素(P279〜P280)とを含んでいる。また、第3波形要素は、第2充填波形要素(P283〜P285)と、小ドット吐出波形要素(P285〜P287)と、第2制振波形要素(P287〜P288)とを含んでいる。第4波形要素は、第3充填波形要素(P290〜P292)と、第2大ドット吐出波形要素(P292〜P294)と、第3制振波形要素(P294〜P295)とを含んでいる。
【0244】
さらに、本実施形態の第2波形要素と第4波形要素とは、同じ形状の波形である。そして、第1波形要素の始点(P270)から第1制振波形要素の終点(P280)までの時間と、第1制振波形要素の終点(P280)から第3制振波形要素の終点(P295)までの時間とが同じ時間になるように設定してある。なお、第3制振波形要素の終点(P295)は、次の印刷周期Tにおける第1波形要素の始点(P270)である。
【0245】
このような駆動信号から小ドット駆動パルスを生成するためには、駆動パルス生成手段(即ち、選択信号発生部22、レベルシフタ23及びスイッチ回路24)は、第1波形要素と第3波形要素とを選択し、選択した波形要素を連結する。具体的には、「100010」に設定された印字データに基づいて波形要素を選択する。また、駆動パルス生成手段は、大ドット駆動パルスを生成する場合には、「001000」に設定された印字データに基づいて第2波形要素を選択したり、或いは、「000001」に設定された印字データに基づいて第4波形要素を選択する。つまり、本実施形態では、第2波形要素と第4波形要素は、単独で大ドット駆動パルスを構成する。
【0246】
さらに、大インク滴を連続的に吐出させる場合に駆動パルス生成手段は、「001001」に設定された印字データに基づき、第2波形要素と第4波形要素とを選択して、2つの大ドット駆動パルスを生成する。なお、この2つの大ドット駆動パルスに関し、先の大ドット駆動パルス(P275〜P280)と後の大ドット駆動パルス(P290〜P295)は、上記したように波形形状が同一である。さらに、駆動周期Tの始点(P270)から先の大ドット駆動パルスの始点(P275)までの時間と、先の大ドット駆動パルスの終点(P280)から後の大ドット駆動パルスの始点(P290)までの時間を同じ時間に揃えている。つまり、大ドット駆動パルスの終点から次の大ドット駆動パルスの始点までの時間を一定時間にしている。
【0247】
これにより、大インク滴を連続的に吐出させる場合において、大インク滴を一定間隔毎、つまり、一定の周波数で吐出できる。その結果、先の大ドット駆動パルスによる大インク滴と後の大ドット駆動パルスによる大インク滴の着弾位置のばらつきをなくすことができ、印字品質の向上が図れる。また、可能な限り高い周波数で記録ヘッド8を駆動できる。
【0248】
そして、本実施形態では、上記の駆動信号を、例えば10.8kHzの印刷周期Tで発生させている。このため、大インク滴を連続的に吐出させる場合には、この印刷周期Tの期間内に大インク滴を2回吐出させることができ、記録ヘッド8の駆動周波数を実質的に高めることができる。また、大インク滴を発生させる2つの大ドット駆動パルスの間に、他ドット駆動パルスとしての小ドット駆動パルスを構成する吐出波形要素を配置してあるので、限られた期間の印刷周期Tであっても多くの駆動波形を含ませることができる。
【0249】
さらに、2つの大ドット駆動パルスの波形を同じ形状にしたので、いずれの大ドット駆動パルスで大インク滴を吐出させても大インク滴の体積は同じである。つまり、大ドットの大きさを同じすることができる。
【0250】
なお、この実施形態では、2つの大ドット駆動パルスを印刷周期T内に含ませたが、さらに多くの大ドット駆動パルスを印刷周期T内に含ませてもよい。
【0251】
次に、第11実施形態について説明する。この第11実施形態では、大インク滴、中インク滴、及び、小インク滴を、同一のノズル開口部13から吐出させるものである。そして、この実施形態では、大ドット駆動パルスを構成する2つの大ドット吐出波形を同一形状とし、大ドット吐出波形を一定周期毎に配置してある。さらに、大ドット吐出波形同士の間に小ドット吐出波形を配置している。
【0252】
図18に示した駆動信号において、期間T1の部分(P300〜P303)の部分が第1波形要素であり、期間T2の部分(P304〜P311)が第2波形要素である。そして、期間T3の部分(P312〜P317)が第3波形要素であり、期間T4の部分(P317〜P323)が第4波形要素である。また、期間TS1の部分(P303〜P304)は第1接続要素であり、期間TS2の部分(P311〜P312)は第2接続要素である。
【0253】
上記の第1波形要素は、収縮波形要素(P301〜P302)を含んでいる。第2波形要素は、第1充填波形要素(P305〜P307)と、第1吐出波形要素(P307〜P309)と、第1制振波形要素(P309〜P310)とを含んでいる。また、第3波形要素は、第2充填波形要素(P313〜P314)と、第2吐出波形要素(P314〜P315)と、第2制振波形要素(P315〜P316)とを含んでいる。第4波形要素は、第3充填波形要素(P318〜P320)と、第3吐出波形要素(P320〜P322)と、第3制振波形要素(P322〜P323)とを含んでいる。なお、第3制振波形要素の終点(P323)は、次の印刷周期Tにおける第1波形要素の始点(P300)である。
【0254】
このような駆動信号から小ドット駆動パルスを生成するためには、駆動パルス生成手段(即ち、選択信号発生部22、レベルシフタ23及びスイッチ回路24)は、第1波形要素と第3波形要素とを選択し、選択した波形要素を連結する。具体的には、「100010」に設定された印字データに基づいて波形要素を選択する。この小ドット駆動パルスにおいて、第3波形要素の第2吐出波形要素(P314〜P315)は、他ドット吐出波形要素である。
【0255】
また、中ドット駆動パルスを生成する場合には、駆動パルス生成手段は、「000001」に設定された印字データに基づいて第4波形要素を選択する。つまり、この第4波形要素は、単独で中ドット駆動パルスを構成する。
【0256】
さらに、大ドット駆動パルスを生成する場合には、駆動パルス生成手段は、「001001」に設定された印字データに基づき、第2波形要素と第4波形要素とを選択し、連結する。この大ドット駆動パルスにおいて、第2波形要素の第1吐出波形要素(P307〜P309)と、第4波形要素の第3吐出波形要素(P320〜P322)は、大ドット吐出波形要素である。
【0257】
なお、この大ドット駆動パルスを構成する2つの大ドット吐出波形に関し、先の大ドット吐出波形(P305〜P310)と後の大ドット吐出波形(P318〜P323)の波形形状は同一である。また、駆動周期Tの始点(P300)から先の大ドット吐出波形の始点(P305)までの時間と、先の大ドット吐出波形の終点(P310)から後の大ドット吐出波形の始点(P318)までの時間を同じ時間に揃えている。つまり、大ドット吐出波形の終点から次の大ドット吐出波形の始点までの時間を一定時間にしている。さらに、大ドット吐出波形同士の間には小ドット駆動パルスを構成する小ドット吐出波形(P313〜P316)を配置している。
【0258】
そして、この駆動信号では、小ドット吐出波形を挟んで前後に大ドット吐出波形を配置しているので、記録ヘッド8(即ち、キャリッジ)の往動時と復動時の両方で印字を行う双方向印字において、小ドット駆動パルスで吐出される小インク滴の着弾位置を基準に大インク滴の位置合わせを行うことで、小インク滴と大インク滴の着弾位置を揃えることができる。
【0259】
また、先の大ドット吐出波形と後の大ドット吐出波形を同じ波形形状とし、先の大ドット吐出波形で吐出されるインク滴の体積と、後の大ドット吐出波形で吐出されるインク滴の体積とを揃えることができる。
【0260】
さらに、印刷周期T内において大ドット吐出波形を一定周期毎に発生させているので、双方向印字の場合において、往動時と復動時とで同じ記録状態を実現できる。
【0261】
このように本実施形態では、特に双方向印字の構成において高品位の画像を記録させることができる。
【0262】
ところで、上記の各実施形態では、たわみ振動モードの圧電振動子61を圧力発生素子として使用した記録ヘッド8を例示したが、本発明は、図19に示す縦振動モードの圧電振動子61を用いた記録ヘッド62にも適用することができる。
【0263】
この記録ヘッド62は、合成樹脂製の基台63と、この基台63の前面(図の左側に相当する)に貼着された流路ユニット64とを備えている。そして、この流路ユニット64は、ノズル開口部65が穿設されたノズルプレート66と、振動板67と、流路形成板68とから構成されている。
【0264】
基台63は、前面と背面に開放された収容空間69が設けられたブロック状部材である。この収容空間69には、固定基板70に固定された圧電振動子61が収容されている。
【0265】
ノズルプレート66は、副走査方向に沿って多数のノズル開口部65が穿設された薄い板状部材である。各ノズル開口部65は、ドット形成密度に対応した所定ピッチで開設されている。振動板67は、圧電振動子61が当接する厚肉部としてのアイランド部71と、このアイランド部71の周囲を囲うように設けられ、弾性を有する薄肉部72とを備えた板状部材である。
【0266】
アイランド部71は、一つののノズル開口部65に一つのアイランド部71が対応するように、所定ピッチで多数設けられている。
【0267】
流路形成板68は、圧力室73、共通インク室74、及び、これらの圧力室73と共通インク室74とを連通するインク供給路75を形成するための開口部が設けられている。
【0268】
そして、ノズルプレート66を流路形成板68の前面に配設するとともに、振動板67を背面側に配設し、ノズルプレート66と振動板67とにより流路形成板68を挟んだ状態で、接着等により一体化されて流路ユニット64が形成されている。
【0269】
この流路ユニット64では、ノズル開口部65の背面側に圧力室73が形成され、この圧力室73の背面側に振動板67のアイランド部71が位置している。また、圧力室73と共通インク室74とがインク供給路75によって連通している。
【0270】
圧電振動子61の先端は、アイランド部71に背面側から当接され、この当接状態で圧電振動子61が基台63に固定されている。また、この圧電振動子61には、フレキシブルケーブルを介して駆動信号(COM)や印字データ(SI)等が供給される。
【0271】
縦振動モードの圧電振動子61は、充電されると電界と直交する方向に収縮し、放電すると電界と直交する方向に伸長する特性を有する。したがって、この記録ヘッド62では、充電されることにより圧電振動子61は後方に収縮し、この収縮に伴ってアイランド部71が後方に引き戻され、収縮していた圧力室73が膨張する。この膨張に伴って共通インク室74のインクがインク供給路75を通って圧力室73内に流入する。一方、放電することにより圧電振動子61は前方に向けて伸長し、弾性板のアイランド部71が前方に押されて圧力室73が収縮する。この収縮に伴って圧力室73内のインク圧力が高くなる。
【0272】
このように、この記録ヘッド62では、圧電振動子61の充放電による電圧レベルと圧力室73の膨張収縮との関係が、上記各実施形態と逆になっている。従って、この記録ヘッド62を用いる場合には、先の実施形態で示した駆動信号および駆動波形を、中間電圧を境に電圧の正負を反対にした駆動信号および駆動波形が用いられる。例えば、図20に示すように、図15及び図16で示した駆動信号および駆動波形を、中間電圧VMを境にして電圧の上昇・降下の方向を反対にした駆動信号および駆動波形が用いられる。
【0273】
すなわち、この記録ヘッド62では、圧力室73へのインクの充填は電圧を上昇させることでおこなう。同様に、インク滴の吐出は、電圧を下降させることにより行う。そして、この記録ヘッド62を用いた場合でも、上記各実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0274】
なお、図20の駆動信号では、最低電圧VLを、グランド電圧である0Vからこのグランド電圧よりも少し高い5V程度までの電圧範囲内に設定している。そして、中間電圧VMから電圧を降下する収縮波形要素(P332〜P334,P339〜P334)の前半部分(P330〜P334)の終端を最低電圧VLに設定している。さらに、収縮波形要素の前半部分の終端と、中ドット駆動パルスを構成する波形要素(P335〜P336)の始端とを、接続要素(P334〜P335)によって接続している。
【0275】
このように、グランド電圧から5V以下の電圧範囲内に最低電圧VLを設定すると、グランド電圧を基準にして、グランド電圧から正方向の電圧によって駆動信号を構成することができる。このため、制御が容易になる。また、最高電圧VHの電圧レベルでの電圧印加又は電圧維持を低く抑えることができるので、電圧印加に伴う圧電振動子への負担を極力少なくすることもできる。
【0276】
【発明の効果】
以上、要するに本発明によれば、圧力発生素子を作動させる波形要素と圧力発生素子を作動させることのない接続要素とを含ませ、尚且つ、接続要素により波形要素同士間の異なる電圧レベルを接続した一連の駆動信号を駆動信号発生手段によって発生させ、駆動パルス生成手段により駆動信号中の波形要素を選択的に連結させて駆動パルスを生成し、生成した駆動パルスを圧力発生素子に供給してインク滴を吐出させる構成としたので、接続要素は、圧力発生素子が作動しない信号要素であるから電圧勾配を急峻に設定することができる。
【0277】
このため、接続端部の電圧レベルを異にする波形要素同士を僅かな時間で接続することができる。従って、圧力発生素子との兼ね合いにより電圧勾配や電圧の変化タイミングが規定されている波形要素であっても、要素の数を従来より多くすることができ、一印刷周期内の一連の駆動信号に含ませることができる。
【0278】
よって、インク滴の大きさに関し、波形要素の選択の仕方次第でその可変範囲を大きくすることができる。このため、記録速度を高速に維持しながらも種々の大きさのインク滴を吐出させることができるという顕著な効果を発揮する。
【0279】
また、本発明の他の構成によれば、圧力室を膨張させ、この膨張状態を所定時間に亘って保持し、膨張状態が保持された圧力室をさらに膨張させた後に収縮させてインク滴を吐出させる膨張波形要素を含ませた駆動パルスを駆動パルス生成手段によって生成し、生成した駆動パルスを圧力発生素子に供給してインク滴を吐出させる構成としたので、膨張波形要素による膨張に伴って負圧になった圧力室内の圧力が保持時間の経過により常圧側に戻る。
【0280】
この圧力が戻った状態の圧力室を第1充填波形要素によりさらにもう少し膨張させてインクを充填させているため、圧力室にインクを充填する際における圧力室内の圧力変動を少なくすることができ、メニスカスの後退を抑えることができる。
【0281】
従って、インク体積の大きなインク滴を吐出させる際には、インク室内の圧力の変化幅を従来よりも少なくすることができ、このインク滴の飛行速度が過剰に高速になってしまうことを防止できるという顕著な効果を発揮する。
【0282】
さらに、インク滴の飛行速度は、圧力室の膨張度合いや膨張状態の保持時間を設定することで調整できる。このため、吐出させるインク滴に適した飛行速度に調整することができる。従って、インク体積の違いに伴うインク滴の飛行速度の違いを少なくできるという効果も発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット式記録装置の全体構成を示す説明図である。
【図2】記録ヘッドの機械的構造を示す説明図である。
【図3】記録ヘッド駆動回路の要部を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態を示し、(a)は駆動信号を示す図、(b)はこの駆動信号における接続要素を示す図、(c)は階調値と印字データとの関係を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態における駆動パルスを示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態における駆動信号及び駆動パルスを示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態における駆動信号及び駆動パルスを示す図である。
【図8】本発明の第4実施形態における駆動信号及び駆動パルスを示す図である。
【図9】本発明の第5実施形態における駆動信号を示す図である。
【図10】本発明の第5実施形態における駆動信号及び駆動パルスを示す図である。
【図11】本発明の第6実施形態を示し、(a)は駆動信号及び駆動パルスを示す図、(b)及び(c)はそれぞれ接続要素を示す図である。
【図12】本発明の第7実施形態を示し、(a)は駆動信号及び駆動パルスを示す図、(b)、(c)及び(d)はそれぞれ接続要素を示す図である。
【図13】本発明の第8実施形態における駆動信号及び駆動パルスを示す図である。
【図14】(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、本発明の第8実施形態における接続要素を示す図である。
【図15】本発明の第9実施形態における駆動信号を示す図である。
【図16】本発明の第9実施形態における駆動パルスを示す図である。
【図17】本発明の第10実施形態における駆動信号及び駆動パルスを示す図である。
【図18】本発明の第11実施形態における駆動信号及び駆動パルスを示す図である。
【図19】本発明に適用可能な他の記録ヘッドの機械的構造を説明する図である。
【図20】図19に記載された記録ヘッド用の駆動信号及び駆動パルスを示す図である。
【符号の説明】
1 プリンタコントローラ
2 プリントエンジン
3 インターフェース
4 RAM
5 ROM
6 制御部
7 発振回路
8 記録ヘッド
9 駆動信号発生回路
10 インターフェース
11 紙送り機構
12 キャリッジ機構
13 ノズル開口部
22 選択信号発生部
23 レベルシフタ
24 スイッチ回路
25 圧電振動子
31 圧力室
32 アクチュエータユニット
33 インク室
34 流路ユニット
35 圧力室形成基板
36 蓋部材
37 振動板
38 第1インク流路
39 第2インク流路
41 インク室形成部材
42 ノズルプレート
43 供給口形成板
44 ノズル連通口
45 インク供給口
46 連通口
48 下部電極
49 上部電極
50 接続端子
51 フレキシブル回路基板
61 圧電振動子
62 記録ヘッド
63 基台
64 流路ユニット
65 ノズル開口部
66 ノズルプレート
67 振動板
68 流路形成板
69 収容空間
70 固定基板
71 アイランド部
72 薄肉部
73 圧力室
74 共通インク室
75 インク供給路

Claims (11)

  1. 駆動パルスが入力されることにより圧力室を膨張収縮させて圧力室内のインク圧力を変動させる圧力発生素子を有し、上記圧力変動によりノズル開口部からインク滴を吐出させるインクジェット式記録装置であって、
    駆動信号を発生させる駆動信号発生手段と、駆動信号から駆動パルスを生成する駆動パルス生成手段とを有し、
    駆動パルス生成手段は、圧力室を膨張させ、変化後の膨張状態を保持する膨張波形要素と、膨張波形要素によって膨張状態が保持された圧力室をさらに膨張させる第1の充填波形要素と、第1の充填波形要素によって膨張された圧力室を収縮させてインク滴を吐出させる第1の吐出波形要素とを含む第1駆動パルスを生成し、
    さらに前記駆動パルス生成手段は、圧力室を収縮させ、この収縮状態を保持する収縮波形要素と、収縮波形要素によって収縮状態が保持された圧力室を膨張させてインクを充填する第2の充填波形要素と、第2の充填波形要素によって膨張された圧力室を収縮させてインク滴を吐出させる第2の吐出波形要素とを含む第2駆動パルスを生成し、第1駆動パルスと第2駆動パルスによって、階調の異なるパルスを発生させることを特徴とするインクジェット式記録装置。
  2. 駆動パルスが入力されることにより圧力室を膨張収縮させて圧力室内のインク圧力を変動させる圧力発生素子を有し、上記圧力変動によりノズル開口部からインク滴を吐出させるインクジェット式記録装置であって、
    駆動信号を発生させる駆動信号発生手段と、駆動信号から駆動パルスを生成する駆動パルス生成手段とを有し、
    駆動パルス生成手段は、圧力室を膨張させ、変化後の膨張状態を保持する膨張波形要素と、膨張波形要素によって膨張状態が保持された圧力室をさらに膨張させる第1の充填波形要素と、第1の充填波形要素によって膨張された圧力室を収縮させてインク滴を吐出させる第1の吐出波形要素とを含む第1駆動パルスを生成し、
    少なくとも一つの駆動パルスを複数の波形要素に分割し、分割した波形要素の間に、他の駆動パルスを構成する波形要素を混在させて一連の駆動信号を構成し、
    駆動パルス生成手段は、分割した波形要素を選択的に連結することにより、駆動パルスを生成することを特徴とするインクジェット式記録装置。
  3. 駆動パルスが入力されることにより圧力室を膨張収縮させて圧力室内のインク圧力を変動させる圧力発生素子を有し、上記圧力変動によりノズル開口部からインク滴を吐出させるインクジェット式記録装置であって、
    駆動信号を発生させる駆動信号発生手段と、駆動信号から駆動パルスを生成する駆動パルス生成手段とを有し、
    駆動パルス生成手段は、圧力室を膨張させ、変化後の膨張状態を保持する膨張波形要素と、膨張波形要素によって膨張状態が保持された圧力室をさらに膨張させる第1の充填波形要素と、第1の充填波形要素によって膨張された圧力室を収縮させてインク滴を吐出させる第1の吐出波形要素とを含む第1駆動パルスを生成し、
    少なくとも一つの駆動パルスの膨張波形要素を複数の膨張部分要素に分割し、これらの膨張部分要素の間に、他の駆動パルスの吐出波形要素を混在させて一連の駆動信号を構成することを特徴とするインクジェット式記録装置。
  4. 前記膨張波形要素を、圧力室を複数段階に膨張させる段階的膨張波形要素によって構成したことを特徴とする請求項1からの何れかに記載のインクジェット式記録装置。
  5. 前記収縮波形要素を、圧力室を複数段階に収縮させる段階的収縮波形要素によって構成したことを特徴とする請求項に記載のインクジェット式記録装置。
  6. 少なくとも一つの駆動パルスの収縮波形要素を複数の収縮部分要素に分割し、これらの収縮部分要素の間に、他の駆動パルスの吐出波形要素を混在させて一連の駆動信号を構成することを特徴とする請求項に記載のインクジェット式記録装置。
  7. 前記膨張波形要素の一部を構成する膨張要素を駆動信号の先頭部に配置し、第1吐出波形要素を駆動信号の終端部に配置したことを特徴とする請求項2,3,又は6に記載のインクジェット式記録装置。
  8. 分割された波形要素同士間の異なる電圧レベルを接続要素によって接続することを特徴とする請求項2,3,6,又は7に記載のインクジェット式記録装置。
  9. 前記圧力発生素子をたわみ振動モードの圧電振動子によって構成したことを特徴とする請求項1からの何れかに記載のインクジェット式記録装置。
  10. 前記圧力発生素子を縦振動モードの圧電振動子によって構成したことを特徴とする請求項1からの何れかに記載のインクジェット式記録装置。
  11. 前記駆動信号における最低の電圧は、グランド電圧〜5Vの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項10記載のインクジェット式記録装置。
JP2000398812A 1998-06-10 2000-12-27 インクジェット式記録装置、及び、インクジェット式記録ヘッドの駆動方法 Expired - Fee Related JP4032338B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000398812A JP4032338B2 (ja) 1998-06-10 2000-12-27 インクジェット式記録装置、及び、インクジェット式記録ヘッドの駆動方法

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16230598 1998-06-10
JP10-162305 1999-02-05
JP11-126079 1999-02-05
JP11-28667 1999-02-05
JP2866799 1999-02-05
JP12607999 1999-05-06
JP2000398812A JP4032338B2 (ja) 1998-06-10 2000-12-27 インクジェット式記録装置、及び、インクジェット式記録ヘッドの駆動方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16267699A Division JP3185981B2 (ja) 1998-06-10 1999-06-09 インクジェット式記録装置、及び、インクジェット式記録ヘッドの駆動方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001171115A JP2001171115A (ja) 2001-06-26
JP4032338B2 true JP4032338B2 (ja) 2008-01-16

Family

ID=27458927

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000398812A Expired - Fee Related JP4032338B2 (ja) 1998-06-10 2000-12-27 インクジェット式記録装置、及び、インクジェット式記録ヘッドの駆動方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4032338B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8303067B2 (en) 2009-09-15 2012-11-06 Ricoh Company, Ltd. Image forming apparatus

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4604490B2 (ja) 2002-04-09 2011-01-05 セイコーエプソン株式会社 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP4662830B2 (ja) * 2005-09-16 2011-03-30 株式会社リコー 画像形成装置
JP6987580B2 (ja) * 2017-09-22 2022-01-05 東芝テック株式会社 波形生成装置及びインクジェット記録装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8303067B2 (en) 2009-09-15 2012-11-06 Ricoh Company, Ltd. Image forming apparatus

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001171115A (ja) 2001-06-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3185981B2 (ja) インクジェット式記録装置、及び、インクジェット式記録ヘッドの駆動方法
US5521619A (en) Ink jet type recording apparatus that controls into meniscus vibrations
EP1186410B1 (en) Liquid jet apparatus and method for driving the same
US6290315B1 (en) Method of driving an ink jet recording head
US6312077B1 (en) Ink jet printer and ink jet printing method
US6779866B2 (en) Liquid jetting apparatus and method for driving the same
JP2001150672A (ja) インクジェット式記録装置、及び、インクジェット式記録ヘッドの駆動方法
JP3424657B2 (ja) インクジェット式記録装置
JP2018149768A (ja) インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置
JP3671932B2 (ja) インクジェット式記録装置、及び、その駆動方法
US6273538B1 (en) Method of driving ink-jet head
JP4032338B2 (ja) インクジェット式記録装置、及び、インクジェット式記録ヘッドの駆動方法
JP3891199B2 (ja) インクジェット式記録装置
JP3496700B2 (ja) インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法
JP4202639B2 (ja) インクジェット式記録装置
JP3959809B2 (ja) インクジェットプリンタ、ならびにインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置および方法
JP2003182075A5 (ja)
EP1319511B1 (en) Liquid jetting apparatus and method for driving the same
JP4039038B2 (ja) インクジェット式記録装置、及び、記録ヘッドの駆動方法
JP2001162793A (ja) インクジェット式記録ヘッドの駆動方法及びインクジェット式記録装置
JP4501921B2 (ja) インクジェット式記録装置
JP2003305843A (ja) インクジェット式記録装置
US8702188B2 (en) Device and method for driving liquid-drop ejection head and image forming apparatus
JP3048042B2 (ja) インクジェットヘッドの駆動方法
JP2002321362A (ja) インクジェットヘッドの駆動方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070109

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070309

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070608

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070803

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070928

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071011

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101102

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101102

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111102

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111102

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121102

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121102

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131102

Year of fee payment: 6

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees