JP4031726B2 - エキスパンションジョイント及びその組み付け方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はエキスパンションジョイントに関し、特にガスタービン等の高温となるプラントの連結に対して好適に適用できるエキスパンションジョイントに関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、ガスタービンとこれに接続された排気ダクトを示す側面図、図5は従来のエキスパンションジョイントを示す断面図である。図4において、ガスタービン101は燃焼ガスにより駆動し、その排気ガスは排気室101aから排気ダクト103へ流れる。排気ダクト103は、エキスパンションジョイント102を介して排気室101aと接続されている。排気ダクト103の構成はダクト103a、103b、これらのダクト103a、103bを継ぐエキスパンションジョイント102からなり、排気ガスを排ガスボイラ109へ導く通路を構成している。
【0003】
ガスタービン101、排気ダクト103は概略的には円筒形状であり、エキスパンションジョイント102はリング状のものである。ガスタービン101、排気ダクト103は常温で組み立てられ、運転時は内部に400℃〜600℃程度の高温のガスが流れる。そして、運転時の振動、熱による膨張によってガスタービン101、排気ダクト103は大きく変位する。その変位量の一例を挙げると、ガスタービン101と排気ダクト103の間隔が50cmの場合、最大でその間隔が7cm程度縮小する。このため、エキスパンションジョイント102は、熱による伸縮、運転時の振動を吸収する機能を備えるとともに、接続部から外部に熱が漏れないように断熱する機能を備えている。
【0004】
図5は、そのエキスパンションジョイント102の断面図で、排気室101aと排気ダクト103aの間に設けられたエキスパンションジョイント102を示している。図5に示すように、排気室101aの後端部にはフランジ部104が設けられ、排気ダクト103aの前端部にはフランジ部105が設けられている。エキスパンションジョイント102は両フランジ部104、105の内径側を接続する断熱材抜け止めシール106、外径側を接続するブーツ107、及びシール106とブーツ107の間に充填された断熱材108から構成される。
【0005】
断熱材抜け止めシール106、ブーツ107はシート状であるため、ガスタービン101の運転時には、内径側又は外径側へ変形してフランジ部104、フランジ部105間の距離の変動に対応して伸縮する。また、断熱材108はセラミックファイバーなどの細かい繊維の集合体であり、やはりフランジ部104、フランジ部105間の距離の変動に対応して伸縮する。このようにして、エキスパンションジョイント102は、運転時の熱、振動によるガスタービン101、ダクト103a、103bの変位を吸収するように構成されている。このようなエキスパンションジョイントの従来例としては、上記エキスパンションジョイント102の他、特許文献1に示すものが知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−224684 P3、図1
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、断熱材抜け止めシール106、ブーツ107は剛性が低く、図5に示すように幅方向の端部のみで支持されているため、幅方向の中間部近傍が内側、若しくは外側に変形してしまうという問題が生じる。
【0008】
特に近時では、ブーツ107の素材を非金属にして、より高温での使用に耐えるようにしているが、ブーツ107を非金属材料で構成すると、単位長さあたりの伸縮量が低下してしまう。このため、図5に示すように、フランジ部104とフランジ部105の間隔をより広くとり、エキスパンションジョイント102の幅をより大きくすることで所望の伸縮量を確保するようにしている。このような状況下では、断熱材抜け止めシール106、ブーツ107がより変形し易くなっている。
【0009】
このため、運転時のガスタービン101、排気ダクト103が振動、膨張すると、断熱材抜け止めシール106、ブーツ107が変形するという問題が生じていた。図6は、フランジ部104、105の間隔が近接し、断熱材抜け止めシール106、ブーツ107が内径側へ変形した状態をしている。
【0010】
このようにブーツ107が内径側へ変形すると、ブーツ107の表面に局所的なしわが発生し、ガスタービン101の運転時の振動によってブーツ107が破断するという問題が生じていた。これにより、ガスタービン101、排気ダクト103内の熱が外部に漏れ、信頼性が損なわれるという問題があった。
【0011】
また、断熱材抜け止めシール106とブーツ107の間には断熱材108が圧縮された状態で充填されているため、断熱材抜け止めシール106が内径側へ変形すると、断熱材108の体積が大きくなる。このため、断熱材108の密度が小さくなり、断熱の機能が低下する。これにより、ガスタービン101及び排気ダクト103内部の熱が外側に伝わり、ブーツ8の温度が上昇するという問題が生じていた。
【0012】
特に、エキスパンションジョイント102を組み付ける際は、外側から断熱材抜け止めシール106、ブーツ107を固定していくため、内側に向かって力が加わる。このため、断熱材抜け止めシール106、ブーツ107は内側へ変形し易い。そして、一部の領域が内側へ変形すると、運転時の伸縮、振動によって内側へ変形した領域が拡大し、やがて全周に拡がるという問題がある。更に、ガスタービン101内には高速のガスが流れているため、負圧によって断熱材抜け止めシール106が内側へ変形し易いという問題も生じていた。
【0013】
この発明は上述したような問題を解決するために成されたものであり、エキスパンションジョイントの内径側への変形を抑えて信頼性を高めることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1に係るエキスパンションジョイントは、ガスタービン又は前記ガスタービンに接続された排気ダクトの連結部に取り付けられ、前記ガスタービン又は前記排気ダクトの変位を吸収するエキスパンションジョイントであって、前記ガスタービン又は前記排気ダクトの内径側に取り付けられた抜け止めシールと、前記ガスタービン又は前記排気ダクトの外径側に取り付けられたブーツと、前記抜け止めシールと前記ブーツの間に充填された断熱材とを備え、前記抜け止めシールを外側に向かって予め凸状に湾曲させたことを特徴とする。
【0015】
このエキスパンションジョイントは、抜け止めシールを外側に向かって予め凸状に湾曲させておき、内径側へ変形しないようにしたものである。これにより、エキスパンションジョイントの損傷を抑えることができるので、信頼性・耐久性を高めることができる。ここで、ブーツは、ガスタービン、排気ダクトの内部から高温のガスが外側へ流れることを抑止するための部材であって、気密性、耐熱性、そして伸縮性を備えたものである。また、抜け止めシールは、断熱材がガスタービン、排気ダクトの内側へ抜けてしまうことを抑えるための部材である。そして、断熱材は、ガスタービン、排気ダクト内部の熱が外部に伝導することを抑える機能を有するものである。
【0016】
また、請求項1に係るエキスパンションジョイントは、上記エキスパンションジョイントにおいて、前記抜け止めシールとともに前記ブーツを外側に向かって予め凸状に湾曲させたことを特徴とする。このように、抜け止めシールとともにブーツも外側に向かって予め凸状に湾曲させておくので、長期間の使用においても内径側へ変形しないようになる。
【0017】
また、請求項1に係るエキスパンションジョイントは、上記エキスパンションジョイントにおいて、前記抜け止めシールの内径側に金属製プレートが設けられたことを特徴とする。このように、抜け止めシールの内径側に金属製プレートを設けてあるので、抜け目止めシールの内径側への変形を確実に抑えることができる。ここで、金属製プレートはステンレス、インコネル(登録商標)等の剛性の高い材料が好ましい。
【0018】
また、請求項2に係るエキスパンションジョイントは、上記エキスパンションジョイントにおいて、前記抜け止めシールは複数の部材の積層から構成され、前記複数の部材の少なくとも1つが外側に向かって凸状に湾曲した形状を維持する成型部材であることを特徴とする。このような構成により、抜け止めシールは常に外側に向かって凸状の形状を維持できるので、長期間の使用においてもエキスパンションジョイントの内側に向かう変形を抑制できる。なお、成型部材は成型した形状を維持できるものが望ましい。
【0019】
また、請求項3に係るエキスパンションジョイントは、上記エキスパンションジョイントにおいて、前記ブーツは複数の部材を積層して構成され、前記複数の部材の少なくとも1つが凸状に湾曲した形状を維持する成型部材であることを特徴とする。このような構成により、ブーツは常に外側に向かって凸状の形状を維持できるので、長期間の使用においてもエキスパンションジョイントの内側に向かう変形を抑制しできる。成型部材は成型した形状を維持できるものが望ましい。
【0020】
また、請求項4に係るエキスパンションジョイントは、上記エキスパンションジョイントにおいて、前記成型部材が金属製メッシュであることを特徴とする。このように、金属製メッシュを用いることで、ある程度の剛性により凸状の形状を維持しつつ所望の伸縮性を得ることができる。これにより、エキスパンションジョイントが内側に向かう変形を抑えつつ、ダクトの熱伸びを十分に吸収できる。ここで、金属製メッシュの材料はステンレス、インコネル(登録商標)が適しており、特に高温での酸化を抑えるためにはインコネル(登録商標)が適している。
【0021】
また、請求項5に係るエキスパンションジョイントは、上記エキスパンションジョイントにおいて、前記複数の部材の1つが金属箔であることを特徴とする。このように、金属箔を使用することで、ブーツや抜け止めシールの気密性を高めて、熱が外部に漏れないようにすることができる。これによって、エキスパンションジョイントを通過する排気温度の低下を抑制できるので、例えばガスタービンの排ガスをHRSG(Heat Recovery Steam Generator:排熱回収ボイラ)に供給する場合には、温度の高い良質の排ガスを供給できる。
【0022】
また、請求項6に係るエキスパンションジョイントの組み付け方法は、ガスタービン又は前記ガスタービンに接続された排気ダクトの連結部に、前記ガスタービン又は前記排気ダクトの変位を吸収するエキスパンションジョイントを組み付ける方法であって、前記連結部の内径側に、予め外側に向かって凸状に湾曲した抜け止めシールを取り付ける工程と、前記抜け止めシールの外周に断熱材を取り付ける工程と、前記断熱材の外周に、予め外側に向かって凸状に湾曲したブーツを取り付ける工程と、を有することを特徴とする。このように、抜け止めシール及びブーツを外側に向かって予め凸状に湾曲させておくので、エキスパンションジョイントの組み付け時には、内径側への変形を抑えることができる。
【0023】
また、請求項6に係るエキスパンションジョイントの組み付け方法は、前記抜け止めシールの内径側に金属製プレートを設けた後、前記抜け止めシールを取り付けることを特徴とする。このように、抜け止めシールの内径側に金属製プレートを設けてから抜け止めシールを取り付けるので、抜け目止めシールの内径側への変形を確実に抑えることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0025】
図1は、この発明の一実施の形態に係るエキスパンションジョイント2を示す断面図である。このエキスパンションジョイントはガスタービンと排気ダクトの接続部、排気ダクトを構成する各ダクト同士の接続部などに使用されるものである。ここでは、ガスタービンと排気ダクトの接続部に使用した場合を例に挙げて説明する。なお、ガスタービン、排気ダクトの全体構成は図4と同様である。
【0026】
図1に示すように、ガスタービン1の排気室1aの後端部にはフランジ4が設けられている。また、排気ダクト3の前端部にはフランジ5が設けられている。そして、フランジ4とフランジ5は所定の間隔をあけて対向している。
【0027】
フランジ4とフランジ5の内径側には、両フランジの間を接続する断熱材抜け止めシール6が配置されている。また、フランジ4とフランジ5の外径側には、両フランジの間を接続するブーツ7が配置されている。そして、断熱材抜け止めシール6とブーツ7との間に断熱材8が充填されている。断熱材抜け止めシール6、ブーツ7は帯状のものをフランジ4、5の形状に丸めたものである。そして、断熱材抜け止めシール6、ブーツ7及び断熱材8からエキスパンションジョイント2が構成されている。
【0028】
図1に示すように、断熱材抜け止めシール6はフランジ4及びフランジ5から突出したピン10に挿入され、ワッシャ11によって固定されている。また、ブーツ7は、フランジ4及びフランジ5に対してボルト12で固定されている。また、断熱材抜け止めシール6のさらに内径側にはガイド13が設けられている。
【0029】
断熱材8は、セラミックファイバーなどの細かい繊維をガラスクロスで包んだものであり、ガスタービン1、排気ダクト3内部の熱が外部に伝導することを抑える機能を有する。断熱材8は、圧縮された状態で断熱材抜け止めシール6とブーツ7との間に充填されている。
【0030】
図2はブーツ7の構成を示す断面斜視図である。ブーツ7は、ガスタービン1、排気ダクト3内部から高温のガスが外側へ流れることを抑止するための部材であって、気密性、耐熱性、そして伸縮性を備えたものである。図2に示すように、ブーツ7は、内径側の金属製メッシュ7a、中間の金属箔7b及び外径側のガラスクロス7cの積層によって構成されている。金属製メッシュ7aはインコネル(登録商標)、ステンレス等の素材からなり、高温での酸化を抑えるためには特にインコネル(登録商標)が好適である。中間の金属箔7bはブーツ7の気密性を高めるものであり、また、耐熱性を向上させるものである。なお、ブーツ7の温度がそれ程高くならない場合は、金属箔7bの代わりに耐熱性の高い樹脂シートを用いることもできる。
【0031】
図1及び図2に示すように、ブーツ7は幅方向の中央が外側に向かって突出するように湾曲している。この形状は、ブーツ7をフランジ4、5に組み付ける前に予め成形したものであり、主に金属製メッシュ7aによってその形状が維持される。このように、外側に膨らむように予めブーツ5を湾曲させておくことで、組み付け時、又はガスタービン1若しくは排気ダクト3が伸縮・振動した場合に、ブーツ7がガスタービン1の内側に向かって変形してしまうことを抑止できる。従って、ブーツ7に変形による亀裂が生じることを抑えることができ、ガスタービン1、排気ダクト3内の熱流が外部に漏れだすことを抑止できる。
【0032】
図3は、断熱材抜け止めシール6の構成を示す断面斜視図である。断熱材抜け止めシール6は、断熱材8がガスタービン1、排気ダクト2の内側へ抜けてしまうことを抑えるための部材であり、内径側の金属製メッシュ6aと外径側のガラスクロス6bとの積層から構成される。また、湾曲部の頂の内径側には、金属製メッシュ6a、ガラスクロス6bよりも幅の狭い金属製プレート6cが設けられている。金属製プレート6cはステンレス、インコネル(登録商標)等の材料で構成されるものである。
【0033】
図1及び図3に示すように、断熱材抜け止めシール6もブーツ7と同様に、予め幅方向の中央が外側に向かって湾曲するように突出させてある。これにより、組み付け時、又はガスタービン1若しくは排気ダクト3が伸縮・振動した場合に、断熱材抜け止めシール6がガスタービン1の内側に向かって変形してしまうことを抑止できる。これにより、断熱材抜け止めシール6とブーツ7の間に充填された断熱材8の体積が、熱膨張や経年変化等によって増加することを抑えることができ、断熱材8の密度が小さくなることを抑止できる。これにより、エキスパンションジョイント2から外部に漏れるガスタービン1の排ガスの熱を最小限に抑えることができる。
【0034】
また、ガスタービン1又は排気ダクト3が伸縮・振動した場合には、ブーツ7及び断熱材抜け止めシール6を外側に向かって同じ方向に変形させることができる。従って、ブーツ7が外側に変形した場合であっても断熱材8の体積が増加することを抑えることができ、断熱材8の密度が小さくなることを抑止できる。これにより、エキスパンションジョイント2から外部に漏れるガスタービン1の排ガスの熱を最小限に抑えることができる。
【0035】
また、断熱材抜け止めシール6の内径側には剛性の高い金属製プレート6cを設けている。この金属製プレート6cは、断熱材抜け止めシール6を円状に形成すると、断熱材抜け止めシール6の径方向外側に向かう高い曲げ剛性を発揮する。これによって、エキスパンションジョイントの組み付け時、又はガスタービン1の運転時においても、断熱材抜け止めシール6が内側へ変形すること確実に抑えることができる。
【0036】
次に、エキスパンションジョイント2の組み付け方法について説明する。ここでは、ガスタービン1と排気ダクト3の間にエキスパンションジョイント2の組み付ける方法を例に挙げて説明する。まず、ガスタービン1の後方に排気ダクト3を配置し、フランジ部4とフランジ部5の間隔を所定の距離に設定する。なお、ガイド13は予めフランジ部4に取り付けておく。
【0037】
次に、フランジ4とフランジ5の間の内径側に断熱材抜け止めシール6を巻きつけ、断熱材抜け止めシール6の孔をフランジ4、5に固定されているピン10に挿入する。そして、ワッシャ11をピン10に挿入して固定する。断熱材抜け止めシール6は帯状のシートであるため、巻きつけた後、その両端同士を接続する。接続の際には、まず内径側の金属製メッシュ6aを縫い合わせ、その後、外径側のガラスクロス6bを縫い合わせる。
【0038】
次に、断熱材8を断熱材抜け止めシール6の上から巻きつける。巻きつけた後、その両端同士を接続する際には、セラミックファイバーを包んでいるガラスクロスを縫い合わせる。
【0039】
次に、フランジ4とフランジ5の間の外径側にブーツ7を巻きつけ、ボルト12で固定する。また、ブーツ7の両端同士を接続する。接続の際は、まず内径側の金属製メッシュ7aを縫い合わせ、次に、中間の金属箔7bを重ねて折り込み、その後、外径側のガラスクロス7cを縫い合わせる。以上で、エキスパンションジョイント2の組み付けが完了する。
【0040】
この実施の形態によれば、断熱材抜け止めシール6、ブーツ7を外側に膨らむ形状に湾曲させたため、組み付け時、あるいはガスタービン1の運転時に断熱材抜け止めシール6、ブーツ7が内側へ変形することを抑止できる。従って、ブーツ7の変形に起因する亀裂の発生を抑え、ガスタービン1、又は排気ダクト3内の熱流が外部に漏れだすことを抑止できる。また、断熱材抜け止めシール6の変形を抑えることができるので、断熱材8の密度が小さくなることを抑えることができる。これにより、所望の断熱性を確保できるので、安全性を確保でき、またHRSGには温度低下の少ない良質のガスタービン排ガスを供給できる。また、断熱材8の密度変化はほとんど発生しないので、エキスパンションジョイント2の寿命をより長くすることができ、また、メンテナンスの頻度を減らすことも可能となる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のエキスパンションジョイント(請求項1)によれば、抜け止めシールを外側に向かって予め凸状に湾曲させたため、エキスパンションジョイントの内径側へ向かう変形を抑えることができる。また、抜け止めシールが内径側へ向かう変形を抑えることで、断熱材の密度が小さくなることを抑えることができ、断熱性が低下することを抑止できる。
【0042】
また、この発明のエキスパンションジョイント(請求項1)によれば、ブーツも外側に向かって予め凸状に湾曲させたので、ブーツの内径側への変形を抑えることができる。これにより、ブーツに亀裂などの破損が生じることを抑止して、ブーツの耐久性を向上させることができる。
【0043】
また、この発明のエキスパンションジョイント(請求項1)によれば、抜け止めシールの内径側に金属製プレートを設けた。これにより、抜け止めシールの内径側への変形をさらに確実に抑えて、エキスパンションジョイントの信頼性・耐久性をさらに向上させることができる。
【0044】
また、この発明のエキスパンションジョイント(請求項2)によれば、抜け止めシールを構成する部材の少なくとも1つを凸状に湾曲させた成型部材とした。このため、エキスパンションジョイントの組み立て時、又は伸縮時であっても予め成型したエキスパンションジョイントの形状を維持できる。
【0045】
また、この発明のエキスパンションジョイント(請求項3)によれば、ブーツを構成する部材の少なくとも1つを凸状に湾曲させた成型部材とした。これにより、エキスパンションジョイントの組み立て時、又は伸縮時であっても予め成型した形状を維持できる。
【0046】
また、この発明のエキスパンションジョイント(請求項4)によれば、成型部材を金属製メッシュとしたため、ある程度の剛性を維持しつつ所望の伸縮性を得ることができる。従って、エキスパンションジョイントの内側に向かう変形を抑えつつ、ガスタービン又は排気ダクトの変位を効率良く吸収することができる。
【0047】
また、この発明のエキスパンションジョイント(請求項5)によれば、ブーツを構成する部材の少なくとも1つを金属箔とした。これにより、エキスパンションジョイントの気密性を高めることができるので、ガスタービンや排気ダクトの外部に熱が漏れないようすることができる。
【0048】
また、この発明のエキスパンションジョイントの組み付け方法(請求項6)によれば、抜け止めシール及びブーツを外側に向かって湾曲する形状に予め成型しておくようにしたので、組み付け時に抜け止めシールやブーツがその内径側へ変形することを抑止できる。
【0049】
また、この発明のエキスパンションジョイントの組み付け方法(請求項6)によれば、抜け止めシールの内径側に金属製プレートを設けた状態で組み付けるようにしたので、組み付け時に抜け止めシールがその内径側へ変形することを確実に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施の形態に係るエキスパンションジョイントを示す断面図である。
【図2】 ブーツの構成を示す断面斜視図である。
【図3】 断熱材抜け止めシールの構成を示す断面斜視図である。
【図4】 ガスタービンとこれに接続された排気ダクトを示す側面図である。
【図5】 従来のエキスパンションジョイントを示す概略断面図である。
【図6】 断熱材抜け止めシール、ブーツが内径側へ変形した状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 ガスタービン
2 エキスパンションジョイント
3 排気ダクト
4、5 フランジ部
6 断熱材抜け止めシール
6a、7a 金属製メッシュ
6b、7c ガラスクロス
6c 金属製プレート
7 ブーツ
7b 金属箔
8 断熱材
10 ピン
11 ワッシャ
12 ボルト
13 ガイド
Claims (6)
- ガスタービン又は前記ガスタービンに接続された排気ダクトの連結部に取り付けられ、前記ガスタービン又は前記排気ダクトの変位を吸収するエキスパンションジョイントであって、
前記ガスタービン又は前記排気ダクトの内径側に取り付けられた抜け止めシールと、
前記ガスタービン又は前記排気ダクトの外径側に取り付けられたブーツと、
前記抜け止めシールと前記ブーツの間に充填された断熱材とを備え、
前記抜け止めシールを外側に向かって予め凸状に湾曲させ、
前記抜け止めシールとともに前記ブーツを外側に向かって予め凸状に湾曲させ、
前記抜け止めシールの内径側に金属製プレートが設けられたことを特徴とするエキスパンションジョイント。 - 前記抜け止めシールは複数の部材の積層から構成され、前記複数の部材の少なくとも1つが外側に向かって凸状に湾曲した形状を維持する成型部材であることを特徴とする請求項1に記載のエキスパンションジョイント。
- 前記ブーツは複数の部材を積層して構成され、前記複数の部材の少なくとも1つが凸状に湾曲した形状を維持する成型部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエキスパンションジョイント。
- 前記成型部材が金属製メッシュであることを特徴とする請求項2又は3に記載のエキスパンションジョイント。
- 前記複数の部材の1つが金属箔であることを特徴とする請求項3又は4に記載のエキスパンションジョイント。
- ガスタービン又は前記ガスタービンに接続された排気ダクトの連結部に、前記ガスタービン又は前記排気ダクトの変位を吸収するエキスパンションジョイントを組み付ける方法であって、
前記連結部の内径側に、予め外側に向かって凸状に湾曲した抜け止めシールを取り付ける工程と、
前記抜け止めシールの外周に断熱材を取り付ける工程と、
前記断熱材の外周に、予め外側に向かって凸状に湾曲したブーツを取り付ける工程と、
を有し、
前記抜け止めシールの内径側に金属製プレートを設けた後、前記抜け止めシールを取り付けることを特徴とするエキスパンションジョイントの組み付け方法。
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