JP4031035B2 - 大きな孔の選択された分布を有する二重層トップシートを備えた生理用品 - Google Patents

Description

〔発明の分野〕
本発明は吸収性製品、特に、層構造のトップシートを有する生理用ナプキンに関する。特に、吸収すべき液体を受け取る第一の層は、フィルムの長手方向中央部に、面積が少なくとも1.4ｍｍ²の孔を有している。第二の層は、0.3ｍｍの最小厚さを有し且つこれを弾性的に維持することによって、液体を収容するための容器面積を提供する。また、好ましくは、上記第一の層の孔は上記フィルムの横方向中央部にのみ設けられる。上記の孔は、使用に際しての製品の快適性を改善するために、大きな孔のない上記トップシートの一定の長手方向側縁および好ましくは横方向端縁を残すように分布している。
〔発明の背景〕
生理用ナプキン、ベビー用おむつ、吸収性挿入物および吸収性の成人用失禁用品のような生理用品は、当該技術分野において周知である。典型的には、これら全ての製品は、着用者側表面（「内側」）および下着側表面（「外側」）を有している。着用者側表面は、該用品の着用者から該用品が液体を蓄える吸収すべき液体、即ち、月経血のような身体***物を受け取る。該製品が液体を蓄えるためには、吸収性物品の着用者側表面の一体性を維持する一方、着用者側表面は液体透過性でなければならない。この着用者側表面はトップシートによって与えられ、着用者の皮膚と接触することになる。
吸収材の分野で周知のトップシートは、不織布、織布またはフィルムである。フィルムは穿孔によって透過性にしなければならない。織布または不織布は繊維で造られており、これはその性質によって、その中を通る液体輸送の選択された方向に依存して寸法が変化するような非線形の孔を与える。フィルムはポリマー材料で造られることが多く、また典型的には、一定の特性を与えるように穿孔加工されていることが多い。これらの孔の形状および寸法は変化させることができる。孔の壁は、フィルム表面を越える突出の量（もし存在するとすれば）およびこのような突出の方向を定義する。また、該フィルム孔を漏斗形状に設けることもできる。残る一つの問題は、全ての孔の合計開口面積、並びに個々の孔の寸法および特に形状に起因した、通常の使用条件下でかかるトップシートを通過できる液体の全量である。非常に大きな孔は液体通過速度を増大させるが、月経血のような液体を着用者に見えるままにする（これは望ましくない）ため、マスキングの問題を提起する。また、孔が大きいと吸収された液体の逆流（戻り濡れ（rewet）と称する）を促進するが、これは望ましくないものである。他方、小さい個々の孔は、表面張力の高い液体が通過するために必要な液体通過特性を与えることができない。このことは、極めて小さい孔については絶対的な問題であり、液体流速が低すぎる原因になり得る。
所与の孔の寸法および形状についての全開口面積は、液体通過速度に対して略直線的に関連していることが分かっている。ここでもまた、通過する液体のマスキングだけでなく、材料の強度および他の外観上の問題によって、トップシートについて選択し得る全開口面は制限される。
現在認識されている他の問題は、トップシートの着用者側表面に長手方向側部のマージンまたは横方向端部領域に大きな孔が存在することによって、望ましくない擦れまたは刺激を生じ得ることである。これは、大きな孔は小さい孔よりも、孔のリムを形成する材料の量が多いことによるものであろうと考えられる。このような製品による刺激点が微細であっても、著しい不快感を生じることは周知である。実際に、典型的に不快感の経験を訴える着用者は、このような製品の許容され得ない不快な特性のために、多重孔トップシートにより得られる吸収性に関する如何なる利点をも無視するであろう。典型的には、この問題は羽根または側部ラッピング要素を有する製品の場合に強調される。
従って、本発明の一つの目的は、着用者の皮膚とトップシートとの間の相対的な動きによって不快感を生じ得る領域に大きな孔が存在することに伴う問題を解消しながら、トップシートにおける大きな孔の利点を提供する生理用製品のためのトップシートを提供することである。
上述したことから、当該技術の現状には、マスキング、材料強度、他の外観上の考察および全開口面積、並びに個々の孔の大きさおよび形状の間のバランスの問題が残されていることも明らかである。一つの側面において、本発明はこのバランスの問題についての選択基準を与えようとするものではなく、トップシートの材料強度および他の問題の許容され得る特性を維持しながら、迅速な液体取り込み、並びに収容した液体の戻り濡れおよびマスキングに関して改善された吸収性製品を得るために、この問題のバランスを変更しようとするものである。
従って、本発明の一つの目的は、穿孔されたトップシートフィルムで通常許容され得ることが分かっているよりも大きな孔を有すると共に、吸収された液体の戻り濡れおよびマスキングを効果的に改善し、もしくは少なくとも低下させずに、不快感を生じない大きな孔の分布を提供する、吸収性製品のための穿孔されたトップシートを提供することである。
〔発明の説明〕
本発明は、快適性、マスキングおよび戻り濡れに関する従来技術の問題を伴わずに、大きな孔を穿孔したトップシートの全ての利点を有する吸収性製品を提供する。特に、この吸収性製品は、着用者側表面および衣服側表面を有する積層トップシートを具備する。該トップシートは、好ましくは相互に結合される第一の層および第二の層を含んでいる。一般に、吸収性製品は更に、バックシートと、トップシートおよびバックシートの間に配置される吸収構造体（吸収性コアとも呼ばれる）を具備している。
本発明に従えば、二つの吸収性製品が区別されなければならない。即ち、少なくともトップシートの第一の層を含んでなる羽根または側部ラッピング要素を有するものと、これらの要素もたないものである。かかる好ましい羽根または側部ラッピング要素は、一般には、バックシート、トップシート、トップシートもしくはバックシートの一つもしくは幾つかの層、またはそれらの組み合わせの延設部によって与えられる。或いは、羽根または側部ラッピング要素は、当該製品に別々に結合される材料によって与えられてもよい。羽根または側部ラッピング要素は、折り曲げ軸に沿って下着の脚開口部の側縁の回りに折り畳まれる。従って、トップシートの着用者側表面は下着の側縁として着用者の皮膚に密着するから、使用者の着用間を与える上で最も決定的である。
吸収構造体
吸収構造体は、以下の構成要素を含むことができる。即ち、（ａ）任意に、好ましくは任意の副体液分配層と組み合わせた主要体液分配層、（ｂ）体液貯留層、（ｃ）任意に、貯留層の下地をなす繊維（ダスティング）層、および（ｄ）他の任意の要素である。
（ａ）主／副体液分布層
本発明による吸収構造体の一つの任意成分は、主体液分配層および副体液分配層である。主分配層は、典型的にはトップシートの下にあり、これと液体流通関係にある。トップシートは、取得した液体をこの主要分配層に輸送し、最終的には貯留層へと分配する。この主要分配層を通しての体液の輸送は、厚さ方向だけでなく、吸収性製品の長さ方向および幅方向に沿っても生じる。これも任意ではあるが、好ましい副分配層は、典型的には主分配層の下にあり、これと液体流通する関係にある。この副分配層の目的は、主分配層から容易に体液を受け取って、これを迅速に下地貯留層に輸送することである。これは下地の貯留層の体液容量を完全に利用することを助ける。これらの体液分配層は、このような分配層について典型的な如何なる材料で構成されてもよい。特に、繊維層は繊維の間に毛細管を維持し、湿潤時でも分配層として有用である。
（ｂ）体液貯留層
体液貯留層は、主分配層または副分配層と液体流通するように配置され、典型的にはこれらの下にある。該体液貯留層は、通常の如何なる吸収材料で構成してもよく、またはこれらの組み合わせで構成してもよい。好ましくは、通常「ヒドロゲル」、「超吸収材」または「ヒドロコロイド」材料と称される吸収性ゲル材料で構成される。
吸収性ゲル材料は、大量の水性体液を吸収することができ、更に、このような吸収された体液を、穏和な圧力下で保持することができる。この吸収性ゲル材料は、適切な担体の中に均一または不均一に分散させることができる。適切な担体は、それ自身が吸収性であれば単独で使用してもよい。
ここで使用するのに適した吸収性ゲル材料は、実質的に水不溶性の僅かに架橋された、部分的に中和されたポリマーゲル材料であることが多い。この材料は、水と接触するとヒドロゲルを形成する。このようなポリマー材料は、当該技術において周知の重合性かつ不飽和の酸含有モノマーから調製される。
適切な担体には、修飾または合成された中性の繊維、特に修飾もしくは非修飾のセルロース繊維の綿毛および／またはティッシュの形態の吸収構造体に通常利用される材料が含まれる。適切な担体は、吸収性ゲル材料と共に用いることができるが、単独もしくは組み合わせて用いてもよい。より好ましいのは、生理用ナプキン／パンティーライナーにおけるティッシュまたはティッシュラミネートである。
本発明に従って作成された吸収構造体の一態様は、ティッシュをそれ自身の上に折り畳んで形成された二層ティッシュラミネートである。これらの層は、例えば接着剤または水素ブリッジ結合によって互いに結合することができる。吸収性ゲル材料または他の任意の材料は、これらの層の間に配置することができる。
硬化セルロース繊維のような修飾セルロース繊維を用いることもできる。合成繊維を用いることもでき、この中には酢酸セルロース、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル類（例えばオーロン（Orlon））、ポリ酢酸ビニル、不溶性ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド（例えばナイロン）、ポリエステル、二成分繊維、三成分繊維、これらの混合物等から製造されたものが含まれる。好ましくは、繊維表面は親水性であるか、又は親水性になるように処理される。貯蔵層はまた、液体保持性能を改善するために、パーライト（Parlite）、珪藻土、バーミキュライト等のような充填剤を含有することができる。
吸収性ゲル化剤が担体中に不均一に分散されるときも、貯留層は局部的に均一であること、即ち、貯留層内の一つまたは幾つかの方向に分布勾配を有することができる。不均一な分布は、ゲル化材料を部分的または完全に包んだ担体のラミネートにも当てはまる。
（ｃ）任意の繊維質（ダスティング）層
本発明に従う吸収構造体に内包される任意成分は、貯留層に近接し、典型的にはその下地をなす繊維質層である。この下地繊維質層は、吸収構造体の製造に際し、貯留層中の吸収性ゲル材料を積層するための下地を提供するので、典型的には「ダスティング」層と称される。実際のところ、吸収性ゲル材料が繊維、シートまたはストリップのようなマクロ構造体を形成する場合には、この繊維質の「ダスティング」層を含める必要はない。しかしながら、この「ダスティング」層は、パッドの長さに沿った迅速な毛管滲出のように、体液を取り扱うための幾つかの追加の能力を提供する。
（ｄ）吸収構造体の他の任意成分
本発明に従う吸収構造体は、吸収体ウエッブに通常存在する他の任意の成分を含むことができる。例えば、吸収構造体の各層の中または夫々の層の間に、補強スクリム（reinforcing scrims）を配置することができる。このような補強スクリムは、液体移動に対する界面障壁を形成しないような形状のものでなければならない。熱接合の結果として通常生じるような構造的一体性が与えられるならば、熱接合吸収構造体のために、補強スクリムは通常は必要とされない。
本発明に従って吸収構造体に含めることができ、好ましくは主体液分配層または副体液分配層に近接して又はその一部として設けられる他の成分は、臭い抑制剤である。他の臭い抑制剤、特に適切なゼオライトまたは粘度物質に加えて、または該臭い抑制剤コートされた活性炭が、任意成分として吸収構造体に組み込まれる。これらの成分は、所望の如何なる形態で組み込んでもよいが、分離した粒子として含められることが多い。
バックシート
バックシートは、主に、吸収された吸収構造体の中に吸収および含有された滲出液が前記吸収体に接触する物品、例えば下着パンツ、パンツ、パジャマおよび下着を濡らすのを防止する。このバックシートは、好ましくは液体（例えば月経血および／または尿）に対して不透過性であり、好ましくは薄いプラスチックフィルムで製造されるが、可撓性で且つ液体不透過性の他の材料を用いてもよい。ここで使用する「可撓性」の用語は、従順で、人間の身体の一般的形状および輪郭に容易に順応する材料を言う。バックシートはまた、一方向または二方向での伸長を可能にする弾性を有することができる。
バックシートは、典型的には吸収構造体の全体を横切って延出しており、好ましいサイドフラップ、側部ラッピング要素または羽根の中に延出してその一部または全部を形成している。
バックシートは、織布または不織布材料、ポリエチレンもしくはポリプロピレンの熱可塑性樹脂のようなポリマーフィルム、またはフィルムでコートされた不織布材料のような複合材料からなることができる。好ましくは、バックシートは約0.012ｍｍ（0.5ミル）〜約0.051ｍｍ（2.0ミル）の厚さを有するポリエチレンフィルムである。
ポリエチレンフィルムの例は、P18-0401の名称でオハイオ州シンシナチのクロペイ社によって製造され、インディアナ州テラハウトのエチルコーポレーション社ビスクイーンディビジョンによってXP-39385の名称で製造されているものである。バックシートは、より布状の外観を与えるために、好ましくはエンボス加工および／またはマット仕上げされる。更に、バックシートは蒸気を吸収構造体から逃散させることができる（即ち、呼吸性である）一方、滲出液がバックシートを通過するのを防止する。また、幾つかの層（例えばフィルムと不織構造体）からなる呼吸性バックシートを用いることができる。
トップシート
ここで用いる「接合された」の用語は、第一層を第二層に直接貼り付けることにより第一層が第二層に直接固定された構造；第一層を中間層に貼り付け、次いで該中間層を第二層に貼り付けることによって、第一層が第二層に間接的に固定された構造を包含するものである。二つの層は、好ましくはそれらの全界面の少なくとも25％に亘って相互に結合される。
トップシートの層は、接着剤、縫い合わせ、熱および／または圧力接合、機械力学的接合、超音波接合、トップシートの各層を構成する繊維および他の構造要素の混ざり合いおよび絡まり合い（例えば、第二層の繊維を第一層のフィルム上に溶融ブローし、一つの層を他の層の上に押し出すことによる）、または当該技術において公知の他の何れかの手段によって一緒に接合することができる。
トップシートは、使用者に対面する表面を提供する第一通過層と、該第一通過層と吸収構造体との間に配置される第二通過層とからなっている。
全体としてのトップシート（従って各層の夫々も）は、追従性に優れ、柔軟な感触を有し、また着用者の皮膚に対して非刺激性であることが必要とされる。また、一方向または二方向に伸長され得る弾性を有することができる。トップシートまたはその各層は、別々に吸収構造体の全体に亘って広がることができ、本発明による吸収性製品の好ましい羽根または側部フラップ要素の一部または全部を形成するように延出することができる。
第一通過層は、ここでは「大型孔」と称する孔と、ここでは「小型孔」と称する任意の孔とを有するフィルム材料によって提供される。これらの孔は、着用者側表面から吸収構造体へと向かう液体移動を容易にするために与えられる。
第一通過層における孔に関する全ての測定値については、特に断らない限り、孔の断面積が最小になる面が用いられる。
個々の大型孔は1.4ｍｍ²〜3.0ｍｍ²、好ましくは1.5ｍｍ²〜2.5ｍｍ²の開口面積を有する。上部通過層における大型孔（他の全ての液体輸送孔を除く）の全開口面積は、トップシートの第一層の表面積の５％〜20％、好ましくは10％〜20％の範囲とすべきである。
吸収性製品のトップシートの第一層における任意の小型孔は、1.4ｍｍ²未満、典型的には0.15ｍｍ²以上の個々の開口面積を有している。もっと小さい孔は、通常は液体輸送には全く適しておらず、例えば呼吸性の目的のための気体透過孔としてのみ機能する。好ましくは、任意の小型孔は0.25ｍｍ²〜0.4ｍｍ²の範囲である。
この孔は、好ましくは実質的に円形または多角形である。それらの形状は、最小内法対角線長に対する最大の内法対角線長の比が１〜６、好ましくは１〜３を有することによって限定される。第一層の全ての液体輸送孔の全開口面積は、第一層の全表面積の10％〜40％、好ましくは15％〜35％の範囲である。
本発明によるトップシートは、該トップシートの着用者側表面に亘って液体通路または孔の不均一な分布を有する。最近になって、大型孔を有するトップシートは、かかるトップシートを有する生理用ナプキンの幾人かの着用者に対して不快感を生じさせる傾向が高いことが分かった。
理論に拘束されるつもりはないが、本発明によって利益が得られる理由は次の通りであると思われる。熱プロセスによって孔を穿孔するときは、当初この孔を埋めていた材料は最終的に除去され、該孔のリムの回りに集積される。孔の直径が増大するに伴って、孔の開口面積は孔のリムの長さよりも顕著に増大するから、孔が大きければ大きいほど、該リムは着用者にとって顕著なものになる。従って、小さい孔よりも大きい孔の方が、孔のリムに付着した追加の材料は多くなる。しかし、リム材料が増大するに伴って、リムは粗く且つ硬くなる。従って、大きな孔のリムは、小さな孔の場合よりも、かかる孔を穿孔したトップシートを有する製品の着用者に対して刺激を与え易い。
この吸収性製品および全ての主要部品は、かかる製品の着用者を右側および左側に二分する面に対して平行な長手軸を有している。吸収性製品はまた、長手軸に対して直交し且つ当該製品と同じ平面内にある横軸を有している。ここで用いる「長手方向中央」の用語は、該製品の中央を指すもので、長手軸に対して平行に延出する。ここで用いる「横方向中央」の用語は、該製品の中央を言い、横軸に対して平行に延出する。
大型孔が存在しないトップシートの長手方向マージンを残すように、孔を分布させるのが好ましいことが見出された。従って、本発明によるトップシートにおいては、上記の大型液体輸送孔が、製品（トップシート第一通過層の一体の延設部を有する羽根または側部ラッピング要素がない場合）の最大横幅の90％の長手方向中央にのみ分布していることを必要とする。好ましくは、これらの大型孔は長手方向中央80％、最も好ましくは、製品（トップシート第一通過層の一体の延設部を有する羽根または側部ラッピング要素がない場合）の最大横幅の70％の長手方向中央にのみ分布している。
トップシート第一通過層の一体の延設部を有する羽根または側部ラッピング要素を有する製品の場合は、本発明に従って、羽根および側部ラッピング要素の折り曲げ軸の近傍には大型孔を配置しないことが必要である。羽根または側部ラッピング要素を有する製品の場合、本発明に従うトップシートの第一層を、羽根または側部ラッピング要素の中に延出させることができる。このような場合、各羽根または各側部ラッピングの要素の夫々の折り曲げ軸の回りに、前記折り曲げ軸の間の最小の横方向距離の５％、好ましくは10％には、前記大型液体輸送孔を配置しないで残すべきである。
必要に応じて、穿孔トップシートの製造を容易にするために、長手方向中央領域（羽根または側部ラッピング要素の間の最小横方向距離の95％、好ましくは85％、最も好ましくは70％）にのみ大型孔を設けることにより、トップシートの第一層が羽根または側部ラッピング要素と一体の場合であっても、該層における大型孔を配置するための上記特定の要件を満足させることが可能である。
同様な条件下において、本発明の態様は、製品の着用者側表面における長手方向最長距離の８０％、好ましくは６５％、最も好ましくは５０％の横方向中央にのみに分布される大型孔を有することも好ましい。
本発明の基本的な、または好ましい態様から得られる付加的な利点は、液体捕捉を行う可能性が最も高い場所にはより大きい開口面積を設置するように、大型液体輸送孔を吸収性製品の中央に密集させることである。従って、このことは、各吸収性製品の吸収性において利点を提供する。
特に、第一層が一般的に当該製品と同じ広がりを有するのであれば、製品の中央に集中した大型液体輸送孔の分布は、選択的穿孔によりトップシートの第一フィルム層にそのような孔分布を提供することによって達成できることは、当該者に明らかである。その代わりに、トップシートの第一フィルム層の液体輸送孔が望まれる領域にはトップシートの第二層のみを与え、当該領域の外部において着用者に接触するトップシートの外側層を与えてもよいことは言うまでもない。これは、第一層の一体的延設部を備えた羽根や側部ラッピング要素を有する製品と、それらを有さない製品との両方について可能である。
通常の液体輸送孔は、該孔の壁が元のフィルム、即ち穿孔する前のフィルムの表面レベルを超えて延出するように形成することができる。吸収性製品におけるこれら壁が延出する方向は、その製品の衣服側表面に向かう方向である。第一層の孔壁の延出量は、その孔壁が垂下しているフィルム表面から少なくとも0.3ｍｍ越える程度である。好ましくは、孔壁は、当業者に周知の漏斗またはベンチュリチャネル（venturichannel）を形成する。
材料の安定性を確立するために、隣り合う大型孔の間の最短距離は、それらの特定の形態および寸法とは無関係に、好ましくは少なくとも0.1ｍｍ、より好ましくは1.5ｍｍである。この距離は、吸収性製品の使用者側表面に最も近い部位におけるフィルム表面で測定した。
また典型的なトップシートの場合と同様に、フィルムの材料は、最初に水と接触する際に、蒸留水との接触角が９０°未満程度になるような親水性を有することが好ましい。これは、フィルムを表面活性剤で処理することにより達成することができる。第一層を与える表面活性剤処理された重合性フィルムとしては、界面活性剤がフィルム表面に永久的に固定されているフィルムを使用することが有用であることが認められている。これらは、いわゆる樹脂集積（resin integrated）界面活性剤処理フィルム材料である。これらのフィルムは、蒸留水で繰り返し湿潤したときでさえ、蒸留水との初回接触角と略同様の接触角を提供することができる。
第一層のもう一つの態様において、着用者側表面のトップシートは液体が孔の方向へ向くように試薬で処理される。そのような試薬は、自浄作用を処理表面に与えるシリコンまたはテフロンがよい。この処理は、前述した界面活性剤処理に追加して行うことが出来る。
EP-O-205286、EP-0-165208、EP-0-18020、EP-0-59506またはUS-3,929,135に開示されるそのようなフィルムは、本願の請求の範囲に記載の要件に合致する限り、該トップシートの第一通過層に適切なものとして明示される。第一通過層のための要件に合致すると仮定すれば、他の適切な成形フィルムは、米国特許第4,324,246号、米国特許第4,342,314号、米国特許第4,463,045号および米国特許第5,006,394号に記述されている。成形フィルムにおいて、特に好ましい微小孔の形成は、米国特許第4,609,518号および米国特許第4,629,643号に開示されている。これらの微小孔はまた、0.15ｍｍ²未満で且つ本質的に呼吸能を提供するとすれば、提供される該トップシートの第一通過層に具備させることができる。そのようなフィルムの製造法は当業者に周知であり、また前記の従来技術の中に開示されている。
トップシートの第二通過層は、嵩高い繊維材料によって与えられる。この嵩高い繊維材料は、50％以上、好ましくは90％以上、の善空隙容積を有するべきであり、好ましくは0.3ｍｍ、より好ましくは少なくとも0.5ｍｍの最小厚さを有する。このような繊維材料の基礎重量は、好ましくは20ｇ／ｍ²〜100ｇ／ｍ²、より好ましくは25ｇ／ｍ²〜60ｇ／ｍ²の範囲である。
液体に対するバリアを与えないように、この繊維材料は、少なくとも第一層のフィルム材料と同程度に親水性であることが必要である。第一フィルムよりも親水性（またはより撥水性に欠ける）であるのが更に好ましく、これは第一層を通過した後の液体を吸水性構造体の方に向ける力を創り出す。従って、繊維がポリプロピレン、ポリエチレン、二成分ポリプロピレン／ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド繊維のような合成繊維、または好ましくはレーヨン、ビスコース繊維のような人造繊維、或いはそれらの混合物でできているときは、要求される親水性（または疎水性）を与えるために、これらの繊維を第一層と同様の方法で処理することが必要になるであろう。
この第二層中の繊維は、繊維材料のネットワークに対して、本発明に望ましい一体性および弾性を与えるために、好ましくは熱接合される。この繊維層は、乾燥状態の初期容積の50％にまで圧縮された後に、その元の容積の少なくとも80％にまで回復するという意味において弾性でなければならない。湿潤状態において、この層は、その初期容積の50％にまで圧縮された後に元の容積の少なくとも60％まで回復する。
毛羽立たせた繊維材料については、個々の繊維長は好ましくは25ｍｍから50ｍｍとすべきであるのに対して、好ましいエアレイ繊維（air-laid fiber）の長さは１〜10ｍｍ、最も好ましくは４〜８ｍｍが好ましい。繊維の長さ当たりの重量は1.5〜10×10^-7ｋｇ／ｍとすべきである。
トップシートを与える繊維層は、吸収性製品の技術分野において周知である。このような繊維層は、請求の範囲に示した要件が満たされる限り、本発明の第二層として使用することができる。特に、1993年10月21日の米国特許出願08/141,156号または米国特許第3,994,771号は、本発明に従うトップシートの第二層として有用である。

Claims (10)

1. 液体取り入れ、戻り濡れ、マスキングおよび着用感に関する高められた性能を有する吸収性製品であって：該製品は長手軸および横方向軸を有し；トップシート、バックシートおよび該トップシートと該バックシートの間に位置する吸収性構造体の３つの主たる要素を具備し；前記製品と前記それぞれの主要素は着用者側表面と衣服側表面とを有すると共に、
   − 前記トップシートは、該トップシートの着用者側表面を提供する第一通過層を具備することと、
   − 前記トップシートは、前記第一通過層と前記吸収性構造体の間に位置する第二通過層を具備することと、
   − 前記製品は、前記トップシートの第一通過層の一体的延設部で形成された羽根または側部ラッピング要素を具備しないことと、
   − 前記二つの通過層は、互いに接合されていることと、
   − 前記第一通過層は、大型液体輸送孔を有するフィルム材料により与えられることと、
   − 前記大型液体輸送孔は、個々の開口面積が、1.4ｍｍ²から3.0ｍｍ²の範囲にあることと、
   − 前記大型液体輸送孔は、前記第一通過層の総面積の5％から20％の範囲の総開口面積を有することと、
   − 前記大型液体輸送孔は、該大型液体輸送孔が前記トップシートの第一通過層の最大横方向幅の90％の長手中央にのみ分布するような分布に従うことと、
   − 前記液体輸送孔は、最長の内側対角線の長さと最短の内側対角線の長さを有し、この［最長内側対角線］：［最短内側対角線］の割合が１から６の範囲にあることと、
   − 前記液体輸送孔は、前記フィルムの表面から少なくとも0.3ｍｍ突出した壁を有し、且つ該壁は前記衣服側表面の方向に向いて突出していることと、
   − 前記フィルム材料は、蒸留水との初回接触において蒸留水と90°未満の接触角を形成するような親水性を与えられていることと、
   − 前記第二通過層は、嵩高い繊維材料により提供されることと、
   − 該繊維材料は50％以上の空隙容積を有し、少なくとも0.3mmの厚さであることと、
   − 前記繊維材料は、少なくとも前記第一通過層の前記フィルム材料と同じ親水性を有することとを特徴とする吸収性製品。
2. 請求項１に記載の吸収性製品であって、前記大型液体輸送孔が、該トップシートの第一通過層の最長横方向幅の80％の長手方向中央にのみ分布している吸収性製品。
3. 液体の取り入れ、戻り濡れ、マスキングおよび着用感に関する高められた性能を有する吸収性製品であって：該製品は長手軸および横方向軸を有し；トップシート、バックシートおよび該トップシートと該バックシートの間に位置する吸収性構造体の３つの主たる要素を具備し；前記製品とそれぞれの主要要素は着用者側表面と衣服側表面を有し；前記製品は羽根または側部ラッピング要素（該羽根または側部ラッピング要素は折り曲げ軸に沿ってそれぞれ折り畳むことができる）を具備すると共に、
   − 前記トップシートは、該トップシートの着用者側表面を提供し、且つ前記羽根または側部ラッピング要素の少なくとも一部を一体的に形成している第一通過層を具備することと、
   − 前記トップシートは、前記第一通過層と前記吸収性構成物の間に位置する第二通過層を具備することと、
   − 前記二つの通過層は、互いに接合されていることと、
   − 前記第一通過層は、大型液体輸送孔を有するフィルム材料により提供されることと、
   − 前記大型液体輸送孔は、個々の開口面積が、1.4mm²から3.0ｍｍ²の範囲にあることと、
   − 前記大型液体輸送孔は、前記第一通過層の総面積の5％から20％の範囲の総開口面積を有することと、
   − 前記大型液体輸送孔は、該大型液体輸送孔が前記羽根若しくは側部ラッピング要素の折り曲げ軸の間の最短横方向幅距離の長手中央90％にのみ分布するような分布に従うことと、
   − 前記液体輸送孔は、最長の内側対角線の長さと最短の内側対角線の長さを有し、この［最長内側対角線］：［最短内側対角線］の割合が１から６の範囲にあることとと、
   − 前記液体輸送孔は、前記フィルムの表面から少なくとも0.3ｍｍ突出した壁を有し、且つ該壁は前記衣服側表面の方向に向いて突出していることと、
   − 前記フィルム材料は、蒸留水との初回接触において蒸留水と90°未満の接触角を形成するよう親水性を与えられていることと、
   − 前記第二通過層は、嵩高い繊維材料により提供されることと、
   − 該繊維材料は50％以上の空隙容積を有し、少なくとも0.3mmの厚さであることと、
   − 前記繊維材料は、少なくとも前記第一通過層の前記フィルム材料と同じ親水性を有することとを特徴とする吸収性製品。
4. 請求項３に記載の吸収性製品であって、前記大型液体輸送孔が、前記羽根若しくは側部ラッピング要素の折り曲げ軸の間の最長横方向距離の85％の長手方向中央にのみ分布する吸収性製品。
5. 請求項１から４の何れか１項に記載の吸収性製品であって、前記第一通過層が、更に液体輸送のための小型孔を有するフィルム材料によって提供され；
   − 前記小型孔は、0.15ｍｍ²から1.4ｍｍ²未満の範囲の個々の開口面積を有することと、
   − 前記第一通過層における全ての上記液体輸送孔の総開口面積が、前記第一通過層の総面積の10％から40％の範囲で存在することとを特徴とする吸収性製品。
6. 請求項５に記載の吸収性製品であって、前記小型孔が0.25ｍｍ²から0.4ｍｍ²の範囲の個々の開口面積を有する吸収性製品。
7. 請求項１から６の何れか１項に記載の吸収性製品であって、前記大型液体輸送孔が、該製品の着用者側表面の長手方向の最長距離の80％の横方向中央にのみ分布する吸収性製品。
8. 請求項１から７の何れか１項に記載の吸収性製品であって、前記繊維材料が90％以上の空隙容積を有する吸収性製品。
9. 請求項１から８の何れか１項に記載の吸収性製品であって、前記繊維材料が20ｇ／ｍ²〜100ｇ／ｍ²の範囲の坪量を有する吸収性製品。
10. 請求項１〜９の何れか１項に記載の吸収性製品であって、前記第一および第二の通過層が相互に直接接合されている吸収性製品。