JP4030883B2 - 臭気が低減された乳蛋白質加水分解物の製造方法及び乳蛋白質加水分解物 - Google Patents

臭気が低減された乳蛋白質加水分解物の製造方法及び乳蛋白質加水分解物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品素材又は化粧品素材として有用な、臭気の低減された乳蛋白質加水分解物の製造方法及び乳蛋白質加水分解物に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
蛋白質を加水分解して得られるペプチドと遊離アミノ酸との混合物、すなわち蛋白質加水分解物は、単独の蛋白質やアミノ酸混合物等と比較して種々の利点を有していることから、栄養学方面など多様な方面から注目されている。
例えば、ジペプチドやトリペプチドは、アミノ酸とは別の径路により吸収されており、それらのペプチドを構成する構成アミノ酸の混合物と比較して、吸収速度が速いことや、個々のアミノ酸の吸収量に変動がないことなどが明らかにされている。
また、食品中に含まれる蛋白質は、ヒトにとって異種蛋白質であるので、そのままの状態では抗原性を有しており、消化が不十分な状態で体内に吸収された場合にアレルギー症状を呈することがある。一方、蛋白質加水分解物は、その抗原性が低減又は消失しているので、アレルギー症状を呈しにくい。そのため、蛋白質加水分解物を配合した食品は、食品中の蛋白質によるアレルギー症状を予防し且つ十分な栄養の摂取を可能にする食品として、次第に増加している。
更に、蛋白質加水分解物は、機能的な特性から化粧品及び皮膚外用薬としても有用であり、この分野でも利用されている(例えば、特許文献1及び2)。
【0003】
しかしながら、蛋白質加水分解物は、各種処理によって不快な臭気を生じることがある。
特に、原料蛋白質として乳蛋白質を用いる場合、加熱処理等によって、乳の生臭さや、ペプチド特有の臭い、カゼイン臭等の、乳蛋白質加水分解物に特有の不快な臭気が生じることがある。このような不快な臭気を有する乳蛋白質加水分解物をそのまま食品又は化粧品の素材として使用すると、それらの製品にまで不快な臭気が移行してしまう。このことは、食品又は化粧品等に乳蛋白質加水分解物を利用する際の大きな制約となっている。
これに対し、例えば、特許文献3では、カゼインを蛋白分解酵素で分解して得られる、ペプチドと特定の組成の遊離アミノ酸とからなる低アレルギー性ペプチド含有組成物が開示されている。ここでは、臭気成分や苦味成分である芳香族アミノ酸などが低減されており、臭気成分としては、具体的には、酪酸等の遊離脂肪酸が挙げられている。しかしながら、このようなペプチド含有組成物においては、乳蛋白質加水分解物に特有の不快な臭気が十分に低減されていなかった。
したがって、乳蛋白質加水分解物に特有の不快な臭気が十分に低減されている乳蛋白質加水分解物を製造することができる方法が望まれている。
【0004】
ところで、従来、食品工業や化学工業等の分野で脱臭処理に広く用いられているのは、活性炭や陰イオン交換樹脂等の吸着剤を利用する方法であり、酵素、酸、アルカリ等により蛋白質を加水分解して得たペプチドと遊離アミノ酸との混合物を、吸着剤により脱臭している(以下、従来技術1という。)。例えば、上述した特許文献3では、アニオン性吸着樹脂等の吸着剤を用いて遊離脂肪酸等の臭気成分を除去している。
また、特許文献4には、蛋白質加水分解物を、ナノフィルトレーション膜を用いて、ペプチドを主体とする膜非透過画分と、遊離アミノ酸及び臭気の原因物質を主成分とする膜透過画分とに分画し、膜透過画分を脱臭処理し、前記膜非透過画分と混合することを特徴とする臭気の低減された蛋白質加水分解物の製造方法が開示されている(以下、従来技術2という。)。この方法は、有用なペプチドの喪失がなく、蛋白質加水分解物の回収率が高いことや、再加熱による不快な臭気の発生がない、臭気が低減された蛋白質加水分解物が得られることなどの点で優れている。
【0005】
しかしながら、これらの従来技術はそれぞれ欠点や制限を有している。
例えば、従来技術1の方法を用いた場合、不快な臭気ばかりでなく、ある種のアミノ酸及び一部有用なペプチドも同時に低減されてしまうという問題がある。例えば、上述した特許文献3では、芳香族アミノ酸の量を低減している。そのため、製造される蛋白質加水分解物の回収率が低下し、栄養学的及び機能的な損失を招くという欠点が生じていた。
また、従来技術2の方法を用いた場合、原料蛋白質の全チロシン及びフェニルアラニン含量に対する遊離型のチロシン及びフェニルアラニンの含量の百分率が75%以下の範囲で蛋白質を加水分解するという制限がある。そのため、例えば、抗原性を十分に低減させる又は完全に消失させることができないという問題点があった。また、ナノフィルトレーション膜及び膜分離を行なうための装置が必要であること、分離後に再び混合操作が必要であり、工程が煩雑であることなどの問題点もあった。
【0006】
さらに、特許文献5及び6には、ヘキソース又はペントースの共存下で、畜皮、並びに卵白及び卵白アルブミンを酵素加水分解し、引続いて該溶液を水蒸気蒸留することを特徴とする畜皮及び卵白もしくは卵白アルブミンから肉風味を有する調味料の製造法が開示されている。
しかしながら、これらの方法は、水蒸気蒸留を用いることにより、畜皮の酵素加水分解物に特有の異臭を低減すると同時に、畜皮の加水分解物、ヘキソースまたはペントース及び卵白または卵白アルブミン加水分解物の三成分から肉風味を有する香気成分を得るという方法であるので、畜皮等に由来する非常に限られた加水分解物を対象としており、臭気成分としては、これらの加水分解物に特有なアンモニアしか考慮されていない。
【0007】
【特許文献1】
特開平4−26604号公報
【特許文献2】
特開平4−26605号公報
【特許文献3】
特許第3233779号公報
【特許文献4】
特開平10−271958号公報
【特許文献5】
特開昭52−10457号公報
【特許文献6】
特開昭52−99265号公報
【0008】
したがって、本発明の目的は、食品素材又は化粧品素材として有用な、臭気が低減された乳蛋白質加水分解物、及び、有用なペプチドを損失することなく、簡便な工程で、効率良く、かかる臭気が低減された乳蛋白加水分解物を製造する方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、乳蛋白質加水分解物に特有の臭気成分について鋭意研究を行った結果、乳蛋白質をプロテアーゼで加水分解して得られた乳蛋白質加水分解物中に含まれているメチオナール、三硫化ジメチル等の特定の物質が、乳蛋白質加水分解物の不快な臭気の原因となる臭気物質であること、及び、この特定の臭気物質を低減することにより、臭気が低減された乳蛋白質加水分解物を製造することができることを見い出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、前記課題を解決する本発明の第一の発明は、乳蛋白質をプロテアーゼで加水分解して乳蛋白質加水分解物を得る加水分解工程と、前記乳蛋白質加水分解物中に含まれている臭気物質を、多段型薄膜式気液接触装置を用いた水蒸気蒸留により低減する脱臭工程とを含むことを特徴とする臭気が低減された乳蛋白質加水分解物の製造方法であり、以下の(1)〜()をそれぞれ望ましい実施態様とする。
(1)前記脱臭工程により低減される臭気物質がメチオナール又は三硫化ジメチルである。
(2)前記脱臭工程において、メチオナールの含有量を、乳蛋白質加水分解物の総質量の15ppb以上600ppb以下にするか、又は、前記三硫化ジメチルの含有量を、乳蛋白質加水分解物の総質量の1.0ppb以上40ppb以下にする。
(3)前記加水分解工程において、乳蛋白質加水分解物を含有する加水分解液を得た後、乾燥を行わずに前記脱臭工程を行う
前記課題を解決する本発明の第の発明は、前記乳蛋白質加水分解物の製造方法により製造され、メチオナールの含有量が15ppb以上600ppb以下であることを特徴とする乳蛋白質加水分解物である。
前記課題を解決する本発明の第の発明は、前記乳蛋白質加水分解物の製造方法により製造され、三硫化ジメチルの含有量が1.0ppb以上40ppb以下であることを特徴とする乳蛋白質加水分解物である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明において、含有量ppbは、固形分換算(乳蛋白質加水分解物の総質量当たり)である。
本発明において、臭気とは、乳蛋白質加水分解中に含まれる香気成分の中でも、好ましくない不快な香気(例えば生臭いペプチド臭、カゼイン臭、硫黄臭、腐敗臭、焦げ臭、カビ臭等)を意味する。
そして、臭気の低減とは、このような不快な香気を低減することであって、好ましい香気は殆ど低減されず維持された状態を意味する。
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施態様について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施態様に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。
【0013】
本発明の臭気が低減された乳蛋白質加水分解物の製造方法(以下、本発明の方法ということがある。)は、乳蛋白質をプロテアーゼで加水分解して乳蛋白質加水分解物を得る加水分解工程と、前記乳蛋白質加水分解物中に含まれている臭気物質を低減する脱臭工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の方法で製造される乳蛋白質加水分解物の原料は、乳蛋白質を主成分とするものであれば、如何なるものでも使用可能であり、乳酸カゼイン、塩酸カゼイン、カゼインナトリウム、及びカゼインカルシウム等の市販の各種カゼイン、並びに乳清蛋白質濃縮物(WPC)及び乳清蛋白質分離物(WPI)等の市販の乳清蛋白質、並びにトータルミルクプロテイン等を例示することができる。また、牛乳、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳から常法により精製した乳蛋白質を使用することも可能である。さらに、乳中に含まれる微量乳蛋白質を精製したもの、例えば、ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、血清アルブミン、免疫グロブリン等を、本発明の方法に使用する乳蛋白質加水分解物の原料として使用することも可能である。
【0015】
加水分解工程では、まず、上述のような原料乳蛋白質を水又は温湯に分散し、溶解する。溶液中の乳蛋白質の濃度は、格別の制限はないが、通常、蛋白質換算で5〜15質量%前後の濃度範囲に設定するのが効率性及び操作性の点から望ましい。
また、前記乳蛋白質を含有する溶液は、70〜90℃で15秒〜30分間程度加熱殺菌することが、雑菌汚染による変敗防止の点から望ましい。
【0016】
次いで、前記乳蛋白質を含有する溶液に酸剤またはアルカリ剤を添加して、該溶液のpHを、使用するプロテアーゼの至適pH又はその付近に調整することが望ましい。この際に使用される酸剤又はアルカリ剤は、食品に許容されるものであれば如何なるものであってもよく、具体的には、酸剤としてはクエン酸、酢酸、リンゴ酸、グルコン酸等の有機酸、塩酸等の無機酸等を、アルカリ剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等をそれぞれ例示することができる。
【0017】
次いで、乳蛋白質を含有する溶液に、単独又は複数のプロテアーゼを添加する。使用するプロテアーゼは、特に制限は無く、動物由来のものや植物由来のもの、微生物由来のものなどが使用可能であり、市販品を使用してもよく、また、常法により製造したものを用いてもよい。
【0018】
動物由来のプロテアーゼとしては、ペプシン、パンクレアチン、トリプシン、キモトリプシン等が挙げられ、市販品としてペプシン(ヴォルフガング・ミュールバウワー社製)、パンクレアチンF(天野エンザイム社製)、PTN6.0S(ノボザイムズ・ジャパン社製)、キモトリプシン(日本バイオコン社製)等を例示できる。
植物由来のプロテアーゼとしては、パパイン、ブロメライン等が挙げられ、市販品としてパパイン300(日本バイオコン社製)、ブロメラインF(天野エンザイム社製)等を例示できる。
微生物由来のプロテアーゼとしては、バチルス属細菌由来のプロテアーゼ、乳酸菌由来のプロテアーゼ、アスペルギルス属カビ由来のプロテアーゼ、ストレプトマイセス属放線菌由来のプロテアーゼ、サッカロミセス属酵母由来のプロテアーゼ等が挙げられ、市販品としてプロテアーゼN(天野エンザイム社製)、アルカラーゼ2.4L(ノボザイムズ・ジャパン社製)、ビオプラーゼsp−20(長瀬生化学工業社製)、プロテアーゼA(天野エンザイム社製)等を例示できる。
ここで、乳酸菌由来のプロテアーゼは、例えば特公昭54−36235号公報第6欄4行「(3)使用する酵素について」の項に記載の方法により、次のとおり製造することができる。即ち、乳酸菌(ビフィズス菌を含む)を公知の方法(例えば特公昭48−43878号公報記載の方法)により培養し、得られた培養液を遠心分離して乳酸菌菌体を回収し、滅菌水に菌体を懸濁し、遠心分離して乳酸菌菌体を回収する操作を2回繰り返し、菌体を洗浄し、20%の濃度で菌体を滅菌水に懸濁し、菌体破砕機[例えば、KDL型:ダイノミル(Willy Bachnfen Engineering)社製。]により菌体を破砕し、凍結乾燥し、乳酸菌由来のプロテアーゼ粉末を得る。乳酸菌としては、ビフィドバクテリウム属の乳酸菌であるビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・インファンチス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)など、ラクトバシラス属の乳酸菌であるラクトバチルス・ヘルベティクス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)など、ストレプトコッカス属の乳酸菌であるストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophillus)など、をそれぞれ例示することができる。
【0019】
これらのプロテアーゼは4〜10℃の冷水に分散し、溶解して使用する。該溶解液の濃度は格別の制限はないが、通常3〜10%程度の酵素濃度として使用することが効率性及び操作性の点から望ましい。
プロテアーゼの使用量は、基質濃度、酵素力価、反応温度、及び反応時間により異なるが、一般的には、乳蛋白質1g当たり20〜20,000活性単位の割合で添加する。
尚、プロテアーゼ活性の活性単位の定義は、カゼイン(商品名:ハマーシュタイン。メルク社製)にプロテアーゼを作用させ、30℃で1分間あたり、1μgのチロシンに相当するアリルアミノ酸を、フォリン試薬により呈色反応を示す酵素活性力価を1活性単位とする。
また、特に乳酸菌由来のプロテアーゼ活性については、ロイシルパラニトロアニリド(国産化学社製)を0.1Mのリン酸緩衝液(pH7)に溶解して2mMの基質溶液を調製する。酵素溶液1mlに基質溶液1mlを添加し、37℃で5分間反応させ、のち30%の酢酸溶液2mlを添加して反応を停止させ、反応液をメンブランフィルターで濾過し、波長410nmで吸光度を測定する。乳酸菌由来のプロテアーゼの活性単位は1分間に1μmolのロイシルパラニトロアニリドを分解するのに必要な酵素量を1活性単位と定義し、次式により求めた。
プロテアーゼ(エキソ型)活性単位=20×(P/Q)
但し、Pは波長410nmにおける試料の吸光度、Qは波長410nmにおける0.25mMパラニトロアニリンの吸光度を示す。
【0020】
試料溶液に複数のプロテアーゼを添加する場合、プロテアーゼを1種類ずつ溶解し、添加することが望ましいが、添加の順番には特に制限はない。
【0021】
酵素反応の温度は格別の制限はなく、酵素作用の発現する最適温度範囲を含む実用に供され得る範囲から選ばれ、通常30〜60℃の範囲から選ばれる。
反応温度のほか、酵素加水分解の反応時間等の反応条件は、所望する理化学的性質(例えば、分解率、分子量分布、残存抗原性、アミノ酸遊離率等)を有する分解物を得るための条件を適宜設定する。
【0022】
また、必要に応じて、加水分解及び/又は遊離アミノ酸の程度を適宜モニターすることができる。
加水分解の程度(加水分解率)は、例えば、蛋白質の分解率を経時的に測定することによりモニターすることができる。加水分解率を測定する方法は、具体的には、フォルモル滴定(Jens Aldler−Nissen編、“ENZYMIC HYDROLYSIS OF FOOD PROTEINS”、ELSEVIER APPLIED SCIENCE PUBLISHERS LTD発行、第12〜13ページ、1986年)を例示することができる。
また、遊離アミノ酸の程度は、加水分解を開始し、分解液中に遊離した特定アミノ酸の量を経時的に測定する。具体的には、公知の方法(例えば、特開平8−112064号公報)により、HPLC、バイオテックアナライザー(旭化成工業社製)、パフュージョン・クロマトグラフィー(パーセプティブ・バイオシステム社製。BioCAD)等を用いて経時的に遊離する特定アミノ酸を測定することによりモニターすることができる。使用する原料蛋白質及び酵素の種類により遊離するアミノ酸の量が異なるので、最も遊離し易いアミノ酸を特定アミノ酸として選択するのが望ましい。
【0023】
加水分解及び/又は遊離アミノ酸の程度が所望する程度に達した時、直ちに反応液中の酵素を失活又は低減し、加水分解を停止することが望ましい。
酵素反応の停止は、常法による加熱失活処理により実施することができる。
加熱失活処理の加熱温度と保持時間は、使用した酵素の熱安定性を考慮し、十分に失活できる条件を適宜設定することができるが、例えば、80〜130℃の温度範囲で30分〜2秒間の保持時間で行うことができる。
【0024】
上述のようにして酵素を失活させて得られた加水分解失活液は、必要に応じて分離精製処理を施し、加水分解失活液中に含まれている乳蛋白質加水分解物を精製することができる。分離精製処理を行うことにより、沈殿等の不溶物の除去、脱塩、溶液の清澄化、分子量による分画、苦味の低減等を行うことができる。
分離精製処理としては、珪藻土濾過処理、精密膜処理、限外濾過膜処理、ナノフィルトレーション膜処理、クロマトグラフ処理、吸着樹脂処理等を例示できる。これらの処理は、公知の装置を使用することができる。
【0025】
次に、脱臭工程について説明する。
本発明の好ましい実施態様において、脱臭工程で低減される臭気物質はメチオナール(別名:3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒド)又は三硫化ジメチルである。
メチオナールは、加熱処理などにより、メチオニンから生成する物質であり、一般に、拡散性のあるオニオン、ミート様香気として知られている。メチオナールは、単独では、現在、チーズや肉製品、フルーツ系、スープなどのフレーバーとして、素材の風味付けに有用な物質として用いられているが、今まで、メチオナールが乳蛋白質加水分解物の不快な臭気の原因とする報告はなされていない。また、三硫化ジメチルは、ホップやキャベツに存在する物質であり、一般に、強く新鮮なオニオン様香気として知られている。三硫化ジメチルは、単独では肉類等のフレーバーとして用いられており、例えば、肉フレーバーに10ppb添加するとローストチキン香がつくりだされる。また、焼き菓子等にも1ppm程度添加されている。三硫化ジメチルについても、メチオナールと同様、現在まで、乳蛋白質加水分解物の不快な臭気の原因であるとの報告はなされていない。
【0026】
脱臭工程における臭気物質の低減方法としては、公知の任意の脱臭方法が使用可能である。一般な蛋白質加水分解物の臭気物質の低減する方法としては、上述したように、活性炭等の吸着剤を使用する方法や、ナノフィルトレーション膜を利用する方法、水蒸気蒸留を用いる方法などが知られているが、好ましくは水蒸気蒸留を用いる。これは、水蒸気蒸留により脱臭することで、乳蛋白加水分解物の損失が少なく、回収率が向上するためである。
【0027】
水蒸気蒸留とは、脱臭しようとする臭気物質を含む液体に水蒸気を吹き込んで、水蒸気と共に臭気物質を留出させる操作を意味する。
本発明の好ましい実施態様では、水蒸気蒸留は、多段型薄膜式気液接触装置を用いて行われる。
図1に、本実施態様において好ましく用いられる多段型気液接触装置1を示す。この多段型気液接触装置1は、頂部側に加水分解失活液等の被処理液2の入口2A及び気体8の出口8Aが設けられ、底部側に被処理液6の出口6Aと気体4の入口4Aが設けられた接触塔1Aと、該接触塔1A内に垂直方向に沿って挿入された回転軸9と、該回転軸9に間隔をおいて多段に配され、被処理液を遠心力で薄膜化して外周から放出する回転体10と、上段側の該回転体から放出される被処理液を受けて下段側の回転体の中心部に導く受け皿20とを備える装置である。この多段型気液接触装置1では、前記回転体10に、薄膜化され回転体中心から外周方向に向けて流れる被処理液が乗り越える湾曲畝部13が設けられている。
【0028】
この多段型気液接触装置1においては、例えば、密閉された接触塔1A内に設置された回転体10を一定方向に回転させながら、接触塔1Aの頂部から被処理液2を流下し、回転体10上で薄膜化して当該回転体10の外周より放出し、受け皿20で受け止めて順次下方の回転体10に流下して接触塔1Aの上から下に順次流下する間に、減圧下で、接触塔1Aの下から上に移動する蒸気や熱風と接触させることにより、被処理液の臭気成分を、蒸気や熱風に移動させて回収するすることができる。
回転体10には、湾曲畝部13が設けられているので、前記被処理液を回転体の中心から外周方向に流すと、該被処理液が該湾曲畝部13を乗り越え、効率よく周囲の気体と接触するので、効率よく、被処理液中の臭気物質を低減することができる。
この際、被処理液の温度、給液量、気液接触装置の回転体の回転数、蒸気及び熱風の吹き込み量等は適宜設定することが可能である。
【0029】
前記多段型薄膜式気液接触装置1等を用いた水蒸気蒸留後に得られる乳蛋白質加水分解物を含有する溶液は、そのまま、食品や化粧品に添加して使用することができ、また、必要に応じて濃縮して濃縮液として使用することもできる。更に、この濃縮液を乾燥し、粉末として使用することも可能である。
【0030】
加水分解処理後の乳蛋白質加水分解失活液又はその分離精製液は、乾燥などの余分な工程を行わずにそのままの状態で水蒸気蒸留してもよく、また、一旦濃縮・乾燥して粉末状にした後に、これを再度、蒸留水等に溶解させて水溶液に還元して乳蛋白質加水分解溶液とし、次いで水蒸気蒸留を行って臭気の除去を行うこともできる。一旦乾燥させてから蒸留する方法を採用すると、必要な時に必要な量だけ乳蛋白質加水分解物を水溶液に還元し、水蒸気蒸留して、臭気を低減した素材として製品を適宜製造することが可能である。
【0031】
上述のようにして製造された乳蛋白質加水分解物は、特有の不快な臭気が低減されており、食品や化粧品への使用に適している。
【0032】
次に、本発明の第二の発明について記載する。本発明の第二の発明は、不快な臭気物質が低減されていることを特徴とする乳蛋白質加水分解物である。不快な臭気物質としては、特に、メチオナール又は三硫化ジメチルが挙げられる。
すなわち、本発明の第三の発明は、メチオナールの含有量が600ppb以下であることを特徴とする乳蛋白質加水分解物である。
また、本発明の第四の発明は、三硫化ジメチルの含有量が40ppb以下であることを特徴とする乳蛋白質加水分解物である。
【0033】
前記乳蛋白質加水分解物は、例えば、乳蛋白質を、酸、アルカリ、酵素等により加水分解し、得られた加水分解物を定法を用いて脱臭することにより製造することができるが、好ましくは、上述したような臭気が低減された乳蛋白質加水分解物の製造方法を用いて製造する。
【0034】
好ましい実施態様において、本発明の乳蛋白質加水分解物は、メチオナールの含有量が600ppb以下に低減されているか、又は、三硫化ジメチルの含有量が40ppb以下に低減されているという従来の乳蛋白質加水分解物にはない理化学的性質を有しており、不快な臭気が低減されている。
不快な臭気物質が低減されていることによって、一層風味も改善されていることから、食品素材として、ゼリー、プリン、アイスクリーム、ヨーグルト、ジュース、乳飲料、加工乳、コーヒー、スポーツドリンク、スープ、焼成食品、粉乳、育児用調製粉乳、及び流動食等の広範な種々の食品に好適に利用することが可能である。更に化粧品素材として、シャンプー、リンス、及びクリーム等の化粧品にも好適に利用することができる。
【0035】
次に試験例を示して本発明を詳細に説明する。
[参考試験]
本試験は、乳蛋白質加水分解物の臭気成分を測定し、各成分の臭いを確認するために行った。
(1)試料の調製
乳酸カゼイン(蛋白質含有量85%。ユニーレ・フランス社製)1kgを精製水10kgに溶解し、水酸化ナトリウム(日本曹達社製)13g及び水酸化カリウム(日本曹達社製)33gを添加して、pHを9.3に調整し、バチルス属細菌由来の中性プロテアーゼ(商品名:プロテアーゼN。天野エンザイム社製)168万活性単位(蛋白質1g当たり2,000活性単位)、バチルス属細菌由来のアルカリ性プロテアーゼ(商品名:ビオプラーゼsp−20。長瀬生化学工業社製)100.8万活性単位(蛋白質1g当たり1,200活性単位)、及びトリプシン(商品名:トリプシンV。日本バイオコン社製)588万活性単位(蛋白質1g当たり7,000活性単位)を添加し、50℃で加水分解し、酵素反応を分解率によりモニターし、分解率が24%及びアミノ酸遊離率が4.3%に達した時点で、130℃で2秒間加熱して酵素を失活させた。この加水分解液を、分画分子量6,000の限外濾過膜モジュール(商品名:SIP1030。旭化成社製)により限外濾過し、次いで吸着樹脂(商品名:KS−35。味の素ファインテクノ社製)処理し、更に膜透過画分を濃縮して、噴霧乾燥し、粉末状のカゼイン加水分解物約7.5kgを調製し、試料とした。これを蒸留水で5質量%となるように溶解して試料溶液とした。
(2)試験方法
前記試料溶液について、以下の条件に従って固相マイクロ抽出ガスクロマトグラフ質量分析(以下、GC−MSと略記することがある。)を行い、臭気成分を測定した。
a)測定機器
・GC:AGILENT社製、6890型
・MS:AGILENT社製、5973型
・カラム:INNOWAX(商品名。AGILENT社製)
膜厚:0.5μm
長さ:30m
口径:0.25mm
b)臭気成分の分離濃縮方法
固相マイクロ抽出法(SPMEファイバー:50/30μmStable Flex DVB/Carboxen/PDMS。スペルコ〔SUPELCO〕社製)で、37℃、60分間ヘッドスペース中の臭気をファイバーに抽出して測定した。
c)測定条件
・GC オーブン昇温条件:40℃、2分間
4℃/分(120℃まで)
6℃/分(240℃まで)、10分間保持
ガス流量:1.2ml/分 ヘリウムガス
・MS イオン化電圧:70eV
測定モード:SCAN(3SCAN/秒)
これとは別に、前記固相マイクロ抽出ガスクロマトグラフ質量分析の方法で測定した臭気成分の臭いを確認するために、以下の方法で臭い嗅ぎ試験を行った。試料溶液600mlにジエチルエーテル400mlを添加して抽出処理を行い、次いで有機層を0.5mlに濃縮した。濃縮液1μlをガスクロマトグラフで分離し、カラムの出口にガラス製の臭い嗅ぎ装置を接続して臭いを嗅ぎ、前記固相マイクロ抽出ガスクロマトグラフ質量分析における保持時間に相当するピークの臭いを確認した。
(3)試験結果
本試験の結果は図2に示すとおりである。図2は試料溶液のGC−MSのクロマトグラムである。
臭い嗅ぎ試験において、図中A(保持時間:16〜22分)の領域で、ペプチド臭、カゼイン臭及び硫黄臭等の臭気が確認された。
【0036】
[試験例1]
本試験は、乳蛋白質加水分解物に含まれるメチオナールを定量し、低減されているかどうか確認するために行った。
(1)試料の調製
実施例1と同様の方法で調製したカゼイン加水分解物を試験試料1とした。また、実施例1において多段型薄膜式水蒸気蒸留を行わなかったこと以外は同様の方法で調製したカゼイン加水分解物を対照試料1とした。尚、試験試料1及び対照試料1は蒸留水で5質量%となるように溶解し試料溶液とした。標準物質は、メチオナール(アルドリッチ社製)をメタノールにて0.5ppmに溶解して使用した。
(2)試験方法
前記試料溶液について、以下の条件に従って固相マイクロ抽出法を行い、メチオナールを標準添加法にて定量した。
a)測定機器
・GC:AGILENT社製、6890型
・カラム:INNOWAX(商品名)(AGILENT社製)
膜厚:0.5μm
長さ:30m
口径:0.25mm
b)臭気成分の分離濃縮方法
試験試料溶液及び対照試料溶液を、固相マイクロ抽出法(SPMEファイバー:85μm Polyacrylate Coating)で、37℃、60分間、塩化ナトリウムを添加した溶液中に浸漬し、臭気をファイバーに抽出測定して、標準添加法にてメチオナールを定量した。
c)測定条件
・GC オーブン昇温条件:40℃、2分間
4℃/分(120℃まで)
6℃/分(240℃まで)、10分間保持
ガス流量:1.9ml/分 ヘリウムガス
・検出器 化学発光硫黄検出器(SCD:シーバース〔SIEVERS〕社製)
(3)試験結果
本試験の結果は、図3及び表1に示す。図3は試験試料1及び対照試料1のガスクロマトグラフによるメチオナールの測定結果である。図中矢印はメチオナールのピークを表す。メチオナールは、図2の領域Aに存在する。また、表1は各試料のメチオナールのピークを定量した結果である。
その結果、対照試料1のメチオナール含有量は、試料1kgあたり69μgであり、試験試料1のメチオナール含有量は、試料1kgあたり20μgであったことから、試験試料1のメチオナールの低減率は71.0%となり、本発明の乳蛋白質加水分解物の製造方法によって、メチオナールが効果的に低減できることが判明した。
【0037】
【表1】
Figure 0004030883
【0038】
[試験例2]
本試験は、メチオナールが低減された乳蛋白質加水分解物の風味を官能的に評価するために行った。
(1)試料の調製
実施例4と同様の方法で製造した乳清蛋白質加水分解物を試験試料2とし、実施例4の多段型薄膜式水蒸気蒸留を行わなかったこと以外は同様の方法で製造した乳蛋白質(乳清蛋白質)加水分解物を対照試料2とし、それぞれ蒸留水で5質量%溶液に調製して、官能試験に供した。
(2)試験方法
20歳から40歳までの男女各20人からなるパネルにより、試験試料2及び対照試料2について次の評価方法に従って風味を官能的に試験した。本発明における風味とは、乳蛋白質加水分解物に特有の不快な臭気が少ないものほど良好と判定し、不快な臭気が多いものほど不良として判定して、それぞれ風味を以下のとおり評価判定を行った。
風味が良好の場合、評価点は2点
どちらとも言えないの場合、評価点は1点
風味が不良の場合、評価点は0点
の3段階に評価し、評価点の平均値を算出し、
1.5点以上:良好
0.5点以上1.5点未満:良好とも不良とも言えない
0.5点未満:不良
の基準により判定した。
(3)試験結果
本試験の結果は表2に示すとおりである。表2は試験試料2及び対照試料2の官能試験の評価点の平均を算出した結果である。その結果、対照試料2の平均評価点は0.85と算出され、「良好とも不良とも言えない」という評価であったが、試験試料2は平均評価点が1.6と算出され、「良好」の評価結果が得られた。従って、本発明の方法によって製造された乳蛋白質加水分解物は、臭気が低減されたことによって一層風味も改善されたことが明らかとなった。
【表2】
Figure 0004030883
【0039】
[試験例3]
本試験は、本発明の乳蛋白質加水分解物のメチオナールの含有量を官能的に評価するために行った。
(1)試料の調製
実施例4と同様の方法により、メチオナールの含有量がそれぞれ400、600、800、1000ppbとなるように脱臭の程度を調整して製造を行った乳蛋白質(乳清蛋白質)加水分解物を試料とし、それぞれ蒸留水で5質量%溶液に調製して、官能試験に供した。
(2)試験方法
20歳から40歳までの男女各20人からなるパネルにより、各メチオナール濃度の試料について、次の評価方法(評価点算出)に従って臭いを官能的に試験した。
「臭わない」:0点
「乳蛋白質加水分解物製品として気にならない程度の臭い」:1点
「乳蛋白質加水分解物製品として臭いが少々あり、やや不快」:2点
「乳蛋白質加水分解物製品として臭いが強く、不快」:3点
の4段階に評価し、評価点の平均値を算出して「1点未満」を許容できる風味検査基準値として判定した。
(3)試験結果
本試験の結果は表3に示すとおりである。表3は各メチオナール濃度の試料について官能試験の評価点の平均を算出した結果である。その結果、許容できる風味検査基準値が1点未満であったのは、乳蛋白質加水分解物中に含有するメチオナールの含有量が600ppb以下であった。従って、本発明の方法により製造した臭気が低減された乳蛋白質加水分解物は、メチオナールの含有量が600ppb以下であることが判明した。
【0040】
【表3】
Figure 0004030883
【0041】
[試験例4]
本試験は、乳蛋白質加水分解物を本発明の多段型薄膜式水蒸気蒸留により脱臭した場合と通常の吸着剤により脱臭した場合でのアミノ酸の回収率を比較するために行った。
(1)試料の調製
実施例1と同様の方法により調製したカゼイン加水分解物(図1記載の多段型薄膜式水蒸気蒸留により脱臭)を試験試料3、実施例1において多段型薄膜式水蒸気蒸留の代わりに、吸着剤(商品名:KS−35、味の素ファインテクノ社製)を使用して常法に従って脱臭して調製したカゼイン加水分解物を対照試料3とした。また、実施例1で脱臭(多段型薄膜式水蒸気蒸留)処理を行わなかったカゼイン加水分解物をコントロールとして調製した。尚、試験試料3、対照試料3、及びコントロールはすべて蒸留水で5質量%水溶液となるように溶解して試験に供した。
(2)試験方法
脱臭処理によるアミノ酸の回収率を比較するために、試験試料3及び対照試料3並びにコントロールについて、それぞれアミノ酸組成分析を行い、コントロールに対する試験試料3及び対照試料3の各アミノ酸の回収率(%)を算出した。(3)試験結果
本試験の結果は表4に示すとおりである。表4は、コントロールに対する試験試料3及び対照試料3の各アミノ酸の回収率(%)を算出した結果である。その結果、多段型薄膜式水蒸気蒸留による脱臭を行った試験試料3では、アミノ酸の回収率の低下はほとんど確認されなかったのに対し、吸着剤による脱臭を行った対照試料3では、システイン、及びヒスチジン、並びに塩基性アミノ酸であるアルギニン、リジン、及び芳香族アミノ酸であるフェニルアラニン、トリプトファン、チロシンで、アミノ酸の回収率の低下傾向が確認され、特にトリプトファン(20.0%)、及びシステイン(66.7%)で急激に回収率が低下することが明らかとなった。従って、乳蛋白質加水分解物を本発明の多段型薄膜式水蒸気蒸留によって脱臭した場合、従来技術1で公知の吸着剤による脱臭に比してアミノ酸の回収率が良好であることが判明した。
【0042】
【表4】
Figure 0004030883
【0043】
[試験例5]
試験例1と同様の方法で調製した試験試料1及び対照試料1について、それぞれの試料中に含まれる三硫化ジメチルを定量し、低減されているかどうか確認するための試験を行った。
メタノールにて0.01ppmの濃度に溶解した三硫化ジメチルの標準物質(ACROS社製)を用いて、図4に示すクロマトグラフの16.5分付近のピーク(矢印)が三硫化ジメチルであることを確認し、このピークについて、試験試料1と対照試料1に含まれる三硫化ジメチルを定量した。なお、三硫化ジメチルは、図2の領域Aに存在する。
その結果を表5に示す。三硫化ジメチルの含有量は、対照試料1では2.4μg/試料1kgであったのに対し、試験試料では1.4μg/試料1kgとなり、脱臭工程により三硫化ジメチルは41.7%低減したことが判明した。
【0044】
【表5】
Figure 0004030883
【0045】
[試験例6]
試験例3と同様の方法で、乳蛋白質加水分解物中の三硫化ジメチルの含有量を官能的に評価するために以下の試験を行った。
(1)試料の調製
実施例4と同様の方法により、三硫化ジメチルの含有量がそれぞれ20、40、60、80ppbとなるように脱臭の程度を調整して製造を行った乳蛋白質(乳清蛋白質)加水分解物を試料とし、それぞれ蒸留水で5質量%溶液に調製して、官能試験に供した。
(2)試験方法
20歳から40歳までの男女各20人からなるパネルにより、各メチオナール濃度の試料について、次の評価方法(評価点算出)に従って臭いを官能的に試験した。
「臭わない」:0点
「乳蛋白質加水分解物製品として気にならない程度の臭い」:1点
「乳蛋白質加水分解物製品として臭いが少々あり、やや不快」:2点
「乳蛋白質加水分解物製品として臭いが強く、不快」:3点
の4段階に評価し、評価点の平均値を算出して「1点未満」を許容できる風味検査基準値として判定した。
(3)試験結果
本試験の結果を表6に示す。表6は各三硫化ジメチル濃度の試料について官能試験の評価点の平均を算出した結果である。その結果、許容できる風味検査基準値が1点未満であったのは、三硫化ジメチルの含有量が40ppb以下の乳蛋白質加水分解物であった。従って、本発明の方法により製造した臭気が低減された乳蛋白質加水分解物は、三硫化ジメチルの含有量が40ppb以下であることが判明した。
【0046】
【表6】
Figure 0004030883
【0047】
【実施例】
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0048】
〔実施例1〕
乳酸カゼイン(蛋白質含有量85%。ユニーレ・フランス社製)1kgを精製水10kgに溶解し、水酸化ナトリウム(日本曹達社製)13g及び水酸化カリウム(日本曹達社製)33gを添加して、pHを9.3に調整し、バチルス属細菌由来の中性プロテアーゼ(商品名:プロテアーゼN。天野エンザイム社製)168万活性単位(蛋白質1g当たり2,000活性単位)、バチルス属細菌由来のアルカリ性プロテアーゼ(商品名:ビオプラーゼsp−20。長瀬生化学工業社製)100.8万活性単位(蛋白質1g当たり1,200活性単位)、及びトリプシン(商品名:トリプシンV。日本バイオコン社製)588万活性単位(蛋白質1g当たり7,000活性単位)を添加し、50℃で加水分解し、酵素反応を分解率によりモニターし、分解率が24%及びアミノ酸遊離率が4.3%に達した時点で、130℃で2秒間加熱して酵素を失活させた。この加水分解液を、分画分子量6,000の限外濾過膜モジュール(商品名:SIP1030。旭化成社製)により限外濾過し、次いで膜透過画分を濃縮して、噴霧乾燥し、粉末状のカゼイン加水分解物約7.5kgを得た。
得られたカゼイン加水分解物5kgを精製水95kgに溶解し、溶液濃度5%、温度50℃、処理流量50l/h、気液接触装置の回転体の回転数を40s−1(240rpm)、接触塔下部からの蒸気と熱風を各々5kg/h、1m/hの割合で吹き込み、真空圧力−70kPaでカゼイン加水分解液の臭気成分を蒸気に移動させて水蒸気蒸留処理した。
以上の方法により製造したカゼイン加水分解物処理溶液は、前記試験方法で試験した結果、メチオナールの含有量は20ppb、かつ三硫化ジメチルの含有量は1.4ppbであり、食品、化粧品等にそのまま使用可能な優れたものであった。
【0049】
〔実施例2〕
市販の乳清蛋白質濃縮物(蛋白質含有量75%。ワーナンブール・チーズ・アンド・バター社製)1kgを精製水9kgに溶解し水酸化ナトリウム(日本曹達社製)5.5gを添加してpHを7.5に調整し、パパイン(商品名:パパイン300。日本バイオコン社製)382.5万活性単位(蛋白質1g当たり5,100活性単位)、トリプシン(商品名:PTN6.0S。ノボザイムズ・ジャパン社製)112.5万活性単位(蛋白質1g当たり1,500活性単位)、及び乳酸菌ラクトバチルス・ヘルベチクス由来のプロテアーゼ13.5万活性単位(蛋白質1g当たり180活性単位)を添加し、50℃で加水分解し、酵素反応を分解率によりモニターし、分解率が15.8%及びアミノ酸遊離率が6.1%に達した時点で、130℃で2秒間加熱して酵素を失活させ、10℃に冷却した。この加水分解液を、分画分子量10,000の限外濾過膜モジュール(商品名:SLP−1053。旭化成社製)により限外濾過し、次いで膜透過画分を溶液濃度5%、温度50℃、処理流量50l/h、気液接触装置の回転体の回転数を35s−1(210rpm)、接触塔下部からの蒸気と熱風を各々7kg/h、0.5m/hの割合で吹き込み、真空圧力−60kPaで乳清蛋白質加水分解液の臭気成分を蒸気に移動させて水蒸気蒸留処理した。更に濃縮して、噴霧乾燥し、粉末状の乳清蛋白質加水分解物約0.75kgを得た。
得られた乳清蛋白質加水分解物は、前記試験方法で試験した結果、分解率が15.8%、アミノ酸遊離率が6.1%、メチオナールの含有量が350ppb、及び三硫化ジメチルの含有量が23ppbであり、食品、化粧品等にそのまま使用可能な優れたものであった。
【0050】
〔実施例3〕
乳酸カゼイン(蛋白質含有量85%。ニュージーランド・ミルク・プロダクツ製)1kgを精製水8kgに溶解し、水酸化ナトリウム(日本曹達社製)25gを添加してpHを7.0に調整し、パンクレアチン(商品名:パンクレアチンF。天野エンザイム社製)42.5万活性単位(蛋白質1g当たり500活性単位)、及び乳酸菌ラクトバチルス・ヘルベチクス由来のプロテアーゼ120万活性単位(蛋白質1g当たり1,410活性単位)を添加し、50℃で加水分解し、酵素反応を分解率によりモニターし、分解率が35%及びアミノ酸遊離率が40%に達した時点で、130℃で2秒間加熱して酵素を失活させ、10℃に冷却した。この加水分解液を珪藻土濾過により清澄化し、清澄化液を濃縮した。更に該清澄化液を噴霧乾燥して、粉末状のカゼイン加水分解物約0.82kgを得た。得られたカゼイン加水分解物0.8kgを精製水15.2kgに溶解し、溶液濃度5%、温度50 ℃、処理流量35l/h、気液接触装置の回転体の回転数を45s−1(270rpm)、接触塔下部からの蒸気と熱風を各々3kg/h、0.5m/hの割合で吹き込み、真空圧力−60kPaでカゼイン加水分解液の臭気成分を蒸気に移動させて水蒸気蒸留処理した。
以上の方法により製造したカゼイン加水分解物処理溶液は、前記試験方法で試験した結果、メチオナールの含有量は15ppb、かつ三硫化ジメチルの含有量は1.0ppbであり、食品、化粧品等にそのまま使用可能な優れたものであった。
【0051】
〔実施例4〕
市販の乳清蛋白質濃縮物(蛋白質含量75%。ミライ社製)10kgを精製水90kgに溶解し、水酸化ナトリウム(三栄源エフ・エフ・アイ社製)55gを添加してpHを7.5に調整した。次いで、パパイン(商品名:パパイン300。日本バイオコン社製)4880万活性単位(蛋白質1g当たり6,500活性単位)、及びトリプシン(商品名:PTN6.0S。ノボザイムズ・ジャパン社製)4690万活性単位(蛋白質1g当たり6,250活性単位)を添加して、50℃で加水分解し、酵素反応を分解率によりモニターし、分解率が13.7%に達した時点で、130℃で2秒間加熱して酵素を失活させ、10℃に冷却した。
この加水分解液を分画分子量10,000の限外濾過膜モジュール(商品名:SLP−1053。旭化成社製)により処理し、膜透過画分を濃縮して噴霧乾燥し、粉末状の乳清蛋白質加水分解物約7.3kgを得た。
得られた乳清蛋白質加水分解物6kgを精製水114kgに溶解し、溶液濃度5%、温度50℃、処理流量70l/h、気液接触装置の回転体の回転数を45s−1(270rpm)、接触塔下部からの蒸気と熱風を各々7kg/h、1m/hの割合で吹き込み、真空圧力−65kPaで乳清蛋白質加水分解液の臭気成分を蒸気に移動させて水蒸気蒸留処理した。
以上の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物は、前記試験方法で試験した結果、メチオナールの含有量は500ppb、かつ三硫化ジメチルの含有量は35ppbであり、食品、化粧品等にそのまま使用可能な優れたものであった。
【0052】
〔実施例5〕
乳清蛋白質濃縮物(蛋白質含有量75%。ミライ社製)10kgを精製水70kgに溶解し、バチルス属細菌由来の中性プロテアーゼ(商品名:プロテアーゼN。天野エンザイム社製)1,800万活性単位(蛋白質1g当たり2,400活性単位)、及び乳酸菌ラクトバチルス・ヘルベチクス由来のプロテアーゼ68万活性単位(蛋白質1g当たり90活性単位)を添加し、50℃で加水分解し、酵素反応を分解率によりモニターし、分解率が23%及びアミノ酸遊離率が11%に達した時点で、85℃で6分間加熱して酵素を失活させ、10℃に冷却した。この加水分解液を、分画分子量3,000の限外濾過膜モジュール(商品名:SEP−3010。旭化成社製)により限外濾過し、得られた乳清蛋白質加水分解物を含有する溶液を濃縮して、噴霧乾燥し、粉末状の乳清蛋白質加水分解物約7.4kgを得た。
得られた乳清蛋白質加水分解物6kgを精製水114kgに溶解し、溶液濃度5%、温度50℃、処理流量100l/h、気液接触装置の回転体の回転数を40s−1(240rpm)、接触塔下部からの蒸気と熱風の各々10kg/h、2m/hの割合で吹き込み、真空圧力−60kPaで乳清蛋白質加水分解液の臭気成分を蒸気に移動させて水蒸気蒸留処理した。
以上の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物は、前記試験方法で試験した結果、メチオナールの含有量は450ppb、かつ三硫化ジメチルの含有量は30ppbであり、食品、化粧品等にそのまま使用可能な優れたものであった。
【0053】
【発明の効果】
以上詳記したとおり、本発明は臭気が著しく低減された乳蛋白質加水分解物の製造方法、及び乳蛋白質加水分解物に関するものであり、本発明により奏される効果は次のとおりである。
(1)本発明の方法により、広範な用途に適用することが可能な臭気が低減された乳蛋白質加水分解物を製造することができる。
(2)本発明の乳蛋白質加水分解物は、臭気が低減されていることから、種々の食品及び化粧品等の素材として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい実施態様で用いられる多段型薄膜式気液接触装置を示す概略図である。
【図2】 参考試験の乳蛋白質加水分解物のGC−MSクロマトグラムである。
【図3】 試験例1の試験試料1及び対照試料1のガスクロマトグラムである。
【図4】 試験例5の試験試料1及び対照試料1のガスクロマトグラムである。
【符号の説明】
1…多段型気液接触装置、1A…接触塔、2A…被処理液の入口、4A…気体の入口、6A…被処理液の出口、8A…気体の出口、9…回転軸、10…回転体、13…湾曲畝部、20…受け皿

Claims (6)

  1. 乳蛋白質をプロテアーゼで加水分解して乳蛋白質加水分解物を得る加水分解工程と、前記乳蛋白質加水分解物中に含まれている臭気物質を、多段型薄膜式気液接触装置を用いた水蒸気蒸留により低減する脱臭工程とを含むことを特徴とする臭気が低減された乳蛋白質加水分解物の製造方法。
  2. 前記脱臭工程により低減される臭気物質がメチオナール又は三硫化ジメチルであることを特徴とする請求項1記載の臭気が低減された乳蛋白質加水分解物の製造方法。
  3. 前記脱臭工程において、前記メチオナールの含有量を、乳蛋白質加水分解物の総質量の15ppb以上600ppb以下にするか、又は、前記三硫化ジメチルの含有量を、乳蛋白質加水分解物の総質量の1.0ppb以上40ppb以下にすることを特徴とする請求項2記載の臭気が低減された乳蛋白質加水分解物の製造方法。
  4. 前記加水分解工程において、乳蛋白質加水分解物を含有する加水分解液を得た後、乾燥を行わずに前記脱臭工程を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の臭気が低減された乳蛋白質加水分解物の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の乳蛋白質加水分解物の製造方法により製造され、メチオナールの含有量が15ppb以上600ppb以下であることを特徴とする乳蛋白質加水分解物。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の乳蛋白質加水分解物の製造方法により製造され、三硫化ジメチルの含有量が1.0ppb以上40ppb以下であることを特徴とする乳蛋白質加水分解物。
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