JP4029925B2 - 電子地図データベースの生成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子地図データベースを生成する方法に関し、詳しくは既存のデータベースの情報を有効活用して新規なデータベースを生成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータで利用可能に電子化された地図データ(以下、「電子地図データ」と呼ぶ)の利用が広まっている。電子地図データは、いわゆるパーソナルコンピュータでの地図表示、車載用のナビゲーションシステム、インターネットを介した地図提供および印刷物としての地図の版下作成などに利用される。
【0003】
道路、建造物などは時とともに変化しているため、電子地図データベースは、逐次更新していく必要がある。また、例えば、電子地図データベースを利用した新たな機能が要求される場合など、データベース全体を再構築する必要が生じる場合もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年の電子地図データベースでは、道路、建造物などに種々の属性情報の付与が要求されることが多い。しかし、データベースの再構築が要求される場合には、属性情報の与え方を含め、データベース全体の構造が大きく改変されるため、既存のデータベースに含まれる情報を有効活用することができなかった。このため、既存のデータベースに含まれる情報を手作業で一つ一つ新規なデータベースに移転する必要があった。これは、非常に膨大な作業量であり、データベース構築の大きな負荷となっていた。
【0005】
特に、既存のデータベースとして、いわゆる住宅地図を利用する場合に、上記課題は顕著であった。住宅地図には、各住居の名称の他、一方通行や通行止めその他の規制情報、中央分離帯や歩道の有無など詳細な情報が含まれている。これらの情報は、原則的に表示データとして含まれており、所定の道路などに属性情報として対応づけられてはいない。従来は、かかる情報を効率的に新規データベースに反映させることができなかった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、既存データベースに含まれる情報を有効活用して、新規データベースの生成負荷を軽減することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明では、第1の構成として、電子地図の新規データベースを生成する際に、既存データベースに基づいて属性情報の設定を行うものとした。既存データベースとは、地図構成要素を含む電子地図データベースである。新規データベースとは、地図上に設定された要素ごとに属性情報を設定可能に構成された電子地図データベースである。これらのデータベースを比較し、新規データベース内の要素について、既存データベースに含まれる地図構成要素が所定の重なり状態にある場合に、その地図構成要素に対応した属性情報を要素に設定する。要素とは、道路、建造物、田畑など属性情報の付与対象となる要素を意味し、点領域、線領域、面領域、空間領域、経路探索用のデータベースを構成するノードおよびリンクなどが含まれる。こうすることにより、既存データベースに地図構成要素の形で表現された属性を効率的に新規データベースに移転することが可能となる。地図構成要素は新規データベースの要素と重ね合わさりさえすればよく、この要素に対応づけて定義されている必要はない。
【0008】
本発明における電子地図は、狭義にはいわゆるベクトルデータで表現された地図を意味するが、広義には地形が表現された電子データ全般を意味する。例えば、ビットマップ、GIFなどの画像データとして構成された地図、航空写真のように地形が表現された写真なども広義の電子地図に含まれる。また、電子地図は、必ずしも2次元的なものである必要はなく、3次元モデルまたは3次元を表現した画像を含むものでもよい。
【0009】
本発明において、地図構成要素は、いわゆる地図上に表示される記号の他、点、線、面、立体、またはこれらの組み合わせによって表される種々のパターン、画像などが含まれる。3次元的なモデルおよび画像であってもよい。記号は、構成要素の属性に応じた一定の規則に基づいて設定されているため、既存データベースの記号を利用すれば、新規データベースに属性情報を的確に精度良く設定することができる利点がある。
【0010】
一方、種々のパターン、画像などを利用する場合には、一定の記号が定義されていないような幅広い範囲で属性を取得することができる。一例として、ある領域に車を止める枠線が一定間隔で配置されたパターンが見出された場合には、駐車場の記号「P」などが付されていない場合でも、その領域を駐車場と判断することができる。その他、黄色のセンターラインが見出された道路については、はみ出し禁止などの属性を設定することができる。建築物の側面が写った写真に基づき、その建築物の階数を属性情報として設定可能としてもよい。
【0011】
このように種々のパターン、画像に基づいて属性を設定する場合には、パターン、画像を解析するためのパターンデータベースを予め用意することが好ましい。パターンデータベースは、例えば、パターン、画像と属性とを対応づけて記憶することにより構成される。このパターンデータベースを参照することにより、その領域についての属性を比較的容易に特定することが可能となる。なお、誤った属性付与を回避するため、解析によって設定された属性の正否をオペレータが確認した上で、属性の移転を行うものとしてもよい。
【0012】
上記記号には、例えば、地図上の所定の点を代表点として配置される記号(以下、「点記号」と称する)が含まれる。点記号としては、例えば、一方通行、通行止め、信号機、消火栓、歩道橋、横断歩道などが含まれる。また、家枠のように必ずしも形状が一定していないものも含めうる。これらの点記号については、例えば、要素内に記号の代表点が存在するか否かで属性設定の可否を判断することができる。この判断は、ノード、リンクまたは点領域のように広さを有しない要素については代表点がその要素上にあるか否かで適用することも可能ではあるが、特に面領域または空間領域のように一定の範囲を有している要素について有用である。
【0013】
また、この判断において、併せて、要素と記号の相対的な偏角が所定範囲内にあるか否かを考慮するものとしてもよい。例えば、相対的な偏角とは、例えば、道路に沿う方向と、記号の向きとのなす角度を意味する。かかる偏角を考慮することにより、属性付与の適否を精度良く判断することが可能となる。かかる判断は、特に、リンク、線領域、所定の基準線に基づいて相対的な偏角を定義可能な面領域、空間領域について有用である。
【0014】
本発明の記号には、また、地図上の一定の面または線に対応して配置される記号(以下、「範囲記号」と称する)も含まれる。範囲記号としては、例えば、歩道、分離帯、橋、トンネル、切り取り、盛り土、車線数などが含まれる。田、畑、果樹園などの施設属性も含まれる。これらの範囲記号については、例えば、領域内に記号の少なくとも一部が存在するか否かで属性設定の可否を判断することができる。
【0015】
範囲記号に対応する属性は、必ずしも領域全体で一様とは限らないため、領域の一部で異なる属性設定を可能としてもよい。例えば、新規データベースは、道路を表すリンクと、リンクの交点を表すノードとを含んでいる場合、範囲記号に基づく属性設定は、リンクの両端で個別に行うものとしてもよい。こうすれば、例えば、リンクの一端にのみ分離帯が存在する場合にも、適正な属性付与を行うことが可能となる。
【0016】
本発明における要素は、種々の定義が可能であるが、一例として、新規データベースに含まれる道路に対して設定されたポリゴンとすることができる。新規データベースに予めポリゴンが定義されている場合の他、新規データベースに定義された線状の道路から上記領域に相当する所定幅のポリゴンを生成するものとしてもよい。
【0017】
本発明は、第2の構成として、以下の方法により、電子地図データベースに規制情報を設定するものとした。まず、道路を表すリンクと、リンクの交点を表すノードと、リンクの端点について分離帯の有無を示す分離帯情報とを含む地図データベースを入力する。そして、端点において通行可能な方向に関する規制情報を分離帯情報に基づいて設定する。例えば、分離帯を通過する方向への通行を規制するよう規制情報を設定することができる。リンクの端点のうち、一方にのみ分離帯が存在する場合、他端の取扱は、種々の選択が可能である。例えば、リンクの他端にも同様に分離帯が存在するものとして規制情報を設定してもよいし、他端には分離帯が存在する側とは異なる規制情報を設定するものとしてもよい。
【0018】
本発明は、第3の構成として、以下の方法により、電子地図データベースに規制情報を設定するものとした。まず、道路を表すリンクと、リンクの交点を表すノードと、少なくとも一部のリンクについて設定された通行方向の規制情報とを含む地図データベースを入力する。そして、この規制情報およびリンクの接続状態に基づき、通行方向の規制情報が設定されていない未設定リンクの少なくとも一部について、規制情報を設定する。データベースの構成によっては、実質的に連続した道路が複数のリンクに分断されて定義される可能性がある。第3の構成によれば、かかる場合に、元来各リンクに設定された規制情報の不備を補足して、それぞれのリンクに妥当な規制情報を定義することが可能となる。
【0019】
第3の構成においては、例えば、未設定リンクの前後に連結されたリンクに対して、同一内容の規制情報が設定されている場合に、その規制情報を未設定リンクに設定する方法を採ることができる。実質的に連続した道路とみなすことができる場合が多いからである。
【0020】
また、未設定リンクと、道路種別および車線数の少なくとも一方が同一であるリンクに付された規制情報に基づき設定を行うものとしてもよい。道路種別および車線数が異なる場合には、実質的に連続した道路でも規制内容が異なる場合があるからである。
【0021】
さらに、未設定リンクとの間の角度が所定範囲内にあるリンクに付された規制情報に基づき設定を行うものとしてもよい。例えば、直角または鋭角的に折れ曲がった道路では、実質的に連続した道路でも規制内容が異なる場合があるからである。
【0022】
ここで例示した条件は、個別に適用してもよいし、組み合わせて適用してもよい。また、上記条件は、一例に過ぎず、更に他の条件を考慮して規制情報の適用を行うものとしてもよい。
【0023】
地図データベースが、所定の広さを単位図面として構成されている場合がある。また、隣接する単位図面をまたがる道路については、図面の境界でノードを設けることにより、各単位図面内に存在するリンクが定義されている場合がある。このような場合には、隣接する単位図面をまたがる道路に対応した2つのリンクにつき、一方の単位図面で付されている規制情報を、他方の単位図面におけるリンクに設定するものとしてもよい。こうすることにより、単位図面の境界をまたぐ道路についても、効率的に規制情報を付与することが可能となる。
【0024】
本発明においては、第4の構成として、以下の方法により、電子地図データベースを生成する際に、立体交差における道路の上下関係を設定するものとした。この設定では、縁線を有する道路を含む既存データベースを用いる。また、新規データベースは、道路同士が立体交差する部位に各道路の上下関係を示す属性情報を設定可能であるものとする。そして、新規データベースにおいて、立体交差を構成する道路と、立体交差の中心から所定の領域内における縁線との重なり状態に基づいて新規データベース該道路の上下関係を設定する。例えば、ある道路について他の道路の縁線が交差していることが判定されれば、その道路は他の道路よりも下にあることになる。このように縁線の重なりを利用することにより、道路の上下関係を効率的に設定することが可能となる。
【0025】
本発明の第2および第3の構成においては、必ずしも既存データベースを利用する必要はないが、既存データベースに基づいて分離帯の有無を設定した上で、上記規制情報の設定を行うものとしてもよい。また、本発明において、以上で説明した電子地図データベースの生成方法は、適宜、組み合わせたり、一部を省略したりして構成してもよい。
【0026】
本発明は、電子地図データベースの生成方法としての態様に限らず、種々の態様で構成可能である。例えば、電子地図データベースを生成するための生成装置として構成してもよい。かかる生成装置は、上述の生成方法で説明した種々の機能を実現する機能部を、コンピュータによってソフトウェア的に構成したり、特有の回路によって構成したりすることで実現される。また、本発明は、これらの機能を実現するためのコンピュータプログラムまたはかかるコンピュータプログラムを記録した記録媒体として構成してもよい。
【0027】
ここで、記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、以下の項目に分けて説明する。
A.装置構成:
B.属性設定処理:
B1.歩道属性取得処理:
B2.分離帯属性取得処理:
B3.進入禁止属性設定処理:
B4.一方通行属性取得処理:
B5.通行止属性取得処理:
B6.高架属性取得処理:
C.効果:
D.変形例:
【0029】
A.装置構成:
図1は実施例としての電子地図データ生成装置の構成を示す説明図である。生成装置10は、生成装置としての機能を実現するためのコンピュータプログラムを、汎用のコンピュータにインストールすることにより構成した。生成装置10は、市街図データベース20、道路データベース30を入力し、新道路データベース30aを出力する。これらのデータベースは、生成装置10とネットワークで接続されたサーバによって提供、保存されている。
【0030】
図2はデータベースの概要を示す説明図である。市街図データベース20は、道路等を表す既存の電子地図データベースである。市街図データベース20には、道路は縁線Rをもつ領域として表示される。また、歩道S、分離帯M3、一方通行M1、通行止めM2などの記号もそれぞれ表示される。更に、立体交差では、領域Eに示すように、道路の重なり状態が表現されている。市街図データベース20において、例えば、一方通行M1は、道路の属性として定義されている訳ではなく、表示位置が緯度、経度などの座標で設定されているに過ぎない。
【0031】
道路データベース30は、市街図データベース20に基づいて新規に生成される電子地図データベースである。道路データベース30では、図示する通り、道路は、線分としてのリンク、およびリンクの交点であるノードとして定義される。各リンクおよびノードには、それぞれ属性情報を定義することが可能である。
【0032】
図1に戻り、生成装置10の構成について説明する。生成装置10は、このようにリンク、ノードが定義された道路データベース30を入力し、市街図データベース20を参照して、属性情報を付与し、新道路データベース30aとして出力する。図中に生成装置10の機能ブロックを併せて示した。本実施例では、これらの機能ブロックは、ソフトウェア的に構成されるが、ハードウェア的に構成しても構わない。
【0033】
コマンド入力部11は、生成装置10において、キーボード、マウスなどの操作を通じてオペレータからのコマンドを入力する。データベース参照部12は、このコマンドに基づき、市街図データベース20および道路データベース30を参照する。
【0034】
ポリゴン生成部13は、道路データベース30に定義された各リンクから所定面積の閉図形(以下、ポリゴンと称する)を生成する。本実施例では、各リンクに対し、車線幅に応じた幅を持たせることにより、ポリゴンを生成するものとした。
【0035】
属性設定部15は、道路データベース30のリンクに対して属性情報を設定する機能を奏する。属性情報の設定には、適宜、ポリゴン生成部13で生成されたポリゴン、市街図データベース20、および道路データベース30が参照される。本実施例では、設定される属性に応じてそれぞれ図示する機能ブロックが設けられている。
【0036】
歩道設定モジュール15aは、歩道の有無を設定する。分離帯設定モジュール15bは、分離帯の有無を設定する。進入禁止設定モジュール15cは、分離帯の有無等に基づき、進入禁止方向を設定する。一方通行設定モジュール15dは、一方通行の有無を設定する。通行止設定モジュール15eは、通行止めの有無を設定する。高架設定モジュール15fは、立体交差における道路の上下関係を設定する。
【0037】
結果出力部14は、属性設定部15による設定結果を受けて、各リンクに属性情報を対応づけ、新道路データベース30aとして出力する。本実施例では、便宜上、道路データベース30と別のデータベースを出力するものとして例示したが、道路データベース30を更新する態様を採っても構わない。
【0038】
図3は新道路データベース30aの構造を例示する説明図である。図の上方に示す通り、ノードN1、N2の周囲にそれぞれリンクL1〜L7が存在する場合を考える。図の下方に、リンクL4についてのデータの内容を示した。名称、種別、グループ、形状、属性などのデータが含まれる。種別とは、国道、県道など道路の種別を示す情報である。グループとは、複数のリンクを関連づける情報である。例えば、リンクL1、L4、L7が共に一本の国道である場合には、これらをグループG1などのように関連づけることができる。形状とは、リンクの通過点N1,P1,P2,N2の緯度、経度を列挙した情報である。属性は、リンクL4について構造、通行規制などを与える情報である。図3では、属性として歩道、中央分離帯、一方通行、進入禁止、階段、通行止、高架に関する情報を例示したが、その他に幅員を追加するなど情報の種類の多少は適宜設定可能である。
【0039】
B.属性設定処理:
図4は属性設定処理のフローチャートである。生成装置10のCPUが実行する処理である。処理が開始されると、CPUは市街図データベース20、道路データベース30を参照して、それぞれの地図データを入力する(ステップS10)。図中に、入力されるデータのイメージを例示した。
【0040】
次に、CPUは道路データに基づき、ポリゴンの生成を行う(ステップS12)。図中にポリゴン生成の様子を例示した。図中の破線で示す通り、道路データを構成するリンクに幅を持たせることにより、それぞれのポリゴンを定義することができる。ポリゴンの幅は、車線に基づき設定するものとしたが、一定幅とすることも可能である。
【0041】
CPUは、こうして生成されたポリゴンと、市街図データとを重ね合わせて属性の取得を行う(ステップS14)。歩道、分離帯、進入禁止、一方通行、通行止、高架など各属性の設定方法については、後述する。
【0042】
最後に、こうして得られた属性をリンクに対応づけることにより新道路データベースを生成して(ステップS16)、CPUは属性設定処理を終了する。
【0043】
B1.歩道属性取得処理:
図5は歩道属性取得処理のフローチャートである。図4のステップS14において、CPUが実行する処理の一つである。各リンクについて、市街図データに記載された歩道記号に基づき、歩道の有無を判定するとともに、その属性を設定する処理である。
【0044】
この処理が開始されると、CPUは設定対象となるリンクを選択する(ステップS20)。例えば、道路データベースに含まれるリンクを順次選択するようにすればよい。次に、市街図データの歩道レイヤを入力する(ステップS22)。歩道レイヤとは、図2の市街図データに示した歩道Sを表示させるためのデータを保存したレイヤである。
【0045】
CPUは、設定対象リンクのポリゴン拡張処理を行って(ステップS24)、歩道の有無を判定する(ステップS26)。各リンクには、先に図4のステップS12に示した処理によってポリゴンが生成されているが、ステップS24では、歩道の有無を適切に判断するため、このポリゴンの横幅を拡張する。図中に、ポリゴン拡張の様子を例示した。左側がステップS12で設定された道路幅に相当するポリゴンである。右側には、このポリゴンの幅を左右にdwずつ拡張した状態を示した。
【0046】
歩道の有無は、ポリゴン内に歩道の記号が存在するか否かによって判断する。図示する通り、道路幅のポリゴンでは、歩道が存在する場合でも、歩道の記号がポリゴン内に存在しない可能性がある。これに対し、ポリゴンの拡張処理をすることにより、漏れなく歩道の有無を判断することが可能となる。
【0047】
拡張幅dwは、かかる目的に照らして、任意に設定可能である。拡張幅dwが極端に小さい場合には、歩道を検出することができない。一方、拡張幅dwが極端に大きい場合には、他の道路に付された歩道による誤判定の要因ともなる。拡張幅dwは、双方の影響を考慮して、設定することが好ましい。
【0048】
以上の処理によって、歩道が有ると判断されると、CPUは、歩道属性情報を対象リンクに設定して(ステップS20)、歩道属性取得処理を終了する。図5では、一つのリンクへの設定処理を例示したが、CPUは、道路データベースに含まれる各リンクについて同様の処理を実行する。
【0049】
図6は歩道有無の誤判定が生じ得る状況を示す説明図である。リンクLa1には歩道が設けられておらず、そこに交差するリンクLa3に歩道が設けられている場合について考える。図示する通り、領域Aa6では、リンクLa1について設定されたポリゴンPa1の内部に歩道の記号が存在する。本実施例の処理では、かかる場合に、歩道属性の有無について誤判定が生じる可能性がある。
【0050】
また、高架となっているリンクLa2には歩道が設けられておらず、その下を通過するリンクLa3に歩道が設けられている場合について考える。図示する通り、領域Aa2では、リンクLa2について設定されたポリゴンPa2の内部に歩道の記号が存在する。本実施例の処理では、かかる場合に、歩道属性の有無について誤判定が生じる可能性がある。
【0051】
かかる誤判定については、オペレータが個別に確認し、データを修正するものとしてもよい。また、かかる誤判定を回避するための処理を図5のステップS26で実行するものとしてもよい。例えば、歩道記号の有無をリンクの中点付近のポリゴンで判断することにより、領域Aa6のような誤判定を回避することができる。また、歩道記号の有無をリンクの複数箇所で判断することにより、領域Aa2のような誤判定を回避することができる。
【0052】
B2.分離帯属性取得処理:
図7は分離帯属性取得処理のフローチャートである。図4のステップS14において、CPUが実行する処理の一つである。各リンクについて、市街図データに記載された分離帯記号に基づき、分離帯の有無を判定するとともに、その属性を設定する処理である。分離帯の有無は、リンクの始点および終点についても個別に判断するものとした。
【0053】
この処理が開始されると、CPUは設定対象となるリンクを選択し(ステップS30)、市街図データの分離帯レイヤを入力する(ステップS31)。
【0054】
次に、CPUは、これらのデータに基づいて分離帯の有無を判定する(ステップS32)。本実施例では、分離帯の有無を、リンクについて設定されたポリゴン内に分離帯の記号が存在するか否かで判断するものとした。この判断は、例えば、リンクの中点付近で行うことができる。本実施例では、併せて、リンクの始点および終点でも分離帯の有無を判定する(ステップS33,S34)。この判断は、例えば、ポリゴンについて、始点側の辺または終点側の辺が、分離帯の記号を交差しているか否かによって判断することができる。
【0055】
CPUは、対象リンクが誤判定のチェック対象である場合には(ステップS35)、誤判定チェックを行った上で(ステップS36)、分離帯属性情報の設定を行って(ステップS37)、この処理を終了する。誤判定のチェック対象は、予め設定しておくことができる。本実施例では、立体交差しているリンクをチェック対象とした。誤判定チェックでは、チェック対象となるリンクについて、地図を表示し、オペレータが個別にチェック、修正するものとした。後述する処理によって自動的に修正するものとしてもよい。
【0056】
図8は分離帯有無の判断方法を示す説明図である。リンクLb1については、中点付近でポリゴンPb1内に分離帯記号Sb1が存在するため、分離帯有りと判断される。但し、始点または終点では、分離帯無しと判断される。リンクLb2については、ポリゴンPb2内に分離帯記号が存在しないため、分離帯無しと判断される。
【0057】
リンクLb3については、中点付近でポリゴンPb3内に分離帯記号が存在しないため、分離帯無しと判断される。但し、始点Nb3をまたいで分離帯記号Sb3が存在するため、始点側では分離帯有りと判断される。
【0058】
リンクLb4については、始点、終点には分離帯は無いと判定されるが、中点近傍の領域Ab4で、高架道路のリンクに設けられた分離帯記号がポリゴンPb4の内部に存在するため、分離帯有りと誤判定される可能性がある。立体交差しているリンクについては、誤判定チェックによって(ステップS36)、かかる誤判定が修正される。
【0059】
リンクLb4についての誤判定の修正は、オペレータによる修正の他、次の方法で行うことができる。この修正は、中点付近で分離帯有り、始点および終点には分離帯無しと判断されたリンクを対象として行う。リンクLb4のように、かかる条件を満足するリンクが存在する場合には、中点付近でこのリンクに交差する分離帯の始点Nbsおよび終点NbeがポリゴンPb4内に存在するか否かを判定する。始点Nbsおよび終点Nbeの少なくとも一方が存在すれば、分離帯有りと判断し、いずれも存在しない場合には、分離帯無しと判断する。図8の例では、この条件に基づき、分離帯無しと判断される。
【0060】
分離帯には、図8中に示す植え込みSb5のようなものも存在する。かかる植え込みを分離帯として扱うと、通行規制設定などとの関係で不都合が生じることがある。従って、本実施例では、植え込みSb5は、ノードNb5に属性として設定するものとした。この判定は、ノードNb5を重心とする所定の大きさの正方形のポリゴンPb5を生成し、植え込みSb5がポリゴンPb5に包含されるか否かで行うものとした。植え込みSb5がポリゴンPb5に包含されない場合には、分離帯として扱われ、包含される場合には分離帯としては扱われない。
【0061】
B3.進入禁止属性設定処理:
図9は進入禁止属性設定処理のフローチャートである。図4のステップS14において、CPUが実行する処理の一つである。分離帯有無の属性情報に基づきノードの通行可能な方向を規制する属性を設定する処理である。分離帯有無の属性情報は、必ずしも図7,8で説明した方法で設定されている必要はなく、別の手段で設定されていてもよい。
【0062】
この処理が開始されると、CPUは対象交差点を選択する(ステップS40)。対象交差点は、リンク、始点、終点のいずれかに分離帯属性が付与されたノードから、順次選択するものとすればよい。CPUは、また、分離帯属性を入力する(ステップS42)。
【0063】
次に、CPUは分離帯属性に基づいて進入禁止属性を設定する(ステップS44)。図中に設定方法を例示した。本実施例では、分離帯を物理的に横切る方向の進入を禁止するものとした。図中の例では、道路R1〜R4の交差点Is1に、太線で示す分離帯が存在する場合を考える。この場合には、図中に矢印で示す方向の通行は、分離帯を通過することになるため、禁止される。進入禁止の属性は、リンクまたはノードの属性の一部として設定してもよいし、これらとは別の規制情報として定義するものとしてもよい。
【0064】
図中に示すように、リンクの始点または終点の一方にのみ分離帯が存在する場合を考える。道路R3については、交差点Is1には分離帯が存在するが、交差点Is2には分離帯が存在しない。かかる場合、交差点Is2について、進入禁止を設けないものとしてもよいし、交差点Is1と同様の規制を交差点Is2にも設けるものとしてもよい。
【0065】
B4.一方通行属性取得処理:
図10は一方通行属性取得処理のフローチャートである。図4のステップS14において、CPUが実行する処理の一つである。市街図データに記載された一方通行の記号に基づいて、道路データベースの各リンクに一方通行属性を設定する処理である。
【0066】
この処理が開始されると、CPUは、設定対象リンクを選択し(ステップS50)、市街図データの一方通行記号を入力する(ステップS52)。そして、リンクから生成されたポリゴンと一方通行記号の重なり状態に基づいて、一方通行規制の有無を判定する(ステップS54)。
【0067】
図中に判定方法を例示した。本実施例では、一方通行記号の重心を代表点と定義し、その代表点がポリゴンの内部に存在するか否かで判断するものとした。例えば、図中のリンクLc1については、ポリゴンPc1の内部に、一方通行記号の代表点Mc1が存在するため、一方通行有りと判定される。リンクLc2については、ポリゴンPc2の内部に一方通行記号Mc2の代表点が含まれないため、一方通行無しと判定される。本実施例では、更に、一方通行記号と道路との偏角θも考慮する。通常、一方通行記号は、道路に沿って配置されるから、偏角θが所定の基準値よりも大きい場合には、その道路については一方通行無しと判断するのが妥当だからである。この基準値は任意に設定可能であり、本実施例では、30度に設定した。例えば、図中のリンクLc3と一方通行記号Mc3の偏角θが30度以下の場合には、リンクLc3には一方通行有りと判断され、30度よりも大きい場合には、一方通行無しと判断される。本実施例では、代表点の位置と偏角の双方を考慮して、一方通行の有無を判定しているが、偏角は考慮せずに判定するものとしてもよい。
【0068】
CPUは、ステップS54の判定結果に応じて、一方通行属性情報を設定して(ステップS56)、この処理を終了する。
【0069】
図11は一方通行延伸処理のフローチャートである。図4のステップS14において、CPUが実行する処理の一つであり、図10の処理等により、既に一方通行属性が設定された後の道路データベースに対して施される処理である。一方通行属性が未設定のリンクに対する延伸処理、即ち、その周囲の状況に基づいて一方通行属性を付与するための処理である。
【0070】
この処理が開始されると、CPUは一方通行属性が設定された道路データを入力する(ステップS60)。電子地図データベースは、一定領域の単位図面で管理されており、道路データも単位図面で入力される。CPUは、この道路データに基づき、隣接する図面への延伸処理を行う(ステップS61)。処理内容は後述する。
【0071】
次に、CPUは延伸処理の対象となるリンクを選択し(ステップS62)、後述する延伸条件を満足するか否かを判定する(ステップS63)。延伸条件を満足する場合には(ステップS64)、対象リンクに、一方通行属性の設定を行って(ステップS65)、処理を終了する。
【0072】
図12は隣接図の延伸処理について示す説明図である。図示する通り、Map1,Map2の2つの領域がそれぞれ単位図面に相当する。図面Map2では、リンクLd1、Ld3に、それぞれ図示する方向に一方通行が設定されているものとする。図面Map1では、リンクLd2、Ld4、Ld5が存在するものの、一方通行は設定されていないものとする。これらのリンクの結合点および単位図面の境界には、ノードNd1〜Nd3が設けられている。
【0073】
リンクLd2、Ld4について考える。これらのリンクは、ノードNd1、Nd2を経て、それぞれリンクLd1、Ld3に接続されている。ノードNd1、Nd2には分岐は存在しない。このように、単位図面の境界のノードを含むリンクについて、そのノードで分岐等が存在しない場合には、隣接する図面内のリンクに付された一方通行規制をそのまま延伸する。こうすることにより、実質的に一本の道路を構成するリンクLd1、Ld2およびLd3、Ld4に、適正な属性情報の設定を行うことができる。
【0074】
図13は延伸処理の条件を示す説明図である。リンクLe1〜Le10で構成される道路データにおいて、リンクLe1、Le5、Le7、Le10に一方通行が設定されている場合を例示した。本実施例では、一方通行が未設定のリンクが、次に示す条件を満足する場合に、一方通行の延伸を認めるものとした。
1)2差路の場合は、3差路交差点まで一方通行を延伸する。
2)3差路以上の場合には、次の条件を満足する場合に一方通行を延伸する。2a)対象リンクの前方向または後方向で所定値内に、同方向の一方通行が存在する。所定値は、任意に設定可能であり、本実施例では100mとした。2b)対象リンクと、一方通行が設定されたリンクの道路種別、車線数が同一である。
2c)対象リンクと一方通行が設定されたリンクとの接続角が所定値以内である。所定値は任意に設定可能であり、本実施例では30度とした。
ここでリンクの接続角は、2つのリンクの交点周りに形成される角度のうち、小さい方を用いるものとする。
【0075】
図13において、対象リンクがLe2である場合を考える。対象リンクLe2の後方向のリンクLe1には一方通行属性が設定されており、ノードNe1は2差路である。従って、リンクLe1の一方通行規制が、3差路のノードNe2まで延伸される。
【0076】
3差路以上の対象リンクとして、Le6、Le8を考える。リンクLe5,Le6,Le8は、それぞれ一つのノードで連結されている。リンクLe5とLe6の接続角度はα1(<30度)であり、リンクLe5とLe8の接続角度はα2(>30度)である。これらのリンクについて道路種別、車線数は同一であるものとする。
【0077】
いずれのリンクについても、後方には一方通行が付されたリンクLe5が存在し、前方には所定の距離R内にリンクLe5と同方向の一方通行が付されたLe7、Le10が存在するため条件2a)は満足する。リンクLe6は接続角度が条件2c)を満足するのに対し、リンクLe8はこの条件を満足しない。従って、リンクLe6には一方通行規制が設定され、リンクLe8には一方通行規制は設定されない。
【0078】
なお、条件2c)に代えて、または条件2c)と共に、リンクLe6、Le8のように対象リンクが複数存在する場合には、接続角度が最小となるリンクに一方通行規制を設定するという条件を設けても良い。
【0079】
B5.通行止属性取得処理:
図14は通行止属性取得処理のフローチャートである。図4のステップS14において、CPUが実行する処理の一つである。車両が進入できないように設けられたいわゆる車止めの有無を属性として設定する処理である。
【0080】
この処理が開始されると、CPUは、設定の対象リンクを選択し(ステップS70)、市街図データの通行止記号を入力する(ステップS72)。そして、リンクと、通行止記号との重なり状態に基づき、通行止の有無を判定する(ステップS74)。
【0081】
図中に判定方法を例示した。本実施例では、以下の2つの条件を満足する時に、通行止属性を設定するものとした。
・通行止記号がリンクに交差または接触していること
・通行止記号とリンクとのなす角θsが所定値以上であること
ここで、所定値は任意に設定可能であり、本実施例では30度とした。
【0082】
図においては、リンクLfに対し、通行止記号がa〜cの状態にある場合には、通行止属性が設定される。dの状態では設定されない。また、eの状態では、リンクLfと記号とが交差しているものの、両者のなす角度θsが30度よりも浅くなる場合には、通行止属性は設定されなくなる。
【0083】
CPUは、ステップS74での判定結果に基づいて、通行止属性情報の設定を行い(ステップS76)、この処理を終了する。
【0084】
本実施例では、通行止記号とリンクとの交差およびなす角度に基づいて属性設定の可否を判定する場合を例示した。判定条件は、種々の設定が可能である。例えば、通行止記号とリンクとのなす角度は考慮せずに、判定を行っても良い。また、一方通行などと同様、通行止記号の代表点が、リンクに基づいて生成されたポリゴンの内部に存在するか否かで判定してもよい。
【0085】
B6.高架属性取得処理:
図15は高架属性取得処理のフローチャートである。図4のステップS14において、CPUが実行する処理の一つである。立体交差となっている部分について、道路の上下関係を属性情報として与える処理である。
【0086】
この処理が開始されると、CPUは道路データベースから非交差箇所を検出する(ステップS80)。非交差箇所とは、リンク同士が平面的には交差しているものの、交点にノードが設定されていない場所を言う。この非交差箇所が、立体交差に相当し、高架属性取得処理の対象交差となる。
【0087】
次に、CPUは、市街図データの道路形状を入力し(ステップS82)、判定用領域の切り出し(ステップS84)を行う。図中に、判定用領域の切り出し方法を例示した。リンクLf1とリンクLf2との交差Siを重心として、一定サイズの矩形Afを生成する。矩形Afのサイズは、予め設定しておいてもよいが、本実施例では、矩形内に道路の縁線が6本以上現れるまで、徐々にサイズを大きくするものとした。例えば、図中の例では、縁線EL1〜EL6が矩形Af内に存在している。
【0088】
この矩形Af内で、リンクLf1、Lf2について上下関係の判定を行う(ステップS86)。上下関係は、各リンクについて、矩形Af内で、道路の縁線と交差するか否かによって判定する。縁線と交差しないリンクは、上側の道路であると判定される。交差するリンクは、下側の道路であると判定される。例えば、リンクLf1は、いずれの縁線とも交差しないため、上側の道路と判定される。リンクLf2は、縁線EL1、EL3と交差するため、下側の道路と判定される。
【0089】
CPUは、この判定処理の結果に基づいて、高架属性情報の設定を行い(ステップS88)、処理を終了する。
【0090】
C.効果:
以上で説明した地図データベースの生成方法によれば、市街図データベースなど既存のデータベースに付された情報を有効活用して、属性情報の付与を行うことができる。また、一方通行の延伸処理や進入禁止の設定など、道路データベースに付された情報を有効活用して、更に実用的な属性情報の設定を行うことができる。この結果、新規なデータベースの生成、拡張における負荷を軽減することができる。
【0091】
D.変形例:
属性情報の付与は、実施例で例示した他に種々の項目について設定可能である。図16は属性情報の付与対象としての項目例を示す説明図である。例えば、信号機、消火栓の有無などについては、歩道または一方通行の設定(図5、図10参照)と同様の方法によって属性情報の設定を行うことができる。歩道橋横断歩道については通行止の設定(図14)と同様の方法によって属性情報の設定を行うことができる。橋、トンネル、切り取り、盛り土については、歩道の設定(図5参照)と同様の方法によって属性情報の設定を行うことができる。車線数については分離帯(図7)と同様の方法によって属性情報の設定を行うことができる。
【0092】
本実施例では、道路に関する属性情報の設定を主として例示したが、本発明は道路に限らず適用可能である。例えば、建造物、田、畑、果樹園などの施設について、既存のデータベースに付された記号等に基づいて、施設属性を付すものとしてもよい。かかる場合には、例えば、一方通行と類似の方法、即ち、施設を表示するためのポリゴンの内部に記号の代表点が存在するか否かに基づいて属性情報の付与を行うことができる。
【0093】
本実施例で例示した属性の設定処理(図5〜図15)は、必ずしも全てを実行する必要はなく、適宜、選択して実行すればよい。
既存のデータベースは、本実施例で例示した市街図データベースに限らず、種々の電子地図データを利用可能である。例えば、既存のデータベースとして、航空写真のように地形がわかる写真を用いることもできる。かかる場合の処理について変形例として以下に説明する。
【0094】
図17は変形例としての電子地図データ生成装置10Aの構成を示す説明図である。実施例における市街図データベース20に代えて、航空写真20Aを参照し、属性の設定を行うための装置である。ここでは、航空写真20Aの例として、駐車場Pa、センターラインCLを含む道路実施例と同じ機能ブロックについては、同じ番号を付して示した。
【0095】
変形例の生成装置10Aは、航空写真20Aを読み込み、そこに含まれる画像パターンを解析する機能を有している。この機能は、パターン解析部16およびパターンデータベース17によって実現される。パターンデータベース17は、航空写真20Aに含まれる種々の画像パターンとその属性とを対応づけて記憶したデータベースである。例えば、図中の例では、駐車場Paのように車枠を構成する短い線分が一定間隔で配置されたパターンと、「駐車場」という属性とを、パターンデータベース17で対応づけておくことができる。また、センターラインCLについて、黄色と「はみ出し禁止」という規制情報とをパターンデータベース17で対応づけておくこともできる。
【0096】
パターン解析部16は、パターンデータベース17を参照しながら、航空写真20Aに含まれる各領域について属性を定義する。航空写真20Aの全体について解析を行っても良いし、道路データベース30についてポリゴン生成部13で生成されたポリゴンに対応する領域についてのみ、パターン解析を行うものとしてもよい。また、属性を定義する前に、設定の可否をオペレータに確認するものとしてもよい。こうして設定された属性は、属性設定部15に受け渡され、実施例と同様の方法によって、道路データベース30に移転される。
【0097】
このようにパターン解析に基づき属性を設定するものとすれば、航空写真など広汎な電子地図に基づいて属性を移転することが可能となる。パターン解析は、航空写真などの画像を既存のデータベースとして利用する場合のみならず、市街図データベースなど狭義の電子地図を既存のデータベースとして利用する場合にも適用可能である。かかる場合には、パターン解析を利用することにより、記号が定義されていないような広汎な属性を取得することができる利点がある。
【0098】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、以上の制御処理はソフトウェアで実現する他、ハードウェア的に実現するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例としての電子地図データ生成装置の構成を示す説明図である。
【図2】データベースの概要を示す説明図である。
【図3】新道路データベース30aの構造を例示する説明図である。
【図4】属性設定処理のフローチャートである。
【図5】歩道属性取得処理のフローチャートである。
【図6】歩道有無の誤判定が生じ得る状況を示す説明図である。
【図7】分離帯属性取得処理のフローチャートである。
【図8】分離帯有無の判断方法を示す説明図である。
【図9】進入禁止属性設定処理のフローチャートである。
【図10】一方通行属性取得処理のフローチャートである。
【図11】一方通行延伸処理のフローチャートである。
【図12】隣接図の延伸処理について示す説明図である。
【図13】延伸処理の条件を示す説明図である。
【図14】通行止属性取得処理のフローチャートである。
【図15】高架属性取得処理のフローチャートである。
【図16】属性情報の付与対象としての項目例を示す説明図である。
【図17】変形例としての電子地図データ生成装置10Aの構成を示す説明図である。
【符号の説明】
10,10A…生成装置
11…コマンド入力部
12…データベース参照部
13…ポリゴン生成部
14…結果出力部
15…属性設定部
15a…歩道設定モジュール
15b…分離帯設定モジュール
15c…進入禁止設定モジュール
15d…一方通行設定モジュール
15e…通行止設定モジュール
15f…高架設定モジュール
16…パターン解析部16
17…パターンデータベース
20…市街図データベース
20A…航空写真
30a…新道路データベース
30…道路データベース
Claims (12)
- コンピュータによって実行される電子地図データベースの生成方法であって、
(a)前記コンピュータが、地図構成要素を含む電子地図の既存データベースを取得する工程と、
(b)前記コンピュータが、地図上に設定された道路を表すリンクごとに属性情報を設定可能に構成された電子地図の新規データベースを取得する工程と、
(c)前記コンピュータが、前記新規データベース内の前記リンクを用いてポリゴンを設定し、前記ポリゴンと前記既存データベースに含まれる地図構成要素とが所定の重なり状態にある場合に、該地図構成要素に対応した属性情報を、前記リンクに設定する工程とを備える生成方法。 - 請求項1記載の生成方法であって、
前記地図構成要素は、記号である生成方法。 - 請求項1または2記載の生成方法であって、
前記地図構成要素は、点、線、面、立体、またはこれらの組み合わせによって表される生成方法。 - 請求項1記載の生成方法であって、
前記地図構成要素には、地図上の所定の点を代表点として配置される記号が含まれ、
前記工程(c)は、前記コンピュータが、前記ポリゴン内に前記記号の代表点が存在する場合に、前記属性情報の設定を行う工程を含む生成方法。 - 請求項4記載の生成方法であって、
前記工程(c)は、前記コンピュータが、さらに、前記リンクと前記記号の相対的な偏角が所定範囲内にある場合に、前記属性情報の設定を行う工程を含む生成方法。 - 請求項1記載の生成方法であって、
前記地図構成要素には、地図上の一定の面または線に対応して配置される記号が含まれ、
前記工程(c)は、前記コンピュータが、前記ポリゴン内に前記記号の少なくとも一部が存在する場合に、前記属性情報の設定を行う工程を含む生成方法。 - 請求項6記載の生成方法であって、
前記工程(c)は、前記コンピュータが、前記ポリゴン内の前記リンクの始点側または終点側に前記記号の少なくとも一部が存在する場合に、前記リンクの両端についての個別の前記属性情報を、前記リンクに設定する工程を含む生成方法。 - 請求項1記載の生成方法であって、
前記工程(a)は、前記コンピュータが、縁線を有する道路を含む前記既存データベースを取得する工程を含み、
前記工程(b)は、前記コンピュータが、道路同士が立体交差する場合に各道路の上下関係を示す属性情報を対応する前記リンクに設定可能に構成された前記新規データベースを取得する工程を含み、
前記工程(c)は、前記コンピュータが、前記立体交差を構成する道路と、該立体交差の中心から所定の領域内における前記縁線と、の重なり状態に基づいて、該道路の上下関係を示す前記属性情報を、対応する前記リンクに設定する工程を含む、生成方法。 - 請求項1記載の生成方法であって、
前記地図構成要素は、分離帯を示す記号を含み、
前記工程(c)は、前記コンピュータが、前記ポリゴン内に前記分離帯を示す前記記号の少なくとも一部が存在する場合に、通行可能な方向に関する規制情報を含む前記属性情報を、前記リンクに設定する工程を含む、生成方法。 - 電子地図データベースを生成するための生成装置であって、
地図構成要素を含む電子地図の既存データベースを取得する既存データベース取得部と、
地図上に設定された道路を表すリンクごとに属性情報を設定可能に構成された電子地図の新規データベースを取得する新規データベース取得部と、
前記新規データベース内の前記リンクを用いてポリゴンを設定し、前記ポリゴンと前記既存データベースに含まれる地図構成要素とが所定の重なり状態にある場合に、該地図構成要素に対応した属性情報を、前記リンクに設定する設定部とを備える生成装置。 - 請求項10記載の生成装置であって、
前記既存データベース取得部は、縁線を有する道路を含む前記既存データベースを取得し、
前記新規データベース取得部は、道路同士が立体交差する場合に各道路の上下関係を示す属性情報を、対応する前記リンクに設定可能に構成された前記新規データベースを取得し、
前記設定部は、前記立体交差を構成する道路と、該立体交差の中心から所定の領域内における前記縁線と、の重なり状態に基づいて、該道路の上下関係を示す属性情報を、対応する前記リンクに設定する、生成装置。 - 請求項10記載の生成装置であって、
前記地図構成要素は、分離帯を示す記号を含み、
前記設定部は、前記ポリゴン内に前記分離帯を示す前記記号の少なくとも一部が存在する場合に、通行可能な方向に関する規制情報を含む前記属性情報を、前記リンクに設定する、生成装置。
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