JP4029730B2 - GHz帯用バンドパスフィルタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、数百MHz〜十数GHzの周波数領域で使用するGHz帯用バンドパスフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、身近にある無線通信手段には、数百MHz〜十数GHzの周波数領域の電波が好んで使用されている。たとえば、携帯電話には800MHz(0.8GHz)帯または1.5GHz帯、PHSには1.9GHz帯、高速道路のETC(料金自動収受)装置には5.8GHz帯、無線PANには2.4GHz帯または5.2GHz帯、そしてDSRC(狭域通信)には5.8GHz帯というような帯域配分である。
【0003】
これら周波数領域の電波は、いずれも自動車の運行に関連して利用されるか、またはその可能性が高いものであるから、同一のアンテナで受信し、デジタル処理をしてひとまとめに利用しようということが企てられている。そのような場合も、またそれぞれの周波数帯域の電波を単独に使用する場合も、高調波や反射波がもたらすノイズをカットしてデータを処理するためには、それぞれの帯域における所定の帯域幅の信号だけを通過させ、それ以外の信号をカットするバンドパスフィルタが必要である。
【0004】
出願人は、軟磁性物質の粉末をゴムまたはプラスチックのマトリクス中に分散させた電磁波シールド材を種々開発し、実用に供している。発明者は、この電磁波吸収シールド材を利用したローパス(ハイカット)フィルタを発明し、すでに開示した(特開2002−171104)。そのフィルタはチップ型であって、長方形の誘電体の表面に密着した状態で、導体からなる1本の信号ラインと少なくとも1本のGNDラインとが、ひとつの表面上に、または表裏に平行して走る構造を有し、その誘電体として、軟磁性物質の粉末を合成樹脂のマトリクス中に分散させてなる電磁波吸収体を使用したことを特徴とする。実施例の製品は、1GHz以上の高周波に対して、−5dBの挿入ロスを示す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、出願人が開示した上記のローパスフィルタに関する知見を利用して、数百MHz〜十数GHzの周波数領域で使用するGHz帯用バンドパスフィルタを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明のGHz帯用バンドパスフィルタは、原理的にいえば、軟磁性金属の粉末をシート状のポリマー・マトリクス中に分散させてなるシートの表面に、導体のストリップからなり、直列方向に走る入力信号ラインおよび出力信号ラインを間隙を置いて配置し、両ラインの相対向する端部をキャパシタンス手段を介して接続し、上記シートの裏面にGNDラインを設けた構成を有することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施形態】
本発明に従うノッチフィルタ特性を利用したGHz帯用バンドパスフィルタの基礎となる、ノッチフィルタ特性を考慮してないGHz帯用バンドパスフィルタは、図1に示すように、軟磁性金属の粉末をシート状のポリマー・マトリクス中に分散させてなるシート(1)の表面に、導体のストリップからなり、直列方向に走る入力信号ライン(2)および出力信号ライン(3)を間隙を置いて配置し、両ラインの相対向する端部を、キャパシタンス手段を介して接続し、上記シートの裏面にGNDライン(4)を設けた構成を有する高周波バンドパスフィルタであって、キャパシタンス手段としてチップコンデンサ(5)を使用し、その静電容量の値を選択することによってローカット特性を設定するとともに、入力信号ライン(2)および出力信号ライン(3)の、線路の長さ、幅、厚さおよび形状等によって決定されるインピーダンスを選択し、かつ、上記シートを構成する軟磁性金属粉末の粒子形状およびマトリクス中の充填率、ならびにシートの形状および厚さ等の条件を組み合わせることによりハイカット特性を設定し、それによって通過帯域を決定したバンドパスフィルタである。
【0008】
本発明に従う、ノッチフィルタ特性を利用したGHz帯用バンドパスフィルタは、図2に示すように、軟磁性金属の粉末をシート状のポリマー・マトリクス中に分散させてなるシート(1)の表面に、導体のストリップからなり、直列方向に走る入力信号ライン(2)および出力信号ライン(3)を間隙を置いて配置し、両ラインの相対向する端部を、キャパシタンス手段を介して接続し、上記シート(1)の裏面にGNDライン(4)を設けた構成を有する高周波バンドパスフィルタにおいて
キャパシタンス手段を、入力信号ライン(2)および出力信号ライン(3)の上に、絶縁体のフィルム(6)を介して、いまひとつの導体のストリップからなる中間ライン(7)を、入力信号ラインおよび出力信号ラインの両方にまたがって重なり合うように設け、
上記各ラインの重なり合いによって形成されるコンデンサの静電容量の値によってローカット特性を設定し、
入力信号ライン(2)と中間ライン(7)とが重なり合う部分(8)の面積(同一幅の場合は長さ)、および出力信号ライン(3)と中間ライン(7)とが重なり合う部分(9)の面積(同一幅の場合は長さ)を選択することにより、通過減衰量が最大となるノッチ周波数を設定し、
このノッチ周波数特性と、上記シートを構成する軟磁性金属粉末の粒子形状およびマトリクス中の充填率、ならびにシートの形状および厚さ等の条件の組み合わせによる通過減衰量の周波数特性とにもとづいてハイカット特性を設定し、
上記ローカット特性およびハイカット特性の組み合わせにより、バンドパスフィルタとしての通過帯域を設定したことを特徴とするGHz帯用バンドパスフィルタである。
【0009】
本発明のGHz帯用バンドパスフィルタの、図2に例示した態様においては、入力信号ライン(2)と中間ライン(7)とが重なり合う部分(8)の長さ、および出力信号ライン(3)と中間ライン(7)とが重なり合う部分(9)の長さを選択することにより、それぞれが形成するコンデンサの静電容量の値を調節することができる。コンデンサの静電容量は、いうまでもなく、重なり合う部分の面積と相互の距離によって定まるところ、図2において重なり合う部分は幅が同一であるから、面積は長さによって決定される。
【0010】
ここで、中間ラインと入力・出力信号ラインとの間の距離は、絶縁体のフィルム(6)の厚さにより定まるから、一定の厚さを前提にすれば、結局、静電容量を左右するものは重なり合う部分の面積である。重なり合う部分の面積はまた、導体のストリップである入力・出力信号ラインと中間ラインとが、一定の同じ幅を有する場合には、もっぱらその重なり合う長さによって定まることも、容易に理解されよう。重なり合う部分の面積が同一であれば、静電容量は絶縁体の厚さにより決定されることも当然であり、絶縁体の厚さの調節によるバンドパス特性の変更が可能であることも、同様に自明であろう。
【0011】
二つの重なり合う部分(8および9)の面積は、実質上同一にして、二つのコンデンサの静電容量を同一にしてもよいし、異なる広さにして、二つのコンデンサの静電容量を異ならせてもよい。後記する実施例にみるとおり、静電容量の値の選択と、入力信号ラインおよび出力信号ラインのインピーダンスの選択とを組み合わせることにより、通過帯域、さらにはノッチフィルタ特性が決定される。
【0012】
本発明の高周波バンドパスフィルタは、前述したところからも理解されるように、ハイカットを、軟磁性金属の粉末をシート状の合成樹脂マトリクス中に分散させてなるシートが行ない、ローカットを、キャパシタンス手段が行なう。パスさせる帯域は、それらの合成されたものとなるから、設計は、それぞれについて行なう。また、前述の絶縁物を隔てて重なり合う導体の長さを調節することにより、ノッチフィルタの通過減衰量が最大となるノッチ周波数をコントロールすることができる。
【0013】
シート(1)によるハイカット特性は、主として合成樹脂マトリクス中に分散させた軟磁性金属の粉末の粒径と、マトリクス中の充填率とにより決定される。
【0014】
軟磁性金属の粉末としては、センダスト、Fe、Fe−Si合金、Fe−Ni合金、Fe−Co合金、Fe−Cr合金、Fe−Cr−Al合金、およびFe−Cr−Si合金から選んだ金属の、平均粒子径が30μm以下の粉末をえらぶとよい。平均粒子径が30μmより大きい粉末は、シートが高い透磁率を示さないから、ハイカット特性を得る上で不利である。このような平均粒子径を有する金属粉末は、アトマイズ法と、それに続く分級により製造することができる。
【0015】
上記の磁性損失シートのマトリクスとなる合成樹脂としては、ナイロン、ポリフェニレンサルファイド、エポキシ樹脂および液晶ポリマー(LCP)から選んだものが好適である。そのほか、射出成形や押出成形により成形できる広い範囲の、熱可塑性または熱硬化性の合成樹脂が使用できる。その例を挙げれば、ナイロン、ポリエチレン、ポリプレピレン、フェノール樹脂などである。シート状体の形成は、上記の軟磁性金属の粉末と合成樹脂との混練物を射出成形し、所定の長さのシート状体とする方法が有利である。
【0016】
別法としては、硬化性の液状ポリマー中に軟磁性体粉末を分散させたのち、ポリマー液を硬化させることにより、前記のシートを形成することもできる。
【0017】
前述のように、本発明の高周波バンドパスフィルタのハイカット特性は、シートの透磁率および誘電率が定めるものであり、その特性を左右するものは、分散した軟磁性金属の粉末の粒径と充填率、それにシートの厚さである。一般的にいって、同じ充填率においては、粒径が小さい方が、カットする周波数がより高い側にあり、同じ粒径であれば、充填率が高い方が、より低い周波数をカットする傾向がある。充填率は、使用すべきシートの厚さを左右する因子でもある。
【0018】
シートの厚さは、薄くなるほど、カットされる周波数が高い側に移る。そのほかの因子としては、軟磁性金属の粉末の扁平度が挙げられるが、高周波側では、扁平な粉末はあまり適切でない。ハイカットの行われる周波数に関しては、信号ラインの長さも影響を与えることがわかった。すなわち、ラインがより短いものほど、カットされる周波数は高い側にある。本発明の実施に当たっては、以上に述べたような諸因子を勘案して、GHz帯用バンドパスフィルタの設計に当たるべきである。
【0019】
ハイカット特性は各因子の量的なものを数式化して表すことが困難で、経験的に定めなければならない場合が多いが、後記する実施例を参照して、必要により若干の実験を補うことにより、当業者は、実現しようとする高周波バンドパスフィルタのハイカット特性を任意にコントロールすることが可能なはずである。いずれにしても、軟磁性金属の粉末を含有するシートを利用したローパスフィルタは、図3に示すような周波数特性を有する。
【0020】
本発明の高周波バンドパスフィルタの入力・出力信号ラインを形成するには、フレキシブル基板のエッチング(パターニング)、導電性インキのパターン印刷、金属のメッキまたはスパッタリングなど、さまざまな手法が採用できる。中間ラインを設ける場合も、同様である。もちろん、入力・出力信号ラインの形成と中間ラインの形成とを、異なる手法により行なうことは支障ない。信号ラインの厚さは、回路に許容される抵抗値や、回路の信頼性なども考慮して定めなければならず、製造作業の容易さの点で、数十μmの厚さの箔を使用することもあり得るが、性能上は数μmあれば足りる。それゆえ、同一規格のものを大量に製造する段階に至れば、量産に適した製造法を選択し、その製造法にとって有利な厚さを決定すればよい。
【0021】
GHz帯用バンドパスフィルタのコンデンサとして図1に示したものは、チップ型積層セラミックコンデンサである。さまざまな容量や耐圧の既製品が市販されているから、任意に選択使用することができる。コンデンサを含む回路のローカット特性は、ハイカット特性にくらべて、数式化が容易である。いま、本発明の高周波バンドパスフィルタにおけるローカット成分の等価回路として図4を考えると、減衰A(ω)を表す式は下記の式1のとおりとなり、これは図5に示す形の曲線である。
[式1]
A(ω)=Vout/Vin=R/{(1/jωC)+R}=jωRC/(1+jωRC)
【0022】
いま、−3dBの減衰、すなわち20log10{A(ω)}=−3dBを得ようとすると、A(ω)=√(1/2)となり、上記の式から、
ωRC=2πfcRC=1
を得る。fc=1GHz(1000MHz)、R=50Ω
とすると、C≒3pFとなる。
【0023】
図2に示した態様、すなわち中間ラインを有するGHz帯用高周波バンドパスフィルタは、前述のように、中間ライン(7)と入力信号ライン(2)との重ね合わせの長さ、および中間ライン(7)と出力信号ライン(3)との重ね合わせの長さにより、特性が左右され、特定の周波数において減衰の度合いが大きくなり、ノッチフィルタとしての性能を示す。発明者は、後記する実施例にみるとおり、ノッチ周波数f(GHz)にラインの重ね合わせ長さL(mm)がどのように影響するかを調べて、関係式を導き出した。それら実施例を参考にし、必要により多少の実験を加えれば、所望の周波数特性をもったGHz帯用バンドパス・ノッチ−フィルタを実現することができるであろう。
【0024】
参考例
軟磁性金属の粉末として、Feの粉末であって、平均粒径が1.6μmのものを使用した。マトリクス材料としては、液晶ポリマーを選んだ。粉末の充填率が容積にして10%となるように配合して混練し、ダイスから押し出して、厚さ1mmのシート(1)を得た。その裏面に圧延銅箔(厚さ35μm)を接着して、GNDライン(4)となるライニングを設け、全体を幅20mm、長さ50mmの短冊状に切断した。一方、表面には、同じ圧延銅箔の幅2.0mm、長さ24mmのリボンを2本、それぞれ両端から中央に向かって配置して接着し、入力信号ライン(2)および出力信号ライン(3)とした。中央の間隙部にまたがって、チップコンデンサ(5)(チップ型積層セラミックタイプ、松下電器製)を導電性接着材で接着させることにより、図1に示した構成のGHz帯用バンドパスフィルタを製作した。
【0025】
この高周波バンドパスフィルタを対象に、「ネットワークアナライザー」(日本HP社製)を使用して、0.1GHz(100MHz)から10GHzに至る周波数領域で挿入ロスを測定し、図6のグラフを得た。このグラフによれば、製作した高周波バンドパスフィルタは、1GHz以下および3.3GHzを超える信号に対して−3dB以上の減衰を与えるから、ほぼ1〜3GHzの帯域を通過させることを目的とする高周波バンドパスフィルタとして有用である。
【0026】
【実施例
参考例で製造した銅箔ライニングすなわちGNDライン(4)付きの、幅20mm、長さ50mmのシートを、安定のために、厚さ5mmのリン青銅板上に接着して固定した。その長手方向ほぼ中心に、フレキシブル基板(絶縁体である厚さ25μmのポリイミドフィルム+厚さ35μmの銅箔)からエッチングして得た基板を貼り付け、厚さ35μm×幅1.5mmの銅のリボンが2本、それらの両端が1.0mmの距離を保って存在するようにして、入力信号ライン(2)と出力信号ライン(3)とを形成した。その上に、絶縁体(6)となる厚さ25μmのポリイミドテープの両面に粘着剤を適用した両面接着テープを貼り、さらに幅1.5mmの銅箔製の中間ライン(7)を接着して、図2に示した態様の、ノッチフィルタ特性を有するGHz帯域用バンドパスフィルタを製造した。
【0027】
中間ライン(7)は、上記1.0mmの間隙を挟んで両側に均等の長さに、すなわち、中間ラインと入力信号ラインとの間の静電容量と、中間ラインと出力信号ラインとの間の静電容量とが等しくなるようにし、その重ね合わせの片側の長さを、12.5mmから2.5mm刻みに変化させ、45mmまで増加させたものを用意した。
【0028】
試作したGHz帯域用バンドパスフィルタについて、0.1〜10GHzの範囲にわたり、透過率S21(dB)を測定した。そのグラフにおいて、透過係数の、低い周波数側から数えてピークが落ち目になる最初の位置(以下「第一周波数」という)の、周波数および透過係数と片側重ね長さとの関係をプロットして、図7に示すグラフを得た。ライン全体の重ね長さは、片側の重ね長さ×2であり、このライン重ね長さと第一周波数との関係をプロットして、図8に示すグラフを得た。このグラフから、前述のノッチ周波数f(GHz)とライン重ね長さL(mm)との関係式として、つぎの式2を得た。
[式2]
f(GHz)=75×1/k・L(mm)
(ここでkは、シートの金属粉末充填率、粒径、材質等で、厳密には、複素比透磁率および複素比誘電率で定まる係数。この実施例のシートでは、k=0.354である。)
【0029】
試作バンドパスフィルタのうち、重ね長さが10mm、30mm、50mm、70mmおよび90mmのものについて透過係数の周波数特性をグラフにすると、図9に示すとおりであって、重ね長さに応じて、それぞれ表1に示す周波数において減衰が著しくなる、ノッチ効果が認められた。
【0030】
Figure 0004029730
Figure 0004029730
【0031】
【実施例
実施例において、中間ライン(7)が入力信号ライン(2)と重なりあう長さを4mmと一定にし、一方、中間ライン(7)が出力信号ライン(3)と重なりあう長さを、15mmから5mm刻みに変化させ、85mmまで増加させたものを用意した。
【0032】
ここでも、試作したGHz帯域用バンドパスフィルタについて、0.1〜10GHzの範囲にわたり、透過係数S21(dB)を測定した。そのグラフにおける第一周波数と透過係数との関係をプロットして、図10に示すグラフを得た。試作バンドパスフィルタのうち、片側重ね長さが10mm、30mm、50mm、70mmおよび85mmのものについて透過係数の周波数特性をグラフにすると、図11に示すとおりであって、変化させた片側の長さに応じて、それぞれ表2に示す周波数において減衰が著しくなる、ノッチ効果が認められた。
【0033】
Figure 0004029730
Figure 0004029730
【0034】
【発明の効果】
本発明により、軟磁性金属の粉末をシート状の合成樹脂マトリクス中に分散させてなるシートを基材とし、その表面に「入力信号ライン−キャパシタンス手段−出力信号ライン」を設け、裏面にGNDラインを設けるという簡単な構成により、数百MHzから十数GHzの周波数領域において所望の帯域の信号を通過させ、それ以外の高周波信号をカットする高周波バンドパスフィルタが得られる。
【0036】
一方、キャパシタンス手段として、コンデンサに代えて入力・出力信号ラインにまたがって重なり合う中間ラインを採用し、その重なり具合を選択することによって、特定の周波数を減衰させるノッチ効果を得ることができる。従来、ワイドバンドなバンドパスフィルタは、さまざまなローパス回路やハイパス回路を多段に組み合わせることによって構成したり、パルス信号をなまらせることで回路的に解決したりして実現するほかなかったが、本発明により、簡単な回路で所望のノッチフィルタ特性を有し、シャープなバンドパス特性を持ったものを実現することができる。
【0037】
上記の構成を有する本発明のノッチフィルタ特性を有するGHz帯用バンドパスフィルタは、きわめて容易に、かつ低いコストで量産することができる。したがって本発明のGHz帯用の高周波バンドパスフィルタは、携帯電話や、カーナビおよびETCを含めて、前記した自動車関連の通信装置の統合に寄与するほか、さまざまな分野で、たとえばUWB伝送用にも、有用な装置になることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基礎をなす、高周波バンドパスフィルタの参考例を示す図であって、Aは平面図、BはAの縦断面図。
【図2】 本発明のノッチフィルタ特性を利用した高周波バンドパスフィルタのひとつの態様を示す図であって、Aは平面図、BはAの縦断面図。
【図3】 軟磁性金属の粉末をポリマー・マトリクス中に分散させてなるシートを利用した、ローパスフィルタの周波数特性を示すグラフ。
【図4】 コンデンサを使用したハイパスフィルタの等価回路を示す図。
【図5】 図4の回路が信号に与える減衰の周波数特性を示すグラフ。
【図6】 本発明の参考例で製造した高周波バンドパスフィルタについて測定した透過係数の周波数特性。
【図7】 本発明の実施例で製造した高周波バンドパスフィルタについて測定して得たデータにもとづく、第一周波数と透過係数との関係を示すグラフ。
【図8】 本発明の実施例において、ライン重ね長さと第一周波数との関係式を導き出したグラフ。
【図9】 本発明の実施例で製造した高周波バンドパスフィルタについて測定した、透過係数の周波数特性を示すグラフ。
【図10】 本発明の実施例で製造した高周波バンドパスフィルタについて測定して得たデータにもとづく、第一周波数と透過係数との関係を示す、図7と同様なグラフ。
【図11】 本発明の実施例で製造した高周波バンドパスフィルタについて測定した、透過係数の周波数特性を示す、図9と同様なグラフ。
【符号の説明】
1 シート
2 入力信号ライン
3 出力信号ライン
4 GNDライン
5 チップコンデンサ
6 絶縁体のフィルム
7 中間ライン
8 入力信号ラインと中間ラインとが重なり合う部分
9 出力信号ラインと中間ラインとが重なり合う部分

Claims (6)

  1. 軟磁性金属の粉末をシート状のポリマー・マトリクス中に分散させてなるシート(1)の表面に、導体のストリップからなり、直列方向に走る入力信号ライン(2)および出力信号ライン(3)を、間隙を置いて配置し、両ラインの相対向する端部を、キャパシタンス手段を介して接続し、上記シートの裏面にGNDライン(4)を設けた構成を有するGHz帯用のバンドパスフィルタにおいて、
    キャパシタンス手段を、入力信号ライン(2)および出力信号ライン(3)の上に、絶縁体のフィルム(6)を介して、いまひとつの導体のストリップからなる中間ライン(7)を、入力信号ラインおよび出力信号ラインの両方にまたがって重なり合うように設け、
    上記各ラインの重なり合いによって形成されるコンデンサの静電容量の値によってローカット特性を設定し、
    入力信号ライン(2)と中間ライン(7)とが重なり合う部分(8)の面積(同一幅の場合は長さ)、および出力信号ライン(3)と中間ライン(7)とが重なり合う部分(9)の面積(同一幅の場合は長さ)を選択することにより、通過減衰量が最大となるノッチ周波数を設定し、
    このノッチ周波数特性と、上記シートを構成する軟磁性金属粉末の粒子形状およびマトリクス中の充填率、ならびにシートの形状および厚さ等の条件の組み合わせによる通過減衰量の周波数特性とにもとづいてハイカット特性を設定し、
    上記ローカット特性およびハイカット特性の組み合わせにより、バンドパスフィルタとしての通過帯域を設定したことを特徴とするGHz帯用バンドパスフィルタ。
  2. 入力信号ライン(2)、中間ライン(7)および出力信号ライン(3)の幅が同一であり、かつ、入力信号ライン(2)と中間ライン(7)とが重なり合う部分(8)、および中間ライン(7)と出力信号ライン(3)とが重なり合う部分(9)の長さが同じであり、それら重なり合いの長さを合計した長さL(mm)を選ぶことにより、ノッチ周波数f(GHz)を、式
    f(GHz)=75×1/k・L(mm)
    (ここで、kは、シートの金属粉末充填率、粒径、複素比透磁率および複素比誘電率によって定まる定数)
    にしたがって決定した、請求項1のGHz帯用バンドパスフィルタ。
  3. 軟磁性金属の粉末として、センダスト、Fe、Fe−Si合金、Fe−Ni合金、Fe−Co合金、Fe−Cr合金、Fe−Cr−Al合金およびFe−Cr−Si合金から選んだ金属の、平均粒子径が30μm以下の粉末を使用したことを特徴とする請求項1のGHz帯用バンドパスフィルタ。
  4. 前記シート(1)が、マトリクスとなる合成樹脂として、ナイロン、ポリフェニレンサルファイド、エポキシ樹脂および液晶ポリマー(LCP)から選んだものを使用し、軟磁性金属の粉末との混合物を射出成形することにより所定の長さのシート状に成形したものであることを特徴とする請求項1のGHz帯用バンドパスフィルタ。
  5. 前記シート(1)が、硬化性のポリマー液中に軟磁性体粉末を分散させたのち、ポリマー液を硬化させることにより形成されたものであることを特徴とする請求項1のGHz帯用バンドパスフィルタ。
  6. 信号ラインの形成を、フレキシブル基板のエッチング、導電性インキのパターン印刷、金属のメッキまたはスパッタリングにより行なったことを特徴とする請求項1のGHz帯用バンドパスフィルタ。
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