JP4028745B2 - ガス検出装置、車両用オートベンチレーションシステム - Google Patents

ガス検出装置、車両用オートベンチレーションシステム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスセンサ素子を用いて環境中の特定ガスの濃度変化を検出するガス検出装置および車両用オートベンチレーションシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鉛−フタロシアニンを用いたり、WO3やSnO2などの金属酸化物半導体を用いたガスセンサ素子などが知られている。これらは、環境中のNOxなどの酸化性ガスやCO、HC(ハイドロカーボン)など還元性ガスなど、特定のガスの濃度変化によってそのセンサ抵抗値が変化するために、このセンサ抵抗値の変化によって特定のガス濃度の変化を検出可能である。また、このようなガスセンサ素子を用いたガス検出装置も知られている。さらには、このガス検出装置を用いた各種の制御システム、例えば、車室外空気の汚染状況に応じて、車室内への外気導入・内気導入を切り替えるためのフラップ開閉制御を行う車両用オートベンチレーションシステムや、喫煙などによる室内空気の汚染を検知し、空気清浄機の制御を行うシステムなどが知られている。
【0003】
このようなガスセンサ素子を用いたガス検出装置では、ガスセンサ素子のセンサ抵抗値変化を、電圧(センサ電圧)変化に変換して用いることが多い。例えば、固定抵抗とガスセンサ素子を直列に接続して定電圧を印加し、分圧点の電位をセンサ電圧とする。以降は、このセンサ電圧をアナログ微分してガス検知をおこなうものなどアナログ信号処理によりガス検知を行うもののほか、センサ電圧をAD変換してデジタルのセンサ信号とし、さらに微分処理や積分処理等を行うなどデジタル処理によってガス検知をするものが知られている。
【0004】
しかし、上記のようなガスセンサ素子は、その電気的特性(センサ抵抗値)が特定ガスの濃度変化だけでなく、温度や湿度、風速などの環境の影響によっても大きく変動する性質を有する。例えば、特定ガスが存在しない環境下でも、センサ抵抗値が10kΩから1MΩとなるなど、数10倍〜数100倍の範囲で変化することがある。そのため、上述の固定抵抗とガスセンサ素子を用いてセンサ電圧を得る場合には、温度や湿度のよるセンサ抵抗値のドリフト(変動)により、特定ガスの濃度変化が無くても固定抵抗との抵抗比が大きく変動し、極端な場合には、分圧点の電位であるセンサ電圧が定電圧あるいは接地電圧付近の値に偏ってしまうことがある。このようにセンサ電圧が偏った状態では、ガス濃度の変化によるセンサ電圧の変化幅が小さく制限されてしまい、適切にガス濃度の変化を検知できなくなる。
また、起動後、長時間わたってセンサ抵抗値がわずかずつ変化し続け、安定するまでに数時間などの長時間かかる素子もある。このような素子では、時間の経過とともにセンサ電圧が徐々に偏ってしまうこともあり得る。
【0005】
そこで、特開平9−304320号公報には、調整用電圧制御手段を設け、検知部の端子電圧(センサ電圧に相当)が上限閾値以上か下限閾値以下の状態が所定時間継続すると、端子電圧が設定値になる様にFETなどの電圧−抵抗変換素子に印加する調整用電圧を再調節し、検知を再開する汚染度合検出装置が開示されている。このようにすることで、端子電圧(センサ電圧)に偏りが生じても、適宜が設定値になるように再調整されるので、適切に検知を行うことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この公報の開示からはこの再調整を行うことのみが開示されており、その具体的手法が明確でない。
しかるに、再調整の期間中、あるいはそれに続き端子電圧(センサ電圧)が安定するまでの期間は、端子電圧が変動しても調整用電圧の変動によるものなのか、ガス濃度の変化によるものなのかを識別できない。
このため、再調整の手法として、端子電圧を設定値に近づけるべく、調整用電圧を若干変化させその後の端子電圧を測定し、さらに調整用電圧を変化させるか否かを判断し、必要なときはさらに変化させるというように、調整用電圧を徐々にさせる手法を採ると、再調整の期間が長くなり、結果としてガス濃度の変化が検知困難あるいは検知不能である期間が長くなる。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、ガスセンサ素子のセンサ抵抗値が湿度等によってドリフトしても、比較的短時間でこの影響を無くして、ガス濃度変化検知を再開することのできるガス検出装置、及びこれを用いた車両用オートベンチレーションシステムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
そしてその解決手段は、特定ガスの濃度に応じてセンサ抵抗値が変化するガスセンサ素子を用いるガス検出装置であって、センサ出力値を取得する取得手段であって、上記センサ抵抗値の変化及び上記取得手段に入力される入力信号におけるパラメータ値の変化に応じて変化するセンサ出力値を、上記入力信号のパラメータ値を固定した状態で、所定サイクル時間毎に取得する取得手段と、上記センサ出力値を用いて上記特定ガスの濃度の高低を検知する濃度検知手段と、上記濃度検知手段で上記特定ガスの濃度が低いことを検知したときに濃度低信号を発生する濃度低信号発生手段と、上記ガス検出装置の起動し続く初期期間の経過後、上記濃度低信号を発生している期間において、更新条件を満たしたときに、上記入力信号の現在のパラメータ値を新たなパラメータ値に更新するパラメータ更新手段であって、上記新たなパラメータ値に固定した入力信号を用いたときに、上記取得手段において、所定の基準センサ出力値にほぼ等しい上記センサ出力値が取得されるようになる上記新たなパラメータ値を取得して更新するパラメータ更新手段と、を備えるガス検出装置である。
【0009】
本発明のガス検出装置では、ガスセンサ素子のセンサ抵抗値がドリフトにより変化してセンサ出力値に偏りが生じた場合でも、濃度低信号を発生している期間のうち、更新条件を満たしたときに、取得手段においてセンサ出力値として基準センサ出力値が取得されるような新たなパラメータ値に更新する。このため、パラメータ値の更新後は、強制的にセンサ出力値が基準センサ出力値に等しくなるようにされる。従って、その後ガス検知を再開すると、特定ガスの濃度変化があった場合に、センサ出力値の変化幅を大きく採れるから、適切に特定ガスの検出を行うことができる。
しかも、この新たなパラメータ値は、現在の値から徐々に変化させるのではない。つまり、新たなパラメータ値を用いたとすると、センサ出力値は基準センサ出力値に等しくなるような、そういう新たなパラメータ値を取得し、それを用いる。このため、一挙にパラメータ値が更新され、これによって、得られるセンサ出力値も基準センサ出力値に等しい値にさせられる。従って、パラメータ値の更新に伴うガス検知の困難期間を短くすることができる。
また、本発明では、濃度低信号発生手段で濃度低信号を発生しているタイミングで更新を行う。濃度高信号を発生している期間など、濃度低信号発生手段で濃度低信号を発生していない期間には、センサ出力値が偏った値となっている場合であっても、その偏りがセンサ抵抗値のドリフトによって生じたのか、ガス濃度の上昇あるいは減少によって生じたのかの判断ができない。また、この期間にパラメータ値の更新をすると、センサ出力値が変動するため、濃度低下によるセンサ出力値の変動を見逃し、濃度低下の検知ができない危険もあるからである。
【0010】
さらに、上記ガス検出装置であって、前記センサ抵抗値が上昇したときに前記センサ出力値が変化する方向を第1方向とし、その逆方向を第2方向としたとき、前記パラメータ更新手段における前記更新条件を満たしたときとは、前記センサ出力値が第1所定期間にわたって第1限界値よりも第1方向側の値となったとき、及び、前記センサ出力値が第2所定期間にわたって第2限界値よりも第2方向側の値となったとき、のいずれかを満たしたときであるガス検出装置とすると良い。
【0011】
一般に、ガス濃度が低いと判断されて濃度低信号が出されている期間であっても、ノイズなどの影響でセンサ出力値が一時的に第1限界値よりも第1方向側の値となる(例えば第1限界値を上回る)あるいは一時的に第2限界値よりも第2方向側の値となる(例えば第2限界値を下回る)ことは有り得ると考えられる。
しかるに、これに対し、センサ出力値が第1所定期間にわたって第1限界値よりも第1方向側の値となる状態が継続した場合や、センサ出力値が第2所定期間にわたって第2限界値よりも第2方向側の値となる状態が継続した場合には、もはやこのようなノイズ等の影響ではなく、センサ抵抗値がドリフトによって大きく変動したために、センサ出力値が第1所定期間にわたって第1限界値よりも第1方向側の値となり、あるいは第2所定期間にわたって第2限界値よりも第2方向側の値となったと判断できる。
本発明のガス検出装置では、更新条件として上記条件を採用したから、センサ抵抗値がドリフトしたときには、パラメータ値が一挙に更新されてセンサ出力値が基準センサ出力値に等しくなるように調整される。従って、その後ガス検知を再開すると、特定ガスの濃度変化があった場合に、センサ出力値の変化幅を大きく採れるから、再び、適切に特定ガスの検出を行うことができる。一方、ノイズなどによってパラメータ値を誤って更新することが無い。
なお、第1所定期間と第2所定期間の長さは、異なっていても良い。
【0012】
さらに他の解決手段は、特定ガスの濃度に応じてセンサ抵抗値が変化するガスセンサ素子を用いるガス検出装置であって、センサ出力値を取得する取得手段であって、上記センサ抵抗値の変化及び上記取得手段に入力される入力信号におけるパラメータ値の変化に応じて変化するセンサ出力値を、上記入力信号のパラメータ値を固定した状態で、所定サイクル時間毎に取得する取得手段と、上記センサ出力値を用いて上記特定ガスの濃度の高低を検知する濃度検知手段と、上記濃度検知手段で上記特定ガスの濃度が低いことを検知したときに濃度低信号を発生する濃度低信号発生手段と、上記ガス検出装置の起動に続く初期期間の経過後、上記濃度低信号を発生している期間において、更新条件を満たしたときに、上記入力信号の現在のパラメータ値を新たなパラメータ値に更新するパラメータ更新手段であって、上記センサ抵抗値が上昇したときに上記センサ出力値が変化する方向を第1方向とし、その逆方向を第2方向としたとき、上記センサ出力値が第1所定期間にわたって第1限界値よりも第1方向側の値となったときには、上記取得手段において、上記新たなパラメータ値に固定した入力信号を用いたときに、所定の基準センサ出力値にほぼ等しい上記センサ出力値が取得されるようになる上記新たなパラメータ値を取得して更新し、前記センサ出力値が第2所定期間にわたって第2限界値よりも第2方向側の値となったときには、上記取得手段において、現在の上記センサ出力値よりも基準センサ出力値に近いセンサ出力値が取得されるように、上記現在のパラメータ値を徐々に変化させる更新を繰り返すパラメータ更新手段と、を備えるガス検出装置である。
【0013】
パラメータ値を更新するに当たり、値を一挙に大きく変えて取得されるセンサ出力値を基準センサ出力値に等しくしようとする場合、ガスセンサ素子の特性のバラツキや取得手段におけるコンデンサ、抵抗その他の電子部品の特性のバラツキなどが大きいときには、部品の組み合わせなどによっては、基準センサ出力値を飛び超えて更新前とは逆側に偏った値にまでセンサ出力値が変化させられてしまうことがあり得る。すると、再びパラメータ値の更新が行われることがあり、これらが繰り返されると基準センサ出力値にほぼ等しいセンサ出力値を得ることができなかったり、得るのに異常に長い時間が掛かる事態が発生する危険がある。
本発明のガス検出装置では、センサ出力値が第1所定期間にわたって第1限界値よりも第1方向側の値となったときは、パラメータ値を一挙に変化させて更新する。一方、センサ出力値が第2所定期間にわたって第2限界値よりも第2方向側の値となったときには、パラメータ値を徐々に変化させ更新を繰り返す。従って、上記のような事態になることが無く、ガスセンサ素子や取得手段の電子部品の特性のバラツキが有っても、適切なパラメータ値に収束させることができる。
しかも、ガスセンサ素子(とりわけWO3からなるガスセンサ素子)は、起動後、センサ抵抗値が上昇する方向に変化しながら安定する傾向があるので、たとえ初期期間の経過後でも、センサ出力値が第1所定期間にわたって第1限界値よりも第1方向側の値となってパラメータ値を更新する機会が、逆の場合に比して多い傾向にある。従って、更新する機会が多い方について、パラメータ値を一挙に変化させて更新するようにしたので、更新時のガス検出困難期間を短くすることができ都合がよい。
【0014】
さらに、上記いずれか1項に記載のガス検出装置であって、前記パラメータ更新手段は、前記新しいパラメータ値を、現在の前記センサ出力値と前記現在のパラメータ値とを用いて取得するガス検出装置とすると良い。
【0015】
本発明のガス検出装置では、新しいパラメータ値を、現在のセンサ出力値と現在のパラメータ値とを用いて取得するので適切に、新しいパラメータ値を得ることができる。
なお、新しいパラメータ値(例えば新しいデューティ比)を取得する手法としては、算出式からの算出や数値マップからの選択などにより直接に更新すべきパラメータ値を得る手法のほか、現在のパラメータ値から算出式やマップなどにより、変更すべき量を求めることで、間接的に(結果として)新しいパラメータ値を得る場合も含まれる。
【0016】
さらに、上記ガス検出装置であって、前記パラメータ更新手段は、所定の算出式に従い、前記現在のセンサ出力値と前記現在のパラメータ値とを用いて更新すべき前記新たなパラメータ値を得るガス検出装置とするのが好ましい。
【0017】
本発明のガス検出装置では、所定の算出式を用いたので、更新すべき新たなパラメータ値を得るのに、ガス検出装置で消費するメモリが少なくても、パラメータ値を得ることができる。従って、安価にできる。
【0018】
あるいは、前記ガス検出装置であって、前記パラメータ更新手段は、前記現在のセンサ出力値と前記現在のパラメータ値とに対応づけて更新すべき前記新たなパラメータ値を複数記憶した記憶手段と、上記現在のセンサ出力値及び上記現在のパラメータ値に基づいて、これに対応する上記パラメータ値を上記記憶手段から選択して得るガス検出装置とするのが好ましい。
【0019】
本発明のガス検出装置では、記憶手段を用いたので、ガス検出装置でメモリを多く消費するものの、容易にパラメータ値を得ることができる。また算出式の導出、関数化等の作業が不要である。
【0020】
さらに、上記いずれか1項に記載のガス検出装置であって、前記ガスセンサ素子は、前記特定ガスが無いときの上記センサ抵抗値を零点センサ抵抗値R0とし、その後上記特定ガスの濃度を所定値としたときの上記センサ抵抗値を第1センサ抵抗値R1としたとき、比R1/R0が、上記零点センサ抵抗値R0の変化に拘わらず、ほぼ一定に保たれる特性を有し、前記取得手段は、前記パラメータ値を一定として、前記センサ抵抗値の対数値と前記センサ出力値との関係をグラフ化したときに、単調に変化し、上記パラメータ値によらず、グラフの形状がほぼ同一となる上記センサ出力値の範囲を有する特性を備え、前記基準センサ出力値は、上記グラフの形状がほぼ同一となるセンサ出力値の範囲内の値であるガス検出装置とすると良い。
【0021】
本発明のガス検出装置では、ガスセンサ素子として、ドリフトによって特定ガスが無い(例えば、ガス濃度が0ppm)のときの零点センサ抵抗値R0が変動しても、特定ガスの濃度を所定値(例えば1ppm)としたときの第1センサ抵抗値R1との比R1/R0が、ほぼ一定となる特性を有するガスセンサ素子を用いる。
しかも、パラメータ値を一定として、センサ抵抗値の対数値とセンサ出力値の関係をグラフに表したとき、各パラメータ値についてのグラフの形状が、パラメータ値によらず、ほぼ同一となるセンサ出力値の範囲を有する。つまり、具体的に言うと、片対数グラフを用い、対数軸にセンサ抵抗値を割り当ててセンサ出力値との関係をグラフに表したとき、パラメータ値を一定とした各グラフは、特定のセンサ出力値の範囲で形状がほぼ同じとなる(例えば、図3におけるセンサ電圧値2.0〜2.5Vの範囲)。
また、基準センサ出力値は、この範囲内の値とされている。
【0022】
本発明のガス検出装置では、ガスセンサ素子のセンサ抵抗値がドリフトによって変動した場合でも、濃度低信号発生時で更新条件を満たしたときに、パラメータ更新手段でパラメータ値を更新し、強制的にセンサ出力値として基準センサ出力値が取得されるようにする。換言すればセンサ抵抗値が零点センサ抵抗値R0となっているときに、パラメータ値を更新して、センサ出力値を所定の基準センサ出力値に合わせ込む。このため、その後、特定ガスの濃度が上昇したとき、パラメータ値の値に違いがあっても、得られるセンサ出力値はほぼ同じ値となる。ガスセンサ素子が、比R1/R0が一定となる性質を有しているため、及びセンサ抵抗値の対数値とセンサ出力値との関係のグラフが、特定のセンサ出力値の範囲でパラメータ値によらずほぼ同一であるためである。センサ抵抗値a,b,c,dについて、a/b=c/dであるとき、片対数グラフで表すと、センサ抵抗値a,b同士間の距離と、センサ抵抗値c,d同士間の距離とは同じとなる(loga−logb=log(a/b)=log(c/d)=logc−logdである)からである。
【0023】
具体例で説明する(図3参照)。ガスセンサ素子として、特定ガス濃度が0ppmのときR0=10kΩであり、濃度1ppmのときR1=15kΩとなるが、ドリフトによってもしR0=100kΩとなった場合には、R1=150kΩなる特性のガスセンサ素子を用いたとする。つまり、このガスセンサ素子は、1ppmの濃度の場合には、R0の1.5倍のセンサ抵抗値R1となる特性を備えるとする。ここで、特定ガスが無い状態でR0=10kΩとなっているときに、入力信号のパラメータ値を調整して(図3において、デューティ比を98.40%とする)、強制的にセンサ出力値を基準センサ出力値=2.0Vとする。その後に特定ガス濃度を1ppmとしたときには、R1=15kΩとなる。このときのセンサ出力値=2.5Vであったとする。
【0024】
その後、ガスセンサ素子のセンサ抵抗値がドリフトによって変動してしまい、零点センサ抵抗値R0のときの値が100kΩとなったとする。すると、センサ出力値は例えば4.0Vなど上限値に近い値に偏ってしまう。この状態で特定ガスの濃度が1ppm(R1=150kΩ)となったとしても、センサ出力値は4.3V程度にしかならないので、変化量が少なくなり適切にガス検出ができないことがある。しかし、例えば入力信号のデューティ比などのパラメータ値を更新する(図3において、デューティ比を9.36%にする)ことで、強制的にセンサ出力値=2.0Vとする。ここで、パラメータ値を一定とした各グラフは、特定のセンサ出力値の範囲で形状がほぼ同じとなるから、2.5Vがこの範囲内であるとすれば、R1=15kΩ(R0=10kΩの1.5倍)のときにセンサ出力値=2.5Vであったのであるから、R1=150kΩ(R0=100kΩの1.5倍)となったときにも、センサ出力値=2.5Vとなる。つまり、ガスセンサ素子にドリフトが生じても、このような調整後には、特定ガスの濃度変化によってセンサ出力値は同様に変化することとなる。
【0025】
このため、あるガスセンサ素子を用いたガス検出装置に着目すると、ドリフトによって零点センサ抵抗値R0がどのような値となっていても、例えば特定ガス濃度が1ppmとなったら同じセンサ出力値が得られるようになるから、零点センサ抵抗値R0のドリフトによらず、センサ出力値を用いて特定ガス濃度の高低を検知することができる。
【0026】
さらに、上記ガス検出装置であって、前記取得手段は、前記入力信号である、第1の電位状態と第2の電位状態とを有する繰り返し波形のパルス信号が入力されるパルス入力点と、コンデンサと、上記パルス入力点に上記第1の電位状態の信号が入力されている期間に、充電用抵抗器を介して上記コンデンサを充電する充電回路と、上記パルス入力点に上記第2の電位状態の信号が入力されている期間に、放電用抵抗器を介して上記コンデンサを放電させる放電回路と、を含み、上記充電回路の充電用抵抗器及び放電回路の放電用抵抗器のいずれかは前記ガスセンサ素子を含み、上記充電回路の充電電流及び上記放電回路の放電電流のいずれかは上記ガスセンサ素子のセンサ抵抗値の変化に応じて変化し、上記コンデンサの一端であって、上記ガスセンサ素子におけるセンサ抵抗値の変化により電位が変化する動作点の電位を用いて、前記センサ出力値を取得し、前記入力信号のパラメータ値は、上記パルス入力点に入力される、上記パルス信号の上記第1の状態と第2の状態とのデューティ比であり、前記パラメータ更新手段は、上記デューティ比を更新するガス検出装置とすると良い。
【0027】
本発明のガス検出装置では、入力信号をパルス信号とし、そのデューティ比をパラメータ値とすると、取得手段におけるセンサ抵抗値とセンサ出力値(動作点の電位)との関係は、パラメータ値を一定として、センサ抵抗値の対数値とセンサ出力値との関係をグラフ化したときに、単調に変化し、パラメータ値(デューティ比)によらず、グラフの形状がほぼ同一となるセンサ出力値の範囲を有する特性を持つ。このため、簡単な構成で、零点センサ抵抗値R0のドリフトによらず、センサ出力値を用いて特定ガス濃度の高低を検知することができる。
【0028】
さらに、上記いずれか1項に記載のガス検出装置であって、前記初期期間において、初期更新条件を満たしたときに、前記取得手段において、現在の前記センサ出力値よりも基準センサ出力値に近いセンサ出力値が取得されるように、前記現在のパラメータ値を徐々に変化させる更新を繰り返す初期パラメータ更新手段を備えるガス検出装置とすると良い。
【0029】
一般に初期期間中は、ヒータの加熱によりガスセンサ素子の温度が大きく変動するなどにより、そのセンサ抵抗値が大きく変動する。このため、初期期間の経過後とは異なり、センサ出力値が基準センサ出力値になるようにパラメータ値を一挙に変更したとしても、狙い通りにセンサ出力値を基準センサ出力値にあるいはそれに近い値にできるとは限らない。むしろ困難であり、適切なパラメータ値に収束できない危険性がある。
本発明のガス検出装置では、初期期間には入力信号のパラメータ値を新たなパラメータ値に徐々に変化させる更新を繰り返すので、パラメータ値を適切な値に収束することができる。
【0030】
さらに、上記いずれか1項に記載のガス検出装置を含む車両用オートベンチレーションシステムとすると良い。
【0031】
この車両用オートベンチレーションシステムでは、センサ抵抗値のドリフトによるセンサ出力値が偏ったときに、パラメータ値一挙に更新することで、相対的に短時間でガス検知を再開できるから、適切なフラップの開閉を行うことができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明の第1の実施形態について、図1〜図8に示す図面等を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態1にかかるガス検出装置10及び車両用オートベンチレーションシステム100の概略を示す構成図である。このシステム100は、特定ガスの濃度変化に応じて濃度信号LVを出力するガス検出装置10と、フラップ34を回動させて、内気取り入れ用ダクト32及び外気取り入れ用ダクト33のいずれかをダクト31に接続させる換気系30と、濃度信号LVに従って換気系30のフラップ34を制御する電子制御アセンブリ20とを備える。
【0033】
ガス検出装置10は、ガスセンサ素子1を含むセンサ抵抗値変換回路2と、その出力であるセンサ電圧値VsをA/D変換するA/Dコンバータ15とマイクロコンピュータ16とを有する。ガスセンサ素子1は、特定ガスの濃度によってそのセンサ抵抗値Rsが変化する、具体的には、NOx等の酸化ガスの濃度が上昇するとそのセンサ抵抗値Rsが高くなる、WO3からなる酸化物半導体系のガスセンサ素子である。
なお、本実施形態1に用いるガスセンサ素子1は、特定ガスの濃度に応じてセンサ抵抗値Rsが変化するほか、温度・湿度などの環境変化によっても変化(ドリフト)する。センサ抵抗値Rsの変化の範囲は、通常1kΩ〜10MΩの範囲で変化するものである。
【0034】
センサ抵抗値変換回路2は、ガスセンサ素子1を駆動して、この素子1のセンサ抵抗値Rsの変化に応じた下記する動作点Pdの電圧(センサ電圧値Vs)を得るための回路であり、後述するようなパルス信号Scを入力するパルス入力端子7と、センサ出力端子8とを有する。このパルス入力端子7には、抵抗値Rc(本実施形態では100kΩ)の固定抵抗器5とダイオード6が直列に接続され、静電容量C(本実施形態では1μF)を有し一端4Bが接地されたコンデンサ4の他端4Aと接続している。さらに、上記したガスセンサ素子1は、このコンデンサ4と並列に配置され、その一端1Bが接地され、他端1Aがコンデンサ4の他端4Aと接続している。なお、この接続点が、センサ抵抗値Rsの変化によってその電位が変化する動作点Pdである。センサ出力端子8にはこの動作点Pdの電位(センサ電圧値Vs)が導かれている。また、ダイオード6は、コンデンサ4をカソードとした向きで接続されている。
【0035】
このセンサ電圧値VsをA/Dコンバータ15で所定間隔毎(本実施形態では0.4sec毎)にA/D変換して、デジタル値のセンサ出力値S(n)とする。nは順序を表す一連の整数である。
その後、マイクロコンピュータ16の入力端子17に入力する。マイクロコンピュータ16は、公知の構成である演算を行うマイクロプロセッサ、プログラムやデータを一時記憶しておくRAM、プログラムやデータを保持するROMなどを含む。なお、A/Dコンバータ15をも含む構成とすることもできる。このセンサ出力値S(n)を後述するフローに従ってマイクロコンピュータ16で処理することにより、ガスセンサ素子16のセンサ抵抗値Rsやその変化などからNOxなど酸化性ガスの濃度を算出する。A/Dコンバータ15は、0〜5Vを8ビットのデジタル値に変換するものであり、分解能は約20mV(≒5V/28=19.5mV)である。
【0036】
さらにこのマイクロコンピュータ16の出力端子18からは、電子制御アセンブリ20を制御するための濃度高信号と濃度低信号のいずれかの濃度信号LVが出力される。この電子制御アセンブリ20は、自動車の内気循環及び外気取り入れを制御する換気系30のフラップ34を制御するものである。この換気系30は、本実施形態では具体的には、自動車室内につながるダクト31に、二股状に接続された、内気を取り入れ循環させる内気取り入れ用ダクト32と外気を取り入れる外気取り入れ用ダクト33とを切り替えるフラップ34を制御するものである。
電子制御アセンブリ20のうち、フラップ駆動回路21は、マイクロコンピュータ16の出力端子18からの濃度信号LV、本実施形態に即して言えば、NOxなどの酸化性ガス成分の濃度が上昇したか下降したかを示す濃度信号LVに従って、アクチュエータ22を作動させフラップ34を回動させて、内気取り入れ用ダクト32及び外気取り入れ用ダクト33のいずれかをダクト31に接続させる。
【0037】
例えば、図2のフローチャートに示すように、ステップS1で初期設定を行った後、ステップS2で濃度レベル信号LVを取得し、ステップS3で濃度信号LVが濃度高信号であるか否か、つまり濃度高信号発生中であるか否かを判断する。ここで、Noつまり濃度低信号発生中の場合には、特定ガスの濃度が低いのであるから、ステップS4において、フラップ34の全開を指示する。これにより、フラップ34が回動して、外気取り入れ用ダクト33がダクト31に接続され、外気が車室内に取り入れられる。一方、ステップS3においてYesつまり濃度高信号発生中の場合には、車室外の特定ガスの濃度が高いのであるから、ステップS5において、フラップ34の全閉を指示する。これにより、フラップ34が回動して、内気取り入れ用ダクト32がダクト31に接続され、外気導入が遮断されると共に、内気循環となる。
【0038】
ダクト31内には、空気を圧送するファン35が設置されている。なお、フラップ駆動回路21は、濃度信号LVだけに応じてフラップ34を開閉するようにしても良いが、例えば、マイクロコンピュータなどを用い、ガス検出装置10による濃度信号LVの他、図1中破線で示すように、例えば室温センサや湿度センサ、外気温センサなどからの情報をも加味して、フラップ34を開閉するようにしても良い。
【0039】
さらに、マイクロコンピュータ16は、その制御出力端子16CTから、後述するフローチャートに従って決定されるデューティ比DTを有するパルス信号Scを出力する。このパルス信号Scによってセンサ抵抗値変換回路2が駆動される。このパルス信号Scは、図1下方の円内に示すように、0V(接地電位)と+5Vとの2つの電位が交互に現れるパルス信号であり、繰り返し周波数fp(本実施形態ではfp=5kHz)であり、+5V電位(第1の電位)を時間t1継続し、0V(第2の電位)を時間t2継続する。従って、このパルス信号Scのデューティ比DT(%)は、DT=100×t1/(t1+t2)で与えられる。t1とt2の和が繰り返し周期Tp(=t1+t2)である。本実施形態では、制御出力端子16CTとしてマイクロコンピュータ16のオープンドレイン端子を用いた。なお、マイクロコンピュータ16等は、+5Vの片電源で駆動される。
【0040】
次いで、センサ抵抗値変換回路2の動作及び特性について説明する。パルス信号Scのうち第1の電位(ハイレベル)である+5Vがパルス入力端子7に印加されると、ダイオード6がONして、固定抵抗器5及びダイオード6を通じてコンデンサ4に充電される。つまり、固定抵抗器5とダイオード6は、パルス入力端子7が第1の電位状態にあるときに、コンデンサ4に充電する充電回路を構成している。従って、この期間t1にはコンデンサ4の両端間の電圧(充電電圧)が上昇する。なお、この充電の時定数(第1の時定数)τ1は、τ1=C・Rc・Rs/(Rc+Rs)である。
一方、パルス信号Scのうち第2の電位(ローレベル)である0Vがパルス入力端子7に印加されると、ダイオード6がOFFするので、コンデンサ4に充電された電荷は、ガスセンサ素子1を通じて放電される。つまり、コンデンサ4と並列に接続されたガスセンサ素子1は、パルス入力端子7が第2の電位状態にあるときに、コンデンサ4を放電させる放電回路を構成している。したがって、この期間t2には、コンデンサ4の両端間の電圧(充電電圧)が下降する。なお、この放電の時定数(第2の時定数)τ2は、τ2=C・Rsである。
【0041】
このセンサ抵抗値変換回路2は以上のように動作するので、パルス信号Scを繰り返し入力することで、時間t1の間に充電される電荷と時間t2の間に放電される電荷とが均衡した定常状態となり、図1上方の円内に示すように、センサ電圧値Vsは、リップル電圧Vrの若干のリップルを有するものの、ほぼ一定値となる。ここで、パルス信号Scの周波数fpは、リップル電圧VrがA/D変換回路19の分解能約20mVを下回るような十分高い周波数に設定するのが好ましく、そこで本実施形態では、上記したようにfp=5kHzとしている。このため、リップル電圧Vrによるセンサ出力値S(n)の変動が生じない。
【0042】
なお、リップル分を除去するため、A/Dコンバータ15とセンサ出力端子8との間に低域フィルタを介在させても良い。このようにすると、センサ電圧値Vsに重畳されるノイズをも除去できるので、ノイズの多い環境で使用する場合には特に好ましい。
【0043】
次いで、このセンサ抵抗値変換回路2について、ガスセンサ素子1のセンサ抵抗値Rsを変化させた場合のセンサ電圧値Vs(センサ出力値S(n))の変化を図3に示す。パラメータとしてパルス信号Scのデューティ比DT(%)を用いている。なお、実際には、ガスセンサ素子1に代えて、可変抵抗器を図1に示す回路に取り付けて、センサ電圧値Vsを測定した。
容易に理解できるように、パルス信号Scのデューティ比DTが一定でも、センサ抵抗値Rsが変化すると、センサ電圧値Vsが変化する。センサ抵抗値Rsが大きくなると放電の時定数τ2が大きくなって放電されにくくなり、再び充電される電荷と放電される電荷とが均衡するまで、コンデンサ4の充電電圧が高くなるからである。
【0044】
なお、上記したように、パルス信号の周波数fp=5kHz、固定抵抗器5の抵抗値Rc=100kΩ、コンデンサ14の静電容量C=1μFである。このグラフから判るように、デューティ比DTを一定とした場合、センサ抵抗値Rsの増加に応じてセンサ電圧値Vsが単調かつ緩やかに増加している。このため、印加しているパルス信号Scのデューティ比DTを一定値に固定しておけば、センサ抵抗値Rsの変化が、センサ電圧値Vs及びこれをA/D変換したセンサ出力値S(n)の変化に反映されるから、センサ出力値S(n)によって、特定ガスの濃度変化を検知することができる。
また、グラフから容易に理解できるように、このセンサ抵抗値変換回路2を用いれば、適切なデューティ比DTを設定することで、センサ抵抗値Rsが数桁(例えば1kΩ〜10MΩまで4桁)分変化しても、測定可能であることが判る。
【0045】
その上、このグラフは、ガスセンサ素子1のセンサ抵抗値Rsが温度や湿度などの環境によって大きく変化(ドリフト)した場合にも、パルス信号Scのデューティ比DTを変化させることで、センサ電圧値Vsを適当な範囲に変化させて、精度良く酸化性ガスの濃度変化を検出できることを示している。
例えば、デューティ比DT=50%のパルス信号Scをセンサ抵抗値変換回路2に入力していたときに、センサ抵抗値Rsが環境の変化で100kΩ以上の値に変化した場合(Rs>500kΩ)を想定する。この場合には、センサ電圧値Vs約4.4Vの高い値に偏ってしまう。この状態でさらに酸化性ガスの濃度が増えたためにセンサ抵抗値Rsが若干上昇したとしても、グラフの傾きが小さいのでセンサ電圧値Vsの変化が小さく、正確に酸化性ガスの濃度変化を検知することは難しい。
【0046】
これに対し、パルス信号Scのデューティ比DTをDT=3.12%に変更すると、センサ電圧値Vsは約2.6Vになり、グラフの傾きも大きくなる。このため、この状態でさらに酸化性ガスの濃度が増えてセンサ抵抗値Rsが若干上昇すると、センサ電圧値Vsが大きく変化する。従って、正確に特定ガスの濃度変化を検知することができる。つまり、このようにしてパルス信号Scのデューティ比DTを変化させることで、センサ電圧値Vsをガス検知処理の容易な範囲内にしておくことができ、酸化性ガス(特定ガス)の濃度変化を精度良く検知することができる。
さらに、ガスセンサ素子1の特性にバラツキがある場合にも、パルス信号Scのデューティ比DTを変化させることで、バラツキを吸収して測定可能であることも判る。
【0047】
上記説明から理解できるように、このガス検出装置10では、センサ抵抗値Rsが上昇したとき、センサ出力値S(n)は増加する方向に変化する。従って、本実施形態において、センサ出力値S(n)(センサ電圧値Vs)が増加する方向が第1方向であり、減少する方向が第2方向である。また、センサ出力値S(n)はセンサ電圧値VsをA/D変換して得た値(デジタル値)であるため、このセンサ出力値S(n)を用いて説明すると大小関係が判りにくくなる場合がある。そこで、センサ出力値S(n)に代えて、対応するセンサ電圧値Vsの値を用いて説明することがある。
【0048】
ところで、ガスセンサ素子1は、酸化性ガスが無いときのセンサ抵抗値Rsを零点センサ抵抗値R0とし、その後、酸化性ガスガスの濃度を所定値としたときのセンサ抵抗値を第1センサ抵抗値R1としたとき、比R1/R0が、零点センサ抵抗値R0の変化に拘わらず、ほぼ一定に保たれる特性を有することが判っている。従って、酸化性ガスが無い(例えば、酸化性ガス濃度が0ppm)環境下での零点センサ抵抗値R0が、湿度等によるドリフトによって変動しても、その後、酸化性ガスの濃度を所定値(例えば1ppm)としたときの第1センサ抵抗値R1との比R1/R0が、ドリフトしなかった場合とほぼ一定となる特性を有する。従って、例えば、酸化性ガスの濃度が1ppmの時の比R1/R0が、1.5のガスセンサ素子の場合、零点センサ抵抗値R0=10kΩであった場合、その後酸化性ガス濃度が1ppmになると、第1センサ抵抗値R1=15kΩになる。また、ドリフトによってある時、零点センサ抵抗値R0=100kΩであった場合、その後酸化性ガス濃度が1ppmになると、第1センサ抵抗値R1=150kΩになる。
【0049】
一方、デューティ比DTが異なる各グラフについて、例えば、センサ電圧値Vs=2.0〜2.5Vの範囲を見ると、いずれのグラフについても、ほぼ同じ形状、具体的には、ほぼ同じ傾きの直線になっていることが判る。
このため、デューティ比DT=98.40%のグラフで見ると、センサ抵抗値10kΩの場合にはセンサ電圧値Vs=2.0Vとなり、センサ抵抗値15kΩの場合にはセンサ電圧値Vs=2.5Vとなる。
また、デューティ比DT=9.36%のグラフで見ると、センサ抵抗値100kΩの場合にセンサ電圧値Vs=2.0Vとなり、センサ抵抗値150kΩの場合にセンサ電圧値Vs=2.5Vとなる。
従って、零点センサ抵抗値R0=10kΩであった場合に、センサ電圧値Vs=2.0Vとなるようにパルス信号Scのデューティ比をDT=98.40%にしておけば、酸化性ガス濃度が1ppmになると、センサ電圧値Vs=2.5Vとなる。
【0050】
一方、零点センサ抵抗値R0=100kΩであった場合に、センサ電圧値Vs=2.0Vとなるようにパルス信号Scのデューティ比をDT=9.36%にしておけば、酸化性ガス濃度が1ppmになると、センサ電圧値Vsは、同じくVs=2.5Vとなる。
このことから、パルス信号Scのデューティ比DTを適切に選択して、センサ電圧値Vsが2.0〜2.5Vの範囲、あるいはその近傍の値となるようにしておけば、たとえドリフトによって零点センサ抵抗値R0が変動しても、酸化性ガスの濃度変化によるセンサ電圧値Vsの変化量がほぼ同じとなることが判る。このため、このセンサ電圧値Vs(センサ出力値S(n))を用いれば、ドリフトの有無に拘わらず、同様の精度で酸化性ガスを検知できることになる。
【0051】
次いで、本実施形態のガス検出装置10の動作について、図4〜図8に示すフローチャートを参照して説明する。まず図4に示すメインルーチンのフローチャートを用いて、その処理の概要を説明する。自動車のエンジンが始動すると、ガス検出装置10の制御フローが開始される。まず、ステップS10において、初期設定がなされ、初期期間経過後、ステップS20のガス検知処理において、センサ出力値S(n)を用いてガスの濃度変化の有無が検出される。
さらに、ステップS30では、濃度低信号の発生中であるか否かを判断し、発生中(Yes)の場合にはステップS40に進む。一方、発生していない場合(No)にはステップS20のガス検知処理に戻る。後述するように、ガス濃度が高くなった場合には、センサ電圧値Vs(センサ出力値S(n))の変動の中にガス濃度の変化による成分が含まれており、ドリフトによるセンサ電圧値Vs(センサ出力値S(n))の変動を分離することができない。このため、濃度低信号が発生していないときには、デューティ比DTの更新を行わないようにするためである。
さらに、ステップS40では、デューティ比更新可能か否か、つまりデューティ比DTを現在の設定値から新たな値に更新できる余地があるか否かを判断する。本実施形態のガス検出装置では、設定しうる最大のデューティ比(98.40%)及び最小のデューティ比(1.58%)がある。従って、現在の設定値が最大のデューティ比である場合にこれよりも大きなデューティ比に更新しようとすること、あるいは現在の設定値が最小のデューティ比である場合にこれよりも小さなデューティ比に更新しようとすることは、原理的に不可能である。従って、このような場合(No)には、ステップS50に進まず、ステップS20のガス検知処理に戻る。
【0052】
次いで、ステップS50では、合わせ込みの要否を判断する。さらに、ステップS60で必要に応じてデューティ比DTを更新し、ステップS20のガス検知処理に戻る。かくして、必要に応じてパルス信号Scのデューティ比DTを更新しながら、ガス検知処理を行えるから、湿度等によりセンサ抵抗値Rsにドリフトが生じても、適切なセンサ出力値S(n)が得られる範囲で、その処理を行うことができる。このため、適切にガス濃度変化を検知することができる。
【0053】
次いで、各ステップの詳細について説明する。まず、ステップS10に相当する初期設定のサブルーチンを、図5を用いて説明する。自動車の起動直後などの初期段階では、ヒータによる加熱でガスセンサ素子1の温度が急激に上昇するため、そのセンサ抵抗値Rsも大きく変動する、一般的には一旦低下してから上昇する。そこで、ガスセンサ素子1の温度がほぼ定常温度となり、センサ抵抗値がほぼ安定するまでの期間は、初期期間として、別途の処理を行うこととしている。
まずステップS11では、各種の初期設定を行う。メモリの初期化したり、ガスセンサ素子1を加熱するヒータ(図示しない)に電流を流す等の処理である。その後、ステップS12で、記憶されていた初期デューティ比DTsを用いて、このデューティ比DTsを有するパルス信号Scをセンサ抵抗値変換回路2のパルス入力端子7に印加する。これにより、センサ抵抗値Rsに応じたセンサ電圧値Vsが発生するので、ステップS13でこれを取り込み、センサ出力値S(n)を得る。
【0054】
次いで、ステップS14では、S(n)≧SB+△S1の式により、S(n)を比較する。ここで、基準センサ出力値SBは、具体的には、基準センサ電圧値Vsb=2.0VをA/D変換したときの値に相当する。また、第1所定値△S1は、ドリフトによりセンサ出力値S(n)が増加する方向に変化した場合に、デューティ比DTの更新を行うか否かを決定する値である。従って、例えば、Vs=3.0VをA/D変換した値が、S(n)=SB+△S1に相当する。S(n)≧SB+△S1(Yes)の場合にはステップS16に進み、Noの場合にはステップS15に進む。
ステップS15では、S(n)≦SB−△S2の式により、S(n)を比較する。ここで、第2所定値△S2は、センサ出力値S(n)が減少する方向に変化した場合に、デューティ比DTの更新を行うか否かを決定する値である。従って、例えば、Vs=1.0VをA/D変換した値が、SB−△S2に相当する。さらに、Yesの場合にはステップS17に進み、Noの場合には、メインルーチン(図4参照)に戻る。
【0055】
一方、ステップS16では、パルス信号Scのデューティ比DTをDT=DT−△DTによって更新する。ここで、△DTは変化分である。従って、デューティ比DTは、△DT分だけ小さな値とされるので、図3のグラフから容易に理解できるように、同じセンサ抵抗値Rsで比較すると、得られるセンサ電圧値Vsが更新前より小さな値となる。従って、センサ出力値S(n)も小さな値となる。
ステップS17では、これとは逆に、パルス信号Scのデューティ比DTをDT=DT+△DTによって更新する。従って、デューティ比DTは、△DT分だけ大きな値とされるので、同じセンサ抵抗値Rsで比較すると、得られるセンサ電圧値Vsが更新前より大きな値となる。従って、センサ出力値S(n)も大きな値となる。
ステップS16,S17の後には、ステップS18で安定待ちを行う。デューティ比DTの変更に伴って、センサ抵抗値変換回路2に過渡変動が生じる。このため、センサ電圧値Vsが安定するまで待つのである。具体的には、0.8秒間待つ。その後、ステップS13に戻りセンサ出力値S(n)を再び取得する。
かくして、パルス信号Scのデューティ比DTは、SB−△S2≦S(n)≦SB+△S1となるまで、徐々にデューティ比DTが変更される。
【0056】
次いで、ステップS20に相当するガス検知処理のサブルーチンを、図6を用いて説明する。まずステップS21では、センサ信号つまりセンサ出力電位Vsを所定のサイクル時間ごとにA/D変換したセンサ出力値S(n)を順次読み込む。
ステップS22では、ステップ60の合わせ込み処理(詳細は後述する)において、安定待ちタイマをセットしたか否かを判断する。上記したように、デューティ比DTを変更すると、センサ抵抗値変換回路2に過渡変動が生じる。このため、センサ電圧値Vsが安定するまでの期間に得られたセンサ出力値S(n)を用いて、ガス濃度変化を検知することは困難である。そこで、安定待ちの期間(安定待ちタイマがセットされている期間:Yes)はガス濃度変化の検知処理を行わないようにしたためである。
【0057】
一方、ステップS22でNoのときは、ステップS23に進み、公知の手法で酸化性ガスの濃度の変化を検知の処理を行い、メインルーチンに戻る。このステップS23の詳細な内容は提示しないが、酸化性ガスの濃度が上昇するとセンサ出力値S(n)が大きくなり、濃度が低下するとセンサ出力値が小さくなる関係になっているので、センサ出力値の演算処理によって、酸化性ガスの濃度変化を検知する。これにより、ガス濃度が低い場合には、これを示す濃度低信号を発生し、逆にガス濃度の上昇を検知すると濃度低信号から濃度高信号に切り換えるようにされている。
具体的な演算処理の仕方としては、過去のセンサ出力値と現在のセンサ出力値との差分値(微分値)から濃度変化を検知するものが挙げられる。また、センサ出力値の積分値を用いるもの、移動平均値を用いるものなども挙げられる。さらに、 下式によって求めたベース値B(n)を用いるものも挙げられる。式:B(n)=B(n−1)+k{S(n)−B(n−1)}、ここで、係数kは、0<k<1。あるいは、式:B(n)=B(n−1)+k1{S(n)−B(n−1)}−k2{S(n)−S(n−x)}、ここで、第1係数k1は0<k1<1、第2係数k2はk2>0、xは正の整数(例えばx=5)。例えば、センサ出力値S(n)とこのベース値B(n)との差分値の大小判断から、濃度変化を検知する。
【0058】
次いで、ステップS50に相当する合わせ込み要否判断のサブルーチンを、図7を用いて説明する。
まずステップS51では、S(n)≧SB+△S1の式により、S(n)を比較する。ここで、基準センサ出力値SB、及び第1所定値△S1は、初期設定(ステップS10)のサブルーチン(図5参照)と同様である。S(n)≧SB+△S1(Yes)の場合にはステップS52に進み、Noの場合にはステップS53に進む。ステップS52では、次述する引き下げタイマの計時中であるか否かを判断する。計時中でない場合(No)には、ステップS55に進み、引き下げタイマの計時を開始し、メインルーチンに戻る。一方、計時中(Yes)の場合には、ステップS54に進み、引き下げタイマが100秒経過したか否かを判断する。100秒経過前の場合(No)には、そのままメインルーチンに戻る。一方、100秒経過した場合には、ステップS56で引き下げフラグをセットし、メインルーチンに戻る。濃度低信号の発生中でありながら、つまり酸化性ガスが無い状態でありながら、センサ出力値S(n)が、100秒間にわたってS(n)≧SB+△S1を維持し続けたのであるから、センサ出力値S(n)が大きな値となったのは、ドリフトによるものであると考えられるからである。そこで、後述する合わせ込み処理によってデューティ比DTを引き下げるように、ステップS56で引き下げフラグをセットしたのである。
一方、ステップS53では、引き下げタイマをリセットし、ステップS57に進む。S(n)≧SB+△S1の状態を100秒間維持できなかったのであるから、必ずしもセンサ出力値S(n)の上方への偏りがドリフトによるものとは言えないため、引き下げタイマをリセットしたのである。
【0059】
続いて、ステップS57以降では、上記と逆の処理を行う。即ち、ステップS57では、S(n)≦SB−△S2の式により、S(n)を比較する。ここで、基準センサ出力値SB及び第2所定値△S2は、初期設定のサブルーチン(図5参照)と同様である。S(n)≦SB−△S2(Yes)の場合にはステップS58に進み、Noの場合にはステップS59に進む。
ステップS58では、次述する引き上げげタイマの計時中であるか否かを判断する。計時中でない場合(No)には、ステップS5Bに進み、引き上げタイマの計時を開始し、メインルーチンに戻る。一方、計時中(Yes)の場合には、ステップS5Aで、引き上げタイマが5秒経過したか否かを判断する。5秒経過前の場合(No)には、そのままメインルーチンに戻る。一方、5秒経過した場合には、ステップS5Cで引き上げフラグをセットして、メインルーチンに戻る。濃度低信号の発生中でありながら、センサ出力値S(n)が、5秒間にわたってS(n)≦SB−△S2を維持し続けたのであるから、センサ出力値S(n)が小さな値となったのは、ドリフトによる可能性が高いと考えられるからである。
一方、ステップS59では、引き上げタイマをリセットし、メインルーチンに戻る。S(n)≦SB+△S2の状態を5秒間維持できなかったのであるから、センサ出力値S(n)の下方への偏りがドリフトによるものとは言えないためである。
なお、上記では引き上げタイマが5sec経過してからステップS5Cで引き上げフラグをセットするようにした。しかし、5sec待つまでもなくドリフトであると判断できる場合には、図7に破線で示すように、ステップS57でYesと判断されたら、直ちにステップS5Cで引き上げフラグをセットし、ステップS57でNoと判断されたら、直ちにメインルーチンに戻るようにしても良い。
【0060】
次いで、ステップS60に相当する合わせ込み処理のサブルーチンを、図8を用いて説明する。まずステップS61では、上記した合わせ込み要否判断(ステップS50、具体的にはステップS56)において、セットされた可能性のある引き下げフラグが実際にセットされているか否かを判断する。セットされている場合(Yes)には、ステップS63に進み、セットされていない場合にはステップS62に進む。ステップS62では、同様に先のステップS5Cにおいて、セットされた可能性のある引き上げフラグが実際にセットされているか否かを判断する。セットされている場合(Yes)には、ステップS63に進み、メインルーチンに戻る。
【0061】
ステップS63では、後述する安定待ちタイマが計時中であるか否か、つまり、デューティ比DTが変更された直後で、センサ出力値S(n)が安定するまでの待機している期間内であるか否かを判断する。計時中(Yes)の場合にはステップS64に進む。
一方、Noの場合には、ステップS65に進み、以降でパルス信号Scのデューティ比DTを更新する作業を進める。本実施形態では、ステップS65で狙いのデューティ比DTを算出する。センサ抵抗値変換回路2のコンデンサ等の部品の容量や抵抗値は既知であるから、現在のセンサ出力値S(n)、従って、この基となった現在のセンサ電圧値Vsと、現在のデューティ比DTとから、現在のセンサ抵抗値Rsが算出できる(図3のグラフ参照)。従って、現在のセンサ抵抗値Rsのとき、新たなデューティ比(狙いデューティ比)の値を幾つとすれば、基準センサ電圧値Vsb=2.0Vに等しいセンサ電圧値Vs、及び基準センサ出力値SBに等しいセンサ出力値S(n)を得ることができるかも算出することができる。さらに簡易には、現在のセンサ出力値S(n)と現在のデューティ比DTとを与えて狙いデューティ比DTを得る算出式を設定しておくこともできる。本実施形態では、この算出式により狙いデューティ比DTを算出する。このようにすると、算出式を記憶しておけば容易に狙いデューティ比DTを算出できる。また、後述する変形形態1のように多くのメモリを必要としない利点もある。
【0062】
次いで、ステップS66で安定待ちタイマ期間を算出する。次述するように、現在のデューティ比をステップS65で算出した狙いデューティ比に変更すると、センサ電圧値Vs及びこれをA/D変換したセンサ出力値S(n)は、図3に示すグラフに従って変化する。例えば、デューティ比DT=98.40%の場合に、センサ電圧値Vs=4.0Vであった場合、デューティ比DT=9.36%に変更すると、得られるセンサ電圧値Vs=2.0Vになる。なお、この場合、センサ抵抗値Rs=100kΩとなっている。しかし、このように一挙にデューティ比を変更すると、センサ抵抗変換回路2には過渡的な変化が生じるため、デューティ比の変更後、センサ電圧値Vs及びセンサ出力値S(n)が安定するまで、カス検知処理(ステップS20)を行うことは適当でない。そこで、本実施形態では、この安定までの期間を待つためのタイマを一律の所定時間(例えば0.8秒間)に設定することとした。
なお、タイマ期間を適切に設定できるようにするため、図8に破線で示すように、ステップS66でそのタイマ期間を算出することもできる。このタイマ期間は、現在のセンサ出力値S(n)と現在のデューティ比DTとから算出すればよい。また、さらに簡易には、現在のセンサ出力値S(n)と現在のデューティ比DTとを与えてタイマ期間を得る算出式を得ておき、これによってタイマ期間を算出することもできる。
【0063】
その後、ステップS67で、パルス信号Scの現在のデューティ比DTを、ステップS65で得た狙いデューティ比(新たなデューティ比)に変更する。初期設定(ステップS10)では、デューティ比DTを徐々に変更したのと異なり、本ステップS67では、新しいデューティ比に一挙に変更する。これにより、センサ出力値S(n)からデューティ比更新の要否を判断し、デューティ比を更新するにあたり、更新と判断とを繰り返して徐々に変更する方式に比して、更新を1回で済ますことができ更新に要する期間を短くすることができる。
既に説明したように、デューティ比DTを変更すると、ガス濃度の変化がないにも拘わらず、センサ電圧値Vsやセンサ出力値S(n)が変化するから、過去に得られたセンサ出力値S(n−1),S(n−2)…との関連が不明となり、デューティ比DTの更新の間あるいはそれに続いてセンサ出力値S(n)が安定するまでの期間には、適切にガス濃度の変動を捉えることができない虞がある。本実施形態では、デューティ比の更新に要する期間を短くすることで、逆にガス検知を行う期間を長くとることができる。
その後は、ステップS68で安定待ちタイマをスタートさせ、メインルーチンに戻る。安定待ちタイマがセットされていると、既にステップS22でYesと判断されるので、ガス検知は行われない。
【0064】
ステップS63でYesと判断され、ステップS64に進むと、安定待ちタイマ期間が経過したか否かを判断する。経過前(No)の場合には、メインルーチンに戻る。一方、タイマ期間を経過した場合(Yes)には、更新後ある程度期間が経過し、センサ電圧値Vs及びセンサ出力値S(n)の過渡変動がおさまったと考えられるので、ステップS69に進み、安定待ちタイマをリセットし、ステップS6Aで引き下げフラグあるいは引き上げフラグをリセットしてメインルーチンに戻る。これにより、ステップS22でNoと判断されるので、再び取得したセンサ出力値S(n)を用いてガス濃度変化の検知が行われるようになる。
【0065】
かくして、本実施形態では、ガス濃度が低い状態を示す濃度低信号の発生期間中で、センサ電圧値Vsが基準センサ電圧値Vsbから大きく外れた場合、つまりセンサ出力値S(n)が、S(n)≧SB+△S1あるいはS(n)≦SB−△S2であって、この状態が所定時間以上継続した場合には、パルス信号Scの現在のデューティ比DTを一挙に新たなデューティ比に変更して、センサ出力値S(n)=SBとなるようにする。
具体的には、例えば、センサ電圧値Vs=1.0〜3.0Vの範囲から外れた場合であって、それが第1方向である上側には100秒、あるいは第2方向である下側には5秒以上継続した場合には、パルス信号Scの現在のデューティ比DTを一挙に新たなデューティ比に変更して、センサ電圧値Vs=2.0Vとなるようにする。
【0066】
このため、ガスセンサ素子1のセンサ抵抗値Rsがドリフトによって変動しても、センサ出力値S(n)が適切な範囲(SB−△S2≦S(n)≦SB+△S1)になるようにされるから、ドリフトの影響を排して酸化性ガスの濃度変化を適切に検知することができる。しかも、デューティ比を一挙に更新するから、更新に伴うガス濃度変化の検知(ステップS23)を行わない期間を最小限に止め、多くの時間をガス濃度変化の検知に当てることができる。
【0067】
(変形形態1)
次いで、本発明の変形形態1について説明する。本変形形態1は、上記した実施形態1とほぼ同様であるが、メインルーチン(図4参照)における合わせ込み処理(ステップS60)が若干異なる。従って、この合わせ込み処理のフローのみ図9を参照して説明する。
実施形態1と同じく、ステップS61,S62で、引き下げフラグ及び引き上げフラグがセットされているか否かを判断する。いずれもセットされていない場合はメインルーチンに戻る。一方、いずれかがセットされている場合には、実施形態1と同じくステップS63に進み、安定待ちタイマが計時中であるか否かを判断し、Noの場合には、ステップS165に進む。
ステップS165では、現在のセンサ出力値S(n)と現在のデューティ比DTとを用いる点では実施形態1と同じであるが、算出式に基づいて狙いデューティ比を算出した実施形態1と異なり、狙いデューティ比が多数記憶されているメモリマップから適切な狙いデューティ比を選択する。このようにすると、メモリマップから選択することで、大きなメモリ領域を要するが、算出式の導出などを行う必要が無く、また、直ちに狙いデューティ比を得ることができるメリットがある。
【0068】
さらに、ステップS166では、現在のセンサ出力値S(n)と現在のデューティ比DTとを用いる点では実施形態1と同じであるが、算出式に基づいて安定待ちタイマ期間を算出した実施形態1と異なり、安定待ちタイマ期間をメモリマップから選択する。この場合も同様に、メモリマップから選択することで、大きなメモリ領域を要するが、算出式の導出などを行う必要が無く、また、直ちに狙いデューティ比を得ることができるメリットがある。
また、合わせ込み処理の残余の部分は、実施形態1と同じであるので説明を省略する。
【0069】
かくして、本変形形態1でも、ガスセンサ素子1のセンサ抵抗値Rsがドリフトによって変動しても、センサ出力値S(n)が適切な範囲になるようにされるから、ドリフトの影響を排して酸化性ガスの濃度変化を適切に検知することができる。しかも、デューティ比を一挙に更新するから、更新に伴うガス濃度変化の検知(ステップS23)を行わない期間を最小限に止め、多くの時間をガス濃度変化の検知に当てることができる。
【0070】
(変形形態2)
次いで、本発明の変形形態2について説明する。本変形形態2は、上記した実施形態1とほぼ同様であるが、メインルーチン(図4参照)における合わせ込み処理(ステップS60)が若干異なる。従って、この合わせ込み処理のフローのみ図10を参照して説明する。
実施形態1と同じく、ステップS61,S62で、引き下げフラグ及び引き上げフラグがセットされているか否かを判断する。いずれもセットされていない場合はメインルーチンに戻る。一方、いずれかがセットされている場合には、実施形態1と同じくステップS63に進み、安定待ちタイマが計時中であるか否かを判断し、Noの場合には、ステップS265に進む。
ステップ265では、現在のセンサ出力値S(n)と現在のデューティ比DTとを用いる点では実施形態1と同じであるが、算出式に基づいて狙いデューティ比を算出した実施形態1と異なり、現在のデューティ比DTから変化させるべきデューティ比の大きさである差分デューティ比DDTを算出する。
その後、ステップS267において、パルス信号Scのデューティ比DTをDT=DT+DDTに基づいて更新する。以降は、実施形態1と同じく、ステップS68で安定待ちタイマをスタートさせてメインルーチンに戻る。
また、合わせ込み処理の残余の部分は、実施形態1と同じであるので説明を省略する。
【0071】
かくして、本変形形態2でも、ガスセンサ素子1のセンサ抵抗値Rsがドリフトによって変動しても、センサ出力値S(n)が適切な範囲になるようにされるから、ドリフトの影響を排して酸化性ガスの濃度変化を適切に検知することができる。しかも、デューティ比を一挙に更新するから、更新に伴うガス濃度変化の検知(ステップS23)を行わない期間を最小限に止め、多くの時間をガス濃度変化の検知に当てることができる。
【0072】
(変形形態3)
次いで、本発明の変形形態3について説明する。前記した実施形態1では、センサ出力値S(n)が、S(n)≧SB+△S1となってデューティ比DTを引き下げる場合にも、S(n)≦SB−△S2となってデューティ比DTを引き上げる場合にも、合わせ込み処理(ステップS60、図8参照)によって、現在のデューティ比を一挙に新たなデューティ比に更新した。これに対し、本変形形態3では、デューティ比を引き下げる場合には、実施形態1と同じく一挙にデューティ比を更新するが、デューティ比を引き上げる場合には、デューティ比を徐々に変化させる点で異なる。そこで、メインルーチン(図4参照)における合わせ込み処理のフローのみ図11を参照して説明する。
【0073】
ステップS61では、実施形態1と同じく、引き下げフラグがセットされているか否かを判断する。セットされていない場合(No)はステップS36Bに進む。一方、セットされている場合(Yes)には、ステップS63に進む。以降は、実施形態1と同様である。つまり、狙いデューティ比DTを算出し(S65)、デューティ比DTを一挙に更新し(S67)、安定待ちタイマのスタートさせる(S68)。それ以降は、タイマ期間の経過を待って引き下げフラグをリセットする(S64、S69,S36A)。
【0074】
ステップS36Bでは、引き上げフラグがセットされているか否かを確認し、Noの場合はメインルーチンに戻る。一方、セットされている場合には(Yes)、ステップS36Cに進み、安定待ちタイマの計時中であるか否かを判断する。Noの場合には、ステップS36Eで現在のデューティ比DTを△DT分だけわずかに増加させる(DT=DT+△DT)。その後、必要に応じて、図11に破線で示すステップS36Fにおいて適切な安定待ちタイマ期間を選択し、ステップS36Gで安定待ちタイマをスタートさせ、メインルーチンに戻る。
【0075】
ステップS36CでYesの場合には、ステップS36Dに進み、安定待ちタイマ期間が経過したか否かを判断する。経過前(No)の場合には、メインルーチンに戻る。一方、タイマ期間を経過した場合(Yes)には、センサ電圧値Vs及びセンサ出力値S(n)の過渡変動がおさまったと考えられるので、ステップS36Hに進み、安定待ちタイマをリセットする。さらに、ステップS36Iでは、基準センサ出力値SBと変更後に得られた現在のセンサ出力値S(n)とを比較する。具体的には、SB−S(n)<T2を判断する、ここで、T2はしきい値である。基準センサ出力値SBと現在のセンサ出力値S(n)との差がしきい値T2よりも小さい場合(Yes)には、ステップS36Jに進み、引き上げフラグをリセットする。現在のセンサ出力値S(n)が基準センサ出力値SBに近い値となり、デューティ比の変更が完了したと考えられるからである。一方、Noの場合には、ステップS36Eに進み、再びデューティ比DTをわずかに増加させ、以降の処理を進める。かくして、デューティ比DTはSB−S(n)<T2となるまで徐々に変更される。
【0076】
なお、本変形形態3では、引き下げの場合に一挙に更新するようにした。ガス検出装置10は、車両を起動するとヒータを通電してガスセンサ素子1を加熱する。加熱によってセンサ抵抗値Rsは上昇する方向に変化しながら安定になる傾向がある。しかも、ガスセンサ素子1のヒータ加熱によるセンサ抵抗値Rsの安定までには、場合によっては数10分から数時間かかることがあり、初期設定(ステップS10)の期間(初期期間)に、センサ出力値S(n)を基準センサ出力値SBに近い値に合わせ込んでおいても、その後にセンサ抵抗値Rsが上昇してしまう場合がしばしば生じる。つまり、デューティ比DTを引き下げる場合が引き上げる場合より頻繁に生じる可能性が高い。そこで、本変形形態3では発生する可能性の高いデューティ比の引き下げについて一挙に更新して、ガス濃度変化の検知を行わない期間を少なくするようにしている。
【0077】
(変形形態4)
次いで、本発明の変形形態4について説明する。上記実施形態1では、センサ抵抗値変換回路2においてガスセンサ素子1をコンデンサ4と並列に配置したが、他の形態とすることもできる。本変形形態4のガス検出装置60は、上記した実施形態1とほぼ同様であるが、センサ抵抗値変換回路62の構成が異なる例である。そこで、このセンサ抵抗値変換回路62についてのみ、図12を参照して説明する。
【0078】
センサ抵抗値変換回路62は、実施形態1のセンサ抵抗値変換回路2と同じく、ガスセンサ素子61を駆動して、この素子61のセンサ抵抗値Rsの変化に応じた下記する動作点Pdの電圧(センサ電圧値Vs)を得るための回路であり、パルス信号Scを入力するパルス入力端子7と、センサ出力端子8とを有する。
パルス入力端子7とセンサ出力端子8との間に、固定抵抗器66とパルス入力端子7側をアノードとした第1ダイオード67とが直列に接続されたRD直列回路68と、ガスセンサ素子61とパルス入力端子7側をカソードとした第2ダイオード65が直列に接続されたSD直列回路69とが、並列に接続されている。また、RD直列回路68及びSD直列回路69とセンサ出力端子8との間に、一端64Bが接地されたコンデンサ64の他端64Aが接続されている。なお、コンデンサの他端64Aがセンサ抵抗値Rsの変化によって電位が変化する動作点Pdである。センサ出力端子8にはこの動作点Pdの電位が導かれている。
【0079】
このセンサ抵抗値変換回路62でも、センサ抵抗値Rsの変化によって、センサ電圧値Vsが変化し、これをA/D変換したセンサ出力値S(n)が変化するほか、パルス入力端子7に入力するパルス信号Scのデューティ比DTを変化させることによっても、センサ電圧値Vs及びセンサ出力値S(n)を変化させることができる。
なお、このセンサ抵抗値変換回路62についてガスセンサ素子61のセンサ抵抗値Rsを変化させた場合のセンサ電圧値Vs(センサ出力値S(n))の変化については図示しないが、容易に理解できるように、前記したセンサ抵抗値変換回路における図3のグラフに似た特性を示す。
従って、このようなセンサ抵抗値変換回路62を有するガス検出装置60、及びこれを用いた車両用オートベンチレーションシステム160においても、実施形態1と同様に酸化性ガスの濃度変化を検知し、さらには、フラップ34の開閉を行うことができる。
【0080】
(実施形態2)
さらに、実施形態2にかかるガス検出装置70および車両用オートベンチレーション一ステム170について説明する。前記した実施形態1では、コンデンサ4及び固定抵抗器5、ダイオード6を用いたセンサ抵抗値変換回路2を用いて、センサ抵抗値Rsの変化に従って変動する動作点Pdを作り、その動作点Pdの電位をセンサ電圧値Vsとして用いた。これに対し、本実施形態では、直流電流源を用いたセンサ抵抗値変換回路72によって、センサ抵抗値Rsに応じて変化するセンサ電圧値Vsを得る点で異なるので、このセンサ抵抗値変換回路72についてのみ、図13を参照して説明する。
【0081】
このセンサ抵抗値変換回路72は、酸化性ガスの濃度によってセンサ抵抗値Rsが変化するガスセンサ素子71と、これに電流を流す直流電流源73とを有する。直流電流源73は、最大でA/Dコンバータ15及びマイクロコンピュータ16の電源電位と略同一電圧を出力でき、制御端子73CTによって、その電流値I1を制御できる。
ガスセンサ素子71は、その両端71A,71Bがそれぞれ直流電流源73の端子73A,73Bと接続している。このうち端子73Aとの接続点Pdは、センサ抵抗値Rsの変化によってその電位が変化する動作点である。さらに、この動作点Pdのセンサ電圧値Vsが、センサ出力端子8に導かれている。
このセンサ電圧値Vsは、A/Dコンバータ15でセンサ出力値S(n)に変換されマイクロコンピュータ16で処理され、その変化などからガス濃度の変化を検出する。一方、マイクロコンピュータ16の制御出力端子16CTからは、制御信号Siが出力され、この制御信号Siに従って、直流電流源73の電流量I1が制御される。この際、ガスセンサ素子11に適切な一定の電流量I1を流すように、制御信号Siのパラメータ値が決められる。
なお、直流電流源73の電流量I1を制御する制御信号Siとしては、直流電圧信号やパルス信号などが挙げられ、そのパラメータ値としては、直流電圧信号においては直流電圧値が挙げられる。また、パルス信号においては、デューティ比や振幅、パルス信号で与えられるコード値などが挙げられる。
【0082】
このように、直流電流源73を用いると、電流値I1を一定として、ガスセンサ素子71のセンサ抵抗値Rsとセンサ電圧値Vs(センサ出力値S(n))との関係を表すと、図14のグラフに示すようになる。従って、容易に理解できるように、本実施形態2でも、センサ抵抗値Rsがドリフトによって変化して、センサ電圧値Vsが偏った値となった場合には、電流値I1を変化させることで、従って、電流値I1を制御する制御信号Siのパラメータ値を制御することで、センサ電圧値Vsを適切な値に合わせ込むことができるから、その後は再びセンサ電圧値Vsが適切な範囲に入っている状態で、ガスの濃度変化の検知を行うことができる。
【0083】
さらに、この図14のグラフから判るように、電流値I1が異なる各グラフについて、例えば、センサ電圧値Vs=2.0〜2.5Vの範囲を見ると、いずれのグラフについても、ほぼ同じ形状、具体的には、ほぼ同じ傾きの直線になっていることが判る。従って、実施形態1の場合と同じく、制御信号Siのパラメータ値(例えば直流電圧信号における直流電圧値)を適切に選択して、センサ電圧値Vsが2.0〜2.5Vの範囲、あるいはその近傍の値となるようにしておけば、たとえドリフトによって零点センサ抵抗値R0が変動しても、酸化性ガスの濃度変化によるセンサ電圧値Vsの変化量がほぼ同じとなることが判る。このため、このセンサ電圧値Vs(センサ出力値S(n))を用いれば、ドリフトの有無に拘わらず、同様の精度で酸化性ガスを検知できることになる。
【0084】
このような特性のセンサ抵抗値変換回路72を有するガス検出装置70についても、上記実施形態1と同様のフローチャートに従って、合わせ込み処理において制御信号Siのパラメータ値を一挙に更新することで、パラメータ値の更新に伴うガス検知困難期間を最小限に止め、多くの時間をガス検知に当てることができる。
【0085】
なお、このような直流電流源73を用いたセンサ抵抗値変換回路72及び車両用オートベンチレーションシステ170の具体例としては、図15に示すFET86を用いたセンサ抵抗値変換回路82を有するガス検出装置80及び車両用オートベンチレーションシステム180が挙げられる。
このセンサ抵抗値変換回路82では、FET86とガスセンサ素子81とは直列に接続され、FET86のソース端子86Sは電源電位Vccに接続し、ガスセンサ素子81の一方の端81Bは接地されている。FET86のドレイン端子86Dとガスセンサ素子81の他方の端81AとのFET−センサ接続点Pdは動作点であり、そのセンサ電圧値Vsは、A/Dコンバータ15でセンサ出力値S(n)に変換され、マイクロコンピュータ16内で処理され、その変化によりガス検知が行われる。
【0086】
FET86は、ゲート端子86Gを有し、このゲート端子86Gに入力される直流電圧信号Saの直流電圧値Vcによって、ソース−ドレイン間、及びガスセンサ素子81を流れるドレイン電流I4の電流量を電子的に変化させることができる。
なお、マイクロコンピュータ16は、制御出力端子16CTから、実施形態1と同様に、デューティ比DTのパルス信号Scを出力する。このパルス信号Scは、抵抗素子88Rとコンデンサ88Cとからなる平滑回路88で平滑化されて、直流電圧信号SaとしてFET86のゲート端子86Gに入力される。パルス信号Scのデューティ比DTを変化させることで、直流電圧信号Saの直流電圧値(ゲート電圧)Vcを変化させることができる。従って、動作点Pdのセンサ電圧値Vsは、センサ抵抗値Rsの変化によって変化するほか、直流電圧信号Saを介して、パルス信号Scのデューティ比DTによっても変化させることができる。
このため、センサ抵抗値変換回路82を有するガス検出装置80についても、上記実施形態1と同様のフローチャートに従って、合わせ込み処理においてパルス信号Scのデューティ比DTを一挙に更新することで、デューティ比DTの更新に伴うガス検知困難期間を最小限に止め、多くの時間をガス検知に当てることができる。
【0087】
以上において、本発明を実施形態1,2及び変形形態1〜4に即して説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態等では、酸化性ガスの濃度変化に反応するガスセンサ素子1等を用いた例を示したが、還元性ガスに反応するガスセンサ素子や、酸化性ガス及び還元性ガスのいずれにも反応するガスセンサ素子を用いる場合にも、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1にかかるガス検出装置、及びこのガス検出装置を用いた車両用オートベンチレーションシステムの構成を示す構成図である。
【図2】 図1に示す車両用オートベンチレーションシステムにおける制御の内容を示すフローチャートである。
【図3】 図1に示すガス検出装置において、入力したパルス信号のデューティ比をパラメータ値として、ガスセンサ素子のセンサ抵抗値Rsを変化させたときに生じるセンサ電圧値Vsの変化を示すグラフである。
【図4】 図1に示すガス検出装置の制御のうち、メインルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図5】 図4に示すガス検出装置の制御のうち、初期設定の内容を示すフローチャートである。
【図6】 図4に示すガス検出装置の制御のうち、ガス検知処理の内容を示すフローチャートである。
【図7】 図4に示すガス検出装置の制御のうち、合わせ込み要否判断の内容を示すフローチャートである。
【図8】 図4に示すガス検出装置の制御のうち、合わせ込み処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】 変形形態1にかかる合わせ込み処理の内容を示すフローチャートである。
【図10】 変形形態2にかかる合わせ込み処理の内容を示すフローチャートである。
【図11】 変形形態3にかかる合わせ込み処理の内容を示すフローチャートである。
【図12】 変形形態4にかかるガス検出装置、及びこのガス検出装置を用いた車両用オートベンチレーションシステムの構成を示す構成図である。
【図13】 実施形態2にかかるガス検出装置、及びこのガス検出装置を用いた車両用オートベンチレーションシステムの構成を示す構成図である。
【図14】 図13に示すガス検出装置において、ガスセンサ素子に流す電流量をパラメータ値として、ガスセンサ素子のセンサ抵抗値Rsを変化させたときに生じるセンサ電圧値Vsの変化を示すグラフである。
【図15】 実施形態2の具体的な形態を示すガスセンサ駆動回路及びガスセンサ素子を用いた制御システムの構成を示す回路図及びブロック図である。
【符号の説明】
1,61 ガスセンサ素子
2,62,72 センサ抵抗値変換回路
73 電流源
4,64 コンデンサ
5,66 固定抵抗器
6,65,67 ダイオード
7 パルス入力端子(パルス入力点)
8 センサ出力端子
10,60 ガス検出装置
15 A/Dコンバータ
16 マイクロコンピュータ
19 センサ出力値取得回路(取得手段)
20 電子制御アセンブリ
21 フラップ駆動回路
22 アクチュエータ
30 換気系
31,32,33 ダクト
34 フラップ
100,160,170,180 車両用オートベンチレーションシステム
Rs センサ抵抗値
Vs センサ電圧値
S(n) センサ出力値
LV 濃度信号
Sc パルス信号(入力信号)
DT デューティ比(パラメータ値)
SB 基準センサ出力値
Sa 直流電圧信号(入力信号)
Vc 直流電圧値(パラメータ値)

Claims (8)

  1. 特定ガスの濃度に応じてセンサ抵抗値が変化するガスセンサ素子を用いるガス検出装置であって、
    センサ出力値を取得する取得手段であって、上記センサ抵抗値の変化及び上記取得手段に入力される入力信号におけるパラメータ値の変化に応じて変化するセンサ出力値を、上記入力信号のパラメータ値を固定した状態で、所定サイクル時間毎に取得する取得手段と、
    上記センサ出力値を用いて上記特定ガスの濃度の高低を検知する濃度検知手段と、
    上記濃度検知手段で上記特定ガスの濃度が低いことを検知したときに濃度低信号を発生する濃度低信号発生手段と、
    上記ガス検出装置の起動し続く初期期間の経過後、上記濃度低信号を発生している期間において、更新条件を満たしたときに、上記入力信号の現在のパラメータ値を新たなパラメータ値に更新するパラメータ更新手段であって、
    上記新たなパラメータ値に固定した入力信号を用いたときに、上記取得手段において、所定の基準センサ出力値にほぼ等しい上記センサ出力値が取得されるようになる上記新たなパラメータ値を取得して更新するパラメータ更新手段と、を備えるガス検出装置。
  2. 請求項1に記載のガス検出装置であって、
    前記センサ抵抗値が上昇したときに前記センサ出力値が変化する方向を第1方向とし、その逆方向を第2方向としたとき、
    前記パラメータ更新手段における前記更新条件を満たしたときとは、
    前記センサ出力値が第1所定期間にわたって第1限界値よりも第1方向側の値となったとき、及び、
    前記センサ出力値が第2所定期間にわたって第2限界値よりも第2方向側の値となったとき、
    のいずれかを満たしたときである
    ガス検出装置。
  3. 特定ガスの濃度に応じてセンサ抵抗値が変化するガスセンサ素子を用いるガス検出装置であって、
    センサ出力値を取得する取得手段であって、上記センサ抵抗値の変化及び上記取得手段に入力される入力信号におけるパラメータ値の変化に応じて変化するセンサ出力値を、上記入力信号のパラメータ値を固定した状態で、所定サイクル時間毎に取得する取得手段と、
    上記センサ出力値を用いて上記特定ガスの濃度の高低を検知する濃度検知手段と、
    上記濃度検知手段で上記特定ガスの濃度が低いことを検知したときに濃度低信号を発生する濃度低信号発生手段と、
    上記ガス検出装置の起動に続く初期期間の経過後、上記濃度低信号を発生している期間において、更新条件を満たしたときに、上記入力信号の現在のパラメータ値を新たなパラメータ値に更新するパラメータ更新手段であって、
    上記センサ抵抗値が上昇したときに上記センサ出力値が変化する方向を第1方向とし、その逆方向を第2方向としたとき、
    上記センサ出力値が第1所定期間にわたって第1限界値よりも第1方向側の値となったときには、上記取得手段において、上記新たなパラメータ値に固定した入力信号を用いたときに、所定の基準センサ出力値にほぼ等しい上記センサ出力値が取得されるようになる上記新たなパラメータ値を取得して更新し、
    前記センサ出力値が第2所定期間にわたって第2限界値よりも第2方向側の値となったときには、上記取得手段において、現在の上記センサ出力値よりも基準センサ出力値に近いセンサ出力値が取得されるように、上記現在のパラメータ値を徐々に変化させる更新を繰り返すパラメータ更新手段と
    を備えるガス検出装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、
    前記パラメータ更新手段は、
    前記新しいパラメータ値を、現在の前記センサ出力値と前記現在のパラメータ値とを用いて取得する
    ガス検出装置。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、
    前記ガスセンサ素子は、前記特定ガスが無いときの上記センサ抵抗値を零点センサ抵抗値R0とし、その後上記特定ガスの濃度を所定値としたときの上記センサ抵抗値を第1センサ抵抗値R1としたとき、比R1/R0が、上記零点センサ抵抗値R0の変化に拘わらず、ほぼ一定に保たれる特性を有し、
    前記取得手段は、前記パラメータ値を一定として、前記センサ抵抗値の対数値と前記センサ出力値との関係をグラフ化したときに、単調に変化し、上記パラメータ値によらず、グラフの形状がほぼ同一となる上記センサ出力値の範囲を有する特性を備え、
    前記基準センサ出力値は、上記グラフの形状がほぼ同一となるセンサ出力値の範囲内の値である
    ガス検出装置。
  6. 請求項5に記載のガス検出装置であって、
    前記取得手段は、
    前記入力信号である、第1の電位状態と第2の電位状態とを有する繰り返し波形のパルス信号が入力されるパルス入力点と、
    コンデンサと、
    上記パルス入力点に上記第1の電位状態の信号が入力されている期間に、充電用抵抗器を介して上記コンデンサを充電する充電回路と、
    上記パルス入力点に上記第2の電位状態の信号が入力されている期間に、放電用抵抗器を介して上記コンデンサを放電させる放電回路と、
    を含み、
    上記充電回路の充電用抵抗器及び放電回路の放電用抵抗器のいずれかは前記ガスセンサ素子を含み、上記充電回路の充電電流及び上記放電回路の放電電流のいずれかは上記ガスセンサ素子のセンサ抵抗値の変化に応じて変化し、
    上記コンデンサの一端であって、上記ガスセンサ素子におけるセンサ抵抗値の変化により電位が変化する動作点の電位を用いて、前記センサ出力値を取得し、
    前記入力信号のパラメータ値は、上記パルス入力点に入力される、上記パルス信号の上記第1の状態と第2の状態とのデューティ比であり、
    前記パラメータ更新手段は、上記デューティ比を更新する
    ガス検出装置。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、
    前記初期期間において、初期更新条件を満たしたときに、前記取得手段において、現在の前記センサ出力値よりも基準センサ出力値に近いセンサ出力値が取得されるように、前記現在のパラメータ値を徐々に変化させる更新を繰り返す初期パラメータ更新手段を備える
    ガス検出装置。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のガス検出装置を含む
    車両用オートベンチレーションシステム。
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