JP4028723B2 - 電子付着質量分析法を利用した昇温脱離ガス分析装置及び分析方法 - Google Patents

電子付着質量分析法を利用した昇温脱離ガス分析装置及び分析方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、昇温脱離ガス分析装置及び分析方法に関するものであり、特に、電子付着質量分析法を利用した昇温脱離ガス分析装置及び分析方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の昇温脱離ガス分析方法は、脱離ガスの分子(AB)を、電子衝撃によって、次式:
AB + e → A + B + 2e 又はAB + e → AB + 2e
のようにイオン化する通常の電離過程を利用し、生成した正イオンを質量と電荷の比(M/q)により分析し、試料成分を評価するものである。
【0003】
このような昇温脱離ガス分析方法に用いる昇温脱離ガス分析装置(TDS)とは、一定速度で固体試料の表面の温度を上昇させながら、表面から脱離する分子や原子の種類による圧力変化、脱離する分子や原子の量の変化を測定して、固体表面の吸着分子や原子を同定したり、その吸着量や吸着状態、表面からの脱離過程等についての情報を得る分析装置である。このガス分析装置によれば、温度に対する脱離分子や原子の順序が昇温脱離スペクトルとして得られ、このスペクトルの形状や昇温速度を変えた時のスペクトル形状の変化を解析することにより、吸着状態等に関しての知見が得られる。
【0004】
従来の昇温脱離ガス分析装置で用いる質量分析器としては、上記した電離過程を利用して、生成した正イオンを分析するものが使用されている。
このような装置全体の構成を図1に示す。図1に示すように、赤外線イメージ炉等の加熱装置1により石英管2内に載置された試料3を加熱し、試料表面から脱離したガスを質量分析器4へ導く。質量分析計に付随したフィラメント5から放出された熱電子が70eV程度に加速され、イオン化室6においてガス分子や原子を衝撃し、それらを正イオン化する。それら正イオンはレンズ系で軌道を収束された後、四重極質量分析計の場合には、四重極柱7へ導かれ、質量/電荷の比に応じて質量分離される。質量分離された正イオンは2次電子増倍管8でその電流値が増幅され、制御・計測器9で計測される。
【0005】
また、このような質量分析器におけるイオン化室の要部の構成の一例を図2に示す。図2において、図1と同様な構成要素は同じ符号を付けてある。図2に示すように、真空雰囲気中に配設されたイオン化室6は10Vに、また、フィラメント5は−60Vに設定され、フィラメントから放出された熱電子は加速され、イオン化室においては70eVとなる。この電子衝撃により試料からの放出ガス分子、原子が正イオン化され、四重極柱7へ運ばれ、質量分析される。図2中、10はレンズ系、11は真空容器壁を示す。
【0006】
従来から、半導体装置の製造において、例えば、基板の表面に成膜された膜中に含まれている不純物等を分析するために、上記したような昇温脱離ガス分析装置が用いられている。この昇温脱離ガス分析装置は、上記したように、真空チャンバ内で試料を高温度に加熱し、質量分析器により膜中から脱離したガスを分析するものである。すなわち、加熱により熱エネルギーを得た試料表面近傍の吸着分子や原子は、吸着力の弱いものから順に試料表面から脱離する。このガス分子の脱離は真空チャンバ内の圧力上昇により検知できる。かくして脱離したガス分子を質量分析することにより、試料表面の吸着状態、表面吸着ガス、試料膜内に含まれている不純物等の情報を得、半導体装置製造プロセスの評価を行うことができる。
【0007】
例えば、プラズマプロセス装置をプラズマエッチング装置として使用する場合には、一般に、塩素や臭素等のハロゲン原子を含んだガスを装置内にエッチャントとして導入し、高周波放電によりプラズマを発生させ、プラズマ発生領域からハロゲンをラジカル又はイオンとして基板に照射してエッチングが行われる。この場合、半導体装置における金属膜や絶縁膜等のハロゲン系ガスによるプラズマエッチングでは、エッチング後の基板表面に分子レベルでのハロゲン化物その他の物質が残留する。この残留ハロゲン化物はデバイス特性に悪影響を与えるため、基板表面におけるハロゲン化物残留の有無を検査することが必要になる。そのために、昇温脱離ガス分析装置が用いられている。
【0008】
従来の昇温脱離ガス分析装置を用いて行う脱離ガス分子の同定は、電子衝撃(例えば、70eV)によりこのガス分子をイオン化し、上記電離過程を経て生成した正イオン種(A及びAB)を、例えば四重極質量分析計のような質量分析器で同定することによりなされている。この場合、一般に、電子衝撃によりガス分子が解離して複数の正イオン種が生成されるため、測定された複数の正イオン種から元の親分子を推定することになる。
親分子が1種類しかない場合には、「親分子から生成される正イオンの種類とそれらの相対量」に関する公知のデータベース(NIST(National Institute of Standards and Technology)のChemistry WebBook(http://webbook.nist.go/chemistry/))があるので、それを用いて親分子を推定することは容易である。
【0009】
しかるに、昇温脱離ガス分析では、一般に、複数種のガス分子が試料表面から脱離するので、それらガス分子から生成された多数の正イオン種を測定し、上記公知のデータベースから元の複数種の親分子の種類と量とを推定しなければならない。この場合、測定された多数の正イオン種を任意に組み合わせて、上記データベースから各親分子の種類を推定して、取り敢えず仮定する。次いで、それぞれのイオン種の断面積が既知ならば、各正イオン種の量に関して、各親分子の量を未知数とした連立1次方程式を立て、これを解いて各親分子の量を得る。実際には、各親分子の種類と量を仮定したときの質量スペクトルを上記データベースを用いて求め、これを実際に測定された質量スペクトルと比較する。そして、それらの種類と量とを変えながら測定結果に最も近くなるように、各親分子の種類と量とを決める。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の方法では、上記したように、各親分子の種類を推定し、仮定するのに、また、最終的に親分子の種類と量とを求めるのに煩雑な作業を要するという問題があった。そのために、例えば、半導体装置の製造プロセス等において、リアルタイムに分析結果を利用することは困難であるという問題がある。
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決することにあり、親分子の種類と量とを簡単に同定することが可能な昇温脱離ガス分析装置及び分析方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、昇温脱離ガス分析において、簡単な作業で親分子の種類と量を同定するための装置及び方法に関し鋭意研究を行ってきた。その結果、解離性電離過程を経て解離される正イオン種を測定の対象とするのではなく、解離性電子付着過程を経て解離される負イオン種を測定の対象とすることにより、試料からの脱離ガスをイオン化して得られた各イオンの親分子の種類と量とを極めて容易に同定することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明では、脱離ガスの分子(AB)を、電子衝撃によって、次式:
AB + e → (AB) → AB → A + B
のように解離してイオン化する解離性電子付着過程を利用し、この電子付着反応で生成された負イオンを測定することにより、各イオンの親分子の種類や量を同定する。
【0013】
本発明の昇温脱離ガス分析装置は、試料を昇温加熱して脱離ガスを発生させるための加熱部と、該試料から発生した脱離ガスの成分を分析するための電子付着質量分析部とを備えた電子付着質量分析法を利用した昇温脱離ガス分析装置であって、該電子付着質量分析部が、真空室内に配設されたイオン化室と、該イオン化室内で該脱離ガスをイオン化するための熱電子を発生するフィラメントと、該イオン化室及び該フィラメントの間に配置されているメッシュと、フィラメント及びイオン化室にそれぞれ設けられた電圧印加手段とからなり、該フィラメントの電圧印加手段が、フィラメントに印加する電位を掃引する掃引手段と、ガス分析時にフィラメントの電位をメッシュの電位より低い電位で掃引するように掃引手段を制御する制御手段とを備えている。また、試料の温度を上げながら、温度ごとに電子エネルギーを掃引できるようにフィラメントが構成されていることが好ましい。
【0014】
上記メッシュは、フィラメントより十分高い電位をフィラメントとイオン化室との間の空間に作れるようなものであればよい。そのため、あまり目の粗いメッシュではいけない。メッシュの網の目の中心の空間の電位の場合、メッシュを構成するワイヤーの電位とは異なり、目があまりに粗いと空間に高い電位を作れないからである。また、メッシュの大きさは、フィラメントとイオン化室との空間をカバーしていれば良く、その配置位置は、フィラメントとイオン化室との間であれば特に制限はない。
【0015】
本発明の昇温脱離ガス分析方法は、試料を昇温加熱して脱離ガスを発生させ、該試料から発生した脱離ガスをイオン化室でイオン化し、生成したイオンを用いて試料からの脱離ガスの成分を分析する昇温脱離ガス分析方法において、フィラメントを、該フィラメントとイオン化室との間に設けたメッシュの電位より低い電位として、フィラメントから電子を抜き出し、前記フィラメントの電位を掃引し電子エネルギーを掃引して、該試料から発生した脱離ガスをイオン化室で該電子との電子付着反応によりイオン化して負イオンを生成せしめ、生成した負イオンを用いて電子付着質量分析を行い、脱離ガスの成分を評価することからなる。この場合に該試料の温度を上げながら、温度毎に、電子エネルギーを掃引することが好ましい。さらに、前記メッシュの電位を0Vとし、前記フィラメントと前記イオン化室との電位を0Vより低くすることが好ましい。
【0016】
本発明によれば、上記したようにイオン化室とフィラメントとの間に所定のメッシュが配置されているので、電子はフィラメントから抜け出ることが可能となり、所期の目的を達成することができる。メッシュを配置して、その電位をフィラメントの電位より高くなるように設定しているので、イオン化室での電子エネルギーを下げるために、フィラメントとイオン化室との電位差を小さくした場合でも電子はフィラメントから抜け出てメッシュに向かう。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の昇温脱離ガス分析装置を用いて行う分析方法の一実施の形態を、以下、図3に示すフローチャートを参照して説明する。分析装置としては、図1の装置において、図4に示すようにフィラメント41とイオン化室42との間にメッシュ43を配置したものを用いる。
赤外線イメージ炉等の加熱装置により試料を加熱し、試料表面から脱離したガスを電子付着質量分析法により分析する。昇温脱離分析なので試料温度を上昇させながら、電子付着質量分析を行うことになる。電子付着質量分析では電子エネルギーを掃引する必要があり、また、複数の負イオン種が観測される可能性があるので、全ての負イオン種を測定するには質量分析計の設定質量も掃引する必要がある。このときの測定の手順の一例が図3のフローチャートに示されている。
【0018】
しかし、以下の実施例1で述べるように、フルオロカーボンガスの場合には、Fの信号のピーク位置(電子エネルギー値)から親分子が同定できるので、設定質量を掃引せず、m/qを19に設定したままでFの信号のみを測定すればよい。また、複数種の負イオンを計測する場合でも、負イオン種は限られているので、質量数の掃引は負イオン種が存在し得る質量数のみ離散的に行えばよい。Fのみ測定する場合を例にとり、以下具体的に述べる。図3に示すように、測定は試料温度が室温から始め、質量分析計の設定質量数を19にしておき、電子エネルギーを0eVから10eVまで掃引し、Fのイオン電流の信号を計測器につないだコンピュータに取り込む。この電子エネルギーの掃引とイオン電流の信号の取り込みとを、試料温度を上げながら繰り返し行う。電子エネルギーの掃引と加熱装置の制御もコンピュータで行う。試料温度が設定した最大温度に達した時点で測定は終了する。電子エネルギーの掃引は、フィラメントの電位を掃引することで行う。イオン化室電位を−5V、メッシュ電位を0Vとして、フィラメント電位を−5Vから−15Vに掃引することで、イオン化室内での電子エネルギーが0eVから10eVとなる。
【0019】
この測定により、試料温度Tと電子エネルギーEとを変数とした関数としてFのイオン電流値IF−(T,E)がコンピュータに取り込まれることになる。T,Eをx、y軸にIF−をz軸に3次元プロットすることで、IF−のT,Eへの依存性が見て取れる。Eに対するIF−のピーク位置から親分子が決定され、そのIF−のピーク高さのTに対する変化から、試料表面から脱離する親分子の脱離量の温度変化、すなわち、脱離分子種が同定された昇温脱離スペクトルが簡単に得られる。
【0020】
【実施例】
(実施例1)
昇温脱離ガス分析装置として、従来の装置において、イオン化室とフィラメントとの間にメッシュを配置したものを用いて、脱離ガスの分析を行った。図4に、本実施例で用いる装置におけるイオン化源の構造と電位配分の要部を示す。
試料から脱離したガス分子の分析は、図4に示すように、フィラメント41とイオン化室42との間にメッシュ43を配置してある電子付着質量分析器を用いて行った。生成する負イオンをモニターするため、イオン化室の電位はQポールの中心電位(0eV)より下げ、−5Vとし、メッシュ電位は0Vとした。また、フィラメント電位を−5Vまで掃引した。すなわち、イオン化室での電子エネルギーを0eVまで掃引した。その場合でも、フィラメントよりメッシュの電位の方が電位が高いので、電子はフィラメントから安定して抜け出た。なお、イオン化室への電子電流をモニターしておき、後で測定結果を補正した。
【0021】
ガス分析部の質量分析器での透過可能な質量数を「電子付着過程で生成される負イオンの質量数」に設定しておき、イオン化源のイオン化室12における電子の運動エネルギーを0から10eV程度まで掃引した。一般に、0〜10eV程度のエネルギー領域で起こる解離性電子付着過程では、数eVに断面積のピークがあり、そのピークの位置(電子エネルギー)は親分子の種類により異なる。例えば、CFから解離性電子付着過程によりFが生成される断面積は6.7eVにピークを持ち、CからFが生成される断面積は3.9eVにピークを持つ。従って、質量分析器の質量数を19に、すなわち、Fに設定し、イオン電流をモニターしながら電子エネルギーを掃引したときに、3.9eVと6.7eVとにピークがあれば、分析されるガス中にはCとCFとが存在することが分かり、煩雑な作業の必要もなく、正確に元の親分子の同定が可能になる。また、断面積の値が既知ならば、それらの量も正確に導出できるので、プロセス中に存在し得る化合物の標準物質を用いて、そのようなデータベースを作成しておけば、種類のみならず、正確な量も同定することができる。
【0022】
例えば、C、n−C10、i−C10、n−C12、及びn−C14については、それぞれ、2.9、2.65、1.85及び3.7、2.5及び3.8、並びに3.45eVにピークがある(例えば、S. M. Spyrou, I. Sauers and L. G. Christphorou: J. Chem. Phys. 78, 7200 (1983)、S. R. Hunter and L. G. Christphorou: J. Chem. Phys. 89, 6150 (1984)参照)ので、解離性電子付着過程で生成した負イオン種Fのピークがこれらの値にあれば、親分子の種類を容易に同定することができる。
【0023】
なお、分子量の大きい、電子親和力が正の分子では非解離性の電子付着が起き、負イオンが生成する。例えば、SFでは電子エネルギーがほぼ0eVでSF のみが生成される。従って、このような場合には親分子の特定はさらに容易である。
以上のように、電子衝撃の際の電子エネルギーを従来の値(従来の電子エネルギー:例えば、70eV)より下げ、負イオンをモニターすることで、昇温脱離ガス分析において従来は極めて困難であった脱離ガス分子種の同定が簡単に行えるようになった。
【0024】
(実施例2)
実施例1記載の方法に準じて酸素ガスから解離性電子付着により生成されたOを測定した例を以下に示す。すなわち、図4に示すように、フィラメント411とイオン化室42との間にメッシュ43を配置して電子付着質量分析計を用いて行った。生成する負イオンをモニターするため、イオン化室の電位はQポールの中心電位(0eV)より下げ、−5Vとした。また、フィラメント電位を−5Vまで掃引した。メッシュ電位を0Vとして、フィラメント電位より常に高くしているので、イオン化室での電子エネルギーが0eVとなる状況下でも、電子はフィラメントから抜け出た。なお、イオン化室への電子電流をモニターしておき、後で測定結果を補正した。
【0025】
図5は、質量分析器の質量数を16に、そして負イオン測定モードに設定しておき、電子衝撃のエネルギー(eV)を変化させたときのOのイオン電流値(CPS:カウント/秒)の変化を示すグラフである。その際の測定条件は、Ei(イオン化室電位)=−5V;Ef(イオン化室の下に配置したフォーカス電極の電位)=−5V;Em(メッシュ電位)=0V;Vsem(2次電子増倍管の電位)=−2kV;Vcon(コンバージョンダイノード電圧)=+3.0kV;If(フィラメント電流)=2.52A、フィラメント両端間電圧=約3.05V、この時の電子エネルギー6.5eVで、フィラメントから抜け出る電子電流が0.09mAで、イオン化室の壁に流入する電子電流が0.021mAであった。);酸素分圧=1.9e−5Torr;BG(バックグラウンドの圧力)=1e−6Torrである。酸素における解離性電子付着の断面積は、電子エネルギーが6.5eVでピークを持つことが知られており、図5に示した通り、測定結果はそれに一致している。このことから逆に、Oをモニターした時に6.5eVにピークが現れれば、元の親分子はOであると同定することができる。
【0026】
また、フルオロカーボンガスでは、F、CF などの負イオンが解離性電子付着で生成されるので、電子エネルギーに対するそれらのイオン電流のピークを測定し、この測定値を文献値と比較することにより解離前の元の親分子を同定できる。
なお、非解離性電子付着では電子エネルギーを0eVまで下げる必要があるが、その場合でもフィラメントから電子が安定して抜け出るように、フィラメントとイオン化室の間にメッシュを入れ、フィラメントより高い電位を与えれば、解離性電子付着の場合と同様に実施できる。
【0027】
【発明の効果】
本発明の昇温脱離ガス分析装置によれば、イオン化室とフィラメントの間にメッシュが配置されているので、このメッシュにフィラメントより高い電位を与えることで、低エネルギー電子の安定な発生と供給が可能になるという効果を奏する。
本発明の昇温脱離ガス分析方法によれば、ガス分析に電子付着質量分析法を利用して、電子付着過程を経て解離される負イオン種を測定の対象としているので、試料からの脱離ガスをイオン化して得られた各イオンの複数種の親分子の種類と量とを極めて簡単な作業で容易に同定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の昇温脱離ガス分析装置の全体の構成を模式的に示す構成図。
【図2】 従来の昇温脱離ガス分析装置で用いるイオン化室の要部の構成を模式的に示す構成図。
【図3】 本発明の昇温脱離ガス分析方法の一実施の形態を示すフローチャート。
【図4】 本発明の昇温脱離ガス分析装置における質量分析器のイオン化源の構造と電位配分の要部を示す説明図。
【図5】 酸素での解離性電子付着過程で生成されたOの信号(イオン電流)の電子エネルギーへの依存性を示すグラフ。
【符号の説明】
1 加熱装置 2 石英管
3 試料 4 質量分析器
5 フィラメント 6 イオン化室
7 四重極柱 8 2次電子増倍管
9 制御・計測器 10 レンズ系
11 真空容器壁 41 フィラメント
42 イオン化室 43 メッシュ

Claims (5)

  1. 試料を昇温加熱して脱離ガスを発生させるための加熱部と、該試料から発生した脱離ガスの成分を分析するための電子付着質量分析部とを備えた電子付着質量分析法を利用した昇温脱離ガス分析装置であって、該電子付着質量分析部が、真空室内に配設されたイオン化室と、該イオン化室内で該脱離ガスをイオン化するための熱電子を発生するフィラメントと、該イオン化室及び該フィラメントの間に配置されているメッシュと、フィラメント及びイオン化室にそれぞれ設けられた電圧印加手段とからなり、該フィラメントの電圧印加手段が、フィラメントに印加する電位を掃引する掃引手段と、ガス分析時にフィラメントの電位をメッシュの電位より低い電位で掃引するように掃引手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする昇温脱離ガス分析装置。
  2. 試料の温度を上げながら、温度ごとに電子エネルギーを掃引できるように該フィラメントが構成されていることを特徴とする請求項1記載の昇温脱離ガス分析装置。
  3. 試料を昇温加熱して脱離ガスを発生させ、該試料から発生した脱離ガスをイオン化室でイオン化し、生成したイオンを用いて試料からの脱離ガスの成分を分析する昇温脱離ガス分析方法において、フィラメントを、該フィラメントとイオン化室との間に設けたメッシュの電位より低い電位として、フィラメントから電子を抜き出し、該フィラメントの電位を掃引し電子エネルギーを掃引して、該試料から発生した脱離ガスをイオン化室で該電子との電子付着反応によりイオン化して負イオンを生成せしめ、生成した負イオンを用いて電子付着質量分析を行い、脱離ガスの成分を評価することを特徴とする昇温脱離ガス分析方法。
  4. 該試料の温度を上げながら、温度毎に、電子エネルギーを掃引することを特徴とする請求項3記載の昇温脱離ガス分析方法。
  5. 該メッシュの電位を0Vとし、前記フィラメントと前記イオン化室との電位を0Vより低くすることを特徴とする請求項3又は4に記載の昇温脱離ガス分析方法。
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